平成26年度盲ろう者国際協力推進事業海外調査報告書 〜日本のヘレン・ケラーを支援する会 R〜 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 ----- 目次 I. 平成26年度盲ろう者国際協力推進事業海外調査要領 II. 海外調査日程および調査機関等 III. 調査報告 1 タイ 世界盲ろう者連盟役員会およびタイ盲人協会会長との会談 1-1.概要 1-2.世界盲ろう者連盟役員会 1-2-1.プログラム 1-2-2.報告 1-3.タイ盲人協会会長モンティアン・ブンタン氏との会談 2 インド 「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」ワーキンググループ第2セッション 出席 2-1.概要 2-2.背景 2-3.プログラム 2-4.報告 3 アジア太平洋障害者センター職員との会談 3-1.概要 3-2.背景 3-3.報告 4 その他 4-1.会議等 4-1-1.「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう」アジア太平洋地域会議(仙台会議) 4-1-2.「第6回アジア防災閣僚級会議:障害のある人および障害者団体によるステークホルダー予備協議」 4-1-3.ヘレンケラーナショナルセンター訪問 (米国) 4-1-4.2014年国連障害者デー、国連本部イベント 4-2.セミナー等 4-2-1.「ダスキン愛の輪運動基金・研修生受け入れ」 4-2-2.ウズベキスタン盲ろう者支援プロジェクト帰国報告会セミナー「国際協力機構(JICA)・(社福)全国盲ろう者協会共催企画セミナー 盲ろう者と国際協力−ウズベキスタンへの派遣の経験から−」 参考資料 @ 2015年WFDb役員会議事録 A WFDb規約 B WGメンバーリスト C WG第2セッション議事次第 D WG第2セッションWFDb活動報告書 ----- T 平成26年度盲ろう者国際協力推進事業海外調査要領 1 目的  本調査は、調査員を世界盲ろう者連盟加盟国等へ派遣し、それらの国における盲ろう者福祉に関する施策の実施状況等について実地に調査し、世界各国の盲ろう者および盲ろう者関係団体等に必要な情報を提供することにより、盲ろう者をはじめ盲ろう者関係団体等の協力関係の構築および活動の強化を図ることを目的とする。 2 主催  社会福祉法人 全国盲ろう者協会 3 調査実施国  タイ、インド、アメリカ 4 調査項目  ・盲ろう者の組織ならびにネットワークの現状  ・盲ろう者支援システムの現状  ・盲ろう者の就労・職業訓練等の現状  ・その他 5 調査実施期間  タイ   平成26(2014)年6月22日から同年6月24日まで  平成26(2014)年10月30日から同年11月4日まで  アメリカ 平成26(2014)年12月2日から同年12月3日まで  インド  平成27(2015)年3月1日から同年3月4日まで    6 調査の実施方法   実地調査は、調査機関および会議等を訪問し、情報収集を行い、また、盲ろう当事者・サービス提供者・支援者等から聞き取り調査を行う。 ----- U 海外調査日程および調査機関等 タイ  日 程 :平成26(2014)年6月22日〜6月24日  調査内容:「第6回アジア防災閣僚級会議:障害のある人および障害者団体によるステークホルダー予備協議」 出席  日 程 :平成26(2014)年10月30日〜11月4日  調査内容:世界盲ろう者連盟(以下WFDb)役員会 出席       タイ盲人協会会長モンティアン・ブンタン氏との会談 アメリカ  日 程 :平成26(2014)年12月2日  調査内容:ヘレンケラーナショナルセンター 訪問  日 程 :平成26(2014)年12月3日  調査内容:2014年国連障害者デー、国連本部イベント       パネルディスカッション「テクノロジーの可能性:       障害者も含む災害リスク軽減と人道的な活動」 出席 インド  日 程 :平成27(2015)年3月1日〜3月4日  調査内容:「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」       ワーキンググループ第2セッション 出席 ----- V 調査報告 1 タイ  世界盲ろう者連盟役員会およびタイ盲人協会会長との会談 1-1.概要 目的  平成25(2013)年11月6日〜11日、世界盲ろう者連盟(World Federation of Deafblind、以下WFDb)が主催する「第10回ヘレン・ケラー世界会議」及び「第4回世界盲ろう者連盟総会」がフィリピン・マニラ郊外のタガイタイ市にて開催された。この会議は原則として4年に一度開催され、総会ではWFDbの役員選挙が行われる。この役員選挙にて、当協会盲ろう者国際協力推進事業委員である福田暁子氏がWFDb事務局長に、当協会理事であり盲ろう者国際協力推進事業委員である福島智氏がWFDbアジア地域代表に選出され、次回総会までの期間、その任にあたることとなった。  本調査の主な目的は、福田氏、福島氏が今期第一回目のWFDb役員会に出席すること、他の役員との情報・意見交換により他の国や地域、世界全体の盲ろう者の現状や課題について情報収集することであった。また、これに合わせてタイ盲人協会会長モンティアン・ブンタン氏と会合をもち、タイやアジア地域の盲ろう者の現状に関する情報収集、今後のアジア地域における協力関係構築の可能性への模索を行った。 調査員  福田暁子(WFDb事務局長)  通訳・介助員およびヘルパー:杉浦節子、石濱英美、井上恵梨子 福島智(WFDbアジア地域代表)  通訳・介助員:金田由紀子、前田惇美、蓮見香菜絵  橋間信市(全国盲ろう者協会)  押切優(全国盲ろう者協会)  高木真知子(日英通訳者)  渡部綾(日英通訳者)  日程  平成26(2014)年10月30日(木)〜11月4日(火) 会場  ノボテル・バンコク・プラチナム(Novotel Bangkok Platinum)  住所:Petchburi Rd, Ratchathewi, Bangkok 10400  Tel: 66 2160 7100  Fax: 66 2160 7244   1-2.世界盲ろう者連盟役員会 1-2-1.プログラム ※WFDb役員会の議事次第、出席者、スケジュール、議事録は(参考資料@:2015年WFDb役員会議事録 WFDb会長ゲイール・イェンセン作成)を参照。 議事次第 1. 開会 2. 参加者の紹介 3. 連絡 4. 会議の進行について 5. 議題の承認 6. WFDb総会およびその他の会議の議事録  a)第4回WFDb総会 2013年11月10〜11日 フィリピン・タガイタイ  b)第1回役員会ミーティング 2013年11月11日 フィリピン・タガイタイ c)第2回役員会ミーティング 2014年8月6日 エクアドル・グアヤキル役員ミーティング 2014年8月6日  エクアドル・グアヤキル 7. 報告  a)会長  b)副会長  c)事務局長 8. 会計報告  a)現状  b)展望  c)ノルウェーの銀行口座について  d)WFDbのメーリングリストについて  e)WFDbのウェブサイトについて 9. 地域代表者からの報告 10. WFDbの登録  a)2014年9月9日、ノルウェーにてWFDbの団体登録完了  b)WFDbをWIPOで登録すべきか(ロゴ/トレードマークの検討) 11. 会員申請の検討  a)国会員:   フィリピン盲ろう者支援協会(Deafblind Support Philippines, DBSP)   全国盲ろう者ネットワーク(UDAAN)  b)準会員:   センス・インターナショナル インド   盲ろう者の親・友人と重複障害者の会(AGAPASM)Alex Garcia  c)個人会員  d)WFDb国会員・特別会員のリスト 12. FSDB、DbI、WASLI、WBU、WFD、IFHOHとの協力協定 13. IDAとの協力に関する情報  理事会  メーリングリスト  代表・発言の手順 14. 第11回ヘレン・ケラー世界会議及び第5回WFDb総会 (2018年6月19〜28日、スペイン)について 15. 地域代表者の職務について 16. 地域団体による報告 AFDB、EDbU、FLASCなど 17. 2015〜2018年の活動計画、戦略計画  a)活動計画  b)戦略計画 18. WFDb名誉会員へのメダル・証明書授与 19. WFDb規約における解散規則の欠如について 20. その他 21. 2015〜2017年の役員会の場所・日時について  a)2015年5月24〜25日 ルーマニア・ブカレスト  b)2016年8月 エクアドル・グアヤキル  c)2017年 スペイン 22. 閉会 出席者 役員  会長:ゲイール・イェンセン Geir Jensen ノルウェー (通訳・介助員2名)  副会長:ソニア・マルガリータ・ヴィラクレス Sonnia Margarita Villacres エクアドル (通訳・介助員2名)  会計:クリスター・ニルソン Christer Nilsson スウェーデン (通訳・介助員2名)  事務局長:福田 暁子 Akiko Fukuda 日本 (通訳・介助員2名、介助スタッフ1名) 地域代表者  アジア地域:福島 智 Satoshi Fukushima 日本 (通訳・介助員3名)  ヨーロッパ地域:リク・ヴィルタネン Riku Virtanen フィンランド (通訳・介助員2名)  アフリカ地域 :エゼキエル・クムウェンダ Ezekiel Kumwenda マラウィ (通訳・介助員1名)  オセアニア地域:アイリーン・マックミン Irene McMinn オーストラリア (通訳・介助員1名)  北米地域   :クリス・ウッドフィル Chris Woodfill アメリカ (通訳・介助員1名)  南米地域   :カルロス・ロドリゲス Carlos Jorge Wildhagen Rodrigues ブラジル (通訳・介助員2名) オブザーバー 全国盲ろう者協会 橋間 信市 全国盲ろう者協会 押切 優 他 日英言語通訳者2名、英語・スペイン語言語通訳者1名 1-2-2.報告 議題7. 役員報告  昨年11月のWFDb総会で選出された役員が、それぞれの立場での活動報告を行った。会長のゲイール・イェンセン氏は国際障害同盟(IDA)における活動などについて述べたほか、現状ではWFDbの常設事務局が存在しないため、今後活動を活発化するためにも事務局の設置に向けて動かなければならないという課題を提起した。副会長のソニア・マルガリータ・ヴィラクレス氏は、WFDb副会長として出席したアメリカやエクアドルでの障害者関連の会議について報告した。事務局長の福田氏は、前回の総会で初めてWFDb役員に選出された立場から、公式文書の管理や会員団体情報の整理方法など、団体としてのWFDbの課題を指摘した。 議題8. 会計報告  WFDb会計のクリスター・ニルソン氏が現在の財政状況を報告し、課題を述べた。WFDbの予算は現在厳しい状態にあり、この度の役員会においては、出席する役員の渡航費等を準備することが非常に困難であった。現状を打開するためには、新たなスポンサー獲得のために役員全員が努力することが必須であるということが確認されたが、アジア地域代表の福島氏からは、WFDbの会費を先進国の団体に限って増額することも提案された。しかし、先進国においても盲ろう者団体の財政状況は非常に厳しい場合も多いとの指摘もあり、この提案については保留となった。  この議事の中ではWFDbのウェブサイト運営についても話し合われた。ウェブサイトの運営は今までに引き続きクリスター・ニルソン氏が担うが、事務局長の福田氏が支援することが確認された。 議題9. 地域代表者からの報告  アフリカ地域代表エゼキエル・クムウェンダ氏、アジア地域代表福島智氏、ヨーロッパ地域代表リク・ヴィルタネン氏、南米地域代表カルロス・ロドリゲス氏、北米地域代表クリス・ウッドフィル氏、オセアニア地域アイリーン・マックミン氏が、それぞれの地域における盲ろう者の現状、昨年11月のWFDb総会以後の活動状況について報告した。  アジア地域代表である福島氏は、日本における盲ろう者のための新制度創設への取り組み、フィリピンでの盲ろう者支援団体の設立(2013年11月)、ウズベキスタンでのセミナー開催(2013年10月)、ロシアから来日した盲ろう者支援団体と全国盲ろう者協会の間での意見交換会(2014年10月)など、昨年以来アジア地域内で行われた盲ろう者に関わる活動について報告した。一方で、アジア地域内の国々を結ぶネットワークや団体が未だ作られていないという課題を述べた。  その他の地域代表も、それぞれの地域での会議・イベント開催等の活動や課題を報告した。アフリカ地域代表のエゼキエル・クムウェンダ氏、南米地域代表のカルロス・ロドリゲス氏からは、地域内のそれぞれの国の活動について十分に把握できていない、連絡・情報交換体制が不十分であるという課題が述べられた。北米地域代表のクリス氏は、アメリカ盲ろう者協会(American Association of the Deaf-blind, AADB)が実質的に閉鎖状態にあり、再生に向けての活動を行っているという厳しい現状を報告した。 議題10. WFDbの登録  WFDbは2014年9月9日、ノルウェーにて正式な団体として登録されたことが報告された。  また、WFDbの名称とロゴマークの保護のために世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization, WIPO)に登録すべきかという議題があったが、登録費用などの課題があるため保留となった。 議題11. 会員申請の検討  WFDbの会員となることを希望している団体、個人の申請を検討した。  WFDbの規約では、総会での投票権を有する「国会員」、投票権を有しない「特別会員」の2種の会員が規定されている。「国会員」はその国の盲ろう者を代表する団体であり、代表者は盲ろう者でなければならない。また、各国に一団体のみとされる。「特別会員」は主にWFDbの活動に賛同・協力する個人・団体であり、「個人会員」、「名誉会員」、「準会員」、「賛助会員」に分けられる(参考資料A:WFDb規約4)。  まず、2014年に発足したフィリピン盲ろう者支援協会(Deafblind Support Philippine, DBSP)について検討した。この団体は現時点では盲ろう当事者による組織ではなく、盲ろう者の親がメンバーの大半を占めている。盲ろう児・者の親が活発に活動することで団体の規模が拡大する例も多いため、国会員として認めてはどうかという意見もあったが、現時点では準会員として登録することが賛成多数で決定された。準会員は、WFDbの規約で「世界盲ろう者連盟の目的に賛同する個人、団体、組織を指す」と規定されている。  その他、インドの全国盲ろう者ネットワーク(National Network of Persons with Deafblindness, UDAAN)は盲ろう者が代表する組織であることが確認されたため、国会員として登録されることが決定された。また、センス・インターナショナルインド(Sense International INDIA)および個人2名(センス・インターナショナルインドの職員とパキスタンのろう者)が準会員として登録されることが決定された。  その他、ブラジルの盲ろう者の親・友人と重複障害者の会(Gaucha Association of Parents and Friends of Deafblind people and people with Multiple Disabilities、AGAPASM)については、実質的には団体ではなく個人による活動であり、WFDbの国会員であるブラジルの盲ろう者団体から認められていないとの理由から、会員申請が却下された。 議題12. FSDB、DbI、WASLI、WBU、WFD、IFHOHとの協力協定  時間の制約により、次回役員会で議論することとなった。 議題13. IDAとの協力に関する情報  同上 議題14. 第11回ヘレン・ケラー世界会議及び第5回WFDB総会(2018年6月19〜28日、スペイン)について  2013年11月の第10回ヘレン・ケラー世界会議及び第4回WFDb総会にて、次回の世界会議及び総会の開催国としてスペインが立候補し、その後WFDb事務局がスペインから正式な申込書を受け取った。WFDbの規約では、総会は4年に一度開催されると規定されている(参考資料A:WFDb規約5.4)。しかし前回の総会から4年後となる2017年にはヨーロッパ地域で他の会議が重なり、財政上の困難が大きいとの理由から、スペインは2018年の世界会議・総会開催を申し出ていた。この議題では、2018年まで総会の開催を見送ることが規約違反となるかどうかという問題を含め、第11回ヘレン・ケラー世界会議及び第5回WFDb総会の開催国、開催日時について議論を行った。  この議題については前もってWFDb役員のメーリングリスト上でも議論されており、福島氏、福田氏を含む数名が、2018年まで総会開催を延期することは規約に違反するとの考えを示していた。一方で、現時点でスペイン以外の開催国を探すことは非常に困難であること、ヨーロッパで他の会議が重なる2017年はヨーロッパ諸国の代表者の会議参加が困難であることなどの理由から、スペインの申し出を受けるべきであるとの意見が多数を占めていた。スペインの申し出を受ける場合、同時に規約違反を避ける方策をとるべきであるとの考えから、2017年までの間に何らかの形で小規模な総会を開くことを福島氏、福田氏は提案していた。  役員会では、スペインの申し出を受けないことは上記の事情により現実的ではないとの考えから、まず2018年のスペインでの世界会議及び総会開催が決定された。  その後、事前に提案されていた小規模総会の開催について考えるよう福島氏が意見したが、規約の文言の解釈に役員間で不一致が生じ、規約違反の問題は解決に至らなかった。役員会の中で規約委員会を設置し、この件を含めて規約内容の見直しを進めることが決定された。規約委員会の会長には北米地域代表のクリス・ウッドフィル氏が任命され、その他のメンバーとして会長のゲイール・イェンセン氏、ヨーロッパ地域代表のリク・ヴィルタネン氏、アジア地域代表の福島氏が任命された。 議題15. 地域代表者の職務について  WFDbの地域代表者の職務が現状では明確になっていないため、今後規約委員会が検討することとなった。 議題16. 地域団体による報告 AFDB、EDbU、FLASCなど  アジア、オセアニア以外の地域には盲ろう者団体の地域ネットワークが存在する。アフリカ盲ろう者連盟(African Federation of the Deaf Blind, AFDB)、ヨーロッパ盲ろう者連合(the European Deafblind Union, EDbU)、ラテンアメリカ盲ろう者連盟(FLASC)といった地域単位の盲ろう者団体とWFDbの関係をどう位置付けるべきか、規約で規定することも含めて今後検討することとなった。またこれらの地域団体とWFDb地域代表の関係について議論があったが、現行の規約では地域代表はあくまでWFDb国会員の代表者の中から選出されるため、上記のような地域団体との関係は必要としないことが確認された。 議題17. 2015〜2018年の活動計画、戦略計画  WFDbの今後の発展のためには事務局の設置が最も重要であり、そのための活動が必要であるという意見を会長のゲイール・イェンセン氏が述べた。また、各地域の活動を記録していくため、各地域代表は年内に地域の活動計画レポートを事務局長まで送ることとなった。 議題18. WFDb名誉会員へのメダル・証明書授与について  WFDbには世界盲人連合などの名誉会員が存在するが、現状ではWFDb名誉会員であることを証明するものを団体として用意していないため、メダルや証明書を授与すべきではないかとの案が出ていた。この件についてはWFDb役員メーリングリスト上で議論し、WFDb規約もしくは細則で規定する方向で進めることとなった。   議題19. WFDb規約における解散規則の欠如について  現在のWFDbの規約では、WFDbが解散した際の資産の取り扱いに関する規定がない。ノルウェーで公式団体としての登録手続きを行う過程でその点を指摘され、次回総会で規約を改正し、この件に関する条文を追加することを勧告された。参考となる事例を事前に調査し、次回役員会にて検討することが決定された。 議題20. その他  特になし   議題21. 2015〜2017年の役員会の場所・日時について  上記議題について、議事次第にある通り以下のように決定された。  2015年5月24〜25日 ルーマニア・ブカレスト  2016年8月 エクアドル・グアヤキル  2017年 スペイン 1-3.タイ盲人協会会長モンティアン・ブンタン氏との会談  2014年11月3日、WFDb役員会日程を終えた調査員一同は、タイの上院議員であり、タイ盲人協会(Thailand Association of the Blind, 以下TAB)会長を8年間務めたモンティアン・ブンタン(Monthian Buntan)氏と会談をもった。会談は、モンティアン氏と以前から交流のあった福田氏により設定された。目的はタイにおける盲ろう者の状況について情報を得ること、タイの盲ろう者支援における協力関係の構築を模索することであった。  タイで行われている盲ろう者関連の取り組みをモンティアン氏は紹介した。ろう教育や手話教育の課程をもつマヒドン大学ラチャスダ校(Ratchasuda College of Mahidol University)では触手話のプログラムが作られたほか、盲ろう児にろう学校で教育を受けさせる活動が行われたことが紹介された。また、タイ国内の盲人キリスト教財団の支援で重複障害児のための学校を建設し、盲ろう児のプログラムを開講する計画があるとの報告も得た。  またモンティアン氏は、TABの役員に補聴器を使用している盲難聴者がいることを述べ、TABの中で難聴者をサポートする自助グループを作る計画が進んでいると報告した。小規模であっても盲ろう者が集まって交流を持つことから様々な活動が始まっていくため、まずはタイ国内の盲ろう当事者を集めることが必要であるという見方から、上述の盲難聴のTAB役員と当協会が接点を持つために協力することをモンティアン氏は約束した。 2 インド  「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」ワーキンググループ第2セッション 出席 2-1. 概要 目的  本調査の目的は、国連アジア太平洋経済社会委員会(Economic and Social Commission for Asia and the Pacific、以下ESCAP)の主催・運営による会議、「『アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)』ワーキンググループ(以下ワーキンググループ)第2セッション」(2015年3月2日〜3日、ニューデリー)への出席であった。ワーキンググループの背景、内容については後述する。ワーキンググループにはWFDbアジア地域代表者の福島智氏の代理として、門川紳一郎氏が出席した。 調査員  門川紳一郎(全国盲ろう者協会評議員、全国盲ろう者団体連絡協議会副会長、NPO法人視聴覚二重障害者福祉センターすまいる 理事長)  通訳・介助員:藤井明美、三科聡子 日程  平成27(2015)年3月1日〜3月4日(移動日を含む) 会場  The Ashok  住所:Diplomatic Enclave, 50-B Chanakayapuri, New Delhi 110021, India  Tel: +91 11 2611 0101   2-2.背景  2012年10月29日〜11月2日、韓国インチョンにて行われた「『アジア・太平洋障害者の十年(2003-2012)』の実施に関する最終評価のためのハイレベル政府間会合」にて、「『アジア・太平洋障害者の十年(2013-2022)』閣僚宣言およびアジア太平洋障害者の『権利を実現する』インチョン戦略(以下、インチョン戦略)」が採択された。上記は2013年5月1日のESCAP総会決議69/13の中で承認された。  2013〜2022年の10年の完全かつ効果的な実行を進めるために、ESCAP加盟国・準加盟国に対して専門的助言や支援を提供することを目的とした「『アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)』ワーキンググループ」を設立することがこのインチョン戦略にて定められた。ワーキンググループへの委託事項は、付帯文書としてインチョン戦略に記載されている。  ワーキンググループは15のESCAP加盟国または準加盟国、15の市民社会団体(Civil Society Organisation、以下CSO)から構成され、任期は5年とする旨が定められた。WFDbは第一期のCSOメンバーとなった(参考資料B:WGメンバーリスト)。  上記の決定を受け、ESCAP事務局は2014年2月25日〜26日、韓国政府の協力を得て、ワーキンググループ第1セッション(創立セッション)を韓国インチョンにて開催した。  