平成25年度版 盲ろう者向けパソコン指導マニュアル ―Windows 8編― 平成26年3月 〜日本のヘレン・ケラーを支援する会〜 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 はじめに 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 理事長 阪田 雅裕  盲ろう者は、他者からの支援がなければ、日々の生活に必要な情報を得たり、遠隔地にいる者へ連絡したりすることは大変困難です。パソコン等ICT機器は、こうした困難を解消し、盲ろう者のQOL(生活の質)向上に大きく寄与するものとして期待されています。  思い起こせば、全国盲ろう者協会が発足した平成3年当時、盲ろう者が独力で遠隔地にいる者と連絡が取れるようにと、「点字電話」の開発に取り組んだ時期がありました。その後、この試みは頓挫してしまいましたが、ちょうどその頃は、インターネットが普及しはじめ、コンピュータの知識を持つ一部の盲ろう者がパソコンの利用を始めていた時期でもありました。  あれから20数年、「点字電話」への期待はパソコンが一身に背負うことになり、今日に至ります。新しい点字情報端末の開発が続いたこともあり、コンピュータ知識を持たない盲ろう者でも利用可能となり、パソコンは盲ろう者の間で急激に普及してきています。  こうした流れに、本事業は深く関わることになります。平成18年度より、独立行政法人福祉医療機構のご理解、ご協力の下、「盲ろう者向けパソコン指導者養成研修等事業」として、また、その後は「盲ろう者コミュニケーション促進事業」として、盲ろう者のICT活用・普及を促進するための事業を実施。平成21年からは、「指導者養成研修事業」と、地域の盲ろう者に学んでもらいながら同じ地域での指導者育成をも行う「コミュニケーション訓練個別訪問指導事業」を二つの大きな柱として、同機構のご協力の下、引き続き実施しているところです。  この『盲ろう者向けパソコン指導マニュアル』も、これら事業の一環として、平成20年3月に「Windows XP」版として初版を発行してから、翌21年3月には「Windows Vista」版、平成24年3月には「Windows7」版、そして今回が「Windows8」版というように、早くも4回目の改訂となりました。このように、本マニュアルは、パソコン等ICTの技術進歩に伴う環境の変化に合わせて、その都度、改訂を行わなければならず、長年ご協力いただいている独立行政法人福祉医療機構には心から感謝申し上げる次第です。  盲ろう者が主体性を発揮して自主的に社会参加を果たしていくためには、自らの判断の根拠となる、より多くの正確な情報を得ることが必要であり、そのために盲ろう者がパソコン等ICT機器を活用し、様々な情報を入手できることは大変有意義なことです。  一方で、盲ろう者のために開発されたパソコンや情報端末機は実はほとんどなく、それら一部の機能を盲ろう者が機器に合わせる形で使用しなくてはならないのが現状であり、そのため、盲ろう者がパソコン操作を習得することはそう容易ではありません。だからこそ、それぞれの盲ろう者の障害の状況や特性を踏まえた上で、より適切な指導がなされることが望まれます。  このマニュアルは、そうした点を考慮して、盲ろう者にパソコンを教える際の指導者の手引き書として編纂されています。関係の皆様に有効にご活用いただければ幸いです。 ●凡例 本紙では、パソコン等機器の操作において、次のとおり記述を統一しています。 < > … パソコンやアプリケーションの設定項目やメニュー項目 例:<コントロールパネル> <詳細設定> [ ]… キーの名前や、点字キーに該当する点 例:[上矢印キー] [2・5・6の点] [ ]+[ ] … 二つ同時に押すキー操作 例:[Alt]+[F4] (( )) … 点字ディスプレイに表示される点字 例:((シャットダウン)) 目次 はじめに 第1章 盲ろう者とその概要 1 盲ろう者とは 2 盲ろう障害の特性 3 盲ろう者のコミュニケーション手段 4 盲ろう者が抱える困難 第2章 パソコン指導における心構え 1 盲ろう者の電子支援技術に対するニーズ 2 盲ろう者のパソコン・点字情報端末利用の現状 3 盲ろう者向けパソコン等指導者の必要性 4 盲ろう者向けパソコン等指導者に求められる要件 5 盲ろう者のパソコン等指導の注意点 6 点字入力の有用性 7 その他心構え 第3章 点字ユーザーに対する指導法 第1節 指導の前に 1 点字ユーザーの特徴 1.出力 2.入力 3.ろうベースの盲ろう者のパソコン環境 2 点字の習熟度の確認 3 指導上の配慮事項 第2節 機器とソフトウェアを揃える 1 パソコンを揃える 1.デスクトップ型かノート型か 2.DVDドライブ 3.キーボード 4.キーにシールを貼る 5.マウス、タッチパッドの取り扱い 2 点字ディスプレイ 1.ブレイルテンダー(BT46) 2.ブレイルメモ32(BM32) 3.ブレイルメモ24(BM24) 4.ブレイルメモ46(BM46) 5.ブレイルメモスマート16(BMS16) 6.ブレイルメモスマート40(BMS40) 3 スクリーンリーダーを揃える 1.PC-Talker8+BrailleWorks 2.NVDA日本語版 3.Catwalk 4.JAWS for Windows 4 点字入力ソフトを揃える 1.KTOS 5 メールソフトを揃える 1.MyMailIII 2.やむメール 6 ニュース閲覧ソフトを揃える 1.MyNews 2.GSニュース 7 その他のソフトニュース閲覧ソフトを揃える 1.MyBookII 2.その他のMyシリーズ 第3節 パソコンとソフトウェアの設定 1 パソコンのセットアップ 2 点字ディスプレイの接続 1.USBケーブルで接続する 2.シリアルケーブルで接続する 3.シリアル/USB変換アダプターで接続する 4.Bluetooth接続 3 PC-Talker8+BrailleWorksの設定 1.インストール 2.PC-Talkerの設定画面を開く 3.点字ディスプレイの設定 4.点字表示の設定 5.カーソル文字の読み方の設定 6.音声の設定 7.音声をオフにする 4 NVDA日本語版の設定 1.インストール 2.NVDAの起動方法 3.NVDAキーについて 4.点字ディスプレイの設定 5.余計な点字表示をオフにする 6.音声出力停止起動 7.音声の設定 5 Windowsの基本設定 1.Windowsの設定 2.スタート画面について 3.電源オプションの設定 4.Windowsの終了動作の設定 6 KTOSの設定 1.インストール 2.KTOSの起動方法 3.KTOSの設定 4.点字キー・フルキーの切り替え 7 MyMailIIIの設定 1.アカウント設定 2.自動読み上げを回避する設定 3.受信メールに番号をつける 4.アドレス帳の登録 8 MyNewsの設定 1.一覧表示形式の設定 9 MyBookIIの設定 1.サピエ情報の登録 10 やむメールの設定 1.インストール 2.モードの設定変更 3.メール一覧表示の設定 4.テキストの自動スクロールの設定 5.返信メールの引用文の設定 6.その他の設定 第4節 キー操作、点字ディスプレイ操作 1 キー操作の基本 1.共通の操作 2.メニューとウィンドウの操作 3.アクセラレータキー 4.ショートカットキー 3.その他便利なショートカットキー 2 PC-Talker8+BrailleWorksのショートカットキー・点字ディスプレイ操作 1.便利なショートカットキー一覧 2.点字ディスプレイの基本操作 3 NVDA日本語版のショートカットキー・点字ディスプレイ操作 1.便利なショートカットキー一覧 2.点字ディスプレイの基本操作 4 KTOSのショートカットキー・記号入力 1.便利なショートカットキー 2.前置符号一覧 3.英字モードの半角・全角切り替え 4.記号入力 第5節 指導の実際 1 機器本体の各部名称とキー配置の指導 1.全体構造の把握 2.キー配置の説明 2 Windowsの基本操作の指導 1.Windowsの起動 2.アプリケーションの起動 3.Windowsの終了起動 3 MyMailIIIの指導 1.基本操作 2.終了方法 3.メールの受信と読み方 4.受信ボックスの使い方 5.返信メールの作成と送信 6.差出人のメールアドレスの登録 7.新規メールの作成と送信 8.メールの削除 9.添付ファイルの保存 ● 文字入力について 4 MyNewsの指導 1.基本操作 2.終了方法 3.目次からの検索 4.キーワードで検索 5.保存ボックスの作成 6.記事の保存 5 MyBookIIの指導 1.基本操作 2.終了方法 3.サピエ図書館から点字図書を読む 6 やむメールの指導 1.基本操作(通常モード) 2.終了方法 3.メールの受信と読み方 4.返信メールの作成と送信 5.差出人のメールアドレスの登録 6.新規メールの作成と送信 7.メールの削除 7 GSニュースの指導 1.ニュース記事を読む方法 2.本文を閉じて別の記事を読む 3.ニュースカテゴリー選択に戻る 4.終了方法 第4章 画面ユーザーに対する指導法 第1節 指導の前に 1 画面ユーザーの範囲 1.対象となる盲ろう者 2.パソコン操作におけるロービジョンの範囲 3.約60%がGUI活用の可能性 4.GUI活用のメリット 2 「見えにくさ」の理解 1.見える仕組みの理解 2.「白濁」という見えにくさ 3.「屈折異常」という見えにくさ 4.「中心暗点」という見えにくさ 5.「視野狭窄」という見えにくさ 3 指導のポイント 1.ロービジョンの見え方は千差万別 2.パソコンの環境の最適化 3.GUI最適化項目 4.留意事項 第2節 設定と操作方法 1 Windowsにおける設定 1.コントラスト・配色の設定 2.文字サイズの設定 3.拡大鏡の活用 4.マウスポインターの設定 5.その他の設定 2 視認性向上に役立つソフト 1.でかポインタ 2.あんだーまうす君 3.tarzanMouse 3 各アプリケーションにおける視認性向上のための設定 1.MyMailIII 2.Internet Explorer 3.Firefox 4.Microsoft Word 2013 第5章 ブレイルセンス 1 ブレイルセンスの紹介 1.概要 2.対象となる盲ろう者 3.主な機能 4.ブレイルセンスU2とブレイルセンスオンハンドU2ミニの主な違い 5.主な仕様と価格 2 ブレイルセンスの基本操作 1.キーと電源スイッチについて 2.基本操作 3 ブレイルセンスの設定 1.オプション設定 2.ネットワークの設定 3.電子メールのアカウント設定 4.スタートメニューのカスタマイズ 4 ブレイルセンスの指導法 1.ニーズに合ったプログラムの選択 2.指導上の留意点 3.トラブルへの対処法 5 盲ろう者向けマニュアル(ブレイルセンスU2) 1.基本操作 2.電子メール 3.乗り換え検索 4.簡単スケジューラ 第6章 インターネット環境の構築 1 盲ろう者を取り巻くインターネット環境の現況 2 固定環境におけるインターネット構築 3 モバイル環境におけるインターネット構築 第7章 アフターケア 1 アフターケアとは 2 パソコンサポートのネットワーク あとがき 第1章 盲ろう者とその概要 1 盲ろう者とは  盲ろう者とは、視覚と聴覚の両方に障害を併せもつ人のことをいいます。日本には、現在約14,000人の盲ろう者がいると推計されています。しかし、全国盲ろう者協会や各地の盲ろう者友の会が把握している盲ろう者数はわずか7%程度に留まっており、その生活実態は十分に明らかになっていないというのが実情です。  視覚と聴覚に障害が重なるということは、それだけ遭遇する困難やニーズが多様で複雑になります。従って、盲ろうという障害は、単に「盲」+「ろう」ではなく、「盲」×「ろう」の障害と言われています。つまり、視覚障害者や聴覚障害者の困難が倍になるのではなく、二つの障害が重なることで、盲ろう者固有の困難やニーズが発生しているのです。そのため、単独の視覚障害者・聴覚障害者と比較して、その困難はきわめて強いと言えるのです。 2 盲ろう障害の特性  では具体的に、盲ろう者の独自性・多様性とはどのようなものなのでしょうか。  まず、障害の程度においては、@視覚と聴覚それぞれが全く活用できない 「全盲ろう者」、A残存聴力の活用は可能だが視力の活用ができない「盲難聴者」、B反対に残存視力の活用は可能であるが聴力の活用ができない「弱視ろう者」、C視力・聴力共に残存する「弱視難聴者」と、およそ4種類に分類して考えられています。  また、障害の程度に加え、その受障時期や受障順序によっても、a)生後早期にあるいは生まれながらにして盲ろうという障害を負う「先天性の盲ろう者」、b)聴覚障害であった人が失明して盲ろうとなる「ろうベースの盲ろう者」、c)視覚障害者であった人が失聴して盲ろうとなる「盲ベースの盲ろう者」、d)健常であった人が視力・聴力を失って盲ろうとなる「中途盲ろう者」等を分類できると考えられています。  こうした条件・背景が複雑に絡み合っているということが、盲ろうという障害の特徴であり、その結果、盲ろう障害が故の多様な困難やニーズが発生しているのです。 −−−−−− <障害程度の図> ・全盲ろう=見えない+聞こえない ・弱視ろう=見えにくい+聞こえない ・盲難聴=見えない+聞こえにくい ・弱視難聴=見えにくい+聞こえにくい −−−−−−−−−−−− <受障時期の違いの図> ・視覚障害の受障時期(先天的〜乳幼児期)+聴覚障害の受障時期が(先天的〜乳幼児期)の方=先天的盲ろう者(盲ろう児) ・視覚障害の受障時期(先天的〜乳幼児期)+聴覚障害の受障時期が(〜成年または〜老年期)の方=盲ベース盲ろう ・視覚障害の受障時期(〜成年または〜老年期)+聴覚障害の受障時期が(先天的〜乳幼児期)の方=ろうベース盲ろう ・視覚障害の受障時期(〜成年または〜老年期)+聴覚障害の受障時期が(〜成年または〜老年期)の方=成人期盲ろう −−−−−− 3 盲ろう者のコミュニケーション  このような特性をもつ盲ろう者は、コミュニケーション方法についても多様です。現在、主に次のようなコミュニケーション手段が使われています。 (1) 触手話および弱視手話 盲ろう者の手の中あるいは見えやすさに配慮して手話を表し、触読または残存視力でその手話を読み取る方法。 (2) 指点字 盲ろう者の両手の人差し指、中指、薬指を点字タイプライターのキーに見立て、点字の仕組みを利用して、軽くタップして文字を伝える方法。 (3) 手書き文字 盲ろう者の手のひらに文字を書く方法。 (4) 指文字 日本語の五十音あるいはアルファベットを指の形で表現したものを、盲ろう者の手のひらに綴る方法。 (5) 音声 盲ろう者の耳元あるいは補聴器のマイクに向かって盲ろう者の聞きとりやすい話し方と音量で話す方法。 (6) その他 筆談など    盲ろう者のコミュニケーション方法が多様なのは、障害の程度や受障時期の違いに起因しています。例えば、ろうベースの盲ろう者は、手話を主たるコミュニケーション方法として利用するのに対して、盲ベースの盲ろう者は、点字や音声を主たるコミュニケーション方法として利用します。従って、同じ盲ろうという障害をもつ当事者同士でさえも、異なるコミュニケーション方法を利用することから、直接話をすることができない場合もあります。 4 盲ろう者が抱える困難  視覚と聴覚両方の感覚を活用できない盲ろう者は、それだけ大きな制約を受けて生活を強いられています。盲ろう者が抱える困難は主に、1)移動の困難、2)他者とのコミュニケーションの困難、3)情報入手の困難の三つに集約されると考えられています。この三つの困難を抱えているということは、盲ろう者が日常生活の中で自力で行える活動が極めて少ないということを意味しています。こうした困難を解消・軽減するために、通訳・介助員と呼ばれる支援者が各地で活動しています。これは、都道府県が実施する「盲ろう者向け通訳・介助員派遣制度」という事業により実施される人的支援です。この制度の充実により、盲ろう者の社会参加の機会は格段に広がりました。しかしながら、通訳・介助員を24時間365日確保することは、人材面・財政面から見ても現実的に難しく、またプライバシー保護や緊急時の対応等、現状の派遣制度では解決できない課題も存在しています。そのため、現在の通訳・介助等の人的支援に加えて、独力で他者とコミュニケーションをとったり、遠隔地への連絡を可能とするための手段の確保が、盲ろう当事者やその関係者から強く求められています。 ●盲ろう者の三つの困難 (1) 移動の困難 (2) 他者とのコミュニケーションの困難 (3) 情報入手の困難 第2章 パソコン指導における心構え 1 盲ろう者の電子支援技術に対するニーズ  通訳・介助員派遣制度に加えて、盲ろう者の困難を解消・軽減する方法として期待されているのが、パソコンならびに点字情報端末といった電子支援技術の活用です。視覚と聴覚の両方に障害を併せもつ盲ろう者にとって、テレビ、ラジオ、新聞、電話、ファックスといった、視覚または聴覚を利用する情報処理手段は、残存する視覚または聴覚の活用が可能な一部の盲ろう者を除けば、ほとんど利用することができません。それに対して、障害の程度に応じて様々に設定し対応できるパソコンや点字情報端末は、多くの盲ろう者にとって大変有効な手段と言えます。従って、盲ろう当事者やその関係者から、これら電子支援技術に大きな期待が寄せられるのは必然的なことなのです。 2 盲ろう者のパソコン・点字情報端末利用の現状  このように、大きな期待が高まっている電子支援技術ですが、実は盲ろう者向けに開発されたハードウェア・ソフトウェアはほとんど存在しません。現在盲ろう者が利用可能なパソコンシステムや点字情報端末は、そのほとんどが視覚障害者向けに開発されたものです。盲ろう者は使える一部の機能を流用するに過ぎず、その限定された機能を用いて、情報へのアクセスを確保しているというのが実情です。  盲ろう者向け機器開発も、10年ほど前より企業や研究機関を中心に複数取り組まれてきました。しかしながら、その中から現実的な盲ろう者向け機器として製品化されたものは皆無と言わざるを得ません。その理由として、盲ろうという障害のニーズが多様であること、盲ろう者の実態が把握できていないこと、ユーザーとなる盲ろう者の数が推定できないこと等が指摘されます。従って、盲ろう者向けの製品が登場するには、乗り越えなければならない課題が山積しており、まだ相当の時間が必要であると考えられます。  しかし、その製品化を待っていては、盲ろう者の今の生活を保障することはできません。従って、他の障害者向けのシステムでも、またその機能が限定的であっても、利用できる機能を積極的に利用することが盲ろう者にとって有益です。そうした事情から、特に視覚障害者向けシステムに搭載される、点字や拡大機能といった、触覚・視覚インターフェースを盲ろう者は利用しているのです。 3 盲ろう者向けパソコン等指導者の必要性  視覚障害者向けに開発されたシステムは、当然ながら見えないことのみを対象にしたインターフェースであるため、盲ろう者にとっては決して使いやすいものではありません。視覚障害者向けシステムの特徴としては、音声・点字・画面拡大のそれぞれの機能が併用されていますが、とりわけ近年は音声に重きが置かれる傾向にあり、反対に点字の機能は限定的になってきています。 そのため、盲ろう者がそれらのシステムを利用するためには、様々な工夫や努力と、場合によっては特殊な設定が必要になります。従って、システム自体を充分理解しているパワーユーザーの盲ろう者でなければ、これらのシステムを自力で使いこなせるようにはなりません。また、システムを充分に理解しているユーザーであっても、点字環境のみでの操作では初期設定等ができないことも多いのです。特に全盲ろうのユーザーにとって独力での導入が極めて難しい状況にあります。  こうした状況下で、盲ろう者がパソコンや点字情報端末を利用できるようになるためには、これらシステムおよび点字の仕組みの知識があり、かつ盲ろう者のコミュニケーション特性を理解している指導者が必須となります。しかし、そうした指導者が極めて不足しているのが実情であり、それが盲ろう者の情報アクセスが伸び悩む原因の一つとなっています。 ●盲ろう者の利用環境 (1) 弱視ろう・弱視難聴 → 拡大文字により画面を利用(画面拡大ソフト) (2) 盲難聴・全盲ろう → 点字利用(スクリーンリーダー・点字ディスプレイ) 4 盲ろう者向けパソコン等指導者に求められる要件  現在、盲ろう者向けパソコン等指導者として活動しているのは、その多くが視覚障害をもつ通訳・介助員あるいはその周辺にいる人です。これは、前述した事情からも分かるように、視覚障害者向けシステムの当事者ユーザーである視覚障害者の中に、盲ろう者向け指導者としての要件を満たしている人が多いからに他なりません。では、盲ろう者向けパソコン等指導者の要件とはどのようなものなのでしょうか。  一つめは、基本的な視覚障害者向けシステムの仕組みを理解していることです。視覚障害者向けシステムといっても、基本は市販のパソコンを利用し、それに画面拡大ソフトウェア・スクリーンリーダー(画面音声化・点字化ソフトウェア)・点字ディスプレイ等を導入してシステムを構成しています。その構成を基本に、盲ろう者に利用できる機能を整理し、提供することが求められます。  二つめは、特に触覚を利用する盲ろう者に対して必要なことですが、最低限の点字の仕組みを知っていることです。残念ながら、全盲ろう者が触覚でパソコンを利用するためには、現段階では点字を利用するしか方法がありません。中途で失明し、日常的に手話を利用しているろうベースの盲ろう者であっても、点字を習得して点字をインターフェースとしてパソコンを利用しています。従って、全盲ろう者にパソコンを指導するためには、点字の知識が必要なのです。  しかし、この二つ以前に、盲ろう者のコミュニケーション手段を獲得していること、あるいは直接コミュニケーションがとれなくとも、そうした盲ろう独自のコミュニケーション特性を理解していることが必須条件と言えます。視覚障害者向けシステムの知識をもつ人はそれなりにいるにも関わらず、盲ろう者向けの指導者の数が増えないのは、このコミュニケーションの問題が大きいためです。 ●盲ろう者向けパソコン等指導者の要件 (1) 基本的な視覚障害者向けシステムの知識があること。 (2) 基礎的な点字の仕組みを知っていること。 (3) 盲ろう者のコミュニケーション方法を習得している、あるいはその特性を理解していること。 5 盲ろう者のパソコン指導時の注意点  実際に、盲ろう者を前に、パソコン講習を始めてみると分かることですが、盲ろう者にそれら操作手順を教えるときには、盲ろうという障害があるが故の独自な注意点がいくつか存在します。  その代表的なものが、盲ろう者が操作しているときは説明ができない、反対に盲ろう者に説明しているときは盲ろう者は操作ができないということです。これは、音声をコミュニケーション手段とする盲難聴者を除けば、ほとんどの盲ろう者が手を使うコミュニケーション手段を利用しているということです。つまり、説明するときには手が塞がるため、操作ができず、操作しているときはその逆のことが起きるわけです。従って、盲ろう者に操作手順を説明するときは、一度にたくさんの手順を説明しても、なかなか覚えられなかったり、また操作していて誤操作が起きた場合もなかなか修正しにくいという実情があります。よって、まずは覚えられる範囲の1・2手順を説明し、その手順を実行して、さらにまた1・2手順を説明するという方法が有効です。この方法により、じっくり手順を把握することができ、また自分の行った操作を一つ一つ確認する余裕が生まれるため、少し時間がかかり根気は必要ですが、結局のところ盲ろう者が操作手順を獲得する現実的な手段と言えます。  もう一つ重要なことは、「はい」「いいえ」「ストップ」「もう一度」等のサインを決めておき、操作時の盲ろう者に伝えるということです。先に、「操作中の盲ろう者に説明はできない」と述べましたが、操作中に何も伝えないというのも、盲ろう者にとってみれば、これで正しいのであろうか、説明どおり手順が実行できているのであろうか、という不安が常につきまといます。よって、例えば、手順が正しければ「はい」の意味で背中に○を書く、反対に手順が誤っていたら「いいえ」の意味で背中に×を書く、手順が誤っていたり、あるいはシステムの状態がおかしくなったときは、「ストップ」の意味で肩や腕を2度たたいて操作を中止するといったサインをお互いにきちんと決めておき、講習を行うことが大切です。これにより、不要な説明の回数が減り、盲ろう者の疲労を軽減することが可能です。さらに、そうしたコミュニケーションをとりつづけることで、お互いの信頼関係も構築することができます。 ●盲ろう者のパソコン指導時の注意点 (1) 説明をしているときは操作はできない、操作しているときは説明ができない。 (2) 「1・2手順を説明 → 実際に操作」という方法を繰り返す。 (3) サインを決める。(はい、いいえ、ストップ等) 6 点字入力の有効性  後述するように、視覚障害者向けパソコン等システムの中に、「点字入力」あるいは「6点入力」と呼ばれる入力方法があります。これは、パソコンのキーの、主に[ F ][ D ][ S ][ J ][ K ][ L ]の6個のキーを用い、そのキーを点字の規則に従って同時入力することで、日本語をはじめとした文字を入力する方法です。近年では、視覚障害者の中にも一般的な入力方法であるローマ字入力が普及し、またその入力を充分フィードバックできる音声合成システムが確立されたため、かなり限定的な機能になってきましたが、それでも根強く6点入力を支持するユーザーも存在しています。  元々、初期の視覚障害者ワープロシステムでは、音声合成技術や点字ディスプレイが発達していなかったことから、自ら入力した文字が自ら確認できないものでした。そのため、確実に文字を入力するために、視覚障害者が利用している点字の仕組みを、入力方法に取り入れたと考えられています。  その「確実な入力方法」が、文字入力のフィードバックに点字ディスプレイを利用する盲ろう者には非常に便利なのです。つまり、点字ディスプレイ利用の盲ろう者は、入力する際も、入力された文字を確認する際も、手を使うことから、入力しているその瞬間はその文字を確認することができません。また、キーボードで入力した後、点字ディスプレイを確認するという操作を繰り返すことから、キーボードと点字ディスプレイの間を、手が常に往復するという作業を強いられます。これは大変不便なことで、画面を見ながら文字入力が可能な一般ユーザーとは比較にならないほどの時間と労力を要します。その労力を少しでも軽減する方法として、手を動かす範囲の広いローマ字入力よりも、限定的なキーを入力する点字入力が、点字ディスプレイ利用の盲ろう者には有効なのです。つまり、手を動かす距離が短くなればなるほど、点字環境における効率的なパソコン利用が可能なのです。 7 その他心構え  パソコンや点字情報端末は、様々な可能性を秘めています。そのことは、多くの盲ろう者にも認識されており、その期待も膨らんでいます。しかし、パソコン等指導で重要なことは、決して欲張らないということです。もちろん、盲ろう者の希望を聞くことは必要です。ただし、その希望をしっかり整理して、それを達成するにはどのようなスキルを習得しなければならないのか、またどのくらいのコストがかかるのか、丁寧に説明する必要があります。この説明をおろそかにすると、後々誤解が生じたり、場合によっては信頼関係を失うことさえあります。そうなると、ほとんどの場合不利益を被るのは盲ろう者です。そうした事態は絶対に避けなければなりません。その意味で、できることを整理し、確実なことから取り組むということを、盲ろう者と共有しながら進めることが大切です。  また盲ろう者のパソコン等指導ならびにサポートは、非常に根気のいる作業と言えます。とかく、導入段階では、かなりの時間を要するにも関わらず、なかなか手順が上手く実行できなかったり、今やっている手順の意味が分からなかったりして、達成感が得られないこともよくあります。特に、点字ディスプレイを利用する盲ろう者の中でも、中途失明により、点字を覚えたばかりの盲ろう者に対する指導にその傾向が見られます。その場合、挫折しそうになるのは意外と指導者の側です。盲ろう当事者は、何とか情報にアクセスする手段を確保したいという強い思いから、相当の困難にも立ち向かう覚悟をして取り組んでいる場合が多いのです。よって、そうした盲ろう者の覚悟を、指導者側がどれだけ受け止め、また向き合うことができるかが、盲ろう者がパソコンを習得できる一つのポイントになるものと考えます。 第3章 点字ユーザーに対する指導法 第1節 指導の前に  主に点字という手段でパソコン操作を行う盲ろう者のことを、ここでは「点字ユーザー」と呼びます。  全盲の盲ろう者の場合、操作手段は点字のみに限られるでしょうが、弱視ろう者が補助的に画面表示を利用したり、盲難聴者が音声を利用する場合も考えられます。画面表示の調整については第4章を参照してください。  本節では、点字ユーザーの指導に入る前の留意事項等を解説します。 1 点字ユーザーの特徴  点字ユーザーは視覚的な情報に頼ることができないため、画面の表示を見ることができないのはもちろん、キーボードを目で見て打つこともできません。  そのため、画面の情報(出力)を読み取ることと、キーボードで入力(入力)すること、これら共に非常に困難であり、それらの困難さをいかに解消できるかが、点字ユーザーのパソコン環境を考える際の大きなポイントになります。 1.出力 (1) 点字ディスプレイ  盲ろう者・視覚障害者用に開発されている、スクリーンリーダーやアプリケーションを使うと、画面の表示内容を点字に変換し、パソコンにUSBケーブルなどで接続した点字ディスプレイ(ピンディスプレイ)上に表示させることができます。  点字ディスプレイ上の点字は触読しなければなりませんから、点字ディスプレイの利用には、点字を触読できることが前提となります。 (2) 音声と点字ディスプレイの併用  スクリーンリーダーは、視覚障害者を主な利用対象者として開発されているので、画面の情報を、点字表示と共に合成音声で読み上げることができます。  情報を伝える際、音声の方が点字より高速な場合が多く、音声でのサポートがあれば、触読に慣れていない人の負担を軽減できることもあります。合成音声を聞き取るのに充分な聴力があれば、健聴の視覚障害者とほぼ同様の条件でパソコンを利用できる場合もあります。  しかし、何種類かある声質を変えたり、声の高さ・速さなどを調節しても、スピーカーを通して流される合成音声は、肉声に比べて非常に聞き取りにくいものです。日常会話では不自由なく音声が聞き取れる程度の難聴の盲ろう者であっても、点字ディスプレイを利用すべき場合も少なくありません。  点字ディスプレイは触覚的に情報を伝えるので、聞き間違いの起こりやすい音声より、情報を正しく伝えられます。 (3) 画面と点字ディスプレイの併用  視力がいくらか残っている盲ろう者の場合、画面を調整して見やすくすることで、細かい所までは確認できなくても、画面からのある程度の情報と点字ディスプレイからの情報を併用することで、パソコンをより確実に、場合によってはスピーディーに操作できるようになります。(画面の調整法については、第4章を参照) 2.入力  キーボードからの入力は、キートップに書かれている文字の読み取りが困難なので、手の感覚のみでキーを選び、打たなければなりません。 (1) タッチタイピング  手や視力に障害のないユーザーにも、キーボードを見ないで入力ができる方法として、タッチタイピング(ブラインドタッチ)の方式が広く使われています。これを使えば、指先の感覚だけでのキー入力が可能です。  アプリケーションによっては、ショートカットキーによる操作などが、点字入力だけでは扱いにくいものもありますので、将来パソコンをより幅広く使いこなすために、フルキー入力が必要となる場面もあるでしょう。フルキー入力の使用が予想される盲ろう者には、当初からフルキー入力を指導するという場合も考えられます。  しかし、「フルキー・ローマ字入力」の場合、26個のアルファベットキーの配置を覚え、ローマ字の仕組みを理解しなければなりません。