平成27年度全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会報告書 平成27年12月12日(土)〜13日(日)アパホテル東京潮見駅前 主催 〜日本のヘレン・ケラーを支援する会R〜社会福祉法人 全国盲ろう者協会 *** 目次 1.概要  1 1-1.全体概要  1 1-2.カリキュラム  2 1-3.カリキュラム別概要  3 2.カリキュラム別報告  5 2-1.全体会1 5 2-2.グループ討議 12 2-3.全体会2 23 2-4.全体会3 29 2-5.全体会4 33 3.総括 40 4.添付資料 42 4-1.事前アンケート 42 4-2.全体会1 49 4-3.全体会2 59 4-4.全体会3 62 4-5.全体会4 65 4-6.事後アンケート 71 5.本研修会企画委員会の概要 82 *** 平成27年度全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会 1.概要 1-1.全体概要 平成27年12月12日(土)〜13日(日)の2日間、アパホテル東京潮見駅前にて平成27年度全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会を開催した。 本研修会は、若い盲ろう者のリーダーを育成し、盲ろう者地域団体の運営力向上に繋がる知識と技術を身に付けることで、地域の盲ろう者福祉の充実を目指した団体の活性化を図ることを目的としており、本年度は全国各地から19名の盲ろう者が受講し、以下のとおり実施した。  【日程】 平成27年12月12日(土)〜13日(日) 2日間 【会場】  アパホテル東京潮見駅前 水晶・瑠璃・碧  (東京都江東区潮見2-8-6)   TEL:03-5653-8111 *** 1-2.カリキュラム 【平成27年12月12日(土)】 12:30-13:00 受付 13:00-13:15 開講式 13:15-14:30 全体会1『友の会とは〜その原点と今後のあり方』 14:30-14:45 休憩 14:45-16:30 グループ討議『話し合いをまとめるために大切なこととは』 16:30-16:45 休憩 16:45-17:45 グループ発表・講評 17:45-18:30  18:30-20:30 意見交換会 【平成27年12月13日(日)】 9:00-10:15 全体会2『上手に話すには〜わかりやすい話し方』 10:15-10:30 休憩 10:30-12:00 全体会3『リーダーとしての心構え〜円滑な友の会運営のために』 12:00-13:00 昼食 13:00-15:00 全体会4『盲ろう者福祉の基礎知識〜主に通訳・介助員派遣事業』 15:00-15:30 閉講式 *** 1-3.カリキュラム別概要 @全体会1『友の会とは〜その原点と今後のあり方』  神奈川盲ろう者ゆりの会会長の川島朋亮氏の司会のもと、全国盲ろう者団体連絡協議会(以下、連絡協議会)会長の高橋信行氏が、友の会等盲ろう者地域団体のあるべき姿と抱える諸問題について講演した。 Aグループ討議『話し合いをまとめるために大切なこととは』  事前アンケートであらかじめ受講者から寄せられた現状と課題を踏まえ、(1)友の会で話し合いをする上での問題を解決するための工夫、(2)話し合いをまとめていくために大切なことの2点について、3つのグループに分かれ、熱心に討議が行われた。その後、川島氏の司会のもと、全体でグループ発表を行い、高橋氏より助言を頂いた。 B意見交換会  奈良盲ろう者友の会「やまとの輪」役員の川口智子氏の司会のもと、受講者と講師が各テーブルに分かれ、所属する友の会活動等について意見交換を行った。 C全体会2『上手に話すには〜わかりやすい話し方』  川口氏の司会のもと、世界盲ろう者連盟事務局長の福田暁子氏が、盲ろう者のグループで上手に話し合いを進めるために司会者が心掛けることや、話し合いのルールについて、会場の受講者とやりとりを交えながら講演した。 D全体会3『リーダーとしての心構え〜円滑な友の会運営のために』  みやぎ盲ろう児・者友の会役員の小山賢一氏の司会のもと、認定NPO法人東京盲ろう者友の会理事長の藤鹿一之氏が、失敗談等の体験に基づく話を交えながら、「人との関わり・知ること・経験を積むこと」という3つの大切さについて講演した。 E全体会4『盲ろう者福祉の基礎知識〜主に通訳・介助員派遣事業』  愛知盲ろう者友の会会員の小林功治氏の司会のもと、当協会事務局長より、盲ろう者福祉制度の見直しの経緯と具体的な内容を示し、今後の課題や展望について講演を行った。その後、国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター教授の福島智氏による補足説明があり、講師と受講者との活発な意見交換が行われた。 *** 2.カリキュラム別報告 2-1.全体会1 『友の会とは〜その原点と今後のあり方』 講師:高橋 信行氏(全国盲ろう者団体連絡協議会 会長) 司会:川島 朋亮氏(神奈川盲ろう者ゆりの会 会長)  ●要旨 第1節 友の会のあるべき姿 1.全国の友の会 各都道府県に設置されている。(未設置は青森県のみ) 2.自立と社会参加を実現する友の会 「自立」とは、盲ろう者が人間らしく生きられることであり、 「自己決定」と「自己責任」が大事である。 「自己決定」とは、自分の事は自分で決めること。 「自己責任」とは、自分で決めたことに自分で責任を取ること。 「社会参加」とは、盲ろう者も社会の中で活躍すること。 自己決定をするためには十分な情報が必要であるが、盲ろう者は単独で情報を得ることが難しい。 ○盲ろう者が自己決定するためには… 通訳・介助を受けることで必要な場所に行き、自己決定するための情報を得ることが大事である。 ○つまり・・・ 盲ろう者の自立と社会参加のために、通訳・介助は欠かせない。 友の会の重要な役割の一つは、盲ろう者の自立と社会参加を組織的に支援していくことである。 3.障害の受容における友の会の役割 「受容」とは、障害があることで諦めるのではなく、それを受け入れ、積極的に生きていこうとすること。障害の受容は簡単にできることではない。盲ろう者が障害を受容できることは非常に大きな意味がある。 ○受容していくために… 本人の努力や周りの人の支援も必要である。 ○本人の努力とは・・・ ・盲ろうについて学習すること ・同じ障害のある人たちと出会い、仲間を作っていくこと ・友の会の活動を一生懸命行う等 盲ろう者も障害の受容を進めていくことが友の会の重要な役割の1つでもある。 4.コミュニケーション手段獲得の場としての友の会 友の会に入会後、指点字や触手話、手のひら書き等、コミュニケーション手段を獲得した盲ろう者が多い。 友の会は、コミュニケーション手段を獲得する場としての機能を果たしている。 5.当事者と支援者の参加と協働 多くの障害者団体…分離型 →当事者組織と支援者組織が分かれている。 盲ろう者友の会…協働型 →当事者団体の中に支援者も混ざり、活動している。 ○友の会が協働型なのはなぜか ・盲ろう者だけで活動していくのは困難なため ・盲ろう者同士でコミュニケーションが取れない場合が多いため (例)盲ベースの盲ろう者と、ろうベースの盲ろう者のコミュニケーション方法が異なる 盲ろう者だけで運営するより、支援者と一緒に進めることが現実的である。 6.支援者の自己実現の場としての友の会 ○支援者が友の会で活動するのはなぜか 盲ろう者のためだけでなく、支援者自身にも以下のような喜びがあるからこそ、通訳・介助をしている。 ・支援者自身の成長 ・新しい自分の発見 ・自己実現 ・活動することの喜び ・成長することの喜び 友の会は盲ろう者だけでなく、支援者の自己実現の場としても存在する。 7.バランスのとれた友の会 自分の属する友の会は下記のいずれにあてはまるのか。 (回答者10名) @盲ベースの盲ろう者が多く、ろうベースの盲ろう者がほとんどいない(0名) Aろうベースの盲ろう者が多く、盲ベースの盲ろう者がほとんどいない(6名) B両方のタイプの盲ろう者がおり、バランスが取れている(4名) ○理想の友の会は… 先天性、後天性、盲ベース、ろうベース等全てのタイプの盲ろう者が安心して入会・活動できる場。 友の会は当事者と支援者が一緒に活動している団体である。活動形式は以下のように様々である。 @当事者主導 A支援者主導 B当事者と支援者が上手く協働している 理想はB番である。 8.任意団体から法人へ 全国の盲ろう者団体のうち10団体が法人化している。 ○法人化が必要な理由… 社会からの信用が得やすく、活動していくことにメリットがあるため。 9.養成・派遣事業を実施する友の会 盲ろう者のことを最もよく知る友の会が養成・派遣事業を実施するべきである。 10.啓発活動をする友の会 啓発活動も友の会の役割の一つである。個人で意見を述べるより、組織として意見を述べる方が説得力がある。 11.全国盲ろう者団体連絡協議会 連絡協議会は盲ろう当事者の全国組織であり、全国各地の友の会の連合体である。連絡協議会は全国盲ろう者協会と連携しながら、日本の盲ろう者福祉を支えている。 第2節 友の会の抱える諸問題 1.事務所がない 受講者たちの属する各地の友の会に事務所はあるか。→受講者からの回答:6 2.掘り起こしが進まない 盲ろう者実態調査のアンケートと共に友の会のチラシを同封したが全く反応がなかった。 ○なぜ掘り起こしが進まないのか・・・ ・個人情報保護等の理由で行政から必要な情報をもらうことができない。 ・さらに根深い問題もあると考えている 3.人材不足と高齢化 若年層の盲ろう者や支援者の入会を望むが、なかなか難しい。盲ろう者や支援者の高齢化が問題となっている。 4.養成・派遣事業を受託できない 友の会が受託しているのは全国の友の会のうち、約3分の1程度である。他は聴覚障害者団体や、その他の団体が受託している。将来は、全ての友の会が養成・派遣事業を受託できるようになるとよい。 5.会則の未整備 会則のない友の会は、他の友の会の会則を参考にし、作成するとよい。徐々に内容も地域の友の会向けに改善していくとよい。 6.連携不足 平成25年度まで、各地域ごとにブロック会議事業を実施しており、友の会同士で連携が取れていた。友の会内部の活動だけでは不活発化は避けられないため、他の友の会や、聴覚障害者団体、視覚障害者団体、行政と連携することが大事である。 7.苦しい財政状況 いかにして収入を得るかが大きな課題である。 ●所感  講師はスライドを利用しながら友の会の役割や課題についてわかりやすくお話して頂いた。時間の都合で受講者からの質疑応答ができず残念だった。もっと時間があればよりよい講義ができたのではないかと思う。 (文責 川島 朋亮) *** 2-2.グループ討議 『話し合いをまとめるために大切なこととは』 総合司会:川島 朋亮氏(神奈川盲ろう者ゆりの会 会長)  助言者:高橋 信行氏(全国盲ろう者団体連絡協議会 会長)  グループ司会: グループ1・・・小山 賢一氏 グループ2・・・川口 智子氏 グループ3・・・小林 功治氏 事前アンケートであらかじめ受講者から寄せられた各地の友の会の話し合いの現状と課題を踏まえ、以下の議題について、3つのグループに分かれて討議を行った。 (1)友の会で話し合いをする上での問題を解決するための工夫 (2)話し合いをまとめていくために大切なこと ●各グループ報告 <グループ1> (1)について ○各友の会の状況・問題点 @会議時間が足りない ・通訳・介助や情報入手に時間がかかる ・受信・発信が遅い盲ろう者の意見を待つ時間が取りにくい A意見が少ない・意見が偏る傾向にある B議題や質問の内容から意見、回答がずれてしまう C県域が広く、交通も不便であるため、盲ろう役員が定期的に集まることができない ○工夫していること @について ・役員会の前にテーマを決めて資料を作成し、配布する ・資料は、盲ろう者の情報入手方法に合わせて、墨字、点字、メール、FAX等で配布する ・メーリングリスト(ML)を活用して情報共有する ・資料を一読し、自分の意見を考えてきてもらう ・議題を1つずつ話し合い、記録の内容について確認をし、役員の承認を得た後、次の議題に進む Aについて ・状況を把握できず、挙手できない人は司会者から指名する ・盲ろう者の意見を聞いてから、健常者の意見を聞く ・周囲の状況も把握できるように状況説明をしてもらう ・普段から話がしやすいように会議以外に交流等の機会を持つ (2)について ・議題を狭めると、意見が集約しやすくなる ・通訳・介助員が内容を理解できないと盲ろう者にも伝わりにくくなるため、わかりやすく話す ・盲ろう者が理解できるまで具体的に説明する ・会議の残り時間を共有する ・決定すべき事項を事前に説明する ・長時間の会議にならないよう準備をしておく <グループ2> (1)について ○各友の会の状況・問題点 @盲ろう者のコミュニケーションが様々で、全員が理解するまで時間がかかる A盲ろう者同士の交流が少ない B盲ろう者を中心に会議を進めるべきだが、支援者(通訳・介助員等)の意向も反映してほしいと通訳・介助員から意見がある ○工夫していること @について ・資料の事前配布を行う ・支援者に内容を確認する ・コミュニケーション方法を工夫する ・会議の様子を見て、議題の優先順位を決める ・学習部、交流部、広報部等グループごとに会議し、最終的に役員会でまとめる Bについて ・盲ろう者と支援者が助け合えるよう、両方の立場を考慮する (2)について ・盲ろう者と支援者が対等な立場で進めていくこと ・支援者が盲ろう者の意見をさえぎるのではなく、盲ろう者を尊重し、支援するという意識を持つこと ・盲ろう者一人ひとりの権利を尊重すること ・会議についていくのが遅い盲ろう者がいても、協力し、助け合うこと <グループ3> (1)について ○各友の会の状況・問題点 @通訳方法によって理解に差が出るため、会議がスムーズに進まない ・音声通訳が聞こえにくい ・触手話、手書き文字が伝わりにくい ・ろうベースの盲ろう者への通訳は時間がかかり、役員間で時間差が生じる ・通訳・介助員の通訳技術力の問題 ・盲ろう者の理解力の問題 A発言しない役員がいる B会議の時間が短い ・グループ3の受講者の所属団体の多くが3時間以内で会議をしている(最短は1時間半) ○工夫していること @について ・休憩や話の区切りに通訳・介助員に通訳内容を確認する ・遠慮せずにその場で通訳内容を確認する Aについて ・議題、報告事項等を役員にメール、FAX、ML等で送る ・役員会の前に三役会(会長、副会長、事務局長で行う会議)を開く ・一人ひとりに意見を出すように指名する ・楽しい雰囲気で役員会をするため、役員会の前に夕食を皆で作り、食事をする   (2)について ・発言しやすい雰囲気を作る ・会議の事前準備をする ・話し合いの時間を長く設ける ・盲ろう者に伝わることを大切にし、何度も通訳内容を確認できるようにする <高橋氏より助言> グループ討議の代表者の発表後、助言者の高橋氏より、リーダーとして普段から注意していることを紹介していただいた。 @通じるように話すこと  どんなに正しいことでも、素晴らしい意見でも、相手に通じなければ意見をまとめることはできない。 《工夫すべき点》 ・きちんと通じるように話をする ・話すスピードに気をつける ・専門用語、難しい言葉は控える ・できる限りわかりやすい言葉を選ぶ ・通訳・介助員が通訳しやすいように配慮する Aあらかじめ話すことを整理しておく  ゆっくり話さなくてはならないため、限られた時間の中で話せることは少ない。 《工夫すべき点》 ・できるだけ短い言葉で伝える ・話したいことを事前に整理しておく B事前に共通理解を持つ  議題内容の基本的な知識を持っていなければ、意見をまとめることはできない。皆が事前に基本的な部分を理解した上で話を進めることが大切である。  《有効な手段》 ・MLの活用 C意見が対立した時はどうするか  役員や講師の立場である場合、まず相手の意見を最後まで聞き、よい部分を探すことが大切である。相手の意見を認め、その後に自分の意見を言うように心掛けるとよい。 D話し合いのまとめ方について  リーダーの役割は、皆をリードしていく、引っ張っていくことであり、多数決を促すことではない。リーダーは、先見の目を持って、どの方向に進むべきかを考えることが重要である。そのために、普段から様々なことを勉強し、情報を得る必要がある。その上で物事を判断しなければならない。 E皆を引っ張っていく役割  リーダーとして引っ張っていこうとしても、皆の意見や気持ちから離れていってしまうことがある。そうなると、一生懸命呼びかけても皆はついてこないということも起こりうる。 ○リーダーの目指す方向とは・・・  皆の意見に寄り添いつつ、進むべき方向を考えることが大切である。この2つのバランスを上手く取ることが望ましい。 F最後のまとめ方  人生経験や価値観も様々であるため、意見を最終的にまとめるために、リーダーはどこを落としどころにするか、決断することが大事。 ●質疑応答 Q1:新しく入った理事が、他の理事に確認しないまま勝手に会場を確保したのだが、どうすればよいか。 A1:友の会の運営に関係する様々なことをML等で報告し合って、共通理解が得られた状態で進められるようにするとよい。 Q2:役員会で協議していた時に、通訳・介助員が役員ではないのに口出しした。 A2:「困ります」と言うこと。しかし、通訳・介助員が理事や役員であれば、盲ろう者と対等で意見することは、おかしなことではない。 ●所感 ◎グループ1  友の会の活動経験や役員経験が少ない受講者も一生懸命グループ討議に参加され、全員から意見を聞くことができた。  グループ討議に入る前に受講者で友の会が抱えている課題を共有した。討議の中では、話し合う課題をしぼって意見交換を行ったので充実した討論ができた。時間に余裕があれば、さらに議論を深め、新しいアイディアも引き出せる可能性もあった。  友の会の話し合いの時の課題を共有し、解決策を一緒に考えることができたので、受講者がグループ討議で学んだことを今後の友の会運営に活かしてくれることを期待したい。 (文責 小山 賢一) ◎グループ2  受講者6名が自身の体験を交えながら討議した。友の会入会歴が長い方から短い方まで様々だった。意見だけではなくアドバイスも受講者間で出しあった。受講者は同じ悩みを持っている。それぞれの友の会の情報を交換したが、友の会により様々な解決方法があることがわかった。  盲ろう者には様々なコミュニケーション方法があるため、その人のやりやすい方法に合わせて解決していくのが大事であることを理解できた。また、特に盲ろう者と支援者の関係について多く意見が出された。盲ろう者が主体で活動することは理想的ではあるが、支援者も一緒に活動しているので、どのようにすれば、上手く関われるかという意見があった。もちろん、盲ろう者は支援者なしでは活動できない。  したがって、この問題は友の会を運営する上での重要な課題であると考える。今後、どのように友の会を運営していけばよいのかを考えるよい機会となった。 (文責 川口 智子) ◎グループ3  グループ討議のねらいは、障害程度やコミュニケーション、通訳方法に多様性のある盲ろう者の地域団体の役員会、総会等の話し合いの場で、いかにその多様性のある出席者に同じ情報を共有、発言してもらうのか、会の考え・方針にまとめるにはどのようにすればよいかを話し合うことだった。  各地域が共通した問題を持っているようだったが、それに対する工夫については地域性があった。これは役員会等の構成メンバーの属性(年齢、障害の程度、重複障害等)により、大きく影響を受けると感じた。  盲ろう者が安心して話し合いに臨むための基本となるポイントが再認識できた。盲ろう者はどんなことにも時間がかかる。よって、話し合いの時間も長く取る必要がある。また、障害の程度・通訳方法は違っても、参加者全員が理解できるようにする意識を持つこと。これらは決して外してはならない重要な点である。  受講者の発言は討議の間、途絶えることはなく、このテーマへの問題意識と改善への姿勢が終始感じられた。 (文責 小林 功治) ◎グループ発表・講評  受講者皆で話し合い、アドバイスをし合ったり、また助言者より、リーダーとして普段から注意していることを自らの経験を踏まえてお話いただいたことで、大変よい学びができたのではないかと思う。 (文責 川島 朋亮) *** 2-3.全体会2 『上手に話すには〜わかりやすい話し方』 講師:福田 暁子氏(世界盲ろう者連盟 事務局長) 司会:川口 智子氏(奈良盲ろう者友の会「やまとの輪」 役員) ●要旨 (1)上手に話すために大切なことは何か  大切なのは、話し合いに参加してよかったと思えるよう工夫すること。話し合いには必ず司会を決める。司会の役割は以下の通り。 《司会の役割》 ・交通整理をする ・全体の状況をよく把握する ・参加者の通訳が終わったことを確認してから次に進む 《状況を把握するため準備すること》 ・日常会話や活動を通して他の盲ろう者と積極的に交流する ・参加者の基本的な情報を知っていると司会進行がしやすくなる ・参加者の人数、コミュニケーション方法、通訳・介助員の配置を把握する ・会場の椅子・机の配置を把握する 《日頃から心掛けること》  会議や話し合いに参加する際には、通訳・介助員の表出した手話をきちんと読み取れるよう、通訳・介助員がどのような表現をするのか理解する必要がある。また、通訳・介助員は全体手話通訳がいると、手話表現を一定程度、統一できる。さらに、全体の通訳の速さを確認することもできる。 (2)上手に話すためのルール10  講師に、自身の経験をもとに作成した「上手に話すための10の基本ルール」をご紹介いただいた。 ◇ルール1  始める時は、「始めます。通訳準備をお願いします」と言う。 ◇ルール2  司会者も発言者も、発言する時は、最初に自分の名前を言う。 ◇ルール3  自分の発言が終わったら、「以上です」と言う。 ◇ルール4  話し合いの流れを確認すること。話す項目に番号をつけると、「今、何番の項目について話していますよ」と確認しながら進められるので便利。 ◇ルール5  配布資料がある時は、資料内容をお知らせする。事前にMLで共有するのもよい。 ◇ルール6  休憩を入れる。10分程休憩を入れるとよい。事前に休憩時間を伝えれば、参加者がその時間まで頑張ろうと思える。休憩に入る時は具体的に伝える。 (例)現在何時か、何分間休憩を入れるか、何時に戻ってこなければいけないのかをはっきり言う。 ◇ルール7  参加者の発言がわかりにくい時は確認をする。確認をすると、皆が一緒に理解することができる。 (例)「確認させてください。○○さんの質問はこういう内容で合っていますか」 ◇ルール8  話し合ったことを時々まとめ、承認をもらってから次に進める。そうすると、皆が内容を理解して進むことができる。わからないまま、次に進むと、さらにわからなくなる。 ◇ルール9  司会進行をしながら、いつも時間のことを気にしておく。自力で時間を確認することが難しい時は、通訳・介助員に「○時○分になったら教えてください」と事前に頼んでおく。 ◇ルール10  テーマから外れる発言があるが、発言は尊重すること。自分の発言をだめと言われると悲しくなる。何を優先して話し合わないといけないのかを工夫すること。 (例)「○○さん、ご意見ありがとうございました。その件は、別の機会に話し合ってもよいでしょうか」等を伝える。 ●質疑応答 Q1:時間が迫ったため、途中で質問を締め切る時、突然「もう1つ質問がある」と発言をする盲ろう者がいるが、どうしたらよいか。 A1:参加者に、もう1つ質問を受けてもよいか確認する。承認してもらった場合、「最後の質問にします」と言って質問を受ける。非常に長く話す人もいるため、その時は話を途中で止めて構わないと思う。短くまとめてほしいとお願いして、改めて質問してもらう。プログラムは時間に余裕を持っておくと、最後に1つぐらい質問を受けても問題はない。 Q2:時間が無くなった際には打ち切ってもよいのか。 A2:必ず決めないといけないことがある時は優先させるが、時間が迫り、仕方なく打ち切ることもある。それがないように、交通整理をするのが司会者のスキルである。 Q3:会議の時、相手が理解しているかわからない場合はどうしたらよいか。 A3:質問をして、会議の内容について聞いてみる。質問内容と違う答えが返ってきた時、再度わかりやすく質問をしたり、内容が納得できるかどうかを聞いたりする。どんな人にもできるだけ発言をしてもらうことが大切。   Q4:理事長だけが司会を担当した方がよいのか。それとも、司会を交代した方がよいのか。 A4:前半は理事長が担当したら、後半は他の理事が担当する。または、プログラムごとに目安の時間を決めて、理事が交代して担当する等の方法がよい。理事長が一人で進めるのは簡単だが、突然理事長がいなくなる場合があるため、誰がいなくなってもみんなで支えることが大切。    Q5:反対や不満の意見が出た時、司会者としてそれらを受け止め、最後まで責任を持たないといけないのか。 A5:発言者の怒り等の感情が少し落ち着いた時に、改めて説明する。個別に説明しても構わない。大切なことは、「あなたも私たちと同じ仲間です」という思いを伝えること。 Q6:性格が頑固で理解をしてもらえない方にどのように注意したらよいか。 A6:大切なのは、その人の性格だと決めつけないこと。色々な人がいるので、リーダーになる人は皆に合わせて向き合っていくことが大切。 ●所感  この講演では、講師が前日のグループ討議の様子を見た感想を踏まえて、上手な話し方のコツをわかりやすく話して頂いた。誰でも持っている悩みを挙げた上で、どうしたら解決できるかを具体的に説明して頂いたので、司会進行、まとめ方、人との関わり方等を理解することができた。受講者にとって、各友の会のリーダーとして上手く話し合いをまとめ、友の会が一致団結していくための重要な内容だった。 (文責 川口 智子) *** 2-4.全体会3 『リーダーとしての心構え〜円滑な友の会運営のために』 講師:藤鹿 一之氏(認定NPO法人東京盲ろう者友の会理事長) 司会:小山 賢一氏(みやぎ盲ろう児・者友の会 役員) ●要旨 ◇講師が掲げている2つの目標 1.盲ろう者にも支援者にも居心地のよい環境づくり 2.各都道府県の中心として盲ろう者福祉の向上を目指す 以上の目標を達成するためのニューリーダーとしての心構えとは何か。 (1)人との関わりが大切  どんな団体でも人間関係が大切であり、それが非常に難しい。人間関係のトラブルが起きた時、リーダーとして間に入らなければならないことがある。たとえ片方の相手が自分が信頼する人でも、双方から話を聞き、一方の話だけで物事を判断しないようにすることが大切である。  盲ろう者は情報が入りにくいので、支援者からの情報が最大の情報になることがある。このため、一つの事柄に対して一人の支援者からの情報を全て鵜呑みにせず、他の人にも確認して情報を得る必要がある。 (2)信頼関係の形成  コミュニケーションも通訳・介助も相手がいて初めてできることで、信頼関係も自分一人ではできない。自分から相手を信頼するようにし、相手からも信頼されるように努力することが大切。    リーダーが人間不信になると、友の会の崩壊につながる可能性がある。リーダーの心が元気でないと友の会の目標は達成できない。  また、会長になり自分が偉くなったと勘違いする人がいるが、威張っていると周りの人も離れてしまう。自分のことだけではなく、盲ろう者および支援者、仲間のことも考えなければならない。 《解決方法》 ・トラブルが起きた時は、放置せずに話し合う ・相談できる相手を作り、周囲に理解者を増やす ・情報共有をする ・単独行動をせず、話し合って進める (3)知ることの大切さ  リーダーとして、盲ろう者の困っていること、必要としていること、友の会運営の問題点等を知っておく必要がある。特に県の予算要望の際等では、当事者が自分達の望むことをきちんと伝えることが大切。派遣事業の問題点や盲ろう者として困っていること、必要なことを問われた時、「問題はない」「困っていることはない」「わからない」と答えないように注意しなければならない。自分が所属している友の会の問題点や、他の盲ろう者の困っていることを把握し、代弁しなければならない。友の会の運営に関わる問題点を知ることは、新たな支援者を増やすことにもつながる。 (4)「経験を積む」ことの大切さ  何事も最初から結果を出せる人はいない。講師自身も星の数ほど失敗して、経験をしてきた。1つ2つ失敗しても「自分は駄目だ、辞めよう」と思わないでほしい。 (5)リーダーとして  友の会の運営でもたくさんの人の力を借りて、少しずつ成長して結果が出せるように頑張ってほしい。リーダーは孤独になりがちだが、一人ではない。よい支援者や協力してくれる盲ろう者もいる。あきらめずに皆で頑張ろう。 ●所感  大きな3つのポイントで整理し、講師自身の体験談やサッカーの話題も例にしながらの説明は、とてもわかりやすかった。資料も整理されていて事前に配布でき、講義では講師の生の話で受講者の印象に残る内容になった。  質疑応答の場面では、受講者以外から挙手があった場合、司会者は質疑応答の対象者や周囲の状況を全体に向けて説明し、対応する必要があると学ぶことができた。  限られた時間で、受講者の通訳状況を確認しながら進行することができた。もっと話を聞きたかったという受講者もおり、時間配分が課題である。  「失敗を教訓に!」「人間関係を大切に!」盲ろう者が生き生きと輝く友の会活動や運営につながるよう期待したい。 (文責 小山 賢一) *** 2-5.全体会4 『盲ろう者福祉の基礎知識〜主に通訳・介助員派遣事業』 講師:福島 智氏(東京大学先端科学技術研究センター教授) 山下 正知(社会福祉法人全国盲ろう者協会事務局長) 司会:小林 功治氏(愛知盲ろう者友の会)  ●要旨 ○山下 (1)通訳・介助員派遣制度とは  現在の盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は、障害者総合支援法の中で、都道府県が行う地域生活支援事業の一部の意思疎通支援事業の中に位置づけられている。 @地域生活支援事業とは  手話通訳者の派遣、日常生活用具の給付等。障害者の社会参加促進のため、都道府県や市区町村が地域の実情に応じて、自由に予算を決め、事業を実施することができる。「国はその地方自治体の行う事業の費用の2分の1以内を補助できる」と規定されている。つまり、国は必ずしも2分の1を補助しなくてもよいため、都道府県や市町村の負担が大きい。 A個別給付事業とは  訪問介護(ホームヘルプ)、同行援護(移動支援)等。障害者の命に関わる事業が多く、全国一律の予算基準が決められている。国は事業の費用の2分の1を必ず負担しなければならない。 B報酬単価について ・地域生活支援事業の派遣事業  都道府県の実情に応じて、謝金単価を各自治体が個別に定めている。 ・個別給付事業  報酬単価が全国一律に決められている。 しかし、 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は憲法25条の健康で文化的な最低限度の生活を営むためのものであり、各自治体によって予算が異なる地域生活支援事業ではなく国が責任を持ち、事業費を負担する個別給付事業の中に入れられるべきである。 (2)地域生活支援事業の現状 ・国の補助額は事業費の2分の1を大きく下回っていることが多い ・都道府県も財政が厳しいため、予算の増額は難しい ・通訳・介助員を派遣できる時間や謝金単価等、大きな地域格差が出ている また、 地域生活支援事業には様々な障害者の事業が含まれている。このため、盲ろう者のための事業費を増やすと、他の障害者の事業費を減らさなければならなくなる。? (3)地域生活支援事業と個別給付事業の2本立て 派遣利用時間が少ない人は地域生活支援事業の派遣事業をそのまま利用し、派遣利用時間が多い人のために新たに個別給付の派遣事業を作っていく2本立てが望ましい。 個別給付事業に移行することで、一人ひとりの盲ろう者のニーズに応じた必要な派遣時間が確保される。しかし、いくつかの課題がある。 《課題》 ・派遣事業所が必要である ・運営のため利用者数を確保する必要がある ・利用するために、「障害支援区分」の認定を受けなければならない ・利用者負担の発生 新しい派遣制度の開始時期は、平成30年4月(厚生労働省の意向) (4)各友の会の今後の動きとして 個別給付事業を行うのは、盲ろう者のニーズを最もよく把握している各都道府県の友の会がNPO法人等を取得して行うのが望ましい。今後、友の会で派遣事業について積極的に考える必要がある。これに加え、平成28年下半期頃までに、厚生労働省から各自治体に制度の見直しについての方針等が示される見込みである。友の会でも積極的に情報収集を行ってほしい。 ○友の会が個別給付の事業所を運営していくためには・・・ 個別給付事業を利用する盲ろう者の人数を一定程度確保しなくてはならない。 つまり・・・ 今まで以上に盲ろう者の掘り起こしが重要となる。 友の会で派遣事業所を設置・経営することが友の会の活動の活性化につながる。友の会の活性化により、さらに掘り起こしが進むことを期待している。 ○福島氏 (1)個別給付事業の条件 個別給付事業の予算も無制限ではないため、利用するためには条件がつく。そのひとつが自己負担。 ◇どうして自己負担が発生するのか ・制度の濫用を防ぐため ・比較的所得の多い人には自己負担が必要となる 友の会で事業所を立ち上げ、個別給付事業を行うメリットもある。 ◇メリット ・盲ろう者が事務所の職員になる道も開かれる ・これまでボランティア同然であったコーディネーターに対し、賃金が支払われるようになる 盲ろう者側も制度について勉強し、自分たちの支援や、福祉サービスを自分たちで作っていこうという気持ちを持ってほしい。 ●質疑応答 Q1:通勤も派遣事業の中で認められるようにするにはどのようにしたらよいか。 A1(山下):現行の派遣制度では、通勤・通学等で派遣事業は使えない。現在、盲ろう者に限らず様々な障害者の移動支援について、議論がされている。(福祉の移動支援として捉えるか、雇用側が取り組む事業と捉えるか、障害者差別解消法の中の合理的配慮として捉えるか、改正障害者雇用促進法の中で取り組むか等)今回の障害者総合支援法の見直しでは通勤の移動支援が福祉サービスとして認められることはないだろう。 Q2:掘り起こしについて、他の友の会のやり方を教えてほしい。 A2(福島氏):非常に難しい問題。2つの方法がある。1つ目は芋づる式で、人とのつながりで新しい盲ろう者を見つける。2つ目は、マスメディアへのPRや、障害者のイベント、特に視覚障害者・聴覚障害者の関係団体のイベント等、あらゆる機会で積極的にアピールすること。 Q3:福祉就労の作業所に勤めている。製作品の販売イベントに行く時に派遣事業が認められない。 A3(山下):作業所の仕事の延長と考え、イベント会場や別の場所へ行って仕事をする時、通常の作業所内の送迎サービスの中で送迎してもらえないか相談してみてほしい。 Q4:一般企業に通勤するのと、福祉就労の作業所に行くのとでは移動支援の面で違いがあるのか。 A4(山下):場所の違いはあるが、障害者がそこで働いていることは同じこと。その通勤に対して、どのような支援を行うのか、考えていくべきである。しかし、現在の国の制度では、作業所への通勤は福祉サービスの1つとして進められている。一方、一般企業での障害者の支援は、福祉サービスではなく、どのように障害者を雇うのか、職場環境の改善等、会社側の問題として考えられている。 ●所感  受講者はこれまで通訳・介助員派遣事業の制度自体は利用してきているので、事業の内容のおおよそのことは知っている。しかし、利用時間数を制限される、通訳・介助員の謝金が低い等、表面的には感じていた問題が、実は制度の枠組みから発生しているということが具体的に理解できた機会になったと思われる。  平成30年度に移行・スタートする制度改正の時点で、各地域の友の会の中で会長等、重要な役職に就いているであろう今回の受講者がこの話を聞けたことは、「私たちがやるんだ!」という気持ちを発奮させたことだろうと思われる。 (文責 小林 功治) *** 3.総括 (1)研修会実施にあたって  障害者総合支援法施行3年後の見直しや障害者差別解消法の施行を控え、友の会等盲ろう者地域団体の組織基盤強化が迫られる中、盲ろう当事者のリーダーの育成は喫緊の課題となっている。盲ろう者のリーダー不足は地域の盲ろう者福祉を担う活動が充分できない等の深刻な問題につながっている。こうした背景をふまえ、平成27年度より厚生労働省の新規委託事業として実施されることとなった。 (2)研修会を終えて  盲ろう者地域団体を先導していくリーダーとなるため、知識・話す力・まとめる力を養うカリキュラムを構成した。  アンケート結果から、受講者から全体として概ね高い評価を得たことがわかった。情報交換や議論をすることで、「地元の友の会で頑張りたい」「自分の中で意識の変化があった」等といった声が寄せられ、自らのモチベーションを高めていくきっかけになった様子が伺える。  一方で、短期間で時間にゆとりのないカリキュラムであるため、「質疑応答の時間が足りない」、「もっと他県の盲ろう者と情報交換がしたい」等の声も聞かれた。 (3)今後の展望  当面の喫緊の課題は盲ろう者向け通訳・介助員派遣制度の見直しである。盲ろう者が全国どの地域で生活していても、自立と社会参加に欠かせない通訳・介助支援がくまなく受けられるような制度上の保障が必要である。  同時に、多くの盲ろう者が切望している就学・就労等の自立を目指したリハビリテーションシステム(教育を含む)の確立が求められる。  こうした制度やシステムの構築の実現に向け、友の会等盲ろう者地域団体の基盤強化がいっそう求められている。  しかし、友の会等盲ろう者地域団体の事務所の多くが個人宅や他団体の部屋の一角を所在地としている。このため、人材、財政面において組織的な活動を困難にしている。  