2025年度 全国盲ろう者団体リーダー 育成研修会報告書 日程 2025年10月5日(日) 11月9日(日) 11月29日(土) オンライン(Zoom)開催 主催 ~日本のヘレン・ケラーを支援する会®~ 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 目次 1.概要・・・1 1―1 研修会の目的・・・1 1―2 本年度の研修会のねらい・・・1 2.カリキュラム・・・2 3.実施内容・・・3 3-1 講演1 札幌市の実例報告・・・3 3-2 講演2 千葉県の実例報告・・・6 3-3 課題1の発表・・・8 3-4 意見交換・・・10 3-5 課題2の発表・・・11 3-6 発表の振り返り(感想)・・・14 3-7 主な情報・意見交換・・・15 3-8 企画委員からのメッセージ・・・17 4.総括・・・18 5.講義資料・・・21 5-1 札幌市の事例報告・・・21 5-2 千葉県の事例報告・・・25 6.受講アンケート集計結果・・・30 -1- 1.概要 1-1 研修会の目的 盲ろう者のリーダーとして活躍することが期待される者に対して、盲ろう者地域団体の運営力アップに繋がる知識とノウハウを身に付けてもらうことで、地域の盲ろう者福祉の充実を目指した団体の活性化を図ることを目的とした。 1-2 本年度の研修会のねらい 全国的に友の会の盲ろう者および支援者の高齢化等により会員が増えず、人材不足・財源不足などで活動が立ち行かなくなっているところが増えてきている。そこで、今年度は「友の会の仲間をふやしていくための工夫」をテーマに、友の会の盲ろう者の掘り起こし、会員の拡大の取り組みの事例報告に学び、盲ろう者と支援者が笑顔で活動できるための工夫について考え、ひいては、元気な友の会になるために自分は何ができるかを考え、地元の友の会活動につなげていけるようにすることをねらいとして実施した。 -2- 2.カリキュラム 1日目 10月5日(日) 13:00~13:15 開講式・事務連絡 13:15~14:25 講演1 札幌市の事例報告 14:25~14:40 休憩(15分間) 14:40~15:50 講演2 千葉県の事例報告 15:50~16:00 課題の説明・事務連絡 2日目 11月9日(日) 13:00~14:00 課題発表1 14:00~14:15 休憩 14:15~15:30 意見交換 15:30~16:00 課題の説明・事務連絡 3日目 11月29日(土) 10:00~12:00 課題発表2・質疑応答 12:00~13:30 昼食・休憩 13:30~15:30 意見交換 15:30~16:00 閉講式・事務連絡 -3- 3.実施内容 3-1 講演1 テーマ:札幌市の事例報告 講師:NPО法人札幌盲ろう者福祉協会 須田珠栄(すだ たまえ)氏 団体の基本理念 ・目標:「独りぼっちの盲ろう者をなくす」 事例1:助成金を活用した掘り起こし事業 全国盲ろう者協会の助成金を活用(2022〜2025年)。 ①実施内容 ・同行援護事業所の開設 ・盲ろう者支援センター設置 ・パンフレット・ホームページ作成 ・盲ろう者の掘り起こし活動→個別訪問(8件) ・講演会・講習会開催 -4- ②成果 ・個別訪問した弱視難聴の女性が入会。 ・通訳・介助員派遣制度を利用でき、外出が増加。 ・協会の活動にも参加するようになった。 ③活動のポイント ・助成金を活用 ・広報活動の強化 ・相談窓口設置 ・個別訪問 ・地域講演会 事例2:長年の交流活動による入会 手芸教室(10年以上継続)をきっかけに入会。参加者は、盲ろう者、視覚障害者、ろう者、支援者 ①経緯 ・視覚障害の女性が参加していたが、聴覚低下が判明。 ・病院を受診し、盲ろうと認定。 ・通訳・介助制度を利用するようになり、協会に入会。 -5- ②ポイント ・長く続く交流の場が「居場所」になった。 ・仲間づくりは地道な活動の積み重ね。 ③重要な考え方 ・自分を盲ろう者と認めない人も多い。 ・気持ちが変わるまで 長い時間がかかる。 須田講師自身の体験 ・ろう者として生活していたが、20歳で視覚障害があることを知る。 ・33歳で盲ろう者大会に参加し、同じ仲間と出会い、人生が変わった。 まとめ 掘り起こし活動、居場所づくり、長期的な視点での活動継続が仲間を増やす鍵。 -6-  3-2 講演2 テーマ:千葉県の事例報告 NPО法人千葉盲ろう者友の会 理事長 加藤清道(かとう きよみち)氏 事務局長 田中幾子(たなか いくこ)氏 (1)現状 ・千葉県の盲ろう者:約300人 ・友の会が把握:約40人 (2)仲間を増やす取り組み ・広報活動 ・ホームページ作成 ・活動紹介DVD制作 ・パンフレット作成 (3)行政との連携 ・県内54市町村を訪問。 ・福祉担当者に盲ろう者についての説明。 ・福祉冊子への盲ろうについて、掲載を依頼。 (4)盲ろうカフェ -7- (5)地域で交流イベント開催 ①内容 ・盲ろう者の講演 ・コミュニケーション体験 ・盲ろう疑似体験 ・相談 ②効果 ・新しい会員が増えた。 ・地域とのつながりができた。 (6)その他の活動 ・会報誌「落花星」を年6回発行。 ・福祉まつり参加 ・大学ボランティア受け入れ ・行政職員向け研修 ・通訳・介助員養成研修会 (7)現在の課題 ・盲ろう者が社会に知られていない。 ・会員の高齢化。 ・活動する人が少ない。 -8- ・行政担当者の理解不足。 ・個人情報の壁で当事者に直接アプローチできない。 (8)まとめ ・仲間を増やすには、広報、行政との連携が大切。 ・地域イベントへの参加、支援者の養成が重要。 3-3 課題1の発表 (1) 宮城県 H氏 ・札幌・千葉の取り組みは非常に参考になった。 ・助成金の活用により、パンフレット作成、ホームページ作成、行政訪問が実現できた。 ・行政とのつながりが新しい盲ろう者との出会いにつながる。 ・交流会の継続が会員増加につながる。 ・印象に残った言葉は、「一人ぼっちの盲ろう者をなくそう」。 ・生き生きとした盲ろう者の姿が仲間を増やす。 (2)神奈川県 Ⅰ氏 ・友の会の存在の重要性を再認識。 -9- ・地域に合った活動が必要。 ・参考になった活動は、北海道の個別訪問、千葉の盲ろうカフェ。 ・神奈川では、NPO法人取得を目標にしている。 ・手話サークルや市町村へのPRを検討していきたい。 ・課題としては、人材不足。 (3)長野県 M氏 ・北海道の活動に感動した。遠方からでも目的のために集まる姿勢が素晴らしい。 ・千葉の盲ろうカフェのように、障害の有無を超えて交流できる場所が大切。 ・自分の地域でも取り入れたい。 (4)兵庫県 O氏 ・盲ろう者が自分の障害を認められない場合もある。 ・安心して活動できる居場所づくりが重要。 ・兵庫の状況→盲ろう者会員:36名、賛助会員:128名、派遣制度登録:95名。主な活動:実態調査の実施、盲ろう者支援センター設立、病院での相談窓口(月1回)、理解セミナー出前講座、地域イベント参加、ランチ会(月2回)、カフェ・タッチ(年5回) -10- ・事例紹介:病気で突然盲ろうになった人を、病院、市、支援センターが連携して支援。 (5)兵庫県 D氏 ・自分はアッシャー症候群による盲ろう者。 ・兵庫では、相談活動、会員拡大が進んでいる。 ・取り組みとして、カフェ・タッチ、DVD制作、クラウドファンディングで拠点作りをしている。 3-4 意見交換 課題1の発表を受けて、次のとおり、意見交換が行われた。 (1)パンフレットやDVDの活用 ・愛知の事例:理事会で作成を決定し、事務局が原案作成。理事会で修正。印刷はネット印刷会社(例:ラクスル)。数万円で作成可能。市町村などに配布して啓発。 (2)DVDの活用 ・イベントや講座で上映。 -11- ・盲ろう理解の啓発に利用。 (3)仲間を増やすポイント ・パンフレットやDVDだけでは不十分。 ・直接訪問、講演、体験会が重要。 ・行政との連携が必要。 3-5 課題2の発表 (1)宮城県 H氏 ・研修会を通して自分の県の活動を振り返る機会になった。 ・宮城では、A4二つ折りのリーフレットを作成。ボランティアセンターの印刷機で印刷。 ・仙台市福祉まつりで体験イベントを行い配布。 ・盲ろう支援パンフレットは、宮城県聴覚障害者情報センター(みみサポみやぎ)と共同制作。 ・パンフレットをきっかけに新しい盲ろう者が交流会へ参加し、入会。 ・仲間を増やすための2段階 第1段階:掘り起こし・啓発。行政訪問、講演会、福祉イベントへの参加。 -12- 第2段階:定着。参加しやすい雰囲気づくり、通訳・介助者養成、盲ろう者が輝ける活動。 (2)神奈川県 Ⅰ氏 ・札幌・千葉の活動が参考になった。 ・2つの団体の共通点としては、NPO法人取得、同行援護事業の実施、行政への働きかけがあげられる。 ・神奈川の課題は、友の会の存在が知られていないこと、通訳・介助者の高齢化、手話技術を持つ若手不足。 ・提案したいことは、手話サークルや聴覚障害者団体との交流、大学・公民館などで啓発、地域イベントへの参加。 (3)長野県 M氏 ・長野県は広く地域が分散している(北信・中信・南信など) ・地域ごとの活動を検討中。 ・盲ろう者の数は、現在2人。通訳・介助員は、約50人。 -13- ・手話サークルや障害者大会でPRし、盲ろう者を増やす活動を継続していきたい。 (4)兵庫県 O氏 ・友の会のパンフレットは、事務所で印刷して作成。 ・支援者不足が課題。 ・兵庫の現在の主な取り組みとしては、北部拠点づくりのため、空き家購入、クラウドファンディングの成功、養成講座テキスト・DVD作成、30周年記念事業準備会。 ・主な交流活動としては、カフェ・タッチ、運動会、クリスマス会、新聞に親しむ会がある。 (5)兵庫県 D氏 ・盲ろうになる原因は、病気、高齢、糖尿病などがある。 ・音声ベースの盲ろう者が増加。 ・兵庫の支援体制は、盲ろう者支援センター、月1回の相談、アイセンターで視覚相談。 ・新しい取り組みとして、北部に支援センター設立のため、クラウドファンディングで300万円以上達成。 -14- ・活動例として、カフェ・タッチがある。盲ろう者が調理したカレー販売。午後は意見交換。 ・今回の発表を、手話で表して通訳・介助者に協力してもらい、15分間で文章化してまとめるのが大変だった。 3-6 発表の振り返り(感想) (1)宮城県 H氏 ・15分にまとめるのが難しかった。 ・原稿を見ながらの発表になった。 (2)神奈川県 Ⅰ氏 ・仲間を増やすというテーマが難しかった。 ・他の発表が参考になった。 (3)長野県 M氏 ・文章化が苦手、手話の方が考えやすい。 ・今後は普及活動に力を入れたい。 (4)兵庫県 O氏 ・原稿作成に苦労、支援者の助けで完成。 (5)兵庫県D氏 -15- ・原稿作成に約3時間半と長時間かかった。 ・まとめ方(ポイント整理)の重要性を実感した。 3-7 主な情報・意見交換 (1)他県の状況 Q:定員8名のうち参加者は5名となっているが、他の件の状況を知りたい。 A:他県の状況は協会でも把握困難。情報源として協会広報誌「コミュニカ」がある。 (2)地域活動・交流会 課題: ・地域が広いと参加が困難。 ・交通費・宿泊費の問題がある。 ・同じメンバーになりがち。 各地の工夫: 札幌:宿泊型交流(1泊研修)で、遠方(旭川など)からの参加。 長野:地域ごとに分散開催を提案している。 -16- 愛知:活動は、名古屋を中心としているが、地方開催も実施している。地元の支援者の協力を活用している。 宮城:県北地域で新規交流会を実施している。 (3)研修会の開催方法について(オンライン・対面) ・対面のメリットは、深い意見交換が可能。 ・オンラインのメリットは、移動負担が少ないこと。 ・両方に課題と利点がある。 (4)他地域の実情 ・秋田:活動困難・友の会消滅の可能性。 ・青森:支援者はいるが、活動が弱い。 ・北海道:冬でも活動が状況により判団。温泉交流なども実施 (5)障害種別の連携 ・盲ろう者とろう者との連携のメリットは、つながりが拡大すること。 ・課題としては、盲ベースとろうベースとのバランスがなかなかうまくとれないこと(どちらかに偏りがち)。 ・多様な人との連携が重要。 -17- (6)支援者育成のための工夫 ・宮城:養成講座で、レポートを提出してもらう、交流会への参加を必須化する。受講生に運営も体験させるなど。 ・兵庫:通訳・介助員は約200人いるが、高齢化・若手不足が課題。 ・神奈川:養成研修会修了後に、実地練習や交流会参加をしてもらう。 3-8 企画委員からのメッセージ S氏:講師としての発表に苦労した。意見交換では多くの学びがあった。研修後の目標達成を応援したい。 Ⅰ氏:原稿作成には、支援者の協力が重要。リーダー1人では限界があるので、通訳・介助者や事務局との連携が必要。今後の活動・発表に期待したい。 K氏:参加者の努力を高く評価したい。お疲れ様以上にご苦労様。リーダーは情報を仲間に伝える重要な役割がある。支援者と協力して友の会を運営していく必要がある。全国の友の会の発展を願う。 -18- 4.総括 今年度は、多くの友の会等盲ろう者地域団体が抱えている会員の高齢化等による人材不足・財源不足の現状を打開するため、「友の会の仲間を増やすための工夫」をテーマとして取り上げた。 札幌市と千葉県の事例報告を聴講しての感想と、友の会活動に参考になると思ったことを「課題1」とし、研修会で学んだことを地元の友の会の交流会で伝えるための発表を「課題2」として設定した。 5名の受講者は、それぞれ、事前に発表原稿を主催者に提出し、当日、その原稿内容を発表した後、意見交換に臨んだ。 主催者としては、研修会での学びが地元の友の会の活性化につながるように、という意図で企画したが、この意図が受講者に充分伝えきれず、発表内容が課題の意図とずれているケースがあった。 受講者にとっては、今回の課題対応は負担が大きかったと思われるが、地元の支援者によるサポートを得ながら、発表内容を作り上げるという体験ができたことは、とても有意義であったと思われる。 19- 一方で、受講者が本研修会に期待することは、全国の友の会の情報をもっと知りたい、自分の友の会のことをアピールしたい、という点にあることに、主催者として改めて気づかされた。 また、オンライン形式の開催の場合、発言者の手話の読み取り違いや発言内容がずれた際、画面越しから得られる情報には制約があり、受講者のそばについている通訳・介助者を介しての調整には限界がある。 対面での開催であれば、講師と受講者で直接やりとりしたり、主催者が仲介することで、進行をスムーズにできる幅が拡がり、テーマの内容を深めることができると思われる。 盲ろう者の特性として、間接的に得られる情報よりも、講師や受講者同士の対面による対話が、自身の成長につながっていくきっかけとなる。 しかしながら、遠方から参加する受講者にとっては、移動や費用負担などの問題も抱えている地域もあることから、オンライン形式のメリットも考慮する必要がある。 -20- 主催者としては、全国の盲ろう者地域団体からのニーズをくみ取りつつ、さらなる充実した研修会を実施していけるよう取り組んでいきたい。 -21-  5.講義資料 5-1 札幌市の事例報告 「独りぼっちの盲ろう者をなくす」ための取り組み 講師:須田珠栄(NPO法人札幌盲ろう者福祉協会 副会長) 私たち札幌盲ろう者福祉協会では(以下、札盲ろう協)、団体設立当初より「独りぼっちの盲ろう者をなくそう」という目標と理念を掲げ、活動してきました。 