2024年度 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会報告書 2024年11月23日(土) 11月24日(日) オンライン(Zoom)開催 主催 ~日本のヘレン・ケラーを支援する会R~ 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 目次 1.概要 1 1-1.研修会の趣旨 1 1-2.本年度の研修会内容の概要 1 1-3.企画委員および企画委員会の開催履歴 3 2.実施内容 4 2-1.講演1「学んだことをわかりやすく話すポイント」 4 2-2.講演2「研修修了者よる実践事例 札幌市での防災学習会 企画・発表」 16 2-3.情報・意見交換 30 3.総括 31 4.講義資料 34 5.受講アンケート集計結果 46 -1- 1.概要 1-1.研修会の趣旨 本研修会は盲ろう者のリーダーを育成し、盲ろう者地域団体の運営力向上に繋がる知識と技術を身につけることで、地域の盲ろう者福祉の充実を目指すと共に、団体の活性化を図ることを目的として実施した。 1-2.本年度の研修会内容の概要 本年度は、全国各地から5名の盲ろう者が受講し、オンライン(Zoom)による方式で、以下のとおり実施した。 1-2-1.受講者名簿 ①小山賢一(おやま けんいち)氏 宮城県 ②藤本信行(ふじもと のぶゆき)氏 埼玉県 ③道見美由紀(みちみ みゆき)氏 東京都 ④津田和子(つだ かずこ)氏 兵庫県 ⑤武田照夫(たけだ てるお)氏 徳島県 -2- 1-2-2.カリキュラム 【2024年11月23日(土)】 13:00~13:30 開会の挨拶・受講者紹介・事務連絡 13:30~15:50 講演①(休憩・質疑応答を含む) 15:50~16:00 事務連絡 【2024年11月24日(日)】 10:00~12:00 講演②(休憩・質疑応答を含む) 12:00~13:30 昼休憩 13:30~15:50 情報・意見交換 15:50~16:00 講評・閉会の挨拶・事務連絡 1-2-3.オンライン開催における情報保障 (1)Zoom画面内に要約筆記を設置 Zoom内の機能「画面共有」を利用し、要約筆記画面を表示した。 (2)captiOnline(以下、キャプションライン)の使用 任意の文字の大きさや、色を指定して要約筆記の表示を希望される方を対象に、インターネット上で要約筆記を受けられるキャプションラインを用いた。 -3- 1-3.企画委員および企画委員会の開催履歴 1-3-1.企画委員 ①須田珠栄(すだ たまえ)NPO法人 札幌盲ろう者福祉協会 副会長 ②稲葉春樹(いなば はるき) 認定NPO法人 東京盲ろう者友の会 理事 ③近藤ゆかり(こんどう ゆかり) NPO法人 愛知盲ろう者友の会 通訳・介助員 1-3-2.企画委員会の開催 第1回:2024年4月17日(水) 14:00~16:00 →研修会内容の検討 第2回:2024年6月19日(水) 14:00~16:00 →研修会の方向性の確認、カリキュラムの確定 第3回:2024年10月14日(月・祝) 14:00~16:00 →当日の役割分担 第4回:2025年1月18日(土) 14:00~16:00 →反省 -4- 2.実施内容 2-1.講演1「学んだことをわかりやすく話すポイント」 ◆盲ろう者の立場から 庵悟(いおり さとる) 【要旨】 ●これまでの講師経験から、わかりやすく話すポイントとして、次の3つがある。 ①自分が経験した時の感情を言葉にする。 ②印象に残ったことを話し、みんなの心を動かす。 ③話をしたことを行動に移せるようにする。 ●2022年度に実施した友の会向けの防災アンケートから、次のことが明らかになった。 ①台風、ゲリラ豪雨など、地震以外の自然災害に対する備えができていない友の会が多かった。 ②行政との情報共有や連携ができていないところが多かった。 ③地域のイベントに参加している団体が少なかった。 -5- ●学んだことを友の会でわかりやすく話すポイント ①事前の準備 ・自分が関心を持ったテーマを中心に研修会で実施した内容を、自分で話しやすいようにまとめる。 ・研修会で一番印章に残ったことを書き出してみる。 ・2022年度の研修会で、日本視覚障害者団体連合の組織部長の三宅隆講師が講演した中で、一番印象に残った言葉は、「自分にできることは何か」だった。 ・「個人としての防災」では、「防災への備えは日常生活の中にある」という話があった。自分だったらどうかを考えてみた。庵の趣味でもある山登りで使っているヘッドランプやボミ具黒などの道具が災害時に役立つと気づいた。 ・「団体としての防災」では、「障害のある人、近所の住民、企業などのいろいろな立場の人たちと一緒に、防災イベントをすることもすごく大事」という話が印象に残った。岐阜県で取り組まれている「防災運動会」が好事例である。 ・事前に、支援してくれる通訳・介助者と、自分がまとめたものを情報共有することは大事である。リハーサルもできればするとよい。 ・手話通訳者や要約筆記者にも話す内容尾を事前に共有するとよい。 -6- ②話すポイント ・自分が言いたいことをはっきりさせて、情報量はコンパクトにまとめ、ゆっくりめにはっきりと話すこと。 ・地域の災害の傾向や友の会の活動状況に合わせて話すこと。 ・ハザードマップなどの難しい防災用語を理解できるように、わかりやすい言葉で説明すること。 ・友の会の参加者が自分のこととして考えられるように、ビブス、ヘルプカードの実物を実査に見て触ってもらいながら、話をするとよい。 ・被災された当事者の話は感動を与え、私たちもやってみようという気になれる。 ・自分が話したい内容を支援者に情報共有することで、よりよいサポートを受けやすくなる。 ・自分ができることまで、支援者任せにしないこと。 ・研修会で学んで、これを自分の中でイメージできない、わからないことは、支援者にサポートしてもらいながら、調べること。 ・研修会で学んだことを発表する主体は盲ろう者である。 盲ろう者と支援者は対等の立場であり、支援者と一緒に作っていくという姿勢が大事。 -7- 【質疑応答】 Q:資料が見えない・見えにくい状況でお話をする場合、どのようなことを心がけているか。 A:先ほど、自分の講演の時、自分のiPadに入れてある資料を確認しながら、話していたが、だんだん目が疲れてきて読めなくなる瞬間があった。音声読み上げを聞きながら話ができるようになりたいと思っている。しかし、すべて聞き取れるわけではないので模索中である。ごいっしょに良い方法を考えていきたい。 