文部科学省委託 特別支援教育に関する実践研究充実事業 (盲ろう児に対する指導の在り方に係る調査研究) 「多分野の専門職および当事者団体等との連携による 盲ろう児への教育支援の在り方についての研究」 成果報告書 令和7年3月 特定非営利法人全国盲ろう児教育・支援協会 目次 第1章 研究調査の概要・・・3 1.研究概要・・・3 2.研究の目的・・・3 3.研究の目標・・・3 4.調査研究方法・・・3 5.ワーキンググループ及び海外調査の構成員・・・5 第2章 インタビュー調査の報告・・・6 1.目的・・・6 2.調査方法・・・6 3.結果・・・6 4.考察・・・18 第3章 盲ろう者の地域団体等活動調査の報告・・・20 1.目的・・・20 2.方法・・・20 3.各調査の結果・・・20 3-1.盲ろう関係団体への郵送調査・・・20 3-2.先天性盲ろう者が関わっている団体や組織へのインタビュー調査・・・27 第4章 文献調査の報告・・・37 1.概要(調査の経緯と目的)・・・37 2.方法と結果・・・37 3.考察・・・48 第5章 海外調査・・・51 1.ニュージーランド調査研究報告:BLENNZ・・・51 2.オランダ調査研究報告:KentalisとGroningen大学・・・56 第6章 研究総括と提言・・・62 【資料編】 資料1.インタビュー調査票・・・69 資料2.盲ろう者団体調査におけるアンケートとインタビュー調査票・・・70 資料3.海外調査記録・・・80 資料4.文献リスト・・・95 資料5.研究委員会構成員・・・105 ---3 第1章 研究調査の概要 1.研究概要 学齢期(就学前を含む)の盲ろう児への支援が、卒後の盲ろう児の幸せな人生を実現するために最大限役立つものとなるよう、学校と盲ろう児関係団体や医療・保健・福祉等の関係機関が連携して行う盲ろう児支援の在り方に関する調査・研究を行う。具体的には、学校や学校外の専門機関等で盲ろう児の支援に関わった教育者等に対してインタビュー調査を実施するとともに、盲ろう者の地域団体における盲ろう児支援活動の状況や効果についても調査する。また、文献調査や海外調査により、わが国の優れた実践事例や海外の支援システムについての先行事例を調査し、これらを踏まえて、本人や家族が望む効果的な支援の在り方について提言をまとめる。 2.研究の目的 以前に取り組まれた「文部科学省委託 令和3年度特別支援教育に関する実践研究充実事業(その他政策上の課題の改善のための調査研究) 学齢盲ろう児の学習と教育内容と方法が卒後の盲ろう児の生活に与える影響に関する研究」(以下、これを『前研究』、この研究の成果報告書を『前研究報告書』と記す。)で明らかになった内容を踏まえて、前研究では実施するに至らなかった特別支援学校等で盲ろう児の教育に直接係わった教員を対象とする詳細な調査を行う。加えて学校教育以外での支援活動の現状と課題に関する情報を収集し、他方、海外の先進事例に関する実施調査も行った。さらに前研究でリストアップされた関係文献をより利用者がアクセスしやすいように分類・整理することとした。本研究は、以上の取り組みを通じて、学齢期の盲ろう児への支援がこれまでどのように行われてきたかを明らかにし、今後の支援の在り方について考察することを目的とする。 3.研究の目標 我が国の盲ろう児の教育が、「その個人にとって最も適切な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保する(障害者権利条約第二十四条3(c))」ための現実的条件を整備する。 4.調査研究方法 本研究では、3つのワーキンググループを構成し、それぞれのグループがテーマごとの研究に取り組んだ。各ワーキンググループのテーマと研究方法は以下のとおりである。また、我が国の盲ろう教育の現状を検討するにあたって比較対象となる海外での取り組みを視察・調査した。 (1)インタビュー調査ワーキンググループ 前研究においては、学校を卒業した盲ろう児とその家族を主たる対象としてインタビュー調査を行ったところであるが、今回は、学校で盲ろう児を担当した教員に対して、具体的な支援内容や効果などについて半構造化手法による詳細なインタビュー調査を実施した。また、前研究では学校外での教育・指導を受けていた盲ろう児が多かった(約60%)ことを踏まえて、教員とあわせて学外の専門機関等(就学前の支援や卒業後の支援を含む。)の職員に対しても、同様のインタビュー調査を実施した。また、調査の実施にあたっては、訪問面接調査とオンラインによるリモート面接を併用し、調査結果については、研究班において総合的な整理・分析を行ったうえ ---4 で研究委員会に報告した。本ワーキンググループでは構成員それぞれがおおよその地域分布(関東以北・関東周辺・中四国・九州・近畿・北陸)に基づいてインタビュー調査を分担した。 (2)地域団体調査ワーキンググループ 前研究では、当事者組織での同年齢の盲ろう児とのつながりが子ども同士のみならず、保護者の安定をもたらしていることや、各地域の盲ろう者友の会活動への参加が卒業後の社会参加につながっていることなどが指摘されていた。このようなことを踏まえて、本ワーキンググループは、盲ろう者の地域団体などにおける盲ろう児支援の活動状況やその効果などについて、郵送調査や訪問調査を実施した。また特に、学校と連携した盲ろう児支援活動については、詳細な調査を実施した。  ワーキンググループがインタビューの骨子としたことは次のとおりである。 ・組織や機関としての連携の実際 ・指導者や支援者など,人的資源の関わりの実際:支援者がどのように盲ろう児と関わっているかということだけでなく、支援者自身がその組織や機関に関わるに至る背景などについても情報収集する。 ・学校教育にのぞむこと:学校に在籍した期間(年齢)での学び、学校という組織での学び、また教育や学びをどう考えるか。 ・家族や学校も含めた「地域」のあり方 (3)文献調査ワーキンググループ 本ワーキンググループでは、前研究成果報告書に記載された文献リストの分類・整理を行い、本邦のこれまでの盲ろう児・者教育に関する研究・実践成果の概括を行った。これによって、とりわけ初めて盲ろうの子どもを担当する教師に対し、支援の目的・目標に応じて、これらの資料(『資料A』と『資料B』)へアクセスしやすい環境を提供できるのではないかと考えた。  前研究成果報告書は、本事業による調査研究結果を通して、今後の盲ろう児・者教育に求められる政策的課題を4つ提言している。そのうちの第2の提言には、「盲ろう児・者の教育内容、学習方法、教材作りなど、実践的で具体的なノウハウの蓄積と普及、さらなる進化を目指す。」とある。本文献調査ワーキンググループの作業はこうした提言を具現化する足がかりになると考えた。 以上の理由から、まずは前研究成果報告書の文献リストに記された「資料A」と「資料B」について、資料の性格上別々に分類・整理を行い、各文献の特徴や内容を明らかにして概括することとした。なお、「資料A」は現在、盲ろう児・者の教育等に関して文献資料やインターネットを通じてその存在が知られているものであり、「資料B」は公益財団法人重複障害教育研究所に関連するものである。 資料の分類・整理については、文献調査ワーキンググループメンバーそれぞれが独立して以下の作業を行った。すなわち、1)「資料A」の文献(論文・図書、報告書等)を講読する、2)講読した文献について同種類と思われるものを分類して、いくつかの文献グループを作る、3)分類したグループ各々にカテゴリー名を付していく。 上記の作業結果を文献調査ワーキンググループメンバー3名がつき合わせ、文献の分類の不一致がみられたものについては協議のもとに確認し合い、分類を確定した。文献の分類グループに付したカテゴリー名についても協議のうえで決定および表現を改めるなどの作業を行った。 ---5 5.ワーキンググループ及び海外調査の構成員 本研究におけるワーキンググループ及び海外調査の構成員は以下のとおりである。 (1)インタビュー調査ワーキンググループ 菅井 裕行(宮城教育大学教職大学院、ワーキンググループ代表) 河原 麻子(国立特別支援教育総合研究所) 岡澤 慎一(宇都宮大学共同教育学部) 笹原 未来(福井大学連合教職大学院) 柴田 剛(筑波大学大学院博士前期課程) (2)地域団体調査ワーキンググループ 三科 聡子(宮城教育大学教育学部、ワーキンググループ代表) 今村 光弘(静岡県立沼津視覚特別支援学校) 柴崎 美穂(東京都心身障害者福祉センター) (3)文献調査ワーキンググループ 中村 保和(群馬大学共同教育学部、ワーキンググループ代表) 柴田 保之(國學院大學人間開発学部) 出水 知憲(横浜訓盲学院) (4)海外調査 ニュージーランド:BLENNZの調査 菅井 裕行(前出) 岡澤 慎一(前出) オランダ:KentalisとGroningen大学 菅井 裕行(前出) 三科 聡子(前出) ---6 第2章 インタビュー調査の報告 1.目的 令和3年度に当協会が文科省の委託を受けて実施した「学齢盲ろう児の学習と教育の内容と方法が卒後の盲ろう児の生活に与える影響に関する研究」(以下「令和3年度の研究」という。)においては、学校を卒業した盲ろう児とその家族を主たる対象としてインタビュー調査を行ったところであるが、今回は、学校で盲ろう児を担当した教員に対して、半構造化手法による詳細なインタビュー調査を実施して具体的な支援内容や効果などについて明らかにすることを目的とする。調査の対象として主に関東以北、関東周辺、中四国・九州、近畿・北陸の4つの地域分布に基づいて行うこととした。また調査の実施にあたっては、訪問面接調査とオンラインによるリモート面接を併用し、調査結果については、研究班において総合的な整理・分析を行うこととした。 2.調査方法 本WGでは、学校において盲ろう児を担当した経験のある教員および施設において盲ろう者の支援を担当した経験のある職員23名を対象に、盲ろう児・者への具体的な支援内容やその効果などについて明らかにすることを目的としたインタビュー調査を実施した。 (1)期間:2023年4月?2025年2月 (2)インタビュー方法 対面もしくはオンラインにて、半構造化面接を実施した。1回のインタビュー時間は1?2時間であった。 (3)インタビュー内容 共通する質問項目は、@担当した盲ろう児・者の年齢、A担当した盲ろう児・者の性別、B盲ろうの状態、C重複障害の有無、D学校種、Eインタビュイーの所持免許・資格、F盲ろう児・者を担当する以前の経験、G担当年数(学年)、H教育課程・支援体制、Iコミュニケーション方法、J指導法・教材、K係わり合いの経過、L盲ろう児・者との係わり合いを通じて得られた学び、M情報共有、N係わり合いの振り返り、であった。 (4)記録方法 インタビューは本人の同意を得て録音し、インタビュー終了後、逐語録を作成した。逐語録をもとに実践事例の概要、経過のまとめをインタビューごとに作成した。 3.結果 (1)インタビュー調査の概要 本インタビュー調査の対象者及び各実践事例の概要は表1の通りである。学校では、「自立活動を主とする教育課程」で指導が行なわれているケースが多かったが、「準ずる教育課程」で指導が行なわれているケースもあった。指導形態については明言されていないケースもあったが、全てのケースにおいて個別対応がなされていることが記録内容から読み取れた。 (2)主なコミュニケーション方法 実践で用いられていた主なコミュニ ---7 ケーションの方法は表2の通りである。表2に示されているように、コミュニケーションにおいては、具体的・直接的な信号から言語信号系まで様々な方法が用いられていた。これらは、手話や指文字、点字といった言語信号系が用いられている事例と、身振りサイン等の類縁的信号系や、身体表出や具体的事物を活用した具体的・直接的信号系が用いられている事例とに大別されたが、いずれの事例においても、複数の手立てが併用されていた。 (3)各実践事例に共通する語り(内容) 本インタビュー調査を通じて得られた記録を意味内容のまとまりごとに整理し、全実践事例記録を通読して、各実践事例に共通して語られている内容を抽出し、整理した。その結果、各実践事例に共通する語りとして、「盲ろう児・者に合わせた教育・生活環境の構築」と「盲ろう教育の経験者や専門家との協働」の2点が明らかとなった。以下にそれぞれの概要と対応する実践事例の具体的な記述を示す。なお、紙面の都合上、対応する実践事例の具体的記述については、一部を抜粋して示す。 1)盲ろう児・者に合わせた環境の構築 表1に示されているように、教育実践の対象であった盲ろう児・者の実態は極めて多様であり、展開した教育実践や支援内容もまた多岐にわたっていた。しかし、いずれの事例においても、環境や特定の活動内容、方法に盲ろう児・者を適応させるのではなく、盲ろう児・者を主体とし、盲ろう児・者に合わせた教育・学習・生活環境の構築が行なわれているという点に共通性が見出された。盲ろう児・者に合わせた環境の構築については、その具体的な内容に基づいて、さらに以下の@?Hに整理された。 表1 対象者及び各実践事例の概要 (事例番号 インタビュー対象者 盲ろう児 盲ろうの状態 重複する障害 学校種 教育課程 担当時期 指導形態 主な活動・学習 担当年数 の順) 事例1 A cA 弱視ろう(現在、全盲ろう)視覚:大きなモノと色がわかる程度 聴覚:反応無し 知的障害※先天性風疹症候群 聾学校 自立活動主 幼稚部3歳児 単独学級 子どもが楽しめる活動、日常生活動作の獲得、歩行、探索、自作のスイッチ教材の操作 1年 事例1 A cB 全盲難聴 視覚:無眼球に近い小眼球、義眼 聴覚:かなり高音なら聞き取り可能、補聴器装用 知的障害 盲学校 自立活動主 幼稚部3歳児 子どもが楽しめる活動、音楽、摂食、日常生活動作の獲得、自作のスイッチ教材の操作 1年 事例2 C cC 視覚:片側無眼球、片側小眼球 聴覚:聴力不明 知的発達の遅れ(診断なし)、低緊張気味 盲学校 自立活動主 幼稚部4?5歳児 単独学級 探索、生活の具体物の探索、工作、色や予定の概念の学習 2年 事例3 D cD 視覚:0.15、視野欠損あり 聴覚:左70〜80dBnHL、右40〜70dBnHL 体幹機能障害、知的障害 視覚支援特別支援学 校 幼稚部の教育課程 幼稚部4〜5歳児 歩行、手指操作、リズム運動、運動遊び、日常生活の指導 2年 事例4 E cE 視覚:光覚 聴覚:110dB程度 知的障害※CHARGE症候群 盲学校 自立活動主 教育相談〜幼稚部、小1 トランポリン、生活の流れに即した活動 4年 事例5 F cF 弱視ろう 視覚:絵、文字、色が識別可能な程度 聴覚:聴こえている様子はなし、補聴器装用 肢体不自由※CHARGE症候群 聾学校 重複障害の教育課程 幼稚部4〜5歳児 朝の会のみ集団、他は個別 手指操作、物の名前の学習、モノや絵と文字カードの対応、マッサージ 2年 事例5 F cG 弱視ろう、後に全盲ろう 視覚:弱視→全盲 聴覚:ABR高音域のみ反応あり 知的障害 聾学校 重複障害の教育課程 小2〜小3 身辺自立、マッサージ 3年 事例6 H cH 弱視ろう 知的障害 盲学校 自立活動主 小2〜小6 教科学習、買い物学習 4年 ---8 事例7 I cI 視覚:矯正視力 0.02〜0.03 聴覚:補聴器装用時 75〜80dB 盲学校小学部 小2〜小6 2名体制IはcI専任 形の弁別、文字・指点字の学習、文字・指文字と実物との対応、漢字学習、数概念の学習、加減算 4年 事例7 I cJ 視覚:手動弁 聴覚:両側感音性難聴 右108dB、左112dB 盲学校小学部 小1〜小4 2名体制IはcJ専任 形、位置に関する学習、点字、指文字、文章作成、カレンダー、空間と時間、発声、数に関する学習 4年 事例8 K cK 視覚:全盲 聴覚:不明(ろうの疑い) 肢体不自由※CHARGE症候群 視覚支援特別支援学校 自立活動主 小3〜小4 感触遊び 2年 事例9 L cL 視覚:全盲(手動弁) 聴覚:ろう 知的障害 盲学校幼稚部 重複障害の教育課程 小3〜小6 課題学習(点字→墨字) 5年 事例10 M cM 視覚:光覚 聴覚:ろう 知的障害 知的障害特別支援学校 知的特別支援学校の教育課程 小3〜小6 子ども3名教師2名、のちにほぼ個別対応 生活の具体物、自作教材による見本合わせ 3年 事例11 N cN 視覚:弱視→全盲 聴覚:ろう 補聴器装用なし 知的障害、軽度肢体不自由※先天性風疹症候群 視覚支援特別支援学校 自立活動主 小4〜中3 生活の具体物、cNが好むアイテム、自作教材による見本合わせ 6年 事例12 O cO 視覚:全盲(光覚なし) 聴覚:不明(音声での会話可) 盲学校 準ずる教育課程 小3〜小6 教科学習 3年 事例13 P cP 視覚:全盲(光と影で物の存在は認識可能) 聴覚:90〜100dB 盲学校 準ずる教育課程 小5〜小6 教科学習 2年 事例14 Q cQ 盲ろう 知的障害、てんかん 盲学校小学部 自立活動主 小1〜小3 子どもが好む活動(トランポリン、まき笛、お絵描き)、自作の代車、カレンダー 3年 事例14 Q cR 盲難聴 視覚:光覚弁 聴覚:最重度難聴 肢体不自由、知的障害、てんかん 盲学校小〜中学部 自立活動主 小1〜中2 空間の整理、操作的学習 8年 事例15 S cS 視覚:光覚程度 聴覚:ろう 知的障害 知的障害特別支援学校 自立活動主 中1〜中3 子どもの好きな活動 3年 事例16 T cT 視覚:全盲(光覚なし) 聴覚:100dB以上 知的障害 盲学校 重複障害の教育課程 中1〜高2 単独学級 空間探索、自作教材を用いた課題学習(道具操作、探索、見本合わせ) 5年 事例17 U cU 視覚:全盲(義眼) 聴覚:感音性難聴 100dB以上、補聴器装用なし 盲学校 重複障害の教育課程 幼稚部4〜5歳児、小1〜3、中2〜3、高1〜3 遊び、立体図形等の形の見本合わせ、リベット点字の見本合わせ 9年 事例18 V cV 視覚:全盲 聴覚:反応なし 知的障害、肢体不自由 盲学校 自立活動主 小4〜6、高3、専攻科1 リベット点字の見本合わせ 5年 事例19 W cW 視覚:光覚程度 聴覚:70dB以上 嚥下障害、運動機能障害※多発奇形症候群 養護学校 自立活動主 小5〜6、中2〜3、高1 聴力を活かした活動、子どもが好きな活動(キーボード)、音楽、体育、生活単元学習 5年 事例20 X cX 視覚:盲(弱視→全盲) 聴覚:感音性難聴 心疾患、口唇口蓋裂 障害者支援施設 日常生活の支援 3年 事例21 Y cY ろうベースの盲ろう 視覚:全盲 聴覚:不明 障害者支援施設 日常生活の支援 3年 事例22 Z cZ ろうベースの盲ろう 障害者支援施設 興味関心のある事柄の概念学習 15年 事例23 a ca ろうベースの盲ろう 障害者支援施設 日常生活の支援 3年 ---9 表2 主なコミュニケーション方法 (コミュニケーション方法について、事例番号 対象児 の順に記載) ●言語信号系 ・手話ベース信号 手話 事例3 cD、事例5 cF、事例6 cH、事例7 cI、事例11 cN、事例14 cQ、事例20 cX、事例21 cY 触手話 事例13 cP、事例19 cW、事例20 cX、事例21 cY、事例22 cZ、事例23 ca ・文字ベース信号 文字 事例5 cF、事例6 cH、事例7 cI、事例9 cL、事例21 cY 手書き文字 事例21 cY、事例23 ca 点字 事例7 cI、事例7 cJ、事例12 cO、事例13 cP、事例18 cV、事例22 cZ、事例23 ca 指点字 事例12 cO、事例13 cP ローマ字式指文字 事例7 cI、事例7 cJ、事例12 cO、事例14 cR、事例18 cV 五十音式指文字 事例6 cH、事例11 cN、事例14 cQ 触指文字 事例11 cN、事例13 cP、事例22 cZ ・音声ベース信号 音声 事例1 cA、事例2 cC、事例3 cD、事例5 cG、事例12 cO ●類縁的信号系 絵・イラスト 事例3 cD、事例5 cF、事例6 cH 写真 事例3 cD ホームサイン 事例9 cL、事例16 cT、事例18 cV 身振りサイン・ジェスチャー 事例1 cA、事例2 cC、事例3 cD、事例4 cE、事例5 cF、事例5 cG、事例6 cH、事例8 cK、事例9 cL、事例10 cM、事例15 cS、事例16 cT、事例18 cV 身体接触サイン 事例2 cC、事例5 cG、事例8 cK、事例9 cL、事例10 cM、事例17 cU、事例18 cV ●具体的・直接的信号系 身体表出 事例1 cB、事例15 cS、事例16 cT、事例19 cW 直接的行動 事例1 cB、事例4 cE、事例8 cK、事例10 cM モノ・コト 事例1 cA、事例1 cB、事例5 cG、事例8 cK、事例9 cL、事例10 cM タッチキュー 事例14 cQ、事例14 cR、事例17 cU、事例19 cW オブジェクトキュー 事例2 cC、事例3 cD、事例4 cE、事例8 cK、事例10 cM、事例11 cN、事例14 cQ、事例14 cR、事例15 cS、事例16 cT、事例17 cU、事例18 cV、事例19 cW、事例20 cX ネームサイン 事例2 cC、事例10 cM、事例17 cU、事例19 cW カレンダーボックス 事例2 cC、事例4 cE、事例10 cM @子どもに合わせたコミュニケーション環境の構築 前述した通り、コミュニケーション方法については、具体的・直接的な信号系から言語信号系まで様々な方法が用いられていた。これらは、手話や指文字、点字といった言語信号系が用いられている事例と、身振りサイン等の類縁的信号系や、身体表出や具体的事物を活用した具体的・直接的信号系が用いられている事例とに大別された。いずれの事例においても複数の手立てが併用されており、一人ひとりの特性とニーズに応じてあらゆる手段を用いるトータルコミュニケーションの考え方を踏まえたコミュニケーション環境の構築がなされていたといえる。また、オブジェクト・キューやカレンダーボックス等、触覚を活用した独特の方法も多くの事例で取り入れられていた。 また、コミュニケーションにおける子どもの発信や子どもの双方向的なコミュニケーションを促進するため、子どもの表出につぶさに応じる、子どもの表出に対して表出確認を行なう、働きかけに対する子どもの応答を待っ ---10 てから行動するといった工夫についての語りも複数のケースで見られた(事例3、事例4、事例10、事例14、事例15、事例16、事例29)。特に、コミュニケーションが初期的状態にあると推察される盲ろう児とのコミュニケーションおいて、これらの取り組みは重視されていた。 ・「オブジェクトキューはcEに対して提示されるものであるが、それをJが握ることをもってしてJからの発信であると捉えて対応した」(事例4) ・「子ども(cG)がトイレに行く際にサインを使用したものの、集会等で退屈になった時に使用するなど、本来の目的とは異なる場面で使用されることもあった。しかし、子どものサインの表出に対して反応することを徹底することが言葉の定着に繋がると考え、サインを出した時には必ずトイレに行くことを続けた」「子ども側からサインの表出があった際には、どんなに焦っていてもそれを受け止めるようにしていた」(事例5) ・「cMから要求が出た際には、からなず『わかった』というサインを入れてから、説明したり、働きかけたりするように心がけ、応じられるときには『いいよ』のサインを入れるようにしたところ、徐々にサインが通じるようになっていった」「自分の好まない活動のキューを手渡されたときには、当初はそのキューを投げ捨てていたので、それをバックに入れるように促すと、次第にバックにしまうことで『拒否』を表現することもできるようになった」「cMはカレンダーボックスの蓋を自分から閉める、中身の位置を入れ替えるなどして、自分の意思を表すようになった。このようにしてカレンダーボックスが指示の道具ではなく、交渉のために手段として活用できるようになった」(事例10) ・「移動時に必ずサインを示し、cRがそれに同意したら移動するというやりとりを重ねた。」(事例14) ・「cSの感情を理解し、その感情にあった表現をフィードバックすることを繰り返した」(事例15) ・「cTはおんぶを求めてTの背中に覆いかぶさり、Tの立ち上がりが遅れるとcTはTの肩をトントンと叩いた。TはcTの表出を受け止めたことをcTに返すために、肩を叩くcTの手を軽く握ってトントンと軽く叩くようにした」「『あなたの言っていることは私に伝わるんだ』ということをcTに伝えるために、係わり合い開始当初からcTがおんぶを求めた際には必ずおんぶをすることを続けていた」(事例16) ・「cWからの表出があった場合は表出確認をおこない、表出された表情の変化や身体の動きを共有するようにした」(事例19)   さらに、係わり手であるインタビュー対象者自身が子どもに合わせたコミュニケーション方法を用いることに加えて、子どもが使用可能な方法によって周囲の人ともコミュニケーションがとれるよう、子どもが生活するコミュニティのメンバーへ働きかけを行ない、コミュニティ環境の整備を進めているケースも見られた(事例6、事例7、事例17)。 ・「対人関係の構築の促進として、朝の会では指文字や手話を用いてクラスメイトと交流できるようにして手話が通じる人との交流を増やし、手話での意思疎通を促進した。」(事例6) ・「学部全体に指文字を覚えるようにお願いをしていた。当初は反発があったものの、1?2年ほど経つとほとんどの小学校の教員がローマ字式指文字を使えるようになった」(事例7) ・「使用しているタッチキューの表を作り、職員と保護者の情報共有を進めた」「ネームサインは当初は職員の理解を得にくかったが、その必要性を理解してもらうように務めたところ、関係する職員全員がネームサインを使うようになった」(事例17) A子どもの興味・関心、行動の文脈に基づいた活動の創出 インタビュー対象者が盲ろう児・者と共に取り組んだ活動は、遊び、トランポリン、散歩、探索、学習等、多岐に ---11 渡っていた。その際、いくつかのケースでは、予め設定された活動に子どもを合わせるのではなく、子どもがその時々に取り組む活動や興味・関心のある活動に共に取り組むことを通じて、子どもとのコミュニケーションや学習が展開されていた(事例2、事例3、事例4、事例8、事例11、事例14、事例15、事例16)。 ・「子どもがやり始める活動に沿ってそれを助けることで次々と展開」「子どもとの係わり合いの中心は、子どもの興味や関心がある方向への探索活動を十分に展開することであった」(事例2) ・「子どもの好きなことや興味を指導に取り入れる重要性を確認した」「特記すべきこととして、毎日屋内外を自由にお散歩する時間を設けたことがある。これを毎日繰り返すうちに、対象児はどこに行っていても自分で教室まで戻ってくることができるようになった」(事例3) ・「子どもが好んで取り組んだトランポリンの活動を通じて、子どもが楽しみながら学べる環境を構築した」(事例4) ・「『独自』の学校生活を展開する」「無理はさせず、できることや楽しいことを少しずつ行い、その時間を長くしていく」(事例8) ・「子どもが今したいことを探り、それに徹底的につきあう」「最初から指導という形ではなく、その子が何をしたいのか、どのように係わっていけるのかを模索することが出発点となる」「子どもが自らやりたいことを見つけるのを待つ、または一緒に遊ぶことから関係を築いていくことが多い。子どもとの間では徹底的につきあうことで距離を縮めた。また、子どもが好む活動や遊びの中でやりとりすることを大切にした」(事例11) ・「子どものやりたいことに沿うことをしていた」(事例14) ・「子どもが行きたがる場所や好きな活動を一緒に行い、子どもの興味や行動のパターンを掴むことから始めた」「特に重要視していたのは、子どもにとってその時々の活動が意味を持ち、子ども自身の意欲や興味を引き出すことである。そのために、子どもが楽しみながら参加できる活動や体験を日常生活に取り入れ、それを学校生活や将来の自立活動につなげる指導を行った」(事例15) ・「子どもとの係わり合いは、おんぶを求める子どもをおんぶすることから始まった」「おんぶをしている間は、子どもの体を揺らそうとする動きに応じて体を揺らす、トランポリンを跳ぶ等して過ごし、おんぶは子どもが降りようとするそぶりを示すまで続けられた」(事例16) B子どものペースや活動に合わせた緩やかな時間的枠組みの設定 Aに関連して、いくつかのケースでは、予め設定された時間的枠組みの中で活動を行なうのではなく、子どものペースや生活の流れ、活動に即した独自の時間的枠組みが柔軟に創り上げられていた(事例2、事例4、事例11、事例16)。 ・「子どもを中心とした学校生活」「学校生活は、言ってみれば、『お昼と帰る時間のみが決まっている』ようなものであり、子どもの興味や関心をよりどころとしにして形づくられていった」(事例2) ・「学校全体の動きありきで進めるのではなく、子どもの生活の流れに即したかたちで過ごすことを大切にした」「柔軟な教育課程を作り、生活の流れを大事にした」(事例4) ・「学部の中に時間割という決まった枠がなかった。これが本当によかった。なので、まず最初は子どもが何をしたいか、何をするのかをじっくり付き合って見て、考えることができた、そういう係わりをしていると、少しずつ『次に何をするか』の流れができてくる。この流れが次第に時間割になっていくという経過だった。こうしてできた枠だと子どもが見通しを持てるようになる」「徹底して子どもの時間を保障し、その中で少しずつ時間をかけて日常の中に『枠』を作り、決まった流れの中で進めることで、落ち着くことができるようになった」「最初から活動の枠を決めるのではなく、時間をかけて一緒に時間枠や見通しを作っていくことが重要」(事例 ---12 11) ・「子どもとの間では、おんぶをし、トランポリンをし、課題学習をして給食を食べて帰るという1日の流れが作られて行った」(事例16) C子どもが理解しやすい物理的環境設定 いくつかのケースでは、子どもの主体的な行動を重視し、物理的環境を子どもにとってわかりやすいものとなるように整備することが重視されていた(事例3、事例4、事例19)。 ・「教室内の机の配置を変更し、動線を整理して、対象者が迷わずに行動できる空間を整えた。荷物の置き場や机の位置を固定することで、対象者が『ここに行けばこうなる』という見通しを持つことができるよう工夫した」(事例3) ・「子どもが理解しやすい環境を整えることが重要であった」「下駄箱の端っこのところに黒の縞模様をテープを貼ってみた。歩いた先の角にも縞模様のテープを貼った。」(事例4) ・「子どもに合わせて教室環境を設定した。対象児の拠点となる場所として畳を使用し、その周辺に素材の異なるものを配置し、空間把握しやすいようにした。また教材教具の置き場所を決め、対象児に知らせた」(事例19) D活動に見通しをもち、落ち着いて活動できる状況づくり 盲ろう児・者が見通しを持ち、安心して活動することができるための状況づくりは、ほとんどのケースにおいて言及されていた。活動をルーティーン化する、オブジェクト・キューやカレンダーボックスを活用する、活動の準備や片付けを一緒に行なう等の取り組みが、生活や活動の流れおよびその変化を盲ろう児にわかりやすく伝える方法として用いられていた(事例1、事例2、事例3、事例4、事例5、事例6、事例8、事例10、事例11、事例14、事例15、事例17、事例18、事例19、事例20、事例23)。 ・「活動のルーティーン化」「見通しを持てるように準備するところから一緒に活動した」(事例1) ・「1日の活動の流れや見通しは、蓋のついた教室のロッカーをカレンダーボックスとして使用し、時間の流れで『お昼』に相当するロッカーには給食セットを入れ、『帰り』に相当するところにはcCのリュックを入れておいて共有した。他の空いているカレンダーボックスの時間における活動をcCとともに展開した」(事例2) ・「対象児が安心して取り組むことができるように準備と片付けを一緒に行う」(事例3) ・「オブジェクトキューを使用したコミュニケーションを重ねた。『給食』に対しては、給食の際に使用していたバケツにエプロンとスプーンを入れたものを使用したり、『外に出かける』ことを示すために紅白帽子を提示したりした」「オブジェクトをカレンダーボックスに入れて提示して、活動の順序をcEto共有することも試みられた」「cEとEが校庭にいるときに、Eに呼び出しがあり、どうしてもいったん離れなければならないときがある。そうしたときに、Eの一旦の不在と再び戻ってくることを伝えるための、特製の座布団(『待っててマット』)を使用して、これがあることでcEは校庭で一人ででも待っていることができ、これおまたオブジェクトキューの工夫であった」「登校してきたcEと一緒にカーテンを開き、光が差し込む状況を作った。こうした活動で学校生活の一日の始まりを共有した」(事例4) ・「自分の教室に戻る際に使用する『帰る』や、その場で待機することを伝える際に使用する『待つ』といったサインを伝えていた。『待つ』といったサインが入ってからは、落ち着いて待ってくれるようになった」(事例5) ・「写真カードや文字カードを組み合わせて情報を整理したり個別の予定を視覚化し、活動の見通しを持たせたりしていた。」(事例6) ---13 ・「いろいろな種類の時間が毎日ばらばらに設定されていた時間割だったが、対象児がとても混乱したとのことで、ある程度一定になるように変更した」(事例8) ・「対象者に周囲の様子をできる限り伝えるようにした」「活動の準備や片付けまでの過程もできる限り一緒に行うようにした」「小学部から中学部への移行にあたって、それまでの教室にあった、数々の教材・教具等を一つ一つ対象者と一緒に中学部の新しい教室へ移動させる活動を行い、また移動の途中で中学部の教員とも接する機会を作った」「最終日には教員のネームサインであった時計を一緒にはずして袋にしまうという活動を儀式的に行うなどした」(事例10) ・「教室の入り口にサインを置き、それを事前に触った上で入室や移動をするようにもしていた。他にも見通しを持てるように、鞄や食器と知ったオブジェクトサインを使っていた。」(事例14) ・「教室の引っ越しの際は本児といっしょに机を運ぶなど丁寧に進め、何事もなかったかのように移行できた」(事例17) ・「学習や活動の手順をシンプルにした上で、その手順をきちんと言語化したり途中経過を見本として触れるようにしたりする工夫が学習や指導の中で必要だった」「伝わらない場合は手を替え、品を替えで伝える努力が必要であった」(事例18) ・「日課を示すオブジェクト・キューを独自に用意し、対象者に触ってもらうことで1日の流れを理解してもらうようにした」(事例20) E子どもの興味関心に基づいた学習活動の提案 学習については、初期学習から概念行動形成の学習、記号操作の学習、教科的学習と、多様な取り組みがなされていた。その際、いくつかのケースにおいては、子どもの興味関心に基づいた活動の延長線上に学習が展開するよう、子どもの興味関心と学習内容とを結びつけることが重視されていた(事例1、事例2、事例5、事例6、事例13、事例18、事例22)。 ・「子どもたちが楽しんでくれることを探りながら進めていった」(事例1) ・「子どもの興味や関心がある方向への探索活動」「探索活動を保障するなかで学習活動の提案」(事例2) ・「近場に動物園があったため、動物を見に行ったり絵を描いたりする活動をした。cFは動物に関心を寄せ、動物を中心に絵と合わせて必ず言葉のカードを見せていったことで文字に関する感覚が形成されていった」(事例5) ・「子どもが主体的に活動できるように、興味関心を活かした学習を展開した」(事例6) ・「電車好きだったため、電車の路線図で日本地図について指導した」「学校やその周辺、東京都の広がりを歩いたり電車に乗って移動する中で学び、立体地図を児童と作成した。作成した立体地図をもとに、少しずつ半具体物から抽象的な地図を導入していった」(事例13) ・「本人にとって必要な学習を重要視して学習を進めることにした」「子どもの好きなものや飲むことを源点に生活で必要なものを身振りサインで、その子がわかるように伝えていった」(事例18) ・「cZが知りたいことについて、かつては図書館で、今はインターネットでその都度調べ、内容を点字でまとめ、それをcZに読んでもらうことを続けてきた」「点字を楽しんで読んでもらえるよう、知りたい情報に関連するその人自身の経験やエピソードを入れるといった工夫も行なってきた」(事例22) F体験を通じた学習の展開 盲ろう児においては、自然な状況下での学習が困難であり、また、コミュニケーションや移動の困難さゆえに、日常生活の中で様々な活動を経験する機会も乏しくなりがちである。そのため、学習においては、実際的な活動を取り入れ、経験を通して学ぶことが重視されていた(事例6、事例12、事例13、事例15、事例22)。教科学習においても、実際的な体験を踏まえて学ぶことや、子ども自身の身近なところから学習を広げていくというように、 ---14 子どもに応じた調整がなされていた。 ・「実際の体験と学習を結びつけることで、実生活での言語使用を促した」(事例6) ・「指導においては、さわれるものには実際さわって理解を促し、体験できることは実際に経験するといった形で指導を進めた」「いろんな場面で実際に経験をさせて指導した」(事例12) ・「歴史については縄文時代からの学習ではなく、自分を中心にして父親/母親/祖父/祖母というところで振り返って行って戻ったり、電車や学校を中心に現在を起点に江戸時代くらいまで戻っていったりする指導をした」「言葉だけで説明できないものについては、実際に体験したり具体物を触ったりして確認した」(事例13) ・「子どもが高い窓から外に出たがったときには、室内から窓を触り、そこから壁を触りながら室外に向かい、室外から抱きかかえて窓を触らせ、窓が高い位置にあることを理解させる」「子どもが納得できる方法を模索し、納得のいくまで寄り添うことを大切に指導を行なった」(事例15) ・「鯨の大きさについては『18m』と点字で伝えるだけでは想像がしにくいので、一緒にメジャーを持って18mの長さまで伸ばし、メジャーを触ってもらうようにした」(事例22) G学習教材の作成 E・Fに関連して、子どもの特性やニーズ、興味関心に応じた学習を展開するため、学習に用いられる教材としては、独自に作成したもの、あるいは既存の教材を子どもに合わせて改変したものが用いられていた(事例1、事例2、事例6、事例7、事例9、事例10、事例11、事例13、事例14、事例16、事例18)。 ・「光るものとスイッチをつなげた教材、教室全体を使った歩行、探索を促す教材を自作しつつ指導した」(事例1) ・「『予定』の概念に関して、カレンダーに学校のお休みの日のブロックをつけるなどして、1週間単位の見通しを学習したりした」(事例2) ・「視覚教材としてパソコンやDVDプレイヤーを使い、国語(動く紙芝居)、算数(数の合成・分解)、生活単元学習(活動の見通し)などで視覚的に理解しやすい教材を作成していた」(事例6) ・「点字の導入学習、指文字の学習、点字と指文字のマッチングの学習を子どもの学習段階を踏まえた教材を作成し、それらを活用しながら指導を進めた」(事例7) ・「教科書を使用せず、自分自身で全ての点字教材文を作成し、本人に提示した」「基本的に全て独自の教材を使用した」「本人の興味関心に沿って教材を作っていくことに留意した」(事例13) ・「教材の多くはアイディアを研究者が出し、盲学校の技術科教員がその作成を担ってくれた」(事例16) H集団生活を送る上での環境や活動の調整  インタビューにおいては、集団生活・集団活動への参加にいて困難さを感じていたことが複数のケースで語られた。そうしたケースでは、盲ろう児・者が集団生活を送る上での工夫として、子どもにとって意味のある経験となるような調整、安心できる状況づくり、補足的な指導、通訳といったような個別支援が行なわれていた(事例1、事例4、事例6、事例8、事例12、事例17、事例21)。 ・「集団活動の際に子どもがわかりにくい活動や学習活動があった際には、補足的な学習をしたり理解できる活動に代替したりした」「集団であったものの、子どもが理解することの難しい活動内容に際しては取り出し指導を行なっていた」(事例1) ・「入学式や卒業式など、儀式的行事の意味が子どもには伝わらない。そこで、こうした行事等には参加せずに、子どもの関心に応 ---15 じた係わり合いを重ね、子どもを抱っこして歩いた」(事例4) ・「入学式や卒業式では、パソコンやプレゼンテーション画面やビデオカメラのライブ映像を活用し、式の流れを伝えた」(事例6) ・「対象児にとってあまり意味があない時間、何をやっているかわからない時間が続くと調子は悪くなった。