この状況を脱却するため、地域の盲ろう者福祉を担う盲ろう者支援センター、作業所、日中活動等の好事例に学びながら、全国の盲ろう者地域団体の組織基盤の底上げを図っていく必要がある。  今後、地域の盲ろう者福祉の向上を目指す組織として発展、成長していけるよう、ニューリーダー人材育成に力を入れていきたい。 *** 4.添付資料 4-1.事前アンケート 平成27年度 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会 事前アンケート集計結果 設問1.あなたの所属している団体への入会歴と役員歴を教えてください。 (1)入会歴 あ.3年以内:5 い.4年以上〜6年以内:6 う.7年以上〜9年以内:1 え.10年以上〜12年以内:2 お.13年以上:4 (2)役員歴 あ.なし:4 い.3年以内:8 う.4年以上〜6年以内:2 え.7年以上〜9年以内:0 お.10年以上〜12年以内:2 か.13年以上:2 (3)現在の役職(担当) 会長(代表):3 副会長:3 その他の役員(理事、会計等):8 なし:4 設問2.あなたが所属している団体の現況を教えてください。 (1)会員数とそのうち、盲ろう者の割合 ○50名〜100名:7団体  ・盲ろう者の割合   10%未満:0   10%以上〜25%未満:6   25%以上:1 ○101名〜200名:10団体  ・盲ろう者の割合   10%未満:1   10%以上〜25%未満:9   25%以上:0 ○201名以上:1団体  ・盲ろう者の割合   10%未満:0   10%以上〜25%未満:1   25%以上:0 (2)役員会(理事会)年間開催回数  1回:2  2〜6回:3  7〜11回:4  12回:9 (3)役員(理事)の構成  役員が盲ろう者のみ:3  役員の過半数以上が盲ろう者:6  役員の半数が盲ろう者:2  役員の半数未満が盲ろう者:6  未回答:1  役員のうち、盲ろう者以外の障害者(視覚、聴覚)が含まれている:5 (4)最近開かれた定期総会の参加人数 ・盲ろう者の割合  全体の4分の1未満:10  全体の4分の1以上半分未満:7  全体の半分以上:0  全て盲ろう者:1 ・会員盲ろう者のうち、総会に参加した盲ろう者の割合  25%未満:1  25%以上50%未満:3  50%以上75%未満:12  75%以上:2 設問3.友の会で話し合いをする上での課題 (1)あなたが所属している友の会の役員会・総会・その他の打合せ等の話し合いを進める上で、困っていることや悩んでいることは何ですか。 ・発言や意見が出ない:4 ・話し合いの内容理解に時間がかかる:3 ・通訳がスムーズにいかない:3 ・発言内容を伝えるのに時間がかかる:2 ・会議時間が長くなる:2 ・上手く会議が進められない:2 ・時間調整が難しい:2 ・意見や希望が多く、まとまらない:2 ・補助的にMLで話し合うが、意見が偏りがちになる:2 ・文章が苦手でメールの返信ができない:2 ・参考事例すべて当てはまる ・予算が限られているため理事会の時間を抑える必要がある ・他の人の意見を聞いたり、質問ができなくなる ・盲ベースと、ろうベースでは考え方のずれがあり、理解の仕方が違う ・どのような言葉を使えば伝わるのか考えながら話すので片言になる ・触手話を読み取って内容をつかむことは難しい ・通訳・介助員の質の向上が必要 ・結論が出ず、次回に引き延ばすことがある ・盲ろう者それぞれの受信スピードが異なり、意見をまとめていくことは難しい ・役員会の議題は考えがまとまらず、メールでは難しい ・挙手するタイミングが難しい ・役員を引き受け、負担に感じる ・盲ろう者は人材不足で役員を兼任する人もおり、負担が大きい ・一人で外出できない盲ろう者はサポートがないと参加を断念せざるを得ない ・盲ろう者に対する防災への対策をどう進めたらよいか ・長時間手話を見ていると目が疲れる ・役員会会場まで遠く、1日を要する時がある ・役員会の前に内容を説明する人が足りない ・総会への盲ろう者の参加が少ない ・盲ろう者の会員をどう増やすか ・ある盲ろう役員に気をつけてほしい点を伝えると、腹を立ててその後の役員会を休む ・役員会で話し合った内容を会員に情報提供していない ・会費未納者への対応に困っている ・通訳・介助員が内容を理解して伝えられているか ・全体手話通訳が内容の漏れがないように伝えられているか ・盲ろう者の力不足を感じる ・役員の高齢化 ・若い人の育成が必要 ・コミュニケーション勉強会の参加者を増やしたい ・ろうベースの盲ろう者の会員を増やしたい ・聴覚障害者協会とつながりを持ちたい ・ろう者が盲ろう者に対する遠慮をなくせるのか (2)あなたの所属する団体で会議や話し合いを行う際、心がけていること、工夫していることがあれば、お書きください ・みんなに順番に意見を言ってもらう:4 ・発言内容をまとめ、伝える:4 ・事前に資料を送付する:2 ・説明に間を置いて他の盲ろう者に内容が伝わったか確認する:2 ・ゆっくり話す:2 ・事前に内容を理解した上で参加できるようする ・意見が伝わらない時、時間を十分取るようにする ・空き時間を利用して資料に目を通す ・理事会の場で理解できない場合、事務局員から説明を受け、理解してもらう ・周りのペースに合わせる ・一人ひとりが納得するまで時間をかけて説明する ・内容を誤解したまま会議が進まない様に確認をする ・1つの議題が終了する度に「記録の確認」を行い、共通理解できるようにしている ・研修や行事に参加した人の発表の時間をつくる ・役職に関わらず対等な位置で話し合う ・私自身は少し視力があるので一度に話すのではなく、通訳(動き)が終わってから次を話すようにしている ・はっきり話す ・意見を言う時は挙手して名前を名乗り、話す ・役職としての意見と個人の意見を区別して話す ・後日、記録のまとめを各役員に送付する ・時間がかかっても理事全員が理解し、納得して結論を出す ・理事会を時間内に終わらせるために無理にその場で結論を出さず、継続審議やMLも必要 ・報告事項は報告者を指定しておく ・理事になるのが難しい人の意見を反映するため、交流会等で意見を聞く時間を作る ・他の出席者が怒らないように発言に気を使う ・役員会の前にみんなで夕食を食べ、楽しく始める ・通訳・介助員に気を使う ・準備のための会議ではなく、会議のための準備をしてほしい *** 4-2.全体会1 「友の会とは〜その原点と今後のあり方」 全国盲ろう者団体連絡協議会 会長 高橋 信行 第1節 友の会のあるべき姿  1.全国の友の会  2.自立と社会参加を実現する友の会  3.支援と代行の区別  4.障害の受容における友の会の役割  5.コミュニケーション手段獲得の場としての友の会  6.当事者と支援者の参加と協働  7.支援者の自己実現の場としての友の会  8.バランスのとれた友の会  9.任意団体から法人へ 10.養成・派遣事業を実施する友の会 11.啓発活動をする友の会 12.全国盲ろう者団体連絡協議会 第2節 友の会の抱える諸問題  1.事務所がない  2.掘り起こしが進まない  3.人材不足  4.高齢化  5.養成・派遣事業を受託できない  6.会則の未整備  7.連携不足  8.苦しい財政状況 スライド資料(図の説明文を高橋講師に加筆いただきました) 友の会とは〜その原点と今後のあり方〜 全国盲ろう者団体連絡協議会会長 高橋信行 第1節 友の会のあるべき姿 1 全国の盲ろう者団体(友の会) 全国の各都道府県に誕生した。 未設置県は青森県のみ 2 自立と社会参加を実現する友の会 例えば「えひめ盲ろう者友の会」のスローガン 「盲ろう者の自立と社会参加を支援しよう!」 2.1 自立を支援する 2.1.1自立とは? ・自分の身の回りのことを自分でできること? →ADL(日常生活動作)の自立 ・仕事を持っていて、自分の稼ぎで生活できること? →職業的あるいは経済的自立 2.1.2 我々が目指しているのは人間的自立 私たちが目指しているのは、ADLの自立でもなく、 職業的・経済的自立でもなく、 「人間的自立」です 2.1.3 IL運動(Movement of Independent Living:自立生活運動) 1970年代にアメリカにおいて展開された障害者運動 どちらが自立していると思うか? Aさん  人の手助けを借りて5分で衣服に着がえ、仕事に出かけられる人間 Bさん  自分で衣服を着るのに2時間かかるため、家にいるしかいない人間 Aさんのほうが自立していると考えるならば 人間的自立≠(ノットイコール)ADLの自立 2.1.4 IL運動における主張 1. 人の助けを借りることは価値の低いことではない 2. 自己決定・自己責任 3. 脱施設・脱病院 4. 地域で皆と共に暮らす 5. 職業を身につけることを最高の目標としない 「自己決定・自己責任」は人間的自立の基本! 2.1.5 「自己決定・自己責任」がなされるためには 「自己決定」 自分のことを自分で決める 「自己責任」 自分で責任をとる ところで・・・ 十分な情報もないのに自分で決められますか? そのことに責任を持てますか? 責任を持って自己決定するためには 十分な情報が必要 そのためには 通訳・介助 (移動支援・コミュニケーション支援・状況説明) が必要なのだ! 2.2社会参加とは? みんなと一緒にいること? みんなと一緒にいるだけではダメ。 体はみんなと一緒にいるけど心は孤独! 社会参加とは、盲ろう者が社会で活躍すること そのためには通訳・介助が必要 2.3 組織的に自立と社会参加を支援 盲ろう者友の会は盲ろう者の自立と社会参加を組織的に支援する役割を担っているのだ! 