「フルキー・かな入力」の場合は、かなをそのままワンタッチで打つことができますが、濁点・半濁点等を含め、50を超えるキーの配置を覚える必要があります。多数のキーに戸惑いを覚える盲ろう者も少なくありません。  これらのキーを正確に打てるようになるためには、指の動かし方のトレーニングが必要となります。初心者に対しては、点字入力から導入することを強くお薦めします。 (2) 点字入力  パソコンのキーボードを点字タイプライターに見立てて、6個のキーだけで文字入力ができる点字入力は、特に初心者にはよく利用されます。  点字ユーザーは、まだ触読は得意でなくても既に点字の形はよく覚えている場合が多いので、導入もスムーズです。 ●点字入力の指使い 《パーキンス式》 1の点 左人差し指 F 2の点 左中指 D 3の点 左薬指 S 4の点 右人差し指 J 5の点 右中指 K 6の点 右薬指 L    ※パーキンス式とは、点字タイプライターで使われている方式で、点字タイプライターの名前が由来となっています。 (3) その他  マウスの利用には視覚を用いることが前提となりますので、マウスが使えない点字ユーザーは、マウスと同様の操作をキーボードで代替しなければなりません。キーボード用に割り当てられている標準的な操作やショートカットキー(ホットキー)を覚え、駆使することになります。点字入力を使用すれば文字入力用のキーの数は減らせますが、そのような操作に必要となる[ウィンドウズ][Tab][Alt][Shift][Ctrl][ファンクション]といった特殊キーの配置は覚えなければなりません。 3.ろうベースの盲ろう者のパソコン環境  このように、点字の習得の有無が、パソコン利用に大きく関わっています。  子どもの時期から視覚障害をもつ盲ろう者(盲ベースの盲ろう者)の場合、多くの人が点字を習得しているでしょう。一方、早い時期から聴覚障害をもち、その後視覚障害になった盲ろう者(ろうベースの盲ろう者)は、点字を習得していない場合もあり、また、点字の仕組みは理解していても触読はできないといったように、習熟度に幅があります。  ろうベースの盲ろう者の場合、さらに、日本語の問題もあります。手話を母語としていますので、日本語によるパソコン操作(パソコン用語の理解、文書の読解・作成など)を苦手とする人は少なくありません。パソコン操作の学習に加え、「点字」と「日本語」の二つのハードルを抱えることになります。  点字については、パソコン指導の前に学習が必要です。日本語については、完全な習得に非常に時間がかかるばかりでなく、パソコンの指導に入る前から盲ろう者に多大な負担をかけることになってしまいます。より簡単な操作や、難しいパソコン用語などに出会わなくても操作ができる環境を整えることが大切です。 2 点字の習熟度の確認  盲ろう者がどの程度点字を習得しているかを確認します。 ●チェック項目 (1) 点字歴  点字を学んだことがあるかどうか?  いつ点字を学んだのか?  独学か、点字教室か、生活訓練の中で学んだのか?  読書など、日常生活の中でどのくらい点字を使っているか? (2) かな点字とアルファベットと記号  かな、数字、アルファベットなど、どこまで勉強したか?  かな、数字、アルファベットをどこまで読むことができるか? (3) 触読の速さ  触読の速さを確認することでパソコン環境の難易度の参考になります。  最低限、かな点字が触読できるようになってからパソコン講習に入りましょう。 3 指導上の配慮事項  盲ろう者のパソコン指導は時間をかけゆっくり進みます。効率良く指導できるよう、また盲ろう者にあまり負担をかけないよう、指導側の配慮や盲ろう者とのルール作りが必要です。 (1) 講習中のサインを決めておく  盲ろう者への指導ではコミュニケーションのために手を使うことが多いため、操作中は説明ができず、こちらが説明している間は操作ができない、という問題があります。そこで、講習をスムーズに進めるためのサイン(合図)をあらかじめ決めておきましょう。 ●サインの例 ・問題がないときや先に進めてよいといった「OK」の合図 → 背中に○を書く ・問題が起きた時、操作が間違った時の合図 → 背中に×を書く ・操作中に問題があるときに、説明ができるように、「ストップ」の合図 → 2回たたく ・同じ操作を繰り返しいてほしい時 → 背中に1を書く (2) 言葉の使い方にも注意  盲ろう者によって指導方法は異なります。盲ろう者の理解度に合わせて進めましょう。 ・盲ベースの盲ろう者には → 音声言語の理解力を活かし、言葉による手順説明が有効。 ・ろうベースの盲ろう者には → 画面構成が視覚的に描けるような空間的な説明が有効。 (3) 通訳・介助員へのサポート  講習中は、通訳・介助員を介さず講師と盲ろう者のマンツーマンで指導にあたることが理想的ですが、講師がコミュニケーション手段を充分に獲得できていない場合は、通訳・介助員を確保する必要があります。 (4) マニュアルの作成  指導した内容は、盲ろう者が自らの言葉で記録に残すことで、学習内容の定着が図られ、また復習のための最も良い手がかりにもなります。  しかし、盲ろう者にとって、講習の内容をその場で記録することが困難な場合もあります。書き残すためには日本語を駆使することが求められますので、それが苦手な人もいるでしょう。  その日に指導した内容や操作手順などを指導者が適宜マニュアル化して、提供することも有効です。 ●マニュアルの書き方  ・講習で説明した言葉で作成する。  ・指導した操作手順でマニュアル化する。  ・操作の途中に点字ディスプレイに通知されたメッセージを、一つ一つマニュアルに盛り込む。 第2節 機器とソフトウェアを揃える 1 パソコンを揃える  パソコンを初めて習う場合は、その盲ろう者にとってパソコンが本当に有用かどうかが分からないので、訓練施設などでパソコンの基礎を覚えるのが理想です。パソコンの利用に見通しがついたら、早めにご本人用のパソコンを購入し新しいパソコンに慣れてもらうのが良いでしょう。 1.デスクトップ型かノート型か (1) デスクトップ型  デスクトップ型のパソコンは低価格のものからあり、キーボードや画面を自由に選んだり付け替えたりすることができるので、盲ろう者がより使いやすいものを選ぶことができます。また、点字ディスプレイを接続する時に便利なシリアルポート(本節2の「2.シリアルケーブルで接続する」参照)が内蔵されているものも多いです。しかし、機器の移動がしにくいというデメリットがあります。 (2) ノート型  ノート型の持ち運べるタイプのものは移動には便利で、トラブルが起きたときなどにも、機器を持っていってすぐに修理してもらえます。しかし、キーボードのキーが小さかったり、キーとキーの間が狭くて打ちにくい、画面が見にくい、内蔵スピーカーの音が聞きづらいといったことも起こり得ます。そういった時は、外付けで画面やキーボードを接続する等の工夫をします。また、シリアルポート内蔵のものがほとんどなく、点字ディスプレイを接続する時はひと手間必要となります。 2.DVDドライブ  最近のパソコンは電源のオン/オフが触覚的には確認できないので、DVDなどのドライブを利用して電源のオン/オフを確認します。   ●触覚による電源の確認方法  電源が入っている状態でDVDドライブのトレイのスイッチを押すとトレイが出てくる。  電源が切れるとスイッチを押してもトレイは出てこない。    こうしたことから、DVDなどのドライブが内蔵されたものを購入できると安心です。   3.キーボード   点字入力での操作を想定している場合には、そのパソコンが点字入力可能かどうかも確認しておく必要があります。もし気に入った機器なのに点字入力ができないことが分かったら、別途点字入力が可能なキーボードを用意する必要があります。 (1) キーボードの確認  点字入力が可能かどうか(6個のキーの同時押しに対応できるか)は、以下のようにすると、電気店の店頭に並ぶ機器などでも簡単に確認できます。 ●キーボードの確認  メモ帳などのエディターソフトを開き、[ S ][ D ][ F ][ J ][ K ][ L ]の6個のキーを「同時に」押す。  画面に「fdsjkl」の文字がすべて表示されればOKです。(fdsjklの順番は問わない)  入力テストを3回行ったが3回とも6個のキーの反応が見られる。 → 点字入力できるキーボード  3回とも6個のキーの反応がない。 → 点字入力できないキーボード (2) ホームページで調べる  点字入力が可能なキーボードについて調査したグループのホームページも参考になります。   パソコンサポート「ボイスネット」  【URL】http://www.voice-net.org/6tensupport/6ten.htm  いずれにしても、パソコンを選ぶときには、盲ろう者本人と店まで出かけ、できるだけ実際に機器を触ってもらってから購入することが大切です。 4.キーにシールを貼る  主なキーに、印のための点を打ったタックペーパーや、分厚くて凹凸のはっきりしたシールなどを貼ることで、キーを探しやすくします。 ●シールを貼るキーの例  [ F ]  [ J ]  [Enter]  [スペース]  [ウィンドウズ]  [Ctrl]  [Alt]  [Tab]  [下矢印キー]  [Backspace]  [Esc]  よく使うファンクションキー 等 5.マウス、タッチパッドの取り扱い  点字ユーザーの盲ろう者がマウスを使うことはほとんどありません。マウスを使わないときは取り外しておきましょう。  ノートパソコンなどに搭載されているタッチパッドといったマウス代替用の機器類は、手がすぐに触れてしまう所にあるので、機能を停止しておきましょう。(停止方法はそれぞれの本体マニュアル等を参照してください)  機器にトラブルが起きたときなど、マウスを使わないと復旧しない場合も稀にありますので、マウスは本体の近くに置いておく方が安心です。 ※弱視でマウスを使いたいという場合は、第4章を参照してください。 2 点字ディスプレイを揃える  点字ディスプレイには優れた外国製のものもありますが、外国製の点字ディスプレイへの国内ソフトウェアの対応が遅れたこと、故障時のメンテナンス等の安心感から、KGS(ケージーエス)株式会社製のブレイルテンダーやブレイルメモシリーズがよく使われています。  点字ディスプレイ上のキーは、点字表示の送りや戻しを行うだけでなく、タッチカーソルキーや方向キーを使ってカーソルを移動させたり、キーボード上の一部の特殊キーと同じ働きをさせることができたりします。点字を読んでいる手をわざわざキーボードへ移動せずに操作できるので大変便利です。点字入力キーが付いた機種もありますが、そのキーを使っての点字入力に対応しているスクリーンリーダーが今のところないのは、残念なことです。  パソコンと接続して点字ディスプレイとして使うだけのものもありますが、単体で点字電子手帳として使用できる機能をもつものもあります。  購入する際は、盲ろう者が住んでいる市区町村で日常生活用具等として購入助成を受けられる場合がありますので、あらかじめ調べておきましょう。もし点字ディスプレイが助成対象でなくても、市区町村へ点字ディスプレイの必要性を説明し、助成を受けられるよう要望することも大切です。  ここで紹介する各点字ディスプレイの価格は2014年1月現在のものです。 1.ブレイルテンダー (1) 主な仕様 【インターフェース】シリアル、USB 【マス数】46 【外形寸法】400W×140D×24H[mm] 【重量】1.1kg  【価格】288,000円(非課税) 【メーカー】 KGS株式会社 (2) 特徴 ・46マスと点字マス数が多いため、点字表示部をスクロールする手間が軽減され初心者に向いている。 ・USBケーブルを使ってパソコンと接続する場合、パソコンからの給電のみで動作するのでACアダプターが必要なく、パソコン本体の電源が切れるとブレイルテンダーの電源も切れ点字表示が引っ込むため、オン/オフがわかりやすい。ただし、シリアルケーブルを使ってパソコンと接続する場合は電源アダプターが必要で、その際のオン/オフはわかりにくくなる。 ・パソコンのキーボードと点字表示部分の距離が近いため、手の移動が比較的軽減される。 (3) 短所 ・点字ディスプレイとしての機能しかなく、ブレイルメモシリーズのような電子手帳機能がない。 ・点字キーによる文字入力はできるが、2014年1月現在、点字出力をさせながらの点字キーによる操作は難しいため、今後その対応が期待される。 2.ブレイルメモ32(BM32) (1) 主な仕様 【インターフェース】シリアル、USB、Bluetooth 【マス数】32 【内蔵メモリ】6.5MB、USBメモリドライブも内蔵 【充電池】着脱型の充電池で16時間使用可 【外形寸法】269W×129D×40H[mm] 【重量】1.0kg  【価格】販売終了 【メーカー】 KGS株式会社 (2) 長所 ・点字マス数が32マスあるため、点字表示部をスクロールする手間が比較的軽減される。 ・パソコンに接続し点字ディスプレイとして、または、単体で点字の読み書きを行う点字電子手帳としても使用可能。 ・点字電子手帳の機能として、時計、カレンダー、計算機、チャット機能などがある。 ・点字が32マスで、これは日本の標準点字と同じマス数のため点字図書等の点字データを読むときに便利。 (3) 短所 ・パソコンに接続する場合、あらかじめ充電しておくか、ACアダプターを繋いで使用する必要がある。 ・ACアダプターを使用する際、ACアダプターの差込口が背面にあるため、パソコンから少し離れて設置することになり、手の移動に多少負担がかかる。 ・パソコンの電源をオン/オフするたびに、ブレイルメモ32本体も背面の電源スイッチでオン/オフしなければならない。 ・パソコンの電源が完全にオフになったかどうかは、ブレイルメモ32で確認することができず、パソコンのDVDドライバーのトレイを触覚で確認する等の工夫が必要である。 ・操作ミスで、点字ディスプレイモードと点字電子手帳モードを切り替えてしまい、点字ディスプレイが使いづらくなってしまうというケースがある。 ・点字キーによる文字入力はできるが、2014年1月現在、点字出力をさせながらの点字キーによる操作は難しいため、今後その対応が期待される。 (4) 注意点 ・生産が終了している。 ・パソコンとUSBケーブルで接続する際、時々動作が不安定になることが確認されており、シリアルケーブルまたはシリアル/USB変換ケーブルを使ってパソコンと接続することを推奨する。(本節2の「2.シリアルケーブルで接続する」「3.シリアル/USB変換アダプターで接続する」参照) 3.ブレイルメモ24(BM24) (1) 主な仕様 【インターフェース】シリアル、USB、Bluetooth 【マス数】24 【内蔵メモリ】5MB 【充電池】内蔵型の充電池で20時間使用可 【外形寸法】216W×164D×41H[mm] 【重量】1.0kg  【価格】販売終了 【メーカー】 KGS株式会社 (2) 長所 ・パソコンに接続し点字ディスプレイとして、または、単体で点字の読み書きを行う点字電子手帳としても使用可能。 ・点字電子手帳の機能として、時計、カレンダー、計算機、チャット機能などがある。 ・小型のため、持ち運びに便利。 (3) 短所 ・パソコンに接続する場合、あらかじめ充電しておくか、ACアダプターを繋いで使用する必要がある。 ・ACアダプター、USBケーブル、シリアルケーブルの差込口が背面にあるため、パソコンから少し離れて設置することになり、手の移動の負担が比較的大きい。 ・点字ディスプレイとして使用する場合、24マスだと、点字表示部をスクロールする手間がかなり増える。 ・パソコンの電源をオン/オフするたびに、ブレイルメモ24本体も背面の電源スイッチでオン/オフしなければならない。 ・パソコンの電源が完全にオフになったかどうかは、ブレイルメモ24で確認することができず、パソコンのDVDドライバーのトレイを触覚で確認する等の工夫が必要である。 ・操作ミスで、点字ディスプレイモードと点字電子手帳モードを切り替えてしまい、点字ディスプレイが使いづらくなってしまうというケースがある。 ・点字キーによる文字入力はできるが、2014年1月現在、点字出力をさせながらの点字キーによる操作は難しいため、今後その対応が期待される。 (4) 注意点 ・生産が終了している。 4.ブレイルメモ46(BM46) (1) 主な仕様 【インターフェース】シリアル、USB、Bluetooth 【マス数】46 【内蔵メモリ】5MB 【充電池】着脱型の充電池で18時間使用可 【外形寸法】330W×160D×47H[mm] 【重量】2.0kg  【価格】販売終了 【メーカー】 KGS株式会社 (2) 長所 ・パソコンに接続し点字ディスプレイとして、または、単体で点字の読み書きを行う点字電子手帳としても使用可能。 ・点字電子手帳の機能として、時計、カレンダー、計算機、チャット機能などがある。 ・46マスと点字マス数が多いため、点字表示部をスクロールする手間が軽減される。 (3) 短所 ・パソコンに接続する場合、あらかじめ充電しておくか、ACアダプターを繋いで使用する必要がある。 ・ACアダプター、USBケーブル、シリアルケーブルの差込口が背面にあるため、パソコンのキーボードと点字表示部の距離が離れてしまい、手の移動の負担が比較的大きい。 ・パソコンの電源をオン/オフするたびに、ブレイルメモ46本体も背面の電源スイッチでオン/オフしなければならない。 ・パソコンの電源が完全にオフになったかどうかは、ブレイルメモ46で確認することができず、パソコンのDVDドライバーのトレイを触覚で確認する等の工夫が必要である。 ・操作ミスで、点字ディスプレイモードと点字電子手帳モードを切り替えてしまい、点字ディスプレイが使いづらくなってしまうというケースがある。 ・点字キーによる文字入力はできるが、2014年1月現在、点字出力をさせながらの点字キーによる操作は難しいため、今後その対応が期待される。 (4) 注意点  ・生産が終了している。 5.ブレイルメモスマート16(BMS16)  ブレイルメモスマート16は2013年11月に製作発表されました。2014年1月現在では受注販売なっています。最新情報はKGS株式会社のホームページで確認してください。 (1) 主な仕様 【インターフェース】USB、Bluetooth 【マス数】16 【外形寸法】188W×118D×20.5H[mm] 【重量】約 500 g  【価格】303,450円(税込) 【メーカー】 KGS株式会社 (2) 特徴  単体で、点字、テキスト(漢字仮名混じり文)の読み書きを行う点字電子手帳としても使用できる。USBメモリドライブの他、SD/SDHCドライブを内蔵。時計、カレンダー、計算機、チャット機能などが点字表示で利用できる。点字表示だけでなく音声読み上げ機能やボイスレコーダー機能も搭載。 6.ブレイルメモスマート40(BMS40)  2014年1月現在、まだ発売されていません。最新情報はKGS株式会社のホームページで確認してください。 (1) 主な仕様 【インターフェース】USB、Bluetooth 【マス数】40 【メーカー】 KGS株式会社 (2) 特徴  単体で、点字、テキスト(漢字仮名混じり文)の読み書きを行う点字電子手帳としても使用できる。USBメモリのドライブ他、SD/SDHCカードドライブを内蔵。時計、カレンダー、計算機、チャット機能などが点字表示で利用できる。点字表示だけでなく音声読み上げ機能やボイスレコーダー機能も搭載。 3 スクリーンリーダーを揃える  画面に写し出された情報を、点字に変換して表示させたり、合成音声で読み上げさせたりするためのソフトウェアを「スクリーンリーダー」と言います。  画面に文字として表示されているものに加え、必要に応じて、画面がどのような状態にあるか、自分がどのようなプログラムを使っているかといった状況説明も行われます。OS自体に機能を加えるものなので、そのOSの上で動作するアプリケーションも、基本的には点字化・音声化できます。  盲ろう者や視覚障害者を対象に開発されたソフトウェアなので、日常生活用具等としての購入助成を受けられる場合があります。盲ろう者が住んでいる市区町村で確認してください。  本マニュアルでは、PC-Talker8+BrailleWorksとNVDA日本語版を取り上げ解説します。  なお、各スクリーンリーダーの価格は2014年1月現在のものです。 1.PC-Talker8+BrailleWorks(ピーシートーカーエイト+ブレイルワークス)  国産の代表的なスクリーンリーダーの一つです。  これまでのPC-Talker8は、音声出力される情報を、そのまま点字ディスプレイに出力するだけであったため、点字利用の盲ろう者には利用しにくいスクリーンリーダーでした。しかし、2011年3月にオプションソフトとして発売されたBrailleWorksを組み込むことで次の機能が使えるようになりました。 ●主な機能 ・点字ディスプレイ上の方向キーによる項目間の移動。 ・エディット画面内でのカーソル位置表示と、タッチカーソルによる画面上のカーソルの移動。 ・点字ディスプレイの表示に合わせたカーソル連動。 ・選択範囲の表示。 ・日本語入力時の変換候補や文節の区切り等の表示。 ・ステータス表示による各種情報の提示。  このように、点字出力だけでも文書編集等がかなりできるようになりました。  また、点字入力ソフトKTOSが同梱されており、KTOSをインストールすれば点字入力も可能です。(本節4の「1.KTOS」参照) 【開発・販売元】株式会社 高知システム開発 【URL】http://www.aok-net.com/ 【価格】PC-Talker:39,900円(税込) BrailleWorks:29,400円(税込) 2.NVDA(エヌブイディーエー)日本語版  NVDA日本語版は無償で配布しており、NVDA日本語版プロジェクトのホームページからダウンロードすることができます。  Windows 7およびWindows 8に対応しており、インストールをすることなく、USBメモリやCDからプログラムを直接立ち上げることができます。世界的なプロジェクトの一部として、日本語版も開発されており、近年点字環境も充実してきたことから、今後大いに期待できるスクリーンリーダーの一つだと言えます。 【開発】NVDA contributors 【URL】http://sourceforge.jp/projects/nvdajp/ 【価格】無料 3.Catwalk(キャットウォーク)  他のパソコンからのリモート操作への対応や、独自の画面解析機能等も搭載されており、他のスクリーンリーダーでは読めない情報も読み取れたりするので、今後の開発が注目されます。 【開発・販売】Kazusoft 【URL】http://www.kazusoft.com/ 【価格】12,600円(3年契約) 4.JAWS for Windows(ジョーズフォーウィンドウズ)  いつでも画面の好きな所を確認できるレビュー機能等も搭載された、非常に高機能なスクリーンリーダーです。Microsoft Office等のビジネス向けアプリケーションまでも高度に使いこなせるような配慮が施されています。  スクリプトを作成して動作を細かく調整すれば、使いやすい環境の構築や、新たなアプリケーション、学校や職場などの特別なシステムへも対応できる可能性があります。  画面上の多くの情報を詳細に点字表示できるため、中〜上級ユーザーにとっては利用価値の高い製品です。しかし、その情報量の多さが、初心者や点字の苦手な盲ろう者にとってのハードルになり得るので、注意が必要です。  50カ国以上で使われ、その名前やプログラムアイコンの「サメ」が示すように、最強のスクリーンリーダーといっても過言ではありませんが、他のスクリーンリーダーに比べて価格が高いことから、購入を検討する際は、今後のパソコンの利用頻度や、活用度合い等も考慮すると良いでしょう。  また、就労を実現している盲ろう者や高等教育の課程にある盲ろう者にとっては、重要な選択肢となるでしょう。 【開発】米国・フリーダムサイエンティフィック 【日本語版開発・販売】有限会社エクストラ 【URL】http://www.extra.co.jp/ 【価格】149,100円(税込) 4 点字入力ソフトを揃える 1.KTOS(ケイトス)   2014年1月現在、安定的に使用できる点字入力ソフトは、PC-Talkerに付属しているKTOSのみです。PC-Talkerのインストール時に一緒にインストールすることで次の機能を使うことができます。  なお、KTOS単体での販売は行われていません。 ●主な機能 ・パーキンス式のかな点字入力。 ・パーキンス式の点漢字入力。 ・かな点字による表示。 ・点漢字による表示。 ・矢印キー、頻用されるPC-Talkerのキーコマンドなどの、点字キー周辺キーへの配置換え。 ※他のスクリーンリーダー上でKTOSのみを単独で使うことは可能ですが、PC-Talkerとの併用を前提に開発されているので、設定画面、点漢字の直接入力などが適切に点字表示されないことがあります。 【開発・販売元】株式会社 高知システム開発 【URL】http://www.aok-net.com/ 【価格】PC-Talker:39,900円(税込) 5 メールソフトを揃える  盲ろう者、特に点字ユーザーに使いやすく設計されているWindows 8対応のメールソフトを紹介します。  なお、価格は2014年1月現在のものです。 1.MyMailIII(マイメールスリー)  盲ろう者・視覚障害者用に開発されたメールソフトです。PC-Talker上で動作し、[Enter]と[Esc]または[矢印キー]での操作を基本としたわかりやすい設計になっています。また画面表示を適切に点字や音声で表示することが可能です。  高知システム開発は視覚障害者向けの独自ソフトウェアを開発してきた長い歴史があり、矢印キーによるメニュー選択、ファンクションキーによるコマンドの実行、点字入力の際には、点字キーと周辺キーだけで各種の操作ができるといった操作方式を継承してきていることから、視覚障害者の中には多くの愛好者がいます。そのせいもあって音声による操作を重視し過ぎているところがあり、自動的に読み続けてしまう音声を止める操作をしないと、点字ディスプレイでは内容をうまく読み取れないといった場合があります。(他の高知システム開発製のアプリケーションも同様です) ※MyMailを点字ディスプレイで使用するには、スクリーンリーダーはPC-TalkerとBrailleWorksを使用する必要があります。 【開発・販売元】株式会社 高知システム開発 【URL】http://www.aok-net.com/ 【価格】18,900円(税込) 2.やむメール  視覚障害者や肢体不自由者向けに開発されたバリアフリー型メールソフトです。様々なスクリーンリーダーに対応しており、無料で使えるスクリーンリーダー「NVDA」との組み合わせでも点字表示が可能です。  やむメールはユーザーのスキルにあわせて三つの操作方法が選べたり、ファックス送信や やむメールのモバイル機能(USBメモリにやむメール本体を保存して持ち歩く)などの機能も搭載されています。また、体の動かしにくい人向けに音声での操作やゲームパッドでの操作も可能です。 ※2014年1月現在、NVDAとの組み合わせでは簡単モードの画面で一部点字で表示されない不具合があります。(通常モードや超簡単モードでは問題なく使用できます)また、PC-Talkerとの組み合わせでも一部不具合があります。随時プログラムの修正は行われていますので、ホームページなどで最新情報をご確認ください。 ※別途スクリーンリーダーと、点字入力する場合は点字入力ソフトが必要です。 【開発・販売】パソコン教室やむ 【URL】http://pcyam.com/YamMail/index.htm 【価格】3,200円 6 ニュース閲覧ソフトを揃える 1.MyNews(マイニュース)   ホームページ上のニュースサイトから、記事や見出しのみを切り出して一覧表示するソフトです。これにより、盲ろう者や視覚障害者が、矢印キーの操作にてスムーズにニュースをよむことができます。またフリーワードによる検索機能もあります。  内容はニュースに限りますが、サーチエイドのようなフリーワードによる検索機能もあります。  MyMailIIIなどの他の高知システム開発製のアプリケーションと、メニュー構成や操作方法ができるだけ同じになるように設計されています。 ※MyNewsを点字ディスプレイで使用するには、スクリーンリーダーはPC-TalkerとBrailleWorksを使用する必要があります。 【開発・販売元】株式会社 高知システム開発 【URL】http://www.aok-net.com/ 【価格】21,000円(税込) 2.GSニュース(ジーエスニュース)  視覚障害者向けのニュース閲覧ソフトでシェアウェアです。制限はありますがライセンスを取得せず無料でニュース記事を読むこともでき、経済的な負担を軽減したいという盲ろう者にお勧めです。ライセンスを取得すると、閲覧できるニュース記事の件数が増えたり、ニュース記事をテキスト保存ができる等、様々な機能が使えるようになります。  操作方法は基本的に矢印キーとエンターキーの組み合わせで、ニュース記事を受信メールのように読むことができます。 ※別途スクリーンリーダーと、点字入力する場合は点字入力ソフトが必要です。 【開発・配布】GawachanSOft 【URL】http://www.gawachan.com/ 【価格】6,800円(無料で使える機能あり) 【URL】http://www.aok-net.com/ 7 その他のソフト 1.MyBookII(マイブックツー)  点字文書、テキスト・PDF・Word・Excel・ドットブックといった様々な墨字文書、デイジーなどの音声図書を手軽に読むための読書アプリケーションです。  インターネット上のサービスも利用可能で、点字図書はサピエ図書館での検索とダウンロードに対応する他、青空文庫、理想書店などが検索できます。  集めた文書は、本棚に登録できます。読み終えた位置が記憶されるので、次回、続きからすぐに読めます。しおりも設定できます。  MyMailIIIなどの他の高知システム開発製のアプリケーションと、メニュー構成や操作方法ができるだけ同じになるように設計されています。 ※MyBookIIを点字ディスプレイで使用するには、スクリーンリーダーはPC-TalkerとBrailleWorksを使用する必要があります。 【開発・販売元】株式会社 高知システム開発 【URL】http://www.aok-net.com/ 【価格】39,900円(税込) 2.その他のMyシリーズ  高知システム開発製のアプリケーションのほとんどは「My○○」と名づけられており、他に以下のようなソフトがあります ・MyRoot(マイルート) 21,000円(税込)  店舗案内、鉄道の路線・乗り換え案内、観光ガイドを検索できる。 ・MyDoctor(マイドクター) 21,000円(税込)  医療・健康情報、病院を検索できる。 ・MyDic(マイディック) 21,000円(税込)  インターネット上の辞書、CD-ROMによる辞書(EPWING、電子ブック)を閲覧できる。 ※Myシリーズを点字ディスプレイで使用するには、スクリーンリーダーはPC-TalkerとBrailleWorksを使用する必要があります。 【開発・販売元】株式会社 高知システム開発 【URL】http://www.aok-net.com/ ※本マニュアルでは、その他のMyシリーズの指導法は割愛します。 第3節 パソコンとソフトウェアの設定  Windows全般に関すること、また、前節で紹介したスクリーンリーダーやアプリケーションについて、指導者側が事前に設定しておかなければならないことや特性についてまとめました。盲ろう者の状況に応じて、適切な環境を構築してください。 1 パソコンのセットアップ  パソコンを購入後、点字ユーザー向けに環境を構築するには、おおむね次のような順番で行います。必ずしもこの通りとは限りませんが、スクリーンリーダーのインストールは早い段階で行いましょう。 ●セットアップの順番  @Windowsのセットアップ。  