そうなると好きな遊びを入れてバランスをとっていくということをしていた」「授業中は、そこにいるだけにならないように、活動内容の調整をしたり、実物を使ったコミュニケーションをしたりするために1対1で向き合う時間が必要であった」(事例8) ・「全体に話しているときは内容を通訳してもらっていた」(事例12) ・「全体の活動には参加することが難しい場合でも、その傍らで本児が楽しめるようなボールでのやりとりをしたり、校庭に生えている草の感触を楽しみながら歩くようにするなど、本児が体を動かして楽しむ活動に取り組んだ」「本人のペースで集団での活動に参加したりしなかったりするなど、高等部の教員全体の理解によって臨機応変に対応できた」(事例17) ・「YにはcYが食事を水で洗うのは食事が汚れていると思っているためであること、入浴や洗濯を拒否するのは入浴時や洗濯時に衣服がなくなるのではないかと不安に思っているためであること等が見えてきていた。そこで食事の際にメニューについて情報提供をするだけではなく、好きな食べ物についてやりとりをしたらそれをメニューに取り入れてもらったり、食事を汚いと不安に思っている対象者に対して『大丈夫』と声をかけるだけではなく直接炊飯ジャーからご飯をよそってもらうといった取り組みを進めていった。入浴についても(略)法人内のデイサービスの個浴を利用できるようにする、入浴時に個別に洗濯ができるようにするといった取り組みを進めていった」(事例21) 2)盲ろう教育の経験者や専門家との協働 多くのケースに共通することの2点目は、盲ろう児を対象とした教育実践を進めるにあたり、外部専門家(大学教員や研究者等)からのアドバイスや学校コンサルテーションが有効であったと実践者が捉えている点である(事例1、事例2、事例3、事例4、事例5、事例7、事例9、事例10、事例12、事例13、事例14、事例15、事例16、事例17、事例18、事例19)。多くのケースにおいて、担当している子どもとの個別具体的な係わり合いに関する相談・助言が、実践の展開を後押ししていた。   ・「盲ろう児を担当する教師のモデル研修会、情報交換会、当事者団体のイベント等にも参加したりしていた」(事例1) ・「盲学校に定期的に訪問していた研究者とcCとの係わり合いをともに検討する機会をもつことができた」(事例2) ・「盲ろう児指導経験のある教員や、盲ろう教育について知識のある同僚、国立特別支援教育総合研究所の研究者、盲ろう教育研究会からの情報提供を得ることができたことが、指導を検討する上での後押しとなっていた」(事例3) ・「cEとの係わり合い開始当初、今後の方向性などについて悩みや不安があったEは、研修に行ったことがある国立特殊教育相総合研究所に電話で相談し、重複障害教育研究部研究員とやりとりをした。その後、1ヶ月も経過しないうちに、特総研から2名の研究者が学校を訪問した」「研究者らは、月に1から2回程度の頻度で学校を訪問した」(事例4) ・「山梨盲学校での盲ろう教育の実践に携わっていた経験のある専門の研究者の下で学びながらcIの指導をすることになった」「重複障害教育研究所や専門家といった関係者と繋がることができたこと、教育の面白さから盲ろう教育にのめり込んだ」(事例7) ・「(cMに)なんとか伝える方法を考えなければならないと考え、いくつかの参考文献や直接研究者等から話を聞くことなどもした」「研究者からの助言も受けながらMは毎日の係わりを通じてcMの行動の意味を次第に推察できるようになっていった」(事例10) ・「Oは視覚障害教育そのものも初めての中で、視覚障害の教育は他の先生方からアドバイスをもらえる一方で、盲ろうの教育は初めてでとても不安であった。そのため、当時の校長に相談し、専門機関に連絡をし、専門家の先生が来校するようになった」 ---16 「校長経由で盲ろう教育の経験者を呼んでもらい、お話や資料を見させてもらった」(事例12) ・「専門家に何回か学校を見に来てもらって話をしたり、日常的にもメールや電話をしたりしながら様子を伝えていた。背中を常に押していただいていた」(事例13) ・「関係する大学教員や学生ボランティアと事前に情報共有をしていた」「教材の作り方や授業の進め方については、盲ろう児への指導経験のある先輩教師と相談をしながら進められていた」(事例14) ・「年1?2回程度の研究者からのフィードバックや校内研修における講義。研究者らとのメールによる指導上の疑問や課題に対する助言を得た」(事例15) ・「cTを幼少期から知る大学の研究者と出会い、その提案で、春休みには当時特殊教育総合研究所が実施していた盲ろう児の合宿にcTと共に参加した」「大学の研究者が週に1回学級を訪問し、cTとTの係わり合いの様子を参観したり、研究者とcTが課題学習を実施する体制が作られていた。Tは研究者とcTのやりとりを参考にしながら、自身もcTとの課題学習を進めた」(事例16) ・「元国立特殊教育総合研究所の研究者から、学校での教育現場における専門的な指導・助言を繰り返しいただくことができた。このことは、cUの教育活動を行う上で欠かすことができない大きな支えとなった」(事例17) 3)全ての事例に共通するわけではないが、重要な指摘を含む語り(内容)  以下では、全ての事例に共通するわけではないが、盲ろう教育において重要な指摘を含むと思われる語りを取り上げ、整理する。 @「子ども主体の学びを創り出すこと」と「やりとり」の重要性 盲ろう児・者との係わり合いを通じて得られた学びや振り返りの中で多く語られていたのは、「子ども主体の学びを創り出すこと」と「やりとり」の重要性である。さらに、これらの視点は、盲ろうに限らず、障害のある子どもへの教育において普遍的な意義をもつ極めて重要な視点であると認識されていた。 ・「cCとの係わり合いから学んだことは、障害の重複する子どもの教育について、教育の本質を問い、子どもにとって意味ある世界にしていくことが教師の仕事であり、そこでやりとりを重ねることの重要性であった。そのためには、子どもの生活が成り立つように、子どもを中心とした生活づくりを実践する必要がある」(事例2) ・「もっと制限なく自由にのびのびと活動できたらよかったかもしれない」「当時は、学校だから『指導をしなければ』という思いが強かったが、対象者が何もしたくないときには『何もしない』をするといった経験をやってみてもよかったのではないか」(事例3) ・「子どもの意思を尊重する確かなやりとりを目指す」「積極的に待つという姿勢」「1人1人をきめ細かく見ること、大事にすること」(事例4) ・「本人の意欲によって行なっていることでないと意味がない。何をしたいか、何が好きかということが大切だと学んだ」「重度のお子さんを担当する際に、『この子が何をしたいと思っているのか』を一番に考えるという見方は盲ろうのお子さんとの関わりの中から学ばせてもらった。(事例5) ・「cKと関わる中で、内容の精選を行なうこと、さらには人生には何が必要かということを2年間でとても考えさせられた。学校は、これまで長く行なってきた活動内容があるために、それを同じように教えようと先生たちは思いがちだけれど、cKにはそのままの考えで当たっていてはなかなか難しい。だから、何を教えたいかということを、深く考えさせられた。そのことは他の子たちに対しても同じで、人と係わりながら生きていくのに、何が必要かということを考えるようになった」(事例8) ・「子どもが今したいことを大事にする(させることよりも)」「子どもの納得を生み出すために丁寧に伝える」「基盤は『やりとり』をつく ---17 ること」「子どもの側へ一回降りていってそこで楽しいことを広げていく」(事例10) ・「子どもが今したいことを探り、それに徹底的につきあう」「子どもの納得を生み出すために丁寧に伝える、基盤は“やりとり”」「最初から活動の枠を決めるのではなく、時間をかけて一緒に時間枠や見通しを作っていくことが重要」(事例11) ・「子どもの姿から学ぶということが根底にあり、それを基に教材・教具を工夫すること。子どもの姿から自分自身が学ぶっていう姿勢を、盲ろう教育をして初めて教わった気がする」(事例12) ・「子どもの発信を丁寧に受け止め、それに対してわかりやすく返答することの重要性」(事例15) ・「(cTとの係わり合いを通じて)係わり合いの基本的な考え方や人の成長・発達についての基本的な知識がつくられ始めた」「cTとの間につくられた分かり合える、伝わりあえる経験そのものがその後の係わり合いの土台となっている」(事例16) ・「子どもの興味・関心に焦点を当て、子どもの主体的な学びを大切にすることの重要性」「表情や仕草など、子どもが発信する細やかな様子の観察から学ぶ姿勢」「子どもの主体性を育む環境整備」(事例17) ・「本人の得手とすること、好きなこと、興味があることをきっかけとして、丁寧に楽しく取り組んでいけるようにすることが重要」「知りたいと思うことは本人が納得がいくまでありとあらゆる方法で伝えていくことが重要」(事例22) A盲ろうの独自性に対する認識を深め、専門性を培う研修システムの必要性  対象児と出会う以前に盲ろうに関する知識や教育経験を有しているケースは少なく、多くの場合、試行錯誤的に教育実践を進め、係わり合いの中で盲ろうに対する理解を深め、専門性を培っていた。そのため、盲ろうに対する理解を深め、専門性を培う必要性や、それを可能とするような研修システムの必要性が、複数のケースにおいて指摘されていた。 ・「自身が手話を学びながらの指導だったことによる難しさや、どのコミュニケーション方法を使用するのがよいか見極める難しさ、どのようにコミュニケーションの指導を展開していけばよいか決める難しさを感じていた。」(事例3) ・「子どもの事例研究にどっぷりつからなければ勉強することはできなく、研修は常に学校現場において、OJTでなければならない」「毎日の指導のなかで子供を理解し、係わり方を学ぶ」(事例4) ・「視覚障害や聴覚障害の延長線上に盲ろうがあるという考えでは難しく、こられが重複する故の困難さや必要な支援に気づく必要がある」(事例6) ・「盲ろうの子どもたちの可能性が担当する教員の力量や考え方によって影響を受ける」(事例13) ・「盲ろう児に限ったことではないが、盲ろう児はとくに担当する教師によって、教育の質、生活の質、人生の豊かさの質に大きな差を生じさせてしまうということを痛感している」(事例17) B学校全体の理解と協働体制の重要性  盲ろう児に合わせた個別的な取り組みの重要性が明らかになった一方で、個別的な取り組みについて校内で理解が得られず、担当者が孤立感を抱いているケースもあった。一人ひとりの子どもにとって最適な学びの環境を作る上で、管理職や他の教員の理解と協力が不可欠であることがいくつかのケースにおいて指摘された。 ・「子どもに合わせたことをしようと思うと集団活動から離れてしまうため、すごく難しい教育だと感じる」(事例1) ・「cAは在籍校に教育相談から通っていた児童であったため幼稚部全体として共通して理解はされていたものの、盲ろう学生の受け入れも初めてであったこともあり、AやcAの保護者等が常に他の人に障害の状態を説明するばかりで、幼稚部のコミュニティの中から何にかが得られることはほとんどなかった」(事例1) ---18 ・「子ども一人一人をよく見て、子どもが大事にされること、こうした当たり前のことが当たり前に実践される空気を職場に作り出さなければならないし、リーダーの役割が重要である」「教育に必要なことは子どもの旬を逃さないための自由度ではないか。こうした考えを共有できる構成メンバーが重要であり、困難な状況もこうした教員相互の関係性の中でこそ乗り越えることができる」(事例2) ・「(個別的な対応について)周囲の先生から『甘やかしている』と言われることもあったが、理解を求めた」(事例4) ・「学校全体でも子どもを受容する空気感が形成されており、他のクラスに気兼ねなく活動ができていた」(事例5) ・「盲ろう児は情報障害によって集団活動に参加できない子が多い一方で、他の先生はその状況(話の内容等が分かっていない)がわからない」(事例6) ・「『特別な扱いを受けている』『教育の公平に反する』『1対1の教育で楽をしている』という言葉を受けることもあった」(事例7) ・「他の職員から『時間に沿った活動ができないね』というような発言が出るなど、盲ろうであることや本児の実態に関する共通理解が乏しかった」「体育祭、文化祭、音楽祭、マラソン大会など、学校行事への参加には毎年難しさを感じている」「国立特殊教育総合研究所の研究員が地域の大学に赴任し、学校で専門的な指導・助言を繰り返していただくことができた。そのことは、cUの教育活動を行う上で欠かすことのできない大きな支えとなった。管理職はじめ学校職員全体の盲ろう児理解にも多大なる成果を感じている」(事例17) C継続的な取り組みの必要性 盲ろう児においては、コミュニケーション関係の成立や学習の進展がゆっくりと進むため、担当者の異動や子どもの卒業によって途切れることのない、継続的な取り組みを実現できる体制づくりの必要性について言及されているケースもあった。 ・「盲ろう教育は積み重ねがとても大事であること。学校教育の人事異動があることはかなり難しく、先生が孤立してしまう」「学校の限られた期間ではなく、地域での活動のように幼少期から細く長く、大人になってもずっと続いていく関係/取り組みが大事であるとも感じていた。一方で、人事異動などにより、子どもがこれまでの学習を通して積み重ねてきたことを必ずしも積み重ね続けていけるとは限らないという点で盲ろう教育の難しさを感じていた」(事例1) ・「小〜高校だけの教育では不十分。卒後の盲ろう者の教育を担う、また盲ろう者が安心して生活できるよ うにする施設の取り組みが必要」(事例22) 4.考察 学校教育においては予め設計されたカリキュラムに基づいて活動内容や活動場所が設定され、指導がなされる場合が少なくない。しかし、本インタビュー調査を通じて、盲ろう児・者を対象とした教育実践においては、個々の盲ろう児・者に合わせた生活・教育・学習環境の構築に関する種々の取り組みが個別的に実施されていることが明らかとなった。子どもの興味・関心や行動の文脈に基づいた活動の創出、子どもの生活の流れや活動に即した緩やかな時間的枠組みの設定、子どもにとってわかりやすい物理的環境や状況づくり、子どもの興味・関心や体験に基づいた学習の展開、一人ひとりの実態を踏まえた教材の作成等、一人ひとりの子どもに応じた生活を子どもと共に創造する営みとしての教育活動が展開していた。 盲ろう児・者の特性やニーズが多様である以上、子どもに合わせた環境の構築は、個別的な対応にならざるを得ない。インタビュー調査によって明らかになった実践事例の多くは、自立活動を主とする教育課程のなかで1対1の個別対応がなされていた。子どもが準ずる教育課程で学んでいる場合であっても、概念形成にあたって ---19 は子どもの生活経験や体験的な活動を踏まえる必要があることから、個別的対応と十分な時間の確保が不可欠となる。集団生活を送る上でも、子どもにとって意味のある経験となるような活動の調整、安心できる状況づくり、補足的な指導、通訳といったような個別支援が必要となることが示された。こうしたことを踏まえるならば、盲ろう児主体の教育環境の構築にあたり、子どもと1対1でじっくりと係わり合うことができるような組織体制と、柔軟な対応を可能とするカリキュラムの整備が不可欠であると言える。 また、個々の子どもの実態に応じた多様なコミュニケーション方法の活用や、盲ろう児・者が抱える情報障害や学習上の困難を踏まえた工夫、個別性の高い教材の作成にあたっては、担当する教員や支援者に高い専門性が求められることとなる。しかし、現行の教員養成カリキュラムの中で盲ろうについて学ぶ機会はなく、盲ろう児・者の担当となってから独自に専門的知識を身につけることが求められている。そのため、多くのケースにおいて、実践者は対象児・者との係わり合いのなかで試行錯誤しながら学びを深め、専門性を培っていた。「盲ろう児は特に担当する教師によって、教育の質、生活の質、人生の豊かさの質に大きな差を生じさせてしまう」といった語りからは、盲ろう児の育ちが担当者個人に委ねられているような不安を教員が抱えがちであることも推察される。専門性の向上を教員や支援者の自己研鑽にのみ求めない、組織的なアプローチの必要性が示唆される。 この点に関し、OJT(On-the-Job Training)による研修は極めて重要である。インタビュー調査を通し、多くの教育実践においては、専門家が学校を訪問し、子どもの実態や教育の実際を共有しながら、係わり方を共に検討するOJTが実施されており、専門家や他の教員との協働によって実践の展開が後押しされていたことが示された。教員や支援者が直面している個別具体的な課題の解決に資する実践的な研修が求められていると言える。 また、子どもを主体とした教育の実現にあたっては、学校全体の理解と協働が不可欠であった。特に学校現場においては、盲ろう児の教育経験がない、あるいは経験を有する教員が周囲にいないといった状況が生まれやすく、実践を共有したり相談したりする機会を日常的に持つことが難しい場合が多いことから、担当教員は孤立感を抱きやすい状況にあるといえる。インタビュー調査においては、「盲ろうであることや本児の実態に関する共通理解が乏しかった」「盲ろう児は情報障害によって集団活動に参加できない子が多い一方で、他の先生はその状況(話の内容等が分かっていない)がわからない」といった課題も指摘されていた。他方で、校内で一人ひとりの子どもを受容しようとする姿勢が共有されている場合には、子どもに合わせた創造的な教育実践が展開しやすくなることも明らかとなった。子ども主体の教育活動を創造的に展開していくためには、子ども一人ひとりを大事にしようとする風土を学校の中に醸成することが極めて重要であるといえよう。OJTの充実は、盲ろう教育に対する学校全体の理解と協働体制の構築においても、重要な意味をもつと考えられる。 本研究において収集された様々な取り組みの事例は、それら一つ一つが今後、盲ろう教育を担当する教員にとっての貴重な範例になると考える。そこで、これらの資料を何らかのかたちでデータベース化して広く教育関係者や保護者等に開示していくことを今後検討していきたい。 ---20 第3章 盲ろう者の地域団体などの活動に関する調査 1.目的 令和3年度に実施した「保護者を対象とした研究」では、当事者組織における同年齢の先天性盲ろう者とのつながりが、本人のみならず保護者や兄弟姉妹の精神的安定に寄与していること、また、各地域での当事者活動への参加が卒業後の社会参加につながっていることが指摘された。 それらを踏まえ、本調査では、各地域の盲ろう関連団体における先天性盲ろう者支援の現状、および先天性盲ろう児・者が関わる機関での支援の実態を把握することを目的とする。また、調査結果をもとに、先天性盲ろう者の生活の質を向上させるために必要な支援のあり方を検討し、特に学校との連携や学校教育における指導の方向性を示す資料を提供することを目指す。 2.方法 (1)盲ろう関係団体への郵送調査 (2)先天性盲ろう者が関わっている団体や組織へのインタビュー調査 3.各調査の結果 3-1.盲ろう関係団体への郵送調査 (1)目的 本調査は、先天性盲ろう児・者が各地域の盲ろう関係団体の活動にどのように関わっているかを明らかにし、今後必要となる社会資源や支援策を検討するための基礎資料とすることを目的とした。 なお、本調査では、「先天盲ろう児・者」とは、「生まれつき、または言語獲得以前の乳幼児期(おおむね2歳以前)に視覚と聴覚にあわせて障害を受けた方」をさす。 (2)調査方法及び回答状況 1)調査方法 選択肢及び自由記述から構成されるアンケートによる郵送調査を実施した。 2)調査時期 アンケート送付:2024年9月25日 回答期間:2024年10月25日まで 3)対象 社会福祉法人全国盲ろう者協会が把握している盲ろう関係団体56団体 4)回答状況 送付した56団体のうち20団体から回答を得た(回収率35.7%)。このうち5団体については、回答内容から登録会員の現状把握には不適と判断したため、設問2「登録会員の状況」については15団体からの回答を有効回答とした。この他の設問については20団体からの回答を有効回答とした。 ---21 (3)結果1:登録会員の状況 1)盲ろう児・者数:206名  2)盲ろう児・者のうち、先天性盲ろう児・者数:20名 登録会員の中に先天性盲ろう児・者がいると回答した8団体のうち、7団体は1名のみの登録であり、1団体は10名の登録があった。15団体のうち7団体が0名と回答した。 3)先天性盲ろう児・者の年齢 ア 18歳未満 6名 イ 18歳以上 14名 4)先天性盲ろう児・者の視覚と聴覚の状況 ア 全盲ろう 8名 イ 全盲難聴 3名 ウ 弱視ろう 7名 エ 弱視難聴 2名 5)先天性盲ろう児・者の中で、障害を併せて有する方:16名 20名中16名の先天性盲ろう児・者が、視覚障害と聴覚障害以外にも障害を有していた。 (4)結果2:会が実施している主な事業(複数選択可) (1)イベント・交流会の開催 20件 (2)情報提供(機関誌、会報、WEBサイト等) 19件 (3)相談支援 10件 (4)訓練(歩行訓練 生活訓練 ICTのサポート等) 8件 (5)盲ろう者に対する日中の居場所作り 6件 (6)盲ろう者に対する就労支援 1件 (7)盲ろうに関する理解・啓発を求める活動 15件 (8)盲ろう者向け通訳・介助員の養成 12件 (9)盲ろう者向け通訳・介助員の派遣 8件 (10)盲ろう者向け同行援護従業者の養成 2件 (11)盲ろう者向け同行援護従業者の派遣 7件 (12)盲ろう障害への理解啓発活動や行政への要望活動 17件 (13)先天性盲ろう児者向けの企画 2件 (14)その他 3件 イベント・交流会は、すべての団体で実施していた。通訳・介助員の養成、派遣が多く行われていた。先天性盲ろう児・者向けの企画を実施している団体は2件であった。うち1件は、登録している1名の先天性盲ろう児・者について、他の会員に知ってもらうための企画であった。 ---22 (5)結果3:先天性盲ろう児・者の参加状況及び利用状況 1)過去1年間の参加状況および利用状況(のべ人数) ア イベント・交流会の開催 26名程度 イ 情報提供(機関誌、会報等) 12名程度 ウ 相談支援 5名程度 エ 訓練・リハビリ 3名程度 オ 盲ろう者に対する日中の居場所作り 0名程度 カ 盲ろう者に対する就労支援 0名程度 キ 先天性盲ろう児・者向けの企画 10名程度 ク 盲ろう者向け通訳・介助員の派遣 43名程度 ケ 盲ろう者向け同行援護従業者の派遣 49名程度 少数ではあるものの、通訳・介助員派遣や同行援護従業者の派遣が比較的多かった。登録している先天性盲ろう児・者がいる団体では、頻度は少なくても、先天性盲ろう児・者が何らかの形で事業に参加・利用していた。 2)事業における先天性盲ろう児・者に関する内容の取り入れ状況 (事業 団体数 具体的内容の順) ア 盲ろう者向け通訳・介助員の養成 ・取り入れ時間/全体の講義時間 12/28、2/42、2/45、1/84、12/12、2/42 (a)先天性盲ろう児・者についての講義 4  (b)先天性盲ろう児・者が講師を担当 2 イ 盲ろう者向け同行援護従業者の養成 (a)先天性盲ろう児・者についての講義 0 (b)先天性盲ろう児・者が講師を担当 0 ウ 理解啓発を図る活動 (a)含めている 3 ・盲ろうの状態・程度、コミュニケーション方法等 ・「盲ろうの障害を被った時期」の説明の中に「生まれつき」と明記している程度 (b)含めていない 9 ・養成講座時、盲ろう者のタイプで言及 (c)その他 2 ・通訳・介助員養成講座にてのみ 無回答 5 エ 行政への要望 (a)含めている 2 ・過去に盲ろう児向けのパンフレットを県障害福祉課に手渡しに行った事がある ---23 (b)含めていない 12 ・通訳・介助員養成講座と派遣事業の予算決めの時に、盲ろう者の現状について説明をしている。事業を担っている県聴覚障害者支援センターにお願いしている。 ・含める必要性は感じているが、現況は盲ろう者の掘り起こしが最優先課題である (c)その他 無回答 3   盲ろう者向け通訳・介助員の養成において先天性盲ろう児・者に関する内容を取り入れている団体は4団体であった。そのうち先天性盲ろう児・者が講師を担当するのは2団体であった。 (6)結果4:先天性盲ろう児・者とのかかわり 1)先天性盲ろう児・者の参加に向けての工夫・配慮(自由記述) 4団体から、工夫・配慮について回答があった。先天性盲ろう児・者への対応においては、さまざまな工夫がされていた。例えば、意思疎通の方法が限られている中で、表情や身振りを観察して対応したり、独自のサインや「NGワード」を家族と共有したりする取り組みがなされているほか、情報共有を通じて同行援護従業者との連携が図られていた。 [回答例] ・知的障害もある方なので、コミュニケーション手段(音声、指点字、手話など)がないのだが、様子、表情をよく観察するようにしている。 ・盲ろう者向け同行援護従業者派遣について、ご家族や過去に関わりを持ったことのある従業者との情報を共有し、ご本人様の支援方法を確認しながら対応させていただいている。 ・盲ろう者の日常の生活などを動画で紹介 ・コミュニケーション~サインについての勉強会、(コミュニケーションの)方法を写真にとってもらい配布する。 ・少しでも意思疎通ができるように、家族から日常の様子をお聞きしながら独自性を大切にする。(独自のサインランゲージやNGワード、言い換えのやり方などを教えてもらう) 2)先天性盲ろう児・者の参加や利用で、印象に残ったエピソード(自由記述) 3団体から、印象に残ったエピソードの回答があった。 [回答例] ・友の会が関わる前までは、ずっと健常者が介助していたのだが、ろう者の介助者が関わるようになってから、手話やジェスチャーで話しかけるようになった。手話で話しかけると表情が変わる。 ・盲ろう者向け同行援護をご利用いただいている。ご本人様と手話で会話するが、ご本人様の気持ちすべてを読めてはいない。そんな中でも笑顔が見えたりするとありがたいと思う。 ・ここ数年、ご家族の同行なく本人のみでの友の会行事参加も増えている。意思疎通が上手くいかず戸惑うこともあるが、以前に比べると格段に穏やか楽しそうに過ごされている。 ---24 (7)結果5:先天性盲ろう児・者の参加に関する今後の展望 1)先天性盲ろう児・者の参加や利用についての他団体との連携 ア 図っている 2件 イ 図りたいが、図れていない 10件 ウ 図る必要はない 0件 エ その他 4件 「図りたいが、図れていない」とする団体が、20件中10件と最も多く、先天性盲ろう児・者の支援に関して他団体との連携を模索している状況が浮き彫りになった。先天性盲ろう児・者の会員がいないため、連携をとる以前に掘り起こしができていないことのほうが課題、ととらえる意見が複数あった。個人情報の取り扱いや地域的な情報の不足が障壁となり、盲ろう児の掘り起こしが十分に行われていないという現状が明らかになった。 [具体的内容] 「ア 図っている」 ・県主催の事業に協力。学習会講師を盲ろう者が担当。企業主催の活動に参加。 ・当事者と関わっている他の事業所の方や通所施設の方と話をすることはある。以前、関わってくださる他事業所のヘルパーに通訳・介助員養成講座の受講を案内したが断られた。 ・通所されている事業所と連携 「エ その他」 ・特に社会に出る盲ろう児について、学校や役所と連携を取り社会参加の受け皿となりたいが、個人情報を入手できず、盲ろう児の掘り起こしができない。 ・県内に盲ろう児がいる事を噂で聞いているがご家族からの問い合わせ等が無い ・関わりが一人のみで、盲ろう者の掘り起こしが最優先課題である。 ・先天性盲ろう児・者の会員がいない為、分からない部分が多いが、対象者が入会した時は必要に応じて連携を図って行きたい。 2)支援を行っていくことの必要性 ア 非常に必要と思う 7件 イ 必要と思う 5件 ウ どちらとも言えない 2件 エ あまり必要でない 0件 オ 必要ではない 0件 カ その他 3件 [具体的内容] 「カ その他」 ・利用登録があった場合、非常に必要 ・必要な方がいたら支援していく ・(利用者が)いる場合 ---25 3)支援を充実させるために必要なもの(複数選択可) ア 資金援助 9件 イ 人材育成 12件 ウ 盲ろうに関する専門的な知識・技術の提供 10件 エ 先天性盲ろうに関する専門的な知識・情報 13件 オ 視覚障害・聴覚障害以外の障害に関する知識や情報 11件 カ 学校教育に関する知識や情報 10件 キ 他団体や機関との連携 11件 ク その他 5件 先天性盲ろう児・者の支援が今後さらに充実するためには、資金援助や人材育成、専門的な知識・技術の提供、他団体との連携が必要との意見が多かった。また、学校や医療機関、福祉施設などとの連携がさらに強化されるべきとの意見があった。 [具体的内容] 「オ 視覚障害・聴覚障害以外の障害に関する知識や情報」 ・主に知的障害 「ク その他」 ・すべて必要と考える ・当事者とそのご家族の障害への自覚 ・知的や発達障害などの専門的な知識や人材 ・具体的な回答に至っていない ・コミュニケーション方法の技術の習得 4)先天性盲ろう児・者への支援に関して、意見や提案、要望など(自由記述) 7団体から回答があった。 先天性盲ろう児・者の情報を地域ごとに把握できるように全国的な状況を共有することや、支援機関の周知を強化することが求められていた。また、プライバシー保護の名の下で支援が届かない状況を改善するための方策が必要とされていた。特に、支援が行き届くようにするための情報共有の仕組みが求められていた。 [具体的内容] ・各地域における先天性盲ろう児・者の人数だけでも教えてほしい。 ・盲ろう児は発見時期や支援開始時期によりその後の成長に大きな差が出るのははっきりしている。支援機関があることを親や相談支援場所、学校の職員などに周知して欲しい。小児科、眼科、耳鼻科など最初に訪れる場所で支援機関のことや教育の早期開始の大切さを伝えられると親も何をすべきか、どこに相談しどんな支援を受けるのか、子供にとって良い方法なのかなど、理解できるのではないか。 ・プライバシーの保護の名のもと、情報をもらえず、困っている人に支援が届かないことを何とかできないでしょうか。 ・先天性盲ろう児・者の支援については大変重要なテーマだと考えているが県内のどこに先天性盲ろう児・社者いるのかといった情報がないこと、また専門知識を持った人材がいないため、どのようにかかわっていけばいい ---26 のか分からない状態である。 ・先天性盲ろう児・者とのつながりが無く、全国的な状況が全くわからない。可能であれば情報として全国的にどのような状況であるのか知りたい。 ・実際に支援をおこなった事例をもとにした研修会をおこなって欲しい ・当事者のご家族から:本人の気持ちを分かってあげられない、楽しそうな時も共有できないという苦しさがある。関わってくれる方々には、自分の考えや尺度だけで決めつけず知ろうと観察して欲しい。事務局から:どうしても感覚遊びに頼ってしまう。現在はプールを楽しんでくださっているが、もっと他にも楽しめるものがないか事例を知りたい。(子どもの頃はボールプールが大好きだったとのことだが、学校卒業後はさすがに利用できなくなった。) ・先天性盲ろう児・者の受け皿となるために掘り起こしが必要と考えるが、法律の(個人情報保護の)観点から難しい面がある。そういった面で全国盲ろう者協会の力をお借りできれば大変ありがたい。 (8)まとめ 本アンケートの回収率は35.7%と低い結果となった。これは、盲ろう関係団体であっても、先天性盲ろう児・者への関心が依然として低いことを示唆し、盲ろう以外に他の障害を有する成人盲ろう重複障害者に対する支援の課題と、彼らの成育歴への関心が必ずしも一致しないことを示している。成育歴や教育歴への関心の低さが、先天性盲ろう児の成長や発達、学校教育等への関心の低さにつながっていると言えるだろう。だからこそ、本調査のように「先天性盲ろう児・者」の実態を明らかにする活動を継続的に行うことによって、関係団体への意識化を促すことにも関与する意義があると考える。そして、成人期の盲ろう重複障害者に対する具体的な支援の方法等を構築する契機としたい。 しかしながら、20団体の回答からは個々の盲ろう児・者に寄り添い、関係機関と連携しながら支援を行う状況や、情報不足等の課題を認識している状況が浮き彫りになった。 先天性盲ろう児・者への支援の個別的な対応は重要な課題であり、そのための専門知識の保障や他機関との連携、先天性盲ろう児・者を核とする支援体制の構築が必須となる。その具体的な方策の一つとして、「盲ろう者向け通訳・介助員養成事業・派遣事業」において、先天性盲ろう児・者や成人期の盲ろう重複障害者に対する支援により着目し、カリキュラムの内容の精査が考えられる。そして、養成事業の充実から派遣制度への改正へと進み、通訳・介助員の二人派遣が必須となるケースへの時間数換算の見直しがなされることを望む。 先天性盲ろう児・者への必要性は感じているが、「現在は対象者がいない、利用登録があったら必要になる」等、先天性盲ろう者の「掘り起こし」の不十分さを認識し、改善策を模索している団体もあった。これは、先天性盲ろう児・者のみならず、盲ろう児・者全般に言えることであり、盲ろうという障害の明確な定義化や行政の理解啓発が求められる。特に、学校在籍時からの通訳・介助員派遣制度等の利用が、卒後の生活をより豊かにするつながりを築くのではないか。特別支援教育の自立活動の一環として、援助依頼や通訳・介助員との関わりを「学ぶ」機会を設定することができる。派遣制度の利用によって、在籍校と派遣事務所との連携が卒業後にも継続する礎となるだろう。それに伴い、学齢期の先天性盲ろう児の放課後等デイサービス等の利用実態を把握する必要性も生じてくると考える。 ---27 3-2.先天性盲ろう者が関わっている団体や組織へのインタビュー調査 (1)目的 先天性盲ろう児・者が関わる諸団体や組織機関を対象に、当該機関における先天性盲ろう児・者支援の実態を明らかにする。 (2)方法 団体・施設の概要、在籍する先天盲ろう児者の概要、先天盲ろう児者との係わりの現状と課題、学校や学校教育にのぞむこと、社会ののぞむこと等について、半構造化面接法にて面接調査を行った。 以下にあげる12の団体・組織機関の関係者より調査結果を得ることができた。 (施設の概要 地域の順) A 働く場・居場所 A-1 NPO法人の地域作業所 関東 A-2 社会福祉法人通所施設3か所、グループホーム10か所、放課後等デイサービス2事業所、障害者の就労支援センター、小規模多機能施設等を運営 関東 A-3 公立の生活介護施設 関東 A-4 生活介護事業・就労継続支援B型からなる作業所 関東 A-5 地域活動支援センター 東北 A-6 社会福祉協議会が運営する生活介護事業と就労継続支援B型 東北 A-7 公立の生活介護事業所 関東 B 生活をする場 B-1 社会福祉法人 障害者支援施設、就労支援事業所、共同生活援助事業所、児童発達支援センター、こども支援センター、相談支援センター等 北陸 B-2 社会福祉法人が運営するグループホーム 関東 C 学ぶ場 C-1 財団法人の研究所 関東 D 社会参加を支える場 D-1 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業受託事業所 関東 D-2 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業受託事業所 近畿 A 働く場・居場所 1)各団体・施設の概要と在籍する先天性盲ろう児・者の状況 A-1)NPO法人の地域作業所。主な活動は生活プログラムと作業プログラムから構成されている。生活プログラムは、日常生活の支援として散歩や外出、作業所会議などを行う。例えば、バスを使った外出や、交通機関を使った一日の外出なども行っている。作業プログラムは、使用済み点字用紙や古布をリサイクルした製品の作製をしている。点字用紙を折ってカゴの素材を作ったり、シュレッダーにかけて紙に漉いたり、草履の鼻緒につけるロープを作ったりする作業を行っている。通所者の支援には、主に正規職員と非常勤職員が行い、特定のボランティアが加わることもある。 ---28 Dさん:視覚支援学校卒業後、入所。全盲ろう。光に反応するが視覚の実用性はなく、肢体不自由もあるため、手回しのシュレッダーや編み機を使った作業をしている。 Rさん:視覚支援学校卒業後、入所。全盲ろうに併せて、てんかん発作があり、服薬治療をしている。電動シュレッダーを使った作業や布を裂く仕事をしている。 Tさん:普通幼稚園・聴覚支援学校を経て視覚支援学校に転校、卒業後に入所。弱視ろう。文字カードや絵カードを用いて作業内容を選択し、貼り絵やシール貼り、ビーズ通しなどの作業も行っている。 A-2)社会福祉法人通所施設3か所、グループホーム10か所、放課後等デイサービス2事業所、障害者の就労支援センター、小規模多機能施設などを運営している。職員は常勤約60人、非常勤を含めて130人ほどである。 通所施設を利用している先天性盲ろう児・者は1名。46歳。視神経萎縮、両側の感音性難聴、体幹機能障害を有する全盲ろうであり、車椅子を常用している。コミュニケーション方法はローマ字式指文字だが、最近は指文字の発信・受信が難しくなってきており、将来的には他の代替方法も模索している。室内でのシュレッダー作業や施設内の販売のレジ作業を行っている。 A-3)公立の生活介護施設。利用者は、障害特性に応じて3つの班に分かれて活動している施設を利用している盲ろう者は1名。盲ろう者が属しているグループには、主に知的障害を有し、他者とのコミュニケーションや歩行が一定程度確立している11名の利用者から構成されている。職員は3名から4名が担当をしている。 先天性盲ろう者は視覚支援学校卒業後、入所し、10年を経ている。ローマ字式指文字でコミュニケーションをはかり、グループでは個別の担当制ではなく、職員全員が関わりを深めている。ローマ字式指文字の読み取りには時間を要するが、「はい」「いいえ」のサインや簡単な単語を使って意思を伝えられるようになり、職員との信頼関係が構築されてきている。作業や運動、外出活動などがあり、散歩や地域回収、保育園での牛乳パック収集活動、月1回の買い物外出も行っている。 音声でのやりとりができず、ローマ字式指文字や触覚的なサインといったコミュニケーション方法の特異性が職員の心理的なハードルを高めている現状は否めないが、それをオリジナリティーとし、言葉や気持ちが通じたことの実感を味わえる喜びを職員間で共有している。   A-4)生活介護事業・就労継続支援B型からなる作業所であり、生活介護には30名、就労継続支援B型には10名の利用者が通所しており、それぞれの職員は6名と2名である。生活介護事業を利用している先天性盲ろう者は1名である。視覚支援学校を卒業後(2016年)から作業所を利用している。全盲難聴であり、補聴器を装用している。また、運動機能の制限があり、車椅子を常用している。音声での発信があり、音声かローマ字式指文字を受信している。老舗和菓子店の箱折りの作業を非常に丁寧に行っている。自助具を利用して、10個重ねられたプラスチックの中敷きを取り出す作業にも取り組んでいる。収入への意識が高く、作業を選ぶ際も工賃を意識している。作業には具体的な数量を自ら目標設定し、作業後には自分の成果を確認する姿勢が見られる。 A-5)地域活動支援センターとして、5名の盲ろう者が通所しており、正職員2名とパート1名の職員体制である。利用者のうち1名が先天性の強度の弱視ろうであり、主に触手話を用いてコミュニケーションを図り、ブレイルセンスを活用して情報を得ている。しかし、インターネットの活用により、情報源が多岐にわたることが新たな課題 ---29 ともなっている。下請け作業として、大袋に入った部品を指定された個数に小分けをしている。お互いに考えを言い合い、時にはケンカもできる関係が作れたのがうれしい、と述べる。また、トライアルとして、単発利用をしている先天性盲ろう者が2名いる。 A-6)社会福祉協議会が運営する生活介護事業と就労継続支援B型からなる。生活介護を利用する先天性盲ろう者は1名で、視覚支援学校高等部卒業から10年以上の利用歴がある。施設での日常活動には、紙製ゴミ袋の製作やリサイクル作業、カレンダー作り、運動を兼ねたポストへの配達作業などを行っている。指文字や手話等、触覚を活用したコミュニケーション方法がとられ、職員が軽く肩や手を叩いてから話しかける等の配慮をおこなうことで、情報を受け取りやすいようにしている。また、日常の行動や周囲の様子を意図的に伝えることで、利用者相互のつながりを意識できるように配慮している。 A-7)公立の生活介護事業所として運営され、46名の利用者が登録している。車椅子を常用している先天性盲ろう者が1名在籍しており、視覚支援学校卒業後、9年間通所している。活動内容は、感覚刺激を中心としたプログラムが多く、ウォーターベッドやボールプール、エアトランポリン、ハンモックなど。