Q:今後、災害が起きた時に、車椅子の自軍はどのように移動すべきか。 A:どんな支援をしてもらえるか、通訳・介助者を同行して、役所や民生委員と相談するとよい。 ◆支援者の立場から 近藤ゆかり(こんどう ゆかり)氏 【要旨】 ・ここ3年、ニューリーダー育成研修会は防災を取り上げてきた。 -8- 防災を通して、友の会の活動を広げていく、活動力をつけていくことを一緒に考えながら話をしていきたい。 ・通訳・介助員がたくさんいるが、単に通訳をしてくれる、情報提供をしてくれる、移動介助をしてくれるだけではなく、大事な支援者でもある。 ・盲ろう者が友の会の中で主体的に様々な活動を行っていく上で大事なことは、盲ろう当事者と支援者一緒に活動して行くことである。 ・共に活動して一緒に作る事。 ・いっしょに話し合う場を作って欲しい。 ・盲ろう者が研修会で学んだ情報を一人で整理して、友の会の会員に一人で報告することはなかなか難しい。 ・一人でするのではなく、支援者と一緒に又は仲間の盲ろう者と一緒に共有できる場をつくることから初めてほしい。自分が「学びました」で終わりにせず、常に友の会活動に繋げてほしい。 ・「防災」をテーマにするなら、防災クラブ、防災委員会など、防災に関するグループ作りをする。そこで、自分以外の盲ろう者に自分の得た情報をどう伝えればいいか、相談し話し合ってほしい。 -9- ・自分と一緒のコミュニケーション方法の盲ろう者には伝えやすいと思うが、コミュニケーション方法が異なる場合、工夫が必要になる場合があると思う。そんな時は、支援者の意見を参考にしてほしい。なぜなら、通訳・介助員はいろんな盲ろう者とコミュニケーションを取るので、どのように伝えたらいいか知っている場合がある。 ・盲ろうのリーダーが一人で情報を整理して伝えていくのではなく、支援者と相談をしながら一緒に作り上げて行くことが大事である。 ・実行可能なこと、継続できることに絞る事が大事である。 ・各友の会では、地域性、盲ろう者の人数、会員の人数、事務所の有無で条件が異なるので、他県でやっている取り組みをそのまま自分の地域でやろうとしても難しい事もある。 ・無理な方法や、誰か一人にたくさんの負担がかかるやり方はよくない。また、案としてはいいけど、実際にやるとなると無理な場合もある。 ・みんなで話し合い、この方法なら、この内容なら、自分の地域でならできるねと、一つ一つ決めて進めて行くのがいい。 (例) ・防災のアンケートの中に、防災訓練に参加したり、企画しているかという設問に対し、やっているという回答は少なかった。自分たちの地域で実際に何かできるものを考えて行っていく。継続して行ってほしい。 -10- ・研修会に参加した。企画を1回した。それでは継続性がない。継続性がなければみんなの防災意識も高めることができない。友の会で本当はできるはずの事ができなくなってしまう。 ・会員が少なく企画をすることがなかなか難しい友の会だったら、一緒に話し合った内容を機関誌や情報誌に掲載してお知らせして行くことも継続につながる。 ・実行可能なことを話し合って、継続して積み重ねていく。このような経験と、意識が高まって、よりよい友の会活動に繋がって行く。 ・安否確認カードを作った、で終わりではなく、例えば、どんなカードがいいか、盲ろう者と盲ろう者以外は同じでいいかなど、みんなで話し合って行く。 ・防災訓練も、毎年1回やりたい。ではどんな規模でするのか、どこでするのか、みんなが参加できるのか、どんな内容なら防災意識が高まるのかなど、リーダーが一人でするのではなく、支援者と一緒に作り上げてほしい。そして必ず継続してほしい。力を蓄えてほしい。 -11- ・企画を作るとき。どういう内容にするか。当日の資料の原稿を作成時、伝えたい内容は何かなど、話し合って決める。また、資料も分かりやすい言葉で作成する。分量も考える。 ・盲ろう者の会だから、盲ろう者の意見だけではなく、通訳・介助員(支援者)の意見も取り入れながら進めてほしい。 ・自分の立場でできることは何かを考えて欲しい。 ・そして、お互いがきちんと意見を言える関係性だと思う。 ・盲ろう者の会だから、盲ろう者だけが意見を言う。通訳・介助員も、友の会活動は盲ろう者主体だから自分たちは意見が言えない、控えなければと思っている人もいる。そうではなくて、友の会の為に、自分も活動する一員だと考えを持って、友の会の為にお互いに意見が言いやすい関係性を構築していく。 ・リーダーとしては、盲ろう者以外の人たちの意見や考えもきちんと聞いていく姿勢がないと、みんなが意見をいえる環境にはならないと思う。 ●「共に」 ・支援者は、あくまでも助言者である。 ・助言とは、助けを出すこと、アドバイスをすることを言う。 ・協力者は、一緒に何かをする人たち。仲間ということ。 -12- ・支援者は協力者であり、共にアドバイスを行う人。支援者が指示を出しては行けないと思う。指示は命令する事。 ・通訳・介助を担う側の支援者ができることは、よりよい関係性があった上での助言者であり、協力者であり、盲ろう者のサポートをする役割である。 ・案は盲ろう者が出す。後のことは支援者が全部するではない。一緒に作り上げて行く関係。 ・盲ろう者だけがつくるものではなく、支援者だけが進めていくものではない。盲ろう者と支援者が一緒に作り上げていく。これが大事なこと。 ・今後、リーダーになっていくであろう皆さんには、学んだことをぜひ、自分の言葉で考えて、支援者とのよりよい関係づくりと共に、1つ1つ実行可能な活動を積み重ねて行って欲しい。 ・さらに、地域での盲ろうの障害の啓発につながったり、他団体や、行政へ繋がったり、盲ろう者の掘り起こしにつながっていくのではないかという期待をしている。 ・ぜひ、皆さんにはリーダーとして、サポーターとして、支援者と共にというといった思いを大事にして力を蓄えていってほしい。 -13- ・自分自身の障害の状況で自分だけで全てはできないこともある。その時に自分だったら、何ができるか、どういう支援があれば、さらに自分の経験を積んでいけるのか、ということも、周りの支援者に自分の言葉できちんと伝えていける関係性も大事である。また、仲間の盲ろう者の方たちの関係性も大事にして欲しい。 ・盲ろう者は自分の見え方などは把握している。が、他の盲ろう者の障害状況とか、コミュニケーション方法などは個別性でなかなかわかりづらい。仲間のことも、きちんと知っていく、そして、仲間のことを含めて考えていけることが大事なことである。 ・機関誌などの広報誌に話し合った内容やこれからの課題などを載せることによって、さらに友の会で防災に関する知識や、重要性がもっと根付いていくと。