3 支援と代行の区別 「支援」  盲ろう者がやろうとしていることのうち、困難な部分について、盲ろう者の依頼により支援者が援助する。 「代行」  盲ろう者がやろうとしていることを、盲ろう者の依頼なしに、支援者が代わりにやってしまう。 「支援」は「自立」に結びつくが、「代行」の行き着く先は「依存」 盲ろう者も支援者も「支援」と「代行」を区別し、「支援」が行われるようにしよう! 4 障害の受容における友の会の役割 4.1 障害の受容とは? 受容とは「障害のあることで人生や将来を諦めてしまうこと」ではない。 受容とは「障害があることを受け入れ、積極的に生きていこうとする」状態になることである。 盲ろう者が人間らしく活き活きと暮らしていくためには「障害の受容」は欠かせない。 4.2 どうすれば受容できるか ・障害の受容は簡単ではない ・一歩ずつ ・本人の努力 ・周囲の支援 ・学習 ・出会い ・憧れ、尊敬→同一視 ・友の会活動 盲ろう者や支援者の集まる友の会は障害の受容を進めるうえで重要な役割を果たす 5 コミュニケーション手段獲得の場としての友の会 ・自分に適したコミュニケーション手段の発見 ・コミュニケーション手段のトレーニング 6 当事者と支援者の参加と協働 6.1 分離型と協働型 図1 当事者・支援者分離型 (当事者組織とは別に、支援者組織があり、各々が独立して活動していること、及び支援者組織は当事者に対して支援を行っているということを示した図(高橋講師加筆)) 図2 当事者・支援者協働参画型 (一つの組織の中に、当事者も支援者も一緒に入って共に活動していることを示した図(高橋講師加筆)) 6.2 協働参画型が望ましい理由 盲ろう者友の会では当事者・支援者協働型が望ましい。 その理由は ・盲ろう者という障害が重度 ・盲ろう者同士の意思疎通に支援が必要 ・会の運営に関わる様々な業務に支援が必要 7 支援者の自己実現の場としての友の会 7.1 支援者とは 図 (支援者とは、通訳・介助者だけを指すのではなく、通訳・介助者以外の人も含まれることを示した図(高橋講師加筆)) 7.2 支援行為と支援活動 1. 「支援行為」は盲ろう者のために行う。 2. 「支援活動」は支援者自身のために行う。 支援活動は 「かわいそうな盲ろう者」に対して 「してあげる行為」ではなく 支援者自身の ・成長 ・自己実現 ・新しい自分の発見 ・etc を目指して行う、支援者自身のための活動 友の会は 支援者の自己実現と成長の場を提供する役割を持っている。 8 バランスのとれた友の会 8.1 参加盲ろう者のタイプのバランス ・盲ベース偏重型 ・ろうベース偏重型 ・バランス型 8.2 運営における盲ろう者と支援者のバランス ・当事者主導型 ・支援者主導型 ・当事者・支援者協働型 9 任意団体から法人へ 9.1 法人化する友の会は増えている 特定非営利活動法人の盲ろう者友の会は10団体 (群馬、千葉、東京、滋賀、大阪、すまいる、兵庫、和歌山、愛媛、鹿児島)※1 ※1 2015年9月現在 9.2 法人化のメリット ・社会的な信用 ・寄付などの受けやすさ ・諸事業の受けやすさ ・etc 任意団体※2のままでは生き残れないのではないか? ※2 法人格のない団体のこと。権力能力なし 10 養成・派遣事業を実施する友の会 各地域において盲ろう者のことを最も理解している友の会が通訳・介助員の養成・派遣事業を行うことが望ましい。 11 啓発活動をする友の会 啓発活動は個人で行うより友の会として行うことが効果的である。 12 全国盲ろう者団体連絡協議会 12.1 設立までの流れ 12.1.1 他団体に比較して大きく遅れて当事者組織が誕生 聴覚障害者 全日本ろうあ連盟1947年設立 視覚障害者 日本盲人会連合1948年設立 盲ろう者 全国盲ろう者団体連絡協議会2006年設立 12.1.2. 設立準備から設立まで 1999年 4名の盲ろう者が神戸に集り、盲ろう者の全国レベルの当事者団体の必要性について話し合う。 2000年 発起メンバーが7名になり、設立準備を始める。 2006年 リーガロイヤル堺にて設立総会を開く。 12.1.3 歴代会長 初代 吉田正行氏(兵庫) 二代 大杉勝則氏(広島) 三代 牧田紀子氏(静岡) 四代(現) 高橋信行(愛媛) 12.2 活動内容 ・全国の盲ろう者の気持ちを一つにまとめる ・社会に対して我々の存在やニーズをアピール ・協会と協力しながら盲ろう者福祉を牽引 図3 連絡協議会と協会の活動イメージ (連絡協議会は地域の各盲ろう者団体の意見を集約して国や社会に要望する。一方、全国盲ろう者協会は、こうした盲ろう者の活動全体を支援している。そのようにして全体として盲ろう者福祉を牽引していくさまを示した図(高橋講師加筆)) 12.3 課題 ・連絡協議会と協会との違いについての周知徹底 ・未加盟の盲ろう者団体問題 ・経済的人的基盤の強化 12.4 各友の会に期待すること ・全ての友の会は連絡協議会に加盟してほしい。 ・地域の盲ろう者のニーズを連絡協議会に集約してほしい。 第2節 友の会の抱える諸問題 1 事務所がない 団体専用の事務所を有する43.8% 「会長の自宅」20.8% 「代表者の自宅」12.5% 2 掘り起こしが進まない 盲ろう者の会員は「10人未満」が33.3% 最小が4人 最大が82人 平均値が17.3人 3 人材不足 運営スタッフの平均値が6.7人 4 高齢化 盲ろう者も支援者も高齢化 若い後継者がいない 5 養成・派遣事業を受託できない 5.1 友の会が派遣事業を受託しているのは19団体 NPOの友の会の6団体 (群馬、千葉、東京、滋賀、和歌山、愛知) 任意団体の友の会の13団体 (岩手、秋田、栃木、埼玉、石川、岐阜、鳥取、岡山、広島、山口、香川、宮崎、高知) 5.2 なぜ友の会以外の団体が事業を受託されたか 友の会35% 聴覚障害者関係 35% その他 31% 実施する能力がない? 実施する能力があるのにないと目される? 盲ろう者に対する通訳・介助が手話通訳の延長であるとの誤った認識? 6 会則の未整備 規約・会則・定款等で明文化されたルールが整備されている割合72.9% 7 連携不足 都道府県 60.9% 聴覚障害者団体が50.0% 他の盲ろう者団体が41.3% 8 苦しい財政状況 苦しいと回答した割合が64.6% *** 4-3.全体会2 「上手に話すには〜わかりやすい話し方」 世界盲ろう者連盟 事務局長 福田 暁子 1.上手に話すために大切なことは何か  盲ろう者のグループで話し合いをする時、司会者がきちんと「交通整理」ができなければいけません。  交通整理をしないと、コミュニケーション事故が起きて、被害者が発生します。  よい司会者は全体の状況をよく把握しています。状況を把握するために準備をします。 準備に含まれること (例) ・日頃から、他の盲ろう者と積極的に交流して参加者のことを知っておく ・参加者の人数、参加者のコミュニケーション方法、誰が通訳介助員としてついているかを把握しておく ・適切な椅子や机の配置 ・全体手話通訳者を準備して立ち位置を決める 2.上手に話すためのルール 交通ルールがあるように、グループでの話し合いにもルールがあります。 ルール1:始める時は、「始めます。通訳準備をお願いします」と言います。 ルール2:司会者も、発言者も、発言する時は必ず自分の名前を言います。言わない人がいたら、司会者は「発言の前には名前をお願いします」と言います。 ルール3:自分の発言が終わったら、「以上です」と言います。 ルール4:話し合いの流れを確認します。プログラム(アジェンダ)を準備すると便利です。項目番号をつけると便利です。途中でついて行けなくなった人や、遅刻してきた人に、「今、何番の項目について話していますよ」と、フォローすることができます。 ルール5:配布資料がある時は、どんな資料があるのか、お知らせします。 ルール6:休憩を入れる。50分話したら、10分休憩を入れるとか、あらかじめ決めて、お知らせしておきます。 (例)「今9時45分です。10分間休憩しますので、9時55分に戻ってきてください」 ルール7:参加者の発言が曖昧でわかりにくい時には、要約して確認をします。参加者の共通理解につながります。 (例)「確認させてください。Aさんの質問は、これこれはこういうことですか。合っていますか」 ルール8:話し合ったことを、時々、まとめて、承認をもらいながら進みます。みんなが内容を理解して、納得して、次に進むことが大事です。 (例)「プログラムの1番については、これこれ、こういうことになりました。よろしいでしょうか」 ルール9:司会進行しながら、常に時間を気にしておく。時間管理は難しいです。通訳介助員に、何時何分になったら教えてくださいと頼んでおくのも、一つの方法です。 ルール10:テーマから外れる発言の場合、相手の気持ちを尊重しつつ、テーマに戻す。 (例)「Bさん、ご意見ありがとうございます。その件は別の時に話し合っても構いませんか」 話し合いが終わったら、「ありがとうございました。以上で、今日の話し合いを終わります」といって、全体を終了します。 *** 4-4.全体会3 「リーダーとしての心構え〜円滑な友の会運営のために」 認定NPO法人東京盲ろう者友の会 理事長 藤鹿 一之  1、人との関わりを大切に @信頼関係を築く  一緒に活動する盲ろう者、支援者、及び 通訳・介助員との信頼関係を築くためには、まずは自分の方から相手を信じようという気持ちを持つことが大切です。 A支援者の存在を忘れずに  盲ろう者だけで友の会の運営を行なうことは困難です。盲ろう者にとって支援者の存在は必要不可欠。