また、外出活動も活発で、アニマルカフェやイルミネーション見学、コンサート鑑賞、温泉旅行などが行われている。外出先での活動や反応を職員が観察し、次回のプログラムに反映させる工夫がされている。  コミュニケーションには指文字や触覚を活用している。環境や状況に応じた柔軟な対応が重視され、活動中の好まない音への配慮や、利用者に合わせたプログラム調整が行われている。また、学校在籍時に獲得していた「押す」という技術を活用した作業に取り組んでいる。 2)現状の課題 これらの課題に対処するためには、支援体制の強化やボランティアの確保、学校との連携強化、新しい活動の導入など、多方面での改善が求められている。 @支援体制の人的資源の課題 先天盲ろう児者には個別の支援が必要であるため、マンツーマンの支援体制を維持するのが困難。継続的に活動できるボランティアの確保が課題となり、統一した支援が難しい。 A利用者の多様なニーズに対する継続的な支援の難しさ 先天盲ろう児者の特性やニーズに応じた支援方法を見つけるのが難しい。加齢や障害の進行等による運動機能の制限や、コミュニケーションへの意欲の低下に対する対処に苦慮している。 新しい活動や作業を導入する際に、利用者に見通しを持たせる工夫が必要で、その準備と実施に時間と労力がかかり、その適応に時間がかかることがある。 体調や気持ちの変化に応じた柔軟な対応が必要であり、自傷行為や体調不良の原因の把握するために気圧の変化や身体の不調が影響している可能性があるものの、確定的な原因をつかむことは難しい。そのため、支援者は行動観察や家族との連携を通じた状況の把握に尽力し、適切な対応を模索している。 先天性盲ろう者がブレイルセンス等のICT機器を使用して情報へのアクセスが可能になった反面、その情報源が不明確であるため、正確性の確認が難しくなっている。また、情報の多さにより盲ろう者が混乱することがあり、情報の精査に苦心している。 B活動のバリエーションの不足 ---30 活動が単調にならないように、また、運動不足の解消のために、「〇〇へ運ぶ」等の作業内容を意図的に組み入れている。 日々の活動の単調さを防ぎ、先天性盲ろう児・者の興味や関心、モチベーションを喚起させるためにも、定期的な変化や活動のバリエーションを提供が求められているが、その実践が難しい。個々に対して、適度な負荷を考慮しながら活動内容を変更している。一方で、同一活動の継続によって先天性盲ろう児・者の変化を見守るという考えも取り入れられている。 C余暇活動の充実 先天盲ろう児者の余暇活動を充実させるための資源やアイディア等が不足していることがある。自由時間の過ごし方に関して、特定の行動(常同行動)に偏りがちで、その改善が課題となっている。 D学校との連携の不足 卒業後のフォローアップには制限があり、継続的な連携が難しい。学校での学びや経験を活かせるような情報共有が不十分な場合がある。 3)学校在学中の学習活動等への要望 学校教育が単に知識やスキルを教えるだけでなく、先天性盲ろう児・者が豊かな人生を送るための基盤を築く重要な役割を果たすべきであることを述べている。 @基礎的なコミュニケーション能力の重要性 学校教育でまず重要なのは、人とのコミュニケーションを安心して行える環境を整えること。先天性盲ろう児が自分の意思を伝え、相手の意思を受け入れる能力を育てることが基盤となる。それは、手話や点字といった手段の獲得だけではなく、「他者への意識」を持つことから始まる。さらに、点字や指文字、サイン等のコミュニケーション手段の獲得は、まさに学習の成果である。実際にどのような学習経緯によって成し得たのかを知りたい。それを知ることによって、さらなる拡大へとつなげていく可能性が広がる。 A自立した日常生活能力の育成 学校での日常生活でのADLの自立度を高め、自立的な行動の量と質を高めることが卒後の生活や仕事の支援に継続される。生活上で必要な基本的なルールや社会的なスキルの獲得が重要である。食事、清潔、更衣の可否、集団生活で他者とのかかわり方、相手を傷つけないための方法なども含まれる。 また、例えば、「袋から物を出し入れすること」「袋の中が空になると、おわりになる」の理解は学校での学習成果である。このような一見すると小さなことの理解が十分になされることによって、作業や活動の幅を広げることができる。 B新しい経験の積み重ね、余暇の楽しみ方の習得 学校教育で培った余暇活動や自由な時間の楽しみ方が、生涯の生活の質を大きく左右する。多様な体験を通じて、人生の喜びや楽しみを感じられる(その後の余暇や趣味、特技となるような)機会を意図的に提供することが大切である。 学校時代に様々な経験の蓄積は柔軟な適応力を養うことになり、宿泊体験や外泊の経験がレスパイトケアやショートステイの活用へと結びついていく。 C個々の興味・関心を尊重した個別の対応 学校教育においては先天性盲ろう児一人一人の特性や状態に合わせた教育が必要であり、画一的な指導ではなく、個別の支援が重要である。個々の興味や関心を大切にすることによって、自らの好きなことや楽しめる ---31 ことを見出す意図的な支援が必要。豊かな経験の蓄積が、作業所等の新たな環境での活動への対応可能性を広げる。 D包括的な支援の連携 学校との連携を強化し、卒業後も個々の特性やニーズを把握した支援が継続されることが望ましい。卒業後、学校との継続的な情報共有がないため、先天盲ろう児・者の過去の状況や獲得したスキルに関する情報を得る機会が少なくなっている。スタッフは、学校での経験が次の生活ステージで活かされるよう、より密な連携が必要だと考えている。 幼少期から関わりのある専門家や在籍校教員、職員、福祉関係者等が参加する会議を定期的(年2回)に開催し、関係者間で情報の共有を行うことで、学校時代の経験を踏まえた具体的な支援方法の提案が行われているというケースもある。 E柔軟で安心できる環境の提供 先天性盲ろう児・者にとって安心・安定した環境が重要であり、その基盤を学校教育の中で築くことが求められる。安心感を持てる場所や人がいることで、外の世界に出ていく力を育むことができる。また、人間関係の構築が、卒後の生活にも大きな影響を与える。学校では、安心・安定した環境の中で、信頼関係のある「核」となる教員を媒介としながら、様々な人と関わる機会を意図的に作り、人との交流を楽しめるようにすることが大切である。 F基礎学力の充実 基礎的な学力、数の理解が重要であると述べる。数の概念が活動や作業の中でも生かされる場が多く、現在の滞りを解決するためにも、基礎学力の定着と具体的な指導方法を知りたいという意見が出された。 4)今後への要望 @社会の多様性の理解と受け入れ 学校教育等を通じて、障害を持つ人々が社会で生きていくための技術だけを強調するのではなく、社会全体が多様性を受け入れ、理解することが重要。障害を持つ方々の特性を理解し、彼らが社会でうまく生活できるように支援する態度を学校教育の中で育てていってほしい。「違い」にのみ着目するのではなく、「共に」という考えや態度を自然に身に付けていってほしい。 例えば、施設近くのコンビニで買い物をした際、店員が積極的に先天性盲ろう者のサポートしようとする姿勢に感動したという。このような例が増えることで、盲ろう者が社会の中で自然に生活し、楽しむことができる環境が広がると期待している。 A社会の支援 連絡帳を通して、家族の苦労を実感している。本人はもちろんのこと、家族支援にも目を向けてほしい。先天性盲ろう児の卒後の未来に不安を抱えている家族の想いを払拭できるような支援体制の構築を望む。 Bインターネットを活用した情報共有 盲ろうの方に関しての相談をしようと思うと、その先天性盲ろう者が関わってきた機関に限定されてしまう。しかし、そこから有益な情報や助言が得られない時もある。SNS等を活用して、障害者とのかかわり方に関する情報は得られるが、盲ろうに特化したような内容が見当たらない。かかわりの成功エピソード等を検索すると見ることができるような発信元がほしい。 ---32 B 生活をする場 1)各団体・施設の概要と在籍する先天性盲ろう児・者の状況 B-1)社会福祉法人 障害者支援施設、就労支援事業所、共同生活援助事業所、児童発達支援センター、こども支援センター相談支援センター等、多岐に渡る運営をしている。その中でも、55名定員の施設にはで、盲ろう者支援に特化したユニットがあり、約30名の盲ろう者が生活をしている。60人の利用者に対し、職員は約40人だが、実際には28人(14人が盲ろう者、14人が知的障害者を担当)の職員で支援にあたっている。夜勤も含めて運営している。週末には職員が少なく、60人の利用者を8人の職員が支援しているという過密な状況でもある。食事支援や排泄支援が重要な日常的な支援項目であり、これには十分なスタッフが必要。高齢化が進んでおり、転倒防止のためのセンサーや見守り体制の強化が図られている。ターミナルケアや医療面での支援への配慮が求められている。 B-2)社会福祉法人が運営をしているグループホームでは、7名の入居者が生活しており、男女混合の施設である。夜勤には男性と女性の職員が1名ずつ配置されている。1名の先天性盲ろう者が利用しており、特に夜勤専従の非常勤職員が中心にサポートをしている。外出の際には、盲ろう者向け通訳・介助員派遣制度とヘルパー派遣制度を活用し、コミュニケーションを支援している。しかし、通所施設での定常的な通訳派遣は現在の制度では難しく、行政からのさらなる支援が求められている。 2)支援と課題 コミュニケーション能力が高い盲ろう者が他の盲ろう者達のつなぎ役となる事例もある。例えば、職員がニュース等の点訳版を当該盲ろう者に渡すと、他の盲ろう者に相手に応じた方法でその内容を伝えたり、ラジオを視聴する入所者から得た情報を他の盲ろう者に伝えることもあった。職員が他の盲ろう者とのコミュニケーションに難渋している時には、当該盲ろう者がその盲ろう者と触手話で話をし、その内容を指文字や手書き文字で職員に伝え、また職員が伝えたい内容を手書き文字やローマ字式指文字で当該盲ろう者に伝えると、それを触手話で他の盲ろう者に伝えるというように、職員と他の盲ろう者とのコミュニケーションの仲介役をも担っていた。作業面や生活面では、職員と作業のしやすさを検討しながら治具を作成したり、様々な工夫を施していたという。複数の盲ろう者が共に生活をすることによって、盲ろう障害に関する理解(個別性や共通性など)が盲ろう当事者からの発信や行動によって、より啓発されていったといえよう。その発信や行動を職員が受け止め、丁寧なフィードバックによってより質の高い支援へとつながっていく。 生活支援において、高齢化のために転倒防止や安全対策が強化され、センサーマットや見守り体制も導入されている。また、周囲の状況が把握できないことによる不安感から入浴を拒否した盲ろう者の存在から、大浴場だけではなく、個別の小さな浴室が準備されるなどの配慮をしてきた。また、ターミナルケア(終末期のケア)についても避けられず、実際に盲ろう者に対して病気の進行や死に対する準備をどう行うかが重要な課題となっている。日常的な課題として、盲ろう者が入院する際にも、事前に医療機関との連携により、何が行われるかの事前説明が必要である。盲ろう者が治療中に何をされているかが分からないという現実を理解し、理解を求めることが医療機関との連携で必要。 3)学校にのぞむこと 自分の趣味を持ち、自分の意思表示をきちんとできるようにしてほしい。嫌なものは嫌、こうしてほしい、と言 ---33 えるようにしてほしいと述べるある職員の言葉である。 「楽しい時は一緒にいるけれど、なんか今いらいらしてるとか、そういう時はちょっとそっとしておこうじゃなくて、どうしたの?って、何か力になれることはある?とか。楽しい時、うれしい時だけじゃなくて、どうしようもなく苦しい時とか、怒りたいときとかに、もうちょっと一緒にいさせて、って。多分(施設の)利用者も求めていると思いますし、みんな人間そうだと思うんですけど。それを求めたいな。はじめの一歩は「楽しい」でいいんです。ゆくゆくは私たちが本当に求めてる時は、怒ってる時、泣いてる時、どうしようもない時なんです、ということがわかってほしいなと思います。怒っていると(周囲の人は)離れていってしまう。だから、上手にもっと(人とかかわりが)できるような、わかってもらえる、本当にわかってもらえるような言い方、説明の仕方が、たぶん先生たちには(盲ろう児に教えることが)できるんじゃないかな。それが先生の仕事かもしれない。」 4)社会に望むこと 盲ろうに関する情報を得たい時、相談をしたい時、そのような希望がかなえられる機関をしっかりと設置してほしい。具体的な解決策、対応策をえることができるシステムが必要。 C 学ぶ場 1)各団体・施設の概要と在籍する先天性盲ろう児・者の状況 C-1)1975年に設立された財団法人の研究所では、重複障害児者の実践的な研究を行っている。現在は22名が月に1回通所しており、うち7名は先天性盲ろう児・者である。学校教員や退職教員、大学関係者が研究所に通所をしている先天性盲ろう児者との継続的な学びの機会を保障している。 教育は一人一人の個別のニーズに応じて、柔軟かつ個別的に行うべきであり、特に先天性盲ろう児は、視覚や聴覚に大きな制限があるため、従来の教育方法では十分な学びを支えることができない。そのため、一人一人に合わせた学びの方法が必要であり、研究所では個々に最適な手法を探し、実践していることが強調されています。 学習は、単に知識を詰め込むのではなく、「自分で発見する学び」を重要視している。個々が自らのペースで理解し、成長していく学習過程が大切であり、そのためには指導者の関わりが非常に大事だという。 盲ろうは決して「障害」ではなく、「特殊な状況」として捉えるべきだと考えている。視覚と聴覚の両方に制限がある状態でも、子どもたちは多様な手段で世界と繋がることができ、先天性盲ろう児は、視聴覚以外の感覚を使って学び、コミュニケーションを取ることができるため、その可能性を広げる教育が求められる。特に、触覚や嗅覚を駆使した学びが重要視されており、これらの感覚を最大限に活かすことが先天性盲ろう児の成長につながる。また、先天性盲ろう児は、社会との繋がりや自己表現に困難を感じることが多いため、彼らが社会に参加するためには、個別の支援と教育が欠かせない。「ただ教育を受けること」だけではなく、社会との接点を持つこと、自己表現をできるようになることが教育の重要な目的だと強調している。 D 社会参加を支える場 1)各団体・施設の概要と在籍する先天性盲ろう児・者の状況 D-1)盲ろう者向け通訳・介助者派遣事業は受託事業。現在、約150名の盲ろう者が登録しているが、その中で先天性盲ろう児・者は10名程度。 派遣は、多くの場合、家族からの依頼を受けてセンターがコーディネートしている。派遣条件は、視覚と聴覚そ ---34 れぞれに障害者手帳を有し、住民票があることのみ。通訳・介助者は所定の養成講習会修了後に登録されるが、盲ろう者自身が支援者を推薦する制度もある。派遣内容は、日常的なニーズに応じて行われ、通学や余暇活動にも対応している。通学には年間利用時間の制限があるが、月に80時間程度利用可能となる。学校との連携には、保護者の介入が必要となり、学校側と直接的なやりとりは少ない。 D-2)1996年に設立され、1999年から盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業を開始している。その後、県の聴覚障害者情報センターに事業が移管されたが、実質的には事業を継続している。県との連携を深め、2010年から3年間にわたる実態調査を行い、2011年にはNPO法人化を果たした。盲ろう者の増加に対応するため、2013年には同行援護事業を開始、2016年に支援センターが設立された。2024年からは障害者手帳の要件が撤廃され、手帳がなくても支援を受けられるようになった。現在、92名の盲ろう者が登録され、実態調査を通じて新たに17名が追加登録された。しかし、各市町の窓口の理解不足や盲ろう者に対する認識の欠如が問題となっている。 先天性盲ろう児・者に対しては、早期介入プログラムを提供している。これには、家族同士の交流や支援グループの運営といった家族支援も含まれる。また、先天性盲ろう児者が社会参加や自己実現を図るために、スポーツや音楽、製作活動など多様な余暇活動の機会を提供している。 2)課題 @支援に関する認知度 盲ろう者支援に関する認知度が社会や行政機関において、広く理解されていない可能性がある。このため、支援活動の周知と認知度向上が重要な課題と言える。盲ろう者支援には多くの資金が必要であり、特に、支援センターの運営費用やスタッフの養成、各種プログラムの実施には十分な予算が必須であり、財政的な安定性を確保するための方策が必要である。都市部と地方部では物理的なアクセスやサービスに格差が生じている現状を鑑み、地域格差を是正し、均等な支援を提供するための取り組みが求められる。 A人的資源の不足 盲ろう者に対する支援には高度な専門知識と技能が求められるため、通訳・介助員やスタッフの養成と確保が課題になるが、そのリソースが限られている。特に、質の高い支援を提供するためには、指文字や指点字など希少なコミュニケーションや明確なコミュニケーション手段を有さない先天性盲ろう児との係わりに対応できる通訳・介助員が不足しており、養成講習会の充実や継続的な支援者の育成が必要である。 通訳・介助員の中には、先天性盲ろう児・者が、他の障害を併せ有する場合に、一般の通訳業務のほかに食事や排泄等の介助を求められることに負担を感じることがある。そのような負担や負担感の軽減できるサポートが求められる。 B法制度の整備 盲ろう者支援に関する法的な枠組みや制度が十分に整っていないため、支援が一貫して提供されないことがある。市町村の福祉窓口における盲ろう者支援に関する理解が不十分であることによって、盲ろう者やその家族が適切な支援を受けられないことが課題となっている。市町村窓口のスタッフに対する研修や教育の充実と、それを支える法制度の整備とそれに基づく支援体制の強化が必要である。 また、先天性盲ろう児・者の中には、二人体制での派遣が必要であるが、現行の制度では一時間あたりのチケットが倍増し、利用時間が圧迫されることとなる。このため、二重負担を軽減するための制度改正や柔軟な派遣時間の配分が求められる。 ---36 C継続的な実態調査の必要性と変化に応じた支援 盲ろう者のニーズは個別性が高く、固定化していないので、継続的な実態調査によって明らかにすべきだが、そのためには、継続的なデータ収集と分析を行うための仕組みが必要である。特に、盲ろう者は社会的に孤立しやすいため、コミュニティとのつながりを維持・強化し、孤立を防ぐためのプログラムや交流の場の提供などの支援が課題となっている。 盲ろう児・者には個々に異なるコミュニケーション方法が必要とされるため、その一貫性を保つことが課題である。学校や家庭でのコミュニケーション方法が変わることがあり、通訳・介助員がその変化に適応するための情報共有が必須となる。また、先天性盲ろう児・者の成長に応じた適切な支援を提供するために、通訳・介助員や支援者がそれらの変化に対応できる柔軟な支援体制の構築が必要である。 3)学校や学校教育への要望 @教育環境の整備 盲ろう者に特化した教育施設やカリキュラムが不足している。適切なコミュニケーション手段を確立し、教育現場での一貫した支援を提供するために、専門の教育機関やプログラムの整備が必要である。 学校との直接的な連携が少なく、学校での出来事が支援者に伝わらないことがある。学校と支援者の間での情報共有や連携を強化することで、利用者の一貫した支援が可能となる環境を整える必要がある。 (4)まとめ 1)「現在」から振り返り、学校教育への要望 ・基礎的な学習の積み重ね(数の概念) ・生活体験の積み重ね(例:袋は「何かを入れるもの」であるという理解) ・量的にも、質的にも自立したADLの確立。 ・他者とのコミュニケーションを安心して行うことができる土台作り。 ・コミュニケーションについては、手段や語彙の多さを求めるよりも、「YES、NO」または「明確なNO」を限定されない受信者に対して適切に伝える方法の確立。 ・余暇を楽しむことができるように、「楽しみ」の選択肢の確保。 ・学校からの引継ぎ書には、「できた・できない」の観点で書かれているが、「何が」できるかだけではなく、「どのような状況(環境)で、どのような支援を得て達成したのかという具体的な内容が知りたい。また、「どのような支援」をしても“できなかった”のかがわかれば、異なるアプローチを試みることもできる。 ・盲ろう児を担当する教員には、当該児童生徒だけではなく、他の盲ろう児とも接する機会を意識的に作ってほしい。 ・当事者からの発信が少ないため、行動の意味がつかめないことが多々ある。継続的な連携が必要。 ・点字や指文字、サイン等のコミュニケーション方法の獲得は、学習の成果。実際にどのような学習によって獲得してきたのかを知りたい。それを知ることによって、さらなる拡大へとつなげていく可能性が広がる。 ・盲ろう者の生涯学習につながるきっかけ作りをしてほしい。 2)生涯学習の保障 外界からの情報を得ることに課題と制限を有する先天性盲ろう児・者にとって、生活空間を理解するためには ---36 意図的な関わりと、多くの時間を要する。先天性盲ろう児の概念形成や空間把握の学習、他者への意識の喚起からのコミュニケーションの萌芽、個別的なコミュニケーション方法の獲得、そして基礎学力の定着など、学校教育に課せられた課題は多岐に渡る。学びは生活の中にある。学習によって得られた知識や技術は日常生活の中で生かされ、生活を豊かにしていく。生活の充実がさらなる学習の必要性へと繋がっていく。 そして、学習は学齢期に「学校のみ」で行われるものではない。学齢期にある先天性盲ろう児が学校外で多くの他者と出会い、活動に参加をすることも「学習」である。労働も「学習」である。労働の対価である賃金を意識しながら働くこと、働くことそのことに楽しみや意義を見出すこと、誰かと共に働く場所に精神的な安定を感じること、そこに自らの居場所を見出すこと等も、先天性盲ろう者にとっては、意図的なかかわりに立脚して成し得る学習と言える。社会学習のように学習の場は数多くあるが、先天性盲ろう児・者がその活動に参加をするためにはまだまだ多くのハードルが存在している。 先天性盲ろう児・者が生涯にわたって学ぶという活動への参加の機会が保障されることを望む。 3)専門性の確保 先天性盲ろう児・者が関わろうとする(利用することができる)団体や組織は限定されてしまう現状にある。その障壁は、盲ろう障害への無知から生じていると言える。先天性盲ろう児・者が示す行動の違いが強調され、関係者はそれらを「盲ろうだから」と解釈(納得)しようとする。インタビュイーの多くも当初はその戸惑いを感じながら、目の前にいる先天性盲ろう児・者との直接的な関わりを重ねることで、盲ろうという状況だけに視点を当てるのではなく、「(盲ろうの)〇〇さん」をより知りたい、より分かり合いたいという思いへと変容していく。このような「○○さん」というパーソナリティに視点を当てて接する姿勢が大切なのではないか。 そこにも、やはり、多くの時間を要する。先天性盲ろう児・者の成長過程において「盲ろうである」ことがどのように影響を及ぼして現在に至っていのるか、ということに対して思いを巡らすことができないままに現状のみから対応をしてはいないだろうか。現在の時間軸の中だけで捉えるのではなく、過去も含めた縦の時間軸全体で捉えることが大切なのではないだろうか。 その時間をより短縮するためにも、相談・助言ができる専門機関の明確な設置と専門家の育成が求められる。盲ろう障害に対する教育的・福祉的な知識、実践的な指導方法や実践的な支援方法を支える理論、実践的なコミュニケーションスキル等、盲ろうに関する専門性は多様である。これらの専門性を有する人材の育成には、いくつもの機関の関連が求められ、国レベルでの保障が必須であると考える。 ---37 第4章 文献調査 1.概要(調査の経緯と目的) 文部科学省委託「令和3年度特別支援教育に関する実践研究充実事業(その他政策上の課題のための調査研究)」成果報告書「学齢期盲ろう児の学習と教育の内容と方法が卒後の盲ろう児の生活に与える影響に関する研究」(令和4年3月発行、特定非営利活動法人 全国盲ろう児教育・支援協会)で提言された今後の盲ろう児・者教育に求められる政策的課題の1つに、「盲ろう児・者の教育内容、学習方法、教材作りなど、実践的で具体的なノウハウの蓄積と普及、さらなる進化を目指す。」(p.64)がある。本研究では、上記の研究成果の1つとして報告された文献調査結果(p.51〜62)を引き継ぐとともに、この提言を具現化する足がかりとして、様々な事情で散在する盲ろう児・者教育に関する情報へアクセスするための仕組みを将来的に構築する必要があると考えた。そのために、まずは上記の成果報告書で一覧にして提示された盲ろう教育・福祉に関する400編以上の文献(国内で刊行・発行された研究論文、実践報告書、図書等)を内容や目的に応じて分類・整理した。さらに分類・整理したこれらの文献を学校教育現場で盲ろう児を初めて担当する教師、または盲ろう教育の初学者にとって有益な(実際の指導・支援に役立ったり盲ろう教育の基本的な事項を学べたりする)情報といった観点で精選し、講読推薦文献の一覧を作成した。 その際、ここで分類・整理および精選した文献は性質の異なる2種類の文献である。すなわち、1)盲ろう児・者に対する教育や実践に関する文献で、研究論文や科学研究費補助金研究成果報告書、学校・施設等で発行された報告書、学会や研究会等で発行された発表資料、市販の図書、インターネット(『CiNii』などの学術情報データベースサービス)を通じてその存在が知られているもの(約220編)、2)公益財団法人重複障害教育研究所の発行物に掲載された盲ろう児・者を対象とした実践報告および関連資料(約180編)である。 なお、公益財団法人重複障害教育研究所の発行物(研究紀要や大会発表論文集)には盲ろう児・者を対象とした貴重な教育実践の経過や成果が多数掲載されているが、それらの成果を記した発行物は、一部、当該研究所から直接購入することが可能であるものの、その大半は現時点で入手困難なものが多い。また、これらの文献はインターネットで公開されている「CiNii」等の学術情報データベースサービスにも掲載されていないので、これらを分類・整理した結果の報告(公表)については今後の課題とする。 したがって以下には、現在において入手可能な状態として確認されている上記1)に関する調査結果について報告する(以下、『A文献(220)』と記す)。 2.方法と結果 まず、A文献(220)の分類を文献調査ワーキンググループメンバー3名(中村、柴田、出水、以下『文献調査WG』と記す)が独立して行った。すなわち、1)A文献(220)をすべて講読する、2)講読したこれらの文献について、研究または実践の目的や性質に着目して分類する、3)分類したグループ各々にカテゴリー名を付していく。 上記の作業結果を文献調査WGがつき合わせ、文献の分類の不一致がみられたものについては協議のもとに確認し合い、分類を確定した。文献の分類グループに付したカテゴリー名についても文献調査WG各々が付したものを突き合わせて協議のうえで決定していった。 その結果、A文献(220)は以下の11グループ(@〜J)に分けることができた。 ---38 @ 盲ろう教育における理論的検討および構築に関する論文(論考も含む) A 盲ろう教育の研究動向を記した論文(レビュー論文) B 盲ろう児の実態に関する調査研究論文または調査報告書 C 海外の盲ろう教育(または盲ろう福祉)の実態や研究動向に関する論文または報告書 D 実践事例報告書(実践研究論文も含む) E 盲ろう児・者の手記、盲ろう児・者本人へのインタビュー記録、保護者の手記、保護者へのインタビュー記録 F 盲ろう教育に関する研修やコンサルテーションに関する論文または報告書 G 日本の盲ろう教育の歴史に関する論文 H 文部科学省(または文部省)による盲ろう教育に関する報告書・刊行物 I 余暇に関する論文または報告書 J その他 さらに、カテゴリー「D 実践事例報告書(実践研究論文も含む)」については、実践の目的や内容に応じて分類した結果、以下の7グループ(ア〜キ)に分けることができた。 ア. コミュニケーションにかかわる実践 イ. 学習にかかわる実践 ウ. 探索にかかわる実践 エ. 行動の理解と対応にかかわる実践 オ. 生活支援(移動、食事、社会生活等)にかかわる実践 カ. 感覚支援(視覚や聴覚補償および活用に関する支援、情報保障)にかかわる実践 キ. 学校生活全般にかかわる実践 以上の分類結果をTable 1とTable 2に記した。その際、Table 2に記した7つのカテゴリーのうちの「ア. コミュニケーションにかかわる実践」においては、サブカテゴリーとして「a. 初期コミュニケーション」、「b.サイン(オブジェクト・キューやタッチ・キュー)によるコミュニケーション」、「c.指文字や手話(触手話も含む)によるコミュニケーション」、「d.手紙(電子メールなど)によるコミュニケーション」、「e.上記a〜dに関する移行」を作成して分類した。また、「イ. 学習にかかわる実践」においては、サブカテゴリーとして「a.玉入れや棒さし、はめ板などの初期的な学習」、「b.文字(墨字)・点字・数の学習」、「c.教科の学習」、「d.上記a〜cに関する移行」を作成して分類した。 なお、Table 1およびTable 2に記した文献番号は前出の成果報告書「学齢期盲ろう児の学習と教育の内容と方法が卒後の盲ろう児の生活に与える影響に関する研究」の53頁から59頁に掲載された文献リストの「文献番号(No.1〜No.246)」に対応している(この文献リストについては、『第7章 資料編 4.文献リスト』に再掲した)。 ---39 Table 1 A文献(220)の分類結果 (【カテゴリー名】【文献番号】の順) @盲ろう教育における理論的検討および構築に関する論文(論考も含む) (全16編)A3,A4,A5,A8,A10,A11,A69,A72,A78,A80,A97,A115,A125,A126,A143,A144 A盲ろう教育の研究動向を記した論文(レビュー論文) (全2編)A88,A127 B盲ろう児の実態に関する調査研究論文または調査報告書 (全16編)A1,A19,A24,A25,A36,A47,A61,A65,A67,A68,A81,A100,A132,A161,A172,A205 C海外の盲ろう教育(または盲ろう福祉)の実態や研究動向に関する論文または報告書 (全5編)A73,A74,A149,A156,A200 D実践事例報告書(実践研究論文も含む) ※ここに分類された84編はTable2でさらに分類した。 (全84編)A9,A12,A13,A14,A15,A16,A17,A23,A26,A28,A29,A30,A31,A32,A34,A39,A40,A41,A42,A44,A45,A46,A49,A51,A52,A57,A58,A59,A60,A62,A63,A64,A66,A71,A75,A76,A79,A84,A93,A94,A95,A98,A99,A101,A104,A105,A110,A111,A112,A114,A118,A136,A139,A162,A166,A167,A168,A173,A174,A191,A194,A195,A196,A197,A199,A208,A213,A221,A222,A224,A225,A226,A227,A230,A231,A232,A233,A234,A237,A242,A243,A244,A245,A246 E盲ろう児・者の手記、盲ろう児・者本人へのインタビュー記録、保護者の手記、保護者へのインタビュー記録 (全11編)A116,A155,A164,A169,A206,A212,A214,A215,A216,A217,A240 F盲ろう教育に関する研修やコンサルテーションに関する論文または報告書 (全9編)A87,A89,A96,A102,A103,A107,A138,A154,A201 G盲ろう教育の歴史に関する論文  (全6編)A1,A117,A122,A123,A124,A130 H文部省(または文部科学省)による盲ろう教育に関する報告書・刊行物 (全3編)A2,A6,A7 I 余暇 J その他 (全 67編)A18,A20,A48,A53,A70,A77,A86,A90,A92,A119,A120,A121,A127,A129,A134,A145,A146,A147,A148,A150,A151,A152,A153,A157,A158,A159,A160,A163,A165,A170,A175,A176,A177,A178,A179,A180,A181,A182,A183,A184,A185,A186,A187,A188,A189,A190,A192,A193,A198,A202,A203,A204,A207,A209,A210,A211,A218,A219,A220,A223,A228,A229,A235,A236,A238,A239,A241 ---40 Table 2 「 5)実践事例報告(実践研究論文を含む)」の分類結果 (【カテゴリーおよびサブカテゴリー名】【文献番号】の順) ア. コミュニケーションにかかわる実践 a.初期コミュニケーション A46,A49,A58,A60,A75,A84,A93,A94,A99,A104,A105,A112,A139 b.サイン(オブジェクト・キューやタッチ・キュー)によるコミュニケーション A59,A118,A225 c.指文字や手話(触手話も含む)によるコミュニケーション A42,A95,A98,A101,A111 d.手紙(電子メールなど)によるコミュニケーション A213 e.上記a〜dに関する移行 A9,A12,A136 イ. 学習にかかわる実践 a.玉入れや棒さし、はめ板などの初期的な学習 A14,A15 b.文字(墨字)・点字・数の学習 A39,A62,A63 c.教科の学習 A13,A34,A191,A195,A196,A197,A231 d.上記a〜cに関する移行 A108,A109 ウ. 探索にかかわる実践 A31,A41,A52 エ. 行動の理解と対応にかかわる実践 A16,A30,A32,A44,A79 オ. 生活支援(移動、食事、社会生活など)にかかわる実践 A29,A76,A114,A194,A208 カ. 感覚支援(視覚や聴覚の補償および活用に関する支援、情報保障)にかかわる実践 A51,A64,A71,A162,A199 キ. 学校生活・施設生活全般にかかわる実践 A17,A23,A26,A28,A40,A45,A57,A66,A166,A167,A168,A173,A174,A221,A222,A224,A226,A227,A230,A232,A233,A234,A237,A242,A243,A244,A245,A246 上記の分類をもとに、@〜Jのカテゴリーに分類された文献のなかから各5〜10編の推薦文献を選出した。推薦文献の選出にあたっては、文献調査WGが独立して文献を選出し、その結果をつき合わせた。選出した文献の不一致がみられたものについては協議のもとで確認し合い、推薦文献を確定した。確定した結果をTable 3とTable 4に記す。 ---41 Table 3 推薦文献 (カテゴリー名 文献の題目 著者 発行年 雑誌名および出版社 巻号 頁の順) @ 盲ろう教育における理論的検討および構築に関する論文(論考も含む) 言語行動の系譜 梅津八三 1967 言語(東京大学公開講座9)、東京大学出版会 49-82 盲ろう児の言語行動の形成 梅津八三 1970 言語の科学、東京言語研究所 2 90-123 心理学的行動図 梅津八三 1976 重複障害教育研究所研究紀要 創刊号 1-44 人間行動の成り立ち 中島昭美 1977 重複障害教育研究所研究紀要 第1巻2号 重症心身障害児・者とのコミュニケーション 土谷良巳 2006 発達障害研究 28 238-247 欧州における先天性盲ろうの子どもとの共創コミュニケーションアプローチ 土谷良巳 2011 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要 17 1-11 先天盲ろう児のコミュニケーション発達 菅井裕行 2016 手話学研究 25 17-29 中島昭美著作集第1集 中島昭美 2021 公益財団法人重複障害教育研究所 中島昭美著作集第2集 中島昭美 2022 公益財団法人重複障害教育研究所 A 盲ろう教育の研究動向を記した論文(レビュー論文) 感覚障害を伴う重複障害児教育をめぐる研究動向 : 視覚聴覚二重障害を中心に 菅井裕行 2004 特殊教育学研究 41(5) 521-526 先天盲ろうの子どもとかかわり手とのコミュニケーションに関する研究動向 中村保和 2017 特殊教育学研究 55(3) 171-181 Action Research on Education for Children with Deafblindness Yasukazu Nakamura 2023 Journal of Special Education Research 12(1) 1-7 Action Research on Education for Children Who Are Sensory-Impaired with Disabilities Hiroyuki Sugai 2023 Journal of Special Education Research 12(1) 13-17 ---42 B 盲ろう児の実態に関する調査論文または調査報告書 視覚障害と聴覚障害を併せもつ児童・生徒の実態調査 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部 1994 国立特殊教育総合研究所 視覚聴覚二重障害を有する児童・生徒の実態調査報告書 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部 2000 国立特殊教育総合研究所 盲ろう児の余暇の過ごし方―保護者に対する質問紙調査を通して― 中村保和 2007 特殊教育学研究 44(5) 301-313 特別支援学校における盲ろう幼児児童生徒の教育に関する実態調査 国立特別支援教育総合研究所 2018 国立特別支援教育総合研究所 C 海外の盲ろう教育(または福祉等)の実態や研究動向に関する報告書 先天盲ろうの子どもとの共創コミュニケーション―理論と実際― 土谷良巳・菅井裕行・中村保和・岡澤慎一・笹原未来 2016 盲ろう教育ネットワーク21 D 実践事例報告書(実践研究論文も含む) Table 4 を参照 E 盲ろう児・者の手記、盲ろう児・者本人へのインタビュー記録、保護者の手記、保護者へのインタビュー記録 盲ろう者として生きて 指点字によるコミュニケーションの復活と再生 福島智 2011 明石書店 成人盲ろう者の立場から―学校生活を振り返って思うこと― 柴崎美穂・田幸勇二 2005 盲ろう教育研究紀要 7 40-41 一人旅体験記 森敦史 2015 盲ろう教育研究紀要 11 F 盲ろう教育に関する研修やコンサルテーションに関する論文または報告書 学校コンサルテーションによる重複障害教育担当教員の専門研修支援に関する研究 菅井裕行 2004 平成13-15年度科学研究費補助金(基盤研究 C2)研究成果報告書 研究代表者:菅井裕行 ---43 学校コンサルテーションによる特殊教育教師の専門性支援―視覚聴覚二重障害教育を担当する教師を支援した事例― 菅井裕行 2006 コミュニティ心理学研究 9(2) 134-148 学校コンサルテーションによる盲ろう児担当教員支援の試み 菅井裕行 2007 宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要 2 1-14 盲ろう教育における教員の専門性向上のための研究 国立特別支援教育総合研究所 2009 国立特別支援教育総合研究所 G 日本の盲ろう教育の歴史に関する論文 ろう盲(二重障害)児 堀江貞尚 1953 東北大学教育学部研究年報 41 73-81 最初の重複障害教育としての山梨盲学校での盲ろう児指導 : 映画『盲ろう児 : その教育』をより深く理解するために 清水貞夫、他 2017 奈良教育大学紀要 人文・社会科学 66(1・2) 39-51 H 文部省(または文部科学省)による盲ろう教育に関する報告書・刊行物 重複障害教育の手びき―盲聾児・盲精薄児・聾精薄児 文部省 1970 東洋館出版社 山梨県立盲学校における盲聾教育に関する研究―文部省指定実験学校報告書― 文部省初等中等教育局特殊教育課 1970 文部省 目と耳の両方が不自由な子どもと係わり合うために―コミュニケーション、遊び、生活をめぐって : 父母と教師のみなさんへ―  国立特殊教育研究所重複障害教育研究部(土谷良巳・菅井裕行) 1998 国立特殊教育総合研究所 ---44 視覚と聴覚の両方に障害のある 盲ろうの子どもたちの 育ちと学びのために―教職員、保護者、関係するみなさまへ― 国立特別支援教育総合研究所(星 祐子) 2021 国立特別支援教育総合研究所 I 余暇 乗馬を楽しむ自然・馬・人の会にて 山本真理 2007 盲ろう教育研究紀要 8 6-7 盲ろう児と本 石田良子 2007 盲ろう教育研究紀要 8 8-12 盲ろう者と時計・旅行 岩原秀子 2007 盲ろう教育研究紀要 8 13-15 J その他 重度・重複障害児の教育―盲ろう児の指導実践に学ぶ 志村太喜彌 1989 コレール社 盲ろう者とノーマライゼーション 癒しと共生の社会をもとめて 福島 智 1997 明石書店 カレンダーボックス 土谷良巳 2004 上越教育大学障害児教育実践センター紀要 10 63-66 盲ろう児の指導 菅井裕行 2015 玉村公二彦・清水貞夫・黒田学・向井啓二(編)、キーワードブック特別支援教育―インクルーシブ教育時代の障害児教育―, クリエイツかもがわ 126-127 重複障害教育V―盲ろう(盲ろう二重障害)教育― 土谷良巳 2015 柘植雅義・木船憲幸(編)、改訂新版特別支援教育総論, 放送大学出版 122-139 先天性の盲聾児に対する点字や指文字による言語教育の可能性 柴田保之 2018 國學院大學人間開発学研究 9 57-71 児童の興味・関心から始める教育活動 星 祐子 2005 盲ろう教育研究紀要 7 1-7 盲ろう教育の過去、現在、未来そして日本、世界 中澤惠江 2012 盲ろう教育研究紀要 10 1-16 ---45 Table 4 実践事例報告(実践研究論文を含む)の推薦文献 (カテゴリーおよびサブカテゴリー名 文献の題目 著者 発行年 雑誌名および出版社 巻号 頁の順) ア. コミュニケーションにかかわる実践 a.