会員の中からこんな形でやられたらどうですかなど、いろいろな意見がもっと生まれてくるだろう。それが団体力である。・ ・いくら行政に交渉にいっても、団体力、団体としての動きにしないと、個人的な動きだとつながることも難しい。 ・リーダーになるであろう皆さんには、ぜひ会員の仲間との関係性づくり、そして支援者の協力はもちろん、団体活動がさらに豊かになっていくような活動につなげていってほしい。 -14- ・小さな子から高齢者まで、いろんな人たちが友の会にはいる。年齢や障害の程度、環境も違うと思う。家族のいる者や一人暮らしもいる。みんな違う中で、一つ一つ何かできることから作り上げて、それがイコール、会の活動力、リーダー力につながっていくとよい。 【質疑応答】 Q:話の中で、準備が大切ということがわかった。会議は理事会で行うのがいいのか、他の会で行えばいいのか。 盲ろう者と支援者が共に活動するとあったが、それはどこで行えばいいのか。 A:理事会の中だけでは難しいと思う。理事会以外の例えば、防災のことを話し合うなら、グループを作ってそこで話したことを理事会で話す。理事にも説明し一つの行事にしていく。又は、機関誌に掲載する。 理事会は他に話し合うことがあるので、準備、企画はグループを作るとか、協力者を集めてそこで進める方法もある。 Q:学習部の中で話し合ってもいいか A:学習部を担当されているとのことなので、そこでもいいと思う。 -15- Q:支援者の意味がよく分からない A:友の会は盲ろう者と盲ろう者以外がいる。盲ろう者以外を支援者と思う。 Q:友の会の防災関係の学習会に参加した経験がある。140人の盲ろう者がいるが、参加人数は10名程度。集まりやすい方法はないか。 避難訓練に参加した時、参加者の8割が防災への危機意識が足りないと感じた。これを機に何か考えて行かなければと思った。 A:参加者が少ないのはもったいない。会員の中には、防災に関しての危機感が少ないからだと思う。無理に誘えないので、少しずつ継続して行くことだと思う。機関誌に、防災コーナーを作って掲載するとか。集まって一緒に訓練できなくても何らかの形で「防災って大事なんだ」という意識が芽生えて、参加人数も増えて来るのではないか。継続が大事だと思う。 ご自身が参加して良かったら、自分から声かけをして「今度は一緒に行こう」と誘ってはどうか。 一度は防災訓練などに参加されているよう。それを友の会に目図かせるにはどうすればいいかが大事。 -16- 盲ろう者以外の人とも話し合いをする。機関誌に掲載して情報提供していく。参加した朱鷺の感想を機関誌の掲載すると自分も行ってみようかなとなるかもしれない。そこから、友の会の企画に繋げていけばよい。 Q:友の会の行事や、学習会の中で盲ろう者と支援者が自由にコミュニケーションを取る時間はあるか。 A:行事の中で、お互いがコミュニケーションを取る時間は大事なこと。時間は短くても毎回交流する時間を取る事がりそうだと思う。ただ、高齢化で交流会に参加出来にくい人も増えている。行事を持ち回りにして違う場所で開催するとか、盲ろう者が参加した場合、全員と交流できるように配慮するとよい。 2-2.講演2「研修修了者による実践事例?札幌市での防災学習会企画・発表?」 須田珠栄(すだ たまえ)氏 【要旨】 昨年、一昨年防災を学んだ内容を基に札幌で防災学習会を担当した際の経験を話す。札幌盲ろう者福祉協会(以下、当会)の会員は、2018年、北海道胆振(いぶり)東部地震において、道内での広範囲における大規模停電、ブラックアウトを経験した。札幌の盲ろう者にケガなどの被害はなかったが、私たちにとっては、初めての災害体験だった。 -17- 当会では、盲ろう者のための社会生活教室という行事の中で、年に1回、防災学習会を行なってきた。だが、近年はコロナの発生により、開催の中止が続いている状態だった。2024年3月9日、久しぶりに防災学習会を開催することになった。この企画委員での経験から、私が担当者に選ばれ、内容を考えるところから、当日の司会進行、そして講演までのすべてを任されることになった。 今回は、その時の準備から本番、そして、終わったあとの反省までをレジュメに記載してあるとおり、1~5の順に沿ってお話をしていきたい。また、学習会や講演をよりよいものとするために、支援者の皆さんとどのような関係を作っていけばよいか、私なりに感じたことを伝えたい。 今回の学習会では、2人の支援者が協力してくれた。二人は、協会の研修会の企画委員会の際、通訳・介助を担当してくれていたので、2年間の防災の研修内容をよく知っている。 ひとりは、事前の準備や原稿作成、資料づくりを担当。もうひとりは、アンケートの作成と、当日のサポートをしてくれた。 -18- 2-2-1.企画・立案 ●事前準備 ・今回の参加者については、盲ろう者に限らず、当会の会員の盲ろう者以外の方々へも広く呼びかけを行った。これは、実際に災害が起きたとき、盲ろう者をささえてくれるみなさんにも同じ知識を共有して欲しいと考えたからである。 ・盲ろう者に対して、当日の案内と合わせて事前にアンケートを配布することとした。災害に対する意識は、一人ひとり違うので、少しでも今の状況を把握したいと考えたからである。また、当日、突然防災に関する質問をしても、なかなか考えがまとまらなかったり、回答をもらうのに時間がかかる方もいると考えたからである。 ・回答用紙は、当日持参していただき、それにより通訳・介助の方にも一緒に見てもらい、回答の集計などがスムーズになればよい、との考えもあった。また、このアンケート結果から、みんなの防災意識を知ることで、今後の学習会のテーマ作りのために、参考にしたいという狙いもある。 ・講演の内容は、難しくなりすぎないように注意をした。 ・原稿の作成は、事前準備担当の支援者と話し合って作った。 -19- ・今回の学習会は、コロナのあと、初めての開催だったため、ただ、話を聞くだけでは、みんな疲れてしまうのではないかと思い、何か楽しい企画も盛り込みたいと考えていた。そこで、非常食として、備蓄にも活用できるカロリーメイトを準備した。味も何種類か用意をして、昼食の際に、みんなで試食の体験をしてもらうことにした。また、珍しい非常用の缶詰の缶も準備した。これは、全員分の準備をすることはなかったが、午後の講演の時に、みんなに、実際見てもらい、手に取ってもらいながら、こうゆう物もあるという情報提供をしようと考えた。 ・みんなができるだけ集中して、退屈せずに参加できるよう工夫をするということもとても重要である。 2-2-2.