2020年度 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修事業 全国盲ろう者団体ニューリーダー等オンライン会議等体験会報告書 2021年1月16日(土)~1月17日(日) 主催 ~日本のヘレン・ケラーを支援する会R~ 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 目次 1.経緯 1-1.概要・・・1 1-2.オンライン会議体験会開催までの経緯・・・1 意向調査 内容・・・5 意向調査 結果・・・7 Zoom画面検証 資料・・・9 2.オンライン会議等体験会 2-1.事前接続テスト・・・15 2-2.オンライン会議等体験会・・・22 3.体験会を終えて 3-1.総括・・・31 3-2.アンケート アンケート内容・・・32 アンケート結果・・・34 4.参考資料 4-1.Zoomガイドマニュアル・・・43 4-2.感染症対策・・・60 1-1.概要 今年度は新型コロナウイルス感染拡大のため、従来の会場での研修会開催を中止した。オンラインによる研修会実施を検討したが、受講者(盲ろう者)に対する情報保障が十分に行えず、研修会開催には至らなかった。 しかし、各行政機関や障害者団体などの会議のオンライン化は急速に進んでおり、今後、盲ろう者関係団体においてもオンライン化に対応していくことは避けられないものと考え、オンライン会議を体験していただく「全国盲ろう者団体ニューリーダー等オンライン会議体験会」を開催すること運びとなった。 1-2.オンライン会議体験会開催までの経緯 2015年度より厚生労働省の委託により開催している「全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会」であるが、今年度においても10月下旬に都内近郊で開催すべく準備を行っていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の事態となり、6月に当協会の全ての行事の日程や開催方法を見直し、当事業においても2021年1月への延期を決定した。 この間、対面の会議を行うことができず、コロナ禍により浸透されてきたウェブ会議アプリZoom(以下、Zoom)を用いて、オンラインによる企画委員会を開催した。 初のオンライン会議は、個人の通信環境や機器に左右され、その原因究明に時間を要し、具体的な話し合いには -1- 至らなかった。しかし、全国の盲ろう者の意見交換のあり方の一つとして、オンライン開催の案があがり、会場での開催とオンラインでの開催、二つの可能性を視野に入れ、検討していくこととなった。 しかし、緊急事態宣言の発令等により、開催を予定していた会場からは以下の条件を提示された。 ・隣席と間隔を2m空ける ・定員を通常の半数程度にする 感染終息が見込めないこと、この条件は盲ろう者への通訳体制もままならず、現実的ではないこと等から会場での開催中止を決断した。 オンラインで研修会を実施する場合、例年会場で行っている情報保障2点をZoomの画面内で満たす必要があった。 ・要約筆記通訳の表示 ・全体手話通訳の表示 また、弱視の盲ろう者はご自身でZoomの画面を視聴したいという要望も強いことから、一人ひとりのビデオ画面をできるだけ大きく表示させることも課題の一つとなった。 これに伴い、友の会を対象に研修会の開催に関する意向調査を実施した。 また、同時期に委員と共に「Zoom画面検証」を行った。 -2- Zoom画面の左半分を要約筆記画面、右半分を参加者全員が写る表示(ギャラリービュー)に設定し、検討を行った。 要約筆記通訳や全体手話通訳をZoomの画面上に提示することは自体は可能だが、受講対象である盲ろう者に向けた情報保障としては、以下の点から不十分という結果となった。 ・全体手話通訳は聴覚障害者の通訳・介助員向けに例年設置しているが、Zoom上で手話通訳を受けると通信環境により、手話表現の残像が大きく、また動画が途中で止まる等のトラブルも多く、長時間の手話の視聴は困難であった。 ・Zoomの「画面共有」の機能を活用し、要約筆記画面を表示した。通常の研修会では、視聴するユーザーのパソコンと、要約筆記者のパソコンを有線接続したうえでソフトウェア「IPtalk」を用いて情報を取得する。IPtalkでは、表示する文字の大きさや色、文字の形式を視聴するユーザーの見えやすさに合わせてカスタマイズできるが、Zoomの画面共有では、表示方法をカスタマイズできず、弱視の盲ろう者が見やすい文字の大きさに設定することができなかった。 -3- 以上の理由から、現在のZoomの機能を活用したオンラインによる研修会開催は困難と判断し、一つの試みとして、オンライン会議体験会を開催すること運びとなった。 写真(協会事務所よりZoom会議に参加している様子) -4- 〈意向調査 内容〉 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会の開催に関する意向調査 1.基本事項についてご記入ください 貴団体名(               ) ご記入者(               ) 2.今年度、クロス・ウェーブ幕張(千葉県)でニューリーダー育成研修会を開催する場合、友の会として受講を希望しますか あ 受講を希望する い 受講を希望しない 2-1.「い 受講を希望しない」を選択の方はご回答ください  受講を希望しない理由は何ですか ※複数回答可。複数回答の場合は、一番の理由に◎をしてください あ 研修会の対象となる盲ろう者がいない い 受講者の費用負担が重い う お住まいの都道府県で県外への移動自粛要請が出ている え 首都圏に上京することに不安がある お (新型コロナにより)通訳・介助員の確保ができない か その他(               ) 新型コロナウイルス感染拡大の終息が見込めず、会場での開催が困難な場合、Web会議アプリ「Zoom」(以下、Zoom)を用いたオンラインでの研修会開催が可能か否か検討を行っております。 以下、オンライン会議についてお答えください。 3.ニューリーダー育成研修会をオンラインで開催した場合、受講を希望しますか あ 受講を希望する い 受講を希望しない う わからない(どちらともいえない) 3-1.「い 受講を希望しない」「う わからない」を選択の方はご回答ください 受講を希望しない理由は何ですか ※複数回答可 あ 研修会の対象となる盲ろう者がいない い オンラインを行ううえで環境に心配や問題がある う その他(               ) 4.友の会としてZOOMを用いたオンライン会議に参加した経験がありますか。 あ 経験がある い 経験がない -5- 4-1.