初期コミュニケーション 盲ろう二重障害における初期的なひととの係わり合い 土谷良巳・菅井裕行 1998 国立特殊教育総合研究所研究紀要 25 83-98 先天性盲聾二重障害を背負うゆかりさんとの十五年間の係わりから学ぶこと 木村允彦 1999 金沢大学教育学部紀要教育科学編 48 213-236 身体接触を拒む盲ろう児とのやりとり形成の試み 菅井裕行 2007 障害児教育学研究 12(1・2) 50-63 重度の知的障害と肢体不自由がある先天盲難聴児の身体接触を基盤としたやりとりにおける内的活動の諸相 岡澤慎一 2020 宇都宮大学教育学部研究紀要第1部 70 97-108 b.サイン(オブジェクト・キューやタッチ・キュー)によるコミュニケーション ありちゃんの は・な・し―ある弱視ろう児における通じ合いの形成― 阿部真由美 1999 障害児教育学研究 6(1) 51-54 先天性盲ろう乳幼児のコミュニケーション方法の形成過程 熊田華恵・中川辰雄 2013 横浜国立大学教育人間科学部紀要T教育科学 15 49-64 c.指文字や手話(触手話も含む)によるコミュニケーション 弱視ろう児への組織的な働きかけにおける会話状況の展開過程 : 話し相手による情報保障に視点をおいて 中村保和 2006 特殊教育学研究 44(1) 35-46 弱視ろう児における「過去の出来事」に関する会話の特徴と維持 中村保和 2007 東北大学大学院教育学研究科研究年報 56 229-245 d.手紙(電子メールなど)によるコミュニケーション メールから広がる社会―3年間2000回のやりとりの中で― 西村晴美 2007 盲ろう教育研究紀要 8 4-5 ---46 e.上記a〜dに関する移行 弱視難聴児(S・I)の初期学習 大谷幸雄 1977 重複障害教育研究所研究報告書 創刊号 17-26 先天性盲ろう児におけるコミュニケーション機能の発達過程とチームアプローチ 阿尾有朋 2019 現代児童学研究 2(2)13-25 イ. 学習にかかわる実践 a.玉入れや棒さし、はめ板などの初期的な学習 盲ろう二重障害児M.Fの初期学習 松木龍夫 1980 重複障害教育研究所研究報告書 4 49-57 盲ろう児H君の初期学習 神尾裕治 1981 重複障害教育研究所研究報告書 5 77-94 b. 文字(墨字)・点字の学習 「分かりあう」過程としての学習 重度・重複障害児の事例研究 菅井裕行 1999 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部(編)重度・重複障害児の事例研究 22 29-38 視覚聴覚二重障害事例における点字信号系活動の形成・促進に関する学習―点字導入期の学習過程からの考察― 菅井裕行・土谷良巳 1999 国立特殊教育総合研究所研究紀要 26 85-96 c.教科の学習 視覚・聴覚二重障害児の5年間の記録―算数の学習を中心として 後藤新平 1979 重複障害教育研究所研究報告書 3 117-167 盲ろう児の音楽 〜点字楽譜の工夫〜 西村晴美・石田良子 2005 盲ろう教育研究紀要 7 10-11 盲ろう児に対する図画工作科実践報告〜盲学校における触覚を重視した表現・鑑賞活動〜 増岡直子 2005 盲ろう教育研究紀要 7 18-19 盲学校における盲ろう児の体育 佐藤知洋 2005 盲ろう教育研究紀要 7 20-21 盲ろう生徒の「話す」ことと「書く」こと〜コミュニケーション手段の獲得への取り組みと作文指導を通して〜 田中貴美・三浦憲一 2005 盲ろう教育研究紀要 7 22-23 ---47 d.上記a〜cに関する移行 実践研究論集等―退職を迎えて― 後藤新平 2009 東京都立八王子盲学校(平成21年3月) 視覚・聴覚二重障害児の5年間の記録 後藤新平 2009 東京都立八王子盲学校(平成21年3月) ウ. 探索にかかわる実践 探索活動とコミュニケーションにみられる「さぐりとたしかめ」―視覚聴覚二重障害と肢体不自由を伴う事例の外界との係わりから― 土谷良巳 1997 国立特殊教育総合研究所研究紀要 24 101-110 エ. 行動の理解と対応にかかわる実践 ある弱視・難聴児の「見る」ことの変容について―光・光沢から色・形態への関心を引き出すための試みを中心として― 宮原宗久 2018 障がいの重い子どもの事例研究刊行会 松田直・岡澤慎一・川住隆一・菅井裕行・土谷良巳・中村保和(編), 障がいの重い子どもと係わり合う教育:実践事例から読み解く特別支援教育T, 明石書店 297-312 係わり合うなかでの子どもの理解―盲難聴二重障害であるNとの係わり合い― 土谷良巳 2002 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部(編)重度・重複障害児の事例研究 25 31-45 オ. 生活支援(移動、食事、社会生活など)にかかわる実践 手で食べる―盲聾肢体不自由児の摂食行動拡大の経過― 中村保和 2002 障害児教育学研究 7(1) 45-52 盲ろう児の放課後支援としての銭湯サポート 河野恵美・小田浩一 2005 盲ろう教育研究紀要 7 16-17 カ. 感覚支援(視覚や聴覚の補償および活用に関する支援、情報保障)にかかわる実践 進行性の視覚障害と聴覚障害のある生徒の理解と支援に関する事例研究 中澤惠江・中野泰志・佐藤正幸・佐島毅 1997 国立特殊教育総合 研究所研究紀要 24 89-100 ある弱視ろう児の「視る力」を促す係わりについて 阿尾有朋・立石博章・吉武清寛 2000 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部(編)重度・重複障害児の事例研究 23 23-27 ---48 キ. 学校生活全般にかかわる実践 新担任の先生へ、Nさんをよろしく(盲ろうの他いくつかの障害を併せもった子どもとの3年間の学校生活を振り返って) 小林克彦 1998 盲ろう教育研究紀要 4 1-18 Nさんの新しい担任より、この原稿を読んで 三宅優子 1998 盲ろう教育研究紀要 4 19-20 Kさんと共に 星野 勉 1998 盲ろう教育研究紀要 4 21-44 「盲ろう」であるDくんのやりとりの素地づくりを目指して 星 視文 2009 盲ろう教育研究紀要 9 40-47 盲ろう児D君の中学部におけるかかわりの拡がりについて 加藤敦 2012 盲ろう教育研究紀要 10 17-32 肢体不自由のある盲ろうの子どもたちの教育 三國勝司 2012 盲ろう教育研究紀要 10 41-46 肢体不自由のある盲ろう重複児の支援の始まり〜Hさんが豊かな学校生活を送るために〜 宮崎広子 2012 盲ろう教育研究紀要 10 53-58 3.考察 今回の文献調査の対象とした「A文献(220)」は、前出の研究成果報告書「学齢期盲ろう児の学習と教育の内容と方法が卒後の盲ろう児の生活に与える影響に関する研究」(令和4年3月発行、特定非営利活動法人 全国盲ろう児教育・支援協会)のなかでは、主に以下の実践現場や研究組織等をフィールドとして創出された知見を収録した文献として紹介されている。 1つ目として、我が国の盲ろう児教育の始まりと位置付けられている山梨県立盲学校の研究報告(山梨県立盲学校, 1961)や、ここでの教育実践に長年中心的に携わった梅津八三(1906〜1991)や中島昭美(1927〜2000)によってその成果が述べられた文献(梅津, 1967, 1970; Umezu, 1974; 中島, 1968)である。ここでの実践は、当時の文部省初等中等教育局特殊教育課から発行された「山梨県立盲学校における盲聾教育に関する研究―文部省指定実験学校報告書―」としても公表され、その後の我が国の盲ろう児教育のみならず、盲重複障害児の教育にも生かされていくこととなり、こうした山梨県立盲学校の実践に影響を受けた実践成果がその後も多く ---49 報告されるようになった。 2つ目には、1971年に創立された国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部が中心となって発行された文献である。ここでは、盲ろう教育に取り組む当時の教員たちとのネットワークが形成された。ただし、盲ろうが低発生の障害といった特徴を有していることや時流の影響を受けたことで研究や実践の大きな趨勢を作り出すには至らなかったが、途絶えることなく、そこでの成果は主に実践研究論文として公表された。なお、当時の国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部が形成した上記のネットワークは、現在の特別支援教育総合研究所からは離れ、2008年から盲ろう児の教育に関して実践研究に取り組んでいる研究者によるネットワーク「盲ろう教育ネットワーク21」に引き継がれており、こうしたネットワークを通して生まれた実践研究の成果も「A文献(220)」から辿ることができる。 3つ目には、1991年に発足した社会福祉法人全国盲ろう者協会に関連して実施された取り組みの成果をもとに発行された「盲ろう教育研究紀要」(1993年〜)に掲載された文献である。ここでの取り組みや知見の集積は、2003年に発足した「全国盲ろう教育研究会」へと繋がっており、現在においても盲ろう児教育の啓発や成果の発信の場の一つとして機能している。 4つ目は、山梨県立盲学校の盲ろう教育を対象とした歴史的研究の成果をまとめた文献である。こうした動向が今後の盲ろう児教育の発展につながることへの期待が述べられている。 本研究では、以上のような性格の文献の分類・整理を行うなかで、学校教育現場で盲ろう児を初めて担当する教師、または盲ろう教育の初学者にとって有益な(実際の指導・支援に役立ったり盲ろう教育の基本的な事項を学べたりする)情報を提示することを目標に、講読推薦文献の一覧を作成した。その選出作業にあたっては、研究または実践の目的や性質に着目して分類することにより11グループ(表中の@〜Jのカテゴリー名)に分けることができた。ここで示されたカテゴリー名は我が国における盲ろう児・者教育にかかわるこれまでの研究の概略を捉えるうえで役立つであろう。 そして、ここに示された11のカテゴリーに含まれる文献で、最も文献数が多かったのは「D 実践事例報告書(実践研究論文も含む)」であった。割合にすると今回の調査研究で対象とした文献の4割弱となるが、他のカテゴリーに含まれた文献についても盲ろう児・者との係わり合いから個別具体的な課題解決に至る経過やその成果を通して書かれているものが複数ある。例えば、カテゴリー「@ 盲ろう教育における理論的検討および構築に関する論文(論考も含む)」に含まれる文献のすべては、実践研究から創出された知見を記している。また、カテゴリー「A盲ろう教育の研究動向を記した論文(レビュー論文)」は、教育実践研究に焦点を当てたレビューである。すなわち、我が国の盲ろう教育にかかわる知見の蓄積において、盲ろう児・者との個別具体的な係わり合いをもつ実践者が書き手となって実践の経過や成果を記す実践事例報告(実践研究論文も含む)の果たした役割は、決して小さなものとは言えない。 さらに、こうした実践事例報告の中身に目を向けると、7つのグループ(ア.〜キ.)に分けることができた。これらは盲ろう教育に携わる教育者にとっての実践的課題であると同時に、盲ろう教育において欠くことのできない観点であると言えよう。 最後に、上記の表(Table 1〜Table 4)では示すことができなかったが、今回の調査研究で取り上げた文献(とりわけ実践事例報告)に登場する盲ろう児・者の多くが、盲ろうに加えて他の障害(知的障害や肢体不自由等)をあわせ有していることを強調したい。これらの文献では、係わり手側が相手の子どもの盲ろうという遠感覚の二重障害から生じる特有の困難や独自の学びの方法(例えば、触覚をベースとしたコミュニケーション方法や学習環境)に目を向けることで働きかけの創意工夫が生まれ、実践が進展していく経過が描かれている。同時に、 ---50 あわせ有する他の障害によって、子どもには盲ろうであること以上の個別性が生じており、係わり手には高い対応力が求められることが読み取れる。すなわち、盲ろう児一人ひとりの状態像は非常に多様であり、困難の現れ方は複雑で、個々に応じた適合的な教育環境(コミュニケーション環境や学習環境など)を準備・実行するための実践的な知見が求められている。そのために、今回、分類・整理した文献に記された先達の知見をデータベース化して広く公開できる仕組みを構築していく必要があろう。また、そうした実践的な知見の創出と蓄積を担保するためには、盲ろうの子どもを担当する教師が専門家や研究者と協働できるような盲ろう教育に特化した実践の場が求められてくると考える。 ---51 第5章 海外調査研究の報告 1.ニュージーランド調査研究報告 岡澤 慎一(宇都宮大学) 菅井 裕行(宮城教育大学) 1-1.実施日 2024年3月9日から3月15日までの7日間であった。 1-2.実施場所 BLENNZ(Blind and Low Vision Education Network NZ)(視覚障害教育センター、盲学校)とMassey 大学(特別支援教育教員養成・研修、盲・弱視部門)であった。 1-3.実施内容 (1)調査目的 今回の調査研究を実施した研究者のうち菅井は、2023年カナダ・オタワで開催された盲ろう障害に関する国際会議(18th International World Conference: Deafblind International)に参加し、ニュージーランドから参加していたBLENNZの二人の研究者(Patrick Pink氏とSaul Taylor氏)に出会った。彼らは「ニュージーランドにおける感覚障害教育の展望に関する現状と挑戦」と題する発表を行なっており、その内容は我が国が置かれている現状(教育システムや規模など)と比較的、近似していると思われた。太平洋の小さな島国であるニュージーランドでは、2017年以降、国内における感覚障害教育(盲ろう者、弱視者、ろう者、難聴者)、教育省、種々の臨床部門、主要なステークホルダー組織間の連携を深めるため取り組みが行なわれてきた。全国的な専門家の連携に向けたこの長期的な取り組みは、ニュージーランドの教育省との連携のもと、BLENNZが主導している。こうした実践は、日本においてこれから創造しようとしている、学校と専門家とのネットワークや専門性ある教員の養成、研修システムの在り方を検討する上で大変参考になるものと考える。 そこで、本調査研究では、盲ろう教育に関するニュージーランドにおける最近の取り組みを、現地へ行って視察するとともに、関係者から実際の取り組みにおける現状と課題等について情報を収集することを目的とした。 (2)調査の概要 調査の対象および内容は、以下の施設や組織、活動、教育実践等に関するものであった。すなわち、@BLENNZ Homai Campus、AVisual Resource CentreおよびSatellite School、BImmersion Group、CHomai Base Schoolにおける授業観察、D盲ろうの子どもを担任する教師との実践事例検討、Eニュージーランドにおける盲ろうに対するサービスに関する情報・意見交換、FMassey 大学における盲ろうに関する教員養成・研修のシステム、であった。なお、@〜Fのうち、@〜EはすべてBLENNZにおいて実施され、FのみMassey 大学で実施された。 1-4.結果と考察 7日間の日程のうち、移動日を除いた4日間に渡って調査を実施した。最初の3日間と4日目の午前中はBLENNZ、4日目のお昼から午後にかけてMassey 大学の調査を実施した。 ---52 (1)BLENNZ Homai Campus Aucklandの中心街にある始発のBritomart駅から電車で約40分程度の距離にあるHomai駅のすぐそばにBLENNZ Homai Campusがある。ここに、全人口約520万人のニュージーランドにおける国立の唯一の盲学校があり、0歳から21歳までの視覚障害のある人が対象とされている。この学校は、Homai Base Schoolといわれ、通学するのは、視覚障害だけではなく、他の障害を併せ有する、盲ろうを含む重複障害のある子どもたちであった。この学校に教室がいくつかあり、2024年度には67名の子どもが通学している。一方、ニュージーランドにおける視覚障害のある子どもの多くは地域の通常の学校に在籍している。BLENNZは、ニュージーランド国内の各地に15カ所のVisual Resource Centreを有しており、そこからBLENNZの教師が視覚障害のある子どもが在籍する学校を訪問して支援している。Visual Resource Centreについては後述する。 筆者らの訪問初日、Janny Cooke氏(Executive Assistant to Principal)とKaren Callaghan氏(Assistant Principal School Services、Coordinator School Services)が筆者らを出迎え、Homai Campusを案内してくれた。Homai Early Childhood Centreには、設備や教材として、感覚運動的な教材(Exploration Book:冊子に見立てた板に様々なObjectが貼られたり紐で下げられたりしているもの、吊り玩具、大量の豆状のものに触れる教材など)、天井が高い反響室(この部屋にレゾナンス・ボード:振動を感じやすくする台が備えてあった)、Sensory Room(スイッチ操作による水泡の教材、スヌーズレンにおいて使われるものなどが具備されていた)、プラスチック製の点字教材、パーキンス・タイプライター、Mountbatten Brailler Electronic Braille Writer Pro、ボール入れ、三面鏡張りのなかに三角マット、外の屋根のある庭先にある簡易なドラムセット、地上に埋め込まれたトランポリン、種々の大型玩具、Sensory Garden(臭いのよい植物を植えた花壇)などがあった。これらの設備や教材の一つ一つは日本の盲学校においても具備されていることがあるが、他には、トレーニング設備を有する室内温水プールなどもあり、その量や規模において大変充実していた。 BLENNZ Homai Campusには、Homai Base Schoolの校舎の他、視覚障害のある人のための生活学習施設(Adaptive Daily Living Centre)があり、さらに隣接して、成人の視覚障害者のための盲人協会、盲導犬のセンターもあった。この施設の一部が学校にも提供されており、子どもたちは歩いていってそこで学んだりする。そこには、街中で視覚障害の人が困るような、例えば、横断歩道や公共交通機関のシミュレーション場面が作られている。バスや電車、飛行機まであり、飛行機に搭乗するまでの通路と飛行機に乗り込む搭乗までの実物サイズのものがあるというように、かなり整った設備が用意されていた。こうした設備や教材の充実は、ここがニュージーランドにおける唯一の機関であり、ニュージーランドの前政権からの大きな援助があったからできたとの説明があった。 (2)Visual Resource CentreおよびSatellite School BLENNZは、ニュージーランド国内の各地に15カ所のVisual Resource Centreを有する。このうち、3カ所にはSatellite Schoolが併設されている。また、15カ所のVisual Resource Centreは、いずれも地域の通常の学校(Primary SchoolやHigh Schoolなど)の敷地内や隣接した場所に設置されている。Visual Resource Centreでは、各地の地域の通常の学校や他の障害種の特別支援学校で学ぶ視覚障害がある子どもへの支援をItinerant Teacher(巡回教師)が訪問することで行なっている。Itinerant Teacherは、各々、Visual Resource Centreの対応範囲内の視覚障害がある子どもが在籍する学校へ、子どものニーズに応じた頻度(週に1回から年に数回など様々)で訪問し、子どもや通常の学校の教員への支援を行なっている。Itinerant Teacherには、各々、3〜4校程度の担当があるとのことであった。また、Satellite Schoolには、地域の視覚障害のある子ども ---53 が通学している。 今回、筆者らは、2カ所のVisual Resource Centre と併設されるSatellite School 、すなわち、Pukekohe Visual Resource CentreとHomai Tamaoho Satellite、および、Auckland North visual resource centreとHomai Scott Point Satelliteを訪問し、教育実践の観察とともに関係職員や教師との意見や情報交換を行なった。いずれのVisual Resource Centreも教室はなく、10名程度のItinerant Teacherが在籍し、地域の視覚障害のある子どもの支援に赴いている。 Homai Tamaoho Satelliteでは、教員のCliff Nyahore氏(Tamaoho Satellite School)の学級の授業の様子を観察した。Tamaoho Satellite Schoolには2学級あり、1学級には6名在籍しているとのことだが、当日は3名が欠席で、子どもは3名であった。そのうちの一人、Pさん(14歳、以下、P)が盲ろうの生徒であった。Pは、何らかの眼疾患があり、見え方の詳細はわからないが、ノートパソコンに顔を近づけながら操作していた。Pの実際の活動の様子はあまり見ることができなかったが、少しの時間、直接、会話をすることができた。音声は明瞭で、日常会話を重ねるくらいの十分な聴力はあるように思われた。ロジャー補聴器の使用をPは拒むとのこと。筆者らが自己紹介をすると、Pは関心をもって質問をしてくれたり、応答してくれたりした。筆者らが日本から来たことを聞くと、SUSHI、RAMENなど、日本の食事について応えてくれた。Pukekohe Visual Resource CentreとTamaoho Satellite Schoolは同じ建物であり、扉を隔てているだけで建物内を行き来することができる。また、同じ敷地にPrimary schoolが併設されていて、Tamaoho Satellite Schoolの生徒との交流が期待されるとのことであった。 Auckland North Visual Resource CentreとHomai Scott Point Satelliteの訪問では、Robyn Black氏(Homai Scott Point Satellite)から説明を受け、Satelliteの2学級の授業の様子を観察した。最初は、幼稚部から小学校低学年くらいの学級であった。重複障害のある子ども3名(各々、@立位器を使用、A歩行、B歩行器を使用)に対して、教師とアシスタント教師が対応していた。一人の教師がパソコンの大型のモニターの前に立ちながら話をするとともに、他の2名のアシスタント教師も子どもに係わる。「天気調べ」で実際に子どもが外に出て確認して天気を尋ねたり、パソコンのモニター上にYou Tubeの歌の動画(英語にマオリ語も同時に表示される)が流れたりするのに合わせて活動するなどの様子は、日本の特別支援学校でもよく見られる。「天気調べ」のカードを立位の子どもの眼前に提示して、視線の方向から選択性を読み取ろうとする様子も見られた。 2つ目の学級は、子どもが4名(小学部中学年から高学年くらいの年齢。各々、@全盲、A車椅子、B、Cがおそらく弱視であり、いずれの子どもも知的障害はないか、あっても軽度くらいではないか。音声言語によるやりとりがよくできていた)、教師が2名(教師とアシスタント教師)であった。筆者らが訪問したときは、校庭の遊具のところに遊びに行く準備をしていて、まもなくして校庭に向かって各々移動した。いずれの学級も日本の特別支援学校の様子と大きく重なる印象を受けたが、触覚的な手掛かりを盛り込んだり、手話を使用したりする様子(子どもの眼前でゆっくりと手話を見せるなど)は、より意図的、意識的に行なわれているように思われた。 (3)Immersion Group Immersion Groupとは、地域のVisual Resource Centreが支援し、地域で学んでいる視覚障害や盲重複障害のある子どもが、例えば、1年間のうちに何回かHomai Campusに来て、一番短いのは3日間、長ければ1〜2週間程度、集中的に学習活動を行なうものである。Homai Campusには、こうした子どもが宿泊できる施設があり、Immersion Groupに参加する子どもは、この間、ここで生活する。子どもには、通常の学校の教師が同行することはなく、Visual Resource CentreのItinerant Teacherが同行しているとのこと。その地域の学校の中では十分に取り組むことができない部分を、短期集中的な活動のなかで支援しているといえる。 ---54 筆者らは、Trish Bishop氏(BLENNZ Palmerston North)が実施するImmersion Groupの学習活動を観察した。授業名は、Tactile Graphics Early Childhoodであった。6〜7、8歳の子どもが、7名おり、そのうちの男児1名が盲ろうとの説明であった。Trish Bishop氏が机に向かって椅子に座っている子どもたち全体に向かって話をする。立体コピーで作成された線分による浮き出し絵を触察する活動であった。教室の電気は消していた。子どもたちは各々、両手で、一人一人異なる浮き出し絵を触察する。絵の部分を触れた後、浮き出し絵の下にある、説明の点字の文章を読む(触る)。点字の習熟の程度は子どもごとに異なっていた。その後、教員がストーリーを話し、それを聞いて、そのストーリーに対応する浮き出し絵を触った生徒が名乗り出て、それを壁に貼っていく。このような、浮き出し絵を見て、内容を触察し、点字を読んで壁に貼るという活動を2回行なった。各々の子どもに対して、全員ではなかったが、Itinerant Teacherが後ろに座って、適宜、ガイドをしたり、声を掛けたりしていた。 (4)Homai Base Schoolにおける授業観察 Homai Base Schoolには、音楽療法士、理学療法士、言語聴覚士、芸術療法士のような、セラピストの人たちも学校の職員として在籍しており、多くの多職種が協働して授業を行なっていた。 Art Therapyの先生(Weca氏。以下Wと記す。)と学級担任の教師(Margaret氏)との授業においては、視覚障害と重複障害のある子どもに対して、ストーリーを語りながら、その展開に応じて、何か物に触れたり、何かを感じたりするような状況設定であった。Wのストーリーに応じて、左手でウクレレの弦をはじく、枯葉が出てきて触ったり、水に入って動物のおもちゃを探したり、霧吹きを掛けられる、大きなパラシュートの布で上からゆっくりとかぶせられたり、ダンスしたり、紐を引っ張ったりするなどの活動を行なっていた。全般的に、子どもの表情はよく、笑顔も見られ、楽しそうであった。Wが演奏するウクレレと歌による音楽に子どもの注意が向いており、タイミングよく子どもの発声があった。子どもが活動で出てきた葉っぱを口に入れたり、動物のおもちゃの入った水に顔を近づけて飲もうとしたりする様子があったが、力で止めるような様子はなく、子どもの発現した行動の展開を保障する、よい係わりであると思った。Wが語るストーリーの内容を子どもがどのように理解しているかは十分に読みとれないところであったが、各々の活動において、子どもの笑顔が頻繁に見られたり、紐を引っ張る動きのガイドを受けて同じように引っ張ってみたりする様子も見られた。 Speech Language TherapistのSheryl氏のセッションは、7名の高校生くらいの子どもたちと屋根のある中庭的な場所でテーブルを囲んで軽食を取りながら雑談を重ねることから始まった。子どもの様子としては、@音声言語が流暢で発言内容もしっかりまとまっていた高校生くらいの女性(弱視、18歳)、A同じく高校生くらいの女性(弱視)、B、Cは明るい男性で音声言語にやや不明瞭さがあり、弱視の2名、D軽度の麻痺のある、男性(高校生くらい、16歳)、E電動車いすで、盲導犬を連れた男性、F弱視の男性、であった。会話の様子は、各々が食事をしている合間にSheryl氏が話しかけて、生徒が受け答えしているといった様子であった。その後、ADL Roomに移動して、さらに2人の教師も加わって、テーマを決めて、各々が話をするといった内容であった Music Specialist(Wendy氏)とPhysio Therapist(Karina氏)によるセッションは、先述のSpeech Therapy Communicationグループのメンバーにさらに数名が加わった9名の子どもと実施された。広い部屋に人数分の大きなリラクゼーションボールが用意されていて、ドラムスティックを握って、リズムに合わせて叩く活動であった。類似の活動は日本においても見ることがあるが、この人数の全員分のリラクゼーションボールが用意されていて、広々とした教室で行なわれるという充実した状況であった。授業に参加している子どもは、with complex needsとの説明を受けたが、日本でいうような重度・重複障害という感じではなく、音声言語によるやりとりが活発な生徒が多かった。授業は、全体的に忙しさが感じられなく、ゆっくりと進む印象であった。 ---55 いずれの授業も人的にも物的にも充実した環境で、時間の保障がされており、子どものペースに合わせてゆっくりと進む様子であった。また、教師と各種セラピストが協働で授業を行なっていることが特徴的であった。 (5)盲ろうのある子どもを担任する教師との実践事例検討 盲ろうのある子どもを担当する教師(Lawrence氏)の教育実践をめぐる事例検討を行なった。事例のDさん(以下、Dと記す。)は、2023年に学校を修了し、重度の盲ろうであった。Lawrence氏は、Dのポートフォリオ(個人ファイル)や写真、動画を提示しながら係わり合いの経過について雄弁に話された。関連して、ニュージーランドの教育課程や学校の仕組み等についても教えてくれた。Dは、てんかんを併せ有しており、週に1回ほど、激しく怒ることがあったとのこと。大柄な生徒で、物を投げたり、ズボンを脱いだりしたという。安全のために他の子どもを学級の外に避難させたりした。Dは、様々な身振りサインを発信するし、受信することができた。サインの数は20くらいであった。学校生活において、時に激しく怒り始め、まもなく最高潮に達し、その後、軽減していく。その時間は15分程度とのこと。Dの特徴的な様子は、頭の上に様々な物を載せること。乗せることで気持ちが落ち着くのだという。頭の上に籠を載せて、さらにその上に他の物を載せたりする。バランスを保ちながら、歩いたりもした。長いと45分程度ずっと頭に載せているらしい。どういうときに、怒ったり、あるいは物を載せたりするのかということに関して、あまりその理由を探ることには注意が払われていない様子で、例えば、物を頭に載せることについては、それをすることで気持ちが落ち着くらしいことをLawrence氏は強調されていた。 Lawrence氏との実践事例検討においては、共感できる部分が多く、盲ろう教育の教育実践に関する知見をワールドワイドに蓄積していく必要性を実感した。そのなかで、日本の盲ろう教育に関する実践的な知見が貢献できる部分が大きいと考えられる。 (6)ニュージーランドにおける盲ろうに対するサービスに関する情報・意見交換 ニュージーランドにおける盲ろうに対する種々のサービスについて情報や意見交換を重ねることができた。 BLENNZ National Leadership TeamのSaul Taylor氏(Regional Practice Lead)とSue Arrojado氏 (Assessment Services Practice Lead)とは、National Leadership Teamの目的(生活に関連した機能的な評価、IEP作成の前提となる評価情報の提示など)について話し合うことができた。 また、Saul Taylor氏とPatrick Pink氏(BLENNZ Visual Resource Centre Managers North Island Gisborne)とは、ニュージーランドの盲ろう教育に関する情報交換が行なわれた。内容は多岐にわたり、ニュージーランドにおける盲ろうの定義や盲ろう児の実態、実態を把握するための取り組み、ニュージーランドの盲ろう教育の経緯、BLENNZの組織や機能、多職種連携の実態、盲ろう児にアプローチする際の理論的枠組み、などであった。 (7)Massey 大学における盲ろうに関する教員養成・研修のシステム 先述のTamaoho Satellite SchoolのCliff Nyahore氏は、オークランド大学でPrimary Schoolのライセンスを取得し、その後、Primary Schoolの教師を経て、Massey 大学でSpecial Educationの勉強をし、その後、BLENNZで仕事をするようになったとのことであった。特別支援学校の教師になるためには、国費で行なわれるMassey 大学のTeachr Educationコースで学ぶが、例えば、BLENNZで働きながら、週に2回、Massey 大学に通ってライセンスを取得することなどもできるという。Assistant Teacherについても養成の仕組みがあり、Massey 大学やBLENNZでも行なっているとのこと。養成の内容としては、専用のテキストがあり、学習を重ねて、修了試験を受ける。BLENNZの教師にもMassey 大学で学んだ人がたくさんいるとのことであった。 ---56 筆者らは、BLENNZにおける施設見学や教育実践の観察を経て、Massey 大学において、 Mandia Mentis教授(博士)、Dr. Wendy Holley-Bouwen准教授(博士)、Nic McDowell講師(博士)とSpecialist Teaching Programmeについての情報収集と意見交換を行なうことができた。Cliff Nyahore氏からうかがっていたように、ニュージーランドにおける教員養成の仕組みとしては、学部でPrimary Schoolの教員免許を取得し、通常の学校の教師を3〜4年程度経験し、その後、Massey Universtyで特別教育に関する資格(免許ではない)を取得する。その後、さらに希望する人は、修士課程、博士課程に進学する。博士課程において取得できる学位は、EdD(教育分野に特化した博士号)ではなくPhD(Doctor of Philosophy)とのことであった。今回、筆者らの調査研究における訪問の窓口をしてくれたSaul Taylor氏もMassey大学で学んだ人で、現在、Massey 大学において盲ろうに関する講義を担当している。 1-5.まとめ ニュージーランドでは、現在、BLENNZ Homai Campusと15カ所のVisual Resource Centreおよび3カ所のSatellite Schoolを中心に、ニュージーランド全土をカバーして、盲ろうの子どもを支援している。そうした仕組みの作り方や「盲ろう」に焦点をあてた取り組みをニュージーランドの教育の枠組みに入れ込んでいく経緯などをSaul Taylor氏とPatrick Pink氏からはうかがうことができた。BLENNZにおいて、盲ろうの専門性を持つ、盲ろうに特化したリーダーは、このSaul Taylor氏とPatrick Pink氏の二人であった。この二人が、基本的にはBLENNZで取り組んでいる盲ろうの支援の概略を作っており、その下で働いている様々な教師が盲ろう教育の経験がある人たち、というかたちになっている。この人たちが、BLENNZで働きながらMassey 大学に通うことができ、そこで盲ろうに特化した授業を受けて、盲ろうに関する専門性を高め、またBLENNZで仕事ができる、というかたちである。加えて、それが同時並行でできる仕組みが作られており、盲ろう教育に関する専門性の維持が図られている。ニュージーランド、とりわけBLENNZにおける取り組みは、今後の日本における盲ろう教育の進展に大きく参考になるものであろう。 2.オランダ調査研究報告 三科 聡子(宮城教育大学) 菅井 裕行(宮城教育大学大学院) 2-1.実施日 2025年2月15日(土)〜23日(日) 9日間 2-2.実施場所 (1)Kentalis・Rafa?l(盲ろう学校)(Sint-Michelsgestel) (2)Kentalis・Vries(盲ろう者施設)(Vries) (3)Groningen大学・行動社会科学部(Groningen) 2-3.具体的な実施内容 (a)調査目的 本研究のこれまでの成果として盲ろう児の教育はその多くが個別性が高く、また視覚や聴覚などの単一の障害種別に関する教育方法論の寄せ集めでは、対応できないことが示された。どの事例においても、コミュニケー ---57 ションの促進や形成が大きな課題になっていることが明らかとなった。そこで、今回の調査においては盲ろう児のコミュニケーションというテーマに重点を置き、盲ろう児のコミュニケーションに関する研究と、学校・施設等と共同してコミュニケーション研究に取り組んでいるオランダのGroningen大学及び関連施設・学校を訪問することとした。そして、種々の観察・情報交換・資料収集等をすることを通じて、今後我が国での盲ろう教育の充実・発展のための方策を考察することを目指す。 (b)実施内容 (1)Kentalis・Rafa?l(盲ろう学校) 盲ろう教育のカリキュラム、スクールプラン、チームでの取り組みについての説明(レクチャー) (Marijke Bolwerk氏) 建物内のガイド付きツアー 「ヴィーレヴァーレン(Wielewalen)」での野外教育の参加観察 日本の盲ろう教育についての調査報告(菅井) Kentalisの専門家チームについての説明(レクチャー) (2)Kentalis・Vries(盲ろう者施設) デイケアセンター訪問 建物内での観察 オランダ北部における居住ケアと教育についての説明(レクチャー) (Erika Planger博士) ダイナミック・アセスメントについての説明(レクチャー) (Erika Planger博士・Marga Leefkens氏) 触覚ストーリーの教材説明 (Fokje Jagersma氏) (3)Groningen大学・行動社会科学部 研究プログラム「聴覚障害と視覚障害または複雑なコミュニケーションニーズを持つ人々の発達と学習: KentalisとGroningen大学のコラボレーションによるスタッフトレーニングの開発 (Saskia Damen博士) コミュニケーションと言語に影響を与える教師のサポート  ( Marianne Rorij氏・修士修了生) 盲ろうに関する修士号: 教師にとっての重要性 ( Marja Cantell博士) 国際インターンシップ ( Erika Pranger博士) 盲ろうまたは特別支援教育の学士号を持たない学生のためのブリッジングプログラム ( Saskia Damen博士) 研究科長との懇談  ( Alexander Minnaert博士・Specific Learning Disorders and educational problems プロジェクト・リーダー) 2-4.