配付資料 ●今回作成した資料 ①参加者に配付する資料 ②全体手話通訳者、パソコン要約筆記者に配布する原稿 ③自分専用の進行表と講演の原稿 ●資料作りで心がけたこと ・研修会では、本当にたくさんのことを学んだが、その中でも、札幌のみんながまだ知らないような新しい情報を少しでも伝えたい、という気持ちがあった。 -20- この情報は、説明だけではわかりにくいかもしれない、ということで、簡単な資料を作成した。もしかすると、通訳・介助者も初めて聞く情報や、あまり聞き慣れていない言葉もあるかもしれないと思ったので、資料を準備しておくことで、通訳もより、しやすくしてもらおう、との配慮もあった。 ・資料に載せた例として、2つある。自分が研修会で初めて学んだ用語として、避難所で着る「ビブス」は、マラソン選手がゼッケンを付けるベストのようなものがある。この胸元に「盲ろう者」と書くことで、周囲の人に自分の障害の状況を知ってもらうというために着用するもので、既に友の会の中ではビブスを準備している地域もあると聞いた。「ローリングストック」は、災害時のために備蓄している飲み物や食べ物を、古いものから消費をしていって、新しいものを補充するということをくり返す方法である。 ・説明が長い文章になってしまうと分かりにくいので、短く、端的に、箇条書きのような形で、分かりやすく表記した。またイラストも活用した。 ・見えない盲ろう者がいるが、通訳・介助者が伝える際にそれを観て参考にしてもらえば、と考えた。 -21- ・ビブスを全く知らない人にとって、イメージすることも難しいと思ったので、実際のものを準備することにした。札幌の聴覚障害者協会から当日借りて、みんなに実際に手に取ってもらった。 ●手話通訳者、要約筆記者に対する準備 ・全体手話通訳者とパソコン要約筆記者へは、原稿と資料を事前にメールで送った。 ●アンケートの作成について ・質問内容の項目は、学習会当日を担当してくれる支援者と一緒に考えた。 ・アンケートで聞く内容と、自分が行なう講演の内容が結びつくように工夫をした。 ・例えば、「自分の暮らす地域の避難所の場所を知っていますか」、「実際にそこまで歩いて行ったことはありますか」、「家の中では災害のために何か備えをしていますか」といった質問項目がある。 2-2-3.当日の準備、打ち合わせ ・まず、支援者と一日の流れをしっかりと確認した。 ・司会をしているときなど、どのような対処をしてもらうかも確認をした。 -22- 例えば時間の調整、進行のスピード、盲ろう者に対する通訳の状況、全体手話通訳者の読み取りのタイミングなど。 ・お手伝いをしてくれる協会会員へ役割分担をした。アンケートの集計結果を書く人、非常食を配る人、ビブスなどを会場内で持ち回る人、という分担。 ・通訳者の方々と打ち合わせした。手話通訳者、要約筆記者、それぞれに挨拶をした。その際、事前に原稿を送ったが、何か質問や確認はないか確かめた。そして、実際の講演のときには、その原稿のとおりに話すというのではなく、ちょっと加えたいなと思ったことを付け足したり、会場の様子や時間の配分を見て、もしかすると、原稿から一部省略する部分もあるかもしれないので、よろしくお願いすると伝えた。 ・午前・午後と通して自分一人が担当した。自身の体力のことも考えて、午後の講演中には、ビブスや缶詰の缶をみんなが手にとってみてくれている間の時間を、少し、自分の休憩時間にあてるということも支援者と確認した。 -23- 2-2-4.司会進行および講演 ・進行は事前の打ち合わせ通り、支援者に時間の配分や会場の様子を伝えてもらいながらペーズに十分気をつけて進行することに努めた。 ・講演では、学んだことすべてを伝えるのではなく、みんなに知って欲しいと思う内容を選ぶようにし、情報を多くしすぎない、難しくしすぎないように心がけた。 ・専門的になりすぎない、また、一般的な防災の話よりも、私たち盲ろう者にとって、より身近に感じる情報を選ぶように心がけた。 ・実際に取り込みやすいことを提案した。 ・札幌という地域にあった課題、また、会員の盲ろう者の状況に合わせた内容にすることを意識した。例えば、札幌は冬になるととても寒く雪も降るので、どんな準備が必要となるか、会員の盲ろう者には、高齢者が多いので、実際に災害が起きてしまう前に、試しに自分の避難所まで歩いてみてはどうか、と呼びかけてみた。 ・昨年のニューリーダー研修会では、実際に大きな災害に被災した盲ろう者が講師を務めた。災害の恐ろしさや避難所での数々の不便、そして孤独。 -24- その状況を乗り越えて、今とても元気に活動している、というお話を聞いて、自分はとても感動したそのことも、しっかりと伝えた。 2-2―5.振り返りと反省点の整理。 ・学習会の終了後、支援者と振り返りを行った。 ・支援者から、午前中は、しっかりと話を聞いているようだったが、午後になると少し疲れが出ている感じだったと聞いて、失敗したかなと自分は思った。 ・盲ろう者の中には、きちんと理解できているのかどうか、気になる人もいたという話も聞いた。 ・盲ろう者自身が自分で司会や講演を担当しているとき、これらの様子を把握するというのは、とても難しいので、終わった後、しっかりと支援者に教えてもらい、当日の様子を担当した盲ろう者自身が知るということが、とても重要だと思う。 ・事前の打ち合わせで、学習会は一日を通してやると設定していたが、支援者に振り返りで教えてもらった様子からすると、今回は、午前中だけに学習を集中して行い、午後は何かレクリエーションなどでもよかったのかなと反省した。 ・学習会が終わった後にも、当日の感想を知ることを目的にしたアンケートを準備しておけばよかったと思った。 -25- ・難しくなり過ぎないように十分に注意をしたつもりだったが、話の内容や情報の量が今日参加者に合っていたかどうか、支援者と振り返りと反省を話し合った。 ・学習会や行事のあとは必ず振り返りと反省を行い、良かったところ、悪かったところを支援者と意見交換をし、整理をすることで次回に向けてより良い開催を行なうことにつなげていくことが大切だと思う。 ●支援者との関係づくり ・既に支援者との関係ができている方も、これから関係づくりを始める方も、時間をかけて信頼関係を深めていくことは皆さん同じだと思う。 ・支援者の中には、盲ろう者を尊重しようと考えて、時々遠慮して、思ったことをきちんと言ってくれない場合がある。そういうときこそ、私たち盲ろう者のほうから次の参考にしたいから、今日何か気になったところとか、うまくいってないなと感じたところがあれば、遠慮しないで教えて、と、こちらから積極的に声をかけてみること。盲ろう者自身がきちんと知って、もっと向上したいという気持ちを伝えることで、支援者にも話がしやすい環境を提供することができると思う。 -26- ・私たち盲ろう者よりも支援者の方が社会的に多くの情報に接しているということは、事実である。盲ろう者の知識が不十分というふうに感じたときには、これも、遠慮することなく必要な情報を教えてもらえる、という環境作りができていったらよいと思う。 ・盲ろう者が企画を担当する際には、すべてを自分自身が責任をもって把握したい、という姿勢を強く、しっかりと示していくということが大切である。頼るでもなく、任せるでもない、お互いに対等でお互いを尊重し合い、そして、お互いに成長するという関係が、とても理想的な形だと思う。 ・共に歩むためには、目的意識の共有も大切である。 ・今日の自分の話を例にすると、支援者と共有した目的は、2つある。1つは、防災の知識を学ぶということ。もう1つは、みんなに退屈せず、楽しく参加してもらうということ。 ・目的を明確にすることにより、企画の内容や準備も変わってくる。 ・1つの目標に向けて、支援者と方向を合わせて、一緒に取り組んでいくということが大切である。 ●原稿の作り方 ・自分は手話でコミュニケーションをする、ろうベースの盲ろう者。まずはじめに、講演のテーマに沿って自分自身が言いたいと思うことを自由に手話で話す。 -27- それを支援者に読み取ってもらい、日本語の文章へと翻訳をしてもらう。これを原稿のたたき台とする。 ・自分がそれに目を通してみたり、支援者から手話で伝え返してもらい、内容を確認していく。きちんとテーマに合っているか、分かりやすいものになっているか、そのとき支援者とは、たくさんのやり取りをする。そして意見をぶつけ合う。そこから加えたり削ったり、加えたり削ったりと、何度も何度も修正を重ねていく。 ・お互いに少しでも良い原稿にしたいという気持ちを持っているので、実のところ、この作業はとっても疲れるものである。それでも、徐々に内容が良いものへと仕上がってくると、自分自身、うれしさや喜びも感じる。最終的には、自分がしっかりチェックをして、自分自身で納得のできる形になったところで完成となる。 ・盲ベースの盲ろう者は、自身で、日本語で原稿を作るのは、できると思うが、それで終わりではなく、自分が伝えたいと思っていることがしっかりと伝わる内容になっているか、原稿の内容や言葉の選び方などが分かりやすくまとめられているか、支援者に読んでもらったり、聞いてもらったりして、アドバイスをいただくのも良いことだと思う。 -28- ・友の会の中にろうベースの盲ろう者がいるのであれば、その原稿が手話で伝えても分かりやすいかどうか、を確認してもらうのも良い。 ・みんな初めは大変だと思うが、自分自身のやり方が身についてくると、徐々に作業も進めやすくなってくる。 ・頭の中に原稿の引き出しがたくさんできていくようなイメージである。 【質疑応答】 Q:学習会部長を担当している。講演会について。札幌で行った際は、通訳・介助員も参加したのか。アンケートを実施したと聞いたが、どのように配布したのか。 A:参加者は盲ろう者だけでなく、盲ろう以外の会員にも呼び掛けた。災害が起った時に、盲ろう者だけでなく、盲ろう以外の皆さんに知識を持って支援してもら王都考えたため。アンケートの配布は盲ろう者だけ。申込書と一緒にアンケートを配布した。自分でアンケートにカイトできない人は通訳・介助員の手を借りて事前に答えてもらった。 Q:準備にどのくらいかかり、支援者と相談する「時間を持てたのか。 -29- A:支援者との事前の打ち合わせ内容は、自分から出した意見もあるし、支援者から意見を出してもらった部分もある。何度も何度も話し合いを重ね、支援者の話を聞いても、自分自身は合わないと思ったら、省くこともあった。同じように自分の意見に感想を聞くこともあった。相談・準備に要した時間はとても長いものだった。はっきりとした時間は答えが難しい。 Q:特定の支援者だけではなく、新しい支援者とどのように関わっているのか。 A:自分の手話の読取や、信頼関係を築くという観点から、日ごろからお茶を飲んだりしながらおしゃべりする時間を取ったりして、自分の手話表現を理解し、通訳技術を磨くことをしてもらっている。私らしい手話表現、通訳者の読取を信頼できるか。自分も努力していく。 Q:盲ろう者という存在が一般には知られていない。札幌ではどうしているか。 A:「盲ろう者を知っていますか」というパンフレットを作成して、道内の各市町村に送付した。又、道内のいくつかの市町村に出向いて講演をしている。各地での講演、新聞等の取材での紙面への掲載などで盲ろうという言葉を示す努力をしている。 -30- Q:災害が起きた時に盲ろう者が携帯できるようなバンダナなど考えたことはあるか。北海道では大きな災害の経験があると思うが、災害が起きた時の心得などはあるか。 A:札幌では災害時携帯できるような目印を準備できていない。人にようって危機感が違うので学習会などを開催することで啓発していきたい。 2-3.情報・意見交換 テーマ:「研修会で学んだことを友の会の活動にどうつなげていけるか」 <内容> 事前学習の2022年度の講演の要旨を読んだ感想や、友の会活動にどう活かしていきたいかを発表した後、意見交換を行った。 【主な意見】 ・日頃の友の会の活動に、自分自身も積極的に参加し、コミュニケーションが取れるように、一人一人と、当事者だけではなくて、支援者、また会に参加してくれている人。外に出たときは、その催しに一緒に参加してくださる方々ともコミュニケーションを取っていきたいなと思った。 -31- ・(防災関係のことではあるが)自分の知っていることを友の会の会員に広めていきたい。 ・盲ベース、ろうベースではコミュニケーションの際伝え方が違い、時間がかかることがある。わかるように伝えていきたい。 ・自分が体験したことを友の会でもやってみたいと思う。たくさんの方に知っていただくように頑張りたい。 3.総括 2022年度のテーマ「個人としての防災」・「団体としての防災」、2023年度のテーマ「命を守るためにできること」「情報の大切さを学ぶ」と、2年間、「防災」をテーマとして研修会を実施してきた。受講者自身が地元で、研修会で学んだことを団体としての防災への備えにつなげられるようにすることを目標として取り組んできた。しかしながら、受講者がどのように団体としての行動につなげていくための力をどのように高めていくかという視点が弱かった。 そこで、今年度は、「防災」を題材にして、より実践的な内容を盛り込んだカリキュラムを組んだ。まず、受講者には事前学習として、2022年度に実施した研修会の講演の要旨を読んで、当日の研修会に臨むようにした。 -32- 1日目は、「学んだことを友の会活動に繋げるために」をテーマに、盲ろう者と支援者の立場からの講演を行った。2日目は、「研修修了者よる地元での実践事例を通じて、企画立案から振り返りまでの具体的な取り組み事例が紹介された。そして、これらを受けて、受講者による事前学習の感想と団体活動につなげるためにどうしたいかを自分の言葉で語り、間の意見交換を実施した。 「研修会を受講した経験者としての盲ろう講師の地域での実践事例の発表は、内容や進め方、通訳・介助員との準備も含めて、素晴らしいと感じた。」など、アンケート結果から受講者からの感想にもあるように、全体として、よい評価をいただいた。 一方では、「テーマの意味がわかりにくかった。」という声があり、「防災」を題材にして、「学んだことを友の会活動につなげていくために」という研修会の意図が受講者にはわかりにくかったようであった。 また、オンラインによる事前接続テストをしないまま当日を迎えた受講者がいたことから、当日、Zoom画面の操作に時間がかかってしまうことがあり、事前接続テストを必ず行うことが大切だと改めて認識した。 -33- 今後の本研修会としては、目標を明確にし、テーマをしぼっていくこと、受講者が発表しっぱなしではなく、講師やなどによる評価・受講者どうしの意見交換をし、そのうえで、再度発表できる機会を作ることを重視していきたい。また今回の研修会でも取り上げた支援者との共同作業の大切さを団体として身につけるために、受講者を盲ろう当事者だけでなく、団体の運営にかかわる支援者も受講者の対象にしていきたい。 学んだことを団体としての活動につなげられる力を身に着けられるよう、さらなる研修会の充実をはかっていきたい。 -34-? 4.講義資料 講演1 「学んだことをわかりやすく話すポイント」 ~盲ろう者の立場から~ 全国盲ろう者協会職員 庵 悟 はじめに 2022年度アンケート結果(50団体中、26団体から回答)より、団体としての防災につなげていくヒントが見えてくる。 ・地域で行われている防災イベントに友の会として、「参加したことがある」3、「参加したことがない」21であったが、実際に参加した団体からは参加してよかったという成果を生み出していることから、団体として地域のイベントへの参加は防災意識を高めていくうえで重要であると思った。 1.事前の準備 (1)研修会で何をやったのかをまとめる (2)研修会で一番印象に残ったことを書き出してみる (3)友の会で伝えたいことをまとめる (4)情報共有・リハーサル -35- 2.話すポイント 3.支援者(通訳・介助員等)によるサポートを上手に活用する。 (1)事前に自分が話したい内容を共有することで、支援者からよりよいサポートを受けやすくなる。 (2)自分ができることまで支援者まかせにしない。 【参考資料】 2022年度に実施した友の会向けのアンケート結果より抜粋 1.友の会の取り組み ※13団体が実施 〈札幌〉 ①2018年胆振東部地震の翌年2019年3月開催。盲ろう者同士で情報交換・非常食の学習と実食・避難訓練 ②2019年3月の学習会時、1年に1回、防災に関する学習会の継続について話し合いをしたが、コロナ感染拡大のため実施できていない。 〈宮城〉 交流会で、東日本大震災当時の状況や体験を振り返り、情報交換を行った。盲ろう者向け生活訓練で消防署の職員をお招きして、日ごろの生活の中での地震や火災などに備えた防災対策について学習した。(家具の転倒防止や循環備蓄、緊急通報など) -36- 〈東京〉 ●2017年度 盲ろう者向け生活技術向上学習会(以下、学習会)「防災知識を高めよう」→東京都が発行している冊子「東京防災」を参考に、講師は職員が行った。 ●2018年度 ①全体交流会「水害や熱中症対策について勉強しよう!」→当会の通訳・介助者で元消防士だった方に、講師を依頼して行った。②学習会「防災館への見学」→暴風雨や地震等の体験施設に行き、体験型見学を行った。 ●2019年度 学習会「防災意識を高めよう~地震の備え~」→区役所の災害対策課へ依頼し、地震への備えとして非常食や災害トイレ、つっぱり棒等の見本品を用いながら講演してもらった。 〈千葉〉 ①資格をもっている会員に講演会を行ってもらった。 ②救急救命講習を行った。 ③防災学習会。 〈富山〉 富山県在住の防災士を招いて、起こりうる災害や防災マップについて講演していただいた。 -37- 〈長野〉 消防署での体験とお話を聞いた。 〈愛知〉 ①防災センターの見学(定例会として) ②防災についての意見交換会(定例会として) 〈京都〉 京都の出前学習をした。府から講師に来てもらい、避難の方法や避難食の学習。 〈兵庫〉 盲ろう者同士で情報交換をした。 〈和歌山〉 盲ろう者の居場所で作業中、震度7の地震が起こったと想定。盲ろう者の肩を揺らし、物の下へ避難。揺れがおさまってからヘルメットをかぶり、靴を履き、避難グッズを持ち、避難所へ。避難所で消防の方の話を聞いた後、避難食を食べた。 〈広島〉 ①外部講師を呼んで講演を行った。 ②防災学習館(体験など)へ出かけて学習した。 -38- 〈山口〉 ①熊本の盲ろう者から「熊本地震の体験」を聞く。 ②消防団の人を講師に災害時の心構えと災害時の食事について話を聞く。 ③岩国防災センターで、震度7、火災時の煙、消火体験。災害時のビデオを見る。 ④消防署の人を講師に、救命救急、AEDの使い方、災害時の生活について聞く。 ⑤聴覚障害者情報センター祭りにて、消防署による防災コーナーで学ぶ。 〈大分〉 外部講師を招いて講演を行った。 2.安否確認 ※決めている団体が3。決めていない団体が17、その他が7 。 〈宮城〉 震度5を超える地震が発生した時などは、役員MLに安否確認メールを会長から送り、役員の状況を確認し、会員については、盲ろう者を優先的に被害が想定される地域の方々から事務局と協力して、メールや電話で安否確認をしている。連絡が取りにくい場合などは、情報を共有して役員間で協力しあう。 -39- 〈長野〉 前回の台風19号の時は、個々にメールをして確認をした。 〈京都〉 災害時の確認は会員盲ろう者にFAXや、メール、各地域センターなどの協力で。 〈岡山〉 事務局より連絡。 〈広島〉 コーディネーター、緊急用携帯電話にて連絡をする。方法を決めているわけではない。 〈山口〉 友の会には連絡網があるので、災害時には盲ろう者・会員の安否の確認はできる。 〈大分〉 全国盲ろう者協会からの安否確認を受け、会員にメール、ファックスで確認する。 -40- 3.その他の自然災害(ゲリラ豪雨、洪水、大雪など)への備え ※「備えをしている」0、「備えをしていない」23 4.