「あ 経験がある」を選択された方はご回答ください (1)どのような会議に参加しましたか (例)友の会の役員会、地域の障害者団体が集う会議など (2)その会議に盲ろう者は参加しましたか あ 参加した  →どのような方法で参加しましたか ア 通訳・介助を受けて参加した イ 主催者側の情報保障(全体手話通訳や要約筆記)を利用して通訳・介助を受けず参加した ウ その他 い 参加していない (3)オンライン会議に参加した際にトラブルは発生しましたか あ トラブルは発生しなかった い トラブルが発生した 「い トラブルが発生した」を選択した方はその原因等をお教えください 5. ニューリーダー育成研修会について、ご意見等ございましたらご自由にお書きください。 アンケートは以上となります。ご回答いただきありがとうございました。 -6- 〈意向調査 結果〉 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会の開催に関する意向調査 調査結果 1.回答数 13団体 2.クロス・ウェーブ幕張(千葉県)で開催する場合、受講を希望しますか 希望する 4団体 希望しない 9団体 2-1.受講を希望しない理由(複数回答可) 対象となる盲ろう者がいない 5団体 県外への移動自粛要請が出ている 1団体 首都圏に上京することに不安がある 5団体 通訳・介助員の確保ができない 2団体 3.オンラインで開催した場合、受講を希望しますか 希望する 3団体(兵庫、鳥取、鹿児島) 希望しない 6団体 わからない 4団体 -7- 3-1.受講を希望しない理由(複数回答可) 対象となる盲ろう者がいない 7団体 オンラインに心配や問題がある 8団体 4.友の会としてZOOMを用いたオンライン会議に参加した経験がありますか。 経験がある 3団体(滋賀、鳥取、広島) 経験がない 10団体 5.ご意見等 ・盲ろう者が安心して安全に参加できる環境で実施してほしい ・オンライン開催になった場合は、場所と機械と通訳・介助員とを確保する必要があるので、早めに決定してほしい ・できれば集まってやりたいですが、コロナウイルス感染で、中止になっても仕方がないと思う ・当面はWithコロナの時期が続くと思うので、正しく恐れながら少しずつでも行動を開始しても良い時期なのではないかと考える ・一回の参加では緊張してしまったり、周りに慣れるのに精一杯になる。連続で参加できるようになれば良いと思う。二回目は心にも余裕もできる -8- 〈Zoom画面検証 資料〉 <ニューリーダー育成研修会のオンライン開催を想定した情報保障について> 受講者や通訳・介助員の情報保障を考慮すると、図1のとおり、画面左側が全体手話通訳(または要約筆記)、右側が参加者の画面表示が好ましいと考えられる <図1>完成図 図の説明:パソコン画面を映した図。黒い背景で左右に画面があり、左の画面が要約筆記(黒い背景に白文字で「要約筆記画面(Zoomの画面共有では、このように表示されます)」 と表示)右の画面は参加者のビデオ(資料ではイラスト)が表示。横4列、縦4列の計16人が表示されている 【解説】 ホスト(主催者:全国盲ろう者協会)側で設定するものと、参加者側で設定いただくものがある。 赤字はホスト側の設定。黄色は参加者側の設定 赤色:画面共有 黄色:左右表示モード、ギャラリービュー、ビデオ以外の参加者を非表示 <図2>解説 図の説明:図1の図の上に赤の枠と黄色の枠で囲っている -9- 1.左右表示モードにする 図3はZOOM入室時の表示(図3-①または②)。全体にホストが画面共有したものが表示(図3の場合は要約筆記) (1)画面上部、中央の「オプション表示」を選択 (2)「左右表示モード」を選択(完成形は図5のとおり) <図3-①> ZOOM入室時の図(大画面に要約筆記、画面上部、横一列に小さく参加者が表示) 図の説明:大画面に要約筆記の画面表示。画面上部に小さく12名の参加者が表示。うち、2名はビデオオフのため、黒く表示されている <図3-②>ZOOM入室時の図(全面に要約筆記、右側に参加者4名が重なって表示) 図の説明:大画面に要約筆記の画面表示。要約筆記の画面に重なるように右側に参加者4名が縦一列に表示。画面が重なっているため、要約筆記の文字が一部見えなくなっている -10- <図4>オプション表示 図の説明:画面上部の「オプション表示」を赤い枠で囲い、赤い矢印を示している <図5>左右表示モード 図の説明:左右表示モード完了後の画面。画約3分の2が要約筆記の画面で、左側に表示。右側の残りのスペースに参加者1名が表示 -11- ★画面共有と参加者表示の切り替え部分にマウスを持っていくと、カーソルが左右矢印に変更される。左右に動かすことができ、大きさを調整することが可能(図6のとおり) <図6>左右画面の大きさを変更 図の説明:要約筆記画面と参加者1名の画面の大きさが同じ状態。画面中央に大きさを切り替えるためのボタンがあり、そのボタンを赤い枠で囲い、赤い矢印で示している 2.ギャラリービューに設定する (1)画面右側の「ギャラリービュー」を選択 <図7>スピーカービューの状態 図の説明:画面右上に「スピーカービュー」と書かれたボタンがあり、それを赤い枠で囲い、赤い矢印で示している -12- <図8>ギャラリービューに切り替え 図の説明:要約筆記画面と参加者の画面の大きさが同じ状態。参加者は全員(22名)が横5列、縦5列で並んでいる。 一番下の列、右3つは空欄。ビデオオフの参加者は黒い画面に白い文字で名前(アカウント名)が書かれている 3.ビデオ以外の参加者を非表示 (1)ビデオオフのアカウントにマウスを持っていく (2)右クリックして「ビデオ以外の参加者を非表示」を選択 <図9>ビデオ以外の参加者を非表示 図の説明:図8と同じ画面。ビデオオフ(ここでは「事務局②」というアカウント)を赤い枠で囲い、赤い矢印で示している -13- <図10>完成形 図の説明:図1と同じ。左半分が要約筆記画面、右半分が参加者(ビデオオンのみ)16名を表示 -14- 2.オンライン会議等体験会 2-1.事前接続テスト 日程:2021年1月8日(金)・9日(土) ※希望者のみ 内容:Zoom接続事前確認 接続に不安のある受講生を対象に体験会前に接続及び、Zoomの基本的な操作を確認した 2-2.オンライン会議等体験会 日程:2021年1月16日(土)・17日(日) 2日間 受講者:各日4名 計8名 カリキュラム(両日): 2021年1月16日(土)・17日(日) 12:00~14:00 Zoom接続確認 14:00~16:00 情報・意見交換会 「コロナ禍での現状と取り組み」 ・自己紹介 ・体験会の感想 -15- 1月16日(土)14:00~16:00 テーマ「コロナ禍での現状と取り組み」 司会:平井 裕子 <16日の報告> 當山良一(認定NPO法人 東京盲ろう者友の会 理事) 受講者は、各々のコミュニケーション方法を用いて参加していた。受信については、通訳・介助員に音声通訳や触手話通訳、パソコンによるモニターや点字ディスプレイでの通訳、説明はなかったが画面の様子から指点字での通訳を受けている様子が伺え、また端末のスピーカーにワイヤレスマイクを近づけて直接聞くなど、実に様々な方法で内容を把握していた。発信に関しては、直接自身で話すか、手話で通訳・介助者に読み取り通訳するかの2通りの方法が見受けられた。 最初の議題として、コロナ禍でのそれぞれの地域の様子や取り組みなどについて伺った。