Aスクリーンリーダーのインストール。  B各種アプリケーション(メールソフト、ニュース閲覧ソフト等)のインストール。  Cネットワークの設定。  D点字ディスプレイの接続、スクリーンリーダー(点字ディスプレイ)の設定。  EWindowsの設定。  Fスクリーンリーダー(点字表示・音声出力)、各種アプリケーションの設定。  セットアップやインストールは、各ソフトウェア付属の説明書を見ながら行ってください。  ここではDEFについて解説します。 2 点字ディスプレイの接続  パソコンと点字ディスプレイを接続する方法は3パターンあります。   1.USBケーブルで接続する  パソコンと点字ディスプレイをUSBケーブルのみで接続する方法が一般的です。USBケーブルのみで接続する場合、USBドライバーを正しくインストールする必要があります。  ブレイルテンダー(BT46)はUSBによる電源供給が可能ですので、ACアダプターは不要です。その他の点字ディスプレイはACアダプターに接続、または、あらかじめ充電しておくことが必要です。  USBケーブルでの接続は(1)から(8)の手順で行ってください。 (1) USBドライバーのインストールファイルを準備  以下のいずれかの方法で準備します。 ・各点字ディスプレイ付属のCDに収録されているインストールファイルを準備。 ・付属のCDが手元にない場合は、点字ディスプレイのメーカーのホームページよりダウンロードする。 (2) パソコン側のUSBポートの決定  決められたUSBポートでしか使用できないので、あらかじめ接続するUSBポートを決めておく必要があります。外付けのキーボードやマウスを使う場合があるので、なるべく邪魔にならないポートを選択しましょう。   (3) ブレイルテンダーのバージョンを確認する  ブレイルテンダーにはVer1.0とVer2.0の二つのバージョンがあります。バージョンによってUSBドライバーが異なるので、以下のいずれかの方法で確認が必要です。  なお、他の点字ディスプレイは、この作業は必要ありません。 ・ブレイルテンダーの裏面に貼ってあるシールで確認する。 ※シリアルナンバーがあらかじめわかっていれば、シリアルナンバーでも判断できる。BT460001からBT460262はVer1.0、BT460263以降はVer2.0。 ・ブレイルテンダーにACアダプターを繋ぎ、最初に表示される点字を確認する。 (4) ブレイルテンダーVer1.0、ブレイルメモ24、ブレイルメモ46、ブレイルメモ32のUSBドライバーの互換モード設定  ブレイルテンダーVer 1.0、ブレイルメモ24、ブレイルメモ46、ブレイルメモ32のUSBドライバーは、2014年1月現在、Windows 8に正式対応していないため、インストールする前に互換モードの設定をします。  なお、ブレイルテンダー Ver2.0は、この作業は必要ありません。 @ (1)で入手したインストールファイルを右クリック。 ・ブレイルテンダー Ver1.0、ブレイルメモ24、ブレイルメモ46のUSBドライバーのインストールファイル名 → ksusbserdrv145.exe  ・ブレイルメモのUSBドライバーのインストールファイル名 → bm32drv312.exe  ※ブレイルメモ32のUSBケーブルでの接続は時々動作が不安定になることが確認されています。シリアルケーブルまたはシリアル/USB変換ケーブルを使ってパソコンと接続することをお薦めします。 Aコンテキストメニューが表れるので<プロパティ>を選択。 B<互換性>タブを選択。 C<互換モードでこのプログラムを実行する>にチェックを入れる。 DOS選択で<Windows 7>を選択。 E<OK>を選択し完了する。 (5) USBドライバーのインストール a)ブレイルテンダー Ver1.0、ブレイルメモ24、ブレイルメモ46とブレイルメモ32  ブレイルテンダー Ver1.0、ブレイルメモ24、ブレイルメモ46とブレイルメモ32のインストールファイルはほとんど同じです。(4)の互換モードの設定をしてからインストールしてください。 @各インストールファイルをダブルクリックするか[Enter]で実行。 A<インストール>が選択されていることを確認し、<OK>を選択。 Bデバイスを確認し、<OK>を選択。 C終了のメッセージが出るので<OK>を選択し完了する。 b)ブレイルテンダー Ver2.0  ブレイルテンダーのUSBドライバーのインストールファイルは英語表示なので注意が必要です。 @ (1)で入手したインストールファイルをダブルクリックするか[Enter]で実行する。 ・ブレイルメモ32のUSBドライバーのインストールファイル名 → CP210x_VCP_Win7.exe A<Install a new instance of this application.>が選択されていることを確認し<Next>を選択。 Bインストールウィザードを開始するメッセージが表示されるので、<Next>を選択。 C使用許諾書に同意するかどうかを聞かれるので、<I accept the terms of the license agreement>を選択し、<Next>を選択。 D保存先を聞かれるので、<Next>を選択。 Eインストールの準備ができというメッセージが表示されるので、<Install>を選択。 Fインストールを開始するメッセージが表示されるので、<Launch the CP210 VCP Driver Installer>にチェックを入れ、<Finish>を選択。 G<Install>を選択。 Hインストールが成功したというメッセージが表示されるので、<OK>を選択。 (6) USBケーブルを点字ディスプレイとパソコンにつなぐ  つないだ後、ブレイルメモ32、ブレイルメモ24、ブレイルメモ46)は電源を入れる。  ※ここで接続したUSBポートでしか使用できなません。 (7) COMポート番号を控える  下記の手順で、パソコンの<デバイスマネージャー>を開き、<ポート>にUSBドライバーの名前が表示されるかどうか確認し、ポート番号(COM番号)を控えておきます。(スクリーンリーダーの設定で必要です) a)マウスでの操作 @画面の右上隅にマウスポインターを合わせてチャームを出し、<設定>を選択。 A<PC情報>を選択。 B画面左側の<デバイスマネージャー>を選択。 C<ポート(COMとLPT)>の中に、インストールしたUSBドライバーの名前が表示されているかどうかを確認。COM番号を控える。下の写真だとCOM4) b)マウスを使わない場合の操作 @[ウィンドウズ]を押しながら[ X ]を押し、左下のショートカットメニューを表示。 A[下矢印キー]で<デバイスマネージャ>を選択。 後はa)のCと同じ。 (8) スクリーンリーダーの設定  スクリーンリーダーで点字ディスプレイの設定をし、きちんと点字が表示されるかどうか確認する。(本節の「3 PC-Talker8 + BrailleWorksの設定」、「4 NVDA日本語版の設定」参照) (9) うまく接続できない時は @スクリーンリーダーの設定を確認する。 AUSBドライバーがインストールされているかどうかデバイスマネージャーで確認する。 BUSBドライバーを再インストールする。(アンインストール後、再度インストール) C点字ディスプレイ側の通信速度とスクリーンリーダー側の通信速度が合っているかどうかを確認する。 ※点字ディスプレイ側の通信速度を確認する方法は、各点字ディスプレイ付属の説明書を参照してください。点字ディスプレイの点字を読みながら操作することになります。 D他の接続方法を試みる。 (10) USBドライバーのアンインストール  インストールファイルを実行し、アンインストールを選択後、ウィザードに合わせてアンインストールします。 ※<コントロールパネル>の<プログラムと機能>からはアンインストールしないようにしください。 2.シリアルケーブルで接続する  パソコン側にシリアル(RS-232C)ポートがある場合、リバース(またはクロス)という種類のシリアルケーブルで接続します。 ※ストレートという種類のケーブルでは接続できません。    この場合、ドライバー等のインストールは必要ありません。シリアルケーブルでつなぐだけで使用可能で、パソコンと点字ディスプレイの接続が最も安定している方法です。 ※ブレイルテンダーはACアダプタ−を接続して使用する必要があります。 ※シリアルポート搭載のノート型パソコンは現在ほとんどありません。シリアルポートがどうしても必要な場合は、デスクトップ型パソコンか、オーダーメイドできるノート型パソコンを選びましょう。 3.シリアル/USB変換アダプターで接続する  パソコン側にシリアル(RS-232C)ポートがなくUSBケーブルのみでの接続が不安定な場合など、シリアルケーブルとシリアル/USB変換アダプターを使って接続します。 ※シリアルケーブルはリバース(またはクロス)という種類を使います。ストレートという種類では接続できません。 ※ブレイルテンダーはACアダプタ−を接続して使用する必要があります。 ※シリアル/USB変換アダプターは製品によっては、Windows 8対応のドライバーが同梱されてなく、ホーム ページでのみWindows8のドライバーを公開しているメーカーもあります。ホームページや店頭で対応OSを確認し購入するようにしてください。 ●設定の手順 @シリアル/USB変換アダプターに同梱されているCDにドライバーが入っているので、説明書に従ってドライバーをインストールする。  ※インストールの際にシリアル/USB変換ケーブルを差し込んだUSBポートは、後から別のポートに変更することはできないので、どのUSBポートを点字ディスプレイの専用ポートにするかをあらかじめ決めておく必要がある。 Aシリアルケーブルとシリアル/USB変換アダプターをつなぎ、点字ディスプレイのシリアルポートに差し込む。 BCOMポート番号を控える。 「1.USBケーブルで接続する」の(7)を参照してください。 Cスクリーンリーダーの点字ディスプレイ設定を行う。(本節の「3 PC-Talker8+BrailleWorksの設定」、「4 NVDA日本語版の設定」参照) 4.Bluetooth(ブルートゥース)接続  ブレイルメモ24、ブレイルメモ32、ブレイルメモ46はBluetoothで接続することができます。(パソコン側にBluetoothアダプターが付属されているかどうか要確認)  Bluetoothで接続する時は毎回、点字ディスプレイ側での操作が必要になりますので、初心者にはお薦めしません。 3 PC-Talker8+BrailleWorksの設定  USBドライバー等がインストールでき、点字ディスプレイとパソコンの接続ができたら、スクリーンリーダーから点字出力が行われるように設定します。  ここでは、PC-Talker+BrailleWorksの有用な設定項目についても触れておきます。 1.インストール  PC-Talkerを手順に従いインストールすると、以降はパソコンの起動時にPC-Talkerも自動的に立ち上がる設定になります。  点字入力を使う場合には、PC-Talkerインストール後に、AOKメニュー内のKTOSのショートカットを実行することで、KTOSをインストールします。  PC-Talkerの動作が確認できたらBrailleWorksをインストールします。 2.PC-Talkerの設定画面を開く  次のいずれかの方法で設定画面を開きます。   (1) AOKメニューから開く @PC-TalkerとBrailleWorksをインストール後、PC-Talkerが立ち上がっている状態で、<スタートメニュー>の<すべてのプログラム>から、または[F12]を押し<AOKメニュー>を開く。 A<PC-Talkerの設定>を開く。 (2) ショートカットキーで開く  <PC-Talkerの設定>を開くショートカットキー … [Ctrl]+[Alt]+[F12]    初期状態のパソコンは、上記のショートカットキーを押すと、インテルグラフィックメディアのコントロールパネルが開いてしまいます。  もしインテルグラフィックメディアコントロールパネルが開いてしまったら、<基本モード>で<OK>を実行し、<オプションとサポート>の中の<ホットキー機能>の<有効化>のチェックを外してください。  これで次からは、上記ショートカットキーでPC-Talkerの設定画面を開くことができます。 (3) タスクトレイのアイコンをクリックする  タスクトレイのPC-Talkerのアイコンをクリックすることで<PC-Talkerの設定>を開くこともできます。 3.点字ディスプレイの設定 @PC-Talkerの設定画面を開く A<ピンディスプレイの設定>を開く。 B<ピンディスプレイを使用する>にチェックを入れる。 C下の方にある<ピンディスプレイ機器の変更>を選択、<ピンディスプレイ機器の変更>を開く。 D接続している点字ディスプレイに合わせて設定。 → 接続している点字ディスプレイに合わせて、機種、通信ポート(COM番号)、通信速度を設定。通信速度は9600bpsにする。 ※COM番号の調べ方は本節2の1の「(7)COMポート番号を控える」を参照。 ※もし9600bpsで接続できない場合は、各点字ディスプレイのマニュアルを参照し、点字ディスプレイ本体の通信速度を変更する。 E<設定>を選択し<ピンディスプレイ機器の設定>画面を閉じる。 F<設定>を選択し<ピンディスプレイの設定>画面を閉じる。 G[ウィンドウズ]を押しスタートメニューを開き、きちんと点字表示ができているかどうか確認する。 ※うまく点字表示できない場合は本節2の1の「(9)うまく接続できない時は」を参照してください。 4.点字表示の設定  <ピンディスプレイの設定>を開き、各設定を行う。 @<表示する点字> → <かな点字>が標準。 A<英語の点訳> → <1級(情報処理)>が標準。 B<詳細表示 漢字の読み> → 漢字などをかな点字で特定するために詳細な文字説明等を表示させるためのもので、<簡易読み>で通常は問題ない。 C<文書の表示モード> → 画面の情報を点字本のようなレイアウトで表示する<点訳モード>が設けられている。長い文章を読み続ける場合などを除き<通常モード>にしておく方が、画面のレイアウトが把握しやすい。 D<ワードラップ表示> → マスあけの箇所で行を移す慣習のある通常のかな点字では、ワードラップされている形が馴染みやすく、また読み取りの誤解も少なくなる。マス数の少ない点字ディスプレイを接続している場合は、1行が短くなり過ぎるので、<無効にする>に設定する方が読みやすくなる場合がある。 E<フォーカス時の初期表示> → <コントロールラベルから表示>がお薦め。<カーソル項目を優先して表示>にすると、現在の設定内容が点字ディスプレイの左端に表示されて設定内容を迅速に確認できるが、項目名を確認するには、点字ディスプレイの表示を行頭にスクロールさせることが必要。 F<カーソル> → 画面上のカーソルの位置を点字ディスプレイ上にどのように表すかの選択。点字の下に下線を付けることで表す<ライン表示>(比較的読みやすいのでお薦め)と、該当文字のピンが上下する<点滅表示>から選択。文字を読むだけでよいような場合は<表示しない>を選択することで、余分な点に煩わされずに読むことができる。ただし、文書編集をする際、カーソル位置を確認できた方が良いので、基本的にはライン表示を選択する。 G<日本語変換 注目文節> → 漢字変換をするときのテキスト説明文すべてにアンダーラインを表示するかどうかの設定。余分な点字が表示されない<注目文節だけ表示>がお薦め。 H<ステータスセル> → 各種の状態をコンパクトに表示するので上級者には有用なものだが、余分な記号が常に表示されるので、点字やパソコン操作に不慣れな盲ろう者には<表示しない>がお薦め。 I<点字メッセージ表示時間> → PC-Talkerが発する進捗状況のメッセージが、設定した時間だけ表示され、その後画面上の表示に戻る。<制限しない>に設定すると、タッチカーソルを押したり次の操作をするまで表示が継続されるので、触読に慣れていない盲ろう者もゆっくり情報を読み取ることができる。また、その都度メッセージを読むことが負担な盲ろう者は、デフォルトの<5.00秒>とし、次々と表示されるメッセージは読み飛ばすよう指導する方法もある。 J<設定>を選択。 5.カーソル文字の読み方の設定  <PC-Talkerの設定>の中の<カーソル文字の読み方>の中の<上下カーソル移動時1行読みする>にチェックを入れておいてください。チェックが入っていないと、点字表示が正しく行われないことがあります。 6.音声の設定  音声出力を必要とする盲ろう者のためには、PC-Talkerの設定メニューに、音声に関する複数の項目があります。声質や音量、声の高さなどの基本的な設定の他、状況別に読み上げるもの、読み上げなくてよいもの、説明の順序などが設定できます。他のSAPI音声がインストールされている場合には、それらも声の種類の一覧に表示されます。  初期設定では英数字部分をネイティブな英語で読み上げてくれますが、多くの人には聴き取りにくいので、<PC-Talkerの設定>画面内にある、<英語音声の設定>の項目をすべてオフにしておくと良いでしょう。 7.音声をオフにする  パソコンの音声出力を必要としない盲ろう者には、点字表示のみが行われるようにすることで、知らない内に他人にメールの内容を聞かれたりする心配がなくなります。PC-Talkerの音声出力を停止させたいときには、点字ディスプレイからの操作、またはパソコン本体側のミュートの機能で行ってください。  PC-Talker自体の音声出力をオフにすると、アクティブウィンドウ名、日付や時刻といった情報が点字表示されなくなってしまいます。 4 NVDA日本語版の設定 1.インストール  NVDA日本語版プロジェクトのホームページ(http://sourceforge.jp/projects/nvdajp/)からダウンロードし、インストールします。  KGS社製点字ディスプレイのブレイルテンダーやブレイルメモシリーズを使用する場合は、「BMシリーズ機器用ユーティリティ」を別途インストールする必要があります。「BMシリーズ機器用ユーティリティ」はKGS社製点字ディスプレイに同梱されているか、同社のホームページから入手することができます。 2.NVDAの起動方法  以下の二つの方法があります。 (1) ショートカットキーで起動 NVDA起動のショートカットキー …… [Ctrl]+[Alt]+[ N ] (2) スタートメニューから起動 <スタートメニュー>の<プログラム>にある<NVDA>ファルダの中の<NVDA>を選択。 3.NVDAキーについて  NVDAキーとは、NVDA独自のコマンド等を実行する時に使用するキーで、<設定>の中の<日本語設定>または<キーボード設定>で別のキーに割り当てることができます。  初期設定は[Insert]にNVDAキーが割り当てられていますので、ここではNVDAキーを[Insert]と表します。 4.点字ディスプレイの設定  KGS社のホームページか、各点字ディスプレイ付属の「BMシリーズ機器用ユーティリティ」をインストールしてから設定を行ってください。 @NVDAを起動する。 A[Insert]+[ N ]でNVDAメニューを開き<設定>を選択。 A<点字設定>を選択。 B<点字ディスプレイ>で接続している点字ディスプレイの機種を選択。 C<ポート>で、<自動設定>または点字ディスプレイを接続したポートの<COM番号>を選択。  ※複数の機器が接続されていてCOM番号が分からない場合は、コントロールパネルのデバイスマネージャーで確認する。(本節2の1の「(7)COMポート番号を振る」参照) D<出力テーブル>で<日本語6点情報処理点字>を選択。 E<入力テーブル>で<アメリカ英語8点コンピューター点字>を選択。 F<点字表示切替>で<レビュー>を選択。 G<OK>で設定を完了する。 H[ウィンドウズ]を押しスタートメニューを開き、きちんと点字表示ができているかどうか確認する。 ※うまく点字表示できない場合は、本節2の1の「(9)うまく接続できない時は」を参照してください。 5.余計な点字表示をオフにする  NVDAはパソコン上の様々な情報を点字表示(または音声出力)します。しかし情報が多すぎて混乱することもありますので、盲ろう者のレベルに合わせて点字表示を最小限にします。 @[Insert]+[ N ]でNVDAメニューを開き<設定>を選択。 A<オブジェクト表示>を選択。 B<オブジェクトのショートカットキーの通知>のチェックを外す。 C<オブジェクト位置情報の通知>のチェックを外す D<オブジェクトの説明の通知>のチェックを外す E<プログレスバー出力>は<読み上げ>を選択。 G<OK>で設定を完了する。 6.音声出力停止起動  音声出力をオフにした状態でNVDAを起動することができます。点字表示のみを必要とする盲ろう者は、音声出力をオフにしておくことで他人にメールの内容を聞かれたりする心配がなくなります。 @[Insert]+[ N ]でNVDAメニューを開き<設定>を選択。 A<音声エンジン>を選択。 B<音声エンジン>で<音声なし>を選択。 C<OK>で設定を完了する。 7.音声の設定  音声出力が必要な盲ろう者の場合は、<設定>の中の<音声エンジン>や<音声設定>で、声質、音量、速さ、抑揚などを設定できます。また、句読点や記号類などの読み上げや大文字の読み上げ方なども設定できます。 5 Windowsの基本設定 1.Windowsの設定  パソコンを購入しWindowsのセットアップ作業を済ませたばかりの状態では、各種プログラムの使い方、色々なサービスの勧誘広告などが自動的に動作するようになっている場合があります。これらのために、点字ディスプレイに余計な情報が表示されたりします。ウィンドウを閉じないと次に進めない場合も起こりえます。  また、プログラムのバージョンアップの通知などは、あるとき突然現われてフォーカスを奪ってしまい、操作が急にできなくなって盲ろう者を混乱させることもあります。  アップデートなどのメンテナンスは、月に一度ぐらい手動で誰かがやることにして、これら余計なものは、できるだけ取り外しておきましょう。  自動起動になっているユーティリティやアプリケーションは、<スタートアップ>フォルダ内のショートカットファイルのレジストリの項目などとして設定されています。これらの項目を探し出して取り外すのは細かい操作になりますので、設定に自信のない人は、詳しい人と一緒に行うことをお薦めします。   2.スタート画面について  Windows 8では、これまでのWindowsで採用されていた「スタートメニュー」が廃止され「スタート画面」というタイル状に項目が並ぶインターフェースが採用されました。このスタート画面はいろいろな項目が表示できる一方、なかなか目的の項目が探しにくいという不便さもあります。点字ユーザーにとっても使いにくい画面と言えます。そのため、次のような(1)から(5)のいずれかの方法で工夫をする必要があります。 (1) PC-Talker8付属のマイスタートメニューを使う  スクリーンリーダーにPC-Talker8を利用することが前提となりますが、PC-Talker8をインストールすると、「マイスタートメニュー」というアプリケーションが同時にインストールされます。これにより、従来のスタートメニューとほぼ同様の操作が実現します。また、各アイコンを右クリックしショートカットメニューの中にある「ピンどめ」という機能を使うことで、マイスタートメニューのトップに、良く利用するアプリケーションのアイコンだけを配置することも可能です。さらに、メニューの名前をわかりやすいかな表示に変更したり、メニューの先頭文字を数字にすることで、盲ろう者が利用しやすい環境の構築が可能です。 (2) スタートメニューアプリケーションを導入する  Windows 8でも、従来のスタートメニューを使いたいというニーズは一般的にも多く、そのため、スタートメニューのアプリケーションが多数存在しています。有料のものもあれば無料のものもあります。そうしたものを導入して、スタートメニューを構築することも可能です。ただし、あくまでもアプリケーションとして提供されるものなので、アップデートをしなければならなかったり、一部制限があったりすることを考慮しておく必要があります。 (3) アクセラレータキーを設定する  Windowsの一覧表示中では、項目名の先頭文字をアクセラレータキーとしてキーボードから入力すると、その項目までジャンプできる機能があります。メニュー項目を一つ一つ点字ディスプレイで読んでいく必要がなく、作業を軽減できます。  項目名を変更することで、この機能がより使いやすくなる場合があります。  先頭文字は、入力環境にもよりますが、一般的には半角のアルファベットや数字にしておくと使いやすいでしょう。 (4) タスクバーのワンタッチ起動  タスクバーに表示されているアプリケーションは、[ウィンドウズ]+[並び順に応じた数字キー(テンキーは不可)]のワンタッチで起動させることもできます。  スタート画面やスタートメニューアプリケーションの<すべてのプログラム>で表示されるアイコンを右クリックし、ショートカットメニューの中の<タスクバーにピン留め>を選択することで、タスクバーに表示する・しないを設定できます。 (5) 起動ショートカットキーを設定する  デスクトップに並んでいるアイコンのショートカットメニュー内の<プロパティ>でショートカットキーを設定すると、設定したショートカットキーの入力で、いつでもそのアプリケーションを起動できます。 3.電源オプションの設定  パソコンを一定時間使わないとスリープ状態になりますが、一度パソコンがスリープ状態になってしまうと点字ディスプレイが固まってしまうという現象が起きますので、あらかじめスリープ状態にならないよう設定しておきましょう。  <コントロールパネル>の<電源オプション>の<プラン設定の変更>を開き、<適用しない>を選択します。 4.Windowsの終了動作の設定  終了動作にどうしても手間取ってしまう盲ろう者の場合、電源ボタンを押すだけでWindowsを終了できる設定にすることが有効な場合があります。(強制終了してしまわないよう、ボタンを3秒以上押さないことをしっかり指導しなければなりません)  <コントロールパネル>の<電源オプション>等から<電源ボタンの動作の選択>を<シャットダウン>に設定します。 6 KTOSの設定 1.インストール  PC-Talkerインストール後に、AOKメニュー内のKTOSのショートカットを実行することで、KTOSをインストールできます。 2.KTOSの起動方法 @<スタートメニュー>の<すべてのプログラム>から、または[F12]を押し<AOKメニュー>を開く。 A<KTOS>を選択。 3.KTOSの設定 @KTOSを起動した状態で、<AOKメニュー>の<KTOSの設定>を、またはタスクトレイのアイコンを選択し、設定画面を開く。 A<点字キーの設定>を開く。 B<起動時の入力方式> → <点字キー>を選択。 C<起動時の入力体系> → 一般のかな点字のみを使用する場合も<六点漢字>を選択。 D<起動時の点字キー文字種> → かな漢字変換を使って文字を書いていく場合は<半角カタカナ>。 <全角カタカナ>にすると、その都度[Enter]キーを押すことなくカタカナだけの入力ができる。 <全角ひらがな>にすると文章としては読みやすくなるが、「は」が「わ」、「へ」が「え」、「う」が長音に変換されて点字表示されるので、入力した文字との違いに戸惑いを覚える場合がある。 E<6点の周辺キーに割り当てられたコマンドを使用しない>  → 点字で入力するときに間違えて他のキーを押してしまうことが多い場合、チェックを外しておくと誤動作を防止できる。 F<Windows起動時にKTOSを自動起動する> → フルキーをほとんど使わない場合はここにチェックを入れておくと良い。 ※設定画面の一番下にあるので画面からはみ出してしまい表示されない場合がある。その場合は[Tab]か[下矢印キー]でカーソルを移動する。 G<設定>を選択し完了する。 HKTOSを再起動する。 4.点字キー・フルキーの切り替え  3.の設定をすると点字入力モードになります。しかし、指導者がパソコンの設定をする時は点字入力モードのままだと不便ですので、KTOSを起動したままフルキーに切り替えます。次のいずれかの方法で行ってください。 (1) 設定画面で変更 @KTOSの設定画面を開く。 A<フルキー>を選択。 (2) ショートカットキーで変更  点字キー・フルキーの切り替えのショートカットキー …… [Shift] +[変換]  ※ショートカットキーを押すたびに点字キーとフルキーに切り替わる。 7 MyMailIIIの設定  メールソフトは、パソコンを利用する盲ろう者にとって最も身近に感じられるソフトウェアです。使いやすさを追求するため、その時々の盲ろう者のスキルに合わせた設定変更が必要になってきます。   1.アカウント設定  インストール後、メールアドレスなどは、インターネット接続プロバイダーからの契約書に基づいて、正しく設定してください。ポート番号や認証・暗号化に様々な方式が用いられるようになっています。SMTP認証でPOPサーバーと異なるIDとパスワードを設定するようになっている場合は、SMTP側の項目でもIDとパスワードを設定するのを忘れないよう注意しましょう。 2.自動読み上げを回避する設定  MyMailIIIをはじめ、高知システム開発製のMyシリーズアプリケーションでは、一覧から本文を開いたときなど、自動的に音声読み上げが行われる場合があります。  自動読み上げ中は、点字ディスプレイにも次々と点字表示が行われてしまいますので、読み上げをその都度止める必要があります。  MyMailIIIの起動後に以下の設定をすると、読み上げは行われません。 @<新規メール作成>以外の画面で、右クリックするか<アプリケーション>を押しコンテキストメニューを開き、<拡張機能オプション>を選択。 A<プレビュー画面へのタブキー移動を可能にする>にチェックを入れる。 B<設定>を選択し完了する。 3.受信メールに番号をつける  メール一覧に番号が付いている方が分かりやすいという盲ろう者には、次の方法で設定します。 @<環境>メニューから<メール一覧オプション>を選択。 A<起動時から番号付きで読み上げるようにする>にチェックを入れる。 B<設定>を選択。 CMyMailIIIを再起動する。 ※点字ディスプレイにはメール情報の前に番号がつきますが、画面には表示されません。 4.アドレス帳の登録  操作メニューにある<並び替え>から、盲ろう者の使いやすい並び順を設定しましょう。  アドレス帳の<備考>欄に番号などを書き込んでおいて、並べ方を<備考順>に設定することで、決めた通りの順にアドレス帳を表示させることもできます。 8 MyNewsの設定 1.一覧表示形式の設定  記事一覧に番号が付いている方が分かりやすいという盲ろう者には、次の方法で設定します。 @<環境>メニューから<ニュース一覧オプション>を選択。 A<項目を番号付きで読み上げる>にチェックを入れる。 B<設定>を選択。 9 MyBookIIの設定  サピエ図書館を利用するには、あらかじめ最寄りの点字図書館(「視覚障害者情報センター」などと名乗っている所もあります)を通じてサピエの利用登録をし、割り当てられたIDとパスワードをMyBookに設定する必要があります。 @トップメニューの<サピエ図書館>を選択。 A<サピエIDとパスワード>を選択。 Bログインに使用するサピエIDとパスワードを入力する。 C<登録>を選択し完了する。 10 やむメールの設定  2014年1月現在、NVDAとの組み合わせでは簡単モードの画面で一部点字で表示されない不具合があります。(通常モードや超簡単モードでは問題なく使用できます)また、PC-Talkerとの組み合わせでも一部不具合があります。随時プログラムの修正は行われていますので、ホームページなどで最新情報をご確認ください。 1.