平成25年度全国コーディネーター連絡会報告書 日時:平成25年11月3日(日)〜4日(月) 場所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京都新宿区市谷八幡町) 主催:〜日本のヘレン・ケラーを支援する会〜 社会福祉法人全国盲ろう者協会 ----- 目次 1.概要 2.参加団体名簿 3.日程表 4.カリキュラム別の経過 5.事前アンケート集計結果 6.事後アンケート集計結果 7.追跡アンケート集計結果 8.参考資料 ----- 全国コーディネーター連絡会 1.概要 (1)目的 派遣事業の実務を担当する各地域のコーディネーターが一堂に会し、各地域における事業実施の現状等について情報交換を行うとともに、今後の展望について協議することにより、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の発展に寄与することを目的とする。 (2)日程 平成25年11月3日(日)〜11月4日(月)2日間 (3)場所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 〒162−0844 東京都新宿区市谷八幡町8番地TKP市ヶ谷ビル 電 話:03−5227−6911 (4)全体概要 今年度の会議は、各都道府県から派遣事業を受託している31団体から、39名(41名参加申込みがあり、当日2名キャンセル)のコーディネーター等が受講した。5回に及ぶ企画委員会でプログラムを考案し、会議では、2日間にわたり討論が展開された。盲ろう者、ろう者、視覚障害者、健常者という様々なコーディネーターが集まり、障害の有無を問わず、同じ立場での連携が持たれ、多くの成果をあげることができた。 (5)カリキュラム別の概要 @東日本大震災を経験した当事者、関係者の姿を通して、今後の復興と地域づくりに向けたあり方を探るドキュメンタリー映画「生命のことづけ〜死亡率2倍 障害のある人たちの3.11〜」(日本障害フォーラム(JDF)製作)の上映を行った。 その後、被災3県(岩手県、宮城県、福島県)のコーディネーターに、コーディネーターとしての当日の動きについて講演していただいた。司会は、特定非営利活動法人兵庫盲ろう者友の会理事長 今川 裕子氏が務めた。 A盲ろう者に関する実態調査及び盲ろう者通訳・介助員の養成カリキュラムの内容に関する調査について(厚生労働省平成24年度障害者総合福祉推進事業)を、社会福祉法人全国盲ろう者協会事務局長 山下 正知氏より説明がなされた。司会は、@に引き続き、特定非営利活動法人兵庫盲ろう者友の会理事長 今川 裕子氏が務めた。 B情報交換・ディスカッション1、2 社会福祉法人 神奈川聴覚障害者総合福祉協会 後藤 未来氏、みやぎ盲ろう児・者友の会 兒島 節子氏、特定非営利活動法人えひめ盲ろう者友の会 松本 雅美氏の全体司会により、主に以下の4点について、事前アンケートの集計結果をもとに、活発な情報交換が行われた。 ・ 震災について(災害時の対応) ・ 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の現状と今後について ・ 盲ろう者や通訳・介助員の高齢化について ・ 盲ろう者や通訳・介助員のメンタルサポート、対人援助について C情報交換・ディスカッション3 Bに引き続き、後藤 未来氏、兒島 節子氏、松本 雅美氏の全体司会により、「よりよい盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業−モデル派遣要綱をベースに−」について、充実した情報交換が行われた。 ----- 2.参加団体名簿 北海道 公益社団法人札幌市身体障害者福祉協会 岩手県 岩手盲ろう者友の会 宮城県 みやぎ盲ろう児・者友の会 宮城県 宮城県障害者社会参加推進センター 山形県 山形県盲ろう者友の会 山形県 山形県聴覚障がい者情報支援センター 茨城県 社団法人茨城県聴覚障害者協会 栃木県 栃木盲ろう者友の会「ひばり」 群馬県 特定非営利活動法人群馬盲ろう者つるの会(2名) 埼玉県 埼玉盲ろう者友の会 千葉県 特定非営利活動法人千葉盲ろう者友の会(2名) 東京都 特定非営利活動法人東京盲ろう者友の会(3名) 神奈川県 社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会 新潟県 新潟県身体障害者団体連合会 石川県 石川盲ろう者友の会 山梨県 山梨県立聴覚障害者情報センター 岐阜県 岐阜盲ろう者友の会(2名) 静岡県 静岡県聴覚障害者情報センター 愛知県 愛知盲ろう者友の会(2名) 滋賀県 特定非営利活動法人しが盲ろう者友の会 兵庫県 兵庫県立聴覚障害者情報センター 鳥取県 鳥取盲ろう者友の会 島根県 しまね盲ろう者友の会 岡山県 岡山盲ろう者友の会 広島県 広島盲ろう者友の会(2名) 山口県 山口盲ろう者友の会 徳島県 特定非営利活動法人聴覚・ろう重複障害者生活支援センター 愛媛県 特定非営利活動法人えひめ盲ろう者友の会 大分県 社会福祉法人大分県聴覚障害者協会 宮崎県 宮崎県盲ろう者友の会(2名) 鹿児島県 鹿児島県身体障害者福祉協会 参加団体…31団体 参加者…39名 ----- 3.日程表 11月3日(日) 9:00 受付 9:30 開会式 9:50〜12:00 災害時の対応 ビデオ上映「生命のことづけ」 講演「被災県コーディネーターの立場から」 12:00〜13:00 昼休み 13:00〜14:50 盲ろう者に関する実態調査及び盲ろう者 通訳・介助員の養成カリキュラムの内容に関する調査について(厚生労働省平成24年度障害者総合福祉推進事業) 講師:山下正知(社会福祉法人全国盲ろう者協会事務局長)  15:00〜17:00 情報交換・ディスカッション1 18:00〜20:00 意見交換会 11月4日(月) 9:00〜12:00 情報交換・ディスカッション2 12:00〜13:00 昼休み 13:00〜14:35 情報交換・ディスカッション3「よりよい盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業 ―モデル派遣要綱をベースに―」 14:45〜15:15 閉会式 ----- 4.カリキュラム別の経過 ************************* 災害時の対応 ビデオ上映「生命のことづけ」 講演「被災県コーディネーターの立場から」 司会者 今川裕子(特定非営利活動法人兵庫盲ろう者友の会 理事長) *************************  平成23年3月11日に発生した、東日本大震災時の様子をまとめたビデオの上映及び、東北3県(岩手県、宮城県、福島県)のコーディネーターによる講演がなされた。  以下、内容を記す。 記録  司会/皆さんは、18年前の阪神淡路大震災を覚えていますか。兵庫盲ろう者友の会はこの震災をきっかけに設立されました。その後、東北で大地震が起きました。直下型ではありませんでしたが、津波の恐ろしさを目の当たりにしました。今から、「生命のことづけ」という映画を観ていただきます。(ビデオ上映40分)  司会/皆さん、いかがでしたでしょうか。地震発生後、津波が到達するのに30分かかったそうです。障害者や高齢者にとっては、この30分は短すぎます。そのため、地域での支援がとても必要となります。今から、東北3県のコーディネーターに、当時のお話を伺います。コーディネーターとして、また、一人の通訳・介助員として何ができたのか、できなかったことは何なのか、今後の課題等についてもお話いただきます。 <岩手県コーディネーターの報告>  3・11東日本大震災では全国の皆様から温かい励ましや義援金を頂き改めまして被災県を代表して御礼申し上げます。ありがとうございました。  まずは、岩手の状況など順を追ってお話ししたいと思います。 (1)3・11大震災の時に通訳・介助者は何が出来たか  震災直後は、通訳・介助者も被災者なので、自分の家族のことで精一杯でした。翌日からコーディネーターを中心にメールや電話でのやりとりが始まりました。  友の会関係の連絡先をコーディネーターに絞っていたのはとても良かったと思います。情報の正確さの確認のために、他団体と情報を共有しました。会員と協力しながらインターネットをフル活用して情報収集に努めました。しかし、なかなか情報は得られませんでした。  沿岸地域に住む盲ろう者の一人は、高台の家族と避難して無事と分かったのは、震災後5日目のことでした。私たちが把握している会員以外の盲ろう者の安否確認ができたのは、10日後のことです。  たとえ家族と一緒にいても、盲ろう者の多くは家族とのコミュニケーションがなかなか図れません。 すぐにでも駆けつけて、実際に会って話がしたいと思っても、瓦礫だらけの道路、ガソリン不足のため往復300キロの距離は遠いものとなりました。  近くに頼りにしていた通訳・介助者が住んでいましたが、連絡が取れませんでした。今もなお行方不明となっています。  ようやく、ガソリンの確保ができたのは3月末でした。やっと、盲ろうの方と「顔を見て話をすること」ができました。その盲ろう者からは、湧き出るように次から次へと言葉が出てきました。それは私たちの予想を超えた情報でした。震災後、地元のろうあ者・盲ろう者相談員が駆けつけ、様々な細かな情報を聞き知っていたのです。  岩手では、県の振興局に「ろうあ者・盲ろう者相談員」が14名配属されています。公的な立場で動ける相談員の行動にこの時はとても感謝しました。  震災で亡くなった通訳・介助者は4名です。沿岸地域の中心となる通訳・介助者でした。  震災後、沿岸地域の盲ろう者のために、通訳・介助者を増やさなければならない。しかし、当時は沿岸地域には講座を開催できる会場も無く、住民の気持ちにそこまでの余裕も無く、時間も取れない状況でした。考えた末、比較的沿岸部に近い遠野市で開催することにしました。受講者は20名でした。  派遣利用登録している盲ろう者は10名ですが、それ以外に把握している盲ろう者が10名います。全国盲ろう者協会からいただいた、全国の皆様からの義援金を届けに行くと、初めは躊躇されていましたが、皆さんの温かい気持ちを伝えると、感謝し受け取ってくれました。このことがきっかけとなり、派遣を利用し、友の会の活動にも参加する盲ろう者が少しずつ増えました。  5月に役員会を開催した時、「東北みんなで集まりたい、元気な顔が見たい」という話が持ち上がり、さっそく企画し、翌日には東北各県に案内書を送りました。(この時のチラシを会場で配布)東北5県から予想を上回る45名の参加がありました。  自粛ムードの中、本当はみんな集まりたい気持ちだったのです。企画して良かった、つくづくそう思いました。  その後、号外の友の会ニュースを作り、参加者に発送しました。 (2)出来なかったことは何か  震災直後は、沿岸地域に住む盲ろう者のもとへ、通訳・介助者の派遣ができませんでした。沿岸に住む通訳・介助者は、たとえ自分が被災していなくても、家族や親戚が亡くなったりしていて、他への支援が考えられる状況ではありませんでした。また、内陸に住む者は、支援に行くためのガソリンがありませんでした。 (3)今後の課題  盲ろう者と地域のつながりを作り、緊急時にすぐ駆けつけられるシステムが必要です。一人暮らしで、週2回ヘルパーが来るだけの人や、夫婦二人暮らしだが、近所付き合いがほとんどない等の人もいます。地元の民生委員と相談し、ネットワーク作りが必要です。  盲ろう者の避難所は確認できています。  震災の4年位前に、岩手で大きな地震が起こりました。その後、消防署を訪ね、「災害や火事があれば、真っ先に支援してほしい」とお願いしました。消防署職員は、近くに盲ろう者が住んでいることもご存知ありませんでした。地元の住民にも、「盲ろう者」が住んでいることを知ってもらう必要があります。年に一度、一般の人が参加できる、「盲ろう者とのふれあい交流会」を開催していますが、より一層力を入れたいです。  それからガソリンの確保。県に認定された災害緊急救援関係の車は、並ばずに優先的に給油できました。情報支援が必要な人への対応は後回しでした。改善が必要です。 (4)コーディネーターとして、どうしたか  コーディネーターとして、というより仲間として動きました。盛岡市内や近隣市町村の盲ろう者のお宅に訪問し、また、内陸に暮らす盲ろう者のお宅へは、通訳・介助者を派遣しました。本来ならば、派遣依頼が盲ろう者から出され、コーディネートし、派遣するのですが、震災の翌日から依頼がなくても実施しました。 (5)安否確認の方法  主にインターネットで確認しました。