支援者との関わり方についてしっかり考え、よい関係を保てるようにしましょう。 B情報収集の仕方に注意  盲ろう者が独力で入手できる情報は限られています。また、常に完璧に情報提供ができる人はほとんどいません。友の会の運営を行なう際、特定の人からの情報だけで物事を決めるのではなく、複数の人から情報を得て判断するようにしましょう。 C一人で悩まない  リーダーは「嫌われ役」にならざるを得ない時もあります。そして、精神的な負担も大きいです。悩みがある時、一人で悩まず、信頼できる人に相談するようにしましょう。 D情報共有が大切  他の役員や事務局との情報共有が大切です。 E個人プレイは禁物  友の会の運営は一人ではできません。チームワークが大切です。個人プレイ(スタンドプレイ)は禁物。 2、「知ること」の大切さ @今の友の会の状況をしっかり把握する。  盲ろう者の掘り起こし、派遣事業、通訳・介助員養成事業等、今の友の会の状況を理解して、友の会の運営を行なう際の課題について考えましょう。 A他の盲ろう者のことを知る  盲ろう者といっても、コミュニケーション手段、置かれている環境、盲ろうになった経緯、これまでどのような人生を送ってきたか・・・、人によって様々です。一緒に活動する盲ろう者とコミュニケーションを取り、その盲ろう者のことを知ることが大切。 B社会の動きを知る  ニュース等により、直接、盲ろう者と関わりのない「社会の動き」を知ることにより、物事を決める際、幅広く考えられるようになります。  3、「経験を積む」ことの大切さ @自分たちの要望は自分たちで訴える。  盲ろう者福祉の増進を図るためには、盲ろう当事者が抱えている問題等について訴えていかないと一歩も先には進みません。  地元の都道府県との予算要望懇談会等の際、自分たちからの要望事項は、自分たちでしっかり説明できるようにしましょう。 A何事も体験  頭で理解できていたとしても実際に体験してみないとわからないことは沢山あります。  色々なことを体験し、失敗を次に生かすようにして、友の会のリーダーとして少しずつ成長できるよう、頑張りましょう! *** 4-5.全体会4 「盲ろう者福祉の基礎知識〜主に通訳・介助員派遣事業」 東京大学先端科学技術研究センター 教授 福島 智 社会福祉法人全国盲ろう者協会事務局長 山下 正知 《盲ろう者福祉制度の見直しの経緯》 障害者総合支援法の施行  平成25年4月から、障害者総合支援法が施行され、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業と養成事業が都道府県(指定都市・中核市を含む)の必須事業とされた。  また、同時に、同法の附則において、同法施行後3年(平成28年4月)を目途として、意思疎通を図ることに支障のある障害者等に対する支援の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずることが規定された。 国における見直し検討の状況  平成26年12月に「障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ」が設置され、関係団体からのヒアリングを受けて、障害者総合支援法の見直しに向けての論点整理を行った。  平成27年4月から、社会保障審議会障害者部会において、上記の「論点整理」を踏まえて、障害者総合支援法の見直しに関する審議が開始された。(平成27年12月までに、意見を取りまとめて提言の予定) 全国盲ろう者協会における対応  平成25年9月、福島理事を中心に、「盲ろう者支援のグランドデザインに関する勉強会」を設置し、具体的な検討を開始した。  平成26年6月、福島理事等の盲ろう当事者、学識経験者、障害者団体関係者、厚生労働省及び地方自治体の行政関係者等をメンバーとする「盲ろう者のための支援策の充実に向けた検討会」を設置し、盲ろう者の意思疎通と移動の支援の問題を中心に総合的な検討を進めた。  平成27年1月以降、福島理事が、厚生労働省の「論点整理のためのワーキンググループ」及び「社会保障審議会障害者部会」において、前記「検討会」の検討内容を踏まえて、通訳・介助員派遣制度の見直し等の問題について、3回にわたり意見表明を行った。  平成27年8月、前記「検討会」の「中間のまとめ」を作成し、福島理事から、厚生労働省の藤井障害保健福祉部長に手渡すとともに、内容説明、意見交換を行った。 《盲ろう者福祉制度の見直しの内容》 現行制度の法的枠組み  ・障害者総合支援法第78条  都道府県(指定都市、中核市を含む。以下、同じ)は、 地域生活支援事業として、特に専門性の高い意思疎通支援を行う者を養成し、派遣する事業を行うと規定されている。  ・同法施行規則第65条の14の4  都道府県は、特に専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成、派遣について、少なくとも手話、要約筆記、触手話、指点字に係るものを行うと規定されている。 地域生活支援事業と個別給付  地域生活支援事業は、手話通訳者派遣、日常生活用具給付等、地方自治体が地域の実情に応じて、柔軟に事業を実施することができるものであり、国は裁量的経費として、予算の範囲内で費用の二分の一以内を補助することができるとされている。  個別給付(自立支援給付)は、居宅介護、重度訪問介護、同行援護等、市町村から利用者のニーズに応じて支給される定型的なサービスであり、国は義務的経費として、費用の二分の一を負担しなければならないとされている。(報酬単価は全国一律) 現行制度見直しの必要性  盲ろう者への通訳・介助員の派遣は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む(憲法25条)」ために不可欠の、日々、継続的に必要とされる支援である。  現状では、各都道府県等における通訳・介助員の派遣は、予算枠が限定されていること等から、利用時間の絶対量が大幅に不足しており地域間の格差が著しい。また通訳・介助員の資質や謝金単価についても格差が大きい。  地域生活支援事業は、裁量的経費であることから国の予算枠が限定されており、都道府県等において事業費の予算を増額しても、国の補助金は増加しない。また、様々な障害分野向けの事業費を包括しているため、特定分野の事業費の増額は「パイの奪い合い」となりやすい構造があり、都道府県等において盲ろう者向け事業の予算を大幅に伸ばすことは困難である。  このようなことから、現行の通訳・介助員派遣事業については、財政構造を含めた大幅な見直しが必要である。 制度見直しの方向性  盲ろう者への通訳・介助員の派遣は、本来的には個別給付になじむ支援であると考えられ、裁量的経費である地域生活支援事業から、義務的経費である個別給付に移行することにより、個々のニーズに応じた必要な派遣時間が確保されることが期待される。  盲ろう者の数が少ない地域では、事業所方式を前提とする個別給付方式を直ちに実施することは困難であり、また、比較的障害が軽度な盲ろう者の場合は、必ずしも継続的な派遣を必要とはしないため、現行制度の枠組みでも対応可能である。  したがって、盲ろう者向け通訳・介助員の派遣制度は、個別給付の枠組みによるものと、地域生活支援事業の枠組みによるものの二本立ての制度とする方向が望ましい。  ※視覚障害者に対する個別給付である同行援護が制度化された際にも、地域生活支援事業における視覚障害者の移動支援事業(ガイドヘルパー)は存置されている。  個別給付化にあたっての主な選択肢 @障害者総合支援法の改正により、盲ろう者向けの新たな個別給付事業を創設する。 A同行援護の事業内容を拡大し、盲ろう者向けに特化した新たな制度的枠組みを作る。 B重度訪問介護の対象及び事業内容を拡大し、盲ろう者向けに特化した新たな制度的枠組みを作る。 個別給付化にあたっての問題 ・障害支援区分の認定の問題が生ずる。 ・派遣事業所の指定の問題が生ずる。 ・費用負担(利用者負担)の問題が生ずる。 ・地域生活支援事業と比較して、運用上の制約が大きくなることも予想される。 《盲ろう者福祉度の見直しに向けて、今後取り組むべき課題》 全国盲ろう者協会における取組み  * 全国の友の会との連携に向けた取組み * 厚生労働省等との調整に向けた取組み * その他 全国の友の会における取組み * 派遣事業所設置に向けた取組み * 組織・活動の強化に向けた取組み * その他 《盲ろう者福祉制度の将来展望》 *** 4-6.事後アンケート 平成27年度 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会 事後アンケート集計結果(平成28年1月6日現在) 配布数 19 回収数 15 1.盲ろう者地域団体(友の会等)との関わりについて 1−1 盲ろう者地域団体での活動年数 あ 3年未満   3 い 3年から5年 7 う 6年から8年 0 え 9年以上   5 1−2 盲ろう者地域団体での現在の役職 あ 代表 1 い 事務局長 0 う 上記以外の役員 10 え 事務局員 0 お 役職なし 3 か その他  1 2.本研修会に参加した目的について 2−1 参加の動機について あ 自主的参加 5 い 所属団体からの要請 3 う 所属団体の役員会での推薦 6 え その他 1 2−2 参加の目的について(複数回答あり) あ 団体運営等に必要な知識・情報の収集のため 13 い 他団体との情報交換のため 5 う 自己啓発のため 7 え その他 0 3.