インストール  インストールした直後は<超簡単モード>で起動し、操作方法や操作音、アカウントの設定などがセットアップウィザードのように進みます。 ※ここで行った設定は後で変更することができます。 2.モードの設定変更  やむメールはユーザーのスキルに応じて3つのモードが用意されています。  メールの送受信のコマンドを「はい」と「いいえ」で答えながら操作ができる<超簡単モード>、上下矢印キーでメニューを選びながら操作ができる<簡単モード>、よく使われるコマンドはファンクションキーを押すことで実行できる<通常モード>があります。 モードの変更方法 @<通常モード>の画面でメニューバーの<設定>を開く。 A<システム関連 子メニュー6>を選択。 B<モード設定>を選択。 C各モードを選択。 D<はい>を選択。 3.メール一覧表示の設定  <受信箱>や<送信箱>等のメール一覧表示が、初期設定では<日付降順>(古い順)になっているため、<日付昇順>(新しい順)にした方が良い場合は変更します。 @<通常モード>の画面でメニューバーの<表示>を開く。 A<並べ替え 子メニュー10>を選択。 B<日付昇順>を選択 ※盲ろう者がわかりやすいように並び替えてください。 4.テキストの自動スクロールの設定  点字ユーザーがメールの本文を読む際、本文を文頭から自動で読み上げる機能<テキストの自動スクロール>の設定が<自動再生する>になっていると、点字ディスプレイの点字表示が次々と変わってしまい読みにくくなるので<自動再生しない>に変更しておきます。 @<通常モード>の画面でメニューバーの<設定>を開く。 A<操作関連 子メニュー4>を選択。 B<画面設定>を選択。 C<テキストの自動スクロール>で<自動再生にしない>を選択。 D<設定>を選択。 5.返信メールの引用文の設定  受信メールから返信メールを作成する際、受信メールの文章が引用文として残っていると自分が入力した文章と引用文が混じってしまうことがありますので、そういった場合は、引用文をつけない設定に変更します。 @<通常モード>の画面でメニューバーの<設定>を開く。 A<メール関連 子メニュー8>を選択。 B<全般設定>を選択。 C<返信・転送に引用をつける>で<引用をつけない>を選択。 D<登録>を選択し完了する。 6.その他の設定  アカウント設定は、インターネット接続プロバイダーからの契約書に基づいて、正しく設定してください。ポート番号や認証・暗号化に様々な方式が用いられるようになっています。SMTP認証でPOPサーバーと異なるIDとパスワードを設定するようになっている場合は、SMTP側の項目でもIDとパスワードを設定するのを忘れないよう注意しましょう。  アドレス帳は、指導者やご家族のメールアドレス等いくつか登録しておき、指導の際にすぐにメールの送受信ができるよう準備しておきます。 第4節 キー操作、点字ディスプレイ操作 本節では、指導者が知っておかなければならないキー操作と点字ディスプレイの操作について解説します。  点字ユーザーはマウスを使いませんので、指導者はこれらの操作を習得した上で指導にあたってください。 1 キー操作の基本  マウスで操作するものとばかり思われているWindowsですが、キーボードからもかなりの部分を操作することが可能です。画面を見ることのできない点字ユーザーは、このキーボードからの操作をフルに利用することで、パソコンが使えるようになるのです。  視覚障害者向けのパソコンの指導書には、多くの場合、詳細なキー操作が紹介されていますので、参考になると思います。 1.共通の操作 [矢印キー] … 前後左右の項目・文字へ移動 [Tab] … ループ、列などの大きめの項目間移動 [Shift]+[Tab]… ループ、列などの大きめの項目間を移動(逆順) [Ctrl]+[Tab]… 設定画面などのタブシートの切り替え [Shift]+[Ctrl]+[Tab]… 設定定画面などのタブシートの切り替え(逆順) [Enter] … 選択を決定し、次へ進む [スペース] … チェックボックス、項目の選択などのオン/オフ切り替え [Esc] … 作業を中断する 2.メニューとウインドウの操作 [ウィンドウズ]または[Ctrl]+[Esc]… スタートメニューの開閉 [Alt]または[F10] … メニューバーをアクティブ・非アクティブにする(メニューバー内を[左右矢印キー]で移動してメニューの種類を選択し、[下矢印キー]でメニューを開く) [アプリケーション]または[Shift]+[F10] … ショートカットメニューの開閉 [Alt]+[Tab]… アクティブウィンドウの切り替え [ウィンドウズ]+[ D ]… デスクトップをアクティブにする [ウィンドウズ]+[ B ]… タスクバーをアクティブにする 3.アクセラレータキー  各アプリケーションのボタン、メニュー項目などの横には、カッコで括られた下線付きの文字が表示されている場合があります。これはアクセラレータキーと言って、メニューを開いた状態でその文字をキーボードから入力すると、該当項目のところにジャンプできます。  例えば、メモ帳で[Alt]または[F10]を押してメニューバーをアクティブにしてから[ H ]を押すと、すぐに<ヘルプ>メニューを開くことができます。 4.ショートカットキー  メニューバーから開く各メニュー内では、項目の右端の方にショートカットキーが表示されます。ショートカットキーによって、メニューを開かなくても、いつでもその機能を呼び出すことができます。(複数のキーを同時に押さなければならない場合が多いため、必ずしも押しやすいとは限りません)  あまり使わない操作は忘れてしまうので、メニューの中を一つずつたどっていくのが良いでしょう。  よく使うものは、ショートカットキーやアクセラレータキーを覚えることで、操作が素早く簡単になります。論理的に使い方を覚えず、とにかく操作手順を丸暗記したい盲ろう者にとっても、適切にショートカットキーを取り入れることで、覚える量を少なくできます。 ※通常メニューバーが表示されていないアプリケーションでも、メニューバーを表示させる機能をオンにすることによって、色々な機能を容易にキー操作で使えるようにできる場合があります。 5.その他便利なショートカットキー  設定を行う際に覚えておくと便利なショートカットを紹介します。 [ウィンドウズ]+[ E ]… エクスプローラーでコンピュータを表示する [ウィンドウズ]+[ X ]… コントロールパネルやデバイスマネージャなど高度なコンテキストメニューを表示する [ウィンドウズ]+[ R ]… ファイル名を指定して実行を呼び出す 2 PC-Talker8+Brailleworksのショートカットキー・点字ディスプレイ操作 1.便利なショートカットキー [Ctrl]+[Shift]+[F3]… PC-Talkerの起動 [Ctrl]+[Alt]+[F3] … PC-Talkerの終了 [Ctrl]+[Alt]+[F12]… 設定画面を開く [Ctrl]+[Alt]+[F4] … 点字出力のオン/オフ [Ctrl]+[Alt]+[ 1 ]… アクティブウィンドウ名の通知 [Ctrl]+[Alt]+[ 2 ]… 起動アプリケーション数とアプリケーション名の通知 [Ctrl]+[Alt]+[ 3 ]… ステータスバー情報 [Ctrl]+[Alt]+[ , ] … カーソル位置の通知 [Ctrl]+[Alt]+[ / ]… 切り替えキーの状態 [Ctrl]+[Alt]+[ 8 ]… 現在時刻 ※点字入力モードで[Ctrl]や[Alt]キーなどが押されている時は、点字キーの機能は働かず、通常のフルキーボードとして動作します。 2.点字ディスプレイの基本操作  点字ディスプレイの操作方法は機種ごとに異なっているので、詳細はPC-Talker付属のマニュアル、BrailleWorksの<機種ごとの操作キー説明>を参照してください。 (1) ブレイルテンダー(BT46)  キーの位置は、ピンディスプレイ側の、<左手読み>(右手操作)<右手読み>(左手操作)の切り替え、および<ディスプレイの設定>の割り当てによって変わります。   ●<左手読み>(右手操作)の場合の主なキーの役割 [右小指キー1]… 表示送り(点字表示を文章の後方にスクロール) [右小指キー2]… 表示戻し(点字表示を文章の前方にスクロール) [右方向ボタンの方向キー]… キーボード上の矢印キーと同様 [左小指キー2]… オルト(キーボード上の[Alt]と同様) [右親指キー]… スペース(キーボード上の[スペース]と同様) [左親指キー]… エンター(キーボード上の[Enter]と同様) [右小指キー2]+[タッチカーソル46](一番右端のタッチカーソル)… 音声なし(点字出力のみ)・音声使用の切替 [右小指キー2]+[タッチカーソル1]… 通常モードと点訳モードの切替 [右小指キー2]+[タッチカーソル2]… カーソル表示の形式 [右小指キー2]+[タッチカーソル3]… ステータスセル表示の有無と位置 [右小指キー2]+[タッチカーソル4]… 表示する日本語点字の種類 [右小指キー2]+[タッチカーソル5]… 表示する英数記号点字の種類 [右小指キー2]+[タッチカーソル6]… 詳細読みの種類を切替 [右小指キー2]+[タッチカーソル45]… カーソル文字の詳細表示 [右小指キー2]+[タッチカーソル44]… 通常表示と詳細表示の切替 (2) ブレイルメモ32(BM32)  PC-Talkerを使って操作する上で、ブレイルメモ32は各キーの役割をより詳細にカスタマイズすることができます。しかし、キーの役割の変更はブレイルメモ32本体で行う必要があり、点字表示部の点字を読みながら設定しなければなりません。  ここでは初期設定のキー操作を紹介しますが、必要なときはブレイルメモ32の操作マニュアルを参考に盲ろう者に合わせてカスタマイズしてください。 ●<右手操作>(左手読み)の場合の主なキーの役割 [F1]… 表示戻し(点字表示を文章の前方にスクロール) [F4]… 表示送り(点字表示を文章の後方にスクロール) [右方向ボタンの方向キー]… キーボード上の矢印キーと同様 [F4]+[タッチカーソル32](一番右端のタッチカーソル)… 音声なし(点字出力のみ)・音声使用の切替 [F4]+[タッチカーソル1]… 通常モードと点訳モードの切替 [F4]+[タッチカーソル2]… カーソル表示の形式 [F4]+[タッチカーソル3]… ステータスセル表示の有無と位置 [F4]+[タッチカーソル4]… 表示する日本語点字の種類 [F4]+[タッチカーソル5]… 表示する英数記号点字の種類 [F4]+[タッチカーソル6]… 詳細読みの種類を切替 [F3]+[F4]+[タッチカーソル1]… カーソル文字の詳細表示 [F3]+[F4]+[タッチカーソル2]… 通常表示と詳細表示の切替 (3) ブレイルメモ(BM24)/ブレイルメモ(BM46) ※キーの位置は、点字ディスプレイ側の、<右手操作>(左手読み)<左手操作>(右手読み)の切り替え、および<キー入力のレイアウト><シフトキーのレイアウト>の割り当てによって変わります。 ●<右手操作>(左手読み)の場合の主なキーの役割 [F1] … 表示戻し(点字表示を文章の前方にスクロール) [F4] … 表示送り(点字表示を文章の後方にスクロール) [右方向ボタンの方向キー] … キーボード上の矢印キーと同様 [右小指キー2]… スタートキー(キーボード上の[ウィンドウズ]と同様) [左小指キー2]… オルト(キーボード上の[Alt]と同様) [右親指キー]… スペース(キーボード上の[スペース]と同様) [左親指キー]… エンター(キーボード上の[Enter]と同様) [左方向ボタンの上方向キー] … エスケープ(キーボード上の[Esc]と同様) [左方向ボタンの下方向キー] … タブ(キーボード上の[Tab]と同様) [F4]+[タッチカーソル32](一番右端のタッチカーソル) … 音声なし(点字出力のみ)・音声使用の切替 [F4]+[タッチカーソル1] … 通常モードと点訳モードの切替 [F4]+[タッチカーソル2] … カーソル表示の形式 [F4]+[タッチカーソル3] … ステータスセル表示の有無と位置 [F4]+[タッチカーソル4] … 表示する日本語点字の種類 [F4]+[タッチカーソル5] … 表示する英数記号点字の種類 [F4]+[タッチカーソル6] … 詳細読みの種類を切替 [F3]+[F4]+[タッチカーソル1] … カーソル文字の詳細表示 [F3]+[F4]+[タッチカーソル2] … 通常表示と詳細表示の切替 3 NVDA日本語版のショートカットキー・点字ディスプレイ操作 1.便利なショートカットキー一覧 [Insert]+[ N ] … NVDAメニューの表示(注1) [Ctrl]+[Alt]+[ N ] … NVDAの起動 [Insert]+[ Q ] … NVDAの終了 [Insert]+[ S ] … 読み上げモードの切り替え(声で読み上げ、ビープで読み上げ、読み上げなし) [Insert]+[Shift]+[ S ] … NVDAのスリープのオン/オフの切り替え [Insert]+[Ctrl]+[ T ] … 点字表示の切替えをフォーカスまたはレビュー [Insert]+[ T ] … 現在アクティブなウインドウタイトルの通知 [Insert]+[ F12 ] … 現在時刻の表示 [テンキー2]を2回押す … カーソル位置の文字の詳細読み ※テンキー操作を実行するには[NumLock]をオフにする必要がある。 (注1)[Insert]にNVDAキーが割り当てられています。NVDAキーはNVDA独自のコマンド等を実行する時に使用するキーで、<設定>の中の<日本語設定>または<キーボード設定>で別のキーに割り当てることができます。 2.点字ディスプレイの基本操作 (1) ブレイルテンダー(BT46)  NVDAの<設定>の<点字設定>の<点字ディスプレイ>で<KGS BrailleMemoシリーズ>を選択します。  <左手読み>(右手操作)または<右手読み>(左手操作)によってキーの割り当てが変わります。 ●<左手読み>(右手操作)の場合の主なキーの役割 [右小指キー1] … 表示戻し(点字表示を文章の前方にスクロール) [右小指キー2] … 表示送り(点字表示を文章の後方にスクロール) [右方向ボタンの方向キー] … キーボード上の矢印キーと同様 [左小指キー2] … オルト(パソコン上の[Alt]と同様) [右親指キー] … スペース(パソコン上の[スペース]と同様) [左親指キー] … エンター(パソコン上の[Enter]と同様) (2) ブレイルメモ32(BM32)  NVDAの<設定>の<点字設定>の<点字ディスプレイ>で<KGS BrailleMemoシリーズ>を選択します。  <右手操作>(左手読み)または<左手操作>(右手読み)によってキーの割り当てが変わります。 ●<右手操作>(左手読み)の場合の主なキーの役割 [右方向ボタン] … パソコン上の矢印キーと同様 [F1] … 表示戻し(点字表示を文章の前方にスクロール) [F4] … 表示送り(点字表示を文章の後方にスクロール) [右小指キー2] … スタートキー(パソコン上の[ウィンドウズ]と同様) [左小指キー2] … オルト(パソコン上の[Alt]と同様) [右親指キー] … スペース(パソコン上の[スペース]と同様) [左親指キー] … エンター(パソコン上の[Enter]と同様) [編集キー1] … エスケープ(パソコン上の[Esc]と同様) [編集キー2] … タブ(パソコン上の[Tab]と同様) [編集キー3] … デリート(パソコン上の[Del]と同様) [編集キー4] … バックスペース(パソコン上の[BackSpace]と同様) (3) ブレイルメモ(BM24)/ブレイルメモ(BM46)  キーの位置は、点字ディスプレイ側の、<右手操作>(左手読み)<左手操作>(右手読み)の切り替え、および<キー入力のレイアウト><シフトキーのレイアウト>の割り当てによって変わります。 ●<右手操作>(左手読み)の場合の主なキーの役割 [F1] … 表示戻し(点字表示を文章の前方にスクロール) [F4] … 表示送り(点字表示を文章の後方にスクロール) [右方向ボタンの方向キー] … キーボードの矢印キーと同様 [右小指キー2] … スタートキー(キーボード上の[ウィンドウズ]と同様) [左小指キー2] … オルト(キーボード上の[Alt]と同様) [右親指キー] … スペース(キーボード上の[スペース]と同様) [左親指キー] … エンター(キーボード上の[Enter]と同様) [左方向ボタンの上方向キー] … エスケープ(キーボード上の[Esc]と同様) [左方向ボタンの下方向キー] … タブ(キーボード上の[Tab]と同様) 4 KTOSのショートカットキー・記号入力 1.便利なショートカットキー・記号入力 点字入力とフルキー入力の切り替え… [Shift]+[変換] 点字入力モードでKTOSの設定を開く… [4・5・6の点]+[スペース] 2.前置符号一覧  アルファベットや数字の入力は、英字モードや数字モードに切り替えてから入力します。切り替えは点字表記に基づいた前置符号を使います。  なお、以下のキーの名称の数字は点字入力の際の点の番号になります。 英字モードへ切り替え … [2・3・6の点](外国語引用符 開き) 英字モードを終える(日本語モードに戻す) … [3・5・6の点](外国語引用符 閉じ) 英字の小文字モードで大文字を1回だけ入力 … [6の点](大文字 符) 英字の大文字モードへ切り替え … [6の点]を2回(二重 大文字 符) 英字の大文字モードを終える(小文字モードに戻す) … [5の点]を入力し、[6の点] 数字モードへ切替 … [3・4・5・6の点](数符) 数字モードを終える … [3・6の点] 3.英字モードの半角・全角切り替え  英字モードの時に有効です。 [ T ]… 全角文字・無変換 [ Y ]… 半角文字・無変換 [ H ]… 全角文字・変換 4.記号入力 (1) 日本語モードでの記号入力 。 (句点)…[2・5・6の点]を入力し、[スペース] 、 (読点)…[5・6の点]を入力し、[スペース] ? (疑問符)…[2・6の点]を入力し、[スペース] 「 (カギかっこ開き)…5・6の点]を入力し、[3・6の点] 」 (カギかっこ閉じ)…[3・6の点]を入力し、[2・3の点] ( (丸かっこ開き)…[5の点]を入力し、[2・3・5・6の点] ) (丸かっこ閉じ)…[2・3・5・6の点]を入力し、[2の点] (2) 英字モードでの記号入力 @ (アットマーク)…[2・4・6の点](「こ」の点字と同じ) .  (ピリオオド)…[2・5・6の点] ?  (クエスチョン)…[2・3・6の点] ,  (カンマ)…[2の点] :  (コロン)…[2・5の点]または[5の点]を入力し、[2の点] _  (アンダーライン)…[5の点]を入力し、[3・6の点] ~  (波線)…[5の点]を入力し、[1・4の点] +  (プラス)…[3・4・6の点](「ゆ」の点字と同じ) -  (マイナス)…[3・5の点]または[3・6の点を入力し、[スペース] *  (アスタリスク)…[1・6の点](「か」の点字と同じ) /  (スラッシュ)…[3・4の点](「や」の点字と同じ) ;  (セミコロン)…[2・3の点] (  (丸かっこ開き)…[5の点]を入力し、[2・3・5・6の点] )  (丸かっこ閉じ)…[2・3・5・6の点]を入力し、[2の点] 第5節 指導の実際  本節では、Windowsの基本的な操作から第2節で紹介したアプリケーションを、点字ユーザーが使えるようになるための指導法を解説します。 1 機器本体の各部名称とキー配列の指導  全体的な形から細かい部分までじっくり触ってもらい、名称と配置を覚えてもらいます。  手話で指導する場合は、名称の代わりにサインを決めても良いでしょう。  名称は指導のときのコミュニケーションのために必要となるものですから、場合によっては、覚えにくい正しいカタカナ名称よりも、盲ろう者が分かりやすいものを使用するのも良いでしょう。 1.全体構造の把握 ・パソコン本体 ・ディスプレイ ・キーボード ・点字ディスプレイ ・各ドライブ ・スピーカー ・マウス ・モデム ・ルーター ・各機器の電源 等 2.キー配列の説明  キーは数も多いので、操作を覚えながらキーの位置も覚えていくというやり方がよく行われます。  キーの形の特徴、キーボードの端から何番目、隙間が空いている所からいくつ目、点字などで印が付いている所など、触覚的に確認しやすいヒントを探して説明するようにしましょう。 ・各ファンクション(エフイチ、エフニ、エフサンなどとそのまま呼ぶことが多い) ・[Esc](エスケープ) ・[半角/全角](日本語オン/オフ) ・[Tab](タブ) ・[Shift](シフト) ・[Ctrl](コントロール) ・[ウィンドウズ] ・[Alt](オルト) ・[Enter](エンター) ・[スペース] ・[アプリケーション] ・[BackSpace](バックスペース) ・[Del](デリート) ・[Ins](インサート) ・テンキー ・矢印キー(個別には右矢印キー、下矢印キーなどということが多い) 2 Windowsの基本操作の指導  パソコンの起動や終了、スタートメニューの説明など、Windowsの基本操作をまず学習します。  独力での操作が確実になるよう、ひとまとまりの操作が終わった適切なところで点字表示を確認し、操作内容と結果表示をセットで覚えていけるように指導できるのが理想的です。ただし、同じ操作でも、スクリーンリーダーによって点字表示は異なりますので注意してください。  ここでは、PC-Talker+BrailleWorks上での解説になります。 1.Windowsの起動 @各機器の電源が入っていることを確認。 Aパソコンの電源スイッチの探し方、押し方・押す長さ。  電源が入ったかどうかは、内蔵のDVDなどのドライブのトレイが出せるかどうかで、簡単に確認できる。  USBからの給電で動き、触覚で動きが分かる機器(ブレイルテンダー含む)であれば、それらの機器で確認することができる。 B起動までに時間がかかるので、しばらく待たなければいけないことの説明。 C準備が整ったことを点字ディスプレイの表示で確認。  点字ディスプレイの表示は、スクリーンリーダーだけでなく、各パソコンによっても異なる場合があるので、確認が必要。 2.アプリケーションの起動  Windows 8では、スタートメニューが廃止されスタート画面となりました。スタート画面は横長のタイルメニューが表示されており、上下左右の矢印キーを使えば、目的の項目を探すことは可能です。ただし、大量のメニューがマトリックス上に配置されているため、点字ディスプレイを確認しながら目的の項目にたどり着くのはかなり大変です。また従来スタートメニュー上にあった<コンピューター>や<シャットダウン>といった重要な項目も、スタート画面上にはありません。したがって、点字ユーザーの場合はショートカットキーやスタートメニューアプリケーションを利用した方がスムーズな操作が行えます。  ここでは、PC-Talker付属のスタートメニューアプリケーションである「マイスタートメニュー」を利用する方法と、通常のWindows 8のスタート画面を利用する方法を解説します。 (1) マイスタートメニューから起動 @[ウィンドウズ]を押す。 点字ディスプレイには((Internet Explorer))など、マイスタートメニューのいちばん上の項目が表示される。 A[下矢印キー]を押す。 B目的の項目でなければ[下矢印キー]を押し、探す。 C目的のアプリケーションを見つけたら[Enter]を押す。 → アプリケーションが起動し最初の画面が表示される。 ※一番上の項目で[上矢印キー]を押すと一番下の項目に、一番下の項目で[下矢印キー]を押すと一番上の項目に移動するので、常に1項目だけを点字ディスプレイで見ている点字ユーザーは混乱する場合があります。慣れるまではどちらか一方の矢印キーだけを使うと良いでしょう。 (2) ワンタッチで起動 a)タスクバーのワンタッチ機能  タスクバーに表示されているショートカットは、[ウィンドウズ]+[並び順に応じた数字キー]で起動できます。 @[ウィンドウズ]+[ 1 ]を押す。 AInternet Explorerが起動する。  [ウィンドウズ]+[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ] b)アプリケーションのショートカットキー  アプリケーションが用意している起動ショートカットキーや、デスクトップのアイコンにショートカットキーを割り当てることで、目的のアプリケーションをワンタッチで起動することができます。(第3章第3節5の2の「(5)起動ショートカットキーを設定する」参照) (3) スタート画面から起動  スタート画面でアプリケーション名やファイル名を検索して起動します。 @スタート画面が表示されている状態だと、((メール))などスタート画面のタイルメニューの最初の項目が点字表示される。 Aキーボードからアプリケーションの名前を入力する。 B検索に該当した項目が複数あって目的の項目が表示されなかった場合は、[下矢印キー]を押しながら目的の項目を探す。 C目的の項目を見つけたら[Enter]を押す。 → アプリケーションなどが起動して、最初の画面が表示される。 4.Windowsの終了 (1) マイスタートメニューより終了 @アプリケーションをすべて終了させた状態で[ウィンドウズ]を押す。 A[上矢印キー]を2回押す。 → <シャットダウン>に移動する。 B[Enter]を押す。 →  <<次の中から選んでください>>というメッセージが表示される。 C[上下矢印キー]でシャットダウンを選び[Enter]を押す。  → Windowsが終了の動作に入る。 D電源が自動的に切れたことを、DVDドライブが開かなくなったこと等で確認する。 (2) 通常のWindows 8から行う方法 @アプリケーションをすべて終了させる。 Aデスクトップの状態であることを確認する。   もしスタート画面になっていたら[ウィンドウズ]を押し、デスクトップを表示する。 B[Alt]+[F4]を押す。  → <<次の中から選んでくださ>>というメッセージが表示される。 C[上下矢印キー]でシャットダウンを選び[Enter]を押す  → Windowsが終了の動作に入る。 D電源が自動的に落ちたことを、DVDドライブが開かなくなったこと等で確認する。 3 MyMailIIIの指導 1.基本操作  起動すると、ボックス選択のメニューが表示されます。 (1) [下矢印キー]を一度押すと、一番上の<送受信>の項目に移動する。 (2) 各メニュー項目間の移動は[上下矢印キー]。  ※一番上の項目で[上矢印キー]、一番下の項目で[下矢印キー]を押しても項目の移動は行われません。 (3) 選択された項目を実行したいときは[Enter]。 (4) 一つ前の状態に戻るときには[Esc]。 (5)[Esc]を2回早押しすると、必ずトップのボックス選択のメニューに戻る。 ●参考 ・ボックス選択の項目はテンキーで移動することもできます。  ※例えば<送受信>が[テンキー1]。 ・メニューの階層移動、項目の選択は[左右矢印キー]でも可能ですが、Windowsの標準的な操作には馴染まないものですし、メール作成画面などからは[左矢印キー]で出ることはできないなどの操作の不一致もあります。 2.終了方法  次のいずれかの方法で終了します。 a)メニューから終了 @ボックス選択に戻る。 A[Alt]で操作メニューを開き<マイメールの終了>で[Enter]。 b)ショートカットキーで終了 終了のショートカットキー … [Alt]+[F4] ※どの画面からも終了することができる。 3.メールの受信と読み方 @ボックス選択の<送受信>で[Enter]。 → メールを受信すると自動的にボックス選択の<未開封メール>の項目に移動する。 ※メールが届いていなければ、ボックス選択の<送受信>のところが表示される。  A[Enter]を押して<未開封メール>のメール一覧を表示する。 B題名や差出人を確認する。次のメールに移りたいときには[下矢印キー]。 C読みたいメールのところで[Tab]を押して本文を表示する。 D点字ディスプレイのキーを使って、メールの本文を読む。 E[Esc]を押すと<未開封メール>のメール一覧に戻る。 F[上下矢印キー]を使って他のメールに移動。 ●参考 ・メール一覧の点字表示では、メール番号の後に、未読メールには <</+ (スラッシュとプラス)>> 、既読メールには<< /−(スラッシュとマイナス)>>が表示されます。これらは情報処理用の点字の記号を用いているので、<<+>>は3・4・6の点、<<−>> は3・6の点が表示されますが、状況によっては<<+>>が2・6の点になることがあります。 ・メール一覧で[Enter]や[右矢印キー]を押しても本文を表示できますが、開くと同時に音声での読み上げが始まり、点字ディスプレイ上の点字も、読み上げに合わせて流れていってしまいます。これを止めるには[Esc]を押さなければなりません。[Tab]を使って本文に移動することをお薦めします。ただし[Tab]で本文に移動すると、本文のみしか参照できず、ヘッダー情報などを読むことはできません。メール一覧から確認してください。 ※[Tab]で本文を読むためには設定が必要です。本章第3節7の「2.自動読み上げを回避する設定」を参照してください。 4.受信ボックスの使い方  一度読んだメールは<未開封メール>の一覧に表示されなくなるので、<受信ボックス>を開いて読み返します。  ボックス選択のところで<受信ボックス>を開いた後は、<未開封メール>と同じ操作でメールが読めます。 5.返信メールの作成と送信 @メール本文を表示している状態で[Alt]を押し操作メニューを開く。 A[下矢印キー]で<返事を書く>に移動し[Enter]。 Bメールアドレスの選択画面が表示された場合は[Enter]を押す。 C文章を入力する。 D[Alt]で操作メニューを開き<直ちに送信>で[Enter]。 E送受信を実行するかの確認のメッセージが表示されるので[Enter]。 F新着メールが届いている場合、<未開封メール>が表示される。 6.差出人のメールアドレスの登録 @メール本文を表示している状態で[Alt]を押し、操作メニューを開く。 A[下矢印キー]で<差出人をアドレス帳に追加>に移動し[Enter]。 ※ショートカットは[Ctrl]+[F2]。 Bアドレス帳の編集画面が開くので<よみがな>を入力。 C[Enter]を押してアドレス帳に登録。 → 登録完了後は本文に戻る。 ※点字ディスプレイ上には、<よみがな>のみが表示されるので、盲ろう者にとっては<名前>の欄への入力は必須ではありません。 7.新規メールの作成と送信 @ボックス選択の<新規メール作成>で[Enter]。 → 本文の編集画面になる。 A文章を入力する。 B[Tab]で<宛先>に移動する。 C[Alt]で操作メニューを開き<アドレス帳から入力>で[Enter]。 ※本文のところでショートカット[F2]を押すとアドレス帳が読み込める。。 D表示を確認しながら[下矢印キー]で宛先人を探す。 E宛先人が見つかったら[Enter]。 F[Tab]で<題名>に移動し題名を入力。 G[Alt]で操作メニューを開き<直ちに送信>で[Enter]。 H送受信を実行するかの確認のメッセージが表示されるので[Enter]。 → メールの送受信が行われる。 ●参考  宛先の入力は、アドレス帳を開く代わりに<宛先>の欄によみがなを入力して[Enter]を押すという手順で検索できます。入力後は<題名>の欄に移動します。アドレス帳に登録されている名前があれば<<アドレスを変換しました>>と表示されます。(なければ表示されません)複数のアドレスが該当する場合には、登録の最も早いアドレスが選ばれます。 8.メールの削除 @メールの本文を表示している状態で[Alt]を押し、操作メニューを開き<このメールを削除>を選択。 ※ショートカットは[Del] A削除して良いかどうかのメッセージが表示されるので[Enter]。 → 次のメールの本文が表示される。 ※削除したくないときは[Esc]を押して、メール本文に戻る。 9.添付ファイルの保存 @メール一覧中の未読・既読の記号の横に「添付」と表示されていることで、添付ファイルの存在を確認。 Aメール本文を表示している状態で[Alt]を押し、操作メニューを開く。 B<添付ファイルの保存>で[Enter]。 ※ショートカットは[Ctrl]+[ T ]。 Cファイル名が表示されるので確認したら[Enter]。 D保存先が表示されるので、[左右矢印キー]でフォルダの出入り、[上下矢印キー]で保存したいフォルダのところに移動。 E[Tab]で<設定>ボタンに移動し[Enter]。 → メール本文に戻る。 ●文字入力について  漢字を使ってメールなどを書くためには、通常、漢字変換を行いながらの入力操作が必要になります。点字入力を行う場合は、ローマ字入力よりかな入力の方が簡単かつスピーディーなので、MS-IMEなどは、かな入力に設定してください。  点字入力では、点字文書の表記に従ってつい「わ」や「え」での助詞の表記、長音の多用などをしてしまいますが、これでは漢字変換は行えません。普通文字の仮名表記で入力する癖が付くように、粘り強く指導しましょう。  変換しながらの入力で分かりにくいのは、キーボードから文字を入力すると、それらは変換用の文字列として扱われ、[Enter]で確定するまでカーソルの移動はその文字列内でしか行われていないということです。  確定することで、初めて文章内に文字が書き込まれます。また、[BackSpace]などで間違った文字を消していくと、変換用の文字が無くなった時点で本文の編集ができる状態に戻るので、押し過ぎると、せっかく書いた文章までもがいつのまにか消えてしまいます。  変換を続けていくときは、確定のための[Enter]を押さなくても、次の文字を書き始めた時点で自動的に確定が行われるのが普通ですが、本文に改行を入れたりカーソルを移動させたりするには、[Enter]を押して文字を確定した後でないとできません。  一貫した操作で漢字変換に慣れてもらうために、次に文字を打ち続ける場合でも、その都度[Enter]を押してもらうようにする方が良いかもしれません。  漢字変換を行う場合、一般的な操作では、[スペース]などで表示される変換候補の中から、マウスで目的の漢字を瞬時に選び出すことができます。点字表示などで利用する場合は、[スペース]を何度も押して、目的の漢字が出てくるまで一つ一つ確認していくという、地道な作業がしばしば必要になります。選ぶはずだった漢字を通り過ぎてしまうこともありますので、候補を逆向きにたどる方法も覚えてもらうようにしましょう。  変換用の文字を長めに入力すると、候補が「文節」と呼ばれる言葉の短いまとまりに分かれて表示される場合もあります。その場合は、[左右矢印キー]で文節を移動しながら、文節ごとに変換内容を決めていきます。  最近では連文節変換も充実してきていますが、間違いに気付いて前に戻って訂正するには手間がかかってしまいますので、1文節ぐらいずつ打ち込んで変換していく方が効率が良いようです。点字のマスあけをするあたりで変換するという説明をすれば、ちょうど良い長さになると思います。  打ち込まれるだろう文字を勝手に予測して表示する漢字変換プログラムもありますが、点字表示では結果を確認しにくいものなので、予測変換機能は使わないように設定しておきましょう。  文字を間違えたときは[BackSpace]を何度か押して、また入力し直すという操作を覚えてもらうだけでも充分です。どうしてもカーソル表示が邪魔になって文字の確認ができない盲ろう者でも、これだけの操作なら、カーソルを表示していない状態でもかなり安定して行うことができます。  慣れてきたら、カーソルを[矢印キー]や点字ディスプレイの[タッチカーソル]で自由に移動させ、位置が正しいことをカーソル表示で確認、[BackSpace]や[Del]も自由に使いこなしていけるように指導しましょう。 4 MyNewsの指導 1.基本操作  起動するとニュースの読み込みが行われます。その後トップのチャンネル選択のメニューが現れ、上の<目次>の項目が表示されます。  操作はMyMailIIIと同じ要領です。  たった2項目ですが、チャンネル選択のメニュー内でのテンキー移動も可能で、上の<目次>は[テンキー0]、<ニュース検索>が[テンキー1]になっています。 2.終了方法  操作はMyMailIIIと同じ要領です。 3.目次からの検索 @チャンネル選択の<目次>で[Enter]。 → 目次内の一番上の項目に移動する。 A大項目から小項目へ。  <全国紙> → <朝日> → <社会>のように項目を一つずつ[Enter]で選択する。  → 小目次が現れるたびに、<<目次1>> → <<目次2>>のように行頭に表示される。 B一番小さい項目まで選択すると<<一覧>>と表示される。読みたい記事まで移動したら[Tab]。 C点字ディスプレイのキーを使って本文を読む。 ※表示送りのキーだけでは行は変わらないので、行末まで読んだら、点字ディスプレイの上下方向キーを使用して次の行に移動します。 ●参考 ・一番上の記事が最新のものになっています。 ・一度読んだ記事には、件名の前に開封マークが追加されます。 ・新聞記事の一覧などでは、一覧の途中に(本文のない)日付の区切りが入ります。 4.キーワードで検索 @チャンネル選択の<ニュース検索>で[Enter]。 A検索したい語を入力。 B通常は、記事の件名に含まれる語のみが検索対象となっている。検索条件を設定したい場合は[Tab]で移動し[スペース]でチェック状態を切り替える。 C[Enter]を押してしばらく待つと結果一覧が表示される。 ※一件も見つからなかった場合は、チャンネル選択の<ニュース検索>に戻る。   5.保存ボックスの作成 @[Alt]で<操作>メニューを開き<保存ボックス>で[Enter]。 A<新規作成>を[Enter]。 Bボックスの名前を入力して[Enter]。 Cチャンネル選択の一番下に、作成したボックスが表示される。 6.記事の保存 @本文表示中に[Alt]で操作メニューを開く。 A<保存ボックスへコピー>で[Enter]。 B保存ボックス名を確認する。 ※他のボックスを選びたいときには[下矢印キー]。 C[Enter]で保存完了。 5 MyBookIIの指導 1.基本操作  起動すると、本の種類を選ぶトップメニューが現れ、一番上の<デイジーCD>の項目が表示されます。操作はMyMailと同じ要領です。  また、テンキーによる移動も可能で、[テンキー8]が上矢印キー、[テンキー2]が下矢印キーと同様。[テンキー7]が一番上の項目に、[テンキー1]が一番下の項目にジャンプできます。 2.終了方法  操作はMyMailIIIと同じ要領です。 3.サピエ図書館から点字図書を読む (1) 人気のある順から点字図書を開く @トップメニューの<サピエ図書館>で[Enter]。 A<点字図書>で[Enter]。 B<人気のある順>で[Enter]。 → しばらくするとランキングが表示される。 C[下矢印キー]で移動しながら読みたい本のタイトルを探す。 ※まだ読んでいないタイトルには<<未読>>と表示される。 D読みたい本が見つかったら[Enter]。 → しばらくすると<<始めから>>または<<前の続きから>>と表示される。 E[Tab]を押す。 → 点字図書の本文が表示される。 F点字ディスプレイのキーを使って本文を読む。 ※表示送りのキーだけでは行は変わらないので、行末まで読んだら、点字ディスプレイの上下方向キーを使用して次の行に移動してください。 G他の巻を読みたい場合は[Esc]で一覧に戻り、[下矢印キー]で移動する。 H他のタイトルを読みたいときは、さらにもう一度[Esc]を押す。  → タイトル一覧が表示される。 ●参考 ・<<始めから>>とは初めて読む点字図書の場合で、一度読んだことがある点字図書を再び開く場合は<<前の続きから>>となり、前回読み終えた箇所から表示されます。 ・サピエなどの点字データを読む場合には[Tab]で本文を表示する方法で問題ありませんが、将来テキストデータなどを読みたいときには、[Enter]で本文を表示させないと最後まで文章が表示されません。ただし[Enter]を押して本文を表示させると自動的に読み上げが行われ、音声に合わせて点字表示も変わってしまいます。[Esc]で読み上げを停止させる必要があります。 (2) タイトル・著者名から点字図書を検索 @<点字図書>の画面で<タイトル・著者名検索>まで移動し[Enter]。 → <検索するタイトル>の入力状態になる。 A著者名で検索したい場合には[Tab]で<検索する著者名>の欄に移動。 B検索語を入力したら[Enter]。 ※ひらがなで入力が可能。 → しばらく待つと検索結果が表示される。 C検索結果が多い場合は<<1ページ>>のように表示されるので[Enter]を押す。 Dタイトル一覧が表示されるので、[下矢印キー]で次の項目に移動しながら読みたいタイトルで[Enter]。 E以下はa)と同様。 ※複数ページの一覧で一番下までいっても読みたい本が見つからなかった場合、[Esc]でベージ選択の画面に戻り、[下矢印キー]を押してから[Enter]を押して、次のページを表示します。 (3) 本棚を作る  点字図書データなどを<本棚>に保存することができます。  データや図書の種類ごとに本棚を作ると、読みたい本をすぐに探すことができます。 @[Alt]でファイルメニューを開く。 A<本棚の新規作成>で[Enter]。 B<本棚の名前>の入力状態になるので、好きな名前を入力して[Enter]。 ※「新しい本棚」と書き込まれているが、文字の入力と同時に消えるので気にしなくてよい。 C新規の本棚がトップメニューの一番下に追加される。 (4) 本棚に図書を保存する @保存したい本のタイトルに移動する。 A[Alt]でファイルメニューを開き<本棚に保存>で[Enter]。 B本棚の名前が表示される。他の本棚に保存したいときは[下矢印キー]で移動。 C[Enter]を押してしばらくすると保存が終了し、タイトル一覧の表示に戻る。 (5) 本棚に保存した図書を読む @トップメニューの、図書データが保存されている本棚の名前のところで[Enter]。 A[下矢印キー]を押すと、タイトル一覧の一番上の項目が表示される。 B別のタイトルに移動するには、さらに[下矢印キー]で移動しながら読みたい本を選択。 C<<始めから>>または<<前の続きから>>と表示される。 D[Tab]を押す。 → 点字図書の本文が表示される。 E他のタイトルを読みたい場合は[Esc]を押し、一覧に戻る。 ●参考 点字図書のタイトル一覧では、保存(ダウンロード)した日付順にタイトルが並んでいます。下にいくほど保存された日付が古くなります。 (6) 本棚に保存した図書を削除する @本棚内のタイトル一覧で、削除したいタイトルに移動する。 A[Alt]でファイルメニューを開く。 B<削除>で[Enter]。 ※ショートカットは[Del]。→ 削除して良いかどうかのメッセージが表示される。 C削除したくなければ[Esc]を押す。 D[Enter]を押せば削除が実行される。 6 やむメールの指導  ここでは、スクリーンリーダーはNVDAを使用している前提で解説します。 1.基本操作(通常モード)  起動すると、<受信箱>や<送信済箱>等のフォルダ一覧になり、点字ディスプレイには<<受信箱>>と表示される。 (1) 各フォルダーの移動は[上下矢印キー] (2) 選択されたフォルダの中を見るには[Tab]を押すとメール一覧表示に移動する。さらに[Tab]を押すと本文が表示される。 (3) メールの受信や送信などよく使う機能はファンクションキーが便利 (4) ファンクションキーにない機能は[Alt]  2.終了方法  フォルダ一覧、メール一覧、本文のどこからでも終了することができます。  [Esc]を押すと<終了しますか?>とメッセージが表示され、終了する場合はそのまま[Enter]を押します。終了を取りやめ、やむメールの操作を続けたい場合はもう一度[Esc]を押します。 3.メールの受信と読み方 @デスクトップや<すべてのプログラム>等からやむメールを開く。 Aフォルダ一覧、メール一覧、本文のいずれかにいる時に[F4]を押す。 Bメールを受信すると<<受信件数○(注1)はいの確認>>(注2)点字表示されるので[Enter]。 ※メールが届いていない場合は<<<新着メールはありません はいの確認>>>(注2)と点字表示されるので[Enter]。 C<受信箱>にいることを確認し[Tab]を押す。 → メール一覧に移動する。 D<件名>や<差出人>を確認する。次のメールに移りたいときには[下矢印キー]。 ※未読の場合はメール番号の後に<<未読>>と点字表示される。 E読みたいメールに移り[Tab]を押す。 → 本文に移動する。 F点字ディスプレイのキーを使って、メールの本文を読む。 ※表示送りのキーだけでは行は変わらないので、行末まで読んだら、点字ディスプレイの上下方向キーを使用して次の行に移動する。 G[Shift]+[Tab]を押すとメール一覧に戻る。 H [上下矢印キー]を押して他のメールに移る。 (注1)○は任意の数字です。 (注2)スクリーンリーダーによって点字表示が若干変わります。 4.返信メールの作成と送信 @受信箱のメール一覧で返信したいメールのタイトル、または返信したいメールの本文を表示している状態で[F7]を押す。 → <<宛先 宛先の確認>>(注)と点字表示される。 A[Tab]を5回押して本文に移動。 B文章を編集する。 C[F5]を押しメールを送信する。 → <<送信しました はいの確認>>(注)と点字表示される。 D[Enter]を押す。 (注)スクリーンリーダーによって点字表示が若干変わります。 ※<メール関連>の<全般設定>で本文に引用文をつけるかつけないかの設定ができます。(参照P84) 5.差出人のメールアドレスの登録 @メール一覧で差出人を登録したいメールのタイトル、または差出人を登録したいメールの本文を表示している状態で[F12]を押す。 → <<分類の選択>>(注)と点字表示される。 A分類は1から100まであるので[下矢印キー]を押して選択する。 ※分類の必要がなければこの操作手順は省略する。 B[Tab]を押して<名前>に移動する。※名前を変更したい時は編集する。 C[Tab]を押して<はい>に移動する。 D[Enter]を押す。 → 画面では<登録されました>とメッセージが表示されすぐに消える。 (注)スクリーンリーダーによって点字表示が若干変わります。 6.新規メールの作成と送信 @フォルダ一覧、メール一覧、本文のいずれかにいる時に[F6]を押す。 → <<宛先 宛先の確認>>(注)と点字表示される。 A[Enter]を押すとアドレス帳が開く。 B[Tab]を3回押してアドレス一覧に移動する。 C[下矢印キー]で宛先人の名前を選ぶ。 D[Enter]を押す。 → <宛先>に宛先人のメールアドレスが挿入される。 E[Tab]を4回押し<件名>に移動。 F件名を編集する。 G[Tab]を1回押して本文に移動。 H本文を編集する。 I[F5]を押しメールを送信する。 → <<送信しました はいの確認>>(注)と点字表示される。 J[Enter]を押す。 (注)スクリーンリーダーによって点字表示が若干変わります。 ※複数人に同時に送信したい場合は、手順Cの後[Tab]を押して<宛先追加>や<CC追加>等に移動し[Enter]で挿入します。 7.メールの削除 @メール一覧で削除したいメールに移動する。 A[Del]を押す。 ※削除したメールはゴミ箱にバックアップされています。 7 GSニュースの指導  GSニュースのホームページ(http://www.gawachan.com/gsnews/)からインストールします。  ここでは、スクリーンリーダーはNVDAを使用している前提で解説します   1.ニュース記事を読む方法 @デスクトップや<すべてのプログラム>等からGSニュースを開く。 A[Alt]を押し、メニューバーの<ファイル>を選択。 B[下矢印キー]で<ニュースカテゴリー選択>を選択。 → ニュースカテゴリー選択の画面が開き<<全国紙>>と点字表示される。 ※<<全国紙>>の後ろにサブメニューを示す点字表示があるが、スクリーンリーダーによって表示方法が異なる。(注) C[下矢印キー]を押してニュースカテゴリーを選択する。 D[右矢印キー]を押してサブメニューを開く。 E[下矢印キー]を押してサブメニューから新聞や地域名を選択する。 F DとEの要領で読みたいニュース項目を選択していく。 ※サブメニューを示す点字表示(注)がある場合は[右矢印キー]を押しさらに[下矢印キー]で選択する。 Gサブメニューを示す点字表示(注)がなくなったら[Enter]を押す。 → ニュース記事一覧が開く。 H[下矢印キー]を押して読みたいニュース記事のタイトルを選択する。 I[Enter]を押すと本文が開く。※右画面に本文が表示される。 J点字ディスプレイのキーを使って記事の本文を読む。 ※表示送りのキーだけでは行は変わらないので、行末まで読んだら、点字ディスプレイの上下方向キーを使用して次の行に移動する。 (注)サブメニューの有無を示す点字表示は、PC-Talkerは<<+>>、NVDAは<<クローズ>>と表示されます。[右矢印キー]を押すとPC-Talkerは<<−>>、NVDAは<<オープン>>と表示されます。 ※ニュースカテゴリーの階層の深さはそれぞれ異なっていますので、操作しながら確認してください。 2.本文を閉じて別に記事を読む @記事の本文が表示されている状態で[Esc]を押すと記事一覧に戻る。 A[上下矢印キー]を押して別のニュース記事のタイトルを選択する。 B[Enter]を押すと本文が開く。※右画面に本文が表示される。 3.ニュースカテゴリー選択に戻る @[Alt]を押し、メニューバーの<ファイル>を選択。 A[下矢印キー]で<ニュースカテゴリー選択>を選択。 B[Enter]を押す。 → ニュースカテゴリー選択の画面が開き<<全国紙>>と点字表示される。 その後の操作は(1)と同じです。 4.終了方法  [Alt]+[F4]で終了します。 第4章 画面ユーザーに対する指導法 第1節 指導の前に  主に画面を見てパソコン操作を行う盲ろう者のことを、ここでは「画面ユーザー」と呼びます。  視力が低下している弱視ろう者が補助的に点字を利用したり、弱視難聴者が音声を利用する場合も考えられます。(点字と音声については第3章を参照)  本節では、指導に入る前の留意事項を解説します。 1 画面ユーザーの範囲 1.対象となる盲ろう者  盲ろう者を障害の程度で分類すると「全盲ろう」、「全盲難聴」、「弱視ろう」、「弱視難聴」に分けることができます。この内、第4章で対象とする盲ろう者は、「弱視ろう」、「弱視難聴」です。 −−−−−− 指導対象盲ろう者 弱視ろう(弱視+全ろう) 弱視難聴(弱視+難聴) −−−−−−  なお、この章では「弱視」を「ロービジョン」と表現しています。ロービジョンとは、眼鏡やコンタクトレンズ等で矯正してもなお、学習・日常生活に支障が生じる状態です。「弱視ろう」、「弱視難聴」を「ロービジョンの盲ろう者」と記述しています。    パソコン操作において、画面を使った操作「GUI(Graphical User Interface)」を活用できるロービジョンの範囲について考察します。下の表は身体障害者手帳の等級表における1〜3級までを抜粋したものです。     −−−−−− 身体障害者手帳における視覚障害の等級表 ・視力(矯正視力) ・視能率 = 8方向の視野角の合計 / 560  視能率の損失 = 100 − 視能率 1級 両眼の視力の和が0.01以下のもの 2級 1.両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの    2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの 3級 1.両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの    2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上のもの −−−−−−  2級の判定基準に注目してください。視力による規定と、視能率による規定からなっているのが分かります。  視力による規定では両眼の視力の和が0.02〜0.04です。これは眼鏡やコンタクトなどで矯正された状態での視力です。視能率による規定では、視能率の損失率が95%以上となっています。視能率とは、8方向の視野角の合計が、正常者ではおよそ560度になりますので、それに対してその方の視野角の合計が正常者の何%になるかを表した数値です。  視力に関して考えていきますと、仮に左右の視力がそれぞれ0.01だとすると、視力の和は0.02となり、2級に該当する最も低い視力と言えます。視力0.01における視認可能な視角は1度40分です。これは、30cmの距離からディスプレイを見た場合、切れ目幅約8.7mm、直径約43.5mm、のランドルト環を判別できる視力です。中根(注1)の研究によると、文字を読むために識別が要求される細部の寸法は、8画の漢字で文字寸法の1/14とされていますから、視力0.01の者に対して122mmのサイズの文字を提示すれば、文字の判読ができることになります。これは、 24インチのディスプレイを用いて横に4文字を表示することが可能です。視距離10cmなら12文字を表示できますね。すなわち、視力が0.01であれば、何とかGUIを使って、コンピューターの操作ができるのではないか、と期待できるわけです。 (注1)中根 芳一( 印刷文字の見易さ及び適正照度に関する研究,日本建築学会論文報告集 111-120, 192,1975)  視能率の損失の点から考えていきます。視能率は、8方向の視野の合計により算出されますから、視能率の損失95%は、一方向 3.5度の状態であり、直径7度の円形の視野を残している状態は、2級に該当します。下図のように7度の視野があれば、残存視野で文字を判別できますので、視能率の損失95%においても、GUIを使ってパソコンを操作できることが期待されます。  渡辺(注2)が2007年に視覚障害者412名に対して調査を行っています。視覚障害の等級とパソコンを操作する際の文字について、1級では10.5%の人が、2級では67.4%の人が墨字を使っていることから、墨字を使ってパソコンを操作するのは概ね2〜6級の方だろうと考えられます。これは視覚障害者で言えば、全体の約63%です。 (注2)渡辺 哲也、宮城 愛美、南谷 和範、長岡 英司: 視覚障害者のパソコン利用状況調査2007電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 108:7-12,2008 3.約60%でGUI活用の可能性  盲ろう者においても、平成16、17年度に行われた生活実態調査で、60.4%の盲ろう者が画面を使ってパソコンの操作をしていると回答していますから、盲ろう者の半分以上の方は画面を活用している、あるいは活用できると考えられます。一方、同調査ではインターネットで情報を収集している盲ろう者は15%でしたから、盲ろう者はまだまだ、パソコンやインターネットを充分に活用できていないだろうと思われます。 4.GUI活用のメリット  パソコンの操作習得の難易度について考えます。全盲者ではキーボードのみで操作し、スクリーンリーダーや点字ディスプレイを使ってパソコンからの出力を受け取りますが、そうしたGUIを使わない操作方法の習得は難易度が高いだろうということは想像できると思います。これに対して、画面を見ながら、マウスを使って操作する方法は、習得のためのハードルが低いでしょう。ですから、GUIを最適化するなどして、ロービジョンの盲ろう者がGUIを活用したパソコン操作ができるようになるのであれば、GUIの活用にチャレンジする価値があると思います。   −−−−−− ユーザーインターフェースとPC操作の難易度 操作方法:全盲操作方法 発信(コマンド):キーボードのみ 受信:スクリーンリーダ−、点字ディスプレイ  難易度:難 操作方法:LV 操作方法 発信(コマンド):マウス、キーボード 受信:GUI(画面を見る) 難易度:易 ・GUIを使わない操作方法は、難易度が高く、習得のハードルが高い。 ・可能であるならば、GUIを最適化して、マウスを使ったPC操作の習得にチャレンジ。 −−−−−− 2 「見えにくさ」の理解 1.見える仕組みの理解  見えにくさを理解するために、見える仕組みを理解する必要があります。視覚の経路を簡単に図示します。視刺激は眼球の表面から、角膜、虹彩(瞳孔)、水晶体、硝子体を通過し、網膜に投影されます。網膜には視細胞があり、ここで光刺激は神経の興奮に変換されて、視神経によって大脳の後頭葉に送られます。後頭葉に投影された情報は、さらに周囲の皮質などにより認識されることで初めて「ものが見えた」ということになります。  このように「ものが見える」ためには長い経路をたどっているので、そのどこかでトラブルが発生すると、見えない、見えにくいということが起こります。しかも、その程度や見えにくさは様々です。 −−−−−− 視覚の経路の図 →図は省略。 −−−−−− 2.「白濁」という見えにくさ  代表的な見えにくさを説明していきます。「白濁(はくだく)」と「羞明(しゅうめい)」です。白濁とは、白く濁ることですが、例えば、白内障という病気があります。これは眼球の中のレンズに相当する水晶体が、白く濁ってしまう病気です。晴眼者でも年齢とともに白く濁ってきます。これは老人性白内障と呼ばれて、水晶体の周囲から濁ってくることが多いようです。これに対して、症候性の白内障では、中心部から濁ってくる場合が多く、この場合は早期から、見えにくさを訴えることになります。水晶体が濁ると、まぶしさを感じます。普通の人でまぶしさを感じないような明るさで、まぶしいと感じる症状を「羞明」といいます。 3.「屈折異常」という見えにくさ  「屈折異常」とは、水晶体の欠損や異常、水晶体を調節する毛様体筋の異常、眼球の前後径の異常などにより、網膜で結像しないため、ピントが合わない、すなわち、ぼやけて見えにくい状態です。 4.「中心暗点」という見えにくさ  「中心暗点」とは、視野の中心には黄斑部と呼ばれる最も視力が良い部分があり、この部分に障害が起こった結果、著しく視力が低下する状態を言います。この場合、視野の周辺部で対象物を見ようとするため、対象物から視線をそらす仕草が目立つようになります。 5.「視野狭窄」という見えにくさ  「視野狭窄(しやきょうさく)」とは、見える範囲(視野)が狭くなっている状態です。正常な人の視野は下図のように上側60度、下側70度、鼻側60度、耳側100度ですが、視野狭窄の人は中央部の限られた範囲しか見えません。   −−−−−− 正常視野(右目)の図 →図は省略。 −−−−−− 視野狭窄は、網膜色素変性症や緑内障などで網膜が損傷した場合にしばしば起こります。 3 指導のポイント 1.ロービジョンの見え方は千差万別  前述したように代表的な見えにくさをご紹介しましたが、実際のロービジョンの盲ろう者の見え方は、それらの見えにくさをいくつも併せもっていたり、その程度も様々です。つまり、ロービジョンの盲ろう者は一人ひとりが全く異なる見え方をしているということを前提に指導法を考えていく必要があります。 2.パソコンの環境の最適化  ロービジョンの盲ろう者のパソコン環境を最適化するには、まず、盲ろう者の視覚特性を評価します。次に視覚特性に応じて、画面デザインのカスタマイズ、ツールの処方、使い方のトレーニングをします。続いて調整をすることになります。 @ロービジョンの見え方を評価 A見え方に応じて ・画面デザインのカスタマイズ(GUIの最適化) ・ツールの処方 ・使い方を練習 B調整 3.GUI最適化項目  GUI最適化項目としては、およそこれらのものが挙げられます。 @画面デザイン ・画面の配色 ・文字サイズ ・書体 ・ウィンドウ境界線幅 ・アイコンサイズ Aマウスポインター B拡大表示ツール 4.留意事項  部屋の照度は明るすぎても、暗すぎても操作に支障をきたします。窓からの光は逆光になったり、画面に映り込みをおこさないように注意する必要があります。  盲ろう者がパソコンを操作できるようになるためには、タッチタイピングあるいは点字入力のスキルは必須です。本人も指導者も、その重要性を理解して、焦らずじっくりと練習に励むことが大事です。  盲ろう者に対してパソコンの指導を行う上で、最も重要なことの一つとして「待つこと」が挙げられます。指導者は、盲ろう者のペースに応じて指導しなくてはなりません。盲ろう者が学習事項を理解し、獲得するために「待つこと」は欠かせません。 第2節 設定と操作方法  本節では、Windowsの基本設定や、各アプリケーションの操作方法について解説します。 1 Windowsにおける設定 1.コントラスト・配色の設定  配色を盲ろう者の見え方に応じて設定するメリットは、「コントラストポラリティ効果」、「空間周波数とコントラスト感度」によって説明することができます。   (1) コントラストポラリティ効果  黒文字白背景配色と白文字黒背景配色では、どちらが速く読めたり、より小さな文字サイズで読みとれるでしょうか。3文字のひらがなを用いて計測をしてみると、晴眼者の多くでは、両者に大きな差は見られません。ロービジョン者では、前者の方が速く読める、より小さな文字サイズまで読めるという人や、その逆の人もいます。このように黒文字白背景と白文字黒背景のどちらの配色を選択するかで、パフォーマンスが向上する効果を「コントラストポラリティ効果」とよんでいます。ここで大事なことは、盲ろう者の見え方に応じて配色を決定するという視点です。 −−−−−− コントラストポラリティ効果を活用した支援 @B/W(黒文字白背景)とAW/B(白文字黒背景)では、どちらが速く読めるか?快適に読める範囲が広いか?を計測 晴眼者…B/WでもW/Bでもどちらでも良い。(図は省略) LV者の1例…B/Wの方が速く読める。(図は省略) LV者の1例…W/Bの方が速く読める。→「黒地に白」を用いる。(図は省略) −−−−−− (2) 空間周波数とコントラスト感度  「コントラスト」は輝度の高い部分と低い部分との差を示しています。マイケルソンコントラストがしばしば用いられます。コントラストが強いとはっきりとして見え、読み取りは容易になります。逆にコントラストが弱いとうっすらとしか見えず、読み取りが困難になります。「空間周波数」とは、「細かさ」を言います。コントラストが弱くなると、より高い空間周波数(より細かい)のオブジェクトが読み取り困難になることが知られています。ロービジョンの盲ろう者では、コントラストを弱めていくと、晴眼者よりも早い段階で、読み取りが困難になることが多いです。従って、ロービジョンの盲ろう者に対しては、「ハイコントラスト黒」や「ハイコントラスト白」のようなコントラストの強い配色を選択することが、しばしば有効です。 (3) ハイコントラスト配色の設定方法 a)ショートカットキーを使う @[Shift]+[Alt]+[PrtScr]を押す。  → ハイコントラスを有効にするかどうかのメッセージが表示される。 A<はい>を選択。 → ハイコントラスト画面になる。 b)<PC設定の変更>から設定する @マウスポインターを画面の右上隅または右下隅へ移動する。または、[ウィンドウズ]+[ C ]を押す。 → 右側にチャームが表示される。 A<設定>を選択。 B<PC設定の変更>を選択。 C<簡単操作>を選択。 D<ハイコントラスト>を<オン>にする。 Eマウスポインターを画面の最上部に移動させ、手のマークになったら最下部までドラッグし、<PC設定の変更>を閉じる。または[Alt]+[F4]を押す。 c)デスクトップから<個人設定>を開いて設定する @スタート画面で<デスクトップ>を選択。または[ウィンドウズ]を押す。 → デスクトップ画面になる。 Aデスクトップ上で右クリック。または[アプリケーション]を押す。 