成果及び結果 (1)Kentalis・Rafa?l(盲ろう学校)訪問視察 <Kentalis  Rafa?lについて> 現在29人の生徒が在籍しており、3?4人の生徒によってクラスが編成されている。現在、約半数の子ども達がチャージ症候群である。全ての生徒に対して個別の教育計画があり、その計画に基づいて一人一人が学習を進めている。クラスは、教師とアシスタントが担当している。個別の教育計画には、主にコミュニケーションや社会性、自己管理能力等を向上させるための目標が設定されている。また、運動能力や算数などの学習目標も設 ---58 定可能。 ここは公立の学校として運営されており、オランダの教育システムの一部として機能している。オランダで唯一の盲ろうに特化した学校であり、他の特別支援学校とは異なり、個別対応を重視している。生徒のニーズに応じた独自のカリキュラムにより学習がすすめられている。教育の成果は標準テストでは行われず、個々の教師によって評価がなされている。教育の目標は将来の社会生活におかれ、できるだけ通常の環境に近い形で教育を受けている。安全で小規模な環境から徐々に広い環境への適応がめざされている。 <教師研修プログラム> 1)3年間にわたる研修計画が設定 Kentalisアカデミーが提供するコースから選択する。「プライバシー」に関するコースは必須であり、教師は最初の週に受講しなければならない。学校特有のワークショップでは、コミュニケーションツールや計画的な作業の進め方、手話の学びなどに焦点を当てている。 2)メンター制度とチェックリスト 新任教師は最初の1年間、経験豊富なメンターと共に研修を受ける。メンターはチェックリストに沿ってサポートをする。今回、実際に研修中の新任教師とメンターによる授業を観察することができた。実際に授業場面(「料理」)で新任教師とメンターが一緒に授業を行い、適宜必要な場面でアドバイスを行っており、授業後には振り返りを行うなどOJTの方法がとられていた。 教師はキャリアを通じて継続的な研修を継続。定期的にチーム研修日が設定され、新しい知識の共有、研究を議論する場を経ながら、理論の理解を深めることができる。自己研鑽も奨励されており、学校内外での連携も重視している。 <Kentalis OpMaat (専門家チーム)に関する説明> 教師や心理の専門家等によって構成されるチームで、教師や保護者にアドバイスを提供するほか、盲ろう児の社会的・感情的な発達、社会への参加、コミュニケーションの支援を行っている。保護者と連携し、最適な環境を提供することを大切にしており、特別支援学校や一般学校と協力し、それぞれの学校で盲ろう児が適応できるように支援している。 オランダには、盲ろうの教育と支援(ケア)を統合的に学ぶ専門職「Orthopetagogy」という職種があり、これは他の国には見られない独自のものである。Kentalisには複数のOrthopetagogicがいてこの専門知識を世界で唯一提供している機関であると自負している。 Kentalisは、資金調達が継続的課題であり、政府の政策変更に伴って様々な対応を余儀なくされている。特にオランダ国内での認知度の低さという課題に直面している。「盲ろう」という概念についても、十分に知られているとは言いがたく、創設時以降継続して盲ろうの独自性についての熱心なアピールを続けている。インクルーシブな社会形成の方向性の中で尚更このことが必要であると考えている。 現在、早期介入に焦点を当てた新しいプロジェクトが進行中であり、特に幼少期を対象にした研究が行われて ---59 いる。これはGroningen大学のSaskia教授のイニシアティブの元で進行している。 さらに、Kentalisはインターネットを利用して、自分たちの研究や教育プログラムを世界中に広める計画を立てている。教育映像などをインターネット上に公開することを検討しており、その結果、より多くの国際的な関心を集めることができると考えている。 (2)Kentalis・Vries(盲ろう者施設)訪問視察 Kentalisはオランダ国内に盲ろう者のデイサービスや入居型施設(グループホーム)を設置しているが、今回はGroningenの近郊に設置されているVriesを訪問した。 <専門職の役割と仕事内容> コミュニケーション指導の専門家や視能訓練士のような専門職が配置されている。 <教育と居住型ケア> 居住型ケア内での支援 盲ろう者が毎日異なるテーマで活動することで、より多様な経験を積み、スキルを磨くことができる環境設定がなされている。活動には、動物の世話や自然とのふれあい、製作活動(バッグや旗を作る、料理をする)など。今回の訪問では、オーナメントの作成活動、調理活動、ガーデニング活動などの一端を見学できた。 盲ろう者が環境に適応した活動をできるように、活動の部屋を固定し、必要に応じて他の部屋で異なるアクティビティに参加するなどの配慮がされている。 グループホームの見学も許され、実際に居室の中の見学もさせてもらえた。盲ろう者には個室があり、基本的にはそこで活動する。状態が良ければ他の部屋での活動(料理や買い物)にも参加。月曜日は買い物、火曜日は料理、金曜日には屋外活動といったように、スケジュールを柔軟に設定している。 (3)Groningen大学・行動社会科学部 この大学ではMarleen Janssen博士が中心となって、盲ろう者の分野における研究と教育のための特別な研究所、Groningen大学盲ろう研究所 (UGIDB: University of Groningen Institute for Deafblindness) を立ち上げ、盲ろう教育に関わる研究者養成と教員養成を展開してきている。ここはヨーロッパにおける先天盲ろう児の教育に関する研究チーム(コミュニケーション・ネットワーク)の拠点ともなっており、ここでの専門研修や教員研修の実際を視察し、取り組みについての講義を聞いた。またこのプログラムで学んでいる修士を修了した学生の話も聞くことができた。この大学の研究所は聴覚障害施設・聴覚支援学校(盲ろう教育部門を有する)Kentalisとも研究協力関係にあり、学生は実際にKentalisで研究や実習を行っているとのことであった。 スタッフ研修(介入)プログラムの開発  Saskia Damen教授(博士) 1)動的評価(dynamic assessment)と静的評価(static assessment) 静的評価は単一のテストに基づくもので、個人の能力を単発的に評価する。特に盲ろうのような複雑なニーズを持つ場合、個人の潜在能力が過小評価されるリスクがある。一方、動的評価はその人の成長可能性に焦点を当て、介入を通じてどれだけ学び、改善できるかを評価するもので、単に「現在できること」を評価するのでは ---60 なく、「今後何ができるようになるか」という未来の可能性を重視することからこれを活用している。   2)トレーニングプログラムの開発 KentalisとGroningen大学は、動的評価の実施に向けたプロセスを構築し、関係者がこの評価方法を実際の現場でどのように導入できるかを学ぶためのトレーニングプログラムを開発した。心理学者、ST、OT、コミュニケーション専門家がこのトレーニングを受け、動的評価のステップや実施方法を学んでいる。これにより、専門家は個々の盲ろう児の学習可能性やサポートの方法をより的確に理解し、介入を可能とする。 実際の評価とプログラムの活用について3つの事例の紹介を受けた。いずれも具体的なサポートの方法と結びついており、その効果が認められるものであった。   3)盲ろう児とのコミュニケーションに関する研究 「表現の読み取り」と「能動性」を重視し、対話を共創する観点からのコミュニケーションに関する定義を設定し、文脈を読み取ることを強調する内容であった。支援方法には、特にコミュニケーションや自立支援において、「支援方法」をどのように適用するか、どの方法が効果的であるかを評価することが重要であるとし、個々に応じた支援、個々の生活に基づいた(生活の流れに沿った)支援、認知的な支援方法の研究も行われている。 Groningen大学では現場で有効な戦略やアプローチを見つけることに重点を置いており、従来の理論を基に、新たな支援方法を開発し、その効果を証明することを追求している。 大学の課題としては、Kentalisと同様に、政府の方針転換の元でいかに現状を維持していくかがある。特に近年、保守系の政権になってからはこのプログラムに対する政府の関心が低下してきていることから、周知が必要とのことであった。 4)盲ろうに関する修士課程:教師にとっての重要性   Marja Cantell准教授(博士) この修士課程は、教育学と心理学の理論と実践を組み合わせており、実践における評価や介入に特化している。この課程は2006年に開設された。当時のMarleen Janssen教授は長期間の係わりの中で盲ろう児が十分な支援を受けていないことに気づき、専門的な大学教育を提供したいと考えた。修士課程は当初は「Communication and Deafblindness」として始まり、現在では「Master-Full-time Deafblindness」として、広範囲な教育を提供している。世界中からの留学生を受け入れ、修士課程中にインターンシップがあり、盲ろう児との実践の経験を得ることができる。また、各国での盲ろう者への政策や支援の現状についても学ぶことができる。 ここでの教育プログラム、支援のための戦略、コミュニケーションのための戦略、ビデオ記録とディスカッションの方法、インターンシップなどの取り組みについて具体的な内容の説明を受けた。 2-5.まとめ オランダでは、KentalisとGroningen大学を中心に、盲ろう教育・福祉の実践と研究の現場を視察し、オランダで現在取り組まれている盲ろう教育の現状と課題の一端を知ることができた。わが国と比較して、もっとも際立つ点はやはりKentalisという国立の施設・学校の存在の大きさであった。ここに実践と研究の場があって、オランダにおける盲ろう教育のセンター的機能を果たしている。そこにおける専門性の維持と発展のために仕組みも用意されていた。盲ろう教育の実践に関わる教師については、研修のためのプログラム、テキスト、そしてメンタ ---61 ー制度を含むOJTの仕組みが用意されており、さらにはGroningen大学の修士や博士コースの学生のための研究フィールドにもなっていた。Groningen大学におけるスタッフの研究の多くもKentalisとの関連において遂行されている。その実践と研究の成果が国の施策へとつながるように現在道筋を付けている状況であった。今後、日本における盲ろう教育の維持・発展を考えていくにあたって、このようなセンター的機能を有する実践の場が検討されてよいはずである。Kentalisにおいて特徴的であったことの一つは、そこで実際に日々の教育実践・福祉実践が絶え間なく行われていることにあると思われた。教育や福祉を理論と実践の両面から考えることが重要であるとするなら、オランダにおける取り組みはまさにその両方を行っていて、そのことがもたらす効果が大きいと考えられる。大学や研究所のような理論面だけではなく、かつまた地域の学校にような実践面だけでもない、両方が実質的な連携のもとで進行していくシステムの構築は大いに参考になるものであった。 ---62 第6章 研究の総括と提言 本研究では、3つのワーキンググループによって、これまでに取り組まれた盲ろう教育の内容について実際に指導にあたった教員からの情報と、現在我が国で先天盲ろう者への対応を行っている施設等の情報、これらをできる限り収集し、その内容を整理・分析した。そして前回の協会による調査で析出した我が国における盲ろう教育研究の文献情報について、今後の実践や研究に資するものとするために内容に基づいて分類・整理した。 ここでは、これら3つの研究結果に基づいて盲ろう教育の現状とこれからの進展に向けた提言を記したい。以下、5つの視点から整理して述べることとする。 (1)「盲ろう」という障害の独自性を認識することの重要性 2014年1月に批准された障害者権利条約(以下、「本条約」)英語版第24条の3の(C)の条文の中にある「deafblind」は、「盲聾(ろう)」がわが国の公定訳となった。2009年の日本政府仮訳は「視覚障害と聴覚障害の重複障害のある者」であったが、これではより広い概念である「重複障害」という枠組みに包摂されて、盲ろう障害の独自性が認識されることなく、それゆえにその独自の困難への対応も十分には行われなくなってしまう。事実これまでの我が国における盲ろう障害への対応は、そのような状況にあった。権利条約の「deafblind」を「盲聾(ろう)」とすることで、教育・福祉を含むあらゆる分野において、盲ろうの独自性に注目し、その特性とニーズに合った教育・サービス、施設・設備、支援機器など合理的配慮が確保されなければならないことを意,味することになった。かくして諸外国ではいち早く、従来の重複障害とは別の障害カテゴリーとして「盲ろう」を設定し、その独自のニーズへの対応を図っているのに比して、我が国の状況はようやく端緒をつかむところに来たと言えるかもしれない。 盲ろう教育については、アメリカでは連邦政府がこのカテゴリーを設定して対応にあたっており、英国、フランス、ドイツ、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド等でも盲ろう教育というカテゴリーを設けてその専門性の維持・発展に取り組んでいる。特に北欧は盲ろう研究に関しては先進的な役割を果たしてきたところで、従来の盲ろうに関する学術研究でもしばしば引用されてきた北欧の盲ろう定義(1980年制定、現在は改訂されている)では、特に「先天性の場合」に言及し、その複雑なニーズの状態とそのことへの対応の必要性が述べられいる。我が国では、1950年代に山梨県立盲学校において取り組まれた盲ろう教育を嚆矢として、その後盲重複、ろう重複障害教育が展開し、やがて重複障害教育、さらには重度・重複障害教育へと発展した歴史がある。1971年に発足した国立特殊教育総合研究所(現・国立特別支援教育総合研究所)には重複障害第一研究室(盲ろう教育を担当)が設置され、隣接された国立久里浜養護学校には盲ろう障害のある子どものための第四教室が設置されて、全国の盲ろう教育を牽引した。しかしながら、1979年の養護学校義務制完全実施に至るまで就学免除・猶予の対象であった重度の重複障害児への取り組みが全国的に拡大する中で、次第に盲ろうというカテゴリーがその独自性を薄め、重複障害というより大きなカテゴリーに包摂されていくこととなった。現在、我が国の教育では、盲ろう児・者は依然として重複障害の一つとして位置づけられていて、視覚特別支援学校や聴覚特別支援学校を始め種々の特別支援学校において、他の重複障害児・者と混じった重複クラスに編入されることが多く、「盲ろう」という独自の障害特性に応じた教育が制度的に保障されない中、各学校、各担当者が個別に対応をしているのが現状である。国立特別支援教育総合研究所が全国の特別支援学校を対象に実施した2023年の調査では、204人の盲ろう幼児・児童・生徒が在籍していることがわかり、回答のあった全国1039校の特別支援学校で、盲ろう児・生徒が在籍している学校は113校あり、その学校の障害種別の観点からはすべての障害種別 ---63 の学校に在籍していることが示されている。盲ろう教育に特化した学校がない現状では、すべての障害種別に在籍している広汎性と、かつその人数分布からみて各学校には1人?数名の在籍状況にある少数制が見て取れる。 国連障害者権利委員会が2022年10月7日に公表した「日本の報告に関する総括所見」(以下「総括所見」)においては「情報アクセス」の観点から「盲ろう者など、より手厚い支援を必要とする人を含む、すべての障害者の情報提供やコミュニケーション支援に欠ける。」ことが指摘され、利用しやすいコミュニケーション形式の開発、促進、利用のために十分な資金を割り当てることが勧告された。そこでは合理的配慮として、コミュニケーション手段や言語(手話言語を含む)の環境をしっかりと整備することに触れられている。インクルーシブ教育が進められる中にあっても盲ろう幼児児童生徒について個別の支援をしっかり行うことが求められているといえる。この勧告で示された内容からみても、我が国の盲ろう教育の現状は多くの課題を抱えていると言わざるを得ない。あらためて権利条約に示されている「盲ろう」という障害の独自性についての認識を教育にしっかりと根付かせていくことが重要である。 今回の調査結果からも、盲ろう児を担当する教員が初期の段階ではその独自の取り組みに対する周囲の理解が得られず孤立傾向にあったことが示された。現任の教員の多くが、盲ろう障害をどのように捉えればいいかという初歩的な課題に直面していること、より具体的で実践的なアドバイスを求めていることなども示されており、まずは「盲ろう」障害についての認知度を上げていくことが必要である。このことは単にカテゴリーを形成することにとどまらず、すでにその概念が存在する先進的諸外国においても、まだまだ盲ろうの認知度が低く、それゆえにこの独自性への理解を広げていく活動に継続的に取り組んでいることからもわかるように、今後我が国でもその独自性への理解を広げていく活動を持続的・継続的に取り組んでいくことが必要である。この点について、先述の国立特別支援教育総合研究所における調査の研究委員会において、かつて実施された研究所による同じ調査(1999年度、2017年度)では「盲ろう児の調査」について「盲児の数とろう児の数の合計」を聞かれていると認識していた学校が少なくなかったことに比して、今回(2024年度)の調査ではそのような誤解が一つもなかったという経過報告があった。少しずつではあるが着実に認識が広がってきている兆しはあり、引き続き理解を広めていきたい。 (2)教育内容や方法、教材等に関するデータベースの構築 前回の調査でも、盲ろう児教育においては子ども1人1人の特性とニーズに見合った指導方法や教材づくりが行われてきたことが示されていたが、今回の調査でもそれは同様であった。前調査報告でも言及したように、多くの事例において個別的な対応がされており、その対応の中で様々な自作教材が活用されていることが明らかであったが、今回のインタビュー調査でも自作教材や触覚活用に特化した独特な教材に関する話題が多く聴取できた。学習の内容や幅に関しては、個々の事例において多様であり、その障害や発達の程度においても極めて初期的な行動開発のレベルから、準ずる教育のレベルまで幅広く実施されていた。 ほぼすべての事例に共通することとして、まずは子どもに合わせること、子どもに分かる状況をつくることを重視している点がある。教科学習以前のレベルの場合は、自立活動の視点に基づいて個々のニーズを査定し、必要な学習過程をくみ上げていく方法がとられている。教科学習についても、従来の盲教育やろう教育の手法では不十分なことから、盲ろうの特性を踏まえた指導法や教材・教具が用いられていた。ほぼすべての事例に共通して、果たして設定した内容が本当に子どものニーズに基づいているのか、学習の段取りは適切であるのか、実際の指導を担った教員はそれぞれが模索をしており、確実感がない中で指導を展開していたことが記録から読 ---64 み取れる。この点に関して、少なくない事例で盲ろう教育の経験者や専門家との協働が行われており、担当教師だけの判断ではなく、専門的経験的見地からの判断にも支えられて指導が継続できたことが報告されていた。 今回のインタビュー結果の内容は、これまでに取り組まれてきた盲ろう教育の貴重な範例であり、その一つ一つの事例報告やエピソードから次なる実践に行かせる多くの情報が得られる内容になっている。この内容を広く実践者に活用してもらうべく、データベース化して公開できるように取り組むことが必要であろう。 また、今回の文献調査に関するワーキンググループが行った分類・整理は、これから盲ろう教育を担う教員のために行われてもいて、特に講読推薦文献などの一覧も作成されている。これらの情報も、同様にデータベースに組み込まれて周知されることが望ましい。このワーキンググループの報告の中でも述べられているように、盲ろう児一人ひとりの状態像は非常に多様であり、困難の現れ方は複雑で、個々に対して適合的な教育環境(コミュニケーション環境や学習環境など)を準備・実行するための知見が求められている。したがって、提供される情報は、実践的であると同時に、個別性の高いこの教育において個々の盲ろう児・者に最も相応しい対応を共創していけるような性格を有していることが求められる。かくしてこのデータベース構想では、できるだけ多様な実際の指導記録やまとめられた論文等に加えて、指導で用いられた手法や、自作され活用された教材・教具の紹介、さらには実際の係わり合いの場面の動画記録などが、コンテンツとして提供されることが望まれる。 (3)教員に対する良質な研修・手引き書の必要性と連携システムの構築 前報告書でも指摘したが、2024年度の国立特別支援教育総合研究所による盲ろう幼児・児童・生徒に関する全国調査でも明らかなように、盲ろう障害のある子どもたちは全国的にみても少数で、かつ各地に散在しており、地方によってはきわめて少数の存在である。そのため、盲ろう教育に関する専門的内容を扱う研修は、これを地方自治体単位で行うことは実質的に困難であり、国レベルで行う必要があると考える。 現在、特別支援教育のナショナルセンターの機能を果たす機関は国立特別支援教育総合研究所であることから、国立特別支援教育総合研究所が盲ろう教育の研修を企画・実施することが最も適切であろう。すでにファーストリテーリング財団との共催で盲ろう教育の研修が実施されてきているが、これらの研修が今後も維持され、その内容も現在のような入門編だけではなく、経験者がさらに質的向上を目指して取り組める応用編も含む更なる拡充が必要である。 一般に研修等においては、その基本事項をまとめたテキストが編纂され、用いられることが多い。我が国では盲ろう教育に関する教員を対象とした手引き書としては1970年に当時の文部省が発行したもの以後はいまだに教員向けの手引き書が作られていない。一般書籍でも、盲ろう教育に関しては重複障害に関する概説本の中の一つの章として簡単に触れられている程度である。今後は、上記の研修に合わせて手引き書の編纂・発行も必要である。その際、今回の文献調査でも明らかになった従来の蓄積された知見と、現在にいたるまでこの分野で研究に取り組んでいる研究者や質の高い実践を行った実践家の見識を十分に取り込んで編纂されることが期待される。 インタビュー調査の結果からもわかるように多くの事例において、研究者や経験者等によるアドバイスによって実践が軌道に乗り前進したとする語りが多く見られた。今日、特別支援学校では学校以外の機関(大学や研究所等)の専門家を外部専門家としてその活用を図る試みが広がっている。そこで盲ろう教育においても、各地に実践的アドバイスのできる専門家がいることから、これら専門家との連携システムを構築して、たとえば初めて盲ろうの子どもを担当する教員であってもすぐに外部専門家を活用できるようにすることが望まれる。これまではたまたまの出会いや人づてによる紹介などによって繋がりが生まれていたが、今後はアドバイスや共同(実践) ---65 研究を求める教員が容易にアクセスできる連携システムが必要である。 (4)センター機能のある機関の必要性 2019年に我が国で特別支援教育の仕組みが制度化された際に、この仕組みを支える一つのアイデアが、特別支援学校が地域の特別支援に関するセンターとなること(特別支援学校のセンター的機能)であった。盲ろう教育に関しては、特別支援学校での実践自体が十分には位置付いておらず、担当する教員の多くが困難を抱えている状態にあることが示されている(2024年実施の国立特別支援教育総合研究所による全国調査)ことから、現状では特別支援学校が盲ろう教育のセンター的機能を果たすことは難しいと言わざるを得ない。今回の調査研究においてはニュージーランドとオランダの二カ国の海外調査を実施したが、そのどちらにおいてもまさに「センター的機能」を有する学校の存在が決定的な意味を持っていた。ニュージーランドではBLENNZの学校、オランダではKentalisの学校である。どちらもが国立学校であり、それらの学校で働く教員はいずれも高い専門性を持ち、かつ新任の教員の専門性を育成するための組織的計画的なOJT方式による研修制度が機能していた。どちらの学校も大学と連携して大学研究者の研究協力も行いながら教員が大学の研究者と繋がって自らの反省的実践を遂行していた。このようにして学校自体の専門性を維持・発展させながら、地域の学校等へのアドバイスや支援サービスを行っていた。これらの学校のようなセンター機能を有する「学校」が存在することで、アドバイスを求める教員や保護者はまず最初に相談や見学ができる場を有することとなる。そして実際の教育実践が日々行われていることで、その相談内容は論文化された知見だけではなく、実践的見識を含むものとなって、教員や保護者により説得的でかつ安心できる情報提供が可能になっているのである。アカデミックな研究所よりも、実際に日々教育実践が行われている学校がセンター機能を有することの利点が極めて大きいと言える。今回、実地調査は出来なかったが、アメリカにおけるパーキンス盲学校やテキサス盲学校、英国のコンドーバー盲学校やホワイトフィールド学校、フランスのポワティエ学校、ノルウェーのスカダーレンなど、多くの国々には盲ろう教育に関するセンター的機能を有する学校があり、学校教育における盲ろう教育実践の核になっている。 一方、我が国にはこれまでのところ、盲ろう教育に関するセンター的機能を有する学校は存在していない。しかも我が国の教員配置制度は先進国においては世界的にも例をみない3?5年程度の年限で多校種(他障害)へ転勤する仕組みをほとんどの自治体が維持しているため、特定障害の専門性ある教員が育成される仕組みを持たないままである。我が国にも盲ろう教育に関するセンター的機能を有する学校を設けることはできないだろうか。例えば,国立の学校である久里浜特別支援学校や筑波大学附属視覚特別支援学校・聴覚支援学校等の中に、そのようなセンター的機能を有する教室を設置することは不可能ではないはずである。実際、かつての久里浜養護学校には盲ろう教育を主として担当する第4教室が存在していた。あるいは、盲重複障害のある児童生徒を積極的に引き受けている横浜訓盲学院のような学校が国立特別支援教育総合研究所となんらかの連携協力を行いながら日本の盲ろう教育のセンターとして機能することが出来るかもしれない。これらの模索が強く望まれる。 (5)生涯学習の場と機会の提供 前研究成果報告書で、盲ろう児・者への「生涯学習」のための場と機会の提供について言及した。その提案は前研究での調査対象であった保護者からの強い希望に基づいたものであったが、今回の調査研究におけるインタビュー調査の結果や盲ろう者の支援団体に関する調査の研究結果からも同様の見解が多く見られている。 盲ろう児の多くは、外界からの情報を獲得する主たる経路である視覚と聴覚が不全状態にあることから、極端 ---66 に情報が制限された生活を余儀なくされる。このことは一方で、同じ量の情報であっても視覚と聴覚が活用できる人に比して、より長い時間をかけて得ることが必要になることをも意味する。従って、例えば通常学校における小学校課程6年間で得られる情報を、同じ6年間で得ることは極めて難しいものの、より長い時間をかければ通常課程6年間分の学習は可能となるのである。このようにより多くの時間をかけて継続的に学習することの必要性が盲ろう児にはあり、こうした十分な長さの就学期間の提供は盲ろう児・者にとっての合理的配慮となると思われる。 そのため、学校を卒業した成人後も、引き続き学習の場と機会が提供されなければならないと考える。学校課程の修了後の付加的学習ではなく、学校課程で学びうる内容を十分に学ぶための学習である。先天性の場合は、知的障害などの付加的な障害を伴うことが多く、より工夫した学習が必要であるが、その場合でも障害の特性を踏まえた学習方法の提供と十分な時間があれば、ゆっくりとではあっても確実に成長・変化していくことが、インタビュー調査の結果からも明らかである。 これらの取り組みは「生涯学習」として想定できるであろう。現在、我が国では文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課において障害の重い人達に対する生涯学習の推進が図られているが、盲ろう者においても、盲ろう障害の特性を踏まえた生涯学習が図られることを期待したい。盲ろう児・者の生涯学習においては、医療面や福祉面での連携も図りながら進めていくことが必要になることが想定されることから、これまでに厚生労働省において取り組まれている盲ろう障害に関する包括的医学的サポートとのコラボレーションをも視野に入れていけるとよいのではないか。 今日、人間にとっての学びの意味が問い直されつつあり、生涯を通じての多様なまなびの継続によって各人の生活の真の豊かさが実現できるとの考えが広まりつつある。このことは通常の人々においては当然のことながら、盲ろう児・者においては尚更該当することであると考える。 ---67 【資料編】 ---69 資料1.インタビュー調査票 (教員対象の)インタビュー調査におけるインタビュー項目 インタビュー方法は半構造化インタビューによる 基本的に確認することは以下のとおり 対象児について 1.年齢 2.性別 3.盲ろうの状態 4.併せ有する障害 5.学校の種別 インタビュイーについて 1.所持免許 2.盲ろうの子どもを担当する以前の経験内容(特別支援教育教員の経験年数、特に視覚障害教育および聴覚障害教育など) 3.対象児を担当した年数、と対象児の学年(可能であればご本人の何歳から何歳まで) 4.教育課程(指導の枠組み) 5.コミュニケーション 6.指導法・教材・教具など 7.指導(かかわり)の経過(全体の経過、指導上の滞りとその乗り越え・・・、困り感・・・) 8.盲ろう教育の経験から得られたもの(その後の指導への影響) 9.情報共有(引き継ぎ、内部・外部:他の学校・機関との連携など 盲ろう教育とは別の視点) 10. 卒業後(現在)から振り返っての感想 インタビューの時間 特に定めないが、30分?1時間程度。記録方法としては、各自が録音機器(スマホやボイスレコーダー)で録音し、そのデータを文字化する。 プライバシー保護について インタビュー内容にはプライバシーに係わる内容が含まれることが予想されることから、報告にあたってはプライバシー保護に配慮し、個人が特定されないように可能な限り記述に気をつける。インタビューWGや研究委員会全体で確認する。 ---70 資料2.盲ろう者団体調査におけるインタビュー調査依頼文書 令和6年 月 日 ○○○○○○○○ ○○○○○○○様 特定非営利活動法人全国盲ろう児教育・支援協会 理事長 福島 智 令和5年度特別支援教育に関する実践研究事業 「盲ろう児への支援に係る効果的な取組の整理」地域団体調査 (依頼) 拝啓 立春の候、貴施設におかれましてはますます御清祥のこととお慶び申し上げます。日頃より先天盲ろう児者の方々への御支援に御尽力いただき誠にありがとうございます。 本機関は、令和5年度に文部科学省より「特別支援教育に関する実践研究事業」の委託を受け、「盲ろう児への支援に係る効果的な取組の整理」をテーマに、先天盲ろう児者に関わる地域団体の調査を行うこととなりました。事業並びに調査研究を通して、先天盲ろう児者の方々への支援の在り方および生涯教育の在り方について検討することで、先天盲ろう児者の方々に対する教育の向上を目的としています。 つきましては、下記の要領にて、調査の御依頼を申し上げます。 大変お忙しい時期であるとは存じますが、何卒、本事業の趣旨をお酌み取りいただきまして、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。 敬具 記 1 目的 全国の先天盲ろう児者に関わる地域団体(施設、事業所等)を対象として、先天盲ろう児者の方々の 現在の状況や支援の状況に関するインタビュー調査を通して、先天盲ろう児者の方々への支援の在り 方および生涯教育の在り方について検討するための基礎資料を収集します。 2 主な調査項目 T.貴施設の概要 U.対象となる先天盲ろう児者の概要 V.先天盲ろう児者の方々とのエピソード W.学校に対して臨むこと X.社会に対して臨むこと 3 回答方法 インタビュー形式。インタビュアーが貴施設に直接訪問させていただき質問させていただきます。 4 回答者 ---71 施設長および先天盲ろう児者と直接関わっていらっしゃる職員 5 回答時期 後日御相談させていただきます。 6 倫理的配慮 調査への参加は自由意志であり、調査回答中であっても回答者の意思で中止をすることができます。 プライバシーは固く厳守し、全ての結果を統計的に一括処理するため、個人名等に関する情報は一切 公表しないことをお約束いたします。 7 問い合わせ先 何か御不明な点がございましたら、以下までお問い合わせください。 《調査担当窓口》国立大学法人 宮城教育大学教育学部 三科聡子 電話:022-214-3502 FAX:022-214-3502 メール:mishina@staff.miyakyo-u.ac.jp ---72 資料2.盲ろう者団体調査におけるインタビュー調査項目の骨格 令和5年度特別支援教育に関する実践研究充実事業 「盲ろう児への支援に係る効果的な取組の整理」 インタビュー対象となる施設に対する私たちのスタンスとしては、 ・私達は先天盲ろう児者のことをとても大切な存在と思っていて ・この地域で今も暮らしているその彼らにとって貴施設の存在が非常に大切な存在である ・貴施設の日々の活動に感謝申し上げます という感謝の気持ちを伝えつつ話を進めていくことができればと思います。 <インタビュー項目の骨格> 質問1 貴団体(貴施設)の概要 ・どのような考え方の元にどのような活動をされているか 質問2 対象である先天盲ろう児者の概要 ・人数 ・それぞれの方々の状況 質問3 その方々とかかわる中で ・悩まれていること ・困っていること ・うれしいこと ※エピソードも含めて聞かせていただけるとありがたい。 質問4 学校在学中に「こんな教育を施してくれていて有り難かった」 ・スキル ・経験 ・人とのかかわり 質問5 学校在学中に「こんなことを経験しておいてほしかった」 ・スキル ・経験 ・人とのかかわり 質問6 学校にのぞむこと ・貴施設が現在かかわっている方々との関係の中で ・現在在学中の方々に対して ・その他、先天盲ろう児者全般に関して 質問7 社会に対してのぞむこと ・他の、先天盲ろう児者に関わる団体 ・組織に対してのぞむこと(私達ワーキンググループに対することも含む) ---73 ・行政に関してのぞむこと ・広く社会全般に対してのぞむこと 質問8 今後について ・どのようなことを先天盲ろう児者の方々としていきたいか ・貴施設としてやっていきたいこと ---74 資料2.盲ろう者団体調査におけるアンケート(送付状) 2024年9月25日 盲ろう者友の会 地域団体代表者 各位 特定非営利活動法人 全国盲ろう児教育・支援協会 理事長 福島 智 「盲ろう者友の会及び盲ろう関係団体等における 先天性盲ろう児・者とのかかわりに関するアンケート」 ご協力のお願い 時下、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。 日ごろより、当協会の運営に当たりましては、ご協力たまわり厚くお礼申し上げます。 本アンケートは、文部科学省「令和6年度特別支援教育に関する実践研究充実事業(盲ろう児に対する指導の在り方に係る調査研究)」の一環として、先天性盲ろう児・者が、各地の盲ろう関係諸団体の活動への参加に関する現状を調査し、これらを把握することにより、今後、先天性盲ろう児・者が盲ろう関係諸団体の活動に、他の会員と共に参加するために必要な社会資源やサポートを検討するための資料とする ---75 ことを目的として実施するものです。 なお、本アンケートでは「先天性盲ろう児・者」とは「生まれつき、または言語獲得以前の乳幼児期(おおむね2歳以前)に視覚と聴覚にあわせて障害を受けた方」をさします。 また、本アンケートは、普通文字と拡大文字の2種類を同封しております。ご利用しやすい文字種にてご回答の上、同封の返信用封筒にて2024年10月25日(金)までにご返送ください。データでのご回答をご希望の際は、下記のURLよりアンケート用紙をダウンロードし、メールにてご提出ください。 (https://www.jdba.or.jp/jdbcy/dlfile/2024anket-jdbcy.zip) ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。 【問い合わせ先】 特定非営利活動法人 全国盲ろう児教育・支援協会 (担当:山下・佐藤) 〒162-0042東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 電話 03-5287-1140FAX 03-5287-1141 Eメール jdbcy-info@jdba.or.jp ---76 資料2.盲ろう者団体調査におけるアンケート 【先天性盲ろう児・者とのかかわりに関するアンケート】 1.貴会についてご記入ください。 (1)貴会の名称をご記入ください。(                                     ) (2)回答者のお名前をご記入ください。(任意)(                              ) (3)連絡先(電話又はFAX:                                          ) (Eメール:                                             ) 2.貴会の会員の状況をご記入ください。 (1)貴会の関わっている盲ろう児・者は何名ですか。 友の会等の場合には、「正会員」の数をご記入ください。 (   )名 (2)貴会に関わっている盲ろう児・者のうち、先天性盲ろう児・者は何名ですか。 友の会等で先天性盲ろう児・者本人の代理で保護者が正会員となっている場合も含みます。(   )名 (3)貴会に関わっている先天性盲ろう児・者の年齢をご記入ください。 ア 18歳未満 (   )名 イ 18歳以上 (   )名 (4)貴会に関わっている先天性盲ろう児・者の視覚と聴覚の状況をご記入ください。 ア 全盲ろう  (   )名 イ 全盲難聴 (   )名 ウ 弱視ろう  (   )名 エ 弱視難聴 (   )名 オ 不明    (   )名 (5)貴会に関わっている先天性盲ろう児・者の中で、視覚障害と聴覚障害の他に障害を併せもつ方はいらっしゃいますか。 ア いる (   )名 イ いない ウ 不明 エ その他(                                            ) 3.貴会の活動についてお聞きします。 貴会が実施している主な事業について教えてください。(複数選択可) (1)イベント・交流会の開催 (2)情報提供(機関誌、会報、WEBサイト等) (3)相談支援 (4)訓練(歩行訓練 生活訓練 ICTのサポート等) (5)盲ろう者に対する日中の居場所作り (6)盲ろう者に対する就労支援 (7)盲ろうに関する理解・啓発を求める活動 ---77 (8)盲ろう者向け通訳・介助員の養成 (9)盲ろう者向け通訳・介助員の派遣 (10)盲ろう者向け同行援護従業者の養成  (11)盲ろう者向け同行援護従業者の派遣 (12)盲ろう障害への理解啓発活動や行政への要望活動  (13)先天性盲ろう児・者向けの企画 (具体的内容:                                                  ) (14)その他(具体的内容:                                          ) 4.貴会の活動における先天性盲ろう児・者の参加状況および利用状況をお聞きします。 (1)以下の事業について、先天性盲ろう児・者の参加状況および利用状況を教えてください。 過去1年間に参加及び利用された先天性盲ろう児・者の、のべ人数を記入してください。 