今回の講演では、テーマである「仲間をふやしていくための工夫」にそって、近年の札盲ろう協の活動と、それに伴う盲ろう者の入会動向などについて、いくつかの具体事例を中心にお話します。そのため、講演内では団体や活動についての説明は簡単な紹介にとどめます。受講の際は、あらかじめ下記の資料をご確認ください。 (1)札盲ろう協について 沿革: -22- ・1994年(平成6年)5月 「札幌盲ろう者友の会」発足 ・2006年(平成17年)4月 「札幌盲ろう者福祉協会」へ名称変更 ・2021年(令和3年)6月 NPO法人格取得 ・2023年(令和5年)1月 北海道・札幌盲ろう者支援センター開設、同行援護事業開始 会員構成: ※2025年7月末現在 ・正会員  77名(内 盲ろう者16名) ・賛助会員 48名(内 盲ろう者1名) ※札盲ろう協では、以前は盲ろう者を「正会員」、盲ろう者以外を「支援会員」としていましたが、NPO法人化後は、活動に参加する方を「正会員」、会費で応援してくださる方を「賛助会員」として区分を変更しました。 (2)現在の活動概要(主な事業・活動内容) 定期学習会・交流会: -23- ・毎週火曜日:コミュニケーション学習会(第1・3指点字、第2・4触手話) ・毎週水曜日:手芸教室(運営費捻出のため各種バザーなどへ出品する手芸作品の制作) ・社会生活教室:年数回、テーマを決め、学習や情報提供などを目的として開催 ・年間行事:余暇活動や交流、健康維持・増進の取り組みなど 助成金の活用: ・赤い羽根共同募金:市民向け指点字講習会 ・札幌市公募型事業:市民向け手書き文字講習会 ・休眠預金等活用事業:実施期間2022年7月〜2025年3月 ①盲ろう者総合支援事業 ・北海道・札幌盲ろう者支援センターの開設 →盲ろう者に関する相談や問い合わせに対応する総合窓口の設置 -24- ②掘り起こし事業 ・道内全域を対象とした掘り起こし ・自治体・相談事業所を対象とした盲ろう者に関する実態調査 ・個別訪問(協会理事および事務局による、対象者の居住地へ赴いての面談) ・地域のニーズに合わせた講演会の実施など ③盲ろう者向け同行援護事業 ・札幌市内在住の盲ろう者を対象とした、同行援護(外出支援)の実施 →登録盲ろう者 15名、同行援護従業者 19名 ※2025年8月現在 ・協会として初の福祉サービス事業 →収益化による自主財源の確保と運営基盤の整備 (3)協会が抱える課題 ・盲ろう者および支援者の高齢化と、次世代(若年層)支援者の不足 -25- ・「ろうベース」の盲ろう者に対し、手話による十分なコミュニケーションや通訳ができる支援者が少なく、育成環境も整っておらず、新たな人材の確保も難しい状況 ・課題解決に向けた具体的な対策がまだ明確でない 5-2 千葉県の事例報告 講師:NPO法人千葉盲ろう者友の会 理事長  加藤 清道 事務局長 田中 幾子 (1)友の会の現状 2025年6月末現在 友の会会員:163名(内盲ろう者31名) 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業:登録盲ろう者37名、登録通訳・介助員181名 同行援護事業:契約利用者19名 従業者91名 (2)新規会員を増やす取り組みと今後の方針 -26- ~取り組み~ 当会では、盲ろう者や友の会のことを広く社会の人々に知っていただくために様々な社会啓発事業を行っております。 ①ホームページの開設にて友の会の様々な活動の紹介 ②友の会紹介DVDの上映 様々な場所で上映し友の会の活動を知ってもらうことが目的 ③パンフレットの製作・配布 民間の助成金支給団体からの助成により友の会を紹介するパンフレットを製作。友の会のことを知ってもらうため対外的に広く配布している。 ④県内の市町村役場等訪問 以前から民間の助成金を活用し県内の市町村役場等を訪問し盲ろう者向け福祉サービスや友の会の活動、また、実際に盲ろう者がいるかどうか等の掘り起こし活動です。創業支援事業により3年間で県内54市町村をすべて訪問することができました。 -27- 訪問する前に視覚と聴覚の両方の障害者手帳取得者の人数を調べてもらい、また、各市町村で発行している福祉のしおり等に掲載のお願いをしました。 ⑤盲ろうカフェの開催 盲ろう者は、一人での移動や人とのコミュニケーションが困難なことや、高齢者が多いことから、友の会の行事に参加するのが難しいと思われます。そこで県内各地で盲ろう者が交流するイベントを開催してみようと考え計画を進めるなかで、盲ろう者の講演や盲ろう疑似体験、盲ろう者のコミュニケーション体験も含むイベントになり、創業事業期間の3年間に7回千葉県の各地で開催することができ盲ろう者への理解を深めることができたと思います。今後も継続して開催する予定です。 ⑥会報誌(落花星の配布) 友の会で年6回発行している会報誌を会員以外の行政機関や障害者団体にも配布。 ⑦地域の福祉まつりへの参加 千葉県内各地で開催されている福祉まつりに参加しています。盲ろう者のコミュニケーション体験、盲ろう疑似体験を企画し、盲ろう障害の周知を図っています。 -28- ⑧大学受け入れや行政機関にて研修会開催ボランティア体験ゼミナールの学生受け入れや、大学、行政機関での講演や研修会を行い盲ろう者の事を十分理解してもらいます。 ⑨盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修会 養成研修会を修了した者に対して友の会の活動について説明し、入会のお願いをしている。 ⑩千葉市盲ろう者実態調査の受託 2018年度に千葉市が盲ろう者の実態調査をおこないました。友の会は千葉市から委託を受け、盲ろう者を訪問してヒアリングをおこないました。この実態調査をきっかけに友の会に入会された盲ろう者がいます。 ~今後の方針~ ①派遣事業に登録している盲ろう者や通訳・介助員の未入会の方にも会員の案内をする。 -29- ②団体の会員を増やす。 ③当会会員同士での意見交換会で会員拡大を話し合う。 ④課題として、すでに会員になっている方には、引き続き会員になってもらい友の会の活動に継続的に協力してもらえるように働きかける。  -30- 6.受講アンケート集計結果 問1.盲ろう者地域団体(友の会等)との関わりについて 問1-1 盲ろう者地域団体での活動年数 あ 3年未満 0名 い 3年から5年 1名 う 6年から8年 1名 え 9年以上 3名 問1-2 盲ろう者地域団体での現在の役職について あ 会長または理事長(団体代表者) 2名 い 副会長または副理事長 1名 う 事務局長 1名  え 上記以外の役員 0名  お 役職なし 0名 か その他 1名 問2.研修会を受講した目的について 問2-1 受講の動機について -31- あ 自主的参加 2名 い 所属団体からの要請 1名 う 所属団体の役員会での推薦 2名 え その他 0名 問3.研修会の運営等について 問3-1 開催時期や日程について あ 良い 3名 い 普通 1名 う 改善を望む 1名 問3-2 案内・連絡等の進行について あ 良い 3名 い 普通 1名 う 改善を望む 1名 問3-3 オンライン(Zoom)での開催について あ 良い 2名 い 普通 2名 -32- う 改善を望む 1名 問3-4 オンライン上の情報保障について あ 良い 3名 い 普通 1名 う 改善を望む 1名 問4.