概ねどの受講者からも、新型コロナ感染が広がっていくにつれ、行事が中止になっていったり、通訳・介助員の派遣が難しくなるなどして、困惑している様子が語られた。その一方で、手洗いや消毒などを徹底しながら、コロナについて学んだり、地域内を一緒に出かけていく機会を作り、盲ろう者の拠り所を確保する取り組みなどについて説明していた。また、コロナ禍になってからメールやFAXなど頻 -16- 繁にやり取りをするようになったと前向きな報告もあった。他にも、通訳・介助員の養成研修は中止にしつつも現任研修は続けていたり、理事会や総会を書面で行ったりなど、それぞれの地域で行っていることなどを発表していた。 次に、企画委員からの質問により、実際に感染したらどうするかについての議論に移った。また、盲ろう者の感染が判明した場合は、通訳・介助者が濃厚接触者と認定されてしまうことがあり、その際は2週間にわたり業務ができなくなることから、他の盲ろう者にも影響があることを指摘する意見が出された。他にも、病院のケアワーカーが対応をしてくれたり、聴覚障害者向けの専門の相談窓口が設置されているなど、色々なケースが挙げられた。また、家族などに付き添われて医療機関に向かっても、医療機関内では一人にならざるを得ず、その際に困らないように予め自分のコミュニケーション方法を医療関係者にわかりやすく伝えられるように準備をしておくことが大事であるとの意見も出された。更には、感染した場合の入院の準備や、自宅待機の場合の自炊の訓練など、2週間分の備えの必要性を訴える受講者もいた。当事者団体としては、行政に協力を要請するなど働きかけることも必要であるという意見もあった。 最後に、オンライン会議を実際に体験してみての感想を聞いた。受講者からは、ICT機器に疎く不慣れではあるが友の会などの支援を受けながら参加できたこと、 -17- 複数の全国の盲ろう者と話をすることができたことに、喜びの声が聞かれた。一方では、通常の盲ろう者の会議と比べると、オンライン会議の方が通訳・介助者にかかる負担は大きいように感じたとの感想もあった。これからも経験を重ね、改善をしていきながらオンライン会議を広め、各地の盲ろう者との交流や情報交換をしていきたいと、今後について語っていた。企画委員からは、今回のオンライン会議について、受講者の準備が万全でほとんど問題なくスムーズに進行できたこと、また各地の実情なども知ることができたことなど、とても有意義であったと好印象の感想が挙げられた。その反面、音声での会話が早く、聞き取れなかったり、通訳が追い付けないなど、課題も残された。今回のオンライン体験会のまとめとして、機器や接続の準備さえしっかりとしておき、盲ろう者が実際の会議で行っている発言の際のルールを守れば、オンラインの会議でも同様に進められることが確認できた。 今回のオンライン体験会を通して感じた一番の収穫は経験である。冒頭に司会と受講者の双方から、音声の音量やスピードについて慎重に確認をするなど、やや緊張感が感じられたものの、基本的には普段の盲ろう者の会議の進め方とそう変わりがないため、徐々にリラックスし、その後は終始落ち着いた様子で進行できていた。今後、多くの盲ろう者に参加してもらうためには、障害状況によって利用する機器が多種多様であるため難し -18- い面もあるが、実際やってみると有意義な時間を持つことができ、コロナ禍での意見交換の場として、オンライン会議は有用であると実感することができた。 Zoomアプリに関しての所感として、キャラリービューは、皆さんがどのように発信したり、受信しているかが一様に拝見でき、とても興味深かった。ただ、弱視の盲ろう者にとってはスピーカービューの方が利用しやすいと感じることもあり、通訳・介助員と一緒に参加する盲ろう者は、Zoomの機能をよく理解した上で、どのような方法で参加するかを事前に打ち合わせをしておく必要がある。また、今回は音声を通訳・介助員の間での共通のコミュニケーション方法とし、Zoomアプリをできる限り一番シンプルな設定で運用しての開催であったが、通訳・介助者の発する音声が聞き取りづらい場面があり、今後はチャット機能も併せて利用することも検討する必要があると感じた。 -19- 1月17日(日)14:00~16:00 テーマ「コロナ禍での現状と取り組み」 司会:今本 由紀 <17日の報告> 大杉勝則(NPO法人 広島盲ろう者友の会 理事長) ●12時~14時 14時からのオンライン会議体験会に向け、4名の受講者、4名の企画委員、協会がZoomの設定をおこなった。設定を完了した受講者、企画委員の間で、自由に交流を行った。 交流の内容は、各地域の積雪の様子、広島カープ、聖火リレー、五十肩、全国盲ろう者大会、緊急事態宣言発令中での在宅勤務、PCR検査などだった。 途中、ハウリングやパソコンが稼働しなくなったというトラブルがあったが、マイクの配置を調整したり、二人でひとつのパソコンに臨むなど、改善できた。 ●14時~16時 企画委員の今本氏の司会で、オンライン会議体験会を進行した。 ・コロナ禍でどのように暮らしているか。 ・私たち盲ろう者が新型コロナに感染しないためにどのような感染防止策を講じているか。万が一感染してしまった時に、どのようにコミュニケーションを取ればい -20- いのか。などをテーマとして、話し合った。 以下のような意見が出された。 ・石川盲ろう者友の会の活動は、新型コロナ感染が広がり始めた4月頃までは通常通り活動をしていたが、4月中旬から役員会などの活動が出来なくなった。その後、6月から役員会を再開することになったが、会議の時間は短くし、一緒に食事はしないことにした。また学習会などの活動も少しずつ再開した。手話サークルは現在も活動を休止している。石川県は新型コロナの感染者は少ないが、少しずつ増えてきているのでとても心配している。活動については、今後も活動時間を短縮して交流をしていきたいと思っている。 ・昨年3月に東京都から自粛するように指示が出た。東京盲ろう者友の会の学習会、手話サークルなどすべてが中止になった。家に閉じこもっているだけではなく、朝30分から1時間の散歩をしていた。家族は時々在宅勤務で、息子は自宅でオンライン授業を受けていたため、ほとんど一緒にいた。9月くらいからやっと、東京友の会から学習会が開けるようになったと連絡があった。しかし、定員は6人まで、先着順だった。10月からは、手話サークル、歩む会、国立サークルなども順次、再開されたが、6人の定員が設けられていた。担当している手話サークルは、申込者がたくさんいたが、6名に参加してもらった。コロナに関係する手話表現などを学習した。盲ろう者の中には、コロナについての情報が全くな -21- い、初めて聞いたという方もいた。 ・静岡も東京、石川と同じようにコロナの影響を受けている。例えば定期総会を中止にし、議決はハガキで行った。1月まで交流会や指点字コミュニケーション学習会も中止になった。しかし8月から少しずつ開催している。しかし、今またコロナ感染者が増えているため、状況を見ながら、中止、あるいは開催を判断している。会員と直接顔を合わせる、触れ合う機会が大変減っているので、お互いに寂しい気持ちでいる。