B<個人設定>を選択。 C<マイテーマ>を下にスクロールさせ、<ハイコントラスト>のいずれかを選択。 d)その他  <コントロールパネル>の<コンピューターの簡単操作センター>から設定する方法もあります。 (4) ディスプレイ本体の調節  Windowsにおける設定とは別に、ディスプレイ本体の輝度やコントラストの調整ができます。これらも併せて調整を行い、ロービジョンの盲ろう者にとって見やすい画面表示設定をしてください。 2.文字サイズの設定 (1) 文字サイズ決定の視点  文字の大きさについては、「大きければ大きいほど見やすい」というように誤解されていることが多いと思います。実際には、そうではなく、「ちょうど良い大きさ」に設定する必要があります。では、ちょうど良い文字の大きさとはどのような大きさでしょうか。  ちょうど良い文字の大きさを考えるとき、MNREAD-Jが参考になります。MNREAD-Jでは、10文字×3行の文章を音読させ、読み上げるまでにかかる時間を計測し、読書速度を求めます。文字の大きさを徐々に小さくしていったときの読書速度の変化を分析して、最適な文字の大きさを推測する手法です。  晴眼者、ロービジョン者で計測した例を下に示します。左のグラフは晴眼者の読書曲線です。ある値より大きな文字であれば、文字の大きさにかかわらず、読書速度は変わりません。中のグラフは視力低下型ロービジョン者の読書曲線です。文字サイズ大きければ大きいほど、高い読書速度が得られます。全体的に読書速度は低いです。右のグラフは視野狭窄型ロービジョン者の読書曲線です。文字サイズが大きすぎても、小さすぎても読書速度が低下しています。良好な読書速度が得られる文字サイズの範囲が狭いです。このタイプの盲ろう者では、文字サイズが大きいとかえってパフォーマンスを落としてしまうということに注意しなくてはなりません。 (2) 文字フォントの選択  文字サイズを決定する前に、文字フォントを選択する必要があります。下図は、異なる文字フォントを同じ文字サイズで表示していますが、ずいぶん印象が異なると思います。おおざっぱにですが、晴眼者では明朝体や教科書体といった細いフォントが、比較的視力の保たれる視野狭窄型ロービジョン者ではMSゴシック体が、視力低下型ロービジョン者ではHG創英角ゴシックなどの太いフォントが好まれる傾向があるようです。太いフォントでは画数の多い文字において、文字がつぶれて見えてしまうという欠点があります。  文字サイズを決定する前に、最適な文字フォントを選択しておくことが必要です。 −−−−−− 晴眼者、視力低下型LV、視野狭窄型LVの文字サイズと読字速度のグラフ →図は省略。 −−−−−− (3) 文字サイズの設定  Windowsにおける表示文字サイズの設定は次の手順によります。あらかじめ適正な視距離を決めておき、その視距離で最も見やすい文字サイズを、各オブジェクトごとにサンプルを確認しながら、設定すると良いでしょう。 a)<すべての項目のサイズを変更する>  <すべての項目のサイズを変更する>で設定変更するメリットは、簡単な方法で文字を含むほとんどの項目要素を拡大表示できる点です。  デメリットは、画面のサイズを変えないまま、すべて項目を拡大するので、アプリケーションによっては表示できない要素が出てきてしまい、操作上の支障が生じることがあります。 @<コントロールパネル>を開く。  スタート画面またはデスクトップで[ウィンドウズ]+[ X ]を押し、右下のショートカットメニューより<コントロールパネル>を選択する方法が便利。 A<視覚ディスプレイの最適化>を選択。 B<すべての項目のサイズを変更する>で<中>を選択。  b)<テキストサイズのみを変更する>  a)で支障が生じる場合、すぐ下にある<テキストサイズのみを変更する>の欄において特定の項目のテキストのみを変更することができます。  例えば、<メニュー>の文字サイズを16ポイントに設定したい場合では、プルダウンリストから<メニュー>を選択し、右側のポイントサイズリストで<16>を選択、<適用>を選択します。 3.拡大鏡の活用  前述の文字サイズ拡大表示では拡大率が不十分な場合に拡大鏡を使うと良いでしょう。 (1) 拡大鏡の起動  拡大鏡を起動する方法はいくつかありますが、次の方法を推奨します。  理由は、Windows XP、Vista、 7、 8 に共通した操作であり、また、ロービジョン者が、まだ設定されていない画面でよく見えない状態でも、操作が比較的簡単で短時間で起動しやすいからです。   @[ウィンドウズ]+[ R ]を押す。 → <ファイル名を指定して実行>ダイアログが表示される。 A「magnify」と入力して[Enter]を押す。 (2) 表示の選択  3種類の表示方法が選択できます。 @虫眼鏡のマークをクリックするか、[Alt]+[Tab]で拡大鏡のウィンドウを表示させる。 A<表示>を選択。 B次の3種類から表示方法を選択。 [Ctrl]+[Alt]+[ F ] … 全画面表示 [Ctrl]+[Alt]+[ L ] … レンズ [Ctrl]+[Alt]+[ D ] … 固定 (3) 拡大率の変更 [ウインドウズキー]+[テンキーの + ] … 拡大 [ウインドウズキー]+[テンキーの − ] … 縮小 (4) 拡大位置移動 [Ctrl]+[Alt]+[矢印キー] (5) 拡大鏡のオプション @虫眼鏡のマークをクリックするか、[Alt]+[Tab]で拡大鏡のウィンドウを表示させる。 A拡大鏡のウィンドウの設定マークを選択し、オプション画面を開く。 B<拡大縮小によって画面表示が変更される部分の割合>  → 拡大縮小する際の拡大率変化の大きさを設定。 C<色反転を有効にする> → 拡大表示部と元画面の境界がわかりにくい場合にチェックを入れる。   → <ハイコントラスト黒>を用いないで画面の背景色を黒色にしたい場合にも有効。 D<マウスポインターの動きを追う> → チェックを入れる。 E<キーボードフォーカスを拡大する> → チェックを入れる。 F<テキスト挿入位置に拡大鏡を合わせる> → チェックを入れる。 ※DEFにチェックを入れると、マウス操作をしている部分やテキスト編集部分が自動的に拡大表示される。 (6) レンズモードでの設定画面  (2)で表示方法をレンズモードにし、設定マークを選択すると次のような設定画面が開き、拡大率やレンズの大きさを設定することができます。 −−−−−− 拡大レンズ設定画面 →省略。 −−−−−− (7) 拡大鏡の自動起動設定  常に拡大鏡を使う場合は、パソコンの起動と同時に拡大鏡が起動するよう設定できます。 @虫眼鏡のマークをクリックするか、[Alt]+[Tab]で拡大鏡のウィンドウを表示させる。 A拡大鏡のウィンドウの設定マークを選択し、オプション画面を開く。 B<サインイン時に拡大鏡を開始するかどうかを指定>を選択。 C<コントロールパネル>の<コンピューターの簡単操作センター>が開くので、画面下の<拡大鏡を有効にします>にチェックを入れる。 D<OK>を選択し完了する。 4.マウスポインターの設定  ここではWindowsのマウスポインターの設定について解説します。比較的視機能が良好に保たれている盲ろう者には有効ですが、それでは不充分な場合は、他のアプリケーションを使います。他のアプリケーションについては次の「2 画面の視認性向上に役立つソフト」で解説します。 @<コントロールパネル>を開く。  スタート画面またはデスクトップで[ウィンドウズ]+[ X ]を押し、右下のショートカットメニューより<コントロールパネル>を選択する方法が便利。 A<マウス>を選択。 B<ポインター>タブを選択。 C<Windowsスタンダード特大フォント>として大きなマウスポインターに変更。 D<ポインターオプション>タブを選択。 E<ポインターを自動的に規定のボタン上に移動する>にチェックを入れる。 F<ポインターの軌跡を表示する>にチェックを入れる。 G<Ctrlキーを押すとポインターの位置を表示する>にチェックを入れる。 H<OK>を選択。 ※マウスを見つけるときは、画面の左上隅に集めて見つけるようにする。 5.その他の設定 @<コントロールパネル>を開く。  スタート画面またはデスクトップで[ウィンドウズ]+[ X ]を押し、右下のショートカットメニューより<コントロールパネル>を選択する方法が便利。 A<視覚ディスプレイの最適化>を選択。 B下へスクロールする。 C<ウインドウの境界の色と透明度を調整します>  → 各部分の色と背景を設定する。  ※ハイコントラスト状態と、そうでない状態では、表示されるページの形式が異なるので注意。 D<ディスプレイの効果を詳細に設定します>  → <ハイコントラスト黒>」以外のテーマを選択できる。 E<フォーカス用の四角を太くします>  → フォーカスがあたっている箇所の発見を容易にする。 F<点滅カーソルの太さを設定します>  → カーソル位置がわかりやすくなる。 G<必要のないアニメーションは無効にします>  → 視覚的ノイズの除去。 ●拡大表示の調整について  拡大率を上げていけば、見やすくなりますが、一度に画面に表示できる文字数が減少してしまいます。拡大率と表示できる文字数のバランスを保つことが必要です。 2 視認性向上に役立つソフト 1.でかポインタ  「でかポインタ」はフリーソフトです。あらかじめダウンロードしておきます。  実行すると、巨大なマウスポインターが表示されます。大きさは3種類あるので、最も適した大きさをダウンロードすると良いです。  主に視力低下型ロービジョンの盲ろう者に適しています。 (1) 注意点  Windows8のスタート画面では、でかポインタは表示されません。スタート画面で[ウィンドウズ]を押してデスクトップ画面に切り替えると表示されます。 (2) ダウンロード  下記のホームページよりダウンロードします。 【製作】筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 准教授 小林 真 【URL】http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/labo/koba/software/dpointer.php (3) でかポインタの起動 @あらかじめインストールしておく。 Aでかポインタのアイコンをダブルクリック、またはスタートアップに登録しておく。 (4) でかポインタの終了方法 @タスクバー上のタスク<でかポインタ>をクリック。 ※[Alt]+[Tab]でタスクを切り替えることもできる。 A[Esc]を押す。 (5) 便利な機能 一時消去 [ウィンドウズ]+[Ctrl] 再描画  [ウィンドウズ]+[Alt] 画面中央にマウスポインターが移動 [ウィンドウズ]+[Shift] 2.あんだーまうす君  「あんだーまうす君」はフリーソフトです。あらかじめダウンロードしておきます。  起動するとマウスカーソルに縦横の線が表示されます。線色は数種類あり、常に起動しておきたい場合は「タスクトレイ版」、色や太さを変更できる「多機能版」もありますので、適したものをダウンロードすると良いでしょう。  主に視野狭窄型のロービジョンの盲ろう者に対してマウスカーソルを見つけやすくする効果があります。 (1) 注意点  Windows 8のスタート画面では、あんだーまうす君は表示されません。スタート画面で[ウィンドウズ]を押してデスクトップ画面に切り替えると表示されます。 (2) ダウンロード  下記のホームページよりダウンロードします。 【製作】筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 准教授 小林 真 【URL】http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/labo/koba/software/umous.php (3) あんだーまうす君の起動 @あらかじめインストールしておく。 ※線色は背景を考慮して決める。 Aアイコンをダブルクリック、またはスタートアップに登録しておく。 (4) あんだーまうす君の終了方法 @タスクバー上のタスク<あんだーまうす君>をクリック。 ※[Alt]+[Tab]でタスクを切り替えることもできる。 A[Esc]を押す。 (5) 便利な機能 一時消去 [ウィンドウズ] +[Ctrl] 再描画  [ウィンドウズ] +[Alt] 画面中央にマウスポインターが移動 [ウィンドウズ] +[Shift] 3.tarzanMouse(ターザンマウス)  「tarzanMouse」は著者が開発したマウスポインターです。マウスポインターを動かしているときだけ、マウスに縦横の線、マウス位置に三角形のマーカーが表示されます。マウスポインターが停止しているときには、これらの線やマーカーは表示されません。マウス操作が必要なときだけ表示され、それ以外のときには邪魔にならないように表示されないというメリットがあります。   (1) ダウンロード  下記のURLをアドレスバーに入力しダウンロードします。 【製作】愛媛県立松山盲学校 教諭 高橋 信行 【URL】http://www.db-tarzan.no-ip.info/library/tarzanMouse/tarzanMouse20101120.exe (2) tarzanMouseの起動 @あらかじめインストールしておく。 Aアイコンをクリックして起動するかスタートアップに登録しておく。 ※マウスカーソルを動かしたときだけ、補助機能が働く。 (3) tarzanMouseの終了方法 @[Alt]+[Tab]でtarzanMouseにタスクを切り替える。 A[Alt]+[F4]で終了。 3 各アプリケーションにおける視認性向上のための設定  MyMailIIIについては第3章で詳しく解説されているので、ここでは画面設定の変更について記載します。 1.MyMailIII (1) 文字サイズの変更 a)メニューから設定 @メニューバーの<表示>を選択。 A<拡大率切替>を選択。 B拡大率を選択する。 b)ショートカットキーで変更  [F6]を押すごとに、文字サイズが大きく表示されるようになります。設定可能な最大サイズの次に、最小サイズに戻りますので、[F6]を何度も押しながら最も見やすいサイズを簡単に設定することができます。 (2) メニューとダイアログの拡大率  メニューバーやダイアログの表示を2段階まで拡大できます。 @メニューバーの<表示>を選択。 A<メニューのダイアログの拡大率>を選択。 B拡大率を選択する。 (3) 表示オプション  その他に文字色や背景色も設定できます。 @メニューバーの<環境>を選択。 A<表示オプション>を選択。 B各項目で設定変更する。 ※その他のMyシリーズの設定もほぼ同じです。 2.Internet Explorer  盲ろう者の生活実態調査の結果から、盲ろう者のパソコン習得の動機として最も高いのは、メールの活用と、ホームページの閲覧です。  Internet Explorerの表示の設定方法を解説します。   (1) 表示色の設定 @Internet Explorerを起動。  デスクトップ画面のアイコンから起動する。もしデスクトップ画面にアイコンがない場合は、スタート画面から起動し、右下にある<ページツール>の中の<デスクトップで表示する>を選択する。 Aメニューバーの<ツール>を選択。 メニューバーが非表示の場合は[Alt]を押してから<メニュー>を選択。 B<インターネットオプション>を選択。 C<全般>タブを選択。 D<色>ボタンを選択し設定ダイアログを開く。 E<Windowsの色を使用する>のチェックを外し、<文字列><背景><未表示><表示済><ポイント時の色>の色を設定する。 ※「ハイコントラスト黒」の配色が適している盲ろう者であれば、<背景>を<黒>などの暗い色に、その他の部分は高輝度の色を選択すると良い。    (2) フォントの設定 @<インターネットオプション>の<全般>タブで<フォント>ボタンを選択、設定ダイアログを開く。 A見やすいフォントを選択する。   (3) ユーザー補助機能の利用  ウェブサイト側で、背景色や文字色を指定している場合は、上記の設定が反映されないので、Internet Explorerのユーザー補助機能において、ウェブサイト側で指定したフォントサイズや色などを使わない設定にする必要があります。 @<インターネットオプション>の<全般>タブで<ユーザー補助>ボタンを選択、設定ダイアログを開く。 A<Webページで指定された色を使わない><Webページで指定されたフォントスタイルを使わない><Webページで指定されたフォントサイズを使わない>の各チェックボックスにチェックを入れる。   (4) ユーザースタイルシートを使う  さらに高度な支援方法として、ユーザースタイルシートを使う方法があります。ロービジョンの盲ろう者の見え方に合わせ作成したユーザースタイルシートを使い、すべてのウェブサイトを個々の盲ろう者に適したスタイルで表示させ、ウェブサイトの視認性向上を図ります。ユーザースタイルシートを作成するには、FlashCSSなどのフリーソフトがいくつかあるので試してみてください。 @<インターネットオプション>の<全般>タブで<ユーザー補助>ボタンを選択、設定ダイアログを開く。 A<自分のスタイルシートでドキュメントの書式を設定する>にチェックを入れる。 Bmy.cssを作成してそれを指定する。 (5) 拡大方法  400%まで拡大できます。拡大すると、画面の中央を起点として拡大していきます。 a)ショートカットキーを使う 拡大表示のショートカットキー … [Ctrl]+[+] [+]は[;(セミコロン)]や[れ]と同じキー。またはテンキーの[+]。 縮小表示のショートカットキー … [Ctrl]+[−] [−]は[=(イコール)]や[ほ]と同じキー。またはテンキーの[−]。 元の表示に戻す … [Ctrl]+[0(ゼロ)] b)マウスを使う [Ctrl]を押しながらマウスのホイールを回すことで拡大や縮小ができる。 c)メニューから選択 @メニューバーの<表示>を選択。メニューバーが非表示の場合は[Alt]を押してから<表示>を選択。 A<拡大>を選択。 B拡大率を選ぶ。 (6) 文字サイズだけを拡大 @メニューバーの<表示>を選択。メニューバーが非表示の場合は[Alt]を押してから<表示>を選択。 A<文字のサイズ>を選択。 B文字の大きさを選ぶ。 (7) 便利なショートカットキー 拡大された画面のスクロール … [上下左右矢印キー] ホームページに戻る … [Alt]+[Home] ひとつ前のページに戻る … [Alt]+[左矢印キー]、または[BackSpace] ひとつ後のページに進む … [Alt]+[右矢印キー] 3.Firefox(ファイヤーフォックス)  Internet Explorer以外にも、ロービジョンの盲ろう者に使いやすいブラウザがあります。Firefoxはその一つです。Firefoxはフリーソフトです。 (1) 画面の色とフォントの設定 @メニューバーの<ツール>を選択。メニューバーが非表示の場合は[Alt]を押してから<ツール>を選択。 A<オプション>を選択。 B<コンテンツ>を選択。 C<フォントと配色>の欄で<既定のフォント>を設定し、文字サイズも見やすいサイズにする。 D<配色設定>のボタンをクリックし、<テキスト> <背景> <未訪問リンク> <訪問済リンク>の色をそれぞれ見やすい色に設定。 ※<ハイコントラスト黒>の配色が適している盲ろう者であれば、<背景>に黒、その他の部分には高輝度の色を選択すると良い。 E<Webページが指定した配色を優先する>チェックボックスはチェックを外しておく。 ※これにより、ウェブページ側で背景を白色に指定していても上記の設定が優先される。 (2) 拡大方法  約300%まで拡大できます。拡大すると、画面の左上を起点として拡大していきます。 a)ショートカットキーを使う 拡大表示のショートカットキー … [Ctrl]+[+] [+]は[;(セミコロン)]や[れ]と同じキー。またはテンキーの[+]。 縮小表示のショートカットキー … [Ctrl]+[−] [−]は[=(イコール)]や[ほ]と同じキー。またはテンキーの[−]。 元の表示に戻す … [Ctrl]+[0(ゼロ)] b)マウスを使う [Ctrl]を押しながらマウスのホイールを回すことで拡大や縮小ができる。 c)メニューから選択 @メニューバーの<表示>を選択。メニューバーが非表示の場合は[Alt]を押してから<表示>を選択。  A<拡大>を選択。  B拡大率を選ぶ。 ※ここで文字サイズだけを変更することもできる。 (3) 便利なショートカットキー 拡大された画面のスクロール … [上下左右矢印キー] ホームページに戻る … [Alt]+[Home] ひとつ前のページに戻る … [Alt]+[左矢印キー]、または[BackSpace] ひとつ後のページに進む … [Alt]+[右矢印キー] 4.Microsoft Word 2013(マイクロソフト ワード 2013) (1) 拡大方法  [Ctrl]を押しながらマウスホイールを回すことで、全体を閲覧するときは縮小して、細部を見るときは拡大率を上げるということが、簡単にできます。ロービジョンの盲ろう者には必須の操作テクニックになります。 (2) ウィンドウ幅に合わせて文字列を折り返す  拡大率を上げたときに、表示部が画面からはみ出して、横スクロールが必要になります。このことはパフォーマンスを著しく低下させるので、オプション設定で、アウトライン表示における横スクロールを発生させない設定をします。  @メニューの<ファイル>を選択。 A<オプション>を選択。 B<詳細設定>をクリック。 C<構成内容の表示>で<文書ウィンドウの幅に合わせて文字列を折り返す>のチェックボックスにチェックを入れる。 (3) アウトライン表示への切り替え  文書の表示は<アウトライン表示>が見やすいです。 アウトライン表示に切替えるショートカットキー … [Ctrl]+[Alt]+[ O ] 第5章 ブレイルセンス 1 ブレイルセンスの紹介 1.概要  ブレイルセンスは、いつでもどこでも、電子メールやインターネット等ができるWindows CE搭載のPDA(携帯情報端末)です。  本体には点字入力キーボード、点字ディスプレイ(点字出力装置)、音声出力機能が装備されているため、盲ろう者のモバイル用の情報ツールとして活用することができます。 例えば、外出途中に相手と連絡を取りたいとき、電子メールを活用したり、インターネットを利用して電車の時刻表を調べたりすることができます。  その他に、アクセサリとして時計やタイマーなど、日常生活においても便利に使える機能が豊富に用意されています。 2.対象となる盲ろう者  ブレイルセンスは ・自宅・外出先等利用する場所を選ばないこと。 ・ソフトや周辺機器の購入の手間が省けること。 ・点字入力を中心としたキー配置のため操作が簡便なこと。 が大きなメリットです。  そのため、点字を利用する盲ろう者において ・外出先でメールやインターネットを利用したい人。 ・メール・ニュース閲覧・読書等、基本的な機能に限定して使う人。 ・多くのキー操作を覚えるのが苦手な人。 等に利用しやすい機器と言えます。 3.主な機能 (1) ファイル管理  フォルダの作成や移動、ファイルの削除等ができます。また、ファイル管理からブレイルセンスがサポートしているファイルを読み込むことができます。 (2) ワードプロセッサー  文書を日本語変換で作成することができ、テキストファイルとして保存することができます。また、点字入力キーが装備されているため、点字タイプライターのように6点にて日本語入力ができます。読み込み可能なファイルはtxt、brl、bes、hbl、doc、pdfフォーマット等です。 (3) 電子メール  無線LAN等で電子メールの送受信を行うことができます。また、複数アカウントやIMAP4(新しいメールの受信方式)にも対応しています。 (4) GPSナビ  GPSレシーバーとオプションの地図データを利用すると、現在位置や目的地までの行き方などを検索することができます。 (5) プログラム  インターネットを通じて様々な情報を調べたり閲覧できるRSSリーダーや、乗り換え検索、簡単スケジューラ、サピエ図書館などが使えます。 (6) ソーシャルネットワーキング  インターネットを利用してツイッターやグーグルトークなどのツールが利用できます。 (7) ウェブブラウザ ホームページの閲覧や検索サイトを利用した情報収集ができます。 (8) アドレス帳  氏名や住所、電話番号、メールアドレス等を管理します。電子メールでメールアドレスを入力するときにこのアドレス帳を利用します。 4.ブレイルセンスU2とブレイルセンスオンハンドU2の主な違い  現在ブレイルセンスシリーズはブレイルセンスU2(以下、U2)とブレイルセンスオンハンドU2ミニ(以下、U2ミニ)の2種類が発売されています。 (1) 点字ディスプレイ  点字表示部のマス数がU2は32マス、U2ミニは18マスです。 (2) 画面表示  U2には液晶ディスプレイが内蔵されているため、目の見える人のサポートが受けられます。しかしU2ミニには液晶ディスプレイが内蔵されておらず、目の見える人のサポートを受けるには専用の外付け液晶ディスプレイを購入する必要があります。 (3) ネットワーク  U2は有線LANに対応していますが、U2ミニは有線LANに対応していません。従って、U2ミニの場合は主に無線LANでの接続になります。 (4) 大きさや重量  U2は比較的大きく約924gと重いですが、U2ミニは弁当箱ほどの大きさで427gと軽く携帯に適しています。 (5) キーロックスイッチ、各種接続端子の配置  キーロックスイッチ、各種接続端子の配置が異なっています。 5.主な仕様と価格 (1) ブレイルセンスU2 サイズ:横25cm、奥行12.8cm、高さ3.9cm 重さ:924g キーボード:パーキンス入力方式の点字キー 点字表示部:32マス 内蔵メモリ:32GB ネットワーク: 有線LAN、無線LAN、Bluetooth インターフェース:SDスロット、USBマスター×3、USB OTG、LANポート ビデオ出力:超小型液晶ディスプレイ(5cm×1cm)、VGA サウンド:内蔵ステレオスピーカー、ヘッドホンジャック 音声録音:内蔵マイク、外付けマイクジャック ナビゲーション:内蔵GPSレシーバー、内蔵電子コンパス ※別売の地図データ等が必要 バッテリー:リチウムイオン(着脱式)、バックアップバッテリー内蔵、時計バッテリー(内蔵) 連続使用時間:約17時間(点字と音声、LCDディスプレイをオンにした状態で音声ボリュームを中くらいにした場合) 個人価格:580,000円(非課税) (2) ブレイルセンスオンハンドU2ミニ サイズ:横17.2cm 奥行9.0cm、高さ2.7cm 重さ:427g キーボード:パーキンス入力方式の点字キー 点字表示部:18マス 内蔵メモリ:32GB ネットワーク: 無線LAN、Bluetooth インターフェース:USB OTG、SDスロット(SDHC対応) サウンド:内蔵ステレオスピーカー、イヤホンジャック 音声録音:内蔵マイク、外付けマイクジャック ナビゲーション:内蔵GPSレシーバー、内蔵電子コンパス ※別売の地図データ等が必要。 バッテリー:リチウムイオン(着脱式)、スペアバッテリー有り 連続使用時間:約9時間 個人価格:383,500円(非課税) (3) 発売元 有限会社エクストラ 【URL】http://www.extra.co.jp/ 2 ブレイルセンスの基本操作 1.キーと電源スイッチについて (1) キーの配列  操作キーの配列はU2とU2ミニ共通です。 [スペース] … 中央にある横長のキー。 [点字キー] … [スペース]の上部に左右3個ずつある縦長のキー。 [エンター] … 一番右の縦長のキー。 [バックスペース] … 一番左の縦長のキー。 [ファンクション] … [スペース]をはさんで左右2個ずつある横長のキー。左から[F1][F2][F3][F4]。 [スクロール] … 点字ディスプレイの左右に2個ずつあるキー。上が[上スクロール]、下が[下スクロール]。 [タッチカーソル] … 点字表示部の上にある小さなキー。点字の各マスの上にあるので、U2は32個、U2ミニは18個ある。 (2) 点字キーについて  ブレイルセンスはパーキンス方式で入力します。 左手 … 人差し指が[ 1 ]の点、中指が[ 2 ]の点、薬指が[ 3 ]の点 右手 … 人差し指が[ 4 ]の点、中指が[ 5 ]の点、薬指が[ 6 ]の点 (3) ファンクションキーの役割 [F1] … スタートボタン(スタートメニューが開きます。[F1]を押したときの表示は<ファイル管理>となります) [F2] … Alt(メニューを表示させるときに押します) [F3] … Tab(ダイアログ内での項目間を移動するときに押します) [F4] … Esc(現在の操作を取り消したいときに押します) (4) 電源スイッチ  電源スイッチは本体の前面の一番右にあります。電源スイッチを右方向に引っ張ってはなすたびに、電源をオン/オフに切り替えることができます。 (5) キーロックスイッチの位置  キーロックスイッチの位置は、U2とU2ミニで異なっています。 a)U2  キーロックスイッチは本体の右側面の一番奥にあり、3段階で切り替えることができます。一番手前がキーロック、真ん中がオーディオボタンのみ、一番奥がキーロック解除です。キーロックはカバンの中で間違って電源スイッチが押されるというようなことを防ぎます。 b)U2ミニ  キーロックスイッチは本体の左側面の手前にあり、3段階で切り替えることができます。一番手前がキーロック解除、真ん中がオーディオボタンのみ、一番奥がキーロックです。 (6) リセットボタン  リセットボタンを押すことでブレイルセンスを強制的に再起動させることができます。 a)U2  U2のリセットボタンは、背面の一番左側にあります。(写真は後ろから撮っているので右側になっています) b)U2ミニ  U2ミニのリセットボタンは背面の少し右寄りにあります。(写真は後ろから撮っているので左寄りです) 2.基本操作 (1) スタートメニューと各プログラムの起動  ブレイルセンスの初期設定では電源を入れると<ファイル管理>と表示されます。これはスタートメニューの一番上のプログラムになります。   a)プログラムを選んで起動  点字ディスプレイの左右にある[下スクロール]を押していくと、<ワードプロセッサー w>、<電子メール e>とプログラム名が順番に表示されます。このように上下スクロールボタンを使ってプログラムを選択します。プログラムを起動するには[エンター]を押します。 b)ショートカットキーで起動  スタートメニューからそれぞれのプログラム名の最後に割り当てられているアルファベットを入力することで起動することもできます。 ●例  プログラム名が 電子メール e の場合、[ e(1・5)]を押す。  ※[ e ]の前に外字符(5・6)を打つ必要はありません。 (2) 各プログラムの終了  電子メールやウェブブラウザを終了させたいときは[スペース]を押しながら[ z(1・3・5・6)]をぽんと押します。 (3) ホットキー  ブレイルセンスには様々なホットキー(メールの受信やファイルの保存など)が割り当てられています。  例えば、デリートはDeleteの頭文字[ d(1・4・5)]と[スペース]を組み合わせて使います。文章を編集しているときに、削除したい文字のところにカーソルを合わせて[スペース]と[ d(1・4・5)]を上記の要領で押すと、その文字を削除することができます。  ※これ以降は、[スペース]+[d(1・4・5)]と表記します。 (4) 文字入力  入力モードを日本語変換と半角英数に切り替えることができます。なお、基本は日本語変換入力モードになっています。 a)入力モード(日本語変換と半角英数)の切り替え  [F1]+[F3]を同時に押すたびに、入力モードを日本語変換と半角英語を交互に切り替えることができます。   