インターネットが使える状態にある会員数名に、盲ろう者はじめ、連絡が取れない沿岸地区の通訳・介助者の名前と住所等、最低限の情報を伝え、安否確認の協力をお願いしました。  新聞に掲載されている避難者名簿、ラジオやテレビも注意深く確認しました。同姓同名の方が同じ地区にいる場合には、沿岸に住む私の友人に頼み、避難所に確認しに行ってもらったこともありました。  また、視覚障害者福祉協会、ろうあ協会、難聴者協会、情報センターなどとも情報を共有し、確実に正しい情報だけを役員・会員に伝えました。 (6)盲ろう者として震災で困ったこと ・ 具体的な情報が得られなかった。通訳・介助者が行方不明と聞いて悲しみにくれた。今までの生活形態が変わってしまうのかと不安に感じた。 ・ 携帯で情報収集をしていたが、電波塔がなくなり通じなくなった。通じるところまで移動し、1日1回の通電で情報を得た。 ・ 片づけたくてもガラスの破片など危険なものがあり、すぐにはできなかった。家族が帰ってくるまで、家の中を歩くのも大変だった。 ・ 慣れた道は、白杖を持ち一人歩きができるが、道路が壊れていたため、すぐ近くのスーパーへ行くにも手引きが必要だった。 <宮城県コーディネーターの報告> (1)安否確認について  宮城の登録盲ろう者12名のうち、1名を除く11名が内陸部に住んでいたため、津波の被害には遭っておりません。携帯が使える方には、携帯で安否確認をしました。(震災発生直後は、意外と携帯を使うことができました。)登録盲ろう者12名のうち、2〜3日で連絡が取れたのは9名でした。入院中の1名は、7日後に病院と連絡が取れ無事を確認しました。認知症の母親と二人暮らしの盲ろう者は自宅が倒壊し、その後老人ホームに入居したということを聞きました。定期的に通訳・介助者を派遣し、話し相手になったり、散歩のサポートを行いました。離島にも盲ろう者がいますが、連絡方法が無かったため、速達で安否確認を行いました。本人からは18日になって、自宅が高台にあったため無事だったとの返事が届きました。3月下旬に、ろう協から1名の盲ろう者の死亡連絡がありました。津波に飲まれたとのことでした。4月上旬には、通訳・介助者の安否確認を文書と電話で始めました。全員の無事を確認することができました。  地震発生後は、支援物資も不自由しないほど届きました。 (2)情報提供  地震直後は、情報が錯綜しているため、正確な情報がなかなか伝わってきませんでした。情報を得た時点で、盲ろう者に情報を提供しました。主に離島在住の盲ろう者に行いました。長い間電話が使えなかったため、郵便で連絡をしました。連絡方法が途絶えた時には、郵便、特に速達が確実だと感じました。離島在住の盲ろう者からは、「停電していてテレビも見られず、いつも一人ぼっちだったが、その中で手紙はとても嬉しかった」とのことでした。そこで、ことあるごとに、様々な情報と近況(死者数、いつ頃電気が通じそうなのか等)を手紙で伝えました。  コーディネーターからだけでなく、通訳・介助者にも協力していただき、定期的に情報提供し、盲ろう者の安否確認を行いました。 (3)支援する側の視点・心得  ガソリン不足の上、バスも1時間に1本の状態で、とても苦労しました。どこへ行くにも、おにぎりや水を持参し、スニーカーを履いて出かけました。地下鉄は比較的早く動き、それは助かりました。  地震直後も、盲ろう者からの通訳依頼が入りました。しかし、通訳・介助者も被災者であり、地震発生後、直ぐには行動がとれません。自分の身の安全確保、家族の安全が最優先されます。それだけでなく、ガソリンが手に入らないため、自由に動けませんでした。そのため、日頃から近所とのお付き合いを持っておくこと、避難所の確認や食料の備蓄などをしておくこと等、各自の自助努力も必要だと思います。通訳・介助者としては、自宅近くに住む盲ろう者の確認をしておくことをお勧めします。 <福島県コーディネーターの報告> (1)安否確認について  13日に電気が復旧しました。パソコンには、全国盲ろう者協会からの安否確認や他県からの励ましのメールが届いており、そこで、コーディネーターとしてやるべき作業がやっと分かったという状況でした。気持ちの余裕は一切ありませんでした。14日頃には、全員の安否確認ができました。東京に避難した方や、自宅の倒壊を心配して、夜は近くの福祉センターで過ごした方々がいらっしゃいました。 (2)コーディネーターとして何ができたか 福島には原発のこともあり、避難情報を含め、周りで何が起きているのかも分からず、とても不安な毎日を送っていました。  放射能で避難圏の情報が錯綜し、テレビでも正しい情報は得られませんでした。自分と家族の判断に委ねるしかありませんでした。 (3)コーディネーターとして出来なかったことはなにか  ガソリンが手に入らず、盲ろう者宅を訪問することができませんでした。 (4)まとめ  通訳・介助者も震災の被害者なので、まず自分の家族の安全確認を優先します。どうしても盲ろう者へのフォローは遅れがちになります。家族のバックアップがあって初めてボランティアができると思います。通訳・介助者一人ひとりの家族環境や状況に応じて、いま置かれた状態の中で、自分に出来ることをする。ボランティア活動のできない通訳・介助者がいても、責めないようにしましょう。  盲ろう者のお宅を訪問して感じたことは、日頃からの隣近所とのお付き合いがとても大切だということです。ヘルパー支援のあった人は、比較的早く日常生活に戻っています。これらのことを、今後の活動の参考にしていただければと思います。 <質疑応答>  参加者/阪神淡路大震災のときには、早い時期から通訳・介助者が他県からサポートに入りました。今回の震災では、他県からの通訳・介助者による支援は可能だったのでしょうか。  岩手県コーディネーター/岩手県のケースでは、地方振興局という公的立場の方が、14名活動していました。震災直後は、「ろうあ者・盲ろう者相談員」が把握している対象者の安否状況確認を行いました。また、他県からの応援もありました。  司会/盲ろう者友の会等地域団体、全国盲ろう者団体連絡協議会、そして全国盲ろう者協会と連携し、災害に向けての安全対策を考えていきたいものですね。 文責:今川裕子 ----- ************************* 盲ろう者に関する実態調査及び盲ろう者通訳・介助員養成カリキュラムの内容に関する調査について (厚生労働省平成24年度障害者総合福祉推進事業) 講師 山下正知(社会福祉法人全国盲ろう者協会 事務局長) 司会者 今川裕子 *************************  平成25年4月に施行された障害者総合支援法によって、盲ろう者を取り巻く環境が大きく変わることになった。そのことを受けて、全国盲ろう者協会事務局長より、その経過等内容について講演をしていただいた。   <障害者総合支援法>  平成25年4月、障害者総合支援法(以下「総合支援法」と言う)が成立し、盲ろう者向け通訳・介助員派遣及び同養成事業が、都道府県の必須事業となったのは、とても大きな前進と言える。「盲ろう者」という言葉自体は法律には出てこないが、総合支援法の中に、手話通訳・要約筆記派遣の後に、「指点字、触手話を通訳として行う」と、初めて「指点字、触手話」という言葉が加わった。厚生省令にこれらの言葉が載るには、「指点字は何を指すのか」という定義から、厚生労働省と調整・相談が必要であった。今後は、平成28年3月までに意思疎通事業についての見直しが行われるが、この基礎データを集めるために、全国盲ろう者協会では平成23年度に、盲ろう者に関する実態調査を実施した。 <障害者差別解消法>  障害者差別解消法は、3年後の平成28年に施行され、施行後3年を目処に見直し検討することになっている。昨年、全日本ろうあ連盟では、手話通訳と要約筆記のモデル要綱が作成された。厚生労働省の室長によると、差別解消法を踏まえ、意思疎通が保障されるための整備が必要であり、そのためにはモデル要綱が必要であるとのことであった。 <障害者権利条約>  障害者権利条約は、平成18年に国連総会で採択され、日本では批准に向けて、障害者基本法の改正、6月の障害者差別解消法成立と、国内法は一応整備された。今後は批准の手続きを取り、そこで初めて国内で法律と同じ意味合いが持てるものとなる。この条約の中には、「Deaf、Blind、Deafblind」と用語が並んで出ている。当初「Deafblind」の外務省の語訳では、「盲ろう」が法律にないことから、「視覚・聴覚の重複障害」と翻訳されていた。しかし、話し合いを重ねることにより、「盲聾」が正式訳になった。このことは、盲ろうが独自の障害として認められたということであり、大きな前進と考えている。 <盲ろう者の課題> (1)通訳・介助員の養成カリキュラムの標準化。通訳・介助員の資格化という課題もあるが、現状では時期尚早ではないか。まずは養成研修の底上げが必要。資格化については今後の検討課題になると思う。 (2)施策のあり方の検討。手話通訳、要約筆記、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業を、地域生活支援事業から個別給付化していくべきではないかという議論がある。ろう者団体は、個別給付化に伴う費用負担はなじまないという考え方を持っている。一方、視覚障害ガイドヘルパーは、同行援護事業となり個別給付に盛り込まれた。盲ろうの場合は、障害当事者を中心に、具体的にどのような方向を求めていくのかが基本になる。税金を使うので、国民の合意が必要となるため、最終的には、国民レベルの話し合いで、盲ろう者の施策を充実させていくことになる。  盲ろう者は、作業所、ホームヘルプといったサービスを利用する上で、コミュニケーション保障といった難しい課題を抱えている。福祉制度を利用する時に、障害程度区分判定があるが、盲ろう者はあまり高い判定がなされない。身体的ケアが、どれだけ必要かが判定の基準になっているからである。そのため、盲ろう者の中には、障害程度区分が低いためにサービスを使えないという人もいて、課題となっている。視覚・聴覚のような感覚系の障害とも共通しており、行政と連携し相談しながら見直しを進めていくことになると思う。  大都市特例の導入については、盲ろう者は極めてマイナーで少数の障害者であるため、実施主体が拡大することによって分散され、サービスの水準が下がるのではないかという心配がある。  また、意思疎通事業については、モデル要綱を作成する際に、盲ろう者はどうするかという話しになった。現時点では時期尚早であるということから、手話通訳、要約筆記に限定されることになった。手話通訳と要約筆記は都道府県が行うものと、市町村が行うものとがあり、それを前提にモデル要綱は作られている。手話通訳については、個別給付化は馴染まないという判断を、当事者団体がしている。また、名前からして、通訳と介助、通訳のついたヘルパー、このあたりをどのように考えるのか、同じ文脈でいくのかという問題がある。   <盲ろう者に関する実態調査> (1)身体障害者手帳の交付状況については、回収率98%という高い回収率になった。視覚と聴覚両方の手帳を持つ人が、実数で1万3,952名いると分かった。平成24年度の派遣事業登録者数は、全国で940名。うち派遣事業を実際に使っているのは約7%であった。これをどう評価するかが今後の課題である。 (2)拾い出した盲ろう者に対して、郵送で、目と耳の両方に障害のある方の生活状況調査を行った。有効回収率は約21%であった。 (3)盲ろう者地域団体の活動状況の調査も行った。   <養成事業について>  都道府県の障害福祉主管課47箇所を対象に実施した。実際は委託しているところが大部分で、回収率93%であった。養成カリキュラム構成は84時間で、最低でも必修科目の42時間はやっていただきたいと考えている。 ※参考資料 P.86〜P.91 文責:今川裕子 ----- ************************* 情報交換・ディスカッション1、2、3 司会者  後藤未来(社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会)  兒島節子(みやぎ盲ろう児・者友の会)  松本雅美(特定非営利活動法人えひめ盲ろう者友の会) ************************* T 震災について <概要>  午前のカリキュラムで「生命のことづけ」のビデオ上映と被災県コーディネーターによる講演が行われ、被災地のコーディネーターから震災の時にどう対応したかなど、実際の経験からの話をいただいた。