早くコロナの霧が晴れて欲しいと思う。 ・広島は理事会や友の会の行事は、昨年はとても少なく、活動も少なかった。5月に開催予定をしていた養成講座が12月に延期となった。12月に再開できたが、コロナの再拡大により、再び中止になった。それでも1月になり、昨日やっと開くことができた。これから続けられるかどうかとても心配。 ・コロナに感染してからでは遅い。コロナに感染しないように、東京盲ろう者友の会のガイドラインに基づいて活動をしている。具体的に、マスクを着用する。会場の机、椅子、ドアノブなどをきちんと消毒する。一人ひとり、手や手指をきれいに消毒する。また、日常生活ではしっかり食べて睡眠をとる。お風呂に入って清潔を保つ。まず予防を第一に念頭において活動をしている。 ・もし病院に入院してしまったらコミュニケーション方法は相手からは手書きをしてもらい、読み取ろうと思 -22- う。自分からはホワイトボードや紙などに書いて伝えようと思う。情報保障はブレイルセンスの活用。 ・コロナがいつ終わるかわからないが、まずやりたいことはコロナの期間の大変さをお互いに話し合いたい。またコロナの期間の、失敗や、良かったこと、教訓などをきちんと理解し合いたいと思う。 ・コロナが終息したらまずはワクチンを打って、少しずつ活動の幅を増やしていきたいと思う。 ●考察 オンライン会議を実施するには、やはり、事前テストや設定などの確認をすることが大切であることを感じた。初めてのオンライン会議ではあるが、盲ろう者の世界では当たり前になっているルール(まず挙手する。司会から指名を受けたあと、名前を名乗り、発言をはじめる。発言を終えたら、以上と告げる。)を身に付けているのでスムーズに進行できたと思う。 盲ろう者にとっては、直接相手とふれあわないと、会った実感がわかないが、直接会えなくても、このようなオンラインを通じて、コミュニケーションが楽しめたという実感は得られたと思う。確かに、盲ろう者自身でZoomの設定を行うことは、難しいかもしれないが、支援者とともに進めていけば、設定できるはずだと考える。 この経験を生かし、各地域の友の会においても、ぜひ、オンライン会議を広めていきたい。 -23- 3.体験会を終えて 3-1.感想と考察 <盲ろう者の立場から> 今本由紀(鳥取盲ろう者友の会 友輪(ゆうりん) 副会長) (1)オンラインによる企画委員会 今年度は新型コロナ感染症拡大の影響により企画委員会はZoomによるオンラインで開催し協議を重ねた。 企画委員会開催前に協会と各委員とでZoom接続確認を行った。私にとっては初めてのZoom体験であった。パソコンはZoomのURLをクリックし簡単に接続できたが、iPadはパスワードの入力が必要であった。音声が聞こえないトラブルも生じたが、初めてのZoom接続は協会と画面越しに顔を見て話をすることができ、オンラインで繋がったことの実感が沸いた。 その後の企画委員会は接続の問題はなかったが、音声が聞こえない等のトラブルがあり、その都度、協会職員が対応をしてくれ、オンライン会議はスムーズに進行し協議を重ねることができた。 第1回目の会議は自宅で行ったが照明の関係で、その後は全てWi-Fi設備のある施設の会議室から実施した。 Zoomは随時バージョンアップがされる仕様であるため、Zoomに詳しい委員から機能についての情報 -24- があり参考になった。バージョンアップによってZoomの仕様が変わることについては、操作方法などをZoomに詳しい通訳・介助員のサポートを受けながら自分で操作をしたが若干混乱した。全盲ろうの企画委員からは、画面設定は通訳・介助員に任せているという話があった。 (2)オンライン会議体験会の開催に向けて 研修会開催について、事前に各友の会等へ意向調査を実施した。意向調査では、ネット環境、オンラインで研修会を開催した場合の参加意向についてもたずねた。回答は、ほとんどがオンラインでの実施に積極的な意見であった。 事前にオンライン開催を想定した情報保障の検証も実施した。手話通訳は手話がブレたり残像が残ったりし、盲ろう者、通訳・介助のろう者が画面の手話を読み取ることが難しいこと、要約筆記は画面の大きさを調整できる点は良いが、参加者の画面が小さくなることが懸念事項としてあがった。 ほかにも、当日のZoom画面設定方法について、要約筆記を画面に表示する方法、参加者の表示方法(全員表示「ギャラリービュー」、1人表示「スピーカービュー」)などについても実際に画面を確認し、その上で協議を重ねた。最終的に画面設定はシンプルな形で、「ギャラリービュー」で画面の位置を固定して実施すること -25- に決定した。 (3)オンライン会議等体験会 司会は、16日は平井委員、17日は私が担当した。平井委員は、全体を見て、音声を聞き、メモを取り整理をしながら、スムーズに参加者とコミュニケーションが取れているようであった。16日はコミュニケーション方法が音声の参加者が多く、スムーズに進んでいた。ただ、触手話の参加者が会議のスピードに遅れていたので、その点が見ていて心配になるところであった。 17日は私が司会を担当した。私は、パソコン要約のモニター、手話通訳、司会内容確認用のタブレット、 Zoom接続のノートパソコンを設置し進めた。そのため視線移動が多く、状況説明も十分ではなく、全体の状況がつかみにくい中ではあったが、司会者として参加者にきちんと伝わるようにということを念頭に置いて進行した。体験会では参加者がスムーズに意見交換をして話すことができた。17日は同室に2人いる会場(東京、広島)でハウリング等のトラブルが生じた場面があった。 (4)考察 初めてのオンライン会議体験会としては有意義でとても良かったと思う。参加者は初めてオンライン会議を体験する方が多かったが、スムーズに進行できた理由は、協会が作成した「Zoomのガイドマニュアル」と、体験会開始前の2時間の接続準備時間が良かったと思う。 -26- 参加人数は、参加者4名、企画委員4名の8名で、1日目の参加者からはもっと話したいという意見があり、参加人数が少なかったのか、もしくは交流の時間が短かったのか、その点が気になっているところである。 次の段階として、レベルアップした研修会として10人以上の参加者での実施も可能だと思うが、その際にはオンライン会議に慣れていることが必要なのかもしれない。 体験会では参加者同士の意見交換も活発で、楽しく話ができ、あっという間の時間であった。参加者からは、またやりたいとの声があったので、ぜひこの機会に今回の「オンライン会議体験会」に参加した盲ろう者が各地域のリーダーとなり、オンラインの体験や交流を開いていくことができたら良いと思う。 今回の参加者は8名であった。全国47都道府県の参加者が参加でき、そして、オンライン未経験の盲ろう者がオンラインを体験することができるように、さらに呼びかけていき、幅広く多くの盲ろう者がオンラインで参加して交流できるようになってほしいと思う。 -27- <通訳・介助員の立場から> 平井裕子(NPO法人 兵庫盲ろう者友の会 事務局長) (1)オンラインによる企画委員会 今年度は、コロナ禍のため企画委員会は第1回目からオンラインでの開催を行った。