第1セッションでは以下の二つの文書が、採択された。 (1)「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」ワーキンググループ運営規約 (2)アジア太平洋障害者の「権利を実現する」インチョン戦略実行のためのロードマップ  また、ワーキンググループの責務や運営についての決定・提案がなされた。セッションは年に1回開催されることが運営規約にて定められ、第2セッションの開催地はインド・ニューデリーに決定された。 ※インチョン戦略は、10の「目標(goal)」、27の「ターゲット(target)」、62の「指標(indicator)」からなる文書である。「目標」は目指すべき最も基本的な方向性であり、以下のように定められている。 目標1:貧困を削減し、労働および雇用の見通しを改善すること 目標2:政治プロセスおよび政策決定への参加を促進すること 目標3:物理的環境、公共交通機関、知識、情報およびコミュニケーションへのアクセスを高めること 目標4:社会保障を強化すること 目標5:障害のある子どもへの早期関与と早期教育を広めること 目標6:性(ジェンダー)の平等と女性のエンパワーメントを保障すること 目標7:障害インクルーシブな災害リスク軽減および災害対応を保障すること 目標8:障害に関するデータの信頼性および比較可能性を向上させること 目標9:「障害者の権利に関する条約」の批准および実施を推進し、各国の法制度を権利条約と整合させること 目標10:小地域、地域内および地域間の協力を推進すること (訳:日本障害フォーラム) 2-3.プログラム 議事次第 1.開会と議事の承認 2.議長、副議長の選出 3.第1セッションでの決定事項の実施状況評価 4.「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」進行状況評価 5.2015年以降の開発アジェンダへの、障害に関する事項のインクルージョンの評価 6.10年間の資源の流動性評価 7.次回セッションの日時、開催場所について 8.その他 9.閉会 (参考資料C:WG第2セッション議事次第) 事前提出資料  この度のワーキンググループ第2セッションでは、全ワーキンググループメンバーが2013〜2014年の活動報告書の事前提出を求められた。報告書の項目はESCAPが作成した。  以下は報告書の内容と、WFDbが提出した回答である(参考資料D:WG第2セッションWFDb活動報告書)。   *********************************** 「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」ワーキンググループ  第2セッション 2015年3月2〜3日、ニューデリー  CSOレポート 2014年2月25日、26日、韓国インチョンにて開催された「アジア太平洋障害者の十年」ワーキンググループ第1セッションにおいて、以下の提案がなされた。 (ワーキンググループ第1セッション報告書抜粋) U.提案事項  (b)(ii)全ワーキンググループメンバーは、インチョン戦略の実行とその他の活動に関する系統だった詳細なレポートを作成し、次のセッションの80日前までにESCAP事務局へ送ることとなっている。ESCAP事務局はそのための基本フォーマットの草案を、ロードマップの内容に基づいて作成する。  また同セッションにおいて、これらのレポートは次のセッションの60日前までにウェブ上に掲載することも同意された(第1セッション報告書 U.提案事項(b)(iii)を参照)。  レポートは2014年12月10日までに、以下の宛先にMS-Wordの形で送ること。 Director Social Development Division United Nations ESCAP United Nations Building Rajadamnern Nok Avenue Bangkok, 10200 Thailand E-mail: escap-sdd@un.org 1. インチョン戦略の実践を支援するための地域・小地域間協力を促進する活動を行いましたか。 はい/いいえ 1.1 「はい」の場合、貴団が行ったインチョン戦略の実践を支援するための地域・小地域レベルでの活動をすべて挙げてください。 (1項目につき50語まで) 2. 地域・小地域の政府間組織(ASEAN、ECO、PIF、SAARC)によるプログラムや会合において、閣僚宣言とインチョン戦略にある特定の評価基準を導入することに貢献しましたか。 はい/いいえ 2.1 「はい」の場合、貴団が参加した会合について記載してください(会合の名称、開催地、日程)。 (1項目につき50語まで) 2.2 参加した会合において、インチョン戦略のどの目標について貢献を行ったか記載してください。 インチョン戦略の10の目標すべて/特定の目標(具体的に) ――――― (※以下WFDbの回答) 1. はい 1.1 インチョン戦略目標7「障害インクルーシブな災害リスク軽減および災害対応を保障すること」に関連して、以下の二つの会議、一つのキャンペーンに代表者を派遣した。 1. Asia-Pacific Meeting on Disability-inclusive Disaster Risk Reduction (2014年4月 仙台) 2.The 6th Asian Ministerial Conference on Disaster Risk Reduction: Multi Stakeholders Pre-Conference on Disability-inclusive Disaster Risk Reduction (2015年6月 バンコク) 3.International Day of Persons with Disabilities: Panel Discussion on the Promise of Technologies: Disability-Inclusive Disaster Risk Reduction and Humanitarian Action (2014年12月 ニューヨーク) また目標10「小地域、地域内および地域間の協力を推進すること」に関して、盲ろう当事者組織の代表者団体の総会を開催した(2013年11月フィリピン・タガイタイにて)。そこでは地域単位のワークショップを行い、課題の共有、地域内・地域間での協力活動の可能性を議論すると共に、障害者権利条約に関する全体会も行った。 2. いいえ *********************************** 2-4.報告 国連アジア太平洋社会経済委員会「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」ワーキンググループ第2セッション 2015年3月2〜3日  インド ニューデリー アショクホテル 2015年3月2日(月) 1日目 8:30〜9:20 受付 9:30〜10:30 議題1 第2回セッションの開会 ●インド政府社会正義エンパワメント省障害者エンパワメント局局長Awanish Kumar Awasthi氏による開会の言葉(アクセシブルな社会を目指すためには行政・司法のアプローチが重要である。) ●インド政府社会正義省障害者エンパワメント局事務局 Lov Verma氏による歓迎の挨拶(エンパワメント省は設立されて3年であり、関係者の協力を得て、権利擁護・技能開発・障害者の社会参加の取り組みを行っている。) ●ESCAP南・南西アジア準地域事務所所長 Nagesh Kumar氏による開会の挨拶(政府と市民社会団体が共に取り組むことが重要。ミレニアム開発目標には障害が盛り込まれていない。) ●インド政府社会正義エンパワメント省大臣 Thaawar Chand Gehlot氏による基調講演 (インド政府社会正義エンパワメント省大臣 Thaawar Chand Gehlot氏から参加者に記念品の贈呈) 議題2 役員の選出  議長:インド政府社会正義省障害者エンパワメント局事務局 Lov Verma氏  副議長(政府):中国政府  副議長(市民社会団体):中央アジア障害フォーラム 議題3 議案の承認 10:30〜11:00  出席者による記念写真撮影・休憩 11:00〜12:30 議題4 第1セッションの決定事項と提言事項の実施に関する検討 ●ESCAPによる第1セッションの決定事項と提言事項の実施に関する報告 ●ESCAPによる持続可能な開発目標に関する公開作業部会総会の提言事項に関する報告(障害のメインストリームについて「障害」という用語が引用される。) ●ESCAPによる障害インクルーシブな会議に関する運用ガイド(案)に関する報告 ●討論 ・これまでESCAP関連の会議では政府と市民社会団体が分かれて着席していたが、今回は政府と市民社会団体が交互に並んで着席した。 ・議題4の開始にあたり、出席者全員、自己紹介を行った。 ・出席者の紹介に引き続き、手話通訳、指点字通訳が会場で提供されていることが紹介された。 ・APDFより、作業部会の頻度を年に1回より、年に2回にする提案がなされる。(作業部会運営規約では年に1回の開催と定められている。作業部会運営規約1-1ワーキンググループの定期セッションは年1回行う。)これについて、世界盲ろう者連盟アジア地域代表代理門川紳一郎氏より、開催回数が増えることにより、通訳・介助員を確保する困難さも増し、通訳・介助員が確保できないために、2回連続して作業部会を欠席した場合、作業部会への参加資格を失うという懸念が示される。(作業部会運営規約4-3ワーキンググループメンバーが定期セッションおよび臨時セッションに2回連続で欠席した場合、ワーキンググループを脱退するものとする。)これについて、議長、ならびに事務局より出席者に確認を行ったが、年2回を希望する出席者はいなかった。 ・障害インクルーシブな会議に関する運用ガイド(案)に対し、世界盲ろう者連盟アジア地域代表代理門川氏より、以下の点について提案がなされる。 @ 通訳・介助員に言及してほしい。また、介助が必要でない程度の障害であっても、飛行機の搭乗拒否に遭ったという事例もある。 A 指点字だけではなく、国連障害者の権利条約にならい触覚コミュニケーションという用語を採用してほしい。 12:30〜14:00  インド政府社会正義省障害者エンパワメント局事務局 Lov Verma氏主催の昼食会 14:00〜15:30 議題5 「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」の進捗状況の確認 ●ESCAPによるインチョン戦略を実施するために作業部会メンバーによって取られた行動のまとめの報告 ●ESCAPによるインチョン戦略を実施するために地域で取られた行動のまとめの報告(パンフレット・会議・研修・プロジェクトの紹介) ●討論 15:30〜16:00  休憩 16:00〜17:30  議題5 討論の続き 19:00〜21:00  インド政府社会正義エンパワメント省大臣 Thaawar Chand Gehlot氏主催の晩餐会 2015年3月3日(火) 2日目 9:30〜10:30 議題6 「アジア太平洋障害者の十年」2017年中間報告のための準備に関する検討 ●ESCAPによる10年の中間報告のための準備手順に関する報告(データ集計と回答率を上げることが必要。中間報告のための調査を2016年に行う。) ●討論 10:30〜11:00  休憩 11:00〜11:30 議題7 10年の進捗を促進するための資源に関する検討 ●ESCAP「アジア太平洋障害者の十年」のためのマルチ・ドナー基金(ESCAPによる収支報告・活動報告) ●「権利の実現」のための基金(韓国政府代表による収支報告・活動報告) ●討論 ・世界盲ろう者連盟アジア地域代表代理門川氏、世界ろう連盟アジア地域事務局長宮本一郎氏より、このような会議に盲ろう者、聴覚障害者、その他、情報やコミュニケーションに障害を持つ障害者が参加するには、通訳者や介助者が不可欠であり、そのための助成をマルチ・ドナー基金から拠出してほしいという訴えがあった。 11:30〜11:45 議題8 次回定期セッションの開催日と開催場所に関する討論 ・2016年2月、もしくは3月にタイで開催の予定。 11:45〜12:00 議題9 その他 ・オンライン会議が提案される。この検討のためにタスクフォースが設立される。 ・作業部会に入っていないメンバーをいかに巻き込むかについて指摘される。これについてもタスクフォースで検討することとする。 12:00〜12:30 議題10 閉会 ●ESCAP社会統合課課長、パトリック・アンダーソン氏による閉会の挨拶 ●インド政府社会正義省障害者エンパワメント局事務局 Lov Verma氏による閉会の言葉 ・世界盲ろう者連盟アジア地域代表代理門川氏より、今回の会議場の宿泊に対する配慮について感謝が述べられる。部屋のドア、部屋の中のボタン、アメニティ、クローゼットの内容など、点字の説明が付けられていた。また、点字資料も配布された。 12:30〜14:00 インド政府社会正義省障害者エンパワメント局事務局 Lov Verma氏主催の昼食   (写真)発言をする門川氏(左)と宮本氏(右) 3 アジア太平洋障害者センター職員との会談 3-1. 概要 目的  今調査では、アジア太平洋障害者センター(Asia-Pacific Development Center on Disability, 以下APCD)と会談を行った(同団体については後述)。APCDと全国盲ろう者協会の間に協力体制を構築し、アジア地域における盲ろう者支援活動に共にあたる可能性を模索することを目的とした。 調査員(出席者)  APCD:  Akiie Ninomiya(事務局長)  Ryuhei Sano(部長代理)  Nongnuch Maytarjittipun(事務局長秘書) 全国盲ろう者協会:  福島智(東京大学、全国盲ろう者協会 盲ろう者国際協力推進事業委員)  通訳・介助員:蓮見香菜絵・金田由紀子  福田暁子(全国盲ろう者協会 盲ろう者国際協力推進事業委員)  通訳・介助員およびヘルパー:杉浦節子・石濱英美・木内萌乃  橋間信市(全国盲ろう者協会) 日程  平成26(2014)年10月27日(月) 会場  全国盲ろう者協会 3-2. 背景  アジア太平洋障害者センター(Asia-Pacific Development Center on Disability, 以下APCD)は、タイ政府・国際協力機構(Japan International Cooperation Agency、以下JICA)・日本政府の協力により設立された、タイ・バンコクを拠点にアジア地域の障害者福祉と開発に関わる活動を行う団体であり、WFDb同様、前述のESCAP「アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)」ワーキンググループのメンバーである。これまで主にWFDb事務局長の福田暁子氏、WFDbアジア地域代表代理としてESCAPの会議に出席してきた門川紳一郎氏(全国盲ろう者協会評議員)などを通して、全国盲ろう者協会事務局はAPCDの代表者と交流を持ってきた。  2014年10月、バンコクでのWFDb役員会への調査員派遣を控えた全国盲ろう者協会がAPCD側に連絡を取り、現地で両団体職員による会談を開催できないかと打診した。その結果、2014年10月にAPCDの代表者数名が来日するとの情報を得たために、全国盲ろう者協会事務所にAPCD職員を招き、会談を行う運びとなった。 APCD概要 正式名称:アジア太平洋障害者センター(Asia-Pacific Development Center on Disability) 住所:APCD Bldg., 255 Rajvithi Rd., Rajthevi, Bangkok 10400 Thailand 電話:66-(0)-2354-7505-8 FAX:66-(0)-2354-7507 HP:http://www.apcdfoundation.org/ Email:info@apcdfoundation.org 3-3. 報告  会合では、まず日本やアジア地域での盲ろう者の現状把握状況について、福田氏や福島氏が述べた。福島氏からは今までに当協会の国際協力推進事業で訪れたネパールや韓国、昨年度にWFDbの世界会議が開催されたフィリピンの状況など、福田氏からは昨年度JICAの協力でセミナーを開催したウズベキスタンの状況などについて語り、まず盲ろう者の存在の把握自体が難しいこと、ろう者・盲人などのコミュニティや教育関係者から情報を得て少しずつ現状把握を進めている状況などについて説明した。盲ろう者を見つけること、盲ろう者を支援する人材を育成すること、盲ろう者の存在を社会に啓発することが大切であると福田氏は述べた。また、アジアにおけるネットワーク、活動を広げていくためには活動拠点を増やし、一人でも多くの盲ろう者を探し出すことが必要であることから、まずはAPCDの拠点であるタイで盲ろう者の団体を作る支援をお願いしたいという旨を福島氏は述べた。  APCD側からは、タイを拠点としたアジア地域での活動について述べられた。具体的には、ASEAN諸国においてJICAとAPCDが毎年共同で行っている「第三国研修」というプログラムや、障害者の状況への理解を促すような出版物の作成活動について説明があり、当協会と協力して、盲ろう者に関してそのような活動ができないかという提案がなされた。  最終的に、以下のような合意がなされた。 1. 3年後(会談当時)の2017年の「第三国研修」で盲ろう者に関する研修会を実施することを目標とし、今後当協会、APCD、JICAとの間で相談・意見交換を進める。 2. 上記の目標の準備として、盲ろう者に関する啓発を促すための出版物をAPCDが作成する。そのために必要な資料などを全国盲ろう者協会が準備し、提供する。 3. APCDの拠点であるタイにおいて、盲ろう者の団体を立ち上げるための活動に着手する。  それぞれの国の文化、言語、社会・経済状況の差異が大きいアジア地域において、盲ろう者支援のネットワークを作ることには困難が伴うが、タイという新たな活動拠点を得ること、将来的にその他のアジア諸国にもネットワークを広げていくことへの可能性が、この度のAPCDとの会談で示される結果となった。 ― 議事録 ― 福田:  アジア太平洋地域を見ると、オーストラリア、ニュージーランドを除き、国レベルでの盲ろう者団体は日本にしかない。盲ろう者の掘り起しが難しいという状況がある。アジア太平洋地域では、文化、言語も違い、その点からも盲ろう者が情報を得ることが難しい。情報が伝わったとしても、盲ろう者のコミュニケーション方法は多様で、日本では標準で八つほどの方法がある。福島氏は指点字、福田は触手話のように。  経験上、盲ろう者の情報が入ってくるのは、特殊教育関係者からが多い。タイでは、先天性の視覚障害の盲ろうの男の子が一人、ろう学校に在籍していることが分かっている。見えないため、手話を使うことが難しく、点字での教育に挑戦していると聞いている。この情報は2年前に得たが、その後の追跡情報をリクエストしているが、なかなか得られない状況である。おそらく、家族のもとに帰って、家に閉じこもっているのではないかと思われる。  マレーシアには、ろう関係団体からの情報として、何人かの盲ろう者がいることが分かっている。  盲ろう者のうち、半数以上がろうベースの盲ろう者である。ろうベースとは、初めはろうで、その後見えなくなった場合をいう。逆に、初め見えなくて、後に聞こえなくなった場合、盲ベースと呼ぶ。盲ろう者は、全盲ろう、全盲難聴、弱視ろう、弱視難聴、四つのタイプに分類される。先天性の盲ろう者、年齢を重ねる過程で盲ろうとなる場合もある。これらの多様性を理解してもらうことが大切である。  ろう関係から情報が入ってくる理由は、ろうベースの人が多いことが挙げられる。盲ろうになるリスクのある病気としてアッシャー症候群等がある。ろうベースの場合、手話を読み取る必要があることから、その声が届きにくいという面もある。手話を忘れてしまっている人もいる。家庭の中でさえ、家族とコミュニケーションが取れないことがよくある。  盲ろう者の支援制度づくりが困難である原因の一つに、盲ろう者という存在自体への認識が不十分であることが挙げられる。盲ろう者のニーズは、視覚障害者、聴覚障害者のニーズをただ単に足せばよいというものではなく、アジアのどの国においても、盲ろう者が必要とするニーズに対応したサービスが作られていない。インチョン戦略の目標10項目を見ても、それ以前の段階といえる。日本では唯一盲ろう者専用の通訳・介助員派遣制度がある。  このような状況を理解いただいた上で、何が必要かというと、盲ろう者を探し出すこと、次に大切なことは、盲ろう者をサポートできる通訳・介助員を養成すること、それがあって初めて盲ろう者が自分の気持ちを表したり、声を出すことができるようになる。声を出すことができれば、それを拾う人が出てきたり、その声を広く届けるために組織を作ろうということに繋がってくる。  日本では、福島さんを支援する会(個人を支える組織)ができて、それを聞きつけた人の中に盲ろう者もいて、盲ろう当事者と支援者の組織、つまり全国盲ろう者協会の設立にたどり着いたことになる。  他の障害者団体と少し異なる点は、盲ろう当事者同士が直接会って、話すことが難しい。コミュニケーション方法がそれぞれ違っていたり、盲ろう者は、一人で移動することができず、家から会場まで一人で来ることができない。盲ろう者だけが10人集まって話をするということができない。自分で見たり聞いたりすることができないので、代わりに見たり聞いたりしてくれる支援者が必要となる。  2013年のウズベキスタンプロジェクトについて、ご存知だろうか。JICAのフォローアップ協力の枠組みで盲ろう当事者の専門家2名と、通訳・介助員、ヘルパーをウズベキスタンに派遣し、実態調査、啓発セミナーの開催、通訳・介助員の養成講座を1週間に渡って実施した。盲ろう者探しから始まり、突破口が見つかるとそこから繋がっていき、最終的には100名近くの盲ろう者が見つかった。ウズベキスタンでは、盲ろう者協会を設立しようという機運が高まっている。カウンターパートとしては、タシケント市のろう者文化センターで、ろう者の中に盲ろう者が多いということがある。ろう学校にも繋がりを持つことができて、そこから、ろうコミュニティを通じて、子供の中に視覚障害を持つ子供にもたどり着けた。幼少の子供は見つからなかった。そこには、盲ろう児とのかかわりが分からないことを悲観して自害してしまう家族のケースがあったり、盲ろう児を捨ててしまうケースもあるとのことで、盲ろう児の生命の危機が感じられた。別の角度からのアプローチでは、医療機関から孤児院をたどって、親から、孤児院の裏の川に子供を捨てた、との連絡があり、施設の職員が拾いに行ったケースもあった。このようなケースは想像するにかなり多いと思われる。 福島:  少し補足すると、世界盲ろう者連盟(WFDb)は2001年にできた。他の国際的な障害者団体と比べると遅れてできた団体である。2001年時点で、アジア地域から参加したのは、日本とバングラデシュのみであった。私は現在WFDbアジア地域代表者であるが、アジア地域の盲ろう者支援に関しては非常に活動が難しい状況が続いた。以前私が東京大学で受け持った学生の中に、韓国とネパールからの全盲の留学生がおり、その二人を通じて、韓国とネパールに盲ろう者の会を作ろうと働きかけを試みた。  2006年に、韓国から一人の盲ろう者を、日本の全国盲ろう者大会に招待した。映画にもなった「渚のふたり(原題:Planet of Snail)」のチョ・ヨンチャンさん。2007年には、こちらから韓国を訪問し、盲ろう者の会の立ち上げに協力した。しかし、先ほどの福田さんの説明の通り、盲ろう者同士のコミュニケーションは大変難しく、誤解が生じたり、コミュニケーション不足が高じて、その後会は分裂したと聞いている。よって、現在でも韓国はWFDbに登録されていない。 福田:  韓国語には、盲ろうという言葉がない。2012年にインチョンを訪問した際、韓国での視察も行ったが、盲ろう者に結びつくことが難しい状況だった。実は、そのときにウズベキスタンの人と出会ったことがきっかけで、先のウズベキスタン支援プロジェクトに繋がっている。  そのときに、各国の出会う人に、「あなたの国には盲ろう者はいますか?」と聞いて回った。その結果、どの国でも「盲ろう者に会ったことがある」という返事だった。サポートとコミュニケーション方法が分からずに、放置されている状況がうかがえた。韓国・インド・バングラデシュ・シンガポール・香港等に、確かに盲ろう者は存在する。 福島:  2008年には、前述の学生の出身国であるネパールを訪問した。盲ろう者は、ほとんど放置され、とても孤立した状態に置かれている様子だった。その後、その学生の知人で全盲の男性が、聴力も落ちていき、盲ろう者となった。その男性が、ネパールで盲ろう者の会を作ろうとしているという話を聞いたが、現時点でそういったネパールの団体がWFDbに登録されたという事実はない。 福田:  今福島さんが話したネパールの盲ろう者については、別のソースから聞き及んでいる。