行政の障害福祉課との「防災」について情報共有・連携 ※「とっている」3、「とっているが、あまり役立っていない」5、「とっていないが、今後は連携をとるつもりである」8、「とっていないし、今後も連携する予定はない」7 【記述】 〈宮城〉 活動拠点となっている仙台市とは仙台市障害者福祉協会と連携しながら、防災に関するアンケート、避難所における困りごとなどのリーフレットへの意見ヒアリングに協力したり、障害者福祉計画等のパブリックコメントにも協力している。 ・当事者に実感がない。 ・事務所がある施設は、障害福祉課が管理している。 ・情報がなく、どのように進めていいか分からない。 ・日常のことで対応すべきことが多くて、なかなかそこまで至らない。 -41- 5.行政が行う防災会議 ※友の会として行政が行う防災に関する委員会や会議に参加したことがあるかという問いに対して、参加したことがある団体が6、参加したことがない団体が18. 〈長野〉 コミュニケーション支援の会議の中で:1回 〈石川〉 金沢市聴覚障害者防災懇談会、金沢市フォーラムで防災関係がテーマの時が何回かあった。 〈愛知〉 愛知県:豊川市総合防災訓練、愛知県:安城市総合防災訓練:2回 〈鳥取〉 平成24年6月に県が「災害時要援護者に配慮した市町村防災マニュアル策定指針」の見直しのために障害者14団体と意見交換会を開いた。 平成25年8月、町が要援護者の避難所整備のため、視察点検・意見交換会を開き友の会も参加した。 平成31年3月「Net119緊急通報システム」早期導入を5団体で要望した際、そのうち1団体として参加した。 -42- 〈岡山〉 岡山県障害のある人の避難行動「セルフプラン」作成推進事業:4回 6.地域で行われている防災イベント ※友の会として参加したことがある3、参加したことがない21 〈群馬〉 社会福祉協議会主催の防災訓練:3回程度 〈鳥取〉 平成29年度天神川総合水防演習 平成31年度鳥取水防訓練、米子市の避難訓練 参加してよかった点:水害を想定した避難訓練では3階まで上がることができないことがわかった 〈岡山〉 事務局のある建物の避難訓練:3回 参加してよかった点:避難経路が分かった 「学んだことを友の会活動に繋げるために」 ~支援者の立場から~ -43- NPO法人 愛知盲ろう者友の会 通訳・介助員 近藤ゆかり 1.共に活動・一緒につくる (1)一緒に話し合う場をつくる (2)支援者の意見も参考に (3)実行可能なこと (4)それぞれの立場で (5)意見が言える関係性 (6)「共に」にとって大切なこと 2.盲ろう者リーダーに期待すること 講演2 「札幌市での事例報告?社会生活教室での発表?」 NPO法人 札幌盲ろう者福祉協会 副会長 須田珠栄 ニューリーダー育成研修会 受講:2019年度 -44- 企画委員:2022年度?2024年度(3期) 【発表事例】 2023年3月9日 札幌盲ろう者福祉協会主催 盲ろう者のための社会生活教室 テーマ「防災について学ぼう」 【概要】 講師は、2019年度にニューリーダー育成研修会を受講。友の会におけるリーダーの役割や、活動に必要な知識や自覚、心構えなどを、他の受講盲ろう者とグループ討議したのち、各自がそれをまとめてスピーチを行うといったカリキュラムに参加し、修了している。 2022年度・23年度、防災をテーマとしたニューリーダー育成研修会で企画委員を務めた。この経験を元に、札幌市の盲ろう当事者団体において毎年開かれている学習会にて、防災学習をとりあげ、企画から当日の進行や講演等などの全般を担当した。 今回は、この学習会の開催にあたり、支援者とどのように協力しあいながら、準備を進めたかを中心に、体験発表を行う。 -45- 【内容】 ・自己紹介および札幌での防災学習の取り組みの様子 ・学習会開催に向けて ①企画立案、事前準備 ②配布資料、アンケートの作成 ③当日の準備、打ち合わせ ④司会進行および講演 ⑤振り返りと反省点の整理 ・支援者との関係づくり ?自分自身でできること、支援者と共にできること? ? -46- 5 受講アンケート集計結果 2024年度 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会アンケート 集計結果 1.盲ろう者地域団体(友の会等)との関わりについて 1-1 盲ろう者地域団体での活動年数 あ 3年未満 1 い 3年から5年 0 う 6年から8年 2 え 9年以上 2 1-2 盲ろう者地域団体での現在の役職について あ 会長または理事長(団体代表者) 1 い 副会長または副理事長 1 う 事務局長 0 え 上記以外の役員 3 (具体的に:理事、事務局次長、友の会通信の編集委員) お 役職なし 0 か その他 0 -47- 2.研修会を受講した目的について 2-1 受講の動機について あ 自主的参加 2 い 所属団体からの要請 0 う 所属団体の役員会での推薦 3 え その他 0 3.研修会の運営等について 3-1 開催時期や日程について あ 良い 4 い 普通 1 う 改善を望む 0 3-2 案内・連絡等の進行について あ 良い 3 い 普通 2 う 改善を望む 0 3-3 オンライン(Zoom)での開催について あ 良い 2 -48- い 普通 0 う 改善を望む 3 3-4 オンライン上の情報保障について あ 良い 3 い 普通 2 う 改善を望む 0 4.個々のカリキュラム及び全体について 4-1 講演1(1)「学んだことを分かりやすく話すポイント」 あ 良い 2 い 普通 3 う 改善を望む 0 4-2 講演1(2)「学んだことを友の会活動に繋げるために」 あ 良い 1 い 普通 4 う 改善を望む 0 4-3 講演2「研修修了者による実践実例~札幌市での防災学習会 企画・発表~」 あ 良い 3 い 普通 2 う 改善を望む 0 -49- 4-4 情報・意見交換「研修会で学んだことを友の会活動にどうつなげていけるか」 あ 良い 2 い 普通 2 う 改善を望む 1 4-5 カリキュラム全体について(総合評価) あ 良い 3 い 普通 1 う 改善を望む 1 5.自由記述 ・学んだことを友の会で話すポイントより、情報交換が多かった。なので、実際に会って交流がしたかったです。 ・お世話になりました。内容が多くて、今でもまだ頭の仲が疲れていてチカチカしています。 -50- ・当事者としては、研修の途中で、理解できているか、確認をしてもらえる時間を作ってほしい。 ・情報保障の面で、もっとゆっくり内容を要約してもらえたらもっと良い。 ・対面での開催が良いと思う。 ・字幕は見やすくてよかったが、発言時の画面が小さくて見にくかった。 ・テーマの意味がわかりにくかった。(受講前は自分の防災体験を発表することと思っていました) ・司会者が、質疑応答の時、内容は合わずに、別方向へ発言した人に対してフォローなどが無かったことを疑問に思いました。 ・意見交換の時、テーマが合わず、10分以上長くだらだらと話された人がおり、自分の発言する機会を無くしてしまい、残念に思いました。今後は、受講生と公平になるように、発言は1つずつに5分以内に話せるように配慮してほしい。 ・「全盲ろう」「ろうベース」は理解するのに差があるので、弱視は目に負担が大きいので気をつけて欲しいです。 ・逆に、リーダーの大変さ、配慮など、自分の発表する時の注意などを学びました。 -51- ・集合型ではなく、オンラインで意見交換できてとても良かった。 ・地域で受けられてとても良かった。 ・遠い地域の人とも、話ができて良かった。 ・研修会の開催時期は、暑い時期を避けて、晩秋の開催となったが、11月で今年度は時期的によかったのではないかと感じた。 ・研修会日程について、土日(祝日)の2日間連続日程での開催となったが、初日の講義内容を振り返り、整理する時間がなく、(オンライン開催の場合)連続日程よりも一週間くらい間を空けていただけると、振り返りができるので理解する時間がとれてよい。(前回参加時の日程はよかった) ・資料について、電子データ版を希望し、パソコンは自由がきかず、研修会当日は文字が見えない、点字版もゆっくりで資料内容が確認できず、メールによる資料提供も選択肢に加えていただき、対応してほしい。(メールであれば、それぞれの見え方、聞こえ方、情報受信方法や利活用できるデバイスに合わせて、拡大文字版、テキスト版、本文貼り付けなど盲ろう者に情報がより入りやすくなる) -52- ・11月下旬の開催で、募集期間、受講決定通知、資料送付時期などの時期は動きやすかった。 ・オンライン開催は、画面越しとなり、実感が伴わず、会場集合、参加型で、直接対面で講師と受講者が顔を合わせての研修が学びも深まり、現場の状況やお互いの状況をリアルに感じ、理解しながらできるのでオンラインよりも対面での研修がよい。 ・オンライン研修になると、受講者同士、講師や企画委員と直接の交わりがなく、画面越しで、その時、その場での関係で終わってしまい、なかなか人と人とのつながり、交流が持ちにくい。 ・オンラインによる情報・意見交換は、議論が深まりにくく、方向性が分かりにくくなり、テーマから外れた時など、本来の主旨のテーマでの議論が難しくなる。 ・全体的に司会進行、企画委員、講師、読み取り通訳(手話)の話し方、話す速さが、少しゆっくりめに話していただけて、とても聞き取りやすかった。 ・受講される盲ろう者にも少しゆっくりめに間をとりながらお話いただけるように繰り返しアナウンスをお願いしたい。 -53- ・オンラインでは、手話通訳の読み取りの音声が聞き取りにくくなることもあり、手話を読み取る方の音声テストも事前にお願いしたい。(通訳・介助員も聞き取りにくく、情報が入らない部分があった。) ・提出課題がなく、事前の準備をしておく、資料を読み込むことで、研修会当日に集中できて、参加しやすかった。(提出課題があると、それに時間と意識が集中してしまう。) ・カリキュラムについて、10年ほど前に参加したカリキュラムで、盲ろう者の立場から行政への要望、関わり方について福島智さんや福田暁子さんの講義、盲ろう者の立場からリーダーとして必要なことや心構え(庵悟さん)、支援者との関わり方について当事者の立場から藤鹿一之さん、支援者の立場から森下摩利さんの講義、受講者同士の災害に対する意見交換があり、当時とは日程や状況も異なるが、盲ろう者が盲ろうについて理解を深めたり、リーダーとして必要とする知識や情報、活動実践で力になる内容を取り入れてはどうかと感じた。 ・盲ろう者が講師や企画委員を務めていることは、盲ろう者が受講する研修会で共感もあり、理解しやすい。 ・地域により、団体事情、盲ろう者の校正、支援者の状況、環境が異なることを共有でき、様々な課題や困難、可能性があることを知り、所属団体で、どのように活かしていくか、これからしっかり考えていきたい。 -54- ・盲ろう講師のありのままの姿、経験からのお話は、とても実感が伴う話しで、学びになった。 ・友の会運営や活動においては、盲ろう当事者、盲ろう以外の会員や支援者、関係者が、お互いにお互いを支え合い、相互に理解を深め、リスペクトしあいながら協力しあえる関係づくり、関わる機会と時間を持ち続けることが大切だと感じた。 ・支援者の立場からのお話で、「支援者がいなければできない」、「支援者の意見や考えも聞いてほしい」、「支援者はほかの盲ろう者のことも知っている」とあったが、盲ろう者の状況、役員や会員の盲ろう者と支援者がどれだけ関わっているかによっても状況が変わってくることもあり、地域事情を理解することも大切だと感じた。 ・「支援者」の定義や位置づけ、理解も盲ろう者や地域により必ずしもイコール同じではないように感じた。 ・コロナ禍前は、一軒家に事務所があり、そこで盲ろう者や支援者も気軽に集まり、コミュニケーションもよくとれていたという講師の話がとても印象に残り、盲ろう者団体として活動の原点だと感じた。 -55- ・「分かりやすく話す」ことは、日々の活動の課題で、リアルタイムで資料を確認しながら話すことが難しい盲ろう者には、改めて難しいと実感したが、研修会でご指導いただいた内容や実践での反省を踏まえて、今後も精進していきたい。 ・二日目の研修会を受講した経験者としての盲ろう講師の地域での実践事例の発表は、内容や進め方、通訳・介助員との準備も含めて、素晴らしいと感じた。相当期間の準備をされてきたことが分かり、日頃からの関わり、時間の必要性を実感した。 ・題材としての「防災」が、研修テーマよりもインパクトが強かったり、防災に関する意識や興味関心が強くなる面もあったが、全国各地の盲ろう者が通訳・介助の支援を受けて、研修を受けられる機会や場はなく、今後も盲ろう者や地域団体の実情やニーズを把握しながら、団体活動で役割を担う盲ろう者の育成、学び、意見・情報交換ができるよう研修会を続けて欲しい。 書名:2024年度全国盲ろう者団体 ニューリーダー育成研修会報告書 発行日:2025年3月31日 編集・発行:~日本のヘレン・ケラーを支援する会R~ 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 TEL 03‐5287‐1140 FAX 03‐5287‐1141