実施していない事業については、記入しなくて結構です。 ア イベント・交流会の開催(   )名程度 イ 情報提供(機関誌、会報等であれば配信の登録者数で答えてください)(   )名程度  ウ 相談支援(   )名程度  エ 訓練・リハビリ(   )名程度 オ 盲ろう者に対する日中の居場所作り(   )名程度 カ 盲ろう者に対する就労支援(   )名程度 キ 先天性盲ろう児・者向けの企画(   )名程度 ク 盲ろう者向け通訳・介助員の派遣(   )名程度 ケ 盲ろう者向け同行援護従業者の派遣(   )名程度 (2)以下の事業について、先天性盲ろう児・者に関する内容をどのように取り入れているか教えてください。実施していない事業については、記入しなくて結構です。 ア 盲ろう者向け通訳・介助員の養成 (a)先天性盲ろう児・者についての講義 (   )時間/全体の講義時間(   )時間 (b)先天性盲ろう児・者が講師を担当 (   )時間/全体の講義時間(   )時間 イ 盲ろう者向け同行援護従業者の養成 ---78 (a)先天性盲ろう児・者についての講義 (   )時間/全体の講義時間(   )時間 (b)先天性盲ろう児・者が講師を担当 (   )時間/全体の講義時間(   )時間 ウ 盲ろう障害に関する理解啓発を図る活動に先天性盲ろう児・者に関する内容を含めていますか。 (a)含めている(具体的な内容:                                   ) (b)含めていない (c)その他(                                               ) エ 行政への要望に先天性盲ろう児・者に関する内容を含めていますか。 (a)含めている (具体的な内容:                                  ) (b)含めていない (c)その他(                                                ) 5.貴会での先天性盲ろう児・者のかかわりについてお聞きします。 (1)事業の実施にあたり、先天性盲ろう児・者の参加に向けて工夫していること、配慮していることがあれば、教えてください。(自由記述) (2)これまでに先天性盲ろう児・者が事業に参加したり利用したりする中で、印象に残ったエピソードがあれば教えてください。(自由記述) 6.貴会での先天性盲ろう児・者の参加に関する今後の展望についてお聞きします。 (1)貴会では、先天性盲ろう児・者の参加や利用について、他団体との連携を図っていますか? ---79 ア 図っている(具体的な内容:                                       ) イ 図りたいが、図れていない ウ 図る必要はない エ その他(具体的な内容:                                         ) (2)貴会では、先天性盲ろう児・者に対する支援を会として行っていくことが必要と考えますか? ア 非常に必要と思う イ 必要と思う ウ どちらとも言えない エ あまり必要でない オ 必要ではない カ その他(                                                   ) (3)先天性盲ろう児・者への支援を充実させるために、何が必要だと考えますか?(複数選択可) ア 資金援助 イ 人材育成 ウ 盲ろうに関する専門的な知識・技術の提供 エ 先天性盲ろうに関する専門的な知識・情報 オ 視覚障害・聴覚障害以外の障害に関する知識や情報 カ 学校教育に関する知識や情報 キ 他団体や機関との連携 ク その他(具体的内容:                                         ) (4)先天性盲ろう児・者への支援に関して、ご意見やご提案、社会福祉法人全国盲ろう者協会や特定非営利活動法人全国盲ろう児教育・支援協会への要望などがございましたら、ご記入ください。(自由記述) アンケートは以上です。同封の返信用封筒にて、10月25日(金)までにご返送ください。 ご協力いただき、ありがとうございました。 ---80 資料3.海外調査記録【ニュージーランド調査】 BLENNZを中心とした盲ろう教育関連施設への訪問 2024.3.9〜3.15 BLENNZ (Blind and Low vision Education Network NewZealand) ニュージーランドの視覚障害者、盲ろう者、または視覚障害のある子供や若者のための教育サービスの全国ネットワークで構成されている学校 盲学校は1校(ホーマイスクール)、全国に15箇所のリソースセンター 訪問先 1)ホーマイ学校のクラスでの教育実践(基本的に盲重複障害、盲ろう含む、の子どもたち対象、音楽療法士、理学療法士、言語聴覚士、芸術療法士などの実践場面への参加、教師やセラピストとの情報交換)、校内施設の見学および隣接する盲人協会施設の見学 2)ホーマイ学校でのイマージョンクラス(各リソースセンターで日頃学んでいる子どもたちがスクーリングのように学校に来て集中学習をする) 3)2つのリソースセンター ---81 4)サテライト教室 5)マッセイ大学(特別支援教育教員養成コース) 6)オークランド大学 *Saul Taylor氏、Patrick Pink氏とのズーム協議 盲ろう教育への取り組みのこれまでの経緯 全国をカバーする仕組み(本部、リソースセンター、サテライト) 教員養成(盲ろうに特化した授業)の提供(マッセイ大学) 盲ろう児童・生徒 サービス対象について現在詳細の調査中(データの一部を閲覧) 日程一覧 Mon 11th March 10:30am. arrive on campus 10:40am Tour of the campus 1hr max (Janny & Karen Callaghan for base school) 11:45am Lunch caf? BLENNZ (early) Saul & Sue Arrojado Lead National Assessment team 12.30 Travel to Pukekohe Tamaoho Satellite (car booked for afternoon) 1.30 Student Observation - Precious Krich 2.45 Teacher discussion - Cliff Nyahore 4pm. Saul - small debrief around timetable for the week and farewell for the day. Tuesday 12th March 9:15am Homai base school observation and Teacher conversation: Weka class with Miliana - Teacher (Margaret) 10:30am - 11am Morning Tea with leadership team) 11:00am Deafblind Services in Aotearoa. Definitions, Partnerships with service delivery, funding structures, reporting/IEPs - Saul (Patrick Zoom in) 12:30pm Lunch with some of leadership team (cafe BLENNZ) 1.30pm Discussion with Teacher (Lawrence) re Diam and NJ. Diam left school in 2023. Profoundly deaf and blind. 3.30 Immersion group - Connect/observe. Afternoon tea and play in EC playground (30min approx.) 4pm. Debrief and end of day - Q&A and review tomorrow Weds 13th March 9.15am Homai base school - observation(to 10.15) Opera at BLVNZ rec centre 10.30 Immersion group (Immersion room in Titoki) Trish Bishop Tactile graphics early childhood. 11:00am Observation 2 - Communication group - Speech Language Therapist (Sheryl) and Teacher (Nicola) ADL Room on campus 12:30pm Lunch Cafe BLENNZ ---82 1:30pm Homai base school - observation 4 - Swiss Ball Drumming(to 2.20) with Music Specialist (Wendy)and Physiotherapist (Karina) for Logan and Marvin, followed by Teacher conversation. 1.30pm Immersion group O&M session BLVNZ Rec centre Ernie and Natasha. (Tracey O'Sullivan to guide over - need code for gate) 3.15pm Debrief meeting with Saul (Patrick Pink Zoom in). Thursday 14th March 9.45am Head to Scott Point - arrive visit satellite rooms (Crystal Cane and Codie Douglas) 10:30am Auckland North VRC light morn tea and discussions 11.30am Massey University visit - Postgraduate specialist teacher meeting. Prof Mandia Mentis, Dr Wendy Holley-Bowen, Dr Nic McDowell. 1pm Debrief with Saul Friday 15th March Prof Hiroyuki Sugai only Visit the University of Auckland Saul - zoom to review and debrief (to be organised) ---83 資料3.海外調査記録【オランダ調査】 2月17日(月) Kentalis Rafa?l - St. Michielsgestel(盲ろう学校) 12:30 pm Welcome on location (Entrance E: Travelaar building) 13:30 Pm Explanation about curriculum DB education, school plan, team photo - Marijke Bolwerk   Guided tour through the building - Marijke Bolwerk 2月18日(火) Kentalis Rafa?l - St. Michielsgestel 09:00 am Welcome to location (Entrance E: Travelaar building) Supervision 'Wielewalen' (outdoor education) 12:35 pm Lunch 14:00 pm Afternoon Program 14:00 pm Research presentation Japan - Hiroyuki Sugai, Mayumi Abe and Satoko Mishina 16:00 pm Explanation about Kentalis OpMaat (Team of experts) - Jos? van der Linden 17:00 pm End of program 1.Kentalis Rafaelの概要 公立学校として運営されており、オランダの教育システムの一部として機能している。私立学校は小規模なグループが独自の教育理念を持って設立することが多いが、Kentalisは政府の教育制度に組み込まれている、オランダで唯一の盲ろうに特化した学校である。 現在29人の児童生徒が在籍しており、3?4人の生徒によってクラスが編成されている。在籍児童生徒の半数がCHARGE症候群である。 全ての児童生徒に対して個別の教育計画があり、その計画に基づいて個別指導を重視した学習を進めている。個別の教育計画には、主にコミュニケーションや社会性、自己管理能力等を向上させるための目標が設定されている。また、運動能力や算数などの学習目標も設定可能である。オランダの公教育では共通目標が設定されているが、この学校ではそれを調整し、盲ろう生徒にとって最適な目標を設定している。一般学校に通う盲ろう児もいるが、専門的な支援が必要な場合にはKentalisに在籍している。教育の成果は標準テストでは評価されず、個々の教師によって評価がなされている。教育の目標は将来の社会生活におかれ、できるだけ通常の環境に近い形で教育を受けている。安全で小規模な環境から徐々に広い環境への適応がめざされている。  以前は全職員が40時間のフルタイム勤務だったが、現在は多くの職員がパートタイムで働いており、これにより児童生徒は複数の教師が関わることになっている。児童生徒には限られた人数で関わることが重要と考えられてきたが、社会の変化に応じて教育も柔軟になっている。児童生徒は、将来の社会生活に備えて多くの人々と関わることができるように、少しずつ適応する必要があると考えられている。 しかし、初期段階では、特定の教師と長期間接することで絆を深めることが重要とされている。児童生徒の成長にともない、複数の教師との関わりや開かれた環境に慣れることが求められ、これは、将来の社会で適応できるようになるための準備でもある。 個々の児童生徒のニーズに応じた個別性の高い教育内容を個々のカリキュラムとして柔軟に対応している。これには、触覚コミュニケーション、オブジェクトキューの活用、アウトドア教育等が含まれている。 ---84 他の学校からKentalisに転校をしてくるケースもある。その際には、保護者と連携し、最適な環境を提供することが大切である。また、Kentalisは特別支援学校や一般学校と連携して盲ろう児が適応できるように支援をしている。教師だけでなく、関係者が学校等に訪問し、どのように授業を調整するかを実践的な支援をしている。これは、授業内容や指導方法を盲ろう児のニーズに合わせて調整するための支援である。 2.教師研修プログラム (1)メンター制度とチェックリスト 新任教師は最初の1年間、経験豊富なメンターと共にクラスを担当しながら、実践的な研修を受ける。プログラムはチェックリストに沿って構成されている。チェックリストには、以下の内容が含まれている。 ・学校の組織理解(病気の際の連絡方法なども) ・保護者とのコミュニケーション ・盲ろう児の補助機器(例:補聴器、車椅子) ・カリキュラムの基本などの実務的な内容(例:「スケジュールを読めるか」、「なぜその授業がスケジュールに含まれているのか」、「その授業の目的は何か」)など チェックリストは学ぶべき時期や順番で整理をされている。全ての項目が重要ではあるが、その順序性や優先順位を明確にし、メンターと新任教師が一度に詰め込まないような計画が立てられている。 また、手話コースを受けるタイミングについても柔軟に対応しており、手話の重要性を認識しつつ、最初は少しずつ学び、2年目以降に本格的に手話を学ぶ計画となっている。 (2)3年間にわたる研修計画が設定 Kentalisアカデミーが提供するコースから研修内容を選択する。なかでも、「プライバシー」に関するコースは必須であり、教師は最初の週に受講しなければならない。学校特有のワークショップでは、コミュニケーションツールや計画的な働き方、手話の学びなどに焦点を当てている。最終的には新任教師とアシスタントがすべてのコースを修了することを目指している。 教師はキャリアを通じて継続的な研修を受けることとなる。定期的にチーム研修日が設定され、新しい知識の共有、研究を議論する場を経ながら、理論を深めることができる。 自己研鑽も奨励されており、学校内外での連携も重視している。知識カフェという、教師や他の専門職との間での新しい知識の共有、研究や関心のあるトピックについて議論するためのカジュアルなイベントが開催され、学校内外のコミュニティーの連携を広めている。さらには盲ろうに特化した修士課程での専門的な研修を受けることができる。 3.Kentalis OpMaat (専門家チーム)について (1)概要 オランダの盲ろう者の総数は、少なくとも 4,000 人と推定されている。Kentalisでは、盲ろうを三つのカテゴリーに分類している。 ・先天性盲ろう:盲ろう者の約5%を占める。出生時から、または言語獲得以前に盲ろうとなった状態をさす。CHARGE症候群や風疹症候群などの症候群が原因疾病となるケースが多い。未熟児による場合もある。 ・後天性盲ろう:盲ろう者の95%は後天性盲ろうである。アッシャー症候群などの遺伝的疾患、外傷、髄膜炎 ---85 などの病気により、後年になって盲ろうとなる。多くの場合、視覚や聴覚に制限を受け、盲ろうとなる前に、言語能力やその他のスキルを獲得している。 ・加齢性盲ろう:盲ろう者の70〜75%は65歳以上である。加齢により聴覚や視覚の活用に制限を受ける高齢者は、加齢に伴う健康問題に関連する様々な課題に直面することが多く、先天性または早期に盲ろうとなったケースとは異なる支援が必要になる場合がある。 Kentalisは、先天性および早期に盲ろうとなった盲ろう児者への支援に重点を置いており、加齢性盲ろう者は対象とはしていない、 Kentalisには聴覚・言語障害または聴覚障害のある児童生徒を受け入れるか、または通常学校や特別支援学校で行われる教育を支援するか、という任務がある。さらに、盲ろう児の支援をしており、非常に具体的な指導とアプローチが必要となる。特に Kentalis は、盲ろう児の教育に関わり、盲ろう関する研究や実践の成果を共有する責務がある。ただし、これは必ずしもKentalis の学校に在籍していない盲ろう児の指導を引き継いだり、引き受けることのみを意味するものではない。インクルーシブ教育の原則に沿って、生徒は可能な限り自宅からの通学と教育的支援を受けることが大切である。 Kentalisには、アッシャー症候群、CHARGE症候群、ゼルウィガー症候群、風疹症候群、スティックラー症候群などの症候群を有する児童生徒が在籍をしている。 (2)具体的な支援内容 盲ろう児に対して ・(短期)個別サポート ・コミュニケーションと指導を(より)利用しやすくする ・補助具選択の評価/補助具使用に関するアドバイス ・心理的な支援 ・学校生活全般にわたるモニタリング ・学校間移行に関する支援 ・信頼できる友人を見つける ・仲間作り 保護者に対して ・情報提供とアドバイス ・仲間とのつながり ・保護者会と保護者の取り組み ・保護者自身のヘルスケアからの支援(オプション) 教育関係者に対して ・情報提供とアドバイス ・個々の盲ろう児に適したコミュニケーション方法の導入 ・環境整備 ・学習指導方法、テスト、評価に関する助言 ・心理的な支援 ・盲ろう児の日常生活の調整とそれに関わる人材育成 ---86 ・支援すべきニーズの特定 ・会議への出席 以上の支援を行う際の注意点 ・盲ろうの問題への注意啓発 ・盲ろう児の社会的発達・情緒的発達への注意 ・盲ろう児の活動への参加 ・盲ろう児に応じたコミュニケーションの方法と実践 ・盲ろう児の自立 ・盲ろう児の心理的幸福 ・物理的および社会的に適応した環境の整備 ・個々の盲ろう児に応じた補助具の選択と活用 ・テーラーメイド教育 :パーソナライズまたは個別教育とも呼ばれ、個々の盲ろう児の独自のニーズ、強み、および興味を満たすように設計されている。個別の学習計画に類似している。 (3)Octopetagogyという専門職 Kentalis は、盲ろう児を支援するためにさまざまな組織と連携している。このネットワークは、盲ろうに関する知識の共有、盲ろう教育に関する好事例の開発、包括的な支援の提供によって、盲ろう児・者の生活の質を向上させることをめざしている。 そして、Kentalis OpMaatは、教師や保護者にアドバイスを提供するほか、盲ろう児の社会的・感情的な発展、社会への参加、コミュニケーションの支援を行っている専門家によるチームである。特に、オランダには、盲ろうの教育と支援(ケア)を統合的に担う専門職「Octopetagogy」という職種があり、これは他の国には見られない独自の分野である。Octopetagogyは、特別支援教育だけでなく、居住型ケアの専門知識も持ち合わせている。 これにより、Kentalisは教育機関である学校と生活の場である住宅施設の両方で盲ろう児の支援を行うことができる。Kentalisこの専門知識を世界で唯一提供している機関であると自負している。 (4)Kentalisの課題と今後の取り組み Kentalisは、資金調達や政府の政策変更、特にオランダ国内での認知度の低さという課題に直面している。現在は、各地域でKentalisのサービスを広告し、医師や保護者にその存在を知らせる活動が求められている。また、学校教育と居住型ケアとの連携が以前よりも難しくなっている。それは、教育と福祉を担当する政府機関の分離によって、より複雑になったためだと考えている。 Kentalisでは、盲ろう教育に関心のある国外の学生を対象とした修士課程を設定している。ここでは理論と実践の両方に重点を置いた教育が含まれており、オランダ国内外でインターンシップを行うことが求められる。しかし、近年、予算削減や政策変更の影響を受け、留学生の受け入れが難しくなっている。このため、Kentalisはより多くの学生を募り、修士課程のプログラムの内容の改善を模索している。 その一環として、Kentalisでは、特に早期介入に焦点を当てた新しいプロジェクトが進行中であり、特に幼少期を対象にした研究が行われている。さらに、インターネットを利用して、研究や教育プログラムを世界中に広める ---87 計画を立てている。教育的な実践映像などのインターネット上での公開を検討しており、それにより、多くの国際的な関心を集めることができると考えている。 2月19日(水) Kentalis - Vries(盲ろう施設) 12:30 pm Welcome on location 12:40 pm Lunch prepared by clients 13:30 pm Day care visit - Erika Pranger 14:00 pm Presentation Residential care and education in the North - Erika Pranger,Fokje Jagersma, Marga Leefkens, MSc 15:00 pm Coffee break 15:15 pm Walk, talk and see the location - Erika Pranger 16:00 pm Presentation Dynamic Assessment - Erika Pranger,Fokje Jagersma and Marga Leefkens, MSc 17:00 pm End of program Vries(フリエス)がある北部は、オランダの西部(アムステルダムやロッテルダムのある都市部)と比較すると、交通が不便であるため、移動が難しいという現実がある。 4.Kentalis - Vriesの概要 Vriesでは、盲ろう児者に対して、教育と居住型ケアという個々の盲ろう者に合わせたサポートを提供し、教師や介護者が抱える問題に対して解決策を提供している。盲ろう者の行動変容を認めた場合、その背景を分析し、適切な対策を講じる。 盲ろう者が居住スペースで毎日異なるテーマで活動することで、より多様な経験を積み、スキルを磨くことができる環境設定がなされている。動物の世話や自然とのふれあい、製作活動(バッグや旗を作る、料理をするなど)などが設定されている。盲ろう者が環境に適応した活動できるように、活動の部屋を固定し、必要に応じて他の部屋で異なるアクティビティに参加するなどの配慮がされている。盲ろう者の毎日の状態に合わせて活動内容を調整する。毎日のプランを柔軟に変更し、その日できることを個別対応している。 盲ろう者には個室があり、基本的にはそこで活動する。状態が良ければ他の部屋での活動(料理や買い物)にも参加している。月曜日は買い物、火曜日は料理、金曜日には屋外活動といったように、スケジュールを柔軟に設定している。リストを使って必要なものを購入する買い物の練習をしている盲ろう者もいる。このような日常的なスキルの獲得が盲ろう者の自立につながる一歩だと考えている。さらに、製作活動には、製作物のパッケージや発送準備などの実践的な仕事を通じてスキルを学ぶ機会がある。 また、Vriesには盲ろう者支援に対する専門職が存在する。 ・コミュニケーション専門家:盲ろう者に対して、どのように効果的にコミュニケーションをとるか、個々のニーズに合わせたコミュニケーション方法を考える。スピーチセラピストではなく、盲ろう者がコミュニケーションを取るためにどのようにサポートするかを重視している。 ・視能訓練士:盲ろう者の環境を調整し、学習や発達をサポート。心理学者とは異なり、心理学者が主に心の問題に焦点を当てるのに対し、視能訓練士は環境や盲ろう者本人との相互作用に焦点を当てている。盲ろう者 ---88 への環境整備(例えば、光、音、家具など)。 5.ワークショップ「自分の能力を見せよう」 標準化されたテストに代わる評価アプローチとしての動的評価 (1)静的評価(static assessment)、特に標準化されている評価の課題 先天性盲ろう児は他者とのコミュニケーションに大きな困難を抱えていることから、静的評価の実施は困難である。静的評価を行うためには言語、手と眼の協調、読解が含まれることが多く、視覚や聴覚から情報を得、言葉や運動での回答を求められる。そのため、先天性盲ろう児に対する評価の妥当性が疑問視される可能性がある。 先天性盲ろう児の保護者は、静的評価の結果により我が子の発達が非常に低いと言われた時の苦痛と悲しみを強調している。保護者は子どもの可能性を信じ、IQの低さを知りたいのではなく、発達を保障する方法を知りたがった。認知機能が低いというラベルを貼られた先天性盲ろう児は、発達のレベルが高いとされる子どもとは異なり、教師や保護者から注目されることが少なくなり、質問されることも少なくなるといった対応を受けているという研究結果が示されており、それは学習経験の機会を失い、発達の機会をも奪うことにもつながっている。 先天性盲ろう児の学習成果を評価し、有効な介入方法を明確にするための評価が必要である。実際の評価を行う際に、対象の拡大、コントラストの強化、筆記用具の配慮がなされることも考えられる。しかし、学習経験の少なさによる教材への新奇性や視認の難しさ、口頭説明による課題理解の困難さ、概念の困難さ (高さ、色など)、巧緻性の低さ (鉛筆を持つ、ブロックを重ねるなど) は、評価を行うには有効ではない。 (2)動的評価(dynamic assessment) 私たちは誰もが学ぶことができ、常に盲ろう児の可能性を信じ、成長するために必要なものを評価できると信じている。そして、私たちは障害を評価し、障害によって生じる注意力の低下などを排除する必要がある。したがって、常に「人は何を学べるか、そしてどのように学べるか」を考えている。 動的評価は、専門職間の評価手順であり、コミュニケーションパートナーと盲ろう児とのやり取りを通し、盲ろう児の学習能力と、その能力を実現するために必要な支援を明らかにすることができる。触覚的ワーキングメモリー尺度 (TWMS) は、動的評価の最初のスケールであり、特に先天性盲ろう児向けに開発された。 TWMSは、日常生活における身体触覚ワーキングメモリーを特定する行動観察尺度である。これは先天性盲ろう児を対象とした初めての評価尺度である。認知面や言語面でも、盲ろう児が有する潜在能力を開発し、発揮する機会が確実に得られることを目標としている。それらは丁寧な観察によって可能になることを忘れてはいけない。 2月20日(木) University of Groningen  10:00 am Welcome with coffee and tea (Entrance B) 10:15 am Development of staff training interventions by the Research program 'Development and learning of individuals with deafblindness or complex communication needs: a collaboration between Royal Kentalis & University of Groningen - prof.dr. Saskia Damen 12:15 pm Lunch in Canteen Heymans building 13:30 pm Afternoon program ---89 13:30 pm Supporting teachers with the Influencing Communication & Language intervention - Marianne Rorije, MSc 15:00 pm Coffee/tea break 15:30 pm Master in deafblindness: relevance for teachers - dr. Marja Cantell 16:00 pm International internships - dr. Marja Cantell and Erika Pranger 16:30 pm Bridging program for potential students in Deafblindness or Special Needs education without an academic bachelor - prof.dr. Saskia Damen 17:00 pm End program 18:30 pm Reservation Bistro NOK in Forum Groningen 2月21日(金) Nieuwenhuis Institute and Centrum Groningen 09:30 am Meeting in Nieuwenhuis Institute (Entrance N1) - prof.dr. Alexander Minnaert 10:30 am End of Program 6.Groningen大学でのトレーニングプログラムの開発 Groningen大学ではマリーン・ヤンセン博士が中心となって、盲ろう者の分野における研究と教育のための特別な研究所、Groningen大学盲ろう者研究所 (UGIDB) を立ち上げ、盲ろう教育に関わる研究者養成と教員養成を展開してきている。ここはヨーロッパにおける先天盲ろう児の教育に関する研究チーム(コミュニケーション・ネットワーク)の拠点ともなっている。この大学の研究所は聴覚障害施設・聴覚支援学校(盲ろう教育部門を有する)ケンタリスとも研究協力関係にあり、学生は実際にケンタリスで研究や実習を行っている。 現在、マリーン・ヤンセン博士の後継者として活躍しているサスキヤ博士は、寄付教授であり、Kentalisが教授職を支援している実際には2日間の教授職、他の日はKentalisで上級研究員として勤務している。 KentalisとGroningen大学は、動的評価の実施に向けたプロセスを構築し、関係者がこの評価方法を実際の現場でどのように導入できるかを学ぶためのトレーニングプログラムを開発した。心理学者、ST、OT、コミュニケーション専門家がこのトレーニングを受け、動的評価のステップや実施方法を学んでいる。これにより、専門家は個々の盲ろう児の学習可能性やサポートの方法をより的確に理解し、介入を可能としている。 (1)動的評価と静的評価 静的評価は単一のテストに基づくもので、個人の能力を瞬間的に評価する。特に盲ろうのような複雑なニーズを持つ個人の潜在能力が過小評価されるリスクがある。例えば、発達年齢やIQが低く評価される結果がもたらされることが多いが、それがその個人の未来の可能性を正確に反映しているとは限らない。このような場合、何ができるのか、どのように学べるのかといった視点を無視してしまいがちになる。 動的評価はその人の成長可能性に焦点を当て、介入を通じてどれだけ学び、改善できるかを評価するもので、単に「現在できること」を評価するのではなく、「今後何ができるようになるか」という未来の可能性を重視する。 ---90 (2)触覚を使った介入の一例 盲ろう者に対する具体的な介入の例として「触覚」を使用した活動が紹介されている。 例えば、ある女性は白内障により視力が年々低下していた。視力が低下する中で、視覚に依存しない他の感覚、特に触覚を活用する方法を模索する必要性が生じ、動的評価を通じて触覚を使った活動を導入した。触覚を使った作業や記憶スケール(memory scale)のトレーニングが選ばれた。 介入の一例として、ダンス活動がある。毎週同じ動きを繰り返すことでリズムを感じ、音楽を触覚的に感じ取れるようになった。また、ダンスの途中で触覚を使って音楽に対する反応を深め、過去の経験や思い出を会話に取り入れる練習も行われた。触覚を活用することで、コミュニケーション能力が向上した。介入が進む中で、彼女は触覚を拒むことが減り、触覚を使った活動に慣れ、最終的には触覚的な活動を楽しみ、最終的には彼女自身がより自立した行動ができるようになった。家族、特に父親は、彼女が新たなスキルを習得している様子に感動し、涙を流す場面もあったという。このような変化は、動的評価とその介入方法がいかに効果的であるかを示している。 a)ロナルドのケース ロナルドは9歳の盲ろう児。サスキヤの博士課程の一環として、彼とその両親を対象とし、盲ろう児のコミュニケーションを向上させるための介入方法の開発を目的とした研究を行った。 ロナルドの両親は、「私たちの子はコミュニケーションを取らない」と言い、研究の参加に戸惑いを見せた。これは、両親が「コミュニケーション」を言語でのやり取りに限定した認識しか有していなかったために、ロナルドが実際に行っていた非言語的なコミュニケーション(体の動きや声の発声、手を取って指し示すなど)を彼らが「コミュニケーション」として認識していなかったことを意味する。 これは非常に重要な点である。両親とサスキヤとの間で「コミュニケーション」の理解にギャップがあったことが示しているからだ。 両親は盲ろう児であるロナルドが非言語的なコミュニケーションを行っていることを理解はしていたが、ロナルドにもっと正式な言語獲得やコミュニケーション手段(例えば、手話やオブジェクトの活用)を教えようとし、それがあまり効果的でないとも感じていた。教師はロナルドのコミュニケーション能力向上の可能性に疑問を抱いていた。このような状況では、教師や保護者が十分に支援を受けられる環境が重要であり、こうした支援がロナルドのコミュニケーション能力向上に繋がる可能性がある。 b)ジェラルドのコミュニケーションの課題 ジェラルドは、40歳の先天性風疹症候群の盲ろうの男性。主にジェスチャーを使ってコミュニケーションを取っている。周囲の人々は彼が伝えようとしている内容を誤解していた。この誤解が、彼の行動の誤解につながり、介護者たちは彼が状況を理解していない、あるいは認知症のような問題があると判断してしまうことがあった。また、彼の行動について、介護者はしばしば彼の意図を見逃してしまうこともあった。 例えば、ジェラルドが「具合が悪い」というジェスチャーをしているようにとらえられたが、実際には別の意味を有していた。介護者はそのジェスチャーを痛みの訴えだと誤解し、薬を与えようとした。だが、実際には彼が求めていたのは、退職したスタッフがみあたらないことを「(彼女は)病気なのか?だから、いないのか?」と尋ねていたことが後になってわかったという。また、食事中にジェラルドが叩く動作で新しい玩具を表現していたにもかかわらず、介護者は食事の場面に集中しすぎて、見落としてしまっていた。ジェラルドは玩具に関する正式なサインではなく、自分自身で作り出したサインで示していたのだ。このプロセスを通じて、ジェラルドのコミュニケーショ ---91 ンの中での文脈と介護者の役割の重要性が明らかになった。 ジェラルドの両親、特に父親は、ジェラルドのコミュニケーションの試みに対して積極的に理解しようと努めた。父親は、息子が適切な言葉を持っていなくても、ジェラルドの意図を理解しようとした。たとえば、ジェラルドがシールを取り外して欲しいと伝えようとした際、彼は「切る」というジェスチャーを使ったが、父親はその意図を理解していた。父親が積極的にコミュニケーションを理解しようとする姿勢が、ジェラルドにとって大きなサポートとなったといえる。生涯学習の可能性である。 このジェラルドのエピソードは、盲ろう者のコミュニケーション能力は、生涯にわたって進化するものであることを強調している。介護者や教師に対する教育とトレーニングは継続的でなければならない。コミュニケーションは複雑であり、進化し続ける。盲ろう者のコミュニケーションには、形式的な言語だけでなく、ジェスチャーやボディーランゲージなどの他の方法も重要であることを理解し、これらすべての方法を支援する必要がある。 (3)コミュニケーションの定義と盲ろう児とのコミュニケーション コミュニケーションは「表現」を使って行われ、その表現は人々に意味を持ち、感情、思考、経験を呼び起こす。表現は常に解釈されるべきであり、意味を共有することに困難が生じることは自然なことである。コミュニケーションは「能動的」であり、対話を共に創り上げる。コミュニケーションとは、コミュニケーションのパターンによって認識され、解釈され、作成される表現を使用することで、その意味が交換され、交渉しあい、共有される相互作用プロセスである。 特に教師や介護者にとって、「盲ろう児とのコミュニケーション」は非常に難しいとされる。たとえば、サインを使用している場合、教師たちの読み取りのあいまいさから誤解が生じることもありうる。制限のある視力や聴力により、盲ろう児は情報の多くを見逃し、逆に盲ろう児のわずかな表現を教師が見逃してしまうこともある。それを防ぐためにも、活動の「文脈」を読み取ることが重要となる。 経験豊かな教師でも、盲ろう児との対話やコミュニケーションでの表現を理解できず、ストレスを感じることもある。教師は、日々の支援方法への評価と解決策を見出すことを求められる。そのためにも、個々に応じた支援、個々の生活に基づいた(生活の流れに沿った)支援、認知的な支援方法の研究と実践の結びつきが重要だ。そして、その支援が効果的であるかどうかを確認(評価)するために、実際に教育現場でのフィードバックを得ることが研究には重要だ。しかし、教育施設やケア施設での従事者の短期離職が顕在化していて、それが盲ろう児者に悪影響を及ぼすことにもつながっている。 (4)研究の重要性と展望 サスキヤは盲ろうに関する研究が非常に限られていることを認識しており、教育現場で有効な指導方法や支援方法を見出すことに重点を置いている。従来の理論をもとに、新たな支援方法を開発し、その効果を証明することが求められている。理論を理解しやすく説明することは、保護者や教師に対して必須である。専門的な用語での解説だけではなく、コミュニケーションが立脚している理論と実際の場面での往還であることを示すことに意味がある。教師と盲ろう児とのやりとりをビデオで撮影し、そのビデオを活用することで自己評価する機会を提供している(ビデオコーチング)。教師や介護者は自らのかかわりを観察し、コミュニケーションの実際を分析し、調整を行うことができる。 盲ろうに関する専門家と保護者とのコミュニケーションを確立するためにも、専門的な、技術的な用語の正確な理解と使用は、盲ろうに関する理解を確実にすることにつながる。保護者が明確に我が子の状況を説明でき ---92 ることは保護者に自信を持たせ、専門家との会話において自らの意見に耳を傾けてもらえるという安心感を得ることができる。