そのネパールの団体は、WFDbへの会員登録はまだ実現していないが、団体としては登録要件を満たしているので現在登録手続きを進めている。 福島:  もう一つはフィリピン。昨年11月にWFDbのヘレン・ケラー世界会議がフィリピンで開催された。そのときの総会で、福田さんはWFDb事務局長に選ばれた。フィリピンでは、盲ろう児を娘に持つエドガルド・ガルシアという男性がいる。エドガルド氏は、元フィリピン開発銀行の総裁を務めた人で、この人を巻き込んでフィリピンで盲ろう者の会が作れないかと思い、この会議中に話をした。今年1月には、家族旅行で日本を訪れ、交流を持った。フィリピンでは、「フィリピン盲ろう者支援協会(Deafblind Support Philippines)」ができている。しかし現時点では当事者団体ではないために、WFDbへの会員登録は難しいと思われる。 福田:  その団体は盲ろう者の支援者だけの組織となっているが、「当事者団体」の定義が難しいという問題がある。他の国で、盲ろう児と家族を支える会がWFDbの会員団体となっている場合もある。代表が当事者でなくても、盲ろう者の発言、声を拾っている場合には会員団体として認めようという意見はあるが、フィリピンの団体のメンバーはエドガルド氏と盲ろうの娘さん、その周辺の教育関係者にとどまっている。会の代表として盲ろう者を出せない場合は、他の盲ろう者へのアウトリーチ等が見られない。そのため、会員団体として登録してもよいかどうか、WFDbが思案している状況である。 福島:  エドガルド氏の娘さんは30歳近く、知的な障害も重なっている状態である。知的障害を併せ持つ盲ろう者や、幼少期から盲ろうである盲ろう者は、コミュニケーションが不足することから、言語的な力が身につかないことが多い。つまり、何か意見を発表しようとしても難しい人が多い。  アジアの国々について紹介したが、おそらく一番うまくいったのが、福田さんが訪れたウズベキスタンだろうと思われる。盲ろう者の場合、通訳・介助員が支えることで、その人生が劇的に変わってくる。放って置かれると、ポテンシャルがある盲ろう者でも元気がなくなって、精神的ハンディが加わったり、自殺することもありうる。人による援助が人を救うというのは、盲ろう者の支援は象徴的なケースだと思われる。あまりにも複雑で、たくさんの困難が絡まっていて、どこからどうすればよいのか分からないという状況である。 福田:  ウズベキスタンでの経験を終えて、いくつか確信したことがある。アジア地域でのネットワーク作りをしなければ、どう介入していいかも分からず暗中模索となる。  実態調査自体、そのプロセスがエンパワメントだと感じた。ろう者のネットワークを頼ることで、盲ろう者を発見することができた。何かがそこで始まったことが大切であり、何かを始めるためのプロジェクト作りが必要だと思う。盲ろう者を探すこと、盲ろう者を支える人たちを探すこと、盲ろう者の存在を啓発すること、これらが重要だと思う。 佐野:  タイに一人盲ろう者がいると聞いている。娘さんが手話通訳者で、その父親が盲ろう者だということだ。タイ訪問期間中に娘さんとお父さんに会うことができないか、探ってみる。タイのどこに住んでいるのかも含めて、当たってみる。 福島:  盲ろう者が一人、それを支援する人が一人いれば物事は始まる。 福田:  これから調査に行くバンコクでも、自立生活関係、視覚障害者関係、ろう関係、これらを巻き込んでセミナーを開催できないかと模索したが、今回は準備期間の関係で断念した。そのとき頼ったのはアジア太平洋障害者インターナショナル(DPIAP)ではなく、タヤタイの自立生活関係の知人経由でろう者の団体、盲人の団体に連絡してもらった。 佐野:  APCDはタイにある。まずは、タイの中で、期間を決めて盲ろう者に関する情報収集を行うというのはどうだろうか。次に、タイの周辺国、メコン川流域の周辺国との連携活動もあるので、盲ろうに関しての情報自体は上がってくる可能性がある。まずは、日本の全国盲ろう者協会とAPCDが協力して情報収集を行えないだろうか。 福田:  先のことまで考えると、タイを取り上げることもよいと思うが、私たちが提供できる知識や技術、また派遣できる当事者は非常に限られており、当協会が国際的活動に費やせるリソースも非常に限られている。昨年のウズベキスタンプロジェクトは、JICAの持ち出しで、好条件が重なったことからできたことであった。  APCDと当協会でタイの盲ろう者の掘り起こしをすることもよいが、盲ろう者団体に繋がりそうなめぼしい団体も既に存在する。マレーシアには盲ろう者団体であり、最近では香港でも盲人関係の団体が盲ろう者のサポートに動いている。ネパールからは、追加の調査依頼や支援に関する質問もきている。バングラデシュからもアドバイスが求められている。シンガポールにも盲ろう者がいて、教会の牧師さんが関わっている。いずれのケースでも、実際に会って話をしなければ分からないことが多い。  そこで、APCDでは、当事者団体を集めて、このような活動をすればいいですよ、というようなアクションプランの提示や、一度だけではなくフォローアップの情報交換会も行うなど、アジアでのネットワーク作りに繋がる活動を支援していただけないだろうかと考えている。 二宮:  APCDでは、メコン川流域をはじめとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)に広げていく戦略を持っている。ベトナム、カンボジア、ミャンマーに訪問するプロジェクトも持っている。 福田:  私が把握している範囲では、メコン川流域では、カンボジアに盲ろう児が二人いる。ASEANでは、マレーシア、インドネシア。南アジアでは、インド、バングラデシュ、パキスタン。これらの国々には盲ろう者がいる。中央アジア、東アジアまでカバーしたい。旧ソ連の国々では、障害者手帳の制度だけはあるため把握しやすい。メコン川流域では難しいと思われる。次に繋がるためには、サポートする素地があるかどうかが重要だと思う。 二宮:  APCDが協力できることは、財政的な面を考えると二つある。  一つ目は、APCDはタイの資金で運営しており財政規模が小さいため、経済的な支援ではなく技術協力を行っている。JICAのような研修はない。APCDだけで取り組むことはかなり限定されている。タイの盲ろう者の掘り起こし、後方支援が考えられる。シンガポール、インドネシア、マレーシアの支援ならばできるのではないかと思う。  二つ目は、JICAとの連携ができれば資金的にも支援が可能となる。旧ソ連圏のウズベキスタンをはじめ、ネパール、バングラデシュ、インド、ASEAN地域も含めて、APCDでフェイス・トゥー・フェイスのミーティングなどが可能となる。 福島:  タイで盲ろう者の会を作るのが良い。盲ろう者は複数の国に散らばってはいるが、アジアの中にもうひとつ新たに盲ろう者の組織が作られ、そこに盲ろう者と家族・友人等が集まってくることで、芋づる式に人の繋がりができてくるのかもしれない。メコン川周辺の国々への広がりも、将来的には可能性があると思うが、まずはどこかに拠点がないと始まらないと思う。 佐野:  APCDのタイでの活動は、国際的な意味でのタイの活動となるので、福島さん、福田さんとともに国際的にタイで活動できるのであれば、協力できるかもしれない。拠点を作るため、日本・アジア間にチャンネルを設けるために、APCDを何らかの形で利用して、日本の知見を活かし、拠点となる土台を作りながら、情報収集も行っていくという形になるだろうか。 福田:  まずは盲ろう者自身がいないと始まらない。メコン川流域の国々では、盲ろう者を掘り起こすためのネットワーク作りを目指す。リソース面も考慮して、盲ろう者を見つけるためには、どことどこが繋がれば有効であるかを探る。どこか拠点となる国があればいいが、まだまだ時間がかかると思う。タイで盲ろう者が見つかっても、自分以外の国のことを考えられるようになるかは、難しい。現時点では、ASEAN地域がポテンシャルのある地域である。 福島:  国際的にリードすることが不可欠ということではないと思う。当事者団体のある国を日本以外にも作ることが重要。例えば、タイに盲ろう者の団体ができれば、タイがリードしなくても、タイの盲ろう者団体の存在が他の国に影響を与えていく。タイ以外の国がリードするようになるかもしれない。最初はAPCDにご協力いただき、その後はその団体の自主性に任せればよい。 二宮:  日本で、全国盲ろう者協会を設立した利点は何があるだろうか? 福島:  社会福祉法人なので、厚生労働省が行う代わりに、当協会がさまざまな事業を行う資格がある。日本の盲ろう者の福祉施策は、当協会ができたことでモデル事業としてスタートした。その期間が10年ほどあったが、その後、国が本事業として補助金を出すようになったということがある。 二宮:  アジアのネットワークを作る意義はどう考えられるか? 福田:  WFDbの世界会議に参加して思ったことは、他の国に学ぶことが非常に多いということ。ネットワークというのは何のためにあるかというと、人の行き来を作ること、情報ネットワークを作ることである。盲ろう者のネットワークはヨーロッパやアフリカではすでに作られていて、アフリカが進んでいる。アフリカでのやり取りを見ていると、意見交換はもちろんだが、お互いに問題点を挙げたり、励ましあったりしていて、そのような関係はモチベーションを上げるとともに、向かっていく方向性がばらばらにならないようにする効果がある。 佐野:  例えば、最近では、アジア太平洋の難聴グループを対象に、APCDとJICAで連携してバックアップして、ASEANのリーダー研修を行った。 二宮:  具体的に資金、ヒューマンリソース等々を考えると、APCDの第三国研修というスキームがある。JICAと連携して、ASEANを対象にAPCDで研修を実施している。人材を日本から呼んだり、ASEANの国から対象者を呼んだりすることができる。タイ国内ではAPCDが費用を持つ。このスキームで難聴者の研修会を2週間実施した。来年は自閉症の人たち、再来年は知的障害者を対象に行う予定。そこで、その次の2017年に、ASEANの盲ろう者を対象にJICAとAPCDの研修をすることが可能だろうか? 福島:  それを目標にしてこれから取り組んでいくのはどうか。盲ろう当事者、福祉ワーカー、教育関係者等の対象者を集めて研修・セミナーのようなことができるとありがたい。  タイでの盲ろう者の会を作る側面支援、2017年ASEAN地域の盲ろう者リーダー、支援者リーダーを集めての研修会の実施、その他、単発で他の国との繋がりができてくれば、大変ありがたい。 二宮:  これからタイの盲ろう者の掘り起こしを、ろう者協会と連携して行いたい。マレーシア、シンガポール、カンボジア、フィリピン、タイに盲ろう者がいるという情報があれば、今から探し出していけば、少なくともASEANの5カ国と連携が図れる。小さなところから始めて、五つの国で準備をしていくというのはどうだろうか? 福田:  2017年は3年後でもあり、よいと思う。3年あれば、万が一現地の当事者が参加できない場合でも、日本から盲ろう者を派遣するなどして、盲ろう者について、盲ろう者の支援について等、通訳・介助員、支援者養成プログラムを何か行えると思う。 二宮:  研修を行うこと、あるいは研修すら難しくてできないというプロセス自体が、エンパワメントと啓蒙に役立つ気がする。少ない人数でも2017年に研修を開催できれば、盲ろう者への情報提供をはじめとする生活支援が非常に困難だということを、ESCAPや他の国連機関を通じてアピールできるチャンスになる。APCDは本や出版物を作ることを得意としている。手話や点字だけではコミュニケーションができない盲ろう者が存在するということを、世界各国が知ることは非常に大事だと思う。 佐野:  『難聴とは何か?』(原題:Voices of Persons Who are Hard of Hearing and Deafened in Asia and the Pacific』)。これは難聴者の声をまとめて、研修会で使った。権利条約やインチョン戦略には、ここにこんなことが書いてあるという紹介等を書いてある。  盲ろうに関して手がかりを作りながら、タイの盲ろう者の会の立ち上げも行いながら、情報の部分での底上げ、人材作りとしても可能性が広がると思う。 福島:  2017年に研修会を行うために、私たちとしては何が必要だろうか? 佐野:  まずは、2017年の第三国研修で盲ろう者を取り上げるように、APCDとJICAの間で話をする。それに至るまでに、本を作るための材料をいただきたい。タイ、その他の国に対して声をかけるときの手がかりがあれば、情報普及の最初のきっかけにできる。 二宮:  今日、私たちに色々なことを教えていただいた。こういうことをAPCDと一緒に、英語、日本語で出版して、JICA、ESCAPを通じて知ってもらうことができる。JICAの第三国研修を行う意義が重要になってくる。 福田:  盲ろう者に関するものは日本語でいくつかある。本の内容として、当事者の声として盲ろう者にインタビューし、パーソナル・ヒストリーを集めることはできると思うが、3年後に向けてその前段階となる資料を作る。 二宮:  日本での盲ろう者ニーズや、アジアで盲ろう者を見つけることの困難さを訴えるような資料のことを言っている。先ほどお話しいただいたネパールやマレーシアでの話など、困難な事情を文書にまとめることができるのではないか。アジア、ASEANについては、2017年以降でよい。アジア・ASEAN諸国に盲ろう者が存在し、彼らが孤立していてコミュニケーションすら難しい状況がある、そのようなことを文書にできたらよいのではないかという提案である。 福島:  具体的な内容は、これから詰めるとして、大枠は、今日の話の方針でやっていければ未来に向かってスタートできる。 福田:  話が少し反れるが、ウズベキスタンに関してJICAの理事長表彰をいただいた。インチョン戦略の目標7で防災関連がある。来年、防災関連の会議があるが、今年12月に国連で防災関係のパネルディスカッションに呼ばれている。来年3月には、仙台でアジア太平洋地域での会議のときにもJICAの方に来ていただくので、話す環境はあると思う。 二宮:  インチョン戦略において、国連・ESCAPのインチョン戦略、障害者の十年の実践機関として、APCDが指名されている。私たちの取り組みは、ESCAPに報告する。JICAとはいろいろと連携をしているので、APCDとしてはやりやすい。そういう意味で、APCDと連携することで、盲ろう者の人たちの声が少しずつ出ていくことを願っている。 福田:  APCD、JICA、当協会との間で話ができるとよいが。 二宮:  ウズベキスタンでの取り組みについても、APCDは知っている。APCDとJICAとの信頼関係は強いと思っている。 佐野:  我々の理解を確認したい。  1.2015年中に、盲ろう者に関する啓発のための出版物を作成する。  2.2016〜17年にかけて、タイの盲ろうの情報収集と団体の立ち上げを、 全国盲ろう者協会と協力して行っていく。  3.2017年の第三国研修として、東南アジア地域で盲ろうに関する研修会を実施する方向で、JICAとコミュニケーションを取りながら進めていく。 4 その他 4-1. 会議等 4-1-1.「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう」アジア太平洋地域会議(仙台会議) 主催  UN ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)  国際リハビリテーション協会  日本財団 (1)概要  東日本大震災において、障害者の死亡率は非障害者に比べて、2倍、あるいは2倍以上というデータが明らかとなった。災害の際にはこれまで、障害者は「救援される・守られる集団」として位置づけられてきた。2005年に採択された兵庫行動枠組においても、障害者の視点は明記されていなかった。障害者は守られる対象にとどまるのではなく、その考え方から脱却し、障害者も防災・減災において、主体的に関わる担い手であるという視点への変換をアジアから発信することを目的とした会議である。政府関係者、NGO、フィリピンの台風ヨランダの被災者も含め、世界13カ国から130人の障害当事者、防災関係者が集まった。最終日4月23日には、仙台宣言を採択した。 調査員  福田暁子(WFDb 事務局長)  通訳・介助員およびヘルパー:石井育子、新村貴子、星野あゆみ 日程  平成26(2014)年4月22日(火)〜23日(水)   会場  仙台メディアテーク  宮城県仙台市青葉区春日町2?1  TEL: 022-713-3171 (2)背景  盲ろう者は、災害時には非常に脆弱な立場におかれている。早期警報においても、テレビをとおした視覚的情報、ラジオや防災無線を通した聴覚的な情報のどちらも入りにくい。そのため、発災時には初動体制も避難も遅れてしまう。また、避難する場合も単独での避難は難しく、避難所においてもコミュニケーションの困難さから情報が入ってこないなど様々な課題を抱えている。本会議においては、障害の種別や国別に関係なく抱える問題点を調査し、盲ろう者の立場から地域における障害者の主体的参加の重要性、地域の防災の取り組みのあり方の提言が求められ、発表した。 (3)報告  すべての提言、議論を受けて、以下の宣言文が採択された。  「アジア太平洋地域における、レジリエントで、インクルーシブで、公平な社会に向けた障害者も参加する防災促進のための仙台声明」  私たち、障害者、及び防災と障害者の権利に関する政策立案者や実務者、そして障害者の権利擁護者は、仙台にて 2014 年 4 月 22〜23 日に開催された「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう」アジア太平洋地域会議(仙台会議)に集い、防災において障害を脆弱な集団というカテゴリーでのみとらえる傾向が見られることに対する懸念を共有し、障害は分野横断的な開発課題であることを認識し、障害者の権利に関する条約、及びアジア太平洋障害者の権利を実現するためのインチョン戦略の精神と意図を再確認し、また、「防災(災害リスク軽減)」と「災害リスク管理」という用語が多くのステークホルダーによってほぼ同じ意味で使用され、この文書において「防災(災害リスク軽減)」は「災害に強い国・コミュニティの構築:兵庫行動枠組2005−2015」と共鳴して使用されることを認識し、さらに、ESCAP 加盟国が防災に関して、包括的な概念的アプローチや政策、実践を深め、推進するために積極的に貢献していることを認識し、2015 年 3 月 14〜18 日に仙台にて第3回国連世界防災会議を主催する日本政府のリーダーシップに感謝し、また、防災と障害者の権利促進に関する市民団体の価値ある洞察と時宜を得た行動を認識し、2013 年に UNISDR によって、障害者がどのように災害に立ち向かったかに関する世界初のオンライン・アンケート調査が行なわれたことに対して感謝し、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、リハビリテーション・インターナショナル、そして日本財団が「障害者も参加する防災:知識を通じて固定観念を変えよう」アジア太平洋地域会議(仙台会議)を時宜を得て共催したことを歓迎し、災害という概念が、正常な経済システムに対する外的ショックという位置付けから、どの国にも起こりうる開発に伴う潜在的リスクが蓄積し表面化したものである、という様に国際社会において近年変わってきていることをも歓迎し、アジア太平洋地域の人々、コミュニティそして国々が北米やヨーロッパに比べて 30 倍以上災害を経験しやすいという事実に対する懸念を表し、障害者の死亡率が障害のない人々に比して 2〜4 倍になり得るという、最近の日本の調査結果に基づく示唆、及び、かつてないペースで進む人口高齢化や、生活習慣の変化及び習慣病の増加など多くの要因によって、同地域に住む推定約 6億 5千万の障害者の数がさらに増加することが予想されるため、今後この死亡率の差がさらに広がると予想されることに更なる懸念を表明し、災害が身体的、社会心理的障害を起こし、社会の様々なバリアーと相まって障害者とその家族の社会における経済的、社会的参加を妨げることに懸念を示し、よって私たちは、2015 年以降の防災枠組に障害の視点が明確かつ体系的に取り入れられるよう、2014 年 6 月 2〜4 日フィジー・スバにおける太平洋防災プラットフォームや、2015 年 6 月 22〜26 日にバンコクで行われる第6回アジア防災閣僚会議などの機会を活用するなど、一致協力して務めることを決意し、この目的のために、以下の項目を用いることとする。 A. 主要メッセージ B. 障害者インクルーシブな防災のための具体的行動 C. 障害者インクルーシブな防災のための戦略的行動 A. 主要メッセージ 1. 障害者インクルーシブな防災は、レジリエントで、インクルーシブで、公平なコミュニティと国の実現において必要不可欠である。 2. 防災における全ての段階や意思決定過程において障害のある女子や男子、女性や男性、そして障害者団体に公平に参加してもらうことは、社会の全ての人々に有意義な参加をしてもらうための前提条件である。そういった知識やスキルは、コミュニティが災害に対するレジリエンスを強めるのに役立つ。 (a)障害者インクルーシブな防災は、障害者の災害に対するレジリエンスや生き延びる可能性を最大限に助長する。障害の視点を防災の全課程、特に災害前の準備段階において取り入れることによって、障害者やその支援者が防災に関する知識や情報を得ることができ、災害リスクを査定したり、防災計画を立てたり、避難訓練や障害に関する啓発活動、災害後の対応や復興過程に参加することが可能になる。 (b)障害者インクルーシブな防災は、コミュニティの全ての人の災害に対するレジリエンスや災害を生き延びる可能性を高め、損害や損傷を最小限にとどめる。  ユニバーサル・デザインの原則を取り入れたインフラ開発に投資することにより、様々な障害のある人々が利用できる物理的環境や情報環境、公共交通、その他の関連サービスが生み出される。このような環境やサービスがアクセシブルかつ利用可能になることで、全ての市民にとっての安全と、コミュニケーションや応急対応、移動の利便性が強化される。 B. 障害者インクルーシブな防災のための具体的行動 1. 中央政府や地方自治体は、障害者団体やその他の市民団体の協力を得て、障害者インクルーシブな防災が義務付けられ、実践されるよう、複数の省庁、セクター、行政単位にまたがった調整と協働を促進するべきである。そのための具体的な行動として以下が挙げられる。 (a)障害者や障害者団体と連携し、障害者インクルーシブな防災、管理政策、計画、戦略を、地方及び他のレベルにおいて実践できるよう、国レベルで確立する。 (b)防災の全ての課程において、特に一般的なインフラ開発、災害リスクの評価、防災計画、防災訓練、早期警戒システム、捜索救助システム、緊急避難所、仮設住宅において、ユニバーサル・デザインの原則を、合理的配慮と共に適用する。 (c)障害のある人とない人の災害時の死亡率や負傷率の比較、及び災害によって障害を被った人々を含む障害のある人とない人の資産の損害と損失の比較に関するデータを少なくとも性別と年齢別に集計する。 (d)公正でレジリエントな社会を築くための指標に関する障害者インクルーシブな研究を支援する。 (e)障害者インクルーシブな防災研修ガイドラインやモニタリング、評価手法の開発などを通して、ジェンダー・バランスに配慮した参加のもと、国会議員や防災政策立案者、実務者の能力開発プログラムにおいて障害の視点を強化する。 (f)障害者が防災の全ての課程に参加し貢献できるようするため、コミュニティにおけるインクルーシブな開発を強化する。 (g)アクセス可能で理解しやすい形式と言葉でつくられた地域の地図や避難計画など、適切な情報と知識の提供を通して、障害者一人ひとりが十分な情報を得た上での意志決定ができるようにする。 (h)災害時における生存の可能性を高められるよう、例えばクラウドソーシングなどの革新的な技術を活用する。 (i)補助金の支給や経済的なエンパワーメント、補助器具とそれを長く保持し使うための関連サービスの公平な提供などを通して、障害のある男女の子どもたち、及び女性や男性を支援する社会保障のスキームを確保する。 (j)災害に対する準備や対応を強化するため、定期的に行われるコミュニティやグループでの訓練において、芸術や演劇、その他の舞台芸術などの創造的メディアを活用する。 (k)障害者を平等な市民かつ積極的な主体として捉える肯定的な視点を醸成するため、防災を含む啓発キャンペーンを実施し、強化する。 (l) 2015 年以降の防災枠組や関連する法的または政策的取り組みを、その国や地域の言語、及び様々な障害のある人々にも分かる形式で広く周知する。 2. 主要な国連機関や国連以外の人道援助団体で構成される機関横断型の常任委員会は、人道的災害支援の向上ために人道的政策開発の調整を行う際に、障害者インクルーシブな計画を取り入れる。 3. 開発協力機関やその他の市民団体パートナーは、成功事例や経験、専門知識を共有することにより、障害者インクルーシブな防災に関する技術協力を促進する。 C. 障害者インクルーシブな防災のための戦略的行動 1. 