第1回目の企画委員会開催の前に協会と企画委員個々に接続確認を行った。私自身、Zoomの経験がなく協会の職員から丁寧な説明があり、第1回目の企画委員会を迎えることができた。企画委員会では、遠隔で要約筆記通訳が行われた。第1回目では、事前にテストを行っていたが、会議では、手話読み取り通訳の声が聞き取りにくい、遠隔の要約筆記通訳が切れるなど、様々なトラブルが起こった。2回目以降は、トラブルも減った。結果的に、オンラインでの企画委員会での経験が、当日のオンライン体験会に生かされたと考える。 (2)会場開催か、中止かの判断 例年なら、当日の内容について議論が行われるところだが、今年度は、会場開催ができるのか、できないならどうするかの議論から始める必要があった。オンラインでの開催も視野に入れて、全国の友の会に向けて意向調査を行った。会場開催に賛成する声がある一方で、会場開催に不安の声がたくさんあった。会場開催が難しいと判断し、オンラインでの開催の議論に入った。しかし、 -28- 少人数での企画委員会でさえ、何度もトラブルが起こっていた。初めてのオンラインで研修会を行うことは、かなり厳しいと考えられた。しかし、その中で、盲ろう者がオンラインを体験することが今後につながると考え、今回は、まずオンラインを体験してみようという企画になった。多くの方に参加いただきたいところだったが、たくさんの方の参加では画面が小さくなること、発言の機会が少なくなること、トラブル対応で体験会が終わってしまうかもしれないことを考慮し、今回は定員を絞って、4人ずつ2日間に分けて開催することに決まった。 (3)オンライン体験会の準備 協会が「Zoomマニュアル」を作成した。大変わかりやすく、参加者の皆さんの安心につながったと思う。個々の参加者に時間をかけて接続確認を行った。接続確認を行ったことで、当日のトラブルを大きく減らすことができた。また、参加者の安心感につながったと思う。 (4)オンライン体験会 実際の体験会は、14時から16時であったが、12時から接続を行った。ほとんどの方が12時過ぎに接続が完了し、14時までの間も、交流を楽しんでいた。その2時間の間に、声が聞こえにくいなどの確認もできた。企画委員会では、様々なトラブルがあったが、2日間とも大きなトラブルがなく進行できた。 -29- (5)考察 コロナ禍で、開催方法を決めるための時間を要することになった。しかし、委員間の議論は活発であり、盲ろう者とオンラインの問題について、課題と希望が見えてきたのではと思う。 盲ろう者の中には、日ごろからIT機器を利用し、オンラインにも慣れている方がいる一方で、IT機器についてほとんど知識のない方も多くいる。オンラインの社会についていけない方々もたくさんいる。今回の参加者にも、慣れている方もいたが、未経験の方もいた。 皆さんが今回の体験会をおおいに楽しんでおられたように見えた。全国の友人とつながることが難しい盲ろう者だからこそ、オンラインはひとつのツールになるのではと思う。地元でのオンライン体験や、全国規模でのオンラインでの交流が今後期待されるのではと思う。 -30- 3-2.総括 社会福祉法人全国盲ろう者協会 職員 庵悟 開催にあたり、すべての参加者が取り残されることなく発言ができるよう、参加定員や画面表示方法等の検討を重ねてきた。通訳のしやすさや発言のしやすさを考え、画面上段は参加者、中段は委員(司会を含む)、下段は事務局スタッフと画面を固定し、全体の状況が把握できるよう準備を整え、希望者には事前接続テストを行い、接続トラブルが起こらぬよう対策を立てオンライン会議等体験会を開催した。 大きなトラブルもなく、複数の盲ろう者が初めてオンライン上でつながり、情報・意見交換が活発に行われたことは、大変有意義であった。 アンケートでは、全体的に良い評価をいただき、盲ろう者の活動のツールとして、オンラインの活用を考えるきっかけとなった。 一方で、ネット環境や使用する機器、各地の参加者や通訳・介助員のパソコン操作のスキル、トラブルが発生した際の対応力に個人差があり、円滑に参加するための環境整備が大きな課題として残された。 さらに、盲ろう者は通訳方法が多岐にわたるため、会議の進行スピードの調整や、意図と異なった読み取り通訳となった場合の修正等、対面の会議と比べ、大きな制 -31- 約があることも明らかとなった。 行政においても、各種会議等のオンライン化への移行の動きが迅速に進められている。当協会として、この体験会で明らかになった課題を整理し、オンライン会議に関する盲ろう者向けのマニュアルを全国の友の会等盲ろう者地域団体と共有することで、コロナ禍の終息後も盲ろう者が社会とつながるツールのひとつとして普及させていきたい。 本事業において、オンラインによる研修会開催が可能となるよう、今後もさらなる充実をはかっていきたい。 写真(16日体験会の様子) -32- 3-3.アンケート 体験会終了後、参加者、参加者の通訳・介助員、企画委員の通訳・介助員を対象にメールにてアンケートを実施した。 <アンケート 内容> あなたの立場を教えてください あ.盲ろう者(参加者) い.参加者の通訳・介助員 う.企画委員の通訳・介助員 1.Zoomを利用して感じたことはありますか あ.便利だと感じた い.不便だと感じた う.その他(     ) ⇒上記に回答した理由を教えてください 2.Zoomの会場(ミーティングルーム)に入室するまでに苦労したこと等があれば教えてください 3.各カリキュラムについてお伺いします (1)事前接続確認(1月8日または9日) あ.非常によかった い.よかった う.普通 え.必要ないと感じた お.よくわからない か.その他(      ) -33- (2)接続確認(当日12:00~14:00) あ.非常によかった い.よかった う.普通 え.必要ないと感じた お.よくわからない か.その他(      ) (3)情報・意見交換会(当日14:00~16:00) あ.非常によかった い.よかった う.普通 え.必要ないと感じた お.よくわからない か.その他(          ) 4.Zoomの画面表示についてお伺いします 今回は10名のビデオを一覧に表示(ギャラリービュー)、参加者のビデオ位置の固定を行いました 通訳を受ける上で(または、参加者に通訳を行う上で)良かった点、困った点などがあればお書きください 5.そのほか、感想がありましたら、お書きください -34- <アンケート 結果> 回答者数 17名 (盲ろう:5名、参加者の通訳・介助員:6名、企画委員の通訳・介助員:6名) 参加者(盲ろう者) 1.Zoomを利用して感じたことはありますか あ.便利だと感じた 4名 う.その他 1名 「あ.便利だと感じた」回答理由 ・オンラインをつながったことを体験できて嬉しかった ・コロナ禍で移動が出来なくてもパソコン1台あればどこでも使えるのが便利 ・初めてZoomを利用した、久しぶりに県外の盲ろうの仲間と会えた 「う.