本研修会の運営等について 3−1 開催時期や日数について よい  7 普通(特に支障なし)  5 改善を望む  3 【自由記述】 ・日程の周知が早ければ問題はない:2 ・時間が足りなかった:2 ・年末で通訳・介助員の確保が難しい:2 ・様々な研修会が続くため、通訳・介助員の確保が難しい ・2日間の参加で研修が修了できるのでよかった ・2泊3日にしてほしい ・もう少し早い時期に開催を希望する ・土日の開催で東京駅が混んでおり、会場までたどり着くのに時間がかかった 3−2 会場・宿泊施設の設備、サービス等について よい  8 普通(特に支障なし)  3 改善を望む  3   【自由記述】 ・最寄り駅から近くて便利だった:3 ・会場と宿泊が同じ場所で移動の負担が減り、よかった :3 ・ホテルスタッフのサービスがよかった:2 ・会場内の机同士の間隔が狭かった:2 ・東京駅から近くて便利だった ・広い部屋があればよい ・触手話の場合は対面通訳なのでスペースが必要である ・トイレ(出入口)の壁が暗いので体をぶつけてしまった ・ホテルの乾燥が心配だったが、客室に加湿器が設備されており、大変助かった ・飲み物のサービスが良かった ・客室のベッドとテーブルの間隔が少し狭かった ・バスルームへの段差が少し高く怖かった ・会場のホテルにバリアフリールームが足りなかったため、宿泊ホテルまでの電車移動が必要で、2日目の朝の講義に遅刻しそうになった 3−3 案内・連絡等について よい  8 普通(特に支障なし)  4 改善を望む  2   【自由記述】 ・事前に資料・プログラムがあることで、よく使う難しい言葉や手話表現を通訳・介助員と確認することができた ・連絡等が密で適度の緊張感が持て、準備に臨めた ・最初の案内、受講決定後の書類はわからないことが多かったが、その後の配布資料はわかりやすかった ・墨字の資料を通訳・介助員に読んでもらったが、データで送付してもらえれば事前に自分で読むことが出来た ・土地勘が無いので、東京駅や羽田空港からのアクセス方法の詳細案内があればよかった ・司会者や講師の連携がよくできており、進行が予定内に収まっていた ・大浴場があることを知らなかったので、ホテル内の案内をして欲しかった ・朝食の場所等、細かい連絡が欲しかった 4 個々のカリキュラム及び全体について 4−1 全体会1  「友の会とは〜その原点と今後のあり方」 参考になった:10 普通:2 参考にならなかった:0 無回答:3 【自由記述】 ・要点を押さえ、まとめていたので頭に入りやすかった ・資料に沿った講義だったのでわかりやすかった ・友の会の現況、役割を学ぶことができた ・他の友の会の情報が入りよかった ・自分の友の会の改善のため、頑張って活動したいと思った ・内容が難しかった ・盲ろう者と通訳・介助員はお互いに信頼し、協力して友の会の運営をすることが必要だと改めて感じた ・法人になると社会から信頼されるというのはその通りで、私も当事者になったばかりの頃、友の会を怪しく思っていた ・全国の友の会も法人名があればと受け入れやすく活性化するのではないか ・交通機関のトラブルのため全体会1に参加できず、残念だった 4−2 グループ討議 「話し合いをまとめるために大切なこととは」 参考になった:12 普通:3 参考にならなかった:0 【自由記述】 ・ベテランの方から、役員未経験の方まで色々な意見を聞けて良かった:3 ・内容も濃く、参加してよかった:2 ・解決策について同じ盲ろう当事者という立場から導き出せてよかった ・色々な意見を出し合って熱を帯びた有意義な討論となった ・もっと議論したかった ・みんな同じ問題を抱えていることがわかった ・地域格差を感じさせられた ・時間が短かったのが残念だった ・グループ討議で話し合った問題をあまり感じたことがなかった ・他の友の会の報告を受け、自分の友の会の役員会は2時間程で短いのではないかと思った ・先にグループ討議が行われたので意見交換会での交流がしやすかった 4−3 全体会2 「上手に話すには〜わかりやすい話し方」 参考になった:11 普通:4 参考にならなかった:0 【自由記述】 ・話がわかりやすかった:2 ・ルールがあることを初めて知った ・10のルールが参考になった ・普段の旅行から友の会の会議まで使えるようなルールだったので勉強になった ・具体例を出して説明していて、納得できた:2 ・福田氏独自のユーモラスな采配に惹きつけられた ・細心を払った気配りが伺える内容だった 4−4 全体会3  「リーダーとしての心構え〜円滑な友の会運営のために」 参考になった:11 普通:4 参考にならなかった:0 【自由記述】 ・藤鹿氏の経験談が参考になった:4 ・非常に感動する内容だった:2 ・もっと話を聞きたかった:2 ・リーダーは孤独な部分もあるが、孤独にならないことも大事なのだと思った ・リーダーがまとめて引っ張っていく役割を知ることができた ・「みんなと一緒にいてもその人の心が孤独だったらみんなと一緒にいることにはならない」というのは現在の友の会でもあることだと思った ・もっと質問したかった 4−5 全体会4  「盲ろう者福祉の基礎知識〜主に通訳・介助員派遣事業」 参考になった:12 普通:3 参考にならなかった:0 【自由記述】 ・話が難しかった:6 ・人任せにするのではなく、自ら色々と勉強していきたいと思った:3 ・活動の経過や具体的な内容が参考になった:3 ・一番疲れている時間帯なのに難しい内容だった:3 ・活動を広げるため、勉強しなければならないと思った:2 ・わかりやすい説明だった ・盲ろう者が社会参加するために阻まれている原因がわかった ・友の会でどのように話したらわかりやすく伝えられるのかわからなかった ・社会で活躍するために、他の重度障害者との連携も必要だと思った ・会社、学校という枠と福祉作業所の枠は違うことがわかった ・もう少し時間をかけて教えてもらいたかった ・講義を受ける前にまず勉強が必要だと思った ・受講者が19名というのはもったいない。もっと多く集まって話を聞くべきではなかったか ・休憩を取りたかった ・盲ろう者も地域の一員として、安心と安全、快適に暮らせるような社会づくりを目指したい 4−6 カリキュラム全体について(総合評価) 参考になった:13 普通:2 参考にならなかった:0 【自由記述】 ・どのカリキュラムも参考になった:7 ・ベテラン役員の方から未経験の方まで様々な話が聞けた:2 ・全国の盲ろう者の方と交流して、視野が広がった ・自分の中で意識の変化があった ・他の友の会の状況も知ることができ良かった ・自分の地域では思い浮かばないような悩みも聞くことができた ・意見交換会では色々な人と会話し、他地域の盲ろう者との意見交換ができて有意義なものとなった ・ハードな予定だったが充実した内容だった ・盛りだくさんな内容で大変だった ・万全な通訳体制で好感が持てた ・頭がいっぱいで覚えるのが大変だった ・19団体だけの参加だと情報交換としては物足りないので、もっと参加すべきではないか ・都道府県は47あるので、47人が参加できるとよい ・意見交換会では会話に夢中になり、食事を取る時間が十分取れなかった 5 今後の研修会の企画・運営について 5−1 今後取りあげてほしいテーマ ・全国の派遣事業の地域格差が統一される福祉施策にするために、どうすればよいか ・盲ろう者福祉の基礎知識 ・報告や新たな制度、事業の説明等 ・NPO法人の運営について ・掘り起こしに対する個人情報を踏まえた研修 ・友の会の活動内容を発表するテーマ ・全国の友の会ではどういうイベント(行事)をしているか ・全国の友の会とどのように連携していけばよいか ・支援の地域格差の状況について ・どうしたら仲間(盲ろう者)の掘り起こしが出来るか ・様々な地域の現状や諸外国の状況について ・他国の盲ろう者の情報について ・通訳・介助員にスキルアップを求める前に自分のコミュニケーション手段の勉強 ・移動介助について ・盲ろう者の就職について 5-2 その他 ・色々な方の意見を聞くことができ、参考になった:4 ・貴重な経験だった:2 ・時間が足りなかった:2 ・初めて会った人も多く、もっと時間をかけて交流したいと思った:2 ・このような研修は絶対続けてほしい ・もっと勉強したいと思った ・今後の活動に活かせたらと思う ・受講者を絞り込んだのはとても意義がある ・協会の願いを背負ってこれから頑張りたい ・わからないまま進んでいる場面があった ・2泊3日くらいの余裕がほしい ・同じ研修会を受講できないので、「応用編」を作ってレベルアップした内容で受講できるようにしてほしい ・新しい情報をMLで知ることができればよい ・意見交換会が立食で落ち着かなかった ・電車情報(事故やアナウンス)がわからず、不便なのでもっと改善してほしい ・協会の皆さんもスタッフの方も優しくて、とても気持ちよく過ごせた *** 5.本研修会企画委員会の概要 (1)設置目的 全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会内容を検討するため、企画委員会を設置した。 (2)委員構成(計4名) ・小山 賢一氏(みやぎ盲ろう児・者友の会 役員) ・川口 智子氏(奈良盲ろう者友の会「やまとの輪」 役員) ・川島 朋亮氏(神奈川盲ろう者ゆりの会 会長) ・小林 功治氏(愛知盲ろう者友の会) (3)委員会実施状況 ・第1回企画委員会 平成27年5月17日(日) ・第2回企画委員会 平成27年7月19日(日) ・第3回企画委員会 平成27年10月25日(日) ・第4回企画委員会 平成27年12月12日(土) ・第5回企画委員会 平成27年12月13日(日)