私たちは障害者権利委員会に対して、条約締結国の定期報告書の審査時に障害者の権利条約第 11 条の施行に注目し、またその第 11 条と、2015 年以降の防災枠組及び 2015 年以降の持続可能な開発目標とを結びつけるよう要請する。 2. 私たちは、北京行動綱領の20周年審査に関連して、障害のある女子児童や女性が抱く志を支援し彼女らが直面する課題解決のため、加盟国及び市民団体と密接に協働することを決意する。 3. 私たちは、アジア太平洋地域において、2015 年以降の防災枠組の実施に関する定期的審査を支援することを決意する。特に、アジア太平洋障害者の権利を実現するためのインチョン戦略の第 7 目標にある 6 つの障害者インクルーシブな指標に関する進捗状況を見守ることを決意する。 4. 私たちは加盟国に対し、上記の主要メッセージ及び具体的行動と戦略的行動が、以下においてしっかりと反映されるよう要請する。 (a)障害者を脆弱な集団というカテゴリーのみに限定せずに、進捗に関する測定可能な指標を含む、障害の視点が明確に反映された 2015 年以降の防災枠組。 (b)2015 年以降の持続可能な開発目標の策定と採択。 2014 年 4 月 23 日  日本・仙台にて     4-1-2. 「第6回アジア防災閣僚級会議:障害のある人および障害者団体によるステークホルダー予備協議」 主催  日本財団  国連アジア太平洋経済社会委員会  DiDRRN(障害者インクルーシブ防災ネットワーク)  国際リハビリテーション協会 (1)概要  障害インクルーシブな災害リスク軽減(DiDRR:Disability-inclusive Disaster Risk Reduction)について、各国の防災担当政府代表、防災関係NGO、民間企業、障害者団体、障害者支援NGOなどマルチステークホルダーにより議論が行われた。 調査員  福田暁子(WFDb事務局長)  通訳・介助員及びヘルパー:石濱英美、市村亜衣  堀内佳美(日英通訳者)・渡部綾(日英通訳者) 日程  2014年6月22日(日)〜24日(火)   会場  バンコク・コンベンションセンター (2)背景  2014年4月に仙台にて行われた、障害者の視点を取り入れた、障害者が主体性を持って取り組む防災計画での議論、仙台宣言をを受けて、アジア各国の閣僚級の防災関係者が集まる会議にて、防災政策、開発計画への取り組みを促すために開催された。 (3)報告  障害分野ステークホルダーの中から、国連障害者権利条約委員会よりモンティアン・ブンタン氏、また、リハビリテーション・インターナショナルより河村氏、障害者インクルーシブ防災ネットワーク(DiDRRN)を代表してアティフ・シェイク氏、世界盲ろう者連盟の福田暁子、バンコクの日本国大使館の望月氏、日本財団の本山氏がパネリストとして参加した。以下のことが、ドキュメンタリーフィルムなどを用いて共有された。 (a)アクセシビリティがなければ、インクルーシブな政策は実現できない。 (b)障害者は災害時において弱者であるが、主体性を持って参加することで、弱者ではなく、積極的に率先して参加していく必要性があり、その意味で、障害者は開発のパートナーである。 (c)地域での人のつながりの重要性が命のつながりであることが認識されなければならない。   4-1-3. ヘレンケラーナショナルセンター訪問 (米国) (1) 概要 調査員  福田暁子(WFDb事務局長)  通訳・介助員およびヘルパー:杉浦節子、三科聡子、伊藤絵里  日英言語通訳者:高木真知子 日程  2014年12月2日(火)   場所  ヘレンケラーナショナルセンター(米国)  住所:Helen Keller National Center for Deaf-Blind Youths and Adults 141 Middle Neck Road, Sands Point, NY 11050 (2)報告  1967年、ブルックリンにInternational Home for the Blind(IHB)が設立され、その下部組織として1969年に連邦政府の法律によって開設。  HKNCはHelen KellerとRobert J. Smithdasが中心となり、土地探しから行なってきた。HKNCは全米の盲ろう者へのサービス提供を行い、全米の盲ろう者が研修を受けるためにやってくる。Helenは1968年に、そしてRobertは2014年7月に他界している。  HKNCの1階ロビー入り口を入ると正面には大きなガラス戸があり、中庭の芝生が見える。  正面に進み、ソファーが置かれたスペース左側には大きな油絵(縦約1.5メートル×横約1メートル)が飾られている。10年前に研修を受けていた盲ろう生徒の作品で、赤い洋服を着たへレンがサリバンとともにポンプの口から流れ出る水を触っているシーンが描かれている。  (写真)入り口を入って右側に飾ってある写真:オバマ大統領と面会するHKNCメンバー   オバマ大統領は盲ろう者支援に熱心。概して共和党はマイノリティー問題には熱心ではないとされており、それに対して民主党は障害者問題、アフリカ文化、女性問題に熱心に取り組んでいるので予算配分にも好意的だとされている。  (写真)左側にはショーケース:パーキンスブレイラー、テルアタッチなどの機器が収納、展示。 HKNCの組織、各部門 1. Technology部門(1階右側) 2. Audiology部門(1階右側) 3. Low Vision部門(1階右側) 4. Independent Life部門(1階左側) 5. Vocational部門(1階左側) 6. Communication部門(2階) 7. Mobility部門(2階) 8. Counseling部門(2階) 各部門にて、可能な限りインタビュー調査を行った。 1. Technology部門(1階右側)  教室の環境:入り口を入った左側には個室が4部屋。そこではマンツーマンでの指導が行なわれ、教室の中央には生徒が自由に使えるフリースペース。右手奥には弱視用のキーボード(黒色のベースに黄色や白色のキー、または黄色のベースに黒色のキー)とディスプレイが3セット。  個室はそれぞれ点字使用者、弱視者のどちらにも対応できるが、点字機器は高価なために使用しないときには教室内にあるロッカーで保管。  この部門では様々な機器を紹介し、生徒本人が選択をすることを大切にしている。そして、生徒が選択した機器を使えるように指導する。そのために数多くの機器を準備している。例えば、点字ディスプレイ、フォーカス14、フォーカス40、フォーカス80、A pex、ブレイルセンス、ブレイルエッジ、スクリーンリーダー、ジョーズ、ドルフィンリーダー、ズームテキストなど。  手話での会話が可能なビデオフォンを利用する際に弱視者が見えやすいように配慮された大きなリモコンもある。  「アメリカの盲ろう者はアップル社の製品が好き。アップルは視覚障害者にフレンドリーなアプリがたくさんある。アメリカ人が使っているアプリを後で知らせるよ。」  拡大鏡も様々な種類が販売されていて、CCTVは高価だが、一般に販売されている拡大鏡を購入すれば安くなる。サングラスも弱視者でUVカットグラスが必要な場合を除いては、一般のサングラスを購入したほうが種類も豊富だし、安く購入できる。  移動中に「Medical room」が廊下を挟んで反対側にあった。  ここは医務室であり、研修とは関係ない。医療ケアが必要な研修生の受け入れには、個人でアシスタント(ヘルパー等)を手配するのであれば研修を受けることはできる。しかし、HKNCがその手配をしたり、アシスタントへの謝礼を払うことはしていない。アシスタント同行での研修は可能だが、寄宿舎での生活費などは盲ろう研修生の負担となる。アシスタントへの州からの補助はあるが、HKNCからの補助はない。  また、高齢の盲ろう者に対するプログラムが年2回、一週間のプログラムで行なわれている。そのプログラムに家族やアシスタントが一緒に参加することで共に支援を学ぶことができるので、一緒に参加することを勧めている。  認知症の認められる盲ろう者にはサポーターが必要であり、それが家族であっても問題はない。  このように盲ろう障害に加えて他のニーズがある人たちへのサポートはチャレンジである。 2. Audiology部門(1階右側)  いくつかの小部屋が並んでいる。耳たぶと補聴器のマークがドアについている。様々な補聴器や人工内耳を試すことができる。当日はオージオロジストが不在なため、実際の見学はできなかった。   3. Low Vision部門(1階右側)  CCTV、眼鏡、遮光レンズなどを選択し、実際に試すことができる。  視能訓練士は常駐しておらず、エブスティン眼科医が毎週木曜日に来訪。  弱視者の視機能を評価し、何が必要かをさぐる。アッシャー症候群には視野狭窄などの問題が生じるので、検査も行なう。 4. Independent Life部門(1階左側)  調理やアイロンがけ、掃除などを安全にできるようにトレーニングを受ける。家計のマネージメントも学ぶ。  設備見学。シンク、ガス台が部屋の両側に2セットずつ、部屋の中央にはシンク、ガス台と向かい合った位置に作業台があり、それぞれの引き出しにはラベルがついている。作業台の棚の上には砂糖、塩、ハーブ類の調味料が並んでいる。一つ一つのビンには点字と墨字のラベルが張られ、どこにおくのかがわかるように棚にもラベルが貼られている。  4口コンロのガス台は奥に手をのばさなくても済むように全ての調節が手前のコントローラーでできるようになっている。また、お湯を沸かすためのホットショットがあった。 5. Vocational部門(1階左側)  職能向上訓練を行なう。就職支援プログラムはすでに就労している人に対して、職場への定着を目的とした訓練を提供している。  壁にはHKNCの生徒が研修をしたり、実際に就職をした企業、病院などのリストが張られている。コンピューター関連会社や学校、メジャーな企業も名を連ねていた。 6. Communication部門(2階)  触手話、点字の習得、コミュニケーションカード、コミュニケーションブックなどの活用訓練。 7. Mobility部門(2階)  様々な白杖があり、石突きにも特徴がある。  盲導犬ユーザーが盲導犬を同行させての訓練は可能。盲導犬利用のための指導はHKNCでは行なってはいないが、機関紹介を行なっている。  車椅子ユーザーの歩行訓練に関しては症例は少ないが、専門家であるスコット・クロフォード氏であれば情報を持っているかもしれない。  効果的なコミュニケーションボードの作成については、Dr. Gene Bourquin氏が博士号論文で取り上げているので、情報提供をしてもいいとのことであった。 8. Councering部門(2階)  必要に応じて相談が可能。精神的なサポートを担っている。  その他、カリキュラムには組み込まれてはいないが、Creative Artsがある。絵の具をつけた指先で絵を描いたり、粘土やビーズで作品を作るなどのレクリエーション的な要素が強い。当日はレッスン中だったので部屋の中には入れなかった。  会議室:会議室入り口の壁にはヘレン・ケラーの誕生を記念して6月の最終週に行なわれる盲ろう者週間での啓発ポスターが展示されている。  エレベーター:エレベーターの階数を示すボタンは触覚と振動で目的階についたことが盲ろう生徒自身でわかるような工夫がなされている。  図書館:点字図書、拡大図書、Audio Tapeなどがあり、生徒が自由時間に楽しんでいる。  ケースマネージャー:一人ひとりの生徒のプログラムを立案し、スケジュールを組み立てる。4人のマネージャーがいる。  ボランティア コーディネーター:担当マリカ氏(盲ろう) 盲導犬ユーザー。盲ろう者への誘導方法などを指導し、ボランティアを養成、派遣している。  12月2日 12時〜  寄宿舎の地下1階にあるカフェテリアで昼食。  本館から移動してきた生徒達がそれぞれカウンターで注文をし、トレイに乗せた食事をもって席につく。レーンに沿ってナプキン、スプーン、フォークなどが置かれており、点字、墨字の表記がある。注文のレーンの最後にはスタッフが待機していて、トレイの運搬が難しい生徒の介助や誘導をしている。そのようなスタッフはカフェテリアの中に4名いた。カフェテリアの天井が斜めになっていて、一部がガラス窓になっており、蛍光灯の数も多いので、明るすぎるようにも感じた。8人がけのテーブルが5セットあり、そのほかにも小さなテーブルはあったが、だいたい40名前後が食事を取っているという。外にはベランダがあり、テーブルと椅子も用意されていた。本館から寄宿舎まではスロープがあり、通路の左右には芝生。ブランコもあった。    13時〜  Sue氏(センター長)との話  HKNCは多様な人たちに対応するために、利用者、スタッフがみな同じ理念を持つことが大切。一人ひとりのために特化したプログラムを準備し、一人ひとりが自分の成功に向かって進むことができるプロセスが大切である。例えば、1日に30人の研修生を受け入れるとすると、30種類のプログラムが必要になる。スタッフがチームとなり、個々の全ての生徒の学習を支えている。  スタッフは生徒自身が自分のゴールは何か気づくことを支援する。バスを運転するのは本人であり、バスが進むべき方向性を決めるのは本人である。  自己決定を身に着ける機会を提供することが大切。一人ひとりが関心を抱く内容をのばし、スキルを身につけ、自立した職業を持った社会人となるように支えることが目的である。  HKNCにはテクノロジー、モビリティーのような4領域の専門家が常駐している。全ての専門家によるスタッフ集団の会議を行い、生徒に関する情報を共有する。指導者を指導するラーニングコーチがスタッフ集団の話し合いの場を必要に応じて設定し、協力体制や共同する必要性を強調する。スタッフ間で異なる考え方や見方が持てるように問題提起をしたり、討議を通してスタッフ間の考えをお互いが理解しあえるような環境を作り出すのがラーニングコーチの役割である。  学習環境としては、成人教育の理想を作ることが求められ、生徒をパートナーとして、対等な人間関係を作り上げることが大切。書類上はともかくとして、個々で研修をする本人達に自分達のことをどう呼ばれたいのかと尋ねたところ、「生徒」との回答が多数だった。  盲ろうを取り巻くコミュニティは多様である。個人を取り巻く様々な背景、経歴、職歴、障害のレベル、コミュニケーション方法、文化、主たる第一言語、そして、生徒自身が何を望むのか…。だからこそ、盲ろう者が集うことができるHKNCのような機関の存在が要である。  “PERSON FUTURE’S PLANNING”とは幅広いコミュニティから生徒に近い人、スタッフや家族も含めたグループで構成される。例えば、限定的な言語スキルしか持たず、身振りでしか表現ができない盲ろう者がいたとする。多くの人々が集まり、直接集まれない場合には電話での参加もあるが、盲ろう者本人の人生に関わってきたコミュニティに参加をしてもらってサポートを進めていく。言語スキルの乏しい人、自己決定が難しい人には、何よりも経験をつむことが重要なポイント。地域の中に入って様々な職業に就き、観察し、評価をする。仕事の速さや、サポートの必要性やその内容を知るために。そのような経験から次への選択ができるようにサポートをしていく。難しいニーズにこたえきれない理由が財政的なこと、予算にあるときも現実にはある。  本来ならば、盲ろう者が集う場所がここだけではなく、各地域にトレーニングセンターがあることが理想である。全米各地にセンターがあり、それぞれのfieldを担当していくことがこれからの挑戦となる。現在は一人で五つの州を担当しているケースもある。 Nancy O’Donnel氏より  HKNCは全米盲ろう者の登録を行い、盲ろう者と関わる専門家の養成、トレーニングのための教材を作成し、インターネット配信をする資金を受け、準備を進めている。今年12月にはカリキュラムができるかな…。盲ろう障害の概論などをウェブサイトで見ることができるようにしたい。それはHKNCのHPとは異なる。そのWebにはテクノロジーに関する新しい手話も加わる予定、例えばブルートゥースなどのIT用語など。ビデオを見ることができない盲ろう者には視覚的な情報を言語化した説明をつける。動画で手話の動きなどを確認することもできる。また、手話に限らず、盲ろう者が用いているサインなどの方法も紹介する。ノルウェーの2人のヘッブティックサインの専門家とHKNCの8人の職員が協力して作成。その中にはクリス氏を含む6人の盲ろう者がメンバーとして関わっている。動画、文字、テキストなどにより、スタッフや学生の指導にも役立つであろう。  質問:どうやって資金を集めているのか? 回答:元上司がヘルムスリー財団の理事と仲が良く、6ミリオンドルを提供してもらうことができ、その一部を利用している。資金集めは個人的なつながりが大切。 4-1-4.2014年国連障害者デー、国連本部イベント (International Day for Persons with Disabilities 2014) パネルディスカッション「テクノロジーの可能性:障害者も含む災害リスク軽減と人道的な活動」 (“Disability-inclusive Sustainable Development: The promise of technology”) 主催・後援  主催:国連経済社会局、日本財団   後援:国際連合日本代表部 (1)概要  国連本部にて2014年国連障害者の日関連イベントのメインテーマはテクノロジーであり、持続可能な開発のためには、インクルージョン、そしてその基盤となるアクセシビリティが不可欠であることが強調された。障害インクルーシブな災害リスク削減において、テクノロジーが果たす役割が大きいこと、また、テクノロジーのあり方や可能性についてのパネルディスカッションが行われた。 調査員  福田暁子(WFDb事務局長)  通訳・介助員およびヘルパー:杉浦節子、三科聡子、伊藤絵里  高木真知子(日英言語通訳者) 日程  2014年12月3日(水)   会場  国連本部ビル会議室4 (2)趣旨  アクセスできない避難や応答、復興が原因で、障害者は災害や緊急事態そして紛争時に不釣り合いな被害を受ける。このパネルでは、インクルーシブな災害リスク軽減と緊急時における対応を支援するための利用可能なテクノロジーについて説明する。同様に、災害と緊急時に障害者の命を救う早期警報、位置ナビゲーション装置といった革新的かつ補助的な新しいICT技術の可能性についても模索する。 (3)報告  モデレーター3名の発表に引き続き、フロアからの質疑応答が行われた。福田以外のモデレーターは、河村宏氏(第三回災害リスク軽減 障害グループフォーカルポイント(調整役))、エリナ・パーム氏(国連国際防災戦略事務局(UNISDR)渉外オフィサー)、エリザベス・ロックウッド氏(クリストッフェル視覚障害者援護会 国連アドボカシーオフィサー)。 4-2. セミナー等 4-2-1.「ダスキン愛の輪運動基金・研修生受け入れ」 (1)概要  ダスキン愛の輪運動基金の第13期アジア障害者リーダー研修事業の委託を受け、シンガポールより来日したイー・チャン・ロー(リサ)氏に対し、研修調整とともに、盲ろう者福祉制度、盲ろう者の支援技術について座学と実地研修を行った。イー・チャン・ロー氏本人はろうベースの盲ろう者(弱視ろう)である。 日程  2014年1月〜4月 (2) 報告  1. 盲ろう者の福祉制度と支援技術  映像資料を用いて、盲ろうという障害への理解、盲ろう児のへの支援、盲ろう者への支援、通訳・介助員派遣制度について講義を行った。  2. 通訳・介助員養成講座の説明  通訳・介助員養成カリキュラムの説明を行い、基本となる疑似体験を室内・屋外にて行った。  3. 通訳・介助実地演習  通訳・介助員の指導のもと、実際に盲ろう者を相手に、移動支援、状況説明などの実地演習を3日間に渡り行った。  4. 盲ろう関連施設、イベントへの参加  東京都盲ろう者支援センターの生活技術向上学習会、東京盲ろう者友の会の交流会、見えにくさ・聞こえにくさの相談会など、盲ろう者関連のイベントに参加し、多くの盲ろう者と直接触れ合うことを通して、盲ろう者の支援のあり方を学ぶ機会を提供した。また、研修後、帰国後も盲ろう者支援事業を開始できるように情報提供を行った。 4-2-2. ウズベキスタン盲ろう者支援プロジェクト帰国報告会セミナー「国際協力機構(JICA)・(社福)全国盲ろう者協会共催企画セミナー盲ろう者と国際協力−ウズベキスタンへの派遣の経験から−」 (1)背景・経緯  本セミナーは、JICA初となる盲ろう当事者の派遣の経験を踏まえ、障害当事者が国際協力に関わる意義について考えることを目的として実施したものである。  JICAは、障害当事者が、様々なバリアのある社会を変えている行動の主体となることができるという考えに基づき、障害者のエンパワメントを推進するとともに、社会のあらゆる場に障害に配慮した視点を組み入れる障害主流化の二つのアプローチに力を入れている。そのため、これまでも、青年海外協力隊員、シニア海外ボランティア、専門家や調査団員として障害者を派遣することに力を入れてきたが、盲ろう当事者の派遣は昨年10月のウズベキスタンへの派遣が初めてであった。  視覚と聴覚の両方に障害がある盲ろう者は、移動や情報入手に大きな困難が伴い、支援の手が非常に届きにくい存在である。中央アジアのウズベキスタンでも、盲ろう者は開発事業から置き去りにされていた。  この現状を何とかしたいと、2013年10月、JICAは、(社福)全国盲ろう者協会の協力を得て、首都タシケント市の「ろう者文化センター」とともに、「タシケント市における盲ろう者のコミュニケーション技術支援:盲ろう者についての啓発および通訳・介助者養成」(以下「現地プロジェクト」という)を実施した。現地プロジェクトのため、日本から2名の盲ろう当事者専門家(福田暁子氏:全国盲ろう者協会国際協力推進委員、村岡美和氏:全国盲ろう者協会職員)が、各自2名ずつの通訳・介助者(盲ろう者専門支援員)と、1名の身体介助者を伴い、タシケントへ派遣された。  今回のセミナーは、現地プロジェクトの報告会の形を取りつつ、ウズベキスタンとTV会議システムで接続し、JICA、全国盲ろう者協会の関係者に加え、タシケント市ろう者文化センター、日本の盲ろう当事者、ウズベキスタンの盲ろう当事者にも参加していただき、発表や意見交換を行った。また、会場では、要約筆記、手話通訳等の合理的配慮も実践した。 (2)報告 【はじめに】  冒頭に、JICA人間開発部次長の佐野景子氏が開会の挨拶を行い、「JICAは、途上国と日本の障害者が国際協力において重要な役割を担うと考えている。今後の活動においても、多様な障害に配慮して、より多くの当事者が参加できるようにしていきたい。」と話した。 【第一部】  第一部では、まず、福田氏のアシスタントの市村亜衣氏より、ウズベキスタンの概要(位置、面積、言語、気候、生活の様子等)について説明があった。その後、福田氏より、ウズベキスタンで行われた盲ろう者調査、現地プロジェクトの概要について報告がなされた。  盲ろう者調査について、ウズベキスタンでは、盲ろう当事者の存在が十分に明らかになっていなかったため、まずは、盲ろう当事者を探し出し、状況を把握することを目的に行われたものである。調査は、2013年8月から行われ、現地プロジェクト終了後も継続した。その結果、全部で57名の盲ろう児・者の聞き取りが行われた。  福田氏は、調査概要について、「盲ろう者一人ひとり状況はそれぞれ本当に異なる。簡単に調査結果の概観をまとめると、タシケント市ろう者文化センターというろう者組織を通じてつながった調査ということもあり、対象者にはろうベース、つまりもともと、始めは耳が聞こえなくて、あとで目が見えなくなったろうベースの盲ろう者がほとんどでした。家族や友人とは、自分たちが編み出した触手話でコミュニケーションしているケースが多く見られました。その一方、盲人組織は、盲ろう者との接点、盲ろう者についてあまり把握しておらず、始めは見えなく、後で聞こえない、盲ベースの盲ろう者に関する情報がほとんどなく、今回のプロジェクトを通しても、1名しか見つけられませんでした。また、先天性の盲ろう者2名に会いましたが、彼らはまったく専門的な支援・介入が受けられていませんでした。」と語った。  その後、現地プロジェクトの概要について報告が行われた。現地プロジェクトは7日間にわたり、盲ろう児・者実態調査(ワークショップ)、盲ろう者福祉に関する公開セミナー、通訳・介助者養成講座が行われた。両専門家を講師として、日本における盲ろう者の支援制度・サービスの知見が共有された。 【第二部】  第二部では、現地プロジェクトの詳細について、福田氏、村岡氏、同行した通訳・介助者の杉浦節子氏(東京都盲ろう者向け通訳・介助員)より報告が行われた。また、福田氏からは、障害当事者専門家に求められることについての意見が述べられた。  まず、福田氏から、盲ろう児・者実態調査(ワークショップ)及び盲ろう者福祉に関する公開セミナーに関する報告が行われた。  なお、盲ろう児・者実態調査は、現地プロジェクトに先立って行われた調査とは異なるものである。盲ろう児・者実態調査では、ウズベキスタン国内各地から合計17名の盲ろう児・者に集まってもらい、触手話等を用いて直接交流して笑い合い、白杖を使って歩行する等の指導が行われた。