それを受けて、災害時の対応についての情報交換やアンケートに記入された情報について意見交換をした。 <ディスカッション内容> (1)災害時の対応について  対応を考えている県(参加31都道府県中23県)から以下の具体策が発表された。 ・ 盲ろう者用SOSカードを作り、東日本大震災での盲ろう者の体験談や、震災時に必要な物品についてまとめた物と一緒に配布の予定。  SOSカードの中身:本人の視覚・聴覚障害の状態・コミュニケーションの取り方・持病や必要な薬の有無など、身体障害者手帳より一回り小さいカードを作成。 ・ 聴覚障害者情報センターが独自に行う、災害時情報ネットワークというシステムがある。そこに、盲ろう者及び通訳・介助員の登録を勧めている。 ・ 5〜6年前より毎年4月に行われる派遣の説明会の中で、緊急時の対応についてのマニュアルを説明している。 ・ 友の会活動の中で、毎年1回、地震を想定しての避難訓練をしている。   (2)災害時の人的援助など ・ まだ、具体的には決めていないが、最も近場の人間が駆け付けるのに時間がかからないので、この盲ろう者にはこの方と、今後は決めていこうと思っている。  例:土砂災害で裏山が崩れた時には、盲ろう者の近くで登録している通訳・介助者に様子を見に行ってもらった。 ・ 防災に関する学習会を先月盲ろう者友の会が主催し、実施した。盲ろう者も自分たちを守るために、次のような三つの方法があると思う。  @自分を守るためのグッズをそろえる  A地域への支援を呼び掛ける  B公的な援助  これからも、学習会はたびたび行う予定。 ・ 近くに住む通訳・介助者が、盲ろう者をサポートできるようにするのは確かに有効な方法だと思う。しかし、実際に盲ろう者の一時避難場所と通訳・介助者の一時避難場所を、住所から割り出してみたところ、実際はほとんどかみ合わず難しい。 ・ 災害時要援護者登録制度というのが、各区市町村レベルで進んでいるので、こちらに登録するように勧めている。 ・ 聴覚障害者団体でSOSカードを作っているが、地域とのつながりが大事ということを考えると、災害時に支援が必要な人の全体のカードが出来たらいいと思う。 ・ 東日本大震災の盲ろう者の体験談や震災時に必要な物品についてまとめた冊子を作る予定。そこに、災害時要支援者の登録の仕組み、登録の方法、登録をするとどういうメリットがあるかを、盛り込む。 <まとめ> 参加者の中から、現在、災害時の取り組みを行っている県や、行う予定の県の参考になるお話をいただいた。午前中の被災県からのお話と、皆様からのご意見を合わせてコーディネーターとして取り組めること、盲ろう者団体と話し合って取り組めることは何かを考える機会になったと思う。他県のご意見や取り組みを参考に、今後、各県で検討してほしい。 文責:兒島節子 U 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の現状と今後について <概要>  平成25年4月から、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業が意思疎通支援事業として、指定都市・中核市でも必須事業と位置付けられた。これにより、各地域では県から市へ事業が移行していくことと思われる。事前アンケートには、移行予定であること、また途中経過の報告が多く記載されていた。会議では、既に市の事業委託として始まっているところや、現在話し合いが進んでいるところ等から報告をいただいた。 <報告内容> (1) 既に業務を開始している県からの報告 ・ 平成25年度より、中核市からの委託で事業を開始した。主な利用者4名が市に移行したため、県から派遣予算を検討し直すと言われた。派遣要綱は、市が県のものをそのまま採用。養成講座は県と市が共催した。 (2) 自治体と話し合いが進んでいる県からの報告 ・ 県と市と友の会で話し合いの場を持ち、予算交渉を続けている。 ・ 友の会が受託することにほぼ決定。 ・ 県が一本化で行う予定。 ・ 県と市の実施団体は友の会だが受託団体が別なため、事務処理が分かれるかもしれない。 ・ 県の利用者が減るため、県予算も減らされる。 ・ 市は独自に行いたいようだ。友の会役員が市と交渉中。友の会が受託する場合は、コーディネーター料という人件費が発生してしまう。 ・ 県も市も、聴覚障害者協会に委託している。 ・ 友の会などでメリット、デメリットについて話し合った。窓口が一本化できなければ、市が窓口となり盲ろうや点字のことが分からないコーディネーターが対応することになる。謝金が県と市で違っては困る等の不安が出た。 ・ 県と市の会計報告を一人でするのは複雑なため、市の窓口は別のコーディネーターが受け、通訳・介助員は県も市も派遣できるという方法にする。報告書は同じで色分けしたり予算が多い方が印刷費を賄うなど工夫する。 ・ 県と市が話し合っているが情報が降りてこないため、来年度以降は不明。 ・ 以前窓口が分かれていた時は、通訳・介助員の奪い合いがあった。お互いの情報共有ができていなかったため健康被害の把握もできていなかった。 ・ 市は、「盲ろう者」についてのノウハウが全くないため、友の会と話し合い、窓口は情報センターで一本化するように市にお願いした。政令市の負担が大きくなるので、今年は補正予算をとるのが難しいのではないか。来年度以降も予算要求を働きかけているところ。事務費や人件費を含めてお願いしているか、他県に聞きたい。 ・ コーディネーター手当てという項目は予算になく、予算内で割り振りしている。 ・ 県予算を削ると言われたが、要望として「一人あたりの時間数を増やしてほしい」「日常生活訓練をしてほしい」「頸肩腕健診の予算をつけてほしい」という予算案を提示した。県からは「できることはする」という回答を得た。 ・ 市の手話通訳と要約筆記の謝金が、1,700円から2,000円に上がったので、通訳・介助員の謝金も2,000円にしてほしいとお願いした。 <盲ろう者協会からのコメント>  盲ろう者の数が絶対的に少ないため、人口の少ない自治体では事業を実施することが難しい。都道府県・政令指定都市や中核市ぐらいの規模になると、ある程度数がまとまるため、派遣事業が事業として成立する。大都市特例は、事業の性格が市町村事業になったわけではなく、都道府県としてやるべき仕事の一部を、指定都市や中核市に委ねているということである。市から予算が出ると県の負担が低くなり、県の予算が余るなら、盲ろう者の他の事業(生活訓練等)に回してもらうとか、一人あたりの年間予算額を増やしてもらうといった要望もできるだろう。何もしなければ予算が削減されてしまうかもしれない。メリット、デメリットは、県や市の考え方に対して、盲ろう者団体、あるいは派遣事業所がどのように対応するのかに尽きるのではないか。これをチャンスと捉え、予算を伸ばす、あるいは他の事業拡大のチャンスと捉えて進める等、いろんなやり方を考えることがメリットに繋がるのではないか。   <その他の意見>  派遣件数のカウント方法について、以下の発言があった。 ・盲ろう者が自宅から会場へ移動し、会場で通訳を受けて自宅に帰るパターンの場合、送迎に2名、会場の通訳が2名、またその2名が自宅まで送り、計4名が関わることになる。それを1件とカウントするが、5年前までは4名関わっていたため、4件とカウントしていた。 ・派遣件数は、1件に対して何人派遣しても1件とカウントする。自県に関しては、利用者が利用できる派遣時間は月30時間と決まっているため、一度に何名派遣しても、その中の一番活動時間の多い時間を利用者の使用時間としてカウントしている。謝金は関わった人全員に支払っている。  時間の関係により、参加している県全てに聞くことはできなかったが、県によって、派遣件数のカウントの仕方が異なっているため、実態調査をする際に異なる数字が挙がっている。今後、全国盲ろう者協会が、統一した件数のカウントの仕方を検討することとなった。   <まとめ>  今後、政令指定都市や中核市では、進展や動きが出てくると思われる。制度の改正をチャンスと捉えて交渉に繋げ、盲ろう者にとって、質の良い派遣事業となるようにしていきたい。交渉がまとまらなかった時は、全国盲ろう者協会に助けを求めていきたい。 文責:松本雅美・後藤未来 V 盲ろう者や通訳・介助員の高齢化について <概要>  盲ろう者や通訳・介助員の高齢化が進んできている。高齢化によってどのような問題が出てきているのか、また、それら問題に対しどのように対処しているのか等について話し合われた。 <盲ろう者の高齢化について> (1) 通訳・介助員の役割 ・ ある盲ろう者ご夫婦の例。通訳・介助の利用と併用して、介護ヘルパーや訪問介護、その他いろいろなサービスを利用している。ケアマネージャーや役所との繋がりが上手くいっていない。利用者は通訳・介助員との関わりが長いため頼っており、薬の管理など必要以上のサポートをしている。いつ薬の事故が起こるか心配。 ・ 冷蔵庫の中身まで、通訳・介助員がバランスを考えてサポートしなければならないのか? ・ 通訳・介助員が知識不足の面もあり、良かれと思ってサポートしている面も多いと思う。その辺り、どう棲み分けたらいいのか迷う。 ・ 通訳・介助員としての業務をどこまでやるべきかがはっきりしていない。 ・ 他のサービス担当者との連携をどのようにするのか。 ・ 高齢化も進んで、車椅子利用や薬の管理の問題に直面した場合、業務としてどこまでやるべきなのかと感じた。 (2) 横の繋がりについて ・ 盲ろう者の派遣を開始する際、介護保険のケアマネージャーと、障害者支援センターの相談員が入り、話し合いをしている。また、3ヶ月に1度、相談員の段取りで会議を開催している。 ・ 通訳・介助派遣とホームヘルパーを利用している盲ろう者。月に一度のケア会議に、派遣側とケアマネージャー、利用者とその家族が出席している。仕事の役割確認等をしている。定期的に支援者側が集まり、利用者の様子を見てもらうのがいいと思う。 ・ 通訳・介助派遣とデイサービスを利用している盲ろう者。デイサービスの時は、市の手話通訳派遣を利用。ホームヘルパーも利用してほしいが、他の人を受け入れられない。それも含め、サービス担当者が集まってカンファレンスを行っている。会議には利用者も入り、何ができるか等を話し合っている。 ・ 一人の盲ろう者に関わっているサービス提供者側が集まって話し合いを持つのは大切なこと。コーディネーターとしても、その場に出席できる状況が大事。 (3) 身体介護等、通訳・介助の範囲 ・ 認知症の方に通訳・介助員がどこまでするのか。本人に自己決定が難しい場合、通訳・介助員がどこまで意思決定を手伝うのかが課題になる。通訳・介助員だけでは支援の限界があり、派遣事務所としてもできることとしての役割があるので、地域包括支援センターと関わりを持ち、一緒に連携してサポートできる体制を作ったり、市に話を出して、市を巻き込んでサポートできるようにしている。 ・ 緊急に身体介護が必要になる可能性がある場合、盲ろう者の家族と事前に話し合っている。 ・ ホームヘルパーの事業所につながる緊急ボタンがあり、通訳・介助員がボタンを押して、ヘルパーに来てもらい、身体介護をしてもらうという体制を作っている。 ・ 養成講座が15時間で、コミュニケーション方法も移動技術も身に付かないうちに修了するため、移動の安全を図るための方法を学ぶ時間がない状況。車椅子移動の人が転んでしまったという報告を聞き、移動技術にもっと力をいれるべきだと思った。また、養成の前に、ホームヘルパー2級、3級等の基本的な資格を持つ方に、盲ろう者に対するサポートの技術を持っていただくのも良いと思う。 <通訳・介助員の高齢化について> (1) 高齢化により、自ら辞退する人が増え、ベテラン通訳・介助者派遣訳・介助員が減っている。 ・ 体調不良や入院で、登録更新をしない人が増えた。今後、厳しい状況になると危惧している。 ・ 登録更新を機に、自分で判断して辞退する人もいる。 ・ 自家用車送迎で、長距離は体力的に難しいからと引き受けてもらえなくなった。年齢が上がると、活動の内容や範囲が変わってくる。 ・ 高齢のため引退を考えたが、ある盲ろう者の要望で、その人だけの通訳・介助をできる範囲でしている人がいる。 (2) 現役の若手や新人のスキルアップが必要だが育たない。 ・ 若い人を入れたいが、盲ろう者の強い希望があって難しい。 ・ 「もっと若い人を利用してはどうか。」とアドバイスしたが、「大丈夫、必要ない。」という返事で終わってしまった。 ・ 盲ろう者に働きかけをしている。盲ろう者からベテランの通訳・介助員を指名してきた時に、その通訳・介助員の都合が付かない場合、新しい人を入れてみないかと提案し、盲ろう者から名前を挙げてもらう。