これは介護者にも言えることで、介護者と専門家との間での意味のある会話が成立することで、介護者をエンパワーメントし、盲ろう児への支援によりよい結果を生むこととなる。 盲ろう児とのかかわりの場に専門家が同席することは、即時的なフィードバックと指導の提供を可能にする。これにより、教師たちはその場に応じた学びを得ることができ、状況に適応できるようにもなる。オンラインでのプロジェクトは創造的なアプローチではあるが、技術的な課題もあるようだ。 7.修士課程のプログラム 2006年に開設された修士課程は「コミュニケーションと盲ろう障害」として始まり、現在では「盲ろう障害の修士課程」として、広範囲な教育を提供している。世界中からの留学生を受け入れ、修士課程中にインターンシップがあり、盲ろう児との実践の経験を得ることができる。また、各国での盲ろう者への政策や支援の現状についても学修を保障している 教育学と心理学の間に位置する「Octopetagogy」プログラムであり、心理学修士号を取得できるが、ほとんどの学生は教育関連で働くことを望んでいる。この課程は、教育学と心理学の理論と実践を組み合わせており、実践における評価や介入に特化している。 (1)修士課程のカリキュラム 盲ろう障害の概論:学期の初めに3週間の集中的な授業。 理論とモデル:盲ろうの個別ニーズに応じた理論やモデルを学ぶ。Vygotskyの最近接発達領域(ZPD)理論を学ぶ。 政策コース: 各国の盲ろう者に対する政策を調査し、盲ろう障害に対する社会的アプローチを学ぶ。 実践的な経験;オンライン講義もあるが、キャンパスでの集中講義もある。 非常に実践的な内容(事例研究)が盛り込まれている。学問的な知識だけでなく、さまざまな文脈で盲ろう児者を支援するための実践的な技術を身につけることができる。 インターンシップ:現場での実践経験を通じて、理論と実践の関連を持つことをめざしている。 10月〜6月にかけ、560時間の実施。 特別講師とゲスト講師:多くの専門家や経験者がゲスト講師として参加。 修士論文:テーマも多岐に渡り、インクルーシブなコミュニケーションを使ったセーリングのパフォーマンス向上や、盲ろう者の世代間コミュニケーションの探求など。 (2)インターンシップ 盲ろう児者と働く経験を積むことで、学問的なスキルだけでなく、実践を学ぶ意義を有する。インターンは、盲ろう児者のケースレポートを詳細に作成し、その人物の行動を評価し、介入計画を立案する。行動に関する仮説を立て(例えば、「なぜこの人は服を脱いでしまうのか」)、その仮説を評価する。そして、評価に基づいて介入を計画・実施し、その効果を評価する、という過程を経る。 インターンシップ受け入れ機関と大学の両方からスーパーバイザーがフィードバックをする。介入プロセスには、当該盲ろう児に関わる介護者や教師、関係者が含まれる。インターンは、盲ろう児者の発達における環境や関係者の影響も考慮する必要がある。場合によっては、介入は個人だけでなく、介護者や教育関係者を含むシ ---93 ステム全体に焦点を当てることもある。 8.介入プログラム 介入の目的は、盲ろう児者がコミュニケーションを通じた自立を支援することにある。介入は、保護者、教師、介護者などのコミュニケーションパートナーを対象としている。介入には、「共感と感情の共有」「意味の共有と環境でのコミュニケーション」「これまでのフェーズの強化とコミュニケーション能力の拡大」といったの3つのフェーズが存在する。 介入は、特定の理論と内容に基づいて教師に対して行われ、ビデオによるフィードバックを用いたコーチングが重要な要素として使用されている。ビデオ分析(10秒間隔での厳密なビデオコーディング)、アンケート、およびコーチングセッションの録画を通じて評価される。 (1)盲ろう児の主体性を作り出す機会の提供 a)スペースの提供:コミュニケーションパートナー(CP)が盲ろう児のジェスチャーに反応するためのスペース(余地)の提供や、盲ろう児が考えるために時間の確保や質問を投げかけ、反応を促す方法、盲ろう児に反応する機会を与えるための方法の保障。 b)独立した行動の確認:CPは、盲ろう児の行動や発話を確認し,その行動が認識されたことを示す。例えば、盲ろう児がある対象に手を伸ばした際に、「車が欲しいんだね」と確認すること。 c)盲ろう児が示したトピックへの反応:盲ろう児が何かを示すことが重要な条件となる。盲ろう児からの反応がない場合、その後の対応が難しくなる。第1フェーズと第2フェーズを組み合わせた形で、示した内容を確認し、その後に盲ろう児に対応することが望ましい。 (2)コミュニケーションへの対応 a)共通の注意を作る:CPは、盲ろう児が話したい対象に注意を向け、盲ろう児にその注意が向けられていることを伝える。このようにして、双方が同じものに集中する機会を作る。 b)コミュニケーションの追加:盲ろう児が「飲む」というサインを示した場合、CPはその行動に追加情報を加える。「君は飲んでいるね」「レモネードを飲んでいるんだよ」など、追加することで盲ろう児の表現を豊かにする。 c)象徴的なコミュニケーションの提供:現在の事象にとどまらず、過去や未来について話すことができるようにする。時間を超えたコミュニケーションを学ぶ。 d)視点を取る:自分自身や他者の意見や感情、考えを共有し、相手の気持ちや立場を理解し、共感力を育む。 (3)ビデオ録画とその後のディスカッション a)教師と盲ろう児とのインタラクション:例えば、30秒間「待つ」ことが教師にとっては長く感じるかもしれないが、盲ろう児が反応するために必要な時間を与えることが重要である。教師はそのために間を取って、子どもが反応できる時間を提供する。 b)盲ろう児の行動の詳細な観察:例えば、盲ろう児が自分の手を使って教師や人形に動きを向けるなど、盲ろう児が身体的・感情的にどう関わっているか、を丁寧に観察をする。これは、コミュニケーションの自主性を盲ろう児が取っているかを示している。 例えば、教師が盲ろう児が「お父さん」と表している仮定したが、実際には「キス」を伝えようとしていたという場 ---94 面をビデオ動画で確認することができた。これが 「意味の交渉」における難しさを浮き彫りにしている。教師は、ジェスチャーやサインを解釈する際に誤解を生じていることを示している。また、別のビデオ動画では、象徴的なコミュニケーションを使用して、盲ろう児がサンタクロースを思い出しているかもしれないと教師は仮定をしたが、盲ろう児は必ずしもその意味を伝えようとしていたわけではないかもしれない。教師はサンタクロースを家に迎えることを連想してその可能性について言及しているが、実際には子どもはその意図を持っていなかった可能性もある。これも、非言語的なサインを解釈する難しさや、教師が盲ろう児の行動に意味を投影するリスクを示している。 さらには、人形を使って、盲ろう児がどのように他者の視点を学んでいくかが示されている。教師は人形を使って、ほかの視点を持つ「第三者」としての会話を作り出し、これが盲ろう児の視点理解を促進する。人形など使ったロールプレイは、子どもが異なる視点を探るのに効果的なツールとなりうる。 c)盲ろう児と教師による快適で信頼できる環境の構築:教師は、盲ろう児が安全に、そして自分のペースでコミュニケーションをとれる空間を提供することを求められる。インタラクションは、教師と盲ろう児との間の信頼を築くことであり、盲ろう児は自らのペースで関わり、教師がそのペースを尊重することを知っているため、積極的にコミュニケーションに参加することができる。 ---95 資料4.文献リスト(令和3年度文部科学省成果報告書から) 【資料A】盲ろう児の教育等に関して文献資料やインターネットを通じてその存在が知られているもの (No. 文献名 著者 発行年 掲載誌 サイトリンクの順) A1 ろう盲(二重障害)児 堀江貞尚 1953 東北大学教育学部研究年報、41、73ー81 A2 盲学校における重複障害教育の管理運営および盲ろう児の指導計画に関する研究 山梨県立盲学校 1961 A3 言語行動の系譜 梅津八三 1967 東京大学公開講座、言語III9、東京大学出版会、49−82 A4 226 概念行動の基礎学習:1重複障害者の教育:その1盲ろう二重障害者の教育目的(2.学習) 中島昭美 1968 日本教育心理学会総会発表論文集10(0)、94−95 CiNii論文ー226概念行動の基礎学習:1重複障害者の教育:その1盲ろう二重障害者の教育目的(2.学習) A5 227 概念行動の基礎学習:1重複障害者の教育:その2盲ろう二重障害者の教育方法(2.学習) 中島昭美 1968 日本教育心理学会総会発表論文集10(0)、96−97 CiNii論文ー227概念行動の基礎学習:1重複障害者の教育:その2盲ろう二重障害者の教育方法(2.学習) A6 重複障害教育の手びき一盲聾児・盲精薄児・聾精薄児 文部省 1970 東洋館出版社 A7 山梨県立盲学校における盲聾教育に関する研究ー文部省指定実験学校報告書ー 文部省初等中等教育局特殊教育課 1970 A8 盲ろう児の言語行動の形成 梅津八三 1970 言語の科学、2、90−123、東京言語研究所 A9 盲ろう二重障害児の言語行動に関する初期学習の試みについて 前東孝儀・高橋渉 1973 日本特殊教育学会第11回大会発表論文集、52−53 A10 Formation of verbal behavior of deafblind children Umezu,H. 1974 Proceeding of the 20th international congress of psychology Science council of japan、48−74 A11 心理学的行動図 梅津八三 1976 重複障害教育研究所研究紀要、創刊号、1−44 A12 弱視難聴児(S・I)の初期学習 大谷幸雄 1977 重複障害教育研究所研究報告書、創刊号、17−26 A13 視覚・聴覚二重障害児の5年間の記録ー算数の学習を中心として 後藤新平 1979 重複障害教育研究所研究報告書(3)、p117−167、1979−02 Cinii論文ー視覚・聴覚二重障害児の5年間の記録ー算数の学習を中心として A14 盲ろう二重障害児M.Fの初期学習 松木龍夫 1980 重複障害教育研究所研究報告書(4)、p49−57 A15 盲ろう児H君の初期学習 神尾裕治 1981 重複障害教育研究所研究報告書(5)、p77−94 A16 盲ろう二重障害児の指導のなかから:自傷行動を中心として 前東孝儀 1982 情緒障害教育研究紀要(1)、75−79、1982−03 北海道教育大学旭川分校障害児教育研究室 CiNii論文−盲ろう二重障害児の指導のなかから:自傷行動を中心として A17 盲聾唖児教育─三重苦に光を─ メシチェリャコフ著、坂本市郎訳 1984 ナウカ A18 各種障害事例における実践研究 中澤恵江 1985 国立特殊教育総合研究所研究紀要、12、99−106 A19 指点字とは 福島智 1988 小島純朗・塩谷治(編)、ゆびで聴く、松籟社、70−80 A20 重度重複障害教育の実態調査報告書 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部 1989 A21 重度・重複障害児の教育―盲ろう児の指導実践に学ぶ 志村太喜彌 1989 コレール社 A22 宮城県立盲学校における盲聾児教育について 細目里美 1991 高杉弘之(編)盲襲重複障害児の教育的処遇の実態に関する調査研究一研究報告書一、心身障害教育財団 A23 盲ろう児教育の効果的な運営に関する基礎的研究 川村正也 1991 視覚障害教育論文集(3)筑波大学心身障害学系、103−113 A24 視覚と聴覚に障害を持つ重複障害児の指導ーその1 KW児の幼児期の指導を中心にして一 中川暮美 1991 視覚障害教育実践研究、6、12−28 A25 盲聾重複障害児の教育的処遇の実態に関する調査研究 高杉弘之・土谷良巳・中澤惠江 1991 研究報告書、心身障害児教育財団 A26 食べること学ぶこと話すことーYo君との3年間の係わり合いを通してー 荒木良子・松木健一 1992 科学研究費補助金研究成果報告書「多様な感覚障害を伴う重複障害児の日常生活の初期的行動調整の促進に関する実践的研究」一般研究B、60−113 A27 Yさんとの合宿における係わり合いから学んだこと 藤島省太 1992 科学研究費補助金研究成果報告書「多様な感覚障害を伴う重複障害児の日常生活の初期的行動調整の促進に関する実践的研究」一般研究B、15−26 A28 視覚・聴覚及び軽度精神発達遅滞の障害を持つY児との関わり合いー「養育と指導訓練について」一 堀内伸浩 1992 科学研究費補助金研究成果報告書「多様な感覚障害を伴う重複障害児の日常生活の初期的行動調整の促進に関する実践的研究」一般研究B、35−59 A29 盲難聴幼児の生活の広がりを促す方策を探る一集中指導を通してー 川住隆一 1992 科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書「多様な感覚障害を伴う重複障害児の日常生活の初期的行動調整の促進に関する実践的研究」(研究代表者:土谷良巳)国立特殊教育総合研究所、114−124 A30 視聴覚二重障害を伴う子どもとの係わり合い一係わり合いの滞りに視点をおいて一 松田直 1992 科学研究費補助金研究成果報告書「多様な感覚障害を伴う重複障害児の日常生活の初期的行動調整の促進に関する実践的研究」一般研究125−136、341ー347 A31 盲聾であることと探索活動一不確定域における一人の盲聾児の行動調整の現れー 土谷良巳 1992 国立特殊教育総合研究所研究紀要、19、1−9 ---96 A32 ある盲聾児との教育的係わり合い一不登校への対処とその経過について 吉武清武・畠山重人 1992 科学研究費補助金研究成果報告書「多様な感覚障害を伴う重複障害児の日常生活の初期的行動調整の促進に関する実践的研究」一般研究B、27−34 A33 現代ロシアもう・ろう児教育の系譜 広瀬信雄 1992 『山梨大学教育学部研究報告第1分冊、人文社会科学系』通号43:193−201、山梨大学教育学部 A34 盲ろう児の言語発達と教育に関する文献的考察:「読み」の指導と想像力の形成を中心に 福島智 1994 特殊教育学研究32(1)、9−17、1994 CiNii論文ー盲ろう児の言語発達と教育に関する文献的考察:「読み」の指導と想像力の形成を中心に A35 視覚・聴覚二重障害を伴う重複障害児の指導に関する実践的研究(2) 狩野和哉 1994 日本特殊教育学会第32回大会発表論文集、692−693 A36 視覚障害と聴覚障害を併せもつ児童・生徒の実態調査 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部 1994 A37 視覚と聴覚に障害を併せもつ弱視難聴の児童の環境整備に関する事例報告(2) 水谷みどり・宮下幸江・水谷厚彦・中野泰志 1994 弱視教育、32(3)、8−15 A38 視覚と聴覚に障害を併せもつ弱視難聴の児童の環境整備に関する事例報告(1)関みどり・宮下幸江・水谷厚彦・中野泰志 1994 弱視教育、32(1)、7−15 A39 点字リベットにおける触覚的異同の関係づけーある盲襲児の記号操作の基礎学習から一 柴田保之 1994 日本教育心理学会第36会総会発表論文集、553−554 A40 早期教育から始めた弱視・難聴のN児の発達について 鈴木修子 1994 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部(編)重度・重複障害児の事例研究、17、7−12 A41 盲聾であることと探索活動(その2)ー拠点形成と確定域拡大における秩序一 土谷良巳 1994 国立特殊教育総合研究所研究紀要、21、77−84 A42 盲ろう児の言語・コミュニケーション能力の発達と教育に関する研究一情報保障に焦点をあてて一 三科聡子 1995 日本特殊教育学会第33回大会発表論文集、830−831 A43 視覚障害と聴覚障害を併せ有しているA児に対する言葉の指導について 中村國男 1995 横盲教育、41、28 A44 ある先天性盲ろう児の「閉じこもり」からの立ち直り 菅井裕行・畠山重人・細目里美 1995 障害児教育学研究、2(2)、45−52 A45 視覚・聴覚二重障害児の自主的・能動的な活動を促す取り組み 菅井裕行・鈴木信博・緒方圭子・羽生宏義・細目里美 1995 障害児教育学研究、2(2)、61−76 A46 弱視難聴幼児の発達過程 立石博章・神波修・吉武清實 1995 日本特殊教育学会第33会大会発表論文集、844−845 A47 盲ろう者実態調査報告書 全国盲ろう者協会 1996 社会福祉法人全国盲ろう者協会 A48 盲ろう者とノーマライゼーション 癒しと共生の社会をもとめて 福島智 1997 一般社団法人日本特殊教育学会 A49 未奈ちゃんがおしえてくれたこと 岩崎和美・木村幸子 1997 石川県親子通所センター「子ども達とのかかわりを求めて」、1、1−14 A50 重複視聴覚障害児のための手話教育システム構築の試み 中澤達夫 1997 信州大学教育学部教育実践研究指導センター紀要5、181−189、1997−06 CiNii論文−重複視聴覚障害児のための手話教育システム構築の試み A51 進行性の視覚障害と聴覚障害のある生徒の理解と支援に関する事例研究 中澤惠江・中野泰志・佐藤正幸・佐島毅 1997 国立特殊教育総合 研究所研究紀要、24、89−100 A52 探索活動とコミュニケーションにみられる「さぐりとたしかめ」一視覚聴覚二重障害と肢体不自由を伴う事例の外界との係わりから一 土谷良巳 1997 国立特殊教育総合研究所研究紀要、24、101−110 A53 サカリャンスキー先生と子どもたちーもう・ろう重複障害児教育の記録 サカリャンスキー著、広瀬信雄編訳著 1997 湘南出版社 A54 難聴を併せもつ言重複児に設定した学習の場とそこでの取り組みと係わり 塙忠蔵 1998 重度・重複障害児の事例研究、21、9−14 A55 盲ろう二重障害における初期的なひととの係わり合い 土谷良巳・菅井裕行 1998 国立特殊教育総合研究所研究紀要、25、83−98 A56 ありちゃんのは・な・しーある弱視ろう児における通じ合いの形成ー 阿部真由美 1999 障害児教育学研究、6(1)、51−54 A57 先天性盲聾二重障害を背負うゆかりさんとの十五年間の係わりから学ぶこと 木村允彦 1999 金沢大学教育学部紀要教育科学編、48、213−236 A58 盲ろう障害がもたらす課題の整理とこれからの支援の展望一日本各地から寄せられた相談と問い合わせの分析を通してー 中澤惠江 1999 国立特殊教育総合研究所研究紀要、26、23−36 A59 「分かりあう」過程としての学習 重度・重複障害児の事例研究 菅井裕行 1999 国立特殊教育総合研究所研究紀要22、29−38 A60 視覚聴覚二重障害事例における点字信号系活動の形成・促進に関する学習 菅井裕行・土谷良巳 1999 国立特殊教育総合研究所研究紀要、26、85−96 A61 ある弱視ろう児の「視る力」を促す係わりについて 阿尾有朋・立石博章・吉武清寛 2000 重度・重複障害児の事例研究、23、23−27 A62 視覚聴覚二重障害を有する児童・生徒の実態調査報告書 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部 2000 A63 視覚・聴覚に障害のあるKちゃんとのかかわり合い 大内洋一 2000 聴覚障害、594、31−35 A64 1999Survey−the educational situation of deafblind students in Japan Sugai,H.&Tsuchiya,Y. 2000 DBI Review、25、16−21 A65 久里浜だより(289)視覚聴覚二重障害児の実態に関する調査研究から 土谷良巳 2000 教育と医学48(1)、83−85、2000ー01 CiNii論文ー久里浜だより(289)視覚聴覚二重障害児の実態に関する調査研究から A66 ネゴシエーションの視点からみた初期的コミュニケーションー先天的な盲ろう二重障害におけるコミュニケーションをめぐってー 土谷良巳・菅井裕行 2000 国立特殊教育総合研究所研究紀要、27、77−88 ---97 A67 視覚、聴覚の障害が伝達行為の発達に及ぼす影響一母子の相互作用に関する研究の展望一 阿尾有朋・上埜高志・吉武滑實 2001 東北大学大学院教育学研究科研究年報、49、333ー341 A68 視覚聴覚二重障害児の視機能評価と教育的支援についての事例報告一文字処理有効視野の評価を中心にー 林尚美・中野泰志・中澤惠江 2001 一般研究報告書 重複障害児の視機能評価と教育支援についての研究一特殊教育諸学校と通園施設での取り組みを通してー(平成11年度〜平成13年度)、独立行政法人国立特殊教育総合研究所重複障害 教育研究部、14−23 A69 盲ろう児のコミュニケーション方法一分類と体系化の試みー 中澤惠江 2001 国立特殊教育総合研究所研究紀要、28、43−55 A70 英国における特殊教育の現状と展望一盲ろう教育の独自性と専門研修に焦点をあてて 菅井裕行 2001 国立特殊教育総合研究所研究紀要、28、131−145 A71 欧米における盲ろう教育の動向一イギリス・デンマーク・ノルウェー・アメリカにおける取り組みー 菅井裕行 2001 国立特殊教育総合研究所世界の特殊教育、15、33−48 A72 聾の両親をもつ視覚聴覚二重障害・脳梁形成不全児1例の乳幼児期言語・コミュニケーション発達と母子指導の経緯 黒田生子・今村清志・伊藤泉・瀧本勲 2002 音声言語医学、43、375−385 A73 手で食べるー盲聾肢体不自由児の摂食行動拡大の経過ー 中村保和 2002 障害児教育学研究、第7巻第1号、45−52 A74 障害の重度・重複化 中澤惠江 2002 聴覚障害、57、9−12 A75 盲ろう教育とネゴシエーション研究ーその背景「先天性盲ろう児の語・意味生成としてのネゴシエーションに関する研究 菅井裕行 2002 科学研究費補助金研究報告書、基盤研究c−2、研究代表者土谷良巳」、22−28 A76 係わり合うなかでの子どもの理解一盲難聴二重障害であるNとの係わり合い一 土谷良巳 2002 国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部(編)重度・重複障害児の事例研究、25、31−45 A77 先天性盲ろうの子どもの語・意味生成としてのネゴシエーション 土谷良巳他 2002 日本教育心理学会総会発表論文集44(0)、S24−S25 CiNii論文ー先天性盲ろうの子どもの語・意味生成としてのネゴシエーション A78 盲ろう教育研究についての最新情報 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 2003 教育と医学、51(4)、89−91 A79 東京都の盲ろう教育事情 後藤新平 2003 埼玉大学教育学部障害児教育講座細淵研究室「東京の障害者教育史研究会」編誌1−17.393 A80 視覚聴覚二重障害児の視機能評価と教育的支援についての事例報告:文字処理有効視野の評価を中心に 林尚美 2003 日本眼科紀要=Folia ophthalmologica Japonica54(8)659−663、2003−08−28 CiNii論文ー視覚聴覚二重障害児の視機能評価と教育的支援についての事例報告:文字処理有効視野の評価を中心に A81 Jくんとの係わり合い(その2) 中田誠・峯敦子 2003 科学研究費補助金研究成果報告書「先天性盲ろう児の語・意味生成としてのネゴシェーションに関する研究」基盤研究c−2、39−54 A82 『横浜訓盲学院の盲ろう教育』〜盲ろう教育部の取り組み〜 鈴木弘子 2004 横浜訓盲学院 A83 盲ろう児の余暇活動に関する基礎的考察 中村保和・川住隆一 2004 東北大学大学院教育学研究科研究年報、52、319ー336 A84 学校コンサルテーションによる重複障害教育担当教員の専門研修支援に関する研究 菅井裕行 2004 平成13−15年度科学研究費補助金(基盤研究c2)研究成果報告書、研究代表者:菅井裕行 A85 感覚障害を伴う重複障害児教育をめぐる研究動向:視覚聴覚二重障害を中心に 菅井裕行 2004 特殊教育学研究41(5)、521−526 CiNii論文−感覚障害を伴う重複障害児教育をめぐる研究動向:視覚聴覚二重障害を中心に A86 視覚聴覚二重障害教育を担当する教師の専門性一視覚聴覚二重障害が初期発達に及ぼす影響について一 菅井裕行・吉武清実 2004 日本教育心理学会総会発表論文集44(0)、S24−S25 A87 カレンダーボックス 土谷良巳 2004 上越教育大学障害児教育実践センター紀要、10、63−66 A88 感覚障害を伴う重複障害児(盲ろう児を含む)への教育的支援 後上鐵夫 2005 世界の特殊教育19、1−5、2005−03、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 CiNii論文−感覚障害を伴う重複障害児(盲ろう児を含む)への教育的支援 A89 日本における盲ろう教育の展開と重複障害教育への貢献 中澤惠江 2005 世界の特殊教育19、7−12、2005−03、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 CiNii論文−日本における盲ろう教育の展開と重複障害教育への貢献 A90 弱視ろうの子どもとの相互的・共同的活動における「注意の共有」ー事例研究ー 土谷良巳 2005 日本特殊教育学会第43回大会発表論文集、738 A91 盲難聴の子どもとの「イメージを共有する」活動ー事例研究ー 土谷良巳 2005 日本教育心理学会第47回総会発表論文集、527 A92 弱視ろう児への組織的な働きかけにおける会話状況の展開過程:話し相手による情報保障に視点をおいて 中村保和・川住隆一 2006 特殊教育学研究44巻、1号p.35−46 弱視ろう児への組織的な働きかけにおける会話状況の展開過程:話し相手による情報保障に視点をおいて(jst.go.jp) A93 学校コンサルテーションによる特殊教育教師の専門性支援ー視覚聴覚二重障害教育を担当する教師を支援した事例ー 菅井裕行 2006 コミュニティ心理学研究9(2)、134−148 CiNii論文−学校コンサルテーションによる特殊教育教師の専門性支援―視覚聴覚二重障害教育を担当する教師を支援した事例― A94 重症心身障害児・者とのコミュニケーション 土谷良巳 2006 発達障害研究、28、238−247 A95 弱視ろう児における「過去の出来事」に関する会話の特徴と維持 中村保和・川住隆一 2007 東北大学大学院教育学研究科研究年報、56、229−245 A96 盲ろう児のかかわり手との共同的活動の展開過程ー触覚的共同注意の操作的定義を用いてー 中村保和・川住隆一 2007 特殊教育学研究、45、179−193 CiNii論文−盲ろう児のかかわり手との共同的活動の展開過程:触覚的共同注意の操作的定義を用いて A97 盲ろう児の余暇の過ごし方ー保護者に対する質問紙調査を通してー 中村保和・川住隆一 2007 特殊教育学研究、44(5)、301−313東北大学大学院教育学研究科教育ネットワークセンター年報(7)、59−68、2007−03 A98 弱視ろう児に対するコミュニケーション支援ー大学における教育相談でのかかわりを通して 中村保和 2007 東北大学大学院教育学研究科教育ネットワークセンター年報(7)、59−68、2007ー03 CiNii論文ー弱視ろう児に対するコミュニケーション支援--大学における教育相談でのかかわりを通して A99 学校コンサルテーションによる盲ろう児担当教員支援の試み 菅井裕行2007 宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要(2)、1−14、2007−03 CiNii論文−学校コンサルテーションによる盲ろう児担当教員支援の試み ---98 A100 盲ろうに加えて重度障害を有する子どもへの教育的支援に関する実践研究 菅井裕行 2007 東北大学博士学位論文 P1H190091(1).pdf A101 身体接触を拒む盲ろう児とのやりとり形成の試み 菅井裕行 2008 障害児教育学研究、12(1・2)、50ー63 A102 先天性盲ろう児の初期コミュニケーション(自主シンポジウム29、日本特殊教育学会第45回大会シンポジウム報告) 菅井裕行 2008 特殊教育学研究45(5)、327−328、2008−01−31 CiNii論文ー先天性盲ろう児の初期コミュニケーション(自主シンポジウム29、日本特殊教育学会第45回大会シンポジウム報告) A103 視覚・聴覚二重障害生徒の教育(特集 障害の重複化・多様化に対応した教育) 武井洋子他 2008 特別支援教育(29)、16−19 CiNii論文ー視覚・聴覚二重障害生徒の教育(特集 障害の重複化・多様化に対応した教育) A104 盲ろう教育における教員の専門性向上のための研究 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(平成21年) 2009 専門研究B研究成果報告書(平成19年度〜20年度) A105 実践研究論集等ー退職を迎えてー 後藤新平 2009 東京都立八王子盲学校(平成21年3月) A106 視覚・聴覚二重障害児の5年間の記録 後藤新平 2009 東京都立八王子盲学校(平成21年3月) A107 先天性盲ろうの子どものコミュニケーションにおける係わり手との関係性ー接近・回避の文脈に視点をおいた弱視難聴二事例による考察ー 土谷良巳 2009 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要、15、15−21 A108 弱視難聴児との会話の質的変容を目指した実践研究ー繰り返される発言に対する係わり手の働きかけに視点をおいてー 藤原結香・菅井裕行 2010 日本特殊教育学会第48回大会発表論文集、403 A109 先天性盲ろう児へのコミュニケーション支援(自主シンポジウム31、日本特殊教育学会第47回大会シンポジウム報告) 菅井裕行 2010 特殊教育学研究47(5)、378−379、2010−01−31 CiNii論文ー先天性盲ろう児へのコミュニケーション支援(自主シンポジウム31、日本特殊教育学会第47回大会シンポジウム報告) A110 盲ろう児への支援事例 堀内恭子 2011 視覚リハビリテーション研究=Japanese journal of vision rehabilitation1(2)、115−119 CiNii論文ー盲ろう児への支援事例 A111 盲ろう(弱視難聴)障害のある生徒の通学開始に向けての歩行指導の試み:大学・学校の連携(コラボレーション)による支援 菅井裕行 2011 感覚代行シンポジウム37、77−80、2011−12−05 CiNii論文ー盲ろう(弱視難聴)障害のある生徒の通学開始に向けての歩行指導の試み:大学・学校の連携(コラボレーション)による支援 A112 欧州における先天性盲ろうの子どもとの共創コミュニケーションアプローチ 土谷良巳 2011 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要、17、1−11 A113 盲ろう者として生きて−指点字によるコミュニケーションの復活と再生 福島智 2011 明石書店 A114 先天盲ろう児教育の夜明け:山梨県立盲学校における実践記録(特集 戦後の障害者史(1945〜1975):ゼロからのスタートを省みる) 岡本明 2012 ノーマライゼーション:障害者の福祉32(8)、36−38、2012−08、日本障害者リハビリテーション協会 CiNii論文ー先天盲ろう児教育の夜明け:山梨県立盲学校における実践記録(特集 戦後の障害者史(1945〜1975):ゼロからのスタートを省みる) A115 もう一人の奇跡の人「オリガ・I・スコロホードワ」の生涯 広瀬信雄・千明弘美・宮井清香 2012 新読書社 A116 先天性盲ろう乳幼児のコミュニケーション方法の形成過程 熊田華恵・中川辰雄 2013 横浜国立大学教育人間科学部紀要T、教育科学15、49−64 A117 先天性盲ろう乳幼児の保護者が養育時に抱える困難に関する研究 熊田華恵・土井幸輝・杉中拓央・中澤恵江・畠山拓朗・中川辰雄 2013 日本感性工学会論文誌、12、537−543 A118 盲ろうあ児教育のパイオニア・サカリャンスキーの記録 サカリャンスキー・スカロホードワ・メシチェリャコフ著、広瀬信雄編訳著 A119 盲ろう児の指導 菅井裕行 2015 玉村公二彦・清水貞夫・黒田学・向井啓二(編)、キーワードブック特別支援教育―インクルーシブ教育時代の障害児教育― クリエイツかもがわ、126−127 A120 重複障害教育Vー盲ろう(盲ろう二重障害)教育ー 柘植雅義・木船憲幸(編)、改訂新版特別支援教育総論土谷良巳 2015 放送大学出版、122−139 A121 山梨盲・盲ろう教育資料群からの問いかけ今につながる研究と実践の記録 星野敏康 2016 視覚障害:その研究と情報(341)、1−7、2016−10 CiNii論文−山梨盲・盲ろう教育資料群からの問いかけ 今につながる研究と実践の記録 A122 先天盲ろう児教育資料の分析および資料電子化の試み(福祉情報工学) 岡本明 2016 電子情報通信学会技術研究報告=IEICE technical report:信学技報116(139)、31−36、2016ー07−15 CiNii論文ー先天盲ろう児教育資料の分析および資料電子化の試み (福祉情報工学) A123 盲ろう児教育の歴史と現代:その開始と現代的サービスの支援機器 小野佐保子・仙宅元記・広瀬信雄 2016 山梨障害児教育学研究紀要=山梨障害児教育学研究紀要(10)、96−110、2016ー02−01 CiNii論文ー盲ろう児教育の歴史と現代:その開始と現代的サービスの支援機器 A124 先天盲ろう児のコミュニケーション発達 菅井裕行 2016 手話学研究25(0)、17−29 CiNii論文ー先天盲ろう児のコミュニケーション発達 A125 障害の重い子どもとの共同活動における共同性と相互性ー行動体制間(相互)調整の観点からの考察ー 土谷良巳 2016 上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要、22、9−18 A126 山梨県立盲学校における先天盲ろう児教育実践の概要と資料の現状 飯塚潤一・宮城愛美・天野和彦 2017 筑波技術大学テクノレポート25巻1号 CiNii論文ー山梨県立盲学校における先天盲ろう児教育実践の概要と資料の現状 筑波技術大学機関リポジトリ(nii.ac.jp) A127 先天盲ろうの子どもとかかわり手とのコミュニケーションに関する研究動向 中村保和 2017 特殊教育学研究、55、171−181 A128 重症心身障害を有する子どもとのコミュニケーションと環境についてー子どもにとって分かりやすい予告の受信は、主体的な発信につながることー 中澤惠江 2017 日本重症心身障害学会誌42巻、19−25 A129 最初の重複障害教育としての山梨盲学校での盲ろう児指導:映画『盲ろう児:その教育』をより深く理解するために(人文・社会科学) 清水貞夫他 2017 奈良教育大学紀要.人文・社会科学=Bulletinof Nara University of Education.