b)日本語変換入力  日本語変換での入力は、[点字キー]でかなを入力し[スペース]を押すと漢字などの変換候補が表示されます。[スペース]を何度か押し、目的の漢字を見つけたら[エンター]を押し確定させます。 (5) 操作のキャンセル  現在行っている操作を取り消したいときは[F4]を押すと前の状態に戻ります。 (6) 点字表示のスクロール  ワードプロセッサーやメールの本文など文章を読むときは、[上下スクロール]を使います。[上スクロール]で現在位置より前の文を、[下スクロール]で現在位置より後ろの文を読むことができます。  なお、[上下スクロール]は左右にありますが、初期設定ではどちらも機能は同じです。左手で点字を読む人は右の[上下スクロール]を、右手で点字を読む人は左の[上下スクロール]を使います。 (7) 矢印キーの機能  パソコンの矢印キーと同等の機能を以下の操作ですることができます。 上矢印キー … [スペース]+[ 1 ] 下矢印キー … [スペース]+[ 4 ] 左矢印キー … [スペース]+[ 3 ] 右矢印キー … [スペース]+[ 6 ] トップ(文頭)への移動 … [スペース]+[ 1・2・3 ] エンド(文末)への移動 … [スペース]+[ 4・5・6 ] (8) リストボックスやコンボボックス内の選択 上方向へ移動 … [スペース]+[ 1 ] 下方向へ移動 … [スペース]+[ 4 ] (9) ダイアログの項目間の移動 次の項目に移動するとき … [F3] 前の項目に移動するとき … [スペース]+[F3] (10) タッチカーソルを利用した編集  ワードプロセッサーやメール本文で文章を編集する際、[スペース]+[ 3 ]や[スペース]+[ 6 ]でカーソル位置を一つずつ移動させることができます。  また、カーソルを移動させたい点字のすぐ上にある[タッチカーソル]を押すことで、カーソルを即座に移動させることもできます。 (11) 問い合わせメッセージの選択  プログラム終了時にファイル保存等の問い合わせメッセージが表示されることがあります。そのときは[上スクロール]または[下スクロール]を押して<はい><いいえ>(ファイル保存の有無)を選択し[エンター]を押してください。 (12) 覚えておきたいホットキー バッテリー残量の確認 … [スペース]+[ 1・6 ] 現在時刻の確認 … [スペース]+[ t(2・3・4・5)] ※タイムの「 t 」 ネットワーク状態の確認 … [スペース]+[ n(1・3・4・5)] ※ネットワークの「 n 」 ※いずれも[F4]を押すと各表示が消えて元の画面に戻ります。 (13) 電源のオン/オフ  電源スイッチをオンにしたとき、電源をオフにする前の状態に復帰します。  例えば、電子メールの受信メール一覧で電源スイッチをオフにすると、次に電源スイッチをオンにしたとき、起動後に電子メールの受信メール一覧が表示されます。 3 ブレイルセンスの設定  ここでは盲ろう者がブレイルセンスを快適に使えるよう、あらかじめ設定しておいた方が良い機能を紹介します。 1.オプション設定  スタートメニューの<設定>の中にある<オプション設定>では、音声や点字、液晶ディスプレイ(U2のみ)の出力設定ができます。また、無線LANやプリンター関係など各デバイスの設定も行うことができます。  初期設定の状態では使いづらいので、点字の触読能力や聞こえ方に応じて最初にオプション設定で必要箇所の設定変更を行ってください。 (1) オプション設定の基本操作 @電源スイッチをオンにしスタートメニューを表示させる。 ※起動したときの表示が<ファイル管理>ではない場合は[F1]を押す。 A[下スクロール]を押し<設定>に移動する。 B[エンター]を押す。 → <時計設定>と表示される。 C[スペース]+[ 4 ]を押し<オプション設定>に移動する。 D[エンター]を押す。 E[スペース]+[ 1 ]または[スペース]+[ 4 ]を押し各項目に移動する。 ※[上下スクロール]でも移動は可能だが、項目名が長くて点字ディスプレイの1行に入りきれない場合、点字表示のスクロール機能も兼ねるため何度もスクロールを押すことになり不便な場合がある。 F設定を変更したい項目で[スペース]を押し、設定を変更する。 G操作手順のEとFを繰り返し他の設定の変更を行う。 H[エンター]を押す。 I<オプション設定完了>と表示され、スタートメニューの<オプション設定>に戻る。 (2) 設定のポイント  ここでは初心者を想定し、初期設定の状態から設定変更した方が良いと思われる項目を列挙しました。 a)点字カーソル  カーソル(7・8の点)の表示をオン/オフに変更できます。点字の触読に慣れていない場合は<オフ>にしてください。 b)メッセージ表示時間  <データをバックアップ中><メールがありません。>など作業状況や状態を表すメッセージを何秒表示させるか設定ができます。0秒〜10秒の間で選択できますので、点字の触読に慣れていない場合は長く設定してください。 c)音声  音声出力のオン/オフが設定できます。音声ガイドを必要としない場合は<オフ>にしてください。   d)内蔵ディスプレイ  液晶ディスプレイに点字ディスプレイと同じ内容を表示させることができます。液晶ディスプレイを使用する場合は<オン>にしてください。 ※U2だけの設定です。 e)LCDディスプレイの切り替え  ディスプレイ表示を天地逆に変更することができます。これは向かい合わせに座っている相手がディスプレイの文字を読みやすいようにするためです。天地逆に表示させる場合は<オン>にしてください。 ※U2だけの設定です。   f)警告音と振動  操作のエラーがあったときに音と振動で知らせます。<音><音と振動><振動><すべてオフ>の4つから必要なものを選択してください。   g)起動サウンド  ブレイルセンスの起動と終了時に音楽が流れます。起動・終了音を鳴らしたくない場合は<オフ>にしてください。   h)コントロール情報  現在どのような項目にいるかをガイドするステータス情報の表示に関する設定です。例えば、エディットボックスにいるのかリストビューにいるのかといった情報の表示/非表示などが選択できます。点字の触読に慣れていない場合は<オフ>にしてください。   I)ショートカットキー情報  プログラムやメニューの名前の後ろに表示されるショートカットキー情報を非表示にできます。余計な点字を読みたくないという場合は<オフ>にしてください。 j)節電モード  指定した時間が経過すると自動的に電源が切れる機能です。この機能を必要としない場合は<オフ>にしてください。   k)今日の予定確認  ブレイルセンスの電源を入れたときにその日の予定を表示する機能です。予定帳を使わない方は<オフ>にしてください。   l)無線LAN  無線LANでネット接続する場合は<オン>にしてください。 m)GPS  内蔵のGPSレシーバーを使わない場合は<オフ>にしてください。 盲ろう者のニーズや使用するデバイスに合わせてその他の機能もカスタマイズしてください。 (3) オプション設定のバックアップ  バッテリーが切れた後そのまま放置するとオプション設定が初期設定に戻ってしまいます。 特にU2ミニの場合はバッテリーが切れた後1分以上放置すると初期設定に戻ってしまうので注意が必要です。  従って、オプション設定はバックアップをとるようにしてください。オプション設定をバックアップしておけば、初期設定に戻ってしまってもすぐに復旧することができます。  次のステップ1、ステップ2の順でバックアップを行ってください。 ステップ1:<backup>フォルダの作成 @[F1]を押してスタートメニューの<ファイル管理>に移動する。 A[エンター]を押す。→ <flashdisk>と表示される。 B[エンター]を押す。 C[エンター]+[ f(1・2・4)]を押す。 → <新しいフォルダ名>と表示される。 D[F1]+[F3]を押して入力モードを<英語>に切り替える。 E「backup」と入力する。(注1) F[F1]+[F3]を押して入力モードを<日本語変換>に戻す。 G[エンター]を押す。→ 「backup」フォルダが作成される。 H[スペース]+[ z(1・3・5・6)]を2回押してスタートメニューに戻る。 (注1)日本語で「イアウナハネ」と入力すれば「backup」という英語点字になります。 ステップ2:バックアップ @スタートメニューで[下スクロール]を押して<設定>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <時計設定>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]で<バックアップ/復旧 オプション>に移動する。 C[エンター]を押す。 → <オプション 1/13 SCHB>(注1)と表示される。 D[F3]を2回押す。 → <バックアップ enter-b>と表示される。 E[エンター]を2回押す。 → <backup 1/10>(注2)と表示される。 ※もし<backup>と表示されない場合は表示されるまで[下スクロール]を押す。 F[スペース]を1回押す。 → <※ backup>(注3)と表示される。 G[エンター]を押す。 → しばらくすると<バックアップ/復旧 オプション>と 表示される。 H[スペース][ z(1・3・5・6)]を押す。 → <設定>メニューに戻る。 (注1)「SCHB」はチェックボックスにチェックが入っている状態のことを表しています。 チェックが入っていない状態では「UCHB」と表示されます。 (注2)<1/10>の数字は変動します。 (注3)液晶ディスプレイには<選択backupフォルダ 1/10>と表示されます。 ●補足  電子メールオプションやアドレス帳オプションなどの設定もバックアップすることができます。  ステップ2の操作手順Bの後、[スペース]+[ 4 ]を押すと<アドレスマネージャーオプション>や<電子メールオプション>が出てきますので、各項目で[スペース]を押し、 <UCHB>を<SCHB>に変更し、操作手順Cへ進みます。 2.ネットワークの設定 (1) 無線LANの設定  無線LANでの接続設定をする場合は、初期設定では<設定>の<オプション設定>の<無線LAN>が<オフ>になっていますので<オン>にしてからインターネット設定を行ってください。  あるいは[バックスペース]+[ 1・4・5・6 ]を押すことで無線LANのオン/オフの切り替えができます。 @[スクロール]でスタートメニューの<設定>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <時計設定>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]で<インターネット設定>に移動する。  ※[下スクロール]でも移動は可能だが、項目名が長くて点字ディスプレイの1行に入りきれない場合、点字表示のスクロール機能も兼ねるため何度も[スクロール]を押すことになり不便な場合がある。 C[エンター]を押す。 → <LAN 1/6>と表示される。 D[スペース]+[ 4 ]で<無線LAN 2/6>を選ぶ。 E[エンター]を押す。 → <アクセスポイント (検出されたアクセスポイント名)>と表示される。 F[スペース]+[ 4 ]で接続したいアクセスポイントを選択する。 ※ここでは<アクセスポイント dbit>を選択するとする。 G[エンター]を押す。 → <ネットワークキー>と表示される。 H選択したアクセスポイントのネットワークキーを入力する。 I[エンター]を押す。 → <プロファイル設定完了 dbitに接続中>と表示され、続けて<アクセスポイントdbit,暗号化:WEP,信号強度:非常に強い。接続。>と表示される。 ※上記の表示が出れば接続は完了。ただし、<プロファイル設定完了 dbitに接続中>の表示が消えず、その後<dbitへの接続失敗>と一瞬表示され、さらに<アクセスポイントdbit,暗号化:WEP,信号強度:非常に強い。>のように、最後に<接続。>が表示されていない場合は、接続ができていないので、さらに次の「(2)無線LANの設定をやり直す」の操作を行う。 (2) 無線LANの設定をやり直す @ (1)のIの状態で[F3]を押す。 → <詳細>と表示される。 A[エンター]を押す。 → <profile:dbit>と表示される。 ※もし複数のprofileがある場合は、<profile:(他のアクセスポイント名)>と表示される場合があるので、そのときは[スペース]+[ 4 ]で<profile:dbit>を選択する。 B[F3]を3回押す → <削除>と表示される。 C[エンター]を押す。 → <削除完了>と表示され、続けて<profile:項目無し 0/0>と表示される。 ※他のprofileがある場合は<profile:(他のアクセスポイント名>と表示される。 D[F3]を押す。 → <アクセスポイント (検出されたアクセスポイント名)>と表示され(1)のEの状態になる。 Eネットワーク名(SSID)やネットワークキーをよく確認のうえ、(1)のF〜Iの操作を再度実行する。 (3) 有線LANの設定 ※U2だけの設定です @スタートメニューの<設定>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <時計表示>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]で<インターネット設定>に移動する。 C[エンター]を押す。 → <LAN 1/6>と表示される。 D[エンター]を押す。 → <IP設定:自動>と表示される。 E[エンター]を押す。 →<設定完了>と表示されて、<インターネット設定>に戻る。 F[スペース]+[ z(1・3・5・6)]を押す。 → <設定>メニューに戻る。 (4) ネットワーク状態の確認  設定完了後、次の方法でネットワーク状態の確認ができます。 @スタートメニューを開いている状態にする。 A[スペース]+[ n(1・3・4・5)]を押す。 Bネット接続ができていれば<オンライン>と表示され、接続できていない場合は<オフライン>と表示される。 3。電子メールのアカウント設定 @スタートメニューで[下スクロール]を押し<電子メール>に移動する。 A[エンター]を押す。 → 受信メールのタイトル一覧が表示される。 B[エンター]+[ m(1・3・4)]を押す。 → <アカウント名: リスト無し 0/0>と表示される。 C[F3]を2回押す。 → <登録>と表示される。 D[エンター]を押す。 → <アカウント名?>と表示される。 Eアカウント名を入力する。  ※プロバイダー名などを入力すると分かりやすい。ここでは「gmail」を例とする。 F[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <ユーザ名?>と表示される。 G自分の名前を入力する。 ※差出人アドレスに表示される名前なので、なるべく分かりやすい名前を入力する。ここでは「山田 太郎」を例とする。 H[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <ユーザID?>と表示される。 Iプロバイダーから提供されるユーザーID(ユーザーアカウントと呼ばれる場合もある)を入力する。 ※(例)yamada.taro@gmail.com J[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <パスワード?>と表示される。 Kプロバイダーから提供されるメールのパスワードを入力する。 L[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <電子メールアドレス?>と表示される。 Mプロバイダーから提供されるメールアドレスを入力する。 ※(例)yamada.taro@gmail.com N[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <使用するメールサーバー: POP3>と表示される。 O[スペース]を押して、<POP3>もしくは<IMAP>を選択する。 ※以下、POP3サーバー、IMAPサーバーどちらを選択したかで若干表示が異なる。 P[スペース]+[ 4 ]を押す。 → 手順OでPOP3を選択した場合は<POP3サーバー?>、IMAPを選択した場合は<受信IMAPサーバー>と表示される。 Qプロバイダーから提供されるPOPサーバーもしくはIMAPサーバーアドレス(受信メールサーバーアドレスともいう)を入力する。 ※(例)pop.gmail.com R[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <smtpサーバー?>と表示される。 Sプロバイダーから提供されるsmtpサーバーアドレス(送信メールサーバーアドレスともいう)を入力する。 ※(例)smtp.gmail.com 21[F3]を押す。 → <詳細設定>と表示される。 22[エンター]を押す。 → <受信にsslを使う UCHB>と表示される。(注1) ※受信にSSLが必要な場合は[スペース]を1回押す。(注2) → <UCHB>の表示が<SCHB>の表示に変更される。 U※手順OでIMAPサーバーを選択した場合は、<セキュアIMAP(IMAP-SSL)を使用する UCHB>と表示されるので、POP3サーバーと同様SSLが必要な場合はスペースキーを押して<UCHB>の表示を<SCHB>の表示に変更する。 23[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <pop3ポート番号?995>と表示される。(注3)  ※手順OでIMAPを選択した場合は<IMAPポート番号 993>と表示される。(注4) 24[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <smtp暗号化方式?:ない>と表示される。  ※もし送信時にSSLなどの暗号化が必要な場合は、[スペース]を1回押す。  → <SSL>に変更される。 25[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <smtpポート番号?25>と表示される。 26「バックスペース」で消して<465>と入力する。(注5) 27[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <smtpID?>と表示される。 ※IのユーザーIDと異なるものが指定されている場合にはsmtpIDを入力。 28[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <smtpパスワード?>と表示される。 ※Kのメールのパスワードと異なるものが指定されている場合にはsmtpパスワードを入力。 29[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <常にこのsmtpを使って送信 UCHB>と表示される。 30「スペース」を押す。 → <UCHB>が<SCHB>に変更される。 ※最近のほとんどのプロバイダーはこの機能を使うため<SCHB>にする必要がある。 31[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <サーバーにメールのコピーを残しますか SCHB>と表示される。 ※サーバーにメールを残したくない場合は[スペース]で<UCHB>に変更する。 32[スペース]+[ 4 ]を押す。 → <sentフォルダーに送信済みメールを保存する SCHB>と表示される。 ※送信済みフォルダにメールを保存しない場合は[スペース]で<SCHB>を<UCHB>に変更する。 33[F3]を3回押す。 → <確認>と表示される。 34[エンター]を押す。 → <詳細設定>に戻る。 35[F3]を1回押す。 → <確認>と表示される。 36[エンター]を押す。 → <サービス名:(先ほど設定したアカウント名)>と表示される。 37[スペース]+[ z(1・3・5・6)]を押す。 → 設定画面が終了しタイトル一覧に戻る。 (注1)「UCHB」とはチェックボックスにチェックが入っていない状態を表しています。「SCHB」とはチェックボックスにチェックが入っている状態を表しています。 (注2)gmailなど一部のメールアカウントはSSLを使いますが、ほとんどのプロバイダーは使いません。 (注3)IMAP SSLでチェックを入れていない場合は、IMAPポート番号は自動的に「143」と入力されます。 (注4)セキュアIMAP(IMAP-SSL)でチェックを入れていない場合は、IMAPポート番号は自動的に「143」と入力されます。 (注5)契約しているプロバイダーの指示に従ってSMTPポート番号を書き直してください。 4.スタートメニューのカスタマイズ  ブレイルセンスには様々なプログラムが用意されていますが、必要なプログラムに限定して利用したいというユーザーもいます。利用するプログラムだけスタートメニューに表示し、利用しないプログラムを非表示にするとより使いやすくなります。 @スタートメニューで[下スクロール]を押して<設定>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <時計表示>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]で<メニュー管理>に移動する。 C[エンター]を押す。 → <ファイル管理> 1/88>と表示される。 C[スペース]+[ 4 ]を押して、非表示にしたいプログラムに移動する。 D[スペース]を押す。 → <オフ>に変更される。 ※他に非表示にしたいプログラムがあればCとDを繰り返す。 E[エンター]を押す。 → <メニュー管理>が表示される。 F[リセットボタン]を押す。 → 再起動し<ファイル管理>が表示される。 G変更されたスタートメニューの表示を確認する。 ※なお、<メニュー管理>で<オフ>にしたプログラムは削除されるわけではありません。同じ手順で<メニュー管理>を開き、各プログラムを<オン>に変更し再起動すれば再び表示されるようになります。 4 ブレイルセンスの指導法 1.ニーズにあったプログラムの選択  盲ろう者がブレイルセンスで何をやりたいのかをよく聞き、盲ろう者のニーズに合わせて指導するプログラムを決めます。 a)メールをやりたい → 電子メール b)電車の時刻表を調べてみたい → 乗り換え検索 c)新聞や天気予報などの情報を読んでみたい → RSSリーダー d)インターネットを楽しみたい → クイックブラウザ e)スケジュール管理をしたい → 簡単スケジューラ f)点字図書データをダウンロードして読書をしたい → サピエ g)言葉の意味を調べたい → 電子辞書(注1) h)様々なファイルの読み込みや墨字印刷をしたい → ワードプロセッサー i)現在位置の場所や目的地までの行き方を調べたい → GPSナビ(注2) (注1)別途、ブレイルセンスに対応したEPWING規格のCD-ROM辞書が必要です。 (注2)別途、GPSレシーバーと地図データのセット39,800円(2013年9月現在の価格)を購入する必要があります。 2.指導上の留意点 (1) サウンド関係  全く聞こえない盲ろう者の場合、起動サウンドや警告音、音声に気づかないことがありますので、ブレイルセンスから音が出ていることを説明し、必要に応じて音を止める設定をします。  また、[バックスペース]+[F2]で音声出力のオン/オフの切り替えができます。 (2) 点字表示の仕組み  点字ディスプレイの1マスは8個の点からなっており、上の6個の点が通常の点字で、一番下の2個の点はカーソル位置を表す点字です。そのことを盲ろう者に理解してもらった上で点字を読んでもらいます。 (3) 行末を示す点字  各行の最後にカーソルを移動すると<\p(1・2・4・6)(1・2・3・4)>と点字で表示されます。カーソルが行末にない場合はこの<\p>の点字が表示されません。 (4) 漢字変換の入力  漢字変換は単語単位あるいは人の名前等は1文字単位で変換して入力するよう指導します。 (5) 入力文字と点字表示の不一致  点字には助詞の「は」を「わ」、「へ」を「え」と書くルールがありますが、ブレイルセンスでは墨字のルールに従って「は」や「へ」と入力します。  しかし、「は」や「へ」と入力しても、点字ディスプレイには「わ」や「え」と表示されてしまいますので、そのことを指導します。 (6) ホットキーの指導法  ブレイルセンスの各ホットキーは[スペース]や[エンター]や[バックスペース]と英語のコマンド名の頭文字との組み合わせで覚えます。しかし、英語や英語点字が分からない盲ろう者には日本語点字で暗記してもらいます。  例えば、メールの受信のホットキーは[エンター]+[ n(1・3・4・5)]ですが、これを[エンター]+[ツ]と覚えてもらいます。 3.トラブルへの対処法  よく起きるトラブルとその対処法です。指導者が行ってもいいですし、対処法を盲ろう者に覚えてもらっても良いでしょう。 (1) バッテリー切れによるトラブル  特にU2ミニの場合、使用時間が約9時間と、U2の半分ほどであるため、気づかない内にバッテリーがなくなっていることがあります。バッテリーが切れてから1分以上放置すると、オプション設定が初期化されてしまいます。  保存しておいたオプション設定(参照P187)を復旧させるには次のように行ってください。 @スタートメニューで[下スクロール]を押して<ユーティリティ>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <時計設定>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]で<バックアップ/オプション>に移動する。 C[エンター]を押す。 → <オプション 1/13 SCHB>(注1)と表示される。 D[F3]を3回押す。 → <復旧enter-r>と表示される。 E[エンター]を2回押す。 → <backup 1/10>(注2)と表示される。 F[スペース]を1回押す。→ <※ backup>(注3)と表示される。 G[エンター]を押す。 → しばらくすると<バックアップ/復旧 オプション>と表示される。 H[スペース]+[ z(1・3・5・6)]を押す。 → <設定>に戻る。 (注1)「SCHB」とはチェックボックスにチェックが入っている状態のこと表しています。 (注2)液晶ディスプレイには<backupフォルダ 1/10>と表示されます。<1/10>の数字は変動します。 (注3)液晶ディスプレイには<選択backupフォルダ 1/10>と表示されます。 (2) インターネットに接続できない  特に無線LANの場合、周囲の環境によってブレイルセンスとルーターの電源を入れただけでは接続できないことがあります。その場合、次のステップ1、ステップ2を行い接続を試します。 ステップ1 ブレイルセンスのリセットボタンを押してみる。 それでも接続できない場合は次のステップに進んでください。 ステップ2 @スタートメニューで[下スクロール]を押し<設定>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <時計設定>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]で<インターネット設定>に移動する。 C[エンター]を押す。 → <無線LAN 1/3>と表示される。(注1) D[エンター]を押す。 → <アクセスポイント>と表示されて、30秒ほど待つとオンラインになる。 E[スペース]+[ z(1・3・5・6)]を3回押す。 → <設定>に戻る。 F[スペース]+[ n(1・3・4・5)]を押してネットワーク状態を確認する。 → <状態:オンライン>と表示されればインターネットに接続したことになる。 ※この表示を消すときは[F4]を押す。 (注1)U2の場合は<LAN 1/6>と表示されますので、[スペース]+[ 4 ]を押して<無線LAN 2/6>を選択してください。 (3) 時計を合わせる  時計がずれたとき、インターネットを通じて時計サーバーと同期することで修正することができます。 ※インターネットに接続されている状態で操作してください。 @スタートメニューで[下スクロール]を押し<設定>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <時計設定>と表示される。 B[エンター]を押す。 → <タイムゾーン:大阪・札幌・東京>と表示される。 C[F3]を4回押す。 → <時計サーバと同期>と表示される。 D[エンター]を押す。 → しばらくすると<同期成功>と表示され、続いて現在時刻が表示される。(注1) E[スペース]+[ z(1・3・5・6)]を押す。 → スタートメニューの<設定>メニューに戻る。 (注1)インターネットに接続されていないと、しばらく接続を確認後<同期失敗>と表示されて<時計サーバと同期>に戻る (4) キー操作が効かなくなったとき  ブレイルセンスが固まって動作しなくなったときは、方法1または方法2で試してください。 方法1:通常のリセット  本体後ろのリセットボタンを押します。リセットボタンを押すと、再起動してスタートメニューの<ファイル管理>が表示されます。 方法2:ハードリセット  本体前面の右三角の形をした[次のトラックボタン]を押しながら本体後ろのリセットボタンを押します。[次のトラックボタン]は再起動するまで離さないでください。再起動するとスタートメニューの<ファイル管理>が表示されます。  ※なお、ハードリセットの場合はオプション設定等の設定情報が初期化されてしまいますので、<復旧>などを使って設定を戻す必要があります。 5 盲ろう者向けマニュアル(ブレイルセンスU2)  ここでは、盲ろう者への指導を想定して作成したブレイルセンスU2のマニュアルを紹介します。指導の参考にしてください。  なお、ショートカットキーとして使われるアルファベットは、盲ろう者にわかりやすように五十音に置き換えて記しています。たとえば、[スペース]+[ Z(1・3・5・6) ]を[スペース]+[マ(1・3・5・6)]としています。 1.基本操作 (1) 起動 @キーロックスイッチを、U2は一番奥側、U2ミニは一番手前側にし、キーロックを解除。 A電源スイッチを右にスライドさせ電源を入れる。 → 点字ディスプレイに点字が表示される。 (2) 終了 @電源スイッチを右にスライドさせ電源を切る。 → 点字ディスプレイの点字表示が消える。 Aキーロックスイッチを、U2は一番手前側、U2ミニは一番奥側にし、キーロックする。 (3) プログラムの選択と起動 @ブレイルセンスの電源を入れる。 → 点字ディスプレイにプログラムの名前が表示される。 A[上スクロール]または[下スクロール]でプログラムを選ぶ。 B[エンター]を押す。 ●補足  スタートメニューの一番上が<ファイル管理>、一番下が<ヘルプ>です。<ファイル管理>で[上スクロール]を何回押しても<ファイル管理>のまま表示は変わりません。同じように、<ヘルプ>で[下スクロール]を何回押しても<ヘルプ>のまま表示は変わりません。 (4) プログラムの終了 @プログラムの中にいる状態で、[スペース]+[マ(1・3・5・6)]を押す。 → プログラムが終了し、スタートメニューのプログラム名に表示が戻る。 Aブレイルセンスの電源を切る。 (5) 入力モードの切り替え @[F1]+[F3]を押すと<英語>か<日本語変換>どちらかが表示される。 A<日本語変換>を選択したい時は[F1]+[F3]を何度か押し、<日本語変換>が表示されたら、そのまま数秒待つ。 → 元の表示に戻る。 B[F2]+[F4]を押すと、<英語><英語全角><日本語><日本語変換>の四つが選択できる (6) 日本語変換の入力について  点字キーでかな点字を入力し[エンター]を押すとひらがなで確定されます。  