コーディネーターからも名前を挙げてすり合わせをし、新しい人を増やすようにしている。 ・ お気に入りの高齢の通訳・介助員が引越しをしたり、入院したりといったことを想定し、どんどん通訳・介助員を増やしていこうと話し合っている。 ・ 県からは、1ヶ月3回まで希望を受け入れ、それ以上は他の人をできるだけ入れて、どの盲ろう者にも対応できるような配慮をするようにと指導されている。自分の通訳・介助員として、1名ではなく3名は確保できるようにと盲ろう者にお願いしている。 ・ 若い人を入れていかないと制度自体が成り立たないのではないかと思う。友の会会議等に新しい人を入れているが、盲ろう者からは、ベテランの通訳・介助員を付けてほしいと言われる。そこで、新しい人と経験を重ねている人同士でペアを組ませるようにしている。 (3) 高齢のため通訳・介助が心配だが、本人や盲ろう者は大丈夫だと思っている。 ・ 高齢のため耳が遠くなってきていると思われるが、本人はまだがんばれると言う。その人には通訳の内容を考えてコーディネートをするようにしている。 ・ 第一線で活躍しているのは60〜70代が多い。70代になると、体力的な問題や判断力の低下の心配もある。しかし、盲ろう者からの希望が強いため、ある年齢で辞めてもらう等の対応は難しい。70代半ばの方には、移動が長くない内容を依頼したり、体力的に難しい方には依頼数を減らす等の対応をしている。 ・ 高齢のため、盲ろう者の後ろから通訳・介助員がついて歩く場面も見られる。双方の気持ちを考えながら、若手ができるだけ入れるように、移動介助を頑張ってもらったり、講演会などの触手話通訳では、盲ろう者にも我慢してもらったりしている。 ・ 80歳近い通訳・介助員からも報告書があがってきている。直接依頼ができるため、遠慮してくださいとは言えない。ろう者同士、長年の友人でもあるので、他の人では手話が通じず、買い物も思い通りにいかない。遠方の大会等に行く時は、健聴の通訳・介助員が傍で見守っている。 <まとめ>  どの県でも、盲ろう者や通訳・介助員の高齢化は深刻な状況。  盲ろう者の場合は、他の制度との連携が必要であり、盲ろう者にとって必要な専門機関につなげたり情報交換したりすることが大切になってくる。  通訳・介助員の場合は、何歳という線引きは難しいが、コーディネーターとして、通訳・介助員の身体状況も把握しておく必要がある。また、新しい人材の育成や若手のスキルアップも、盲ろう者の協力を得ながら力を入れていかねばならない。 文責:松本 雅美 W 盲ろう者や通訳・介助員のメンタルサポート、対人援助について <概要>  盲ろう者や通訳・介助員から相談を受ける中で、どういった取り組みを行ったら良いか等、個々に悩んでいることを出し合い、またそのことについてアドバイスを得た。 <盲ろう者からの相談等について> (1) 養成講習会の受講生のお子さんが盲ろうとなった。 親御さんは関係機関を信用していない。どのようなサポートをしていけば良いか悩んでいる。  上記の話を受けて、取り組みを行っている県から発言があった。 ・ 脳腫瘍により、視力と聴力を徐々に失い、全盲ろうになった方がいる。病院のカウンセラーが友の会の通訳・介助員と繋がりがあり、その方から情報を聞き、お会いした。いろいろなサービスや訓練の提供をすることでコミュニケーション方法を身に付けていった。比較的同世代の通訳・介助者を定期的に派遣し、少しでも寂しい気持ちが癒えるようにしていった。 (2) ある盲ろう者は、元々ろう者であり、性格が攻撃的で、物事をマイナスに捉えやすいところがある。奥様は、ろう者で若干の知的障害が見られ、ご主人の病気に関してのサポートができない。盲ろう者が攻撃的な性格ゆえに、怒りのために通訳・介助者に対して白杖を投げたり、物を投げたり蹴ったりということがあり、通訳・介助者も怖くて現場に行けず、派遣を引き受けてもらえない。ピアカウンセリングも試みたものの、本人が拒否し暴れてしまった。他になかなか良い方法がない。  上記の話を受けて、事例として下記のとおり発言があった。 ・ 年度初めの総会の時に、1年間の活動予定表を作る。その時に友の会の行事等に参加できない盲ろう者のお宅に、コーディネーターや盲ろう役員、通訳・介助者がチームになって訪問する計画を立てる。カウンセリングを実施することもある。当事者同士でなければ素直に心を開いてくれない盲ろう者もいるため、通訳・介助者とコーディネーターだけではなく、当事者の役員が出向き、本人と話をしている。年間予定に沿って訪問活動をしている。 ・ 傾聴ボランティアになるつもりで、本人の話を聞くようにしている。いろいろな病気が重度化しているために気持ちが不安定になっていることもある。急に見えなくなったり、聞こえなくなったりした方は、そのことを直ぐには受容できないもの。一番良かったのは、盲ろう当事者と一緒に話をしたこと。当事者の家族から話を伺ったり、コミュニケーション方法が同じ盲ろう者と会って話をしてもらったりもしている。盲ろう当事者と話し、この人になら話せると分かると、急に攻撃性も無くなる。きっと家族に話ができずにイライラしていたのだと思う。なぜそのような行動になっているのかをよく聞くことで、自分自身の勉強にもなっている。家族と話をし、また「ふうわ(正式名:盲ろうの子とその家族の会 ふうわ)」の方達とも話ができれば、家族の方達も安心されると思う。 <通訳・介助員からの相談等について> (1) 聴覚障害のある通訳・介助員と健聴者の通訳・介助員がペアで組んだ時、全体手話通訳がいない場では、健聴者の負担になる。ろう者の通訳・介助員が通訳・介助をする番になると、健聴の通訳・介助員が、そのろう者に対して手話通訳をしなければならなくなり疲れてしまう。健聴者同士のペアを組み派遣できれば良いが、そうもいかず、全体手話通訳者が付かない場所にも、ろう者の通訳・介助員を派遣せざるを得ない。盲ろう者が講演会等へ参加を希望した際は、基本的に、主催者側に全体手話通訳者を準備してもらうが、それが難しい場合もある。通訳・介助員が足りないということもあり、結果、全体手話通訳者がいない場に、ろう者の通訳・介助員に行ってもらっている。そうすると、もう一人の健聴通訳・介助員が、ずっと通訳をし続けるといった問題が生じてしまう。これは、何年も悩んでいることである。  上記の話を受け、下記のとおり発言があった。 ・ 会議等で盲ろう者の方からろう者の通訳・介助員の方がいいという希望が出された場合、触手話だとシャドーイングが難しいため、やむを得ず健聴者2名の通訳・介助員を付けている。友の会の行事では、友の会がお金を出して全体手話通訳を付ける方法を取らざるを得ない状況にある。 ・ 盲ろう者がろう者の通訳・介助員の希望を出しても、全体手話通訳が付かない場合は派遣せず、健聴者2名の派遣になる。 ・ ろう者の通訳・介助員の良さ、ろうベースの盲ろう者にとって、「合う」ということを考える。健聴の通訳・介助員とは違う良さがあり、そこを尊重して派遣したいと考えている。派遣内容で、例えば一般的な講演会や研修会で全体手話通訳がいない会なら、一般のろう者が参加できない会なので、手話通訳を付けてもらうように主催者にお願いして、ろう者が参加できることが必要である。長時間の講演会の場合は、健聴者の通訳・介助員が全体手話通訳者の代わりとなって、ずっと手話通訳をすること、ろう者の通訳・介助員もずっと交代せずに触手話をすることは、双方の通訳・介助員にとっても良くない。そういう状況を盲ろう者に説明した上で、全体手話通訳がいないので、派遣が難しいといったことを話すことも必要だと思う。 ・ 盲ろう者の通訳・介助員が不足している場合、ろう者の通訳・介助員を2名派遣することもある。その場合、情報を得るためにも盲ろう者自身が市に申請し、手話通訳者を派遣してもらう。また、同行援護で手話通訳ができない人が来て誘導してもらうこともある。手話通訳、同行援護、盲ろう者向け通訳・介助員のどれを依頼するかは盲ろう者が選択し、決定する。 <盲ろう相談員について>  盲ろう相談員を設置している県から、設置の経緯や状況等について話してもらった。 A県  平成22年度から県で盲ろう相談員を設置し、現在2名体制をとっている。情報センターに月1回相談員が来て、そこで相談を受け、また相談者宅の訪問を行っている。外部からの依頼は、窓口の情報センターから来るので、必要に応じて判断している。  情報センターには、盲ろう相談員以外に、ろうあ者相談員がいる。センターでは、こころの相談も行っているため、精神保健衛生士に入ってもらうこともある。もともと難聴者で盲ろうになった方は、盲ろう相談員に繋げている。また、ろうあ者の移動相談もある。移動相談の時に相談員から、盲ろう者と思われる方が相談に来たとの報告を受けて、盲ろう登録に繋がったという事例がある。聴覚障害者関係の聞こえの相談では、手話通訳者と共に定期的に県内をまわっている。最近、自分が盲ろうであるという自覚がないまま、見えない、聞こえないということで、移動相談に来る方もいる。それがきっかけで盲ろう登録に繋がる事例もある。それ以外に、パソコンに特化した盲ろう者のパソコン相談員を3名設置している。センターのIT事業から、聴覚障害者のための盲ろう者向けの相談にも必要だということで設置している。 B県  平成25年度より、県の予算として、相談業務、コーディネーターの事務補助的な予算を付けてもらった。通訳・介助員に相談員を頼むと、通訳・介助員と相談員という役割の区別ができるのかどうかが難しくなるため、人選に悩んでいる。また、コーディネーターが相談業務を兼ねると、業務量が増えるという問題がある。 C県  4年前、県の緊急雇用の事業で相談員を設置することになった。相談員は、1年毎に替える必要がある。平成25年度に関しては、県の手話通訳者であり、今までろう者の相談等様々なケースに対応し活動していた方で、盲ろう者友の会の設置時にも関わりがあり、行政機関との繋がり等、様々なノウハウを持っている方が担当している。相談は、必要に応じて、利用対象者が希望する場所に出向いている。また、生活訓練の場に来てもらう時などにも相談を受けたりもしている。相談員の活動時間は、訪問場所によって変わってくる。 D県  総合相談事業を行い、実質6名の職員が関わっている。派遣に関する相談は、派遣コーディネーターが対応する。日常生活の相談は別の職員が対応し、市区町村や他機関からの相談は、また別の職員が対応する等、盲ろうに関する相談全般を請け負っている。  他に、聴覚障害者向けの見えにくさの相談会、視覚障害者向けの聞こえの相談会を実施している。これらの事業は、視覚障害者関係団体や聴覚障害者関係団体等と連携し、盲ろう重複障害者の社会的孤立解消事業として実施している。視覚障害者向けの聞こえの相談会では、言語聴覚士を相談員として招き、職員も相談員として対応している。事務所に来るようにと伝えると、人によっては、「盲ろう」という言葉に重さがあり、なかなか足を運びにくいという面がある。そのため、聞こえの相談会では、視覚障害者団体の事務所の一角を借りて実施したり、見えにくさの相談会では、歩行訓練士等、視覚障害者専門の方を相談員として招き、聴覚障害者団体で実施したりしている。また、広報ツールとして、視覚障害者向けの聞こえにくさについてのパンフレットや、聴覚障害者向けの見えにくさについてのパンフレットも作成している。 <まとめ>  盲ろう者、通訳・介助員双方からの相談を受けた際には、コーディネーターだけでなく、必要に応じて専門機関に繋ぐこと、また盲ろう者団体と連携していくことが大切になってくる。他県のコーディネーターと意見交換を行い、少しでも諸問題についての解決の糸口を見つける場を設けていくことが、今後も引き続き必要である。 文責:後藤未来 X よりよい盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業 ― モデル派遣要綱をベースに ― <概要>  少し先を見た、よりよい盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業はどうあるべきかといったことについて、全国盲ろう者協会より示された、モデル事業の要綱のイメージを基に、会議参加者と意見交換を行った。 <配布資料> ・平成25年度コーディネーター連絡会資料集  −各都道府県等盲ろう者向け通訳・介助員派遣要綱− ・盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業実施要綱のイメージ <資料説明> 全国盲ろう者協会より  障害者総合支援法施行後3年の見直しという課題が目前にあり、その中で、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業がどのような形を持つべきかということは、とても大きな問題となり得る。