交流を深めながら、集まった盲ろう児・者がどのような状況にあるのかを探っていくという手法をとった。福田氏からは、参加した盲ろう児・者それぞれが、触手話、手話、点字等の様々な方法でコミュニケーションをとる様子の紹介が行われた。また、福田氏は、「ウズベキスタンと日本では手話の方法が異なることもあり、初めはうまくコミュニケーションができなかったが、少しずつ通じることがわかると、お互いがエキサイトしてきて、伝えたいことがいっぱいでてきて、大変な状況になりました。」、「はじめは無表情だった皆さんが、交流を通じて、びっくりするほど積極的になり、笑顔になったのがとても印象的でした。」と語った。  また、盲ろう者福祉に関する公開セミナーには、ろう者組織、視覚障害者組織、ウズベキスタン政府関係者等100名以上が参加し、ウズベク語およびロシア語に翻訳された盲ろう者に関する日本のビデオや、盲ろう当事者の日常生活に関するビデオ・写真等を用いて、日本の盲ろう者の実情や支援制度の課題などが提示されるとともに、ウズベキスタンにおける盲ろう者への支援制度・サービス構築への展望が熱く議論された。  福田氏は、当事者専門家に盲ろう者として求められることとして、次のように語った。  1番目はミッション。盲ろう者としての自分に付加価値を見いだすということ。自分に使命感を与えることが、原動力になると思いました。  2番目は、ビジョンを持つこと。夢を思い描く力、こういうふうになりたいと、強く思い描くと、そこに向かって目指せる力が育ちます。  3番目は障害特性に関する知識。私は弱視から全盲ろうになりましたが、他の盲ろう者のことについて幅広く理解することが求められると思いました。  4番目は開発に関する知識。実現可能性を見極めることや、持続可能性を常に考えること、統計や実態調査法に関する知識、プロジェクトアプローチの選択、何をもって成果とするのか、開発に関わる知識も同時に持ち合わせていないと、行ってわめいてくるだけになってしまいます。  5番目は高いプロジェクト遂行能力。まず諦めないこと。加えて、体力、パソコンなどのIT力、レポートアップする力。  6番目はコミュニケーションの力。これは手話を知っているか知らないかとかではなく、どう動けば人は動くのかとか、人と交わる方法や、人を動かす方法とか、気持ちを分かち合う力だと思います。  7番目はこれがとても重要です。盲ろう当事者の主体的な言動を信じ、動きを尊重して、協働してくれる支援者。盲ろう者の世界で通訳・介助者も当事者だと思っています。  8番目は互いに人を想う力。同じ盲ろう者同士が、直接触れたとき、説明は難しいのですが、自分たちが普段感じている孤独感、深い闇をお互いに感じることができます。同時に、そこから温かいものを感じて、そこから自然に笑顔になっていくのだと気づきました。きっとこれがエンパワーされ、お互いにエンパワーする。この関係が当事者同士だから築けるのかと思いました。  9番目は盲ろう関係者団体に求められること。国内の盲ろう者の状況がよくなければ、国際協力も難しいということです。国際協力に従事することと同じくらい、国内の盲ろう者活動に携わって、良くすることが国際協力に繋がると思いました。  次に、村岡氏から、現地プロジェクトのうち、通訳・介助者養成講座について報告がなされた。3日間の通訳・介助者養成講座では、これまでウズベキスタンでは全く知られていなかった、盲ろう者の様々なコミュニケーション方法(触手話、弱視手話、手のひら書き、指点字など)、盲ろう者に対する「通訳」「介助」の方法などが、理論と実践を交えて指導された。その結果、21名の「通訳・介助者」の卵が誕生した。  村岡氏は、講座の様子について写真を交えて紹介しつつ、「今回、バザールでの買い物体験を行いました。街の中では道路の整備が非常に良くない。ぼこぼこしたところ、平らでないところは、盲ろう者一人では歩けない状況でした。そのため、安心して歩けるように、十分手引きを配慮しつつやっていくことを指導しましたので、時間は想像以上にかかりました。ただ、皆さん、市場に出かけて色々なものを買えた、とても楽しめたと思っています。」と語った。  その後、杉浦節子氏から、通訳・介助者としての意見が述べられた。  杉浦氏は、「通訳・介助の仕事は、その名の通り、通訳と移動の手引きです。でも、一番難しいのは、盲ろうの方がその場の状況をつかんでどう行動するか、どう発言するかを判断する、そのための情報をいかに的確に提供できるかというところにあります。」、「通訳・介助者養成講座では、ウズベキスタンの支援者の皆さんがとても真剣に取り組んでいました。私たちが通訳・介助している様子を穴の空くほど見られていたのを覚えています。」、「セミナーや養成講座での通訳は非常に大変でした。ウズベキスタンの盲ろう者が発言するときには、ウズベキスタンの手話からウズベク語とロシア語に変換、それを日本語に訳してもらい、手話で日本の盲ろう者に伝えるという、まるで伝言ゲームのような通訳でした。最後まで伝わったときには意味が変わってしまっていることもありました。それなのに、盲ろう者同士で触手話をすると、なぜか分かり合ってしまうのが不思議でもあり、直接の会話をしている様子が感動的でもありました。」と語った。 【第三部】  第三部では、当事者派遣の意義について、合澤栄美氏(JICA人間開発部社会保障課課長)、トゥルグン・ムスタキモフ氏(ウズベキスタン盲ろう者)から意見が述べられ、現地プロジェクト以降の動きについて、グザル・ショディエヴァさん(タシケント市ろう者文化センター)より報告が行われた。その後、質疑応答が行われた。  合澤氏は、「JICAは障害に関する協力を進める中で、当事者中心のアプローチを重視しており、障害当事者が中心となって、事業の計画に関する意思決定や、活動の実施を行うことが大切と考えている。」と基本的な考え方を説明した後、JICAでは1991年以降述べ120人の障害当事者を専門家、調査団、ボランティアとして派遣していることを報告した。  また、障害当事者派遣の意義として、「障害者がロールモデルとして他の障害者に与える影響がとても大きいこと」、「日本の障害者が途上国に行くことで、障害者が持つ能力について、周囲の非障害者が認識する機会になっていること」、「障害者だからこそ聞き出せるニーズがあること」の3点を挙げた。  さらに、今回の現地プロジェクトの実現のため、ウズベキスタン行政側の理解促進や関係者との調整に尽力した、現地個別専門家の大野純子氏(派遣期間:2011年6月〜2014年3月)を紹介し、仲介者の重要性について言及した。  トゥルグン・ムスタキモフ氏は、「日本では、社会福祉のシステムが充実していることがわかりました。ウズベキスタンでもさまざまなシステムを導入できたらという結論を出すに至りました。セミナーに参加してみて初めて外出の機会、日本の方々と外出する機会があり、非常に嬉しかったです。こうやってセミナーに参加し、海外の皆様の発表を見ることにより、生き返ったかのようでした。」と、現地の手話通訳者及び通訳者を介して語った。  グザル・ショディエヴァ氏は、「今日、みなさんにお会いできていること、非常に嬉しく思います。今まで、ずっと、お会いしたくて、お会いしたくて、たまらないくらいでした。今日は、この機会を本当にありがとうございました。みなさんのお陰で、通訳・介助のトレーニングも行い、非常に興味深い、有意義な時間を過ごすことができました。」と感謝を述べた。  現地プロジェクト後の様子については、盲ろう児の教育、特に教科書開発に関して教育省と議論していること、点字、手話通訳に関する研修の計画、モスクワでのセミナー研修の様子、ウズベキスタンにおける盲ろう者協会設立に向けての活動などの報告が行われた。  また、上述の現地で活動していた個別専門家の大野純子氏への感謝とともに、「大野さんが日本に帰られたことが非常に寂しく、是非大野さんにまた戻ってもらい、こちらで引き続き協力していただきたいと思います。」と語った。  その後、質疑応答が行われた。概要は次のとおり。 ・会場で配布した質問票より 「現状ではウズベキスタンの盲ろう者の主たる介助者は家族が担っていると考えていいでしょうか。今回は短時間だったので、受講生が実際に介助者として活動できるにはさらにフォローアップが必要だと思います。そのあたりはどうなっていますか。」 ⇒ウズベキスタンの盲ろう者 「今はまだ盲ろう者協会が設立されていませんが、皆さんのおかげで盲ろう者への関心度が高まってきています。  今はろう者文化センタ―が安心できる私の居場所なので、これからもっと自分の質問とか、悩みが発散できるところができればと思います。盲ろう者協会が設立されたらなと思っています。  そして、みなさんもご存じのように、ウズベキスタンに通訳・介助システムがありませんので、ぜひそのシステムも導入されたらと思います。今、通訳・介助者がいないため、大変苦労しています。」 ・日本の盲ろう者 「トゥルグンさんに質問。夢は何ですか」 ⇒トゥルグン・ムスタキモフ氏(ウズベキスタン盲ろう者) 「私の親戚と子ども、孫、そして家内が常に健康であるように、私は望んでおります。そして、頼もしい結婚相手、妻がいるということは非常にありがたいので、これからみんなが娘も孫もしあわせになったら、私も満足できるかなと思います。それが私の夢です。」 ・日本の盲ろう者 「今、日本時間では夕方5時ですが、そちら、ウズベキスタンでは時差はどれくらいあるでしょうか?今の時間は何時でしょう?」 ⇒福田氏 「日本との時差は4時間なので、今ウズベキスタンでは、午後1時です。」 【終わりに】  最後に、(社福)全国盲ろう者協会理事の福島智氏が閉会の挨拶を行った。福島智氏は、「今回のウズベキスタンへの支援プロジェクトは、すごく重要な重い意味があると思っています。盲ろう者は、とにかくコミュニケーションが必要なのです。たとえ、ウズベキスタンと時差がどれだけか、という単純なことでも、すごく大事なのですね。魂にとっての酸素、水、それがコミュニケーションです。  今回のウズベキスタンへの支援は、私は盲ろう者の魂にとっての人道支援だと思っています。そしてその人道支援を行えるのは人間しかいない。単に、お金の協力だけではいけません。多くの人の力が魂に水や酸素を送れるのだと思います。是非今後もこうした活動支援の輪が広がることを祈っています。みなさんありがとうございました。」と締めくくった。 ----- (参考資料@:2015年WFDb役員会議事録 WFDb会長ゲイール・イェンセン作成) THE WORLD FEDERATION OF THE DEAFBLIND Minutes of the 3rd Executive Council meeting in the fourth term, 31st October-2nd November 2014, Bangkok, Thailand. 1. Welcome and opening President Geir Jensen opened the meeting and welcomed the participants. The meeting opened 31 October at 09:45. 2. Introduction of the participants The participants introduced themselves. The following were present: EC members: - Geir Jensen, President, Norway - Sonnia Margarita Villacres Mejia, Vice-President, Ecuador - Akiko Fukuda, Secretary-General, Japan - Christer Nilsson, Treasurer, Sweden - Ezekiel Kumwenda, Regional Representative Africa, Malawi - Satoshi Fukushima, Regional Representative Asia, Japan - Riku Virtanen, Regional Representative Europe, Finland - Carlos Jorge Wildhagen Rodrigues, Regional Representative Latin America, Brazil - Chris Woodfill, Regional Representative North America, USA - Irene McMinn, Regional Representative The Pacific, Australia Observers: - Shinichi Hashima, Staff, JDBA, Japan - Yu Oshikiri, Staff, JDBA, Japan Also present: - Lisbet Moskaug, interpreter/secretary for Geir - Linda Bredal, interpreter for Geir - Per Anders Grimstad, interpreter for Geir - Lily Villacres Velasco, interpreter for Sonnia Margarita - Pamela Villacres Mora, interpreter for Sonnia Margarita - Eriko Inoue, assistant/interpreter for Akiko - Hidemi Ishihama, interpreter for Akiko - Setsuko Sugiura, interpreter for Akiko - Elise von Weisz, interpreter for Christer - Jenny Stalberg, interpreter for Christer - William Thera, interpreter for Ezekiel - Yukuko Kaneda, interpreter for Satoshi - Atsumi Maeda, interpreter for Satoshi - Kanae Hasumi, interpreter for Satoshi - Pia von Essen, interpreter for Riku - Stina Ojala, interpreter for Riku - Kirsi Maki, interpreter for Riku - Eduardo de Almeida Ruas, interpreter for Carlos - Ricardo Ernani Sander, interpreter for Carlos - Amy Griffin Otterberg, interpreter for Christopher - Janne Bidenko, interpreter for Irene - Ximena Serpa Fonnegra, Spanish - English interpreter for Sonnia Margarita and Carlos Guests: - David Nilsson, Christer Nilsson’s son, Sweden - Anna-Lena Nilsson, Christer Nilssons’s wife, Sweden - Chris Otterberg, Amy Griffin Otterberg’s husband, USA 3. Useful information The President spoke about the participants coming from different continents and cultures, and having different languages and forms of communication. With the help of highly skilled interpreters, he was confident that the participants would cooperate well, get through the items, and have good and insightful discussions during the three day meeting. The President informed that he would, after reaching an agreement with Akiko, write the minutes from the meeting. He also informed that he would make audio recordings of the meeting for later use when writing the minutes. This was approved unanimously by the EC members. 4. Meeting procedures There was a question if the lunch breaks could be shortened to ensure that there would be enough time to get through the agenda. It was agreed that the two and a half hour lunch breaks were needed, and that the schedule should be followed, with the possibility to extend the meeting to 18.00 if necessary. According to the schedule the meeting was scheduled to last five hours per day, in total 15 hours. It was agreed that each delegate had to speak briefly and concisely to ensure that the meeting could keep to the schedule. 5. Approval of the agenda The agenda was sent to the EC members 19 August. A corrected agenda with some added items was sent 14 October 2014. Information was given regarding these items. There were no issues added to item 20 on the agenda. The agenda was approved. 6. Minutes from the General Assembly and meetings a) 4th General Assembly 10-11 November 2013, Tagaytay, Philippines. The minutes were approved. b) 1st EC meeting 11 November 2013, Tagaytay, Philippines. The minutes were approved. c) 2nd EC meeting 6 August 2014, Guayaquil, Ecuador. The minutes were approved. d) Officers’ meeting 6 August 2014, Guayaquil, Ecuador. The Executive Council was informed about the minutes. 7. Reports from the a) President: The President presented his report to the EC. He gave a summary of what had been done since the General Assembly in November 2013. b) Vice-President: The Vice-President presented her report to the EC. She gave a summary of what had been done since the General Assembly in November 2013. c) Secretary-General: The Secretary-General presented her report to the EC. She gave a summary of what had been done since the General Assembly in November 2013. The Secretary-General informed about her work, and had questions regarding a potential archive of members and a register of members. She also talked about the website and had ideas regarding online storage of WFDB documents for common use. All of the reports were presented verbally. Questions for the reports were discussed and commented. The questions were answered and solved. The reports were then approved. 8. Financial report from the Treasurer a) The present: The Treasurer pointed to information that had been sent earlier by e-mail regarding WFDB’s financial situation in general, and financing of the EC meeting in Bangkok. WFDB’s expenses and financing of the EC meeting in Bangkok was approved unanimously by the EC members. b) The future: The Treasurer informed about WFDB’s prospects for financial support from MyRight and other such foundations. The prospects for financial support for the time being were not good. Much work needed to be done to secure continued financial support from present partners, and to find new sources of income, for example from the Atlas-Alliance. c) Bank account in Norway? WFDB is not legally registered in Sweden. Having a bank account in Sweden therefore has limitations; a lack of access to the account through the Internet being one of them. As WFDB is legally registered in Norway, it was suggested that WFDB should open an account in Norway. This would lead to several advantages over the present situation, and it would be possible to access the account through the Internet. The Treasurer was given a mandate to open a bank account in Norway. He alone is responsible for the account and has power of procuration. d) WFDB Mailing List The Treasurer informed about the new mailing list that had been made for WFDB, and referred to information that had been sent earlier by e-mail. WFDB’s mailing list was approved unanimously by the EC members. e) WFDB Website The Treasurer informed about the work on creating a new website, and that the old website would have to link to the new site. It was also discussed who were to be the moderator and the webmaster of the website. As the Secretary-General was unable to take on this responsibility at this time, it was decided that the Treasurer would continue in this role as webmaster and moderator until further notice. It was also decided that the Secretary-General and the Treasurer would cooperate on how to best publish articles and reports etc. that are to be published on WFDB’s website. The report was presented verbally. Questions for the report were discussed and commented. The questions were answered and solved. The report was then approved. 