奈良教育大学編66(1・2)、39−51、2017−11 CiNii論文ー最初の重複障害教育としての山梨盲学校での盲ろう児指導:映画『盲ろう児:その教育』をより深く理解するために(人文・社会科学) A130 先天性全盲ろう児の音声言語訓練長期記録の分析状況及び保存活動 菊池英明ら 2018 言語資源活用ワークショップ発表論文集(3)、236−240、国立国語研究所 CiNii論文ー先天性全盲ろう児の音声言語訓練長期記録の分析状況及び保存活動 ---99 A131 視覚聴覚二重障害児(盲ろう児)の療育の実態に関する検討:児童発達支援施設等全国調査 前田晃秀・廣田栄子 2018 筑波技術大学テクノレポート26(1)、11−17、2018−12、筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会 CiNii論文−視覚聴覚二重障害児(盲ろう児)の療育の実態に関する検討:児童発達支援施設等全国調査 A132 高等教育機関における盲ろう学生の研究生活支援(福祉情報工学) 佐藤正幸他 2018 電子情報通信学会技術研究報告=IEICE technical report:信学技報117(502)197−200、2018−03−09 CiNii論文ー高等教育機関における盲ろう学生の研究生活支援(福祉情報工学) A133 先天性の盲聾児に対する点字や指文字による言語教育の可能性 柴田保之 2018 國學院大學人間開発学研究、9、57−71 A134 本学における先天性全盲ろう学生への授業支援 白澤麻弓ら 2018 筑波技術大学テクノレポート26(1)、11−17、2018−12 CiNii論文ー本学における先天性全盲ろう学生への授業支援 A135 先天性盲ろう児におけるコミュニケーション機能の発達過程とチームアプローチ 阿尾有朋 2019 現代児童学研究、第2巻第2号、13−25 A136 大学院で学ぶ先天性全盲ろう学生への授業支援ー登録通訳者への研修会実施ー 磯田恭子ら 2019 筑波技術大学テクノレポート26(2)、11−16、2019−03 CiNii論文ー大学院で学ぶ先天性全盲ろう学生への授業支援─登録通訳者への研修会実施─ A137 盲ろう児に対する教育的支援ー外部講師による定期的・継続的な介入の活用ー 三科聡子・岡澤治樹 2019 日本特殊教育学会第57回大会(発表論文は電子媒体) A138 重度の知的障害と肢体不自由がある先天盲難聴児の身体接触を基盤としたやりとりにおける内的活動の諸相 岡澤慎一 2020 宇都宮大学教育学部研究紀要第1部、70、97−108 A139 多人数クラス環境での盲ろう学生への授業支援システムの構築と評価 大西淳児 2020 筑波技術大学テクノレポートVol.28(1)Dec.2020 筑波技術大学機関リポジトリ(nii.qc.jp) A140 本学院の盲ろう幼児・児童・生徒の教育実践研究〜パーキンス盲学校国際部門との連携を通して〜 中川・安田・西濱・後藤 2020 横浜訓盲学院 A141 最初に夜を手ばなした 椿冬華 2020 マガジンハウス A142 中島昭美著作集第1集 中島昭美 2021 公益財団法人重複障害教育研究所、1−92 A143 中島昭美著作集第2集 中島昭美 2022 公益財団法人重複障害教育研究所、1−116 A144 『盲ろう教育研究紀要1』(1993年3月) 1993 A145 はじめに 福島智 1993 A146 私の手とおはなししてください バルブロ・イェロス(教育専門委員会訳) 1993 A147 盲ろう児ワークショップ 教育専門委員会小島純郎 1993 A148 ノルウェーにおける盲ろう教育と支援体制 中澤恵江 1993 A149 盲ろうに関するビデオ資料 中澤恵江 1993 A150 『盲ろう教育研究紀要ー2』(1994年3月) 1994 A151 はじめに 福島智 1994 A152 盲ろう児ワークショップ(盲ろう幼児に関する研究と交流)教育専門委員会 1994 A153 盲ろう児教育研修会(盲ろう幼児の見えと聞こえについて) 菅原廣一・中野泰志 1994 A154 インタビュー「盲ろう児と共にー田辺浩一さんと母久美子さんを訪ねてー」 福島智 1994 A155 国際盲ろう教育協会の概要 三科聡子 1994 A156 『盲ろう教育研究紀要ー3』(1995年3月) 1995 A157 はじめに 高杉弘之 1995 A158 アッシャー症候群の子どもたちの教育プログラム(スェーデンの一眼科医の視点から) イングボリ・ステンストルム(三科聡子訳) 1995 A159 アッシャー症候群をもつ青少年と係わるときの配慮 ロビン・D・フィルマン、L・E・レグワイア、マーサ・シェリダン(中澤恵江訳) 1995 A160 1993年度の視覚障害と聴覚障害を併せもつ児童・生徒の実態調査の概要(網膜色素変性を併せもつ児童・生徒の実態と課題に焦点を当てて) 中澤恵江・高杉弘之 1995 A161 視覚と聴覚に進行性の障害がある児童の見え方ときこえ方を考慮した環境整備の取り組み 水谷みどり・宮下幸江・水谷厚彦・中野泰志 1995 A162 アッシャー症候群をもつ少年との合宿から学んだこと 盲ろう児教育委員会・中野泰志・福島智 1995 A163 網膜色素変性を併せもつ聴覚障害者へのインタビュー(新米ママがんばれ 金政かおりさん) 矢部健三・三科聡子 1995 A164 『盲ろう教育研究紀要ー4』(1998年3月) 1998 A165 新担任の先生へ、Nさんをよろしく(盲ろうの他いくつかの障害を併せもった子どもとの3年間の学校生活を振り返って) 小林克彦 1998 A166 Nさんの新しい担任より、この原稿を読んで 三宅優子 1998 A167 Kさんと共に 星野勉 1998 A168 地域に根ざす-阪田広揮さんと阪田美千代さんに聞く 矢部健三・三科聡子 1998 A169 「盲ろう」に関するインターネット上の資源について 中澤恵江 1998 A170 『盲ろう教育研究紀要ー5』(2000年5月) 2000 A171 目と耳の両方が不自由な子ども達の移行期に関する保護者の意識調査 星野勉・三科聡子・中澤恵江 2000 A172 7名の盲ろう児と共に 伊藤泉 2000 A173 3人の盲ろう児の入学−難聴幼児通園施設から聾学校小学部へ、そしてもうすぐ中学生− 太田恵津子 2000 ---100 A174 特殊教育国際フォーラム「盲ろう児のための教育」 マイケル・T・コリンズ(中澤恵江訳) 2000 A175 『盲ろう教育研究紀要-6』(2002年7月) 2002 A176 はじめに 2002 A177 「CHARGE症候群ー両親のための管理手引書」の部分翻訳 中澤恵江・三科聡子翻訳 2002 A178 CHARGEの会について 松村久美子 2002 A179 CHARGEの会 夏の集いの報告 杉山寿章 2002 A180 CHARGEの会 夏の集いに参加して 寺崎勉 2002 A181 CHARGEの会 夏の集いに参加して 古田恵美子 2002 A182 ちょっと変わった病気を抱えた子どもの物語ーCHARGE連合のS子、誕生から3歳までのあゆみ 2002 A183 歩み 鈴木祐子 2002 A184 Kさんとの思い出 長谷部和子 2002 A185 CHARGE連合に関する情報のリソースーインターネットのホームページ検索結果からー 小林克彦 2002 A186 『盲ろう教育研究紀要ー7』(2005年6月) 2005 A187 はじめに 中澤恵江 2005 A188 児童の興味・関心から始める教育活動 星祐子 2005 A189 盲ろう児と支援機関をつなぐ、保護者が管理する情報ポートフォリオ 中澤惠江 2005 A190 盲ろう児の音楽〜点字楽譜の工夫〜 西村晴美・石田良子 2005 A191 ヘリコプター(共にある会) 石田良子 2005 A192 メーリングリストと盲ろう児 尾崎伊佐子 2005 A193 盲ろう児の放課後支援としての銭湯サポート 河野恵美・小田浩一 2005 A194 盲ろう児に対する図画工作科実践報告〜盲学校における触覚を重視した表現・鑑賞活動〜 増岡直子 2005 A195 盲学校における盲ろう児の体育 佐藤知洋 2005 A196 盲ろう生徒の「話す」ことと「書く」こと〜コミュニケーション手段の獲得への取り組みと作文指導を通して〜 田中貴美・三浦憲一 2005 A197 横浜訓盲学院の盲ろう教育 鈴木弘子 2005 A198 盲ろう児の教室環境 大西文代 2005 A199 盲ろう海外事情1〜スウェーデンより〜 藤井明美 2005 A200 目的指向性を持った盲ろう疑似体験の手法の構築ー問題解決思考を育む盲ろう疑似体験を通してー 前田晃秀 2005 A201 盲ろう者向け支援機器の開発ー指点字支援と点字を使用しない人の支援ー 坂尻正次・岡田伸一・伊藤知幸・富田英雄・伊福部達 2005 A202 光が丘ワークセンターにおける盲ろう者 渡辺智恵子 2005 A203 光道園さくら館での生活の様子について 田中律子・寺山佳代子 2005 A204 高知県盲ろう者ニーズ調査から見えてきたこと 吉野由美子・別府あかね・濱田美和子 2005 A205 成人盲ろう者の立場からー学校生活を振り返って思うことー 柴崎美穂・田幸勇二 2005 A206 ろう弱視者の生活を支えている支援・サービスの分析 島田仁美・小川喜道 2005 A207 高等教育機関に在籍する盲ろう学生の教育・日常生活支援方法の構築 佐藤正幸・岡本明・渡部安雄・佐々木健・中澤惠江 2005 A208 盲ろう者の手引き方法について 鶴見朝子・別府あかね 2005 A209 『盲ろう教育研究紀要ー8』(2007年8月)「視覚及び聴覚に併せて障害を有する子どもを考える」 2007 A210 はじめに 中澤恵江 2007 A211 盲ろう者とQOLー柔道を通してー 三浦憲一・田中貴美 2007 A212 メールから広がる社会ー3年間2000回のやりとりの中でー 西村晴美 2007 A213 乗馬を楽しむ自然・馬・人の会にて 山本真理 2007 A214 盲ろう児と本 石田良子 2007 A215 盲ろう者と時計・旅行 岩原秀子 2007 A216 点字ニュース500km 離れた連係プレイ 石田良子・岩原秀子 2007 A217 好きなこと、できること、人と交わることで生活を組み立てる 中澤恵江 2007 A218 陶芸という光り『盲ろう教育研究紀要ー9「視覚及び聴覚に併せて障害を有する子どもを考える」』(2009年12月) 円谷正利 2007 A219 はじめに 星野勉 2009 A220 子どもと、教材と、教師と〜塙忠蔵先生に聞く〜 塙忠蔵・三科聡子 2009 A221 光道園における盲ろうの利用者への支援について 高田涼子・松ヶ谷容子 2009 A222 地域作業所わくわくわーく活動報告 岡田恭子・山本真理・貝嶋敦子・星野勉 2009 ---101 A223 Y君の学校生活とコミュニケーション 今村光宏 2009 A224 感覚障害(視覚障害・聴覚障害)を重複している肢体不自由児童がコミュニケーション手段としての文字を獲得していくための初期学習指導実践報告 〜自作教材教具でのやりとりを中心にして〜 中山喜崇 2009 A225 ろう学校幼稚部での取り組み〜A君の成長から〜 西野陽子 2009 A226 「盲ろう」であるDくんのやりとりの素地づくりを目指して 星視文 2009 A227 『盲ろう教育研究紀要ー10(2012年8月) 2012 A228 盲ろう教育の過去、現在、未来そして日本、世界 中澤惠江 2012 A229 盲ろう児D君の中学部におけるかかわりの拡がりについて 加藤敦 2012 A230 盲ろう生の日本語習得の取り組み〜ろう学校における国語指導を通して〜 中村淑子 2012 A231 肢体不自由のある盲ろうの子どもたちの教育 三國勝司 2012 A232 肢体不自由のある盲ろう重複児の支援の始まり〜Hさんが豊かな学校生活を送るために〜 金子亜子 2012 A233 肢体不自由のある盲ろうの子どもたちの教育〜H君との関わりあいの中で見えてきたこと〜 宮崎広子 2012 A234 『盲ろう教育研究紀要ー11』(2015年2月) 2015 A235 盲ろう児・者の今と豊かな未来のために〜前全国盲ろう教会事務局長 塩谷治氏に伺う〜 2015 A236 高等部卒業から社会生活への移行〜知的障がい特別支援学校における盲ろう児教育〜12年間の学校教育からの卒業と地域社会への移行に向けた取り組み 丹野文人 2015 A237 「盲ろう」教育教材・資料の概要と今日的課題 白倉明美 2015 A238 「我が国の盲ろう教育に関する要望」について 森貞子 2015 A239 一人旅体験記 森敦史 2015 A240 『盲ろう教育研究紀要ー12』(2017年7月) 2017 A241 Sさんの学校生活紹介〜新潟盲学校の取組〜 上田淳一 2017 A242 盲ろう幼児の「わかる力」を支える保育〜視覚特別支援学校幼稚部での取組〜 高見節子 2017 A243 心に寄り添い、心を育て、ことばを育てる 田中麻友 2017 A244 盲ろうの子どもは生涯教育 貝嶋敦子 2017 A245 現在までを振り返って、今とこれから 広重真佐子 2017 A246 盲ろう児コミュニケーション教育・支援ガイド―豊かな「会話」の力を育むために バーバラ・マイルズ、マリアンヌ・リジオ(岡本明、山下志保、亀井笑訳) 2021 ---102 【資料B】公益財団法人重複障害教育研究所に関連するもの (No. 文献名 著者 発行年 掲載誌の順) B1 Hさんとの出会い 佐藤光義 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、145−150 B2 盲ろう児指導の感想 後藤新平 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、151−167 B3 弱視ろう児の算数指導の実践例 高橋渉 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、168−211 B4 盲ろう児の初期学習NM(11才2か月男)の例 長谷川順子 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、212−223 B5 盲聾二重障害者の教育記録概要 高橋寛 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、224−243 B6 盲ろう重複障害の指導に参加して 菅田光子 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、244−248 B7 盲ろう二重障害者の教育内容と方法 ー後天的盲ろう者K君の例ー 松岡敏彦 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、249−263 B8 私たちの心 福岡和子 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、264−267 B9 盲ろう児・精薄を伴う盲児の学習法の研究ー主として感覚・運動的学習を中心としてー 前東孝儀・大関克己・森宏・安藤節夫・宮川千枝子 1972 重複障害教育研究会全国大会準備会発表論集、268−269 B10 ある盲ろう幼児の指導例 高橋渉・香川すみ子・薮内秀敏 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.1盲乳幼児編、32−56 B11 三重障害をもつK子の学習の可能性を探る 佐藤光義・金城善子 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.4視覚の初期学習編、13−16 B12 盲ろう二重障害者の言語行動に関する初期学習についてーS・Hの事例ー 前東孝儀 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、1−7 B13 盲ろう児N.Mの学習過程 井上早苗・山田麗子・長谷川順子 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、8−11 B14 盲ろう二重障害児の教育方法について 塙忠蔵 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、12−19 B15 不完全盲ろう児の学習について 大谷幸雄 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、20−27 B16 盲ろう児の指導ー今学期を振り返ってー 後藤新平 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、28−36 B17 盲ろう二重障害児の初期学習 松岡敏彦 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、37−44 B18 盲ろう児M子ちゃんについて 二階堂裕子 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、45−48 B19 中村邦雄のコミュニケーションについて 松井悦子 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、49−51 B20 盲ろう児の身振りサインと言語のつながり 佐藤公明 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、52−58 B21 古宮晴夫君のこと 中島知子 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、59−63 B22 沖縄の盲ろう者仲井間英子さんのこと 井上早苗 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、64−69 B23 盲ろう教育の充実のために 随想 加藤安雄 1973 重複障害教育研究会全国大会第1回発表論集No.3盲ろう二重障害編、70−77 B24 盲ろう二重障害児の初期学習その2<昭49.9〜昭49.7> 松岡敏彦 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、1−24 B25 盲ろう者の保健理療課程の指導をどのようにしたらよいか 窪田清和 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、25−26 B26 盲ろう児NM(13才男児)の触覚による位置の学習過程(73.1〜74.7) 井上早苗・鹿取広人・長谷川順子・山田麗子 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、27−30 B27 視覚の初期学習ー群馬盲サユリの学習ー 薮内秀敏 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、31−40 B28 弱視ろう児(S.I)のその後の報告その2 大谷幸雄 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、41−56 B29 目の学習 佐藤公明 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、57−60 B30 H子の昨今ー近況報告ー 後藤新平 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、61−74 B31 盲ろう二重障害児S.Hの学習について 前東孝儀 1974 重複障害教育研究会第2回全国大会発表論集その3盲ろう二重障害児編、75−85 B32 S.H児の学習経過について 前東孝儀 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、1−4 B33 小百合ちゃん(弱視ろう)の初期学習ーその3ー 大谷幸雄 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、5−16 B34 ひろみ君の訪問指導の記録 神尾裕治・水口浚 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、17−31 B35 盲ろう者T.S君の通学における教育の課題 柏原孝子 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、32−39 B36 WATASI WA KIKOE NAIー仲間との交流からー 後藤新平 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、40−51 B37 英樹君との2年間の歩み 塙忠蔵 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、52−96 B38 盲ろう二重障害児教育とY.T児の指導例 西村哲三 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、97−102 B39 盲ろう二重障害児ヨシ君の教育例 松岡敏彦 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、103−112 B40 盲ろう児の初期学習ーコミュニケーションを主としてー 運天恒子 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、113−128 B41 行動の自発を促す刺激の工夫について 重複研究グループ 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、129−159 B42 盲ろう二重障害者に対する点字の導入法 淵辺信俊 1975 重複障害教育研究会第3回全国大会発表論集盲ろう編、160−167 B43 岩手盲における重複障害教育の現況 細川敏男 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集,18−23 B44 重度重複障害児に対する音声を利用した生活訓練についての実施報告 菅原武威 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、24−29 B45 5年目を迎えたH子との学習 後藤新平 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集,85−91 B46 名地弘巳の音楽指導 千葉久子 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、92−98 B47 英樹君の教育目標1971.4.8〜1972.3.20 塙忠蔵 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、116−122 B48 H.Sの文字学習について 志村太喜彌 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、123−128 B49 勝利君・純一君の初期学習 山本モト 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、129−134 B50 盲ろう者の保健理療科における職業教育について 窪田清和 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、142−144 B51 盲聾二重障害児教育の初期体育指導について 上田まつ・加藤治・北野与一 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、145−154 B52 盲ろう二重障害児 義行くん、義彦くんの学習経過(S50.9〜51.6) 松岡敏彦 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、161−171 B53 ちえみさんの学習 重複障害研究グループ 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、180−184 B54 N.M(盲ろう児)君の発達を促す 中野正一 1976 重複障害教育研究会第4回全国大会発表論集、185−190 B55 勝利君・純一君の現況と交信学習について 山本モト 1977 重複障害教育研究会第5回全国大会発表論集、1−7 B56 名地弘巳の数学指導 阿部邦幸 1977 重複障害教育研究会第5回全国大会発表論集、8−14 B57 盲ろう児指導の感想ー今学期をふり返って 吉田一 1977 重複障害教育研究会第5回全国大会発表論集、15−20 B58 盲聾児とともに一年余 飯野常雄 1978 重複障害教育研究会第6回全国大会発表論集、26−35 B59 視覚聴覚障害のT児を指導して 薗部光子・尾川尚子 1978 重複障害教育研究会第6回全国大会発表論集、36−43 B60 H君の通所指導について 神尾裕治 1979 重複障害教育研究会第7回全国大会発表論集、6−9 B61 盲ろう二重障害児(弱視)の初歩的な文字の記号操作学習 松岡敏彦 1980 重複障害教育研究会第8回全国大会発表論集、58−68 B62 盲ろう二重障害児(弱視)の初歩的な文字の記号操作学習PART2 松岡敏彦 1981 重複障害教育研究会第9回全国大会発表論集、34−41 ---103 B63 自発行動の変容を目差しての学習法の工夫 より確かな触感覚としての手の捜査活動ができるために 宮脇和 1981 重複障害教育研究会第9回全国大会発表論集、31−35 B64 K児の初期学習 宮脇和 1982 重複障害教育研究会第10回全国大会発表論集、41−48 B65 たぬき寝のKちゃん 福本康子 1982 重複障害教育研究会第10回全国大会発表論集、23−27 B66 盲ろう児FM君の2年間の歩み 松沢章子 1982 重複障害教育研究会第10回全国大会発表論集、46−52 B67 盲ろう児Y.Nの数の学習PART1 松岡敏彦 1983 重複障害教育研究会第11回全国大会発表論集その1、58−66 B68 小2のK君ついに歩く 宮脇和 1983 重複障害教育研究会第11回全国大会発表論集その2、1−5 B69 あられちゃんのラムネチョウダイ 福本康子 1983 重複障害教育研究会第11回全国大会発表論集その2、23−28 B70 K・K児の初期学習 盲聾発達遅滞児の六年間の記録 有村美恵子 1988 重複障害教育研究会第16回全国大会発表論集その2、13−18 B71 視覚・聴覚二重障害児の指導ー4年間の学習を振り返ってー 後藤新平 1988 重複障害教育研究会第16回全国大会発表論集その2、19−34 B72 正規のこと 藤井珠美 1988 重複障害教育研究会第16回全国大会発表論集その2、35−37 B73 社会人として歩き始めて3年 名地弘巳 1988 重複障害教育研究会第16回全国大会発表論集その2、38−42 B74 1988年8月4日発表に向けてのメモ 福島智 1988 重複障害教育研究会第16回全国大会発表論集その2、43−44 B75 正規に感謝 藤井珠美 1989 重複障害教育研究会第17回全国大会発表論集その1、25−26 B76 重度・重複障害幼児Y・Kの学習 中村由哉・安田和年 1989 重複障害教育研究会第17回全国大会発表論集その3、11−13 B77 過去から現在へ・現在から未来へー盲・聾・精神薄弱児K・Hのあしあとー 松岡敏彦 1993 重複障害教育研究会第21回全国大会発表論集その2、7−24 B78 息子と明日に生きる 田辺良男 1993 重複障害教育研究会第21回全国大会発表論集その2、36−37 B79 「子供の輝きに感動して」 藤井仁規 1993 重複障害教育研究会第21回全国大会発表論集その2、38−39 B80 真央ちゃんとの出会い〜その姿勢と外界への働きかけから考えたこと〜 鈴木弘子 1994 重複障害教育研究会第22回全国大会発表論集その2、18−25 B81 真央ちゃんの食事と空間 鈴木弘子 1995 重複障害教育研究会第23回全国大会発表論集その2、2−9 B82 「言葉の獲得によって、変化した正規の世界」 藤井珠美 1995 重複障害教育研究会第23回全国大会発表論集その2、40−43 B83 真央ちゃんの触覚的な世界〜触覚をもとに空間を組み立てる〜 鈴木弘子 1996 重複障害教育研究会第24回全国大会発表論集その2、17−22 B84 正規さんの生活と学習 中島知子 1996 重複障害教育研究会第24回全国大会発表論集その2、23−30 B85 真央ちゃんのこの1年〜新たなものと出会うこと〜 鈴木弘子 1997 重複障害教育研究会第25回全国大会発表論集その2、16−19 B86 盲ろう(視覚聴覚障害)児の教育ー初期学習、言語形成から精神活動の高次化への道筋ー盲ろう児との出合いを通して 後藤新平 1998 重複障害教育研究会第26回全国大会発表論集その2、23−42 B87 中島先生のこと 増田一則 2000 重複障害教育研究会第28回全国大会発表論集第1日目、5−5 B88 中島先生と沖縄のかかわり 運天恒子 2001 重複障害教育研究会第29回全国大会発表論集第1日目、41−44 B89 真央さんとの生活と学習 鈴木弘子 2002 重複障害教育研究会第30回全国大会発表論集第1日目、3−12 B90 中途盲ろう者の生活支援について 岩原秀子 2002 重複障害教育研究会第30回全国大会発表論集第1日目、36−43 B91 点字の入り口に立った真央さん 鈴木弘子 2003 重複障害教育研究会第31回全国大会発表論集第1日目、10−17 B92 真央さんの点字学習と「コトバ」 鈴木弘子 2004 重複障害教育研究会第32回全国大会発表論集第2日目、10−16 B93 位置の弁別に関する学習についての一考察 前東孝儀 2004 重複障害教育研究会第32回全国大会発表論集第2日目、30−36 B94 Nさんの学習 山本衡 2006 重複障害教育研究会第34回全国大会発表論集第2日目、9−15 B95 「礼さんとの学習について」 宮田守 2006 重複障害教育研究会第34回全国大会発表論集第2日目、16−21 B96 Nさんの学習(その2) 山本衡 2007 重複障害教育研究会第35回全国大会発表論集第2日目、9−16 B97 盲ろう生徒Aさんとの学習〜工夫する学習の大切さを教えてもらった2年間〜 渡邉富士子 2007 重複障害教育研究会第35回全国大会発表論集第2日目、17−25 B98 視覚・聴覚障害児Iさんの学習から学ぶー笑顔を教えてくれるものー 石沢直子 2008 重複障害教育研究会第36回全国大会発表論集第1日目その1、3−11 B99 障害の重い子らに学んで45年 松岡敏彦 2008 重複障害教育研究会第36回全国大会発表論集第1日目その2、1−54 B100 点字の習得をめざしてーIさんの笑顔から学んだことー 石沢直子 2011 重複障害教育研究会第39回全国大会発表論集第1日目、3−11 B101 Nさんの学習(その3) 山本衡 2011 重複障害教育研究会第39回全国大会発表論集第1日目、12−19 B102 Yさんとの関わり〜3年間の点字学習を振り返って〜 寺山佳代子・上山順子 2011 重複障害教育研究会第39回全国大会発表論集第1日目、20−27 B103 Nさんの数学学習 山田智生 2012 重複障害教育研究会第40回全国大会発表論集第2日目、1−8 B104 Sくんの学習 山本衡 2013 重複障害教育研究会第41回全国大会発表論集第2日目、19−26 B105 Nさんの数学学習 山田智生 2013 重複障害教育研究会第41回全国大会発表論集第2日目、27−34 B106 歩み〜視覚・聴覚二重障害のある生徒との3年間 山中日出谷 2018 重複障害教育研究会第46回全国大会発表論集第1日目、11−22 B107 八王子盲学校の重複障害教育について 石沢直子 2018 重複障害教育研究会第46回全国大会発表論集第1日目、34−48 B108 盲聾の高校生、井上祐希君との学習の始まり 柴田保之 2019 重複障害教育研究会第47回全国大会発表論集、7−21 B109 Rさんとの点字と指文字の学習ー言葉の世界へー 石沢直子 2021 重複障害教育研究会第48回全国大会発表論集、47−59 B110 K児との関わりから 石川恵・三木秀・望月公 1990 がんこん通信第3号、69−77 B111 私の体験 名地弘巳 1990 がんこん通信第3号、85−87 B112 「かなちゃんとの学習」その1ーことば・かずの基礎的な学習ー 山梨重複障害教育研究会 1990 がんこん通信第4号、59−71 B113 「かなちゃんとの学習」その3ーことば・かずの基礎的な学習ー 山梨重複障害教育研究会 1990 がんこん通信第5号、71−73 B114 「かなちゃんとの学習」ーことば・かずの基礎的な学習ー 山梨重複障害教育研究会 1991 がんこん通信第6号、92−102 B115 憲ちゃんの新たな歩み 柴田保之 1991 がんこん通信第7号、33−43 B116 「かなちゃんとの学習」その5ーことば・かずの基礎的な学習ー 山梨重複障害教育研究会 1991 がんこん通信第8号、66−69 B117 「かなちゃんとの学習」その6ーことば・かずの基礎的な学習ー 山梨重複障害教育研究会 1992 がんこん通信第10号、83−90 B118 「かなちゃんとの学習」その7ーことば・かずの基礎的な学習ー 三木秀 1993 がんこん通信第14号、182ー187 B119 点字の世界への扉をたたく 柴田保之 1994 がんこん通信第15号、41−62 B120 中込(旧姓宇野)君香さんとの対談 中島昭美 1996 岩魂第19号、38−71 B121 重複障害児の事例研究ー視覚・聴覚重複障害幼児の初期発達における姿勢と外界の構成を中心にー 大内洋一 1996 岩魂第19号、72−109 B122 講演『成子さん、忠男との40年』 中島昭美 1998 岩魂第25号、67−85 B123 座談会「三重苦教育の原点にふれて」 中島昭美他 2002 岩魂第27号、11−34 B124 人間行動の成りたち 重複障害教育の基本的立場から 中島昭美 1977 重複障害教育研究所研究紀要第1巻第2号、1−58 B125 盲ろう二重障害者の数行動ーK.M.とS.Y.の数操作学習過程 井上早苗 1978 重複障害教育研究所研究紀要第2巻第3号、1−32 ---104 B126 位置の弁別に関する学習についての一考察 前東孝儀 1977 重複障害教育研究所研究報告書創刊号、10−16 B127 弱視難聴児(S.I.)の初期学習 大谷幸雄 1977 重複障害教育研究所研究報告書創刊号、17−26 B128 盲ろう二重障害児英樹君の学習指導 塙忠蔵 1977 重複障害教育研究報告書創刊号、41−49 B129 弱視ろう児の学習ーY.T.の実践をとおしてー 松岡敏彦 1977 重複障害教育研究報告書創刊号、55−66 B130 視覚・聴覚二重障害児の5年間の記録 ことばの学習を中心として 後藤新平 1977 重複障害教育研究報告書創刊号、67−95 B131 盲聾児K.H.、J.H.の学習指導実践記録 山本モト 1978 重複障害教育研究報告書第2号、24−30 B132 盲聾児T・Sの指導に当たって 高木理代 1978 重複障害教育研究報告書第2号、31−39 B133 盲ろう者の職業教育から社会的自立に至るまでの一事例 窪田清和 1978 重複障害教育研究報告書第2号、40−45 B134 盲ろう児のコミュニケーション指導 畑山民江 1979 重複障害教育研究報告書第3号、78−91 B135 視覚・聴覚二重障害児の5年間の記録ー算数の学習を中心として 後藤新平 1979 重複障害教育研究報告書第3号、117−167 B136 盲ろう二重障害児M・Fの初期学習 松木龍夫 1980 重複障害教育研究報告書第4号、49−57 B137 盲ろう児H君の初期学習 神尾裕治 1981 重複障害教育研究報告書第5号、77−94 B138 盲ろう児の文字指導 導入と実践 新城哲夫 1981 重複障害教育研究報告書第5号、95−99 B139 「見える」と「見る」 福本康子 1984 重複障害教育研究報告書第6号、99−106 B140 佳奈江さんとの学習 深山茜 2012 重複障害教育研究報告書第7号、79−84 B141 視覚・聴覚重複障害者Iさんとの学習ー点字の習得をめざしてー 石沢直子 2012 重複障害教育研究報告書第7号、85−92 B142 光も音もない人々に喜びと生きがいを 鈴木義孝 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第1号、1−1 B143 弘巳と共に歩んだ七年間 名地きのえ 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第1号、2−4 B144 教育の場を求めて忘れえぬ宏美との歩み 佐藤和恵 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第1号、4−6 B145 宏美ちゃんのこと 前東孝儀 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第1号、6−8 B146 アカトン上田登美子 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第1号、8−13 B147 光道園 岩崎清作さんとの出合い 真家徹 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第2号、1−3 B148 宏美ちゃんとの学習を振り返って 前東孝儀 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、4−7 B149 アメリカにおける盲ろう児教育森宏 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、7−9 B150 飯塚さゆりちゃんのこと 宝来克子 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、10−11 B151 さゆりちゃんを家庭訪問して 登坂美智子 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、12−13 B152 小百合ちゃんへの働きかけ 薮内秀敏 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、14−16 B153 重複障害児教育の問題点(円環的下り坂理論のもとに) 中島昭美 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、17−22 B154 八王子盲学校の盲ろう教育 伊藤真三郎 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、23−25 B155 盲ろう二重障害児の言語指導 後藤新平 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、26−57 B156 永井光夫君のこと 井上早苗 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、58−59 B157 立った!浩ちゃん 高橋渉 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、60−71 B158 英樹くんと五月を歩んで 輿水陽子 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、72−76 B159 創造する太陽 中道益平 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、77−78 B160 盲ろう二重障害者と私 松岡敏彦 1972 日本盲ろう者を育てる会会報第3号、79−86 B161 盲ろう教育に生命を 中島昭美 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、1−1 B162 宏美との歩み 佐藤和江 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、2−3 B163 最近の宏美ちゃんと私 前東孝儀 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、4−4 B164 微笑と言うものではないけれど・・・ 薮内秀敏 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、5−5 B165 ゆっくりと歩む洋子 桑田律子 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、6−7 B166 弘巳とともに歩んだ八年間 名地きのえ 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、7−8 B167 浩君 オイッチニー オイッチニー 薮内秀敏 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、8−10 B168 最近の英樹 越猪勝弘 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、10−11 B169 晴夫君を訪問指導して思う 中島知子 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、12−12 B170 田辺敏宏君の近況 荒木邦子 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、13−13 B171 中木屋スミヱさんと田上義彦君 松岡敏彦 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、14−16 B172 沖縄から今日わ! 中村文 1973 日本盲ろう者を育てる会会報第1回全国大会記念号、17−17 B173 第1回全国大会会長挨拶 坂田道太 1973 日本盲ろう者を育てる会第1回全国大会別冊、1−10 B174 飛躍への昭和五十年 中島昭美 1975 日本盲ろう者を育てる会会報第5号、1−1 B175 小百合ちゃんとの出会い 大谷幸雄 1975 日本盲ろう者を育てる会会報第5号、2−3 B176 洋子の学校問題 桑田律子 1975 日本盲ろう者を育てる会会報第5号、4−6 B177 永井光夫君と学校 永井みこ 1975 日本盲ろう者を育てる会会報第5号、6−9 B178 盲ろう児の入学をめぐって 越猪政栄 1975 日本盲ろう者を育てる会会報第5号、14−15 B179 中途盲ろう者に対しての再教育の実践とその理由 古宮理一 1975 日本盲ろう者を育てる会会報第5号、16−17 B180 夏休みを迎えて 田上孝子 1975 日本盲ろう者を育てる会会報第5号、32−34 ---105 資料5.研究委員会構成員 研究委員会 委員長 福島 智 東京大学先端科学技術研究センター 特任教授(NPO法人全国盲ろう児教育・支援協会 理事長) 委員 井本 千香子 盲ろうの子とその家族の会 ふうわ会長 委員 岡澤 慎一 宇都宮大学大学院教育学研究科 教授 委員 笹野 信治 横浜訓盲学院 学院長 委員 柴田 保之 國學院大學 人間開発学部 教授 委員 菅井 裕行 宮城教育大学大学院教育学研究科 教授 委員 田畑 真由美 盲ろうの子とその家族の会 ふうわ(NPO法人全国盲ろう児教育・支援協会 理事) 委員 中村 保和 群馬大学共同教育学部 准教授 委員 三科 聡子 宮城教育大学教育学部 准教授 オブザーバー 加藤 敦 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 オブザーバー 河原 麻子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 研究員 (教員対象)インタビュー調査ワーキンググループ 菅井 裕行(統括)宮城教育大学大学院教育学研究科 教授 河原 麻子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 研究員 岡澤 慎一 宇都宮大学大学院教育学研究科 教授 笹原 未来 福井大学連合教職大学院 准教授 柴田 剛 筑波大学大学院博士前期課程 地域団体調査ワーキンググループ 三科 聡子(統括) 宮城教育大学教育学部 准教授 今村 光弘 静岡県立沼津視覚特別支援学校 教諭 柴崎 美穂 東京都心身障害者福祉センター 言語聴覚士 文献調査ワーキンググループ 中村 保和(統括) 群馬大学共同教育学部 准教授 柴田 保之 國學院大學 人間開発学部 教授 出水 知憲 横浜訓盲学院 教諭 ---106 研究協力者 土谷 良巳 上越教育大学 名誉教授 長尾 公美子 徳島県立徳島聴覚支援学校 教諭 阿部 真由美 宮城県立視覚支援学校 教諭 文部科学省委託 特別支援教育に関する実践研究充実事業 (盲ろう児に対する指導の在り方に係る調査研究) 「多分野の専門職および当事者団体等との連携による盲ろう児への 教育支援の在り方についての研究」成果報告書 発行責任者 特定非営利活動法人全国盲ろう児教育・支援協会 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 電話 03-5287-1140 FAX 03-5287-1141 E-mail jdbcy-info@jdba.or.jp 発行日 2025年3月31日