その他」回答理由 ・条件や環境が整えば便利なところもあるが、盲ろう者としてはハードルが高く、不便と感じる部分もある ・利用環境が整えば、便利だと思う ・参加者全員が情報受信に時間がかかる盲ろう者に対して配慮していく心構えや、オンライン利用できる環境が整わないと難しいと感じた -35- 2.Zoomの会場(ミーティングルーム)に入室するまでに苦労したこと等があれば教えてください ・複数の入室方法があり、ZoomのIDやパスワードなど、数字を入れるだけでは入室できないことがあり、入室に時間がかかった ・全くZoomを知らない方だと、何をどうしてよいかが分からず、電話による説明が必要になると感じた ・パソコンのスピーカーからだけだと音が聞き取りにくく、外付けスピーカーや、補聴器でZoom内の音を聞くためにロジャーペンが必要になった 3.各カリキュラムについてお伺いします (1)事前接続確認 あ.非常によかった 2名 い.よかった 1名 か.その他 2名(不参加のため) (2)Zoom接続確認 あ.非常によかった 4名 未回答 1名 (3)情報・意見交換会 あ.非常によかった 4名 い.よかった 1名 -36- 4.Zoomの画面表示について、通訳を受ける上で良かった点、困った点などがあればお書きください ・会議中に話が早くて通訳者からの読み取りが大変だった ・画面が、小さくて見づらいので、通訳・介助者にいて助かった ・特に手話を使う時に画面を確認した方がいいと思った 5.そのほか、感想がありましたら、お書きください ・参加できて、本当によかった ・つながった、通じたときは嬉しかった ・相手の動きも含めて情報が入り、電話やメールにはない良さも感じた ・オンラインで繋がることができるか心配していた。緊張したが、楽しかった ・今回は情報保障の手段がまだ確立されていない中での会議だったが、チャット機能も活用してパソコン通訳での保障が出来るかどうか一度実践して欲しい ・オンライン上ではあるが、全国各地の盲ろう者と顔を合わせて、コミュニケーションがとれて、情報交換や共有ができたことはとても有意義で嬉しかった ・オンラインは、画面の中の世界で、相手の情報や状況がリアルタイムで把握できないこともあり、実態がないというか、実感がない部分もあった ・盲ろう者にはオンラインではなく、直接のコミュニケーショ -37- ンや、直接会場に集まる形の会議や研修が必要と再認識した。 ・盲ろう者の会議など、利便性を優先してオンラインが前提にならないように、直接見る、聞く、触れる情報の送受信を守っていく必要もあると強く感じた ・やむを得ない状況に限り、盲ろう者が希望・必要とする場合は、オンラインは大変有効であり、一つの選択肢として活用することは有りだと思う ・ネット環境、パソコンなどの情報機器の知識とスキル、支援者の知識やスキルなどの条件や環境が整わないと難しいと感じた ・より情報が入りにくい、移動が困難、コミュニケーションが難しい盲ろう者でも利用できる環境整備、利便性の向上に向けて考えていけたらよいと思う ・音声で発信する人は発言が早くなる傾向があり、盲ろう者は情報を受信するだけで精一杯となると思う。主催者や発言者が間を取る配慮は常に必要であると思う ・音声で受信する場合、オンラインでは調整が非常に難しく、会場で集まるときよりも配慮が必要だと感じた ・パソコン通訳を受ける場合は、盲ろう者が読み取るまでのタイムラグもあり、待つ配慮も必要不可欠である ・参加者全員でルールを守る必要があり、それらができたことで、今回は、比較的スムーズに進められたと思う ・事前のテストや調整、準備は必須で十分に時間を取った方が良い。それができたおかげで、スムーズに参加できた -38- ・地域でオンライン会議等の可能性を広げるために、盲ろう者や通訳・介助員等がZoomやオンラインに関する知識と技術等を身に付ける学びの場が必要と思う 通訳・介助員(参加者および企画委員) 1.Zoomを利用して感じたことはありますか あ.便利だと感じた 12名 「あ.便利だと感じた」回答理由 ・会場に集まらなくても、顔を合わせて話し合うことができるから ・1つの会場に集まることなく、複数人で意見情報交換が可能だったから ・遠方であることや、様々な諸事情でなかなか話すことができない人と、画面を通して繋がり話すことができる ・「直接会う」方法以外の手段として、ビデオ機能、音声機能を使ってコミュニケーションができる ・参加者の交通費・移動時間の削減ができる ・今回のような非常時にも対応できる、接続の安定性 ・コロナ禍の中、感染リスクを軽減できた ・リアルタイムでライムラグもなく話せるのは便利 ・盲ろう者の会議などで日頃から気をつけている発言のルールが、Zoom会議の進め方とよく合っていると感じた ・画面の中という限られた視覚情報なので、状況通訳がやりやすい -39- ・視覚情報の格差を小さくできる ・盲ろう者向け利用に課題があると思った ・ネット環境に慣れていない人には操作の問題をクリアする必要が生じた ・録画ができる ・画面の共有機能で同じ資料や動画を視聴できる ・画面共有でパソコン通訳の表示ができる 2.Zoomの会場(ミーティングルーム)に入室するまでに苦労したこと等があれば教えてください ・ハウリング等の調整 ・入室してから、ミュートや画面を消すなどのマークや言葉の意味がわからず、クリックしても大丈夫か不安があった ・事前資料が参考になった 3.各カリキュラムについてお伺いします (1)事前接続確認 あ.非常によかった 1名 い.よかった 1名 か.その他(不参加) 10名 (2)Zoom接続確認 あ.非常によかった 4名 い.よかった 5名 う.普通 1名 か.その他 2名 理由:1時間で十分だと思った -40- (3)情報・意見交換会 あ.非常によかった 6名 い.よかった 5名 未回答 1名 4.Zoomの画面表示について、参加者に通訳を行う上で良かった点、困った点などがあればお書きください ・音声もはっきり聞こえ、通訳はスムーズにできた ・固定なので、瞬時にどこの誰かがわかるので、通訳しやすかった ・状況説明の際に、名前の確認等で困惑することがなかった ・大画面モニターで視聴したので全員表示でも画面の大きさは十分だった。普通のパソコン画面では小さいので発言者を大きくしてくれた方がよいと思う ・みんなで同席している感じがあり、発言の合間には表情なども伝えることができたので、ギャラリービューは良かった ・人数的にも、どの画面の誰がしゃべっているのかはすぐわかり、ちょうどよかった ・画面が小さくなるのは仕方ないとして、名前の表示もあり画面の視覚情報を伝えるのには良かった ・部屋の様子、顔の表情、などを近くに見ることができ、盲ろう者に伝えやすかった ・挙手しているのに気付いてもらえないことがあった -41- ・司会担当の通訳者は発言者が挙手しているかを確認しながらの通訳は難しいのでペアの通訳者が常に画面を見て状況を確認して伝える必要があると思った ・事前の状況説明が協会職員からあったので良かった 5.