点字キーでかな点字を入力し[スペース]を押すと漢字変換候補が表示されます。さらに[スペース]を押すと次の漢字変換候補が表示されますので、正しい漢字を選択します。[エンター]を押すと選択された漢字で確定されます。 (7) 英語入力について  入力モードを<英語>に切り替えてください。英語点字(外字符や外国語引用符は不要)で入力できます。  日本語変換で入力したいときは、入力モードを<日本語変換>に切り替える必要があります。 (8) 日本語かな入力について  日本語のかなを直接入力することができます。[F2]+[F4]を同時に何度か押し<日本語>を選択してください。 (9) バッテリー残量の確認 @[スペース]+[カ(1・6)]を押してバッテリー残量を確認する。 A[F4]を押す。 → 元の表示に戻る。  10%以下になったら充電するようにしてください。 (10) 時計の表示 時計を表示する方法 [スペース]+[ト(2・3・4・5)]を押して時刻を確認する。 時計表示を消す方法 [F4] (11) インターネット接続の状態を確認する @モバイルルーター(EMOBILEなど)を使う場合はモバイルルーターの電源を入れる。 Aスタートメニューを表示した状態で、[スペース]+[ツ(1・3・4・5)]を押しネットワーク状態を確認する。  → <状態:オンライン>と表示されれば通信ができている状態。 B[F4]を押してスタートメニューに戻る。 2.電子メール (1) メールの受信 @スタートメニューで[下スクロール]を押し<電子メール>に移動する。 A[エンター]を押す。 → 受信メールのタイトル一覧が表示される。 B[エンター]+[ツ(1・3・4・5)]を押す。 → <アカウント名? 受信 1/1>と表示される。(注) C[エンター]を押す。 Dメールが受信されると自動的にタイトル一覧に戻る。  → <未読 タイトル:(タイトル)>と表示される。  ※受信メールがないときは<アカウント名? 受信 1/1>に戻る。  → タイトル一覧に戻るには[F4]を押す。 (注)<アカウント名? 受信 1/1>の<受信>のところはメール設定によって変わるので注意。 (2) タイトル一覧の操作  ここでは5通のメールを受信した場合で説明します。 a)タイトル一覧の表示  <タイトル:(タイトル)2/5>のように表示されます。<2/5>とは全部で5通のメールがあり、その内2番目のメールのタイトルを表示しているという意味です。  未読の場合、点字ディスプレイの1マス目に3・6の点が表示されますが、これは未読マークです。  タイトルに未読マークがない場合は、そのメールはすでに読んだことを意味します。 b)古いメールへ移動  [スペース]+[ア(1)]を押すと、送信日時が古いメールへ一つずつ移動します。メール番号<1/5>が最も古いメールです。   c)新しいメールへ移動  [スペース]+[4]を押すと、送信日時が新しいメールへ一つずつ移動します。メール番号<5/5>が最も新しいメールです。 (3) 本文を読む @読みたいメールのタイトルに移動。 A[エンター]を押す。 → <本文:(文章)>と表示される。 B[下スクロール]を押して文章を読む。文章を読み返すときは[上スクロール]を押す。 C[F4]でタイトル一覧に戻る。 (4) 送信日時を確認する  タイトル一覧で[F3]を1回押すと<日付:2013年…>と表示され、送信日時が確認できます。  点字ディスプレイに表示しきれない部分は、[下スクロール]を押して続きを読むことができます。  送信日時は<年・月・日・曜日・時間・2/5>(注)の順番で表示されます。  (注)「2/5」の数字はその都度変わります。 (5) 差出人を確認する  タイトル一覧から[F3]を2回押すと<差出人:(差出人名)>と表示され、差出人が確認できます。  点字ディスプレイに表示しきれない部分は、[下スクロール]を押して続きを読むことができます。  差出人には相手の名前やメールアドレスが表示されます。 (6) メールに返信する @タイトル一覧で返信したいメールに移動する。 A[エンター]を押し本文の内容を確認する。 B[エンター]+[チ(1・2・3・5)]を押す。 → <本文:>と表示される。 C文章を入力する。 D[エンター]+[ノ(2・3・4)]を押す。 → メールが送信されてタイトル一覧に戻る。 (7) 差出人のアドレスを登録する @タイトル一覧でアドレス登録したいメールに移動する。  タイトルだけでは誰のメールか分からない場合は[エンター]を押して本文の内容を確認する。確認したら[F4]を押してタイトル一覧に戻る。 A[F3]を2回押して「差出人:(差出人名)」を表示させる。 B差出人名が点字ディスプレイに表示しきれない場合は[下スクロール]を押し名前やメールアドレスを確認する。 C[エンター]+[オ(2・4)]を押す。 → <名前:(差出人名またはアドレス)>と表示される。 D名前やメールアドレスがすでに書き込まれているので[バックスペース]で削除し、表示を空欄にする。 E名前を入力する。 F[エンター]を押す。 → <アドレス保存完了>と表示され、差出人の表示に戻る。 G[エンター]を押す。 → <本文:(文章)>と表示される。 H[F4]を押す。 → タイトル一覧に戻る。 (8) アドレス帳の登録 @スタートメニューの<オーガナイザ>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <アドレス帳>と表示される。 B[エンター]を押す。 → 一瞬だけ<アドレス追加>と表示され、続いて<姓>と表示される。 C[エンター]+[オ(2・4)]を押す。 → 一瞬だけ<アドレス追加>と表示され、続いて<姓>と表示される。 D名前を入力する。 E[スペース]+[ 4 ]を何度か押し<自宅・電子メール>に移動する。 Fメールアドレスを入力する。 G[F3]を2回押す。 → <確認>と表示される。 H[エンター]を押す。 → 一瞬だけ<アドレス保存完了>と表示され、続いて<姓>と表示される。 I[スペース]+[マ(1・3・5・6)]を押す。 → <バックアップを変更しますか。はい>と表示される。 J[エンター]を押す。 → <データをバックアップ中><バックアップ完了>と表示された後、最後に<アドレス帳>と表示される。 K[スペース]+[マ(1・3・5・6)]をを押してスタートメニューの<オーガナイザ>に戻る。 (9) 新規メールの作成と送信 @タイトル一覧で[エンター]+[ソ(2・4・5・6)]を押す。 → <宛先:>と表示される。 A[エンター]+[ニ(1・2・3)]を押す。 → <アドレスリストキーワード:>と表示される。 B相手の名前を入力する。 C[エンター]を3回押す。 → <宛先:(メールアドレス)>と表示される。 D[F3]を3回押す。 → <タイトル:>と表示される。 Eタイトルを入力する。 F[F3]を1回押す。 → <本文:>と表示される。 G文章を入力する。 H[エンター]+[ノ(2・3・4)]を押す。 → メールが送信されてタイトル一覧に戻る。 (10) 複数送信 a)同時送信 @タイトル一覧で返信したいメールに移動する。 A[エンター]+[ソ(2・4・5・6)]を押す。 → <宛先:>と表示される。 B[エンター]+[ニ(1・2・3)]を押す。 → <アドレスリストキーワード:>と表示される。 C一人目の名前を入力する。 D[エンター]を3回押す。 → <宛先:(メールアドレス)>と表示される。 E二人目を選びたい場合、また[エンター]+[ニ(1・2・3)]を押す。 → <アドレスリストキーワード:>と表示される。 F二人目の名前を入力する。 G[エンター]を3回押す。 → <宛先:(メールアドレス)>と表示される。  三人目以降は、操作手順D〜Fを繰り返す。 H[F3]を3回押す。 → <タイトル:>と表示される。 Iタイトルを入力する。 J[F3]を1回押す。 → <本文:>と表示される。 K文章を入力する。 L[エンター]+[ノ(2・3・4)]を押す。 → メールが送信されタイトル一覧に戻る。 b)BCC @タイトル一覧で[エンター]+[ソ(2・4・5・6)]を押す。 → <宛先:>と表示される。 A[エンター]+[ニ(1・2・3)]を押す。 → <アドレスリストキーワード:>と表示される。 B自分の名前を入力する。 C[エンター]を3回押す。 → <宛先:(自分のメールアドレス)>と表示される。 D[F3]を2回押す。 → <宛先(Bcc):>と表示される。(注) E[エンター]+[ニ(1・2・3)]を押す。 → <アドレスリストキーワード:>と表示される。 F一人目の名前を入力する。 G[エンター]を3回押す。 → <宛先:(メールアドレス)>と表示される。 H二人目を選びたい場合、また[エンター]+[ニ(1・2・3)]を押す。  → <アドレスリストキーワード:>と表示される。 I二人目の名前を入力する。 J[エンター]を3回押す。 → <宛先:(メールアドレス)>と表示される。  三人目以降は、操作手順H〜Jを繰り返す。 K[F3]を1回押す。 → <タイトル:>と表示される。 Lタイトルを入力する。 M[F3]を1回押す。 → <本文:>と表示される。 Nメッセージを入力する。 O[エンター]+[ノ(2・3・4)]を押す。 → メールが送信されタイトル一覧に戻る。 (注)Dで[F3]を1回押すと<宛先(Cc):>になります。 (11) メールが送信できたかどうかを確認する @タイトル一覧で[スペース]を押しながら[F3]を1回押す。 → <Mail box:Inbox 1/3>と表示される。 A[スペース]+[ 4 ]を2回押す。 → <outbox 3/3>と表示される。 B[F3]を押す。 → 送信済みメールのタイトル一覧が表示される。  ここで<リストなし 0/0>と表示されていれば送信できたことになる。 ●補足 <Mail Box>には<Inbox><Sent><outbox>の3個のフォルダがあります。 (12) メールの削除 a)1件だけ削除する @タイトル一覧で削除したいメールに移動する。 A[スペース]+[ル(1・4・5)]を押す。 → 点字ディスプレイに<メールを削除しますか?はい>と表示される。 B[エンター]を押す。  削除を中止する場合は[下スクロール]を1回押し、<いいえ>が表示されたら[エンター]を押す。 b)すべてのメールを削除する @タイトル一覧で[エンター]+[ア(1)]を押す。 → すべてのメールが選択される。 A[スペース]+[ル(1・4・5)]を押す。 → <5メールを削除しますか?はい>(注)と表示される。 B[エンター]を押す。  削除を中止する場合は[下スクロール]を1回押し、<いいえ>が表示されたら[エンター]を押す。  (注)<5メールを削除しますか?はい>の<5>は選択されたメールの数です。 3.乗り換え検索 @スタートメニューで[下スクロール]を押し<プログラム>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <RSSリーダ>と表示される。 B[下スクロール]を押し<乗り換え検索>に移動する。 C[エンター]を押す。 → ネットワークに接続し<出発地>と表示される。 D乗車する駅名を入力する。   ※基本的にひらがなで入力しますが、ごくたまに漢字にした方が良い場合もあります。 E[F3]を押す。 → <到着地>と表示される。 F降車する駅名を入力する。 G[F3]を押す。 → <経由地>と表示される ※ここは省略しても良い。 H[F3]を押す。 → <年 2013>と表示される。 I[F3]を押す。 → <月 10>と表示される ※[スペース]+[ 4 ]で変更する。 J[F3]を押す → <日 15>と表示される。 ※1〜31の数字が選択できるので、[スペース]+[ア(1)]または[スペース]+[ 4 ]を押し変更する。 K[F3]を押す。 → <時 12>と表示される。 ※0〜23の数字が選択できるので、[スペース]+[ア(1)]または[スペース]+[ 4 ]を押し変更する。 L[F3]を押す。 → <分 40>と表示される。  ※0〜59の数字が選択できるので、[スペース]+[ア(1)]または[スペース]+[ 4 ]を押し変更する。 M[F3]を押す。 → <検索方法 出発時刻1/2>と表示される。 ※指定した日時に到着する電車を調べるときは「到着時刻」、指定した日時に出発する電車を調べるときは「出発時刻」を選択できるので、[スペース]+[ア(1)]または[スペース]+[ 4 ]を押し変更する。 N[F3]を押す。 → <検索 sp-s>(注1)と表示される。 O[エンター]を押す。 → 検索が開始され<検索結果 第1経路(経路の概略)>と表示される。 ※ただし、駅名の候補が複数あった場合は選択する必要がある。(注2) P1経路の概略を読む。 ※[下スクロール]で読み進める。 Q[スペース]と[ 4 ]で第2経路に移動し、概略を読む。 ※検索結果は第1経路から第3経路まで一覧になっているのでP〜Qの手順で第3経路まで確認する。 R希望の経路があったら[エンター]を押す。→ 経路の詳細が表示されるので[下スクロール]で読み進める。 S他の経路を読むときは[F4]を押す。 → 検索結果一覧に戻る。 ※Q〜Sの手順で他の経路の詳細を読む。 21最初から検索するときは[スペース]+[マ(1・3・5・6)]を押す。→ <出発地>と表示されるのでDから行う。 乗り換え検索を終了するときは<出発地>で[スペース]+[マ(1・3・5・6)]を押す。 → <乗り換え検索>に戻る。 (注1)液晶ディスプレイには<検索 space-s>と表示される。 (注2)駅名の候補が複数あった場合、<候補駅が複数あります 対象の駅名を選択してください>と表示され、<出発地 (駅名)1/1>と表示される。[F3]を押し<到着地><経由地>を確認し、例えば<到着地 京橋(東京) 1/2>の<1/2>に見られるような候補が複数ある表示を見つけたら、[スペース]+[ア(1)]で次候補を選ぶことができる。最後に[エンター]を押すと再度検索を行う。 4.簡単スケジューラ (1) 簡単スケジューラの起動 @スタートメニューで[下スクロール]を押し<プログラム>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <RSSリーダ>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]を何回か押し、<簡単スケジューラ>に移動する。 C[エンター]を押す。 → <今日の予定:予定無し>(注)と表示される。 (注)すでに予定が書いてあればその内容が表示される。文章が長い場合は[下スクロール]で読む。 (2) 日付の選択 1日後へ移動 … [スペース]+[ 4 ] 1日前へ移動 … [スペース]+[ア(1)] 1週間後へ移動 … [ソ(2・4・5・6)] 1週間前へ移動 … [バックスペース]+[ソ(2・4・5・6)] 1ヶ月後へ移動 … [ヌ(1・3・4)] 1ヶ月前へ移動 … [バックスペース]+[ヌ(1・3・4)] (3) 日付の点字表示  液晶ディスプレイに<11月23日 水曜日:予定無し>と表示されている場合、  点字では<<1 1 − 2 3  スイ :  ヨ テ イ ナ シ>>と表示される。   (4) 予定を書く @予定のある日付に移動する。 ※ここでは<2013年10月15日>を例とする。 A[エンター]を押す。 → <予定の編集>と表示される。 B文章を入力する。 ※ここでは「ブレイルセンス講習会」と入力する。 C[エンター]を押す。 → <め2013年10月15日 火曜日:ブレイルセンス講習会>(注)と表示される。 D文章が長くて1行に表示できない場合は[下スクロール]を押して入力した内容を確認する。 E確認後[スペース]+[マ(1・3・5・6)]を押す。 → <変更を保存しますか? はい>と表示される。 F[エンター]を押す。 → <保存しました>と表示され<簡単スケジューラ>に戻る。 G[スペース]+[マ(1・3・5・6)]を押す。 → <プログラム>に戻る。 (注)<め2013年10月15日 火曜日:ブレイルセンス講習会>の<め>は液晶ディスプレイには<*>と表示される。これは予定が記入されていることを意味する。 (5) 予定を確認する @確認したい日付に移動する。 A[F3]を押す。 → 予定が表示される。 ※文章が長い場合は[下スクロール]で読む。 B[F3]を押す。 → 日付の表示に戻る。 (6) <カレンダー表示>と<予定のみ表示>  (1)から(5)は<カレンダー表示>といってカレンダーより日付を選ぶ方法ですが、予定が記入されている日付のみを一覧にする<予定のみ表示>に表示を切り替え確認することもできます。 @スタートメニューで[下スクロール]を押し<プログラム>に移動する。 A[エンター]を押す。 → <RSSリーダ>と表示される。 B[スペース]+[ 4 ]を何回か押し、<簡単スケジューラ>に移動する。 C[エンター]を押す。 → <今日の予定:予定無し>と表示される。 D[スペース]+[ヒ(1・2・3・6)]を押す。 → <ビュー切り替え:予定のみ表示>と表示され、予定の一覧が表示される。 E[スペース]+[ア(1)]か[スペース]+[ 4 ]で一覧を移動する。 F文章が長い場合は[下スクロール]で読む。 G[スペース]+[ヒ(1・2・3・6)]を押す。 → <ビュー切り替え:カレンダー表示>と表示され、カレンダー表示に戻る。 第6章 インターネット環境の構築 1 盲ろう者を取り巻くインターネット環境の現状  盲ろう者がパソコンやブレイルセンスを利用する上で、インターネット環境の構築は必須です。しかしながら、多様なサービスや複雑な料金プランがあり、またブレイルセンスなどでは一部利用できないサービスや接続機器などもあることから、導入に際してはいくつか注意が必要です。  盲ろう者も、一般ユーザーと同様インターネット環境を構築する場合は、自宅での固定環境と、外出先などでのモバイル環境の二つを考える必要があります。自宅でパソコンのみを利用するという盲ろう者の場合は固定環境を優先して整備する必要がある一方で、近年盲ろう者の間で普及が進んでいるブレイルセンスなどを利用する盲ろう者の場合は、自宅の固定環境に加えて外出先でのモバイル環境の整備も必要となります。そのため、最新のサービスの動向を見極めつつ、盲ろう者の利用状況や費用対効果なども鑑みながら、サービスを選択する必要があります。 2 固定環境におけるインターネット構築  自宅でパソコンのみを利用する盲ろう者の場合は、固定環境でのインターネット構築を行う必要があります。  固定環境でインターネットを構築する場合、主に次の三つの方式から選択することになります。 (1)光 (2)ADSL (3)ケーブルテレビ(CATV)  サポートしている盲ろう者がどのような目的でパソコンを利用するかにもよりますが、初心者の盲ろう者がインターネットを始める場合は、おそらくメールの送受信とホームページの閲覧が中心になると思われますので、一番安価で手軽なADSLを導入するのが現実的です。  また、ADSLにも次のような種類があり、高速になるほど料金が上がります。 (1) 高速の50Mbps (2) 中速の12Mbps (3) 低速の8Mbps 等  初心者の盲ろう者の場合は、ほとんど低速の8Mbpsのプランで問題ありませんが、ただ電話会社の局舎と自宅との距離が3キロメートル以上ある場合など、低速回線では開通が難しい場合もあります。さらに、条件によっては高速のADSL回線と光回線の料金がほとんど変わらない場合や、そもそも局舎との距離が離れ過ぎていてADSL自体が導入できない場合などもあります。そのときは、光回線などを選択せざるを得ません。従って、契約を行う場合は、料金や使用環境などを総合的に判断しつつ、サポートする盲ろう者やご家族などになるべく分かりやすく説明をしながら、サービスを選択する必要があります。  そもそも、こうしたインターネットサービスの営業では、高速の光回線やCATV回線を薦めることが多いので、「とにかく文字の送受信しかしないので低速でもかまわないこと」「従って高額のプランは費用に見合う効果がないこと」を伝えて、盲ろう者の使用環境を営業の担当者に理解していただくことも、契約をスムーズに進める一つの方法です。  とにかく、極力料金を抑えつつ、安定的なインターネット環境を構築するという視点に立って、サービスを選択していただければと思います。 ●参考 ※固定環境における各方式のおおよその月額料金です。詳細は各事業者にてご確認ください。 (1) CATV … 8,000円程度 (インターネット、電話、ケーブルテレビの料金を含む) (2) 光 … 6,000円程度(インターネット、電話の料金を含む) (3) ADSL(50Mbps) … 5,000円程度 (4) ADSL(12Mbps) … 4,000円程度 (5) ADSL(8Mbps) … 3,000円程度 3 モバイル環境におけるインターネット構築  ブレイルセンス等の点字情報端末の普及により、外出先でもメールやインターネットを利用する盲ろう者が増えています。そのため、固定環境に加えて、モバイル環境におけるインターネット構築についても年々ニーズが高まってきています。  周知のとおり、モバイルインターネットのサービスは、各携帯電話会社が次々と参入しており、サービス内容や料金プランが複雑化しています。しかし、基本的には「文字の送受信が多い」「極力低料金を目指す」「ブレイルセンスで利用できる」という観点で考えれば、選択肢は必然的に絞り込まれてきます。  現在ブレイルセンスで利用可能なモバイルインターネットサービスの方式は次のように大別できます。 (1) 携帯電話ネットワークを使った「モバイルWiFi 」 (2) PHSのネットワークを使った「ダイヤルアップ」 また、料金プランとしては、 (1) 月額料金を支払う「契約制」 (2) 事前に一定期間の料金を支払う「前払い制」(継続手続きが必要) に集約されます。それぞれのサービスには、高速(40〜70MB程度)と低速(0.1〜0.3MB程度)のサービスがあり、高速になるほど料金が高額になります。また広いサービスエリアをカバーする事業者ほど料金が高めになる傾向があります。  ブレイルセンスでは、これまでPHSのネットワークを使った「ダイヤルアップ」サービスが使われてきましたが、PHSのサービスが縮小傾向にあることと、ブレイルセンスで利用できるデータカードの入手が困難になってきたことから、現在はモバイルWiFiが主流になってきました。モバイルWiFiは、ブレイルセンスの無線LANの機能を使って接続するため、基本的にどの事業者の端末でも接続が可能です。  そのことを踏まえると、現在現実的な選択肢としては、低速の「モバイルWiFi 」サービスあるいは高速でもエリアが比較的狭く安価な「モバイルWiFi 」サービスということになります。また契約制か前払い制の選択については、自力で継続手続きや追加料金の支払いができる、あるいはそうした支援が受けられる場合は料金が安い前払い制を、そうした手続きが難しい、あるいは面倒だという場合は契約制のプランを選択することになります。前払い制は全体的には安価ですが、契約時に端末を別途購入する必要があり、ある程度の初期投資が必要なことと、端末自体の設定を自分でやらなければいけないという特徴があります。契約制は、全体的には高めですが、携帯電話と同様に月額料金に端末代等が入っているため、3,000円程度の事務手数料以外は、それほど初期投資は必要ありません。また、端末の設定等も、ショップでやってもらえます。ただし、一部の安価な契約制のサービスについては、自分で端末設定をしなければならないものもあるので注意が必要です。  とにかく、モバイルインターネットについても固定同様、様々な方式やプランが存在していますので、料金・使い勝手・設定のしやすさ・アフターケア等総合的に判断して選択する必要があります。 ●参考 ※各モバイルWiFiのサービスです。詳細は各事業者にてご確認ください。 (1) 契約制(月額料金) a)NTTドコモ  低速プラン 3,500円程度(0.3Mbps)  高速プラン 7,000円程度(40〜75Mbps)  ※一番エリアが広い。 b)EMOBILE  高速プランのみ 5,000円程度(40〜75Mbps)  ※ドコモほどではないが全国をカバー。 c)UQ WiMAX  高速プランのみ 4,000円程度(40Mbps)  ※都市部が中心。 d)b-mobile SIM(イオン専用)  プランA 1,000円程度(0.1Mbps)  プランB 3,000円程度(0.4Mbps)  プランC 5,000円程度(1Mbps以上)  ※端末を別途購入する必要あり。  ※ドコモのネットワークを利用するためエリアは広い。 (2) 前払い制 a)b-mobile SIM U300  1年  30,000円程度  6ヶ月 15,000円程度  1ヶ月 3,000円程度(いずれも0.3Mbps)  ※端末を別途購入する必要あり。  ※ドコモのネットワークを利用するためエリアは広い。   第7章 アフターケア 1 アフターケアとは  ここで言うアフターケアとは、指導期間中に教えられなかったことを補足的に指導するといった意味から、中・長期的なパソコンサポートまでの幅広い範囲を指します。  パソコン指導をひととおり終えても、その盲ろう者が本当の意味でパソコンを使いこなせるようになるには指導後のサポートが大切です。パソコンを日々使いながら感じる疑問に丁寧に答えたり、思わぬトラブルに対応する必要があります。また、長期的には、ソフトウェアのアップデートや機器のファームウェアの更新等のサポートや、新しいソフトウェアの習得にチャレンジするなどステップアップを目指すこともアフターケアの重要な役割となります。 (1) 指導後のサポート  パソコンの操作ができるようになっても、日常の中で使いこなせるようになるには少し時間がかかります。例えばメールに関して、実際に次のような質問が盲ろう者よりありました。 ・「1時間も前にメールしたのに返信がない。どうしてすぐに返事が来ないんだろう?」 ・署名を読んで「本文の最後に英語がたくさん書いてある。ウィルスか?」 ・携帯電話から送られてきたメールで件名にも本文にも送信者の名前がなく「誰か分からないから教えてほしい。」  こうしたことは、パソコンの操作そのものではないのですが、メールを使う中で知っておかなくてはならない知識です。本来は指導の中で教えるべきなのでしょうが、時間がなかったり、他に優先順位の高い指導項目があったりして、指導できないことも多いです。  メールの基本的なルールや、携帯電話からのメールは差出人名が表示されないことを説明し、今後の対策を一緒に考えることで、日々の利用に繋げます。 (2) トラブルに対応する  パソコンや機器の故障といったトラブルについて盲ろう者が故障だと勘違いしていることもあります。 ・「点字ディスプレイが壊れた」と連絡があり駆けつけたら、操作中に間違えて点字表示をオフにしてしまっていた。 ・「パソコンの電源がなかなか切れない。故障したらしい。」と連絡があり確認しに行ったら、Windowsの自動更新によりインストールに時間がかかっていた。 ・「メールが送受信できない」とのことで行ってみたらモデムのコンセントが抜けていた。  実際に行ってみたら故障ではなかったという事例は多くあります。しかし盲ろう者が物理的に使えない、または不安で使えないという状況にはできるだけ迅速に対応したいものです。  また、指導していないメニュー項目に迷い込んでしまったり、キーを押し間違えてしまったり、設定を変えてしまったりといったトラブルも多くあります。そういったときも、なるべく早い段階で盲ろう者のところへ訪問するようにしましょう。そして、指導者が勝手に直してしまうのではなく、原因と解決法を盲ろう者と共有し、今後の対策を相談するようにしてください。 (3) パソコン環境のメンテナンス  ソフトウェアのアップデートは、今まであった不具合が改善されたり、より使いやすい機能が追加されたりします。例えば「点字で読みやすいよう新しい機能が追加された」「画面の配色の選択肢が増えた」等がありますので、こまめに更新情報をホームページで確認するようにしてください。また機器もファームウェアを更新することで、より安定して使えるようになることもありますので、更新情報に注意しましょう。  理想は盲ろう者が独力でこれらの作業を行えるようになることですが、それが難しい場合は指導者が行うか、ご家族や通訳・介助員にお願いするのも良いでしょう。また、追加された機能を使うために新しい操作を覚えなくてはならない場合もありますので、その場合は指導が必要です。   (4) ステップアップを目指す  盲ろう者がパソコンの操作に慣れてきたら、新しい操作方法や手順を少しずつ指導していくよう心がけましょう。例えば、メールの送受信しかできなかった盲ろう者にメールアドレスの登録方法を指導したり、ブラウザの指導を始めるのも良いでしょう。 そのときの盲ろう者のレベルに合わせて相談しながら進めます。 2 パソコンサポートのネットワーク  以上、アフターケアについて簡単にまとめましたが、指導からアフターケアを一人で引き受けるのは非常に大変です。従って、ご家族に協力を求めるのも良いでしょう。また、指導に関することは指導者が、日常的なサポートは通訳・介助員にお願いするという方法もあります。その場合は頻繁に起こるトラブルについてマニュアル化しておくと連携が取りやすくなります。  このようにして、一人ですべてを抱えこむのではなく、サポート体制を作り数人で支援していくことが理想的です。盲ろう者にとってパソコンは独力で情報を入手できる唯一の手段であり、一度パソコンを始めた盲ろう者は、おそらくその後継続してパソコンを使い続けることになるでしょう。しかし、多くの盲ろう者はサポートなしにパソコンを使い続けることは困難です。よって、サポートができなくなったときは、必ず引き継ぎを行い、サポートが途切れないようにしてください。 あとがき  盲ろう者が、パソコン等情報機器を活用できるようになる意味合いは大きい。通訳・介助員の支援を受ける以外に方法がなかった他者との連絡・情報入手が、独力で可能となる意義は計り知れず、日常生活においてどれだけの利便性をもたらすことであろうか。しかし、一方、パソコン等情報機器を活用できるようになるためには、もちろん個人差はあるものの、ある一定期間の訓練が必要になってくることも事実である。  本マニュアルが、情報機器を活用したいと願う盲ろう者、そしてその願いを叶えるために、実際に盲ろう者に対し指導を行っている方、サポートをしている方、またこれから盲ろう者への指導を志す方、これらの方々の一助になれば幸いである。そして、一人でも多くの盲ろう者がこのパソコン等情報機器によってもたらされる新しい可能性を享受できることを切に願う。  本マニュアル作成にあたり、執筆・編集に際して、「盲ろう者コミュニケーション訓練促進事業」企画委員である、 大河内 直之氏(国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター) 九曜 弘次郎氏(富山盲ろう者友の会) 高橋 信行氏(愛媛県立松山盲学校) 村岡 寿幸氏(NPO法人東京盲ろう者友の会) 森下 摩利氏(NPO法人東京盲ろう者友の会) 渡井 秀匡氏(NPO法人東京盲ろう者友の会) 各位の多大なるご尽力に心から感謝の意を表する。 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 橋間 信市 (奥付) 書名:平成25年度版 盲ろう者向けパソコン指導マニュアル―Windows 8編― 発行:2014年3月15日 発行・編集: 〜日本のヘレン・ケラーを支援する会 〜 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 TEL 03-5287-1140  FAX 03-5287-1141 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業