9. Reports from the Regional Representatives (EC members) The Regional Representatives from Africa, Asia, Europe, Latin America, North America and The Pacific presented their reports verbally. They informed about the work in their regions, about surveys that had been done, and various events etc. that had taken place in their regions since the General Assembly in 2013. The Secretary-General requested to receive regional reports before 31 December 2014, so that the regional reports could be published on WFDB’s website. Questions for the reports were discussed and commented. The questions were answered and solved. The reports were then approved. 10. Registering of WFDB a) WFDB was registered in Norway 9 September 2014 with organization number: 913?766?121. This was noted by the board. b) Should WFDB be registered in WIPO (Logo/Trademark)? The President informed about the price of registration, 100 Euros in Norway, 1700 Swiss Francs in the EU, with additional fees per country. Questions were answered and solved. It was agreed that registration in WIPO was to be postponed until further notice. 11. Applications for membership. a) National membership Deaf Blind Support Philippines Inc, DBSP: There was a discussion regarding admitting the organisation as a National Member or an Associated Member. Many of the members of the organisation are parents of deafblind children and not deafblind themselves, and the organisation could therefore not be admitted as a National Members under article 4.2. It was proposed to admit DBSP as an Associated Member under Article 4.7. After a vote with seven members present, six voted in favour and one abstained from voting. DBSP was admitted as an Associated Member of WFDB. National Network of Persons with Deafblindness, UDAAN: It was informed that the President of the organisation, Zamir Dahle, is deafblind. The organisation was said to fulfil all requirements to become a National Member under Article 4.2. This was put to a vote with 10 EC members present. Nine members voted in favour, one abstained. UDAAN was admitted as a National Member of WFDB. b) Associate membership Sense International INDIA: This issue had been discussed in advance by email. There was an agreement that the association did not fulfil the requirements to be admitted as a National Member under Article 4.2. The organisation was admitted with unanimous consent as an Associated Member under Article 4.7, with 10 EC members present. AGAPASM Gaucha Association of Parents and Friends of Deafblind people and people with Multiple Disabilities (Alex Garcia): This item had previously been discussed by e-mail where it was agreed to reject the application, but it was decided to discuss it again at this EC meeting. The application had been discussed by the EC in the previous period; the application had then been rejected. The EC discussed the application again. The application was rejected unanimously with 10 votes. c) Individual membership There were two applications for Individual Membership; one from Sachin Rizal, working for Sense India; another from Imran Khurran from Pakistan. As none of them are deafblind, they could not be admitted as Individual Members under article 4.5, but they were unanimously admitted as Associated Members, with 10 EC members present. Sachin Rizal and Imran Khurran were both admitted as Associated Members under article 4.7 of WFDB’s constitution. d) List of National and Special members of WFDB: The Secretary-General remarked that WFDB’s constitution does not include any rules regarding removal of members. The item was postponed due to lack of time. 12. Cooperation agreements with FSDB, DbI, WASLI, WBU, WFD and IFHOH The item was postponed due to lack of time. 13. Information regarding the IDA cooperation a) Executive council b) Mailing list c) Procedures for representations and statements: The item was postponed due to lack of time. 14. The 11th Helen Keller World Conference and WFDB’s 5th General Assembly in Madrid, Spain, 19 - 28 June 2018 The Regional Representative from Asia started by saying that the item was opened in the wrong order, and suggested that Article 5.4 of the constitution should be discussed first. He wanted WFDB’s GA to be held in 2017 so that there was no conflict with the constitution. Some of the EC members argued that when reading the constitution’s intent, internal consistency between Article 5.4 and Article 8.1, the constitution as a whole and constitutional practice, there was no violation of the constitution to hold the WFDB’s GA in 2018. All of the EC members spoke during the discussion; some of the EC members spoke several times. It was suggested to appoint members to a Constitution and By-Law Committee that would review Article 5.4 and the constitution as a whole, and also draft a suggestion to a possible by-law. This was unanimously approved. There were 10 EC members present. The following decisions were made: a) Application from ASOCIDE, Spain from the 15th of September. There were no applications to host the 11th Helen Keller World Conference and WFDB’s 5th General Assembly in 2017. Questions regarding the application were answered and solved. The application was unanimously approved with 10 EC members present. b) Question from DbI by William Green regarding a common event with WFDB and DbI in the future. The item was postponed due to lack of time. c) Question about EC meeting and small GA in 2017. The Regional Representative from Asia introduced this item regarding a small GA in 2017. No agreement was reached regarding a small GA in 2017. It was suggested that a letter was to be sent to all member organizations in WFDB and other cooperating partners with information that the WFDB EC has decided that the 11th Helen Keller World Conference and WFDB’s 5th General Assembly will be held in Madrid, Spain, 19 - 28 June 2018. The same letter will inform the members that there were no applications to host the 11th Helen Keller World Conference and WFDB’s 5th General Assembly in 2017. The suggestion was approved with 10 EC members present; eight in favour, one abstention, and one against. The appointment of members to the Constitution and By-Law Committee. It was proposed by the President that the Constitution and By-Law Committee would have the following members: Chris Woodfill as Chairman; and Geir Jensen, Satoshi Fukushima, and Riku Virtanen as members. The suggestion was discussed and commented. Questions regarding the appointments were answered and solved. With 10 EC members present, nine voted in favour and one against. The proposal for Chris Woodfill as Chairman, with Geir Jensen, Satoshi Fukushima, and Riku Virtanen as members to a Constitution and By-Law Committee was approved. 15. Working areas and tasks of Regional Representatives (EC members) The item was discussed and comments were made. The constitution, Article 7.6 says: “Regional Representatives are responsible for information to the Executive Council about the work and activities in their respective regions.” The Constitution does not mention Regional Representatives’ tasks in their respective regions. It was agreed that this was to be reviewed by the Constitution and By-Law committee. 16. Report on regional organizations; AFDB, EDbU, FLASC etc. The reports on the respective regional organizations were presented by the Regional Representatives under item 9. Regional organisations like AFDB, EDbU, FLASC, etc. are not regulated by the constitution of WFDB. There were questions if these could be written into the constitution or not, or if written cooperation agreements (Memorandums of Understanding) could be made with them, if that was more appropriate. It was agreed that this was to be reviewed by the Constitutional and By-Law committee. 17. Action plan and Strategic plan for the period 2015-2018 a) Action plan: The President summarized the tasks that had to be prioritized for the period 2015-2018. The first was to find dependable financial support for a secretariat for WFDB. To be able to apply for funding a description of activities including a timeframe and a budget needed to be made, before an application for funding could be sent. WFDB needed a paid permanent secretariat to be able to work on these and other issues like for example human rights, and participation at various seminars and conferences etc. Other important tasks were to find financial support to cover expenses for EC meetings in 2015, 2016, 2017, as well as for the 11th HK World Conference and the 5th WFDB GA in Madrid, Spain in 2018. It is possible to also obtain funding for events, seminars and activities in the Global South; this included Africa, Asia, Latin America and The Pacific. The Regional Representatives were requested to write summaries of activities (seminars, conferences, events etc…) for their respective regions that could be added to the action plan and strategic plan for 2015-2018, and to send these to the Secretary-General before 31 December 2014. Questions for the Action plan were discussed and commented. The questions were answered and solved. b) Strategic plan: The item was postponed due to lack of time. Chris Woodfill was appointed as editor responsible for drafting WFDB’s Action plan and Strategic plan, in cooperation with the Secretary-General. The President, Vice-President and the Treasurer will also be involved in the process. A draft of the Action plan and Strategic plan will be discussed during the next EC meeting. 18. Medals and Certificates for the Honorary Members of WFDB According to Article 4 of WFDB’s constitution, WFDB can appoint Honorary Members. WFDB today has three Honorary Members: WBU, appointed in 2001, Stig Olsson (Sweden), appointed in 2005, and Ann Thestrup (Denmark), appointed in 2013. There are no guidelines for awarding certificates and/or medals to Honorary Members of WFDB. It was agreed that this was to be reviewed by the Constitutional and By-Law committee. 