そのほか、感想がありましたら、お書きください ・コロナ禍というのもあるが、今後もオンラインを活用することで色々な負担軽減につながると思う ・実際に会うことが叶わない状況下でも、繋がることができる方法の1つとして有用だと思った ・今回は特定の人だけだったが、全国の盲ろう者の方々が体験できればいいなと思った ・接続環境の事前確認の重要性を改めて感じた ・参加者の皆さんが、再会を喜び合ったり、近況を伝え合う様子を拝見できてよかった。私自身も前向きな気持ちを持つことができた ・マイクとカメラが同じ所についているので、正面を向いて発声するため、主に画面を見て読み取り通訳をした ・ろうベースの盲ろう者が手話で話すときには、なるべくそのまま鏡通訳をしている。せっかくの画面なので、カメラに向かって見えやすく話していただけたらと思っていた ・通訳・介助者用のポータブルスピーカーの準備があり、発言者の音声の聞き取りは特に問題なかった ・初めは慣れないカタチに戸惑いもあったが、だんだん面白くなっていった -42 ・わからないときは、協会からすぐ的確な指示や説明をしていただき、安心感があった ・個人的にZoomを利用したことはあったが、通訳・介助での経験がなく不安もあった。参加者向けのマニュアル等資料があり安心して臨むことができた ・オンライン会議に限らず、毎回進行ペースが早いと思う。もう少し時間に余裕を取り、盲ろう者全員が話に参加出来るように、ゆっくり進行出来る事が理想だと思う ・パソコンに向かって、盲ろう者も通訳者も体をひねっていたので、腰への負担がひどく、痛くなった ・通訳者の声や、盲ろう者の声が、聞き取りにくかったのでもっと良い方法があればと思う 写真(17日体験会の様子) -43- 4.参考資料 4-1.Zoomガイドマニュアル 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会オンライン開催におけるZoomのガイドマニュアル (社会福祉法人全国盲ろう者協会)2020年12月 目次 1.Zoomとは・・・1 2.用意するもの・・・2 3.事前準備と参加方法・・・3 ◆事前準備・・・3 ◆参加方法について・・・6 4.用語集・・・9 5.体験会での画面表示について・・・12 6.Q&A・・・13 ※2020年12月9日(バージョン:5.4.6)現在のマニュアルです。Zoomのバージョンアップにより、表示画面や設定等が変更となる可能性があります。 -44- 1.Zoomとは Zoomとは、複数人での同時参加が可能な「ビデオ・Web会議アプリケーション」です。 2.用意するもの オンライン会議体験会(以下、体験会)にご参加いただくためには、下記の機器や環境が必要となります。 (1)インターネット回線に接続しているパソコンまたはタブレット端末 盲ろう者が視聴しやすいように、さまざまな設定を行います。タブレット端末は対応していない設定が多いため、情報保障の観点からパソコンでの参加を推奨します。また、無線LANでの接続はインターネット回線が不安定となる可能性が高いため、可能な限り有線LANの接続を行ってください。 (2)メールアドレス 参加するために必要なURLやID・パスワードを事前に当協会からお送りする必要があります。 (3)ウェブカメラ 参加者の顔を映し出すために必要です。パソコンまたはタブレット端末にカメラが内蔵されていない場合は、別途USB接続のウェブカメラを購入し、ご参加ください。 (4)マイク 参加者の発言を相手に伝えるために必要です。機器に内蔵されていない場合はウェブカメラ等を購入してください。ウェブカメラの多くはマイクを内蔵していますが、内蔵していないものもありますので、購入時はご注意ください。 (5)スピーカー 他の受講者の発言を聞くために必要です。機器に内蔵されていない場合は、外付けスピーカー等を購入してください。 -45- 3,事前準備と参加方法 ◆事前準備 体験会(または接続確認日)の前日までにZoomアプリのダウンロードまたは、バージョンアップをお済ませください。方法は以下の通りです。 (1)はじめてZoomのアプリをダウンロードする場合(2ページ) インターネット上でZoomのアプリケーションをダウンロードする方法です。 (2)すでにZoomのアプリのダウンロードが完了している場合(3ページ) 最新のバージョンに更新(バージョンアップ)方法を記載しています。 (1)はじめてZoomのアプリをダウンロードする場合 ①Zoomダウンロードセンター(https://zoom.us/download)を開く。 ②「ミーティング用Zoomクライアント」の「ダウンロード」を選択。 -46- ③「実行」を選択。 ④パソコン上に「Zoomクラウドミーティング」が表示されれば、ダウンロード完了です。 (2)すでにZoomのアプリのダウンロードが完了している場合 ①Zoomアプリを開き、現在のバージョンを確認してください。画面下部に記載されています。 ※2020年12月9日現在の最新バージョンは(5.4.6)です。 -47- ②最新のバージョンでなかった場合はバージョンアップを行ってください。 ※操作手順は「(1)はじめてZoomのアプリをダウンロードする場合」と同様です。 また、Zoomでメールアドレス登録済み(アカウントを所有済)の方は以下の方法でもバージョンの確認を行うことができます。(今後、Zoom利用時にホスト(主催者)とならない場合は、メールアドレスの登録は必要ありません) ①「サインイン」を選択。 ②登録したアドレス・パスワードを入力し、サインインします。 ③右上のアイコンの中の「アップデートを確認」を選択。 -48- ④現在のバージョンアップが表示されます。最新でない場合は「更新」を選択すればバージョンアップが完了します。 ※2020年12月9日現在の最新バージョンは(5.4.6)です。 -49- ◆参加方法について 体験会2~3日前に当協会より招待メールをお送りします。 招待メールには、以下3点が記載されています。 ・URL ・ID ・パスワード ※いずれも参加するために必要な情報です。体験会終了後まで、招待メールは保管ください。 また、体験会終了後は使用できなくなりますので、ご注意ください。 ※招待メールは第三者へ転送しないでください。事前申込のない方が入室された場合は、退室していただきます。 (1)事前にお送りする招待メールのURLから参加(6ページ) (2)Zoomアプリから参加(7ページ) --- (1)事前にお送りする招待メールのURLから参加 ①招待メール内にあるURLを選択。 ②名前欄に「参加者氏名(都道府県)」を入力して「ミーティングに参加する」を選択。 (例:「協会太郎(東京)」) -50- ③ビデオ表示の確認画面が表示されます。「ビデオ付きで参加」を選択。 ④ミーティングルームへの入室が完了します。 (2)Zoomアプリから参加 ①Zoomアプリを立ち上げ、「ミーティングに参加」を選択。 ②招待メールに記載されているミーティングIDと名前欄に「参加者氏名(都道府県)」を入力し「参加」を選択。 -51- ③招待メールに記載されているパスワードを入力し、「ミーティングに参加」を選択。 ④ビデオ表示の確認画面が表示されます。「ビデオ付きで参加」を選択。 ⑤ミーティングルームへの入室が完了します。 -52- 4.