現在の派遣事業は、県によっても様々な課題があるが、より良い派遣事業の姿、イメージを整理すれば、制度の見直しにも必ず役立つものと考える。  既に手話通訳と要約筆記の標準要綱(モデル要綱)が作成され、動きだしている。この要綱は、現行の障害者総合支援法の枠を前提に作られており、かなりレベルの高いものとなっている。  今回配布した派遣要綱集には、ほぼ全国の盲ろう者向け通訳・介助員派遣要綱が収まっている。全国盲ろう者協会では、それらを基に、それぞれの県での派遣要綱の良いところをピックアップし、また、手話通訳と要約筆記の標準要綱を参考に、「盲ろう者向け通訳・介助員派遣実施要綱のイメージ」という資料を作成した。より良い派遣事業のあり方を考えるための一素材とし、派遣事業のあるべき姿、望ましい制度を作るための議論を進めたい。 <問題提起> ・ 身体障害者福祉法や身体障害者手帳の認定基準について ・ 通訳・介助員登録をする時に特定の人を推薦する方法 ・ 指名制や、利用者と通訳・介助員との関係のあり方 ・ 通訳・介助員の責務 <実施要綱のイメージから出された内容> 以下のことについて意見交換がなされた。 (1) 盲ろう者の派遣対象事項について ・ 社会通念上、本事業を利用することが適当でないと判断される場合の「社会通念上」の範囲、意味合い →公共の福祉に反するという文言では、かなり強い決めごととなるため、社会通念上という文言を使用。 (2) 盲ろう者の利用登録 ・ 都道府県で登録の扱いが違う。視覚・聴覚障害の程度が1級または2級と設けているところがあるが、全国盲ろう者協会では、本人の自己申告で登録できている。 →盲ろう対象者の範囲を考える時に、一般的には身体障害者手帳で聴覚と視覚の両方、身体障害者手帳に該当するレベルの障害があることを前提に考える。障害者総合支援法という大きな制度の枠にはまることが前提にあり、具体的な障害認定をどのように考えていくべきかということになる。 (3) 派遣対象者の県内在住について ・ 生活自体が県内にあればよいとの考え。 (4) 広域的な派遣の調整 ・ 県外派遣に関しても、今後要綱に加えるのであるならば、全国共通のやり方が示されるとよいと思う。 (5) 自家用車の送迎 ・ 自家用車を使用する上での規程を設けている県は、今回の会議参加団体31都道府県のうち、5県。 (6) 実際の運用のマニュアル ・ 派遣要綱の運用マニュアルがあると、派遣の際に活用できるのではないか。 <まとめ>  盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は、各地域で課題等を抱えながらも、手探りで行っている様子が窺えた。将来的には、全国統一された、よりよい派遣要綱が示されるように、継続して議論を図っていく必要があると考える。 文責:兒島節子 ----- 5.事前アンケート集計結果 設問1 ・ あなたの所属する都道府県を教えてください。 ・ あなたのコーディネーター歴を教えてください。 ・ あなたの地域で盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業を担っている団体はどこですか? ・ 盲ろう者友の会等地域団体と、懇談を実施していますか? ・宮城県  1年、宮城県身体障害者福祉協会、みやぎ盲ろう児・者友の会、なし ・岩手県  11年、岩手盲ろう者友の会、あり ・秋田県  3年、秋田盲ろう者友の会、あり ・山形県  1年、山形県聴覚障がい者情報支援センター、なし ・茨城県  4年、社団法人 茨城県聴覚障害者協会、なし ・栃木県  9年、栃木盲ろう者友の会「ひばり」、なし ・群馬県  11年、特定非営利活動法人 群馬盲ろう者つるの会、なし ・埼玉県  2年、埼玉盲ろう者友の会、あり ・東京都(3名)  2年、3年、8年、東京盲ろう者友の会、あり ・神奈川県  4年、社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会、あり(2ヶ月毎に1回会議を実施している) ・石川県  8年、石川盲ろう者友の会、あり ・新潟県  5.5年、新潟県身体障害者団体連合会、あり ・岐阜県  未回答、岐阜盲ろう者友の会、未回答 ・静岡県  3年、静岡県聴覚障害者情報センター、あり(養成事業のみ) ・兵庫県  4年、兵庫県立聴覚障害者情報センター、あり ・和歌山県  6年、特定非営利活動法人和歌山盲ろう者友の会、なし ・鳥取県  5年、鳥取盲ろう者友の会、あり ・島根県  未回答、島根県障害者社会参加推進センター、なし ・広島県  8年、広島盲ろう者友の会、あり ・山口県  1年、山口盲ろう者友の会、あり ・徳島県  4年、特定非営利活動法人聴覚・ろう重複障害者生活支援センター、あり ・愛媛県  えひめ盲ろう者友の会、なし ・高知県  6ヶ月、高知県聴覚障害者情報センター、なし ・長崎県  7年、一般社団法人長崎県ろうあ協会、未回答 ・大分県  5年、社会福祉法人大分県聴覚障害者協会、あり(必要な時) ・宮崎県  1年、宮崎県盲ろう者友の会、未回答 ・鹿児島県  4年、社会福祉法人鹿児島県身体障害者福祉協会、なし 設問2 各都道府県派遣事業所等で、実際に震災が起こった際にどのようにすべきか考えていますか。震災に備えて、現在取り組んでいる(取り組もうとしている)ことは何ですか。 ・宮城県  災害が起こった際の安否確認の方法等を確認しておく必要がある(盲ろう者に対しては、近くにお住まいの通訳者にお願いできれば、盲ろう者の現状を確認して頂く等) ・岩手県  地域でのネットワークが大切だと思う。  震災時には、すぐ駆け付けられる通訳・介助者を確保しているが、より近い場所に住む一般の方々にも「盲ろう者が居る」ことを知ってもらい、盲ろう者に対する理解を深めてもらうように取り組みたい。 ・秋田県  具体的な話し合いはしていない。 ・栃木県  緊急時にすぐに対応・訪問できる通訳・介助者を決めておく。  地域との連携が必要なので、地域・自治体含めての対応策を考える。避難経路・場所などを事前に把握する。 ・群馬県  地域で防災訓練が実施されるときは、参加させてもらう。(過去にも参加している)  消防署との連携依頼が必要。 ・埼玉県  独自の連絡、安否確認の方法はないが、地域の聴覚障害者情報提供施設が作っている災害時情報ネットワークに派遣事務所も登録しており、盲ろう者と通訳・介助員にも登録するように薦めている。「目と耳が不自由」ということが分かるように、盲ろう者が携帯できるバンダナを作成してほしいと友の会から県の福祉課へ要望しているが、「市町村の事業内容」とのことで、毎年却下されている。自費製作ではない方法でできれば…と考えている。 ・東京都  盲ろう者用SOSカードの作成と配布(予定)。  東日本大震災での盲ろう者の体験談や、震災時に必要な物品についてまとめた報告書の作成と配布(予定)。 ・神奈川県  登録盲ろう者・児の各々の避難場所がどこか調べ、表を作成。  神奈川県聴覚障害者協会が中心となり、災害対策を行っており、そこに盲ろう者団体も含まれている。各地域のろう協で防災訓練を行い、そこに参加している盲ろう者もいる。 ・石川県  毎年4月に行う派遣説明会で配布する資料に、緊急時や地震発生時の対応マニュアルを載せ、説明している。 友の会として避難訓練を行っている。  盲ろう者が個人カード「Helpカード」を持ち、緊急時に第3者が見て対応してもらえるよう準備する。 ・岐阜県  考え、実施してゆく余裕がない。以下の設問も同様である。現状維持が、せいいっぱいの“実状”が情けない。 ・静岡県  現在は考えていない。  地震が起これば、盲ろう者友の会、通訳・介助者の会と協力して、対応することになると思う。  盲ろう者が住んでいる地域で、台風などの自然災害が起きると、近くに住む通訳・介助者に様子を見に行ってもらう等、安否確認をしている。 ・兵庫県  ホームページに防災関連を掲載。 ・和歌山県  盲ろう者が自宅に居る場合と、さをり工房(事務所)にいる場合に分け、消防署の方にお願いして、災害が起きたときを想定した訓練をする予定。 ・鳥取県 県の災害時、要支援者対策の話し合いに参加している。また、地域の要支援者対策の集会に参加した。 ・島根県  友の会としては考えている。(勉強会、担当部署との相談) ・広島県  盲ろう者の近所の通訳・介助員に安否確認、その後のフォローを頼むしかない。また、各市町の手話相談員の利用等を考えているが、何のシステムもできていない。 ・山口県  まだ取り組んでいない。  特に一人暮らしの盲ろう者の近くに住む通訳・介助者とのネットワークをつくり、安否確認などの連絡ができるようにする必要があると考えています。 ・高知県  全く進んでいない状況。聴覚障害者協会が立ち上げている災害救援本部に加盟し、今後一緒に取り組もうとしているところ。 ・長崎県  盲ろう者を含め、全ての聴覚障害者への災害支援ネットワークの確立を目的に、学習会を開催する計画が進められている。  盲ろう者向け通訳・介助者養成講座カリキュラムにも組み入れる方法を検討したい。 ・大分県  県の防災メールの活用(盲ろう者に対しての話し合いはほとんど出ていない様子)。 ・鹿児島県  一人暮らしの方については、地域の消防、民生委員が避難誘導することになっている。  一人暮らしではない方については、まだ取り組んでいない。 設問3 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業についてお伺いします。障害者総合支援法では、派遣事業の必須化に当たって、都道府県のみならず指定都市・中核市でも派遣事業を実施することになりました。あなたの地域では、同派遣事業について、何か動きはありましたか。また、今後の見通しをお聞かせください。 ・宮城県  本県では、仙台市という指定都市があるが、現在派遣事業は行っていない。来年度からやらなくてはいけないと話は出ているが、現時点(平成25年9月)では何も決定していない。  現在登録している盲ろう者が11名いるが、その内9名が仙台市民であるため、県としての事業体系が変わっていく恐れもある。 ・岩手県  平成14年から派遣事業を実施。特に変化はない。 ・山形県  派遣事業は間違いなく続けるが、指定都市がないため今まで通りとなる。 ・群馬県  県が指定都市との話し合いを行ったようだ。 ・埼玉県  現在のところ、指定都市での事業開始の予定は聞いていないが、指定都市独自に、手話通訳派遣事業、要約筆記者派遣事業を行っているので、通訳・介助員派遣事業を開始する可能性はある。今までの「全国盲ろう者協会から業務を行っている」という経緯や、「友の会が担うのが適任」という、県の担当部署からの「お墨つき」があるので、少し安心している。 ・東京都  指定都市・中核市がないため、特に動きはない。 ・神奈川県  県の委託事業として実施しているため、県が主となり指定都市、中核市と情報交換及び調整をしており、今後の方向性は不明。今年度においては現状のままで、一本化で実施している。 ・新潟県  県・指定都市・中核市から、派遣事業について問い合わせがあった。政令市は、現在検討中。県は、今後指定都市の意向確認を行う予定。 ・岐阜県  9月中に県と相談をする予定。 ・静岡県  静岡県には、指定都市が2つ(静岡市・浜松市)あり、中核市はない。  動きとしては、県福祉課の担当者から、平成24年度の市町ごとの実績を教えてほしいと連絡があった。まだ大きな動きはないが、指定都市での派遣事業が開始できるか検討している様子。  県内複数の箇所でコーディネートするようになると、コーディネートが大変になってしまう心配がある。 ・兵庫県  県障害者支援課担当者と指定都市(神戸市)、中核市(姫路市、尼崎市、西宮市)が意見交換会を実施。尼崎市、情報センター、友の会で懇談会を実施。 ・和歌山県  平成26年4月より、和歌山市(中核市)で養成事業と派遣事業が始まる予定。県・市・友の会で話し合い中。 ・鳥取県  県のみなので、県の事業に変更はない。しかし制度の変更時は、事業内容変更のチャンスと担当課はとらえている。友の会からは、利用者増に伴い予算増を要望した。同時に、実態調査を基に、予算の予測を依頼した。 ・広島県  指定都市、中核市と県に対しお願い文を提出し、それぞれと懇談、交渉をしている。  指定都市(広島市)は、独自で派遣事業をする方向。  中核市(福山市)は、県に入って今まで通りでする方向。 ・山口県  県と中核市(下関市)それぞれの担当者と友の会役員(会長・副会長・事務局長・派遣コーディネーター)が、3回ほど話し合った。県と中核市が、友の会に派遣事業を委託すること、県と市でサービスの差が出ないように県と市で協議し、友の会に報告することになっている。 ・徳島県  特に新しい動きはない。今までどおり県の事業として行っていく見込み。 ・愛媛県  現在えひめ盲ろう者友の会に委託する予定。 ・高知県  盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は、平成25年度も予算化されている。但し、1人100時間では足りない当事者もいる。時間を増やす必要があるので要望していく(※現時点では、チケットの利用回数が多い人、少ない人とでバラツキがあり、利用が少ない人の分から調整して多い人に回している) ・長崎県  事業費増額について県と協議中。派遣事業(サービス)利用者の拡大。  依頼者と通訳・介助者の待ち合わせ場所から移動先までの交通費については、現在は通訳・介助者分も依頼者負担だが、26年度からは通訳・介助者の交通費は、委託費より補助(上限2,000円) ・大分県  大分市の方で今年度(平成25年度)より派遣を開始。 設問4 盲ろう者や通訳・介助員の高齢化についてかかえている課題はありますか。その課題に対し、現在取り組んでいる(取り組もうとしている)ことはありますか。 ・宮城県  今すぐにというわけではないが、技術(手話通訳等)を持った通訳・介助員も引退を考える時期等があるため、現役の通訳・介助員のスキルアップが必要となってくる。 ・岩手県  養成講座を開いても、受講生は50代、60代が多い。若い世代は、子育てや仕事が優先なので、仕方がないのだと思う。高齢の通訳・介助者の中には、活動が難しくなったと自覚し、自ら登録を辞退する方もいる。若い盲ろう者や、通訳・介助者が活動に参加する機会が増えれば活気も出てきて良いとは思うが、掘り起こし活動をしても難しい。 ・秋田県  盲ろう者や通訳・介助員の高齢化は深刻。本人だけでなく、家族が介護を必要とするケースが増えてきた。  通訳・介助員が一向に増えず危機を感じるが、良い方策が浮かばない。 ・山形県  通訳・介助員の登録者数が昨年よりも減少した。  現時点では充分だが、今後も減少すると、通訳・介助員に負担がかかる。 ・茨城県  高齢化に伴い、通訳・介助業務の範囲なのか迷う場面が出てくる。ホームヘルパー講座の受講等、義務付けておいた方がお互いの安全を守れるように思う。 ・栃木県  施設への入居について(障害者を受け入れる施設があるかどうか)。  介護制度や利用についての情報提供。  緊急装置の利用についての困難さ。 ・群馬県  通訳・介助員を引退するという声が聞かれるようになった。  若い方を取り込むことは難しい。(仕事として成り立たない)  講習会の在り方。(曜日・時間・会場等)  講習会に関わる会員の負担。  仕事として成り立たないから、他の仕事をしながら空いている時間に行う。 ・埼玉県  自家用車を利用した送迎を実施しているが、長距離に及ぶものは担い手が少ない(以前は可能だったが、体力的な問題等で)。  自分で引き際を分かって辞退する(した)方もいるが、かなり高齢になっても「大丈夫」と、登録を継続している人もいる(見ていると、情報の面、安全面ともに心配)。  コーディネーターによる派遣調整のみならず、個人依頼ができるため、高齢の通訳・介助員が派遣に出ていることがある。 ・東京都  課題:移動とコミュニケーション以外のサポート(身体介護・生活援助・意思決定支援など)が必要な盲ろう者への対応。  取組:関係機関(市区町村・地域包括支援センター・福祉事業所など)と連携し、サポートを行っている。 ・神奈川県  盲ろう者も通訳・介助員も高齢になってきている。通訳・介助員の年齢制限はないものの、大体75歳ぐらいを目途に依頼をするかしないかを検討中。  盲ろう者自身も通訳・介助員に対してのこだわりが強いため、新人が育っていかないのが現状。このままだと担当できる通訳・介助員が、高齢化とともに依頼ができなくなり、盲ろう者にとって不便な制度になることが危惧される。 ・石川県  高齢でもお元気な通訳・介助者がおられるが、移動介助が不安になることがある(特に雪道)。本人がまだやる気がある場合、どのタイミングで辞めてもらうか迷っている。 ・新潟県  盲ろう者やその家族が介護サービスを受ける際に、盲ろう者向け派遣を利用している。  現場では、ヘルパーや訪問看護師と通訳・介助員の役割分担が曖昧になる場合がある(具体例:薬の管理・買い物前の冷蔵庫内食材の確認)。盲ろう者が受ける福祉サービスの提供元へ、通訳・介助員の役割を情報提供すると共に、連携しながら支援ができると良いと考える。 ・静岡県  盲ろう者の高齢化について:友の会の役員をしている盲ろう者は50代〜60代。友の会の交流会に参加している盲ろう者は40代〜80代。今後友の会の役員を担える盲ろう者が現れるか心配している。役員ができる盲ろう者がいなくなれば、会議に参加する盲ろう者が減る→会議の数が減る→派遣利用数が一気に減り予算が余ってしまう→通訳・介助者の活動の現場が減ってしまう、という心配がある。 通訳・介助者の高齢化について:高齢を理由に辞退を希望する通訳・介助者がいる。経験が長い通訳・介助者が辞退することは、通訳・介助者全体のスキルが落ちる事になってしまうので、経験が長い人ばかりにコーディネートするのではなく、新しい人を積極的にコーディネートしている。 ・兵庫県  養成講座の受講条件に年齢制限を設けていない。  平成25年度は70才代の受講があり修了、准登録。 ・和歌山県  盲ろう者の高齢化については、ヘルパー派遣、デイサービス、入居ができる事業所開始に向け話し合い中。通訳・介助者の高齢化は、若い方々に盲ろう者支援を広げるため、パンフレットやミニ講演などを計画中。 ・鳥取県  事業の継続性という課題を県に投げかけている。  コーディネーターの身分がその主な内容だが、この設問の内容もこの課題に含まれると思う。 ・広島県  盲ろう者の高齢化にともない、移動手段が難しくなっている。派遣依頼をしたかどうか等、管理ができなくなっている盲ろう者がいる。 ・山口県  盲ろう者の高齢化と障害の重度化により、外出が困難になった方が増えてきた。そのため、訪問活動を増やしている。いろいろな情報を伝えたり、パソコンや手芸を一緒にしたりしている。  また、通訳・介助者の高齢化も深刻であり、特に移動(階段、バスや電車の乗り降り)に不安を抱えていて、送迎が問題になっている。県としては、移動は原則公的交通機関となっているが、乗用車を利用せざるを得ないときが増えている。 ・徳島県  通訳・介助員の高齢化により、盲ろう者を安全に移動介助する体力がある人材の不足を感じる。  経験のある通訳・介助員と、若い新人の通訳・介助員にペアで活動してもらう場を作り、若い人を育てたい。 ・高知県  盲ろう者の中には、情報が少ない方もいるので、地域での交流をもつ時に通訳・介助を利用していくようにする。 ・長崎県  親兄弟の高齢化により施設入所などの相談が増えている。  盲ろう者向けグループホームや作業所の紹介。  地域生活支援事業、盲ろう者向け通訳・介助員養成講座(26回×2か所)を実施。 ・大分県  行政、サークル(手話・要約)介護施設の方々にも養成講座を受講してもらうように呼びかけている。 ・宮崎県  未着手。 ・鹿児島県  移動時に通常の視覚障害者の手引きの基本姿勢ではバランスを崩してしまうので、当事者、家族と相談の上、誘導方法を工夫している。 設問5 盲ろう者や通訳・介助員のメンタルサポート(精神的な問題)についてかかえている課題はありますか。その課題に対し、現在取り組んでいる(取り組もうとしている)ことはありますか。 ・宮城県  どの程度のメンタルサポートが必要か不明なことが問題だと感じる。アンケート等で現在抱えている問題を聞く予定である。 ・岩手県  盲ろう者については、本人と家族の話を定期的に聞いている。“盲ろう”という障がいからくるストレス性の精神障がいを抱え、精神科に通っている盲ろう者もいる。  通訳・介助者については、通訳・介助者だけの集まりを持ち、感じていることや疑問に思うことなど話し合っている。レベルアップ講座では、専門家(県立大学助教)を講師に、メンタルヘルスについて講義していただいた。 ・山形県  特に相談等はしていない。 ・茨城県  今のところないが、まずは健康管理として頸肩腕健診を実施できるよう取り組んでいきたい。 ・栃木県  ペアの通訳・介助間でのトラブルが多いが、報告書に記載した内容は電話で相談を受けたりしている。盲ろう者宅へ訪問して相談に乗っている。 ・群馬県  聴覚障害者への通訳(健常者と聴覚障害者が組んだ場合)全体通訳が付くような大きな会議等であればよいが、それが出来ない場合は健常者の負担が大きい。  聴覚障害者の事を取り上げても解決にはほど遠いと思う。他県がほとんど受け入れていない中で、議論は出来ない。 ・埼玉県  今のところ、課題はないと考えるが、いつか出てくるという心配はある。 ・東京都  課題:統合失調症や認知症による幻覚・幻聴がある盲ろう者へのサポート、及び、そのような盲ろう者の通訳・介助を担当する通訳・介助者へのサポート。  取組:適切なサポートができるよう通訳・介助者に情報提供等の支援をしている(例:事前に症状に応じた対応の仕方など、多くの情報を伝え、事後には電話やメールなどで当日の様子や通訳・介助者の感じたことを聞き、助言するなど)。 ・神奈川県  盲ろう者、通訳・介助員双方とも相性の問題があり、そういった部分も考慮して派遣をしている。 ・新潟県  精神的に不安定な盲ろう者への通訳・介助を行う場合の通訳・介助員をサポートすることが課題。  一人で問題を抱え込まないように、派遣事務局への連絡や相談を促している。 ・静岡県  担当職員一人では、日々の派遣事業・養成事業・生活訓練事業の業務があり、メンタルサポートまで十分手が回っていかない。その都度、報告書で気になった事があれば、対応している程度。また、相談が、前コーディネーターにいく事もあるため、前コーディネーターと話し合いをし、現任研修会で事例として取りあげたり、通訳・介助者の会の研修会で事例として話し合っている。  盲ろう者と通訳・介助者で相性が悪い場合はコーディネートをせず、通訳・介助者同士で相性が悪い場合は、顔合わせしないようコーディネートをしている。 ・兵庫県  盲ろう相談員(平成22年度から)と連携。 ・ 和歌山県  カウンセラーや、大学の心理学教授のワークショップを開いたが、出席してほしい方々は欠席だった。  予算があればカウンセリングを始めたいと思っている。 ・鳥取県  今のところ課題として顕在化していないが、将来のために、現任研修の中でスーパービジョン等の基礎的研修を取り入れている。 ・広島県  盲ろう者、通訳・介助員とも心療内科、あるいは精神科を受診しているケースがある。なかなかデリケートな部分なので取り組めていない。 ・山口県  認知症による家族の不安と障害の重度化による将来の不安という問題が出ている。 ・長崎県  問題や課題が発生した場合、聴覚障害者情報センター所長が相談員兼務のため、その都度、相談しながら専門機関に繋ぎ対応している。 ・鹿児島県  障害の進行、対人関係等の悩みをかかえている方に、他事業で行っている心理カウンセラーによる研修会や相談会の案内をしている。 設問6 対人援助(相談業務)についてかかえている課題はありますか。その課題に対し、現在取り組んでいる(取り組もうとしている)ことはありますか。 ・宮城県  通訳・介助員にどの程度の相談業務を求められるのだろうか。 ・岩手県  盲ろう者役員が、本会員の盲ろう者宅を訪問し、話をして(聞いて)くるといった相談活動を、友の会独自でやっている(相談事業)。それとは別に、盲ろう宅に通訳・介助者が訪問し、コミュニケーションをとり、情報を提供してくる訪問相談活動も実施している。 ・山形県  登録通訳者、奉仕員の合同研修会をしている(手話通訳者・奉仕員、要約筆記者・奉仕員、盲ろう者向け通訳・介助員)。 ・茨城県  盲ろう者の心理状況等、推し量れる通訳・介助員であることの必要性を感じる。 ・栃木県  今年度より相談業務が予算化されたが、相談員としての役割が判断しづらい(通訳・介助員と兼務の為、仕事の分担が分かりづらい)。 ・群馬県  男女関係。 ・埼玉県  今はないが、派遣事業が始まって10年になり、盲ろう者も通訳・介助員も色々経験してきているので、これからは出てくると思っている。 ・東京都  課題:多様な相談に対応できるようなスキルアップ。  取組:対人援助についての職場内研修の開催や、外部の研修会に参加させるなど。 ・神奈川県  盲ろう者、通訳・介助員からの相談は出来る限り受けてはいる。場合によっては、直接会って相談を受けることもある。特に通訳・介助員は団体がないため、相談する場がない。問題を抱えながら仕事をしていくのは精神的にきついので、電話をするついでに最近の様子を聞くこともある。  また、派遣事業以外での、ゆりの会会員の盲ろう者同士の問題等である場合は、盲ろう者団体にお任せしている。 ・新潟県  盲ろう者からのクレームや、通訳・介助員から様々な悩みの相談を受ける。盲ろう者は、通訳・介助員に不満があっても、直接言えない場合が多い。盲ろう者の了解が得られれば、不満の内容を通訳・介助員に説明し、その後の活動に活かしてもらっている。しかし、盲ろう者は、「通訳・介助員には、絶対言わないで」と言うことが多い。通訳・介助員からも、盲ろう者のマナーについて、相談を受ける事も多い。  通訳・介助員の現任研修や、盲ろう者向けの研修(説明)が重要だと考える。相談に関しては、派遣のルールに基づき説明を行い、偏った見方・考え方にならないよう、配慮している。  相談業務に関するコーディネーター研修が必要と考える。 ・静岡県  コーディネーター一人では、相談に対応しきれないため、前コーディネーターに相談しアドバイスをもらっている。  盲ろう者や通訳・介助者の状況を知るため、コーディネーターが、出張や通訳・介助者として現場に行き、また交流会にもできるだけ参加するようにしている。 ・兵庫県  盲ろう相談員(平成22年度から)と連携。 ・和歌山県  通訳・介助者同士が争いにならないように、また、盲ろうの方に、息の合った通訳・介助者を派遣できるように心がけている。 ・鳥取県  今のところ課題はないが、盲ろう者の発見活動に取り組む条件として、面接の技法や支援のプロセスなどを現任研修に取り入れている。 ・広島県  コーディネーターの立場でなかなか相談業務まではできない面がある。ピアカウンセリング等を利用したり、盲ろう者から、あるいは、通訳・介助員からの派遣に関わる相談には応じている状況。 ・山口県  直接話せば、盲ろう者からのニーズも聞きやすいとは思うが、仕事をしながらのコーディネーター業務でもあり、東西に長い山口県内に暮らす盲ろう者を訪問する時間が足りない。 ・高知県  もっと情報を提供していかなければならない当事者が居る。その人と関わっている人達(施設等)とも話し合いを進めていく必要がある。 ・宮崎県  未着手。 設問7 事務処理について抱えている課題はありますか。その課題に対し、現在取り組んでいる(取り組もうとしている)ことはありますか。 ・宮城県  書類の提出が期日を過ぎてしまう方がいる。前もって連絡することもあるが、催促しづらい面もある。 ・岩手県  会計などは、専門に会計担当の職員がいる。3ヶ月に一度、監事2名による会計監査をしている。社会福祉法人会計に基づき、毎月、一般会計と委託事業会計の2種類の会計をしている。 ・山形県  予算について、依頼が少しずつ増えてきているので心配。 ・茨城県  派遣要綱が各県によって異なると思うが、盲ろう者が通訳・介助員と会ってからの交通費等、事業費負担で行えるとよいと思う。 ・栃木県  量が多すぎる(派遣申込み、派遣依頼(通介者へ)、派遣決定、チケットの処理など)。簡素化しようとしてもエクセルに入力する量は減らない。 ・群馬県  今年度より8時間勤務となり大変である(二人で良いと言われてはいるが、急だったので準備ができていなかった)。7時間でもよいか県と相談する予定。 ・埼玉県  現在、コーディネート業務と並行して経理・集計業務を一人で担っている。可能な限り、パソコンやメールを使って作業を簡単にする努力をしている。県内の手話通訳派遣を担っている専任手話通訳者などから、独自に事務的な業務についての情報交換などをしている。 ・東京都  課題:チケット制のため、盲ろう者の総利用時間数を東京都との契約時間数に合わせることに苦労している。  取組:今年度から、チケットの束を月単位(12冊)に細分化して配布し、本人がどの程度使ったのか直感的に分かるようにした。 ・神奈川県  事務処理に関しては、アクセスというソフトを使用し、依頼書や決定通知書、謝金の管理まで行っているため、かなり合理化されていると思われる。 ・新潟県  派遣件数の増加に伴い、事務処理に要する業務量が増えている。決定連絡にFAXを活用しているが、送信済み、相手側の確認が不確かな場合がある。  他の都道府県の決定連絡の方式を知りたい。  利用券方式の廃止を検討中。 ・静岡県  報告書をすぐに提出しない通訳・介助者がいる。しつこく催促して対応している。 ・兵庫県  平成19年から会計ソフトを導入。平成24年10月から派遣ソフト(手話通訳・要約筆記・盲ろう)を導入。派遣、会計管理を行っている。 ・和歌山県  今年まではなんとかやってきたが、来年(平成26年)から和歌山市でも養成・派遣事業が始まると、事務にかかる時間が、足りなくなる。 ・鳥取県  事務量が多い。個人宅では限界がある。  設問4と関連させて、県に投げかけている。 ・広島県  派遣調整だけでなく、利用時間管理(年間240時間の上限あり)、報告書チェック、謝金・交通費計算、支払いまである。振込みは2年前より友の会事務局員に頼んでいる。  登録者の名簿確認、保険加入等、事務処理の量が多すぎる。 ・山口県  ほとんどコーディネーター一人が担っている。  年末に源泉徴収票を通訳・介助者に送っているが、要約筆記や手話通訳派遣では、ほとんど出していないとのことだった。他の県ではどうされているのかお聞きしたい。 ・高知県  派遣報告が事後報告になる事がある。  当事者(家族)から通訳・介助員の方に依頼→決まった通訳・介助員に偏っている。内容によって、他の通訳介助員にも行ってもらうようにしていきたい。(新しく登録された通訳・介助員には実習として行ってもらう様な方法も考えている)。 ・宮崎県  予算が少ないため、いつオーバーするのか不安だが、どうすることもできない。→予算を増やしてもらうように働きかける。 設問8 通訳・介助員の資格化について考えていることはありますか。 ・宮城県  通訳方法が様々なため、全てを習得するのは困難である。今の養成講座では無理だと思う。 ・岩手県  今まで通り、養成講座を受講した人を通訳・介助者に認定するだけで良いと思う。派遣の際に、内容と見合った技術を持っている登録者に依頼している。 ・秋田県  通訳・介助員の成り手がいないので、資格化について考える余地はない。 ・山形県  資格化すれば、質の向上にもつながり、より良くなると思うが、まだ深くは考えていない。 ・茨城県  一定の知識、技術は必須と思う。短い養成時間でできることは限られているため、基礎資格として手話通訳者、視覚障害者ガイドヘルパー等あると良いのではないかと思う。 ・栃木県  スキルの問題。 ・群馬県  資格化した場合はほとんどいなくなると思う(考えていない)。 ・埼玉県  「専門性の高い情報保障」という観点でいえば、資格化という方法も有り得ると考えるが、「資格」となれば試験が必須になると思う。高齢化している自分の地域の現任者達が、前向きにとらえて試験に臨むか?と考えると、裏目に出る可能性があるので、声高に「資格化を!」とは言い難い。通訳・介助員を辞めるきっかけになり得る。 ・東京都  障害程度や発症時期、コミュニケーション方法など、多種多様な盲ろう者がおり、それぞれでニーズも大きく異なるため、資格化は困難と思われる。  それよりも、盲ろう者のニーズをしっかりと把握し、通訳・介助者の技量や盲ろう者との相性を見極め、的確なコーディネートができるコーディネーターの育成に力を入れるのが良いのではと考える。 ・神奈川県  スキルが均等ではなく、高い技術を持っている通訳・介助員が少ない。資格化は必要かと思うが、コミュニケーション方法が多く、統一できるものが少ない。誘導の方法やコミュニケーション方法も個別性があるため、資格化するために実施する試験方法、問題作成、判定基準が大きな課題になるかと思う。 ・静岡県  現在は考えていない。 ・兵庫県  平成11年度から平成21年度まで認定試験実施。現在は休止中。 ・和歌山県  資格は必要だと思う。しかし、資格がなくても、気の合った盲ろう者の通訳・介助ができるようなシステムが良いと思う。 ・鳥取県  ポイント制を試行している。 ・島根県  資格化によって活動できる人数が減るのではないか?盲ろう者はどのように考えているのか知りたい。 ・山口県  資格化とは、手話通訳士のようにということなのか?  特に、考えてはいない。  養成講習会修了者に登録証を出す以外、資質向上のため現任研修会をするだけで、県単位でできることではないと思う。 ・宮崎県  一定レベル、または、よりレベルの高い通訳・介助員が必要で資格化するのはよいと思うが、現状は、通訳・介助員の人員が不足している。まずは、人員増が先のようにも思う。 設問9 コーディネーターのネットワーク化について考えていることはありますか。 ・宮城県  それぞれ、連絡がとりあえる環境は必要だと思う。 ・岩手県  活動していて、困った事や、聞きたい事などは同じ立場の近隣県のコーディネーターに相談しているが、もっと全国的な組織として情報が共有できれば、と思う事もある。 ・茨城県  盲ろう者への対人援助、通訳・介助員の質の向上など、ML等を使って、なんらかの形で共有できるものがあると良い。 ・栃木県  ある。 ・群馬県  考えていない(今でさえ忙しいのにこれ以上忙しくなることは避けたい)。  相談できる方と直接連絡してアドバイスをもらうか、県の担当者に相談している。 ・埼玉県  地域で、一人で問題を抱えている人も多いと思う。自分自身もどこに相談すればよいのか判断に困る場面が多い。情報の共有ができると良い。1(コーディネーター)対「利用登録者」、1対「通訳・介助員」ではなく、1対「地域全体」とも考えることができるため、「個」ではなく「線」や「面」として立ち向かえる体制作りができれ良いと思う。 ・東京都  ネットワークを作り、それを維持・管理するためには多大な労力が必要になるため、継続が困難と思われる。それよりも、現状では、このコーディネーター連絡会で個人的に繋がりを作り、個々で連絡を取り合う程度で十分と考える。 ・神奈川県  コーディネーターが一人で担当している地域も多く、この業務は判断に迷うことも多い。  気軽に情報交換ができる場があると参考にできるし、同じような事例があれば、参考にできるので悩みを少しは解消できるのかと思う。 ・兵庫県  メーリングリストがあれば良いと思う。 ・和歌山県  コーディネーター間の情報交換は必要だと思う。 ・鳥取県  盲ろう者が全国的に活動するために必要なことの一つと思う。具体的にはそこまで考える余裕がない。 ・広島県  コーディネーターが一人の所も多いので、悩み等をすぐに話せる場がほしい。  ネットワーク化することで、より盲ろう関係の事業も発展するのではないか。 ・山口県  県外派遣を依頼する時や情報交換の場としても必要だと思う。 ・徳島県  他県から訪れた盲ろう者に対して、徳島の通訳・介助員を派遣した実績がある。県外のコーディネーターと連携し、ネットワーク化を進めたい。 ・宮崎県  今現在は、わからないという感じ。 設問10 その他、ご意見がありましたらご自由にお書きください。 ・山形県  通訳・介助員の高齢化だけでなく、派遣利用者(盲ろう者)にも高齢者がいる。物忘れなどがあり、認知症のような症状があるため、通訳・介助なのか介護なのか線引きが分からない。  また、家族に対しても、どこまで踏み込んでよいのか分からない。 ・群馬県  来年度の養成講習における受講生の募集(集まるかが心配。  聴覚障害者の通訳・介助について(何回も言うが)  友の会事務局の負担(ボランティアで行うには仕事が多すぎる)。  パートに出るくらいの支払ができるようにしなければ、友の会の運営は難しくなるだろう(成り手がいない)。 ・埼玉県  全国コーディネーター連絡会は、情報共有ができる唯一の場なので、有意義なものであればと、大変期待している。 ・石川県  石川では車での送迎を行っているが、最近「マイカー規程」を作ったらどうかという動きもある。そのような規程を作っている県があったら、内容をお聞きしたい。 ・新潟県  養成講座のモデル研修について  コーディネート業務を、長期間休むことが難しい。一部の日程のみ参加することも認めていただけると有り難い。  