19. The Constitution of WFDB, Article 8, lacks a rule on procedure in case of dissolution Article 8 in the constitution of WFDB, lacks a rule on what is to happen to WFDB’s property and assets in case of dissolution. This must be added to WFDB’s constitution during the next WFDB GA. Norwegian authorities remarked during the registration process that WFDB’s constitution lacked such a rule. It was agreed that this was to be reviewed by the Constitutional and By-Law committee. 20. Any other business No issues were raised. 21. Date and location for EC meetings (face to face) in the years 2015-2017 a) 23 ? 25 May 2015 in Bucharest, Romania b) August 2016, Guayaquil, Ecuador c) 8 ? 12 May 2017 in Madrid, Spain Information was given regarding the dates and locations for the next EC meetings. This was approved unanimously by the EC. 22. Closing of business The President had some concluding remarks. It had been a good meeting with useful discussions. The meeting was important for moving WFDB forward. Everyone had become better acquainted, which is important for future work. The interpreters were thanked for their efforts and assistance. The next EC meeting will take place in Romania 23 ? 25 May 2015. The meeting ended 2 November 2014 at 17:50. Oslo 11.12.2014 Geir Jensen Keeper of the Minutes The 3rd EC meeting in the fourth term, 31st October-2nd November 2014, Bangkok, Thailand. DRAFT AGENDA 1. Welcome and opening 2. Introduction of the participants 3. Useful information 4. Meeting procedures 5. Approval of the agenda 6. Minutes from General Assembly and meetings. a) 4th General Assembly 10-11. November 2013, Tagaytay, Philippines. b) 1st EC meeting 11. November 2013, Tagaytay, Philippines. c) 2nd EC meeting 6. August 2014, Guayaquil, Ecuador. d) Officers’ meeting 6. August 2014, Guayaquil, Ecuador. 7. Reports from the: a) President b) Vice-President c) Secretary-General 8. Financial report from the Treasurer. a) The present b) The future c) Bank account in Norway? d) WFDB Mailing List e) WFDB Website 9. Reports from the Regional Representatives (EC members) 10. Registering of WFDB. a) WFDB was registered in Norway 9. September 2014 with organization number: 913?766?121 b) Should WFDB be registered in WIPO (Logo/Trademark)? 11. Applications for membership. a) National membership: Deaf Blind Support Philippines Inc, DBSP National Network of Persons with Deafblindness, UDAAN b) Associate membership: Sense International INDIA AGAPASM Gaucha Association of Parents and Friends of Deafblind people and people with Multiple Disabilities (Alex Garcia) c) Individual membership d) List of national and special members of WFDB 12. Cooperation Agreements with FSDB, DbI, WASLI, WBU, WFD and IFHOH. 13. Information regarding the IDA cooperation: a) Executive Council b) Mailing list c) Procedures for representations and statements 14. The 11th Helen Keller World Conference and WFDB’s 5th General Assembly in Madrid, Spain, 19. - 28. June 2018 a) Application from ASOCIDE, Spain from the 15th of September. b) Question from DbI, by William Green on a common event WFDB - DbI in the future. c) Question about EC-meeting and mini-GA in 2017. 15. Working areas and tasks of Regional Representatives (EC members). 16. Report on Regional Organizations; AFDB, EDbU, FLASC etc. 17. Action plan and Strategic plan for the period 2015-2018 a) Action plan b) Strategic plan 18. Medals and Certificates for the Honorary Members of WFDB 19. The Constitution of WFDB, Article 8, lacks a rule on procedure in case of dissolution a) Ownership of WFDB property after dissolution 20. Any other business 21. Date and location for EC meetings (face to face) in the years 2015-2017 a) 24-25. May 2015 in Bucharest, Romania b) August 2016, Guayaquil, Ecuador c) 2017 in Spain 22. Closing of business The 3rd EC meeting in the fourth term, 31st October-2nd November 2014, Bangkok, Thailand. Schedule Tentative schedule is below. October 31: EC meeting Day 1 * 9:00-10:00 Agenda 1 (10:00-10:30 Coffee Break) * 10:30-12:30 Agenda 2 (12:30-15:00 Lunch / free time) * 15:00-16:00 Agenda 3 (16:00-16:30 Coffee Break) * 16:30-18:00 Agenda 4 (19:00- Dinner) November 1: EC meeting Day 2 * 9:00-10:00 Agenda 5 (10:00-10:30 Coffee Break) * 10:30-12:30 Agenda 6 (12:30-15:00 Lunch / free time) * 15:00-16:00 Agenda 7 (16:00-16:30 Coffee Break) * 16:30-18:00 Agenda 8 (19:00- Dinner) November 2: EC meeting Day 3 * 9:00-10:00 Agenda 9 (10:00-10:30 Coffee Break) * 10:30-12:30 Agenda 10 (12:30-15:00 Lunch / free time) * 15:00-16:00 Agenda 11 (16:00-16:30 Coffee Break) * 16:30-17:50 Agenda 12 (19:00- Dinner) (参考資料A:WFDb規約) WFDB WFDB Constitution Constitution of the World Federation of the Deafblind adopted by the Founding General Assembly, in Auckland, New Zealand, 11-12 October, 2001. Amended at the 4th WFDB General Assembly in Tagaytay, Philiphines, 10-11 November, 2013. Download as .rtf file Article 1: NAME, LEGAL FORM, REGISTERED ADDRESS AND DEFINITION 1.1 This association is called the World Federation of the Deafblind (WFDB). It is a nongovernmental, charitable and non-profit making worldwide organisation. 1.2 The association must have at least one legally registered address in a national membership country. 1.3 The headquarters of the organisation will at any given time be located where the Executive Council sees fit. 1.4 Deafblindness is a unique disability, caused by a combination of severe auditory and visual impairments. 1.5 WFDB is the legitimate voice of the world’s population of people with deafblindness. 1.6 The official working language of WFDB is English. Article 2: RELATIONSHIPS: 2.1 WFDB establishes and maintains close relationships with Deafblind International (DbI), The International Disability Alliance (IDA), The World Blind Union (WBU) and The World Federation of the Deaf (WFD). WFDB also maintains close relationships with all relevant United Nations organisations and institutions and with regional offices of international organisations whose aims are in accordance with those of WFDB and its members. Article 3: AIMS AND FUNCTIONS 3.1 The aim of WFDB is to improve the quality of life of people with deafblindness worldwide, with the objective of achieving their equal rights and equal opportunities in all areas of society, to be a worldwide forum for the exchange of knowledge and experiences in the area of deafblindness, and to increase international solidarity among organisations of people with deafblindness. 3.2 Functions of WFDB: a. to advocate social inclusion and equal participation in all areas of society b. to ensure accessibility to all areas of society c. to advocate improvements in the field of education, rehabilitation and employment of people with deafblindness d. to combat discrimination of people with deafblindness e. to advocate guide interpreters and other services for all people with deafblindness f. to raise awareness of deafblindness as a unique disability g. to advocate and support the establishment of national deafblind organisations h. to support national deafblind organisations i. to publish relevant material for people with deafblindness Article 4: MEMBERSHIP 4.1 WFDB has two (2) forms of membership: a. National members b. Special members Applications for membership must be made to the Executive Council. In case of rejection the applicant can request a decision by the General Assembly. 4.2 National members represent the deafblind population in their country. Each country can only have one national member. Each National member elects one National representative, who must be a person with deafblindness. 4.3 National members have the right to participate in all WFDB activities. At the General Assembly National representatives have the right to speak and the right to vote. 4.4 Special Membership can be divided into four (4) categories of membership: Individual membership Honorary membership Associate membership Sponsoring membership Special members have the right to participate in all WFDB activities, but do not have the right to vote at the General Assembly. 4.5 Individual members are deafblind people who are not representing the deafblind population of the country they reside in. Individual members have the right to speak at the General Assembly. 4.6 Honorary members are chosen by Executive Council in recognition of their contribution to, and support of, the interests of people with deafblindness and their organisations. 4.7 Associate membership of WFDB is open to individuals, organisations and institutions, who are in agreement with the aims of WFDB. 4.8 Sponsoring membership is open to all individuals, organisations and institutions, who want to support WFDB financially. Article 5: GENERAL ASSEMBLY 5.1 The governance of WFDB consists of the following bodies: The General Assembly The Executive Council 5.2 The General Assembly is the supreme governing body of WFDB. 5.3 Meetings of General Assembly are open and consist of deafblind representatives representing the National Members. Each representative has one vote. No proxy voting is allowed. Providing that notification for the meetings of General Assembly is in accordance with this Constitution, the General Assembly is quorate regardless of the number of representatives present. 5.4 The General Assembly meets at least every four years. 5.5 Meetings of the General Assembly are announced in writing by the Secretary General at least eighteen (18) months before the date of the meeting. Applications and motions to be considered by the General Assembly must be received by Executive Council at least twelve (12) months before the date of General Assembly. The agenda and all relevant documents related to General Assembly are circulated to all members by the Secretary General at least four (4) months before the date of the meeting. The date of the postmark is taken as the date of dispatch. 5.6 The General Assembly has the following particular responsibilities: a. to determine policy b. to discuss all recommendations presented by Executive Council and make the necessary decisions c. to receive reports from the Executive Council represented by the President, all regional representatives and all the committees and give or withhold approval d. to set budget parameters strategically e. to receive the Treasurer's report and give or withhold approval f. to determine the membership fee g. to elect the President, Vice president, Secretary General and Treasurer h. to elect the members of Executive Council i. to consider all proposals presented to it j. to elect two members of General Assembly to act as auditors who examine and report on the management of WFDB finances k. to elect an election committee comprised of one leader and two members l. to consider resolutions to amend the Constitution m. to make decisions concerning the dissolution of WFDB 5.7 Voting is through consensus or through the raising of hands, unless a representative requests a secret ballot. In this case a secret ballot is held. 5.8 All voting, with the exception of elections, amendments to the Constitution and the dissolution of WFDB requires a simple majority of the votes cast. 5.9 Elections are carried out by secret ballot. In order to be elected officer a person must receive a majority (more than 50 %) of all votes cast. Article 6. EXECUTIVE COUNCIL 6.1 The Executive Council is elected by the General Assembly. National members of WFDB have the right to nominate candidates. All nominated candidates must be people with deafblindness which are members of a national or associated member organisation. 