用語集(50音順に表記) ◆ギャラリービューとスピーカービュー 画面表示の方法を指します。初期設定では、「スピーカービュー」が表示されています。それぞれの画面表示については各項目でご確認ください。 ◆ギャラリービュー 参加者全員が画面表示される設定です。参加人数に応じて、一人ひとりの画面の大きさが異なります。 ◆サインイン ミーティングルームに入室することを指します。 -53- ◆スピーカービュー 初期設定の画面表示です。人間の声に反応して画面表示が自動的に切り替わる設定です。声を出している参加者1名が大きく表示され、その他の参加者が画面上部、または、横一列に小さく表示されます。体験会では、発言者と声を出している参加者が必ずしも一致しないため(音声通訳などの声を拾い、切り替わることがある)、あまりお勧めできません。 ◆ビデオオフ 自分のビデオの表示・非表示を選択することができます。画面左下の「ビデオの停止」を押すと非表示になります。体験会参加中はビデオオンの状態でご参加ください。当日は、参加者、企画委員のほかに協会事務局も入室します。 また、ご自身のビデオ表示を確認することができます。 なお、ビデオオフの場合、他の参加者からは黒い背景、中央に白い文字で参加者名が表示されます。 -54- ◆ビデオ以外の参加者を非表示 ギャラリービューの初期設定では、ビデオオフの参加者も前頁のように画面が表示されますが、ビデオオンの参加者のみを表示することも可能です。(複数の設定を組み合わせた場合は適応されない可能性があります) ◆ホスト ミーティングの主催者のことを意味します。体験会では「全国盲ろう者協会」のアカウントがホストとなります。「カスタムギャラリービュー」など、ホストでなければ設定できないものもあります ◆ミーティング オンライン会議の場のことを指します。  ◆ミュート 音声をオフにすることです。近距離で複数台をZoomに接続した場合、ハウリング(周囲の音が重なり、不快な音が出ること)が起こる可能性がありますので、発言するとき以外はミュートにした状態で参加してください。 また、ご自身の音声の状態を確認することができます。 -55- 5.体験会での画面表示について 体験会では、以下2点の設定を行います ・カスタムギャラリービュー(協会側で設定) ・ミュート ◆カスタムギャラリービュー ギャラリービュー(9ページ)の表示にした際に、ホスト側でビデオの表示順を変更する機能です。 (例:司会者が左上、事務局が右下など) この設定を行うことで、参加者全員が同じ画面表示となるため、状況説明がしやすくなります。 ただし、適応するために満たさなければならない条件があります。 ・参加者自身がギャラリービューを表示させる ・2020年9月のバージョン(5.2.2)以降のバージョンアップにしておく (ギャラリービューへの切り替え方法) ①画面右上の「表示」を選択 ②「表示」の中の「ギャラリービュー」を選択 ※同様の方法でスピーカービューに戻すことも可能です。 ◆ミュート(11ページ) 同時に複数の方が発言をすると、聞きとりにくくなります。発言時以外は「ミュート」に設定してください。 また、キーボードのスペースキーを長押ししている間だけ、一時的にミュート解除となりますので、ご活用ください。 -56- 6.Q&A Q1.「コンピューターでオーディオに参加」と表示されました。どうしたらよいですか? A1.「コンピューターでオーディオに参加」を選択してください。また、パソコンがマイク(またはスピーカー)を正しく認識していない場合があります。接続を今一度ご確認ください。 Q2.「接続しています…」から画面が切り替わりません。どうしたらよいですか? A2.パソコンまたはタブレット端末のインターネット回線が不安定な可能性があります。インターネットにつながっているかどうか、電波状況が弱くなっていないか、ご確認ください。 Q3.音が聞こえません。どうしたらよいですか? A3.パソコンまたはタブレット端末そのものの音声がオフ(ミュート)になっている可能性があります。パソコン本体の設定をご確認ください。 -57- (パソコン本体のミュートの解除方法) ①音量のアイコンを選択(Windowsの場合、画面右下に表示されています) ②音量設定画面が開きます。再度アイコンを選択(またはスライダーを動かす)と解除ができます。 Q4.声を出しても、他の参加者に聞こえていないようです。どうしたらよいですか? A4.画面左下のマイクボタンを確認してください。「オーディオ」と表示される場合、パソコンがマイクを認識していない可能性があります。 また、設定の「スピーカー」の項目の中に「スピーカー&マイクをテストする」項目がありますので、不安な方はお試しください。 -58- Q5.「ビデオ以外の参加者を非表示」の解除方法が知りたいです A5.「ビデオ以外の参加者を非表示」を設定している間は画面上中央に「ビデオ以外の参加者の合計」の数が表示されます。そのボタンを選択し、「ビデオ以外の参加者の表示」を行うと全員が表示されます。 ※パソコン画面の大きさ等によっては、全員が表示されない可能性があります。 Q6.一人ひとりのビデオ画面が小さくて見えません。音声に反応して自動で切り替わるスピーカービューではなく、自分が希望する人を大きく表示させる方法はありますか A6.参加者を固定して表示(ビデオを固定)することは可能です。ただし、大きく表示させたい人が変更する度に設定の解除・再設定をする必要があります。 (ビデオを固定する手順) ①大きく表示させたい人の画面までカーソルを合わせる ②右クリックをし、「ビデオを固定」を選択 -59- (ビデオ固定を解除する手順) ①画面左上の「ビデオのピン留めを解除」を選択 (ビデオ固定を解除すると、初期設定であるスピーカービューに戻る可能性があります) -60- 4-2.感染症対策 以下のとおり、参加者へ感染予防対策の注意喚起を行ったうえで開催した。 ①検温 前日から1日1回の検温を行ってください。37度以上であった場合は、当協会にご連絡の上、参加を取りやめてください。 ②手指消毒や手洗い 体験会前後は各自、手指消毒や手洗い等をこまめに行い、感染予防対策に努めてください。 ③マスク(またはフェイスシールド)の着用のお願い 参加盲ろう者、通訳・介助員間の密接は避けられないため、飲食等の必要時を除いては、マスクまたはフェイスシールドを着用して参加してください。 ④参加をとりやめる場合 参加決定後に感染拡大予防の観点から参加を断念される場合は速やかに当協会にご連絡ください。 -61- 書名:2020年度全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会事業 全国盲ろう者団体ニューリーダー等オンライン会議体験会 発行日:2021年3月25日 編集・発行:~日本のヘレン・ケラーを支援する会R~ 社会福祉法人全国盲ろう者協会 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 TEL:03-5287-1140 FAX:03-5287-1141