個々のカリキュラム及び全体について 【研修会1日目】 問4-1 講演1 「札幌市の事例報告」 あ 良い 4名 い 普通 1名 う 改善を望む 0名 問4-2 講演2 「千葉県の事例報告」 あ 良い 2名 い 普通 0名 う 改善を望む 3名 -33- 【研修会2日目】 問4-3 課題発表1 あ 良い 3名 い 普通 1名 う 改善を望む 1名 問4-4 意見交換 あ 良い 3名 い 普通 1名 う 改善を望む 1名 【研修会3日目】 問4-5 課題発表2 あ 良い 4名 い 普通 1名 う 改善を望む 0名 問4-6 意見交換 あ 良い 3名 -34- い 普通 1名 う 改善を望む 1名 問4-7 カリキュラム全体について(総合評価) あ 良い 3名 い 普通 2名 う 改善を望む 0名 問5.各カリキュラムや企画・運営等についてお気づきの点や、改善点がありましたらご自由にお書きください。(自由記述) ・研修会の開催大変お疲れ様でした。全国の盲ろう者のリーダーやリーダーとなられる方との意見交換、情報交換は大変有意義でした。とても大切で重要なテーマなので、対面でもっと多くの参加者との意見交換ができるとさらによかったと思います。 ・ズームのURLを直前に送っていただけて、よかったです。 ・課題については、研修会前など、もっと早く課題の内容と提出締切日を伝えていただけるとよかったです。それにあわせて日程の調整や、支援が必要な盲ろう者は、支援者との調整もしやすくなると思います。 -35- ・テーマが「友の会の仲間をふやしていくための工夫」でしたが、発表のしかたについても触れていたので、その場合、テーマを別に設けて「リーダーとしてよりよい発表の仕方は?」のような別テーマがあるとわかりやすかったのではないかと感じました。仲間を増やしていくための工夫に絞って、各県のことや、受講者の考えを聞いてもよかったかもしれません。 ・企画委員のみなさまもいろいろと悩まれて工夫して開催されていたと思いますので、本当にお疲れ様でした。 ・研修会を受講できてよかったです。ありがとうございました。 ・最初は対面式の方が良いと思っておりましたが、時期や場所のことを考えるとオンラインが適切かなと感じました。 -36- ・意見交換などで話題がそれたため、司会者がお話を本来の軌道に戻す調節を行う必要があると思いました。また、レポート(原稿)や意見交換の評価を行うのも良いと思います。 ・インフルエンザ流行は、全国盲ろう者協会に集まって一番うつることがこわいのです。一番安心するのはZOOM(オンライン)だから良かったです。 ・3日目の意見交換の時、「なんでもいいから」とは考える範囲が広いので皆、思い浮かべなくてどんな事がいえばよいかわからなくなるから無用な発言が出来ないのでは?1つずつ考える狭くして意見を聞いてなければ次々あげていけばよいのではないか?例えば、講演や発表会の中にあったものを「交流会に関する」「体験に関する」「講座に関する」とかいいのでは? ・文字を読めない盲ろう者は、発表会は1000字以上はムリなので間違い発言があるから原稿があれば支援者が代読すればよいのでは?それと字数を言わない方がよいかもしない。話す内容が違うから何分まで、と言ったらよいのでは? -37- ・この課題と意見交換は、それぞれ担当していないのでとても難しかったです。改善が必要です。 ・開催時期を考えてほしい。 ・参加5団体は少なすぎる。増やしてほしい。 ・司会があわててしまい、時間の都合で終了しますという場面が多く満足できなかった。 ・司会の説明が早く、説明不足。 ・範囲が限られているから生がよい。 ・一部の講義が早くわかりづらかった。 以上   書名:2025年度全国盲ろう者団体 リーダー育成研修会報告書 発行日:2026年3月31日 編集・発行:~日本のヘレン・ケラーを支援する会®~ 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 TEL 03‐5287‐1140 FAX 03‐5287‐1141