6.2 Executive Council consists of the Elected Officers: President, Vice president, Secretary General, Treasurer, and six (6) members, representing the following six regions: a. Africa b. Asia c. Europe d. Latin America e. North America f. The Pacific 6.3 Auditors and other advisors may be summoned to meetings of the Executive Council as needed. They will be given observer status. 6.4 The term of office of the Executive Council begins at the end of the General Assembly and ends at the end of the next General Assembly when a new Executive Council is elected. If an elected member retires between elections, the Executive Council may appoint a replacement, representing the same region, until the next election. If one of the Elected Officers, except the President, retires, the Executive Council may appoint a replacement until the next election. 6.5 The function of Executive Council is to undertake the business of WFDB. 6.6 Executive Council meets at least once a year, either face to face or via email. 6.7 The face to face meetings of Executive Council shall be announced in writing by the Secretary General at least three (3) months before the date of the meeting. The agenda and all relevant documents are circulated to the members of Executive Council at least one (1) month before the date of the meeting. The date of the postmark is taken as the date of dispatch. 6.8 Executive Council has a quorum when at least four (4) elected members and two (2) elected officers are present. 6.9 The President has the final vote in case of a tie in the Executive Council. Article 7: RESPONSIBILITIES OF ELECTED OFFICERS AND REGIONAL REPRESENTATIVES 7.1 Elected officers are: the President, the Vice president, the Secretary General and the Treasurer. Elected Officers carry out their tasks under the supervision of Executive Council. 7.2 The President is responsible for: a. The coordination of the work in WFDB b. The presidency of the meetings of General Assembly and Executive Council c. The representation of WFDB. The President represents WFDB, but may delegate this responsibility to others d. The Annual reports of WFDB 7.3 The Vice President serves in case of absence of the President or if the President retires before the end of the president's term of office 7.4 The Secretary General is responsible for: a. The preparation and the minutes of meetings of General Assembly and Executive Council. b. A register of the membership and all relevant relationships c. The custody of all relevant documents d. The daily correspondence of WFDB, not related to the other Elected Officers. 7.5 The treasurer is responsible for: a. The financial matters of WFDB b. The preparation and presentation of annual accounts of WFDB c. Preparation of annual budgets. 7.6 Regional representatives are responsible for information to the Executive Council about the work and activities in their respective regions. Article 8: DISSOLUTION 8.1 Dissolution of WFDB happens if no meetings of General Assembly have taken place during a period of nine (9) consecutive years or after no meetings of Executive Council have taken place during a period of five (5) consecutive years. 8.2 A resolution containing the dissolution of WFDB must be circulated to all members at least twelve (12) months before the General Assembly at which it is to be discussed. For such a resolution to be carried a two third majority of all votes cast is required. Article 9: AMENDMENTS AND APPROVAL 9.1 Resolutions to amend the constitution must be received by the executive council at least twelve (12) months before the date of the meeting of General Assembly at which they are to be discussed and must be circulated to all members at least eight (8) months before. For such a resolution to be carried a two third majority of all votes cast is required. 9.2 Other rules not mentioned in this constitution are described in the bylaws of WFDB. 9.3 Bylaws of WFDB are prepared by Executive Council and approved by General Assembly To approve bylaws only a simple majority of all votes cast in General Assembly is required. Tagaytay, 10th of November 2013. President Vice President Treasurer Secretary General Regional representatives Africa Asia Europe Latin America North America The Pacific (参考資料B:WGメンバーリスト) First session of the Working Group on the Asian and Pacific Decade of Persons with Disabilities Incheon, Republic of Korea, 25-26 February 2014 List of members and observers of the Working Group on the Asian and Pacific Decade of Persons with Disabilities, 2013-2022 First 5 years of the Decade (2013-2017) 15 Government Members: 1. Bangladesh 2. Bhutan 3. China 4. Fiji 5. India 6. Indonesia 7. Japan 8. Kiribati and Samoa share a seat (Samoa: first 2.5 years; Kiribati: second 2.5 years) 9. Malaysia 10. Mongolia 11. Pakistan 12. Philippines 13. Republic of Korea 14. Russian Federation 15. Thailand 15 Civil Society Organization (CSO) Members: 1. Asia and Pacific Disability Forum 2. Asia-Pacific Development Center on Disability 3. ASEAN Disability Forum 4. Asia-Pacific DPO United 5. Central Asia Disability Forum 6. South Asian Disability Forum 7. Pacific Disability Forum 8. Disabled People’s International Asia-Pacific 9. Inclusion International Asia-Pacific Regional Forum 10. World Blind Union Asia-Pacific 11. World Federation of the Deaf Regional Secretariat in Asia and the Pacific 12. World Federation of the Deafblind Asia and the Pacific 13. World Network of Users and Survivors of Psychiatry 14. Digital Accessible Information System (DAISY) Consortium 15. Rehabilitation International Asia Pacific Region 1 Government Observer: 1. Myanmar 3 CSO Observers: 1. ASEAN Autism Network 2. Christian Blind Mission 3. Community-based Rehabilitation Asia-Pacific Network (参考資料C:WG第2セッション議事次第) Attachment 1 LIMITED 20 November 2014 ENGLISH ONLY Second session of the Working Group on the Asian and Pacific Decade of Persons with Disabilities, 2013-2022 2-3 March 2015, New Delhi PROVISIONAL AGENDA 1. Opening of the second session and adoption of the agenda. 2. Election of the Chairperson and two Vice Chairpersons. 3. Review of the implementation of decisions emanating from the first session of the Working Group. 4. Review of progress in the Asian and Pacific Decade of Persons with Disabilities, 2013-2022. 5. Review of disability inclusion in the post-2015 development agenda. 6. Review of resource mobilization for Decade progress. 7. Date and venue of the next regular session. 8. Other matters. 9. Closing of the session. (参考資料D:WG第2セッションWFDb活動報告書) UNITED NATIONS ECONOMIC AND SOCIAL COMMISSION FOR ASIA AND THE PACIFIC(ESCAP) Civil Society Organization Report to the Second Session of the Working Group on the Asian and Pacific Decade of Persons with Disabilities, 2013-2022 New Delhi, 2-3 March 2015 ********************************************************************** At the First Session of the Working Group on the Asian and Pacific Decade of Persons with Disabilities held at Incheon, Republic of Korea, on 25 and 26 February 2014, it was recommended that the ESCAP secretariat should draft a standard format, aligned with the road map, for every Working Group member to use in preparing a structured and concise report on Incheon Strategy implementation and other actions in follow-up to Working Group session, for transmission to the ESCAP secretariat at least 80 days before the next session (see recommendation (b) (ii)). It was also agreed that those reports should be uploaded at least 60 days prior to the session (see recommendation (b) (iii)). This report template should be completed and returned in electronic form, i.e., MS-Word, by 10 December 2014 to: Director Social Development Division United Nations ESCAP United Nations Building Rajadamnern Nok Avenue Bangkok, 10200 Thailand E-mail: escap-sdd@un.org ********************************************************************** 1. Has your Organization taken any action to promote regional/ subregional cooperation in supporting implementation of the Incheon Strategy?  ○Yes /  No 1.1. If yes, list all the activities implemented by your Organization at the subregional and regional levels in support of the Incheon Strategy (e.g., conferences, training, campaign, etc.). ********************************************************************** (Limit each activity to max. 50 words) Regarding the goal 7, we dispatched a representative to two conferences and one campaign. 1. Asia-Pacific Meeting on Disability-inclusive Disaster Risk Reduction. (Sendai, April 2014) 2. The 6th Asian Ministerial Conference on Disaster Risk Reduction: Multi Stakeholders Pre-Conference on Disability-inclusive Disaster Risk Reduction. (Bangkok, June 2014) 3. International Day of Persons with Disabilities: Panel Discussion on the Promise of Technologies: Disability-Inclusive Disaster Risk Reduction and Humanitarian Action. (New York, December2014) Regarding the goal 10, representatives of organization of/for the deafblind gathered in the general assembly (Tagaytay, Philippines, November 2013) We hold the general session on CRPD as well as regional workshop separately to share our challenges and discuss our possible regional and interregional level cooperative activities. ********************************************************************** 2.Has your Organization contributed to including specific measures on the Ministerial Declaration and the Incheon Strategy in the agendas and programs of meetings organized by regional/subregional intergovernmental bodies (e.g. ASEAN, ECO, PIF, SAARC)?   Yes /  ○No 2.1. If yes, please specify which meeting your Organization attended (including the title of the meeting, venue and dates). ********************************************************************** (Limit each entry to max. 50 words) ********************************************************************** 2.2. Please describe which goal(s) of the Incheon Strategy your intervention specifically targeted at the above meeting(s). All areas covered by the 10 Goals of the Incheon Strategy Only specific area(s), e.g., Goal 1 on poverty reduction Name of the Organization: World Federation of the Deafblind (WFDB) Respondent's name: FUKUSHIMA Satoshi Position: Asian representative Email address: fukusima@rcast.u-tokyo.ac.jp Office telephone number: Mobile phone number: Date of submission: 12/10/2014 ----- 書名:平成26年度盲ろう者国際協力推進事業海外調査報告書 発行:平成27年3月31日 発行・編集:〜日本のヘレン・ケラーを支援する会R〜 社会福祉法人全国盲ろう者協会 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 TEL 03-5287-1140  FAX 03-5287-1141