コーディネーターが複数勤務している場合の、役割分担や配慮すべき点を知りたい。  県と指定都市が派遣事業を担う場合のメリット、デメリット、役割分担などを知りたい。 ・和歌山県  住んでいる都道府県によって、盲ろう者が受けられる通訳・介助の時間や、通訳・介助者の謝金、事務費、コーディネーター費等がバラバラなのはおかしいと思う。全国統一になるよう、運動していかなければならないと思う。 ・島根県  友の会がコーディネートできるように要望しているが、人件費や事務費など金銭面の予算化ができず、県から承認されない。 ・山口県  県外派遣の時、県によっては、自県の登録が必要な所がある。山口県でも、以前は山口県に登録していただいて派遣依頼や謝金の送金をしていた。しかし、1回きりということも多く、また、その後、現任研修会の案内をしても参加は難しいのが現状。そのため、山口県の登録証を作らなくても、すでに持っているご自分の登録証のコピーで良いということになった。  他県に登録するために写真を撮ったりと事務処理が煩雑なため、ネットワーク化により、各県での登録証を持っている方には、それを利用して県外派遣がスムーズにできるようにしてほしいと思う。 ・徳島県  コーディネーターとしての身分が保障され、仕事に見合った手当てが受けられる必要がある。そうしてこそ、盲ろう者や通訳・介助員のメンタルサポート、対人援助事務処理を進めることができると思う。 ・高知県  当事者やその家族等の方々に「盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業」があることを、もっと知ってもらうようにする為に、良い方法があれば(当事者が社会参加する為にも、この事業がある事を知って利用してもらう。家族にもっとわかりやすい手段があれば)。 ・宮崎県  コーディネートや事務処理の基本的なところから迷うことがあるので、マニュアル(参考書、テキスト、Q&A)のようなものがあればと思う。作成をしていきたい。 6.事後アンケート集計結果 配布…39名 回答…31名 回収率…79.5% (1)「コーディネーターとしての経験年数は?」 現在コーディネーターではない 6名 1年未満 3名 1〜3年 5名 3年以上 17名 (2)会議の内容について 「災害時での対応の内容についてどうでしたか」 参考になった 27名 普通 4名 参考にならなかった 0名 「参考になった」の具体的な感想 ・ 災害に対してほとんど考えていなかったので、よいきっかけとなった。 ・ 現場での生の声、経験談、課題等を聞けたことはとても良かった。コーディネーターとして何が出来るかを確認できたように思う。 ・ 実際に当事者になった場合は大変だと思う。よく対応出来たと感心しています。地域の連携が必要。 ・ 生々しい話を聞いて、対応を進める意欲が強められた。具体的内容までは難しいが、考えていくための手がかりが少しつかめたと思う。 ・ 友の会だけではなく公的機関との連携も必要だと感じた。 ・ 関係者のみならず、行政担当者や地域の皆さんにも理解していただけるよう、様々な場所でビデオ放映ができたら良いと思った。 「普通」の具体的な感想 ・ 聴覚障害者に対する情報保障に関する支援と比較して、盲ろう者に対するものとの差を感じた。 ・ コーディネーターとしての動き方が参考になった一方、他県の防災に対する意識が低いように感じた。 「調査報告、情報交換・ディスカッション1」 参考になった 23名 普通 6名 参考にならなかった 2名 「参考になった」の具体的な感想 ・ カリキュラムが提示されて、今後の養成事業の進め方などにも関係してくる部分なので、さらに議論が必要だと思う。 ・ 指定都市、中核市で徐々に派遣・養成が始まっていることを実感した。 ・ 総合支援法と盲ろう者福祉との関わりが分かり良かった。 ・ 問題点を出しても、なかなか解決というところまで繋がらないのが正直なところだが、同じ問題を抱えているという点で共感し、安心する部分はある。 ・ 地域に戻り、再考したい内容が多くあった。 ・ 権利条約の批准に向けての国内制度の動向という説明がよく分かった。実態調査の報告書を待ちたい。 「普通」の具体的な感想 ・資料どおりの報告で時間が長かったので、ディスカッションの時間に回してほしかった。 「参考にならなかった」の具体的な感想 ・調査報告の時間が長すぎだと思った。資料があるし、それぞれ養成については勉強済みなので、あえての説明は必要ないと思った。その分、ディスカッションの時間を増やしてほしかった。 「情報交換・ディスカッション2」 参考になった 22名 普通 9名 参考にならなかった 0名 「参考になった」の具体的な感想 ・ 盲ろう者が使える様々なサービスを利用すること、関係者が集まって話し合うケア会議が必要なことを実感できた。 ・ コーディネーター歴の浅い者が先輩の話を聞くところでは、いろいろなやり方の幅が広げられるので良かったと思う。 ・ 地域格差、コーディネーターの技量、身分等もバラツキがあるため、少しでも改善できればと切実に思った。 ・ 他のサービス、団体等とも連携していかなければならないと感じた。 ・ 通訳・介助員や盲ろう者の高齢化についての話を聞いたとき、新しい人材をもっと積極的に派遣しようという意欲に繋がった。 ・ よりよい派遣をしていくため、今回の連絡会で話し合われたことを今後に活かしたい。 「普通」の具体的な感想 ・ 各県の意見を聞くだけでなく、課題をどう解決していくのか、結論は出なくてももっと議論を深めてほしい。 ・ 盲ろう者の高齢化は“対応を考える”課題。通訳・介助員の高齢化は“養成・研修”の課題。盲ろう者のメンタルサポートは、コーディネーターが相談機関と繋がる課題。盲ろう相談員を設置する課題。通訳・介助員のメンタルサポートについては話し合えていない。全体として議論の深まりがない。 ・ 現場での問題点など当てはまるものが多く参考になった。時間をもっと取ってほしい。 「情報交換・ディスカッション3」 参考になった 20名 普通 6名 参考にならなかった 3名 無回答有り 「参考になった」の具体的な感想 ・ 課題がたくさんあり、話し合う時間がなくて残念だった。毎年ぜひ開催してほしい。 ・ 要綱について、よりよいものにしていくための良い情報が得られた。 ・ アンケートや要綱の内容を基に話しができたのは良かった。 ・ モデル要綱のイメージは、よりよい派遣を考えるためのよい材料になると思った。 「普通」の具体的な感想 ・ 要綱について、内容が漠然としていて難しいと思った。 ・ 要綱というものは決まったものも必要だが、あいまいな部分も必要であるという部分が見えた。直接盲ろう者や通訳・介助員に関することなので、よく考えていきたい内容だと思った。 「参考にならなかった」の具体的な感想 ・司会が論点を整理しながらフロアへ返せば、さらに議論が深まったと思う。 (3)会場について 良かった 24名 普通 7名 良くなかった 0名 会場についての感想 ・ 駅の近くの会場で助かった。 ・ とても分かりやすい場所で良かった。 (4)本会議の今後の企画・運営について @今後取り入れて欲しいテーマ ・ 盲ろう者の掘り起こしについて ・ 新人の通訳・介助員がスキルアップするための取り組み ・ 「ふうわ」の方による話 ・ 通訳・介助員の倫理綱領(ぜひ作る方向で話し合いたい、守秘義務や報告の義務等) ・ 事務的な部分 ・ 派遣時間のカウントの方法について ・ コーディネーターの身分保障について(負担が重いのに給料が少なく、ボランティア性が強いため) ・ コーディネーターのあり方 ・ 派遣要綱(モデル要綱)について ・ 養成講座の進め方 ・ 対人援助技術 ・ 盲ろう者と選挙 ・ 心のケア(1名体制のコーディネーターが多いため) ・ 「盲ろう者相談員」の取り組み(コーディネーターが相談業務も兼ねている方がいるため) ・ コーディネーターのネットワーク化 ・ 派遣業務報告書の内容について(他県ではどうか) ・ 業務報告書に挙がってくる内容を養成や現任等研修にいかに反映させるか ・ 障害によるストレス、精神的な問題 ・ 盲ろう者が自己選択・決定できるような支援のあり方 ・全体会では発言数も少ないため、近隣の県同士でグループをつくり、グループ討論会にしてほしい。 ・ 意見交換だけでなく、コーディネーターとしての資質を高めるための学習もしてほしい。 ・ 盲ろう者、通訳・介助員、コーディネーターを含めたサポートのあり方 ・ 盲ろう者が広域を移動する場合の通訳・介助派遣のあり方 A今後会議に招聘すると良いと思われる講師 ・ 森敦史さんのお母様 ・ 人としての関わりについて話せる方 ・ 盲ろう当事者(盲ベース、ろうベースそれぞれの立場から) ・ メンタルサポートの講師 ・ 盲ろう者とは別の分野で通訳に関するコーディネーターの仕事をしている方(判断基準や倫理等の話をしてほしい) (5)その他 ・各々の疑問を解消したくても、派遣事業の実施主体やコーディネーターの身分等のバラつきが多すぎて、解決しがたいが、様々な取り組み方が参考になる。 ・ コーディネーターの立場と友の会事務局(長、員)としての立場の意見なのかが、よく分からないところがあった。 ・ 防災関連の話題は、やはり実際に体験した方の話が一番参考になると思った。 ・ コーディネーター間の情報交換や学習の場だと思っているので、込み入った話も出てきているところで盲ろう当事者が同席しているのは、正直なところ違和感がある。記録や資料に関しても、全国盲ろう者協会の他の事業とは別の扱いにしていただきたい(誰でも見ることができるような状況には抵抗がある)。 ・ 皆、悩みながらコーディネートをしているのだと感じた。 ・ 経験の長い人達は繋がりができて、互いに話ができていたが、初参加の人とも関われる機会があるとよい。 ・ テーマをもう少し絞って、さらに深く話し合えればよいと思った。 ・ 会議だけでなく、休憩中にも有意義な情報交換ができた。ここで得たことを地元に持ち帰りたい。来年もぜひ参加したい。 ・ ディスカッションの場では、解決、改善まではなかなかできないと感じた。言えない情報も多く、コーディネーターが抱えなければならない面も多く、そういう部分でなかなか積極的に発言できないということなのかと思った。 ・ コーディネーター連絡会なので、コーディネーターの立場または近い立場の方の意見が適切だと思うが、異なる場合があったり、友の会活動の話があったりと、焦点がぼやけることがあった。 ・ 参加者全員がコーディネーターではないということもあり、話が多岐に渡り、まとまっていない感じがした。 ・ 開催を継続させてほしい。 7.追跡アンケート集計結果 配布…39名 回答…28名 回収率…71.8% 設問1: 会議の内容全般について、ご満足いただけましたか。 とても満足 3名 満足 18名 やや不満足 7名 不満足 0名 計 28名 設問2: (1で「とても満足」「満足」を選んだ方)どのような点が良かったですか。 役立つ情報が得られた 15名 日頃の生活や活動に役立った 8名 スキルアップにつながった 4名 他の参加者との交流・情報交換が図られた 19名 抱えていた問題・不安の解消につながった 5名 その他 2名 計 53名 ※複数回答あり その他良かった点(主なもの) ・ 自分のコーディネートを見直すきっかけとなった。 ・ 経験者の意見や考えを聞けるので勉強になる。 ・ 関係団体(社会資源)との連携の必要性を確認することができた。 ・ 大震災の被災県コーディネーターの報告から、具体的な支援の方法や課題について分かった。 ・ 全国の活動内容や問題点等について聞けて良かった。 ・ 利用者の登録条件が各都道府県で違いがあることが分かった。 ・ 地域格差があること、問題等に対する対応方法等について理解できた。 ・ 立場を同じくする者同士の仲間意識が強められた。 設問3: (1で「やや不満足」「不満足」を選んだ方)どのような点が良くなかったですか。 役立つ情報が得られなかった 5名 日頃の生活や活動の参考にならなかった 1名 スキルアップにつながらなかった 0名 他の参加者との交流・情報交換ができなかった 0名 抱えていた問題・不安の解消につながらなかった 7名 その他 1名 計 14名 ※複数回答あり その他良くなかった点 ・ 時間が許すのであれば、グループ討議があっても良かったと思った(意見が出しやすかったのでは)。 ・ 期待が大きすぎたせいなのか物足りない気がした。 設問4: 地域に戻られてから、コーディネーター連絡会で話し合われたことが役立っていますか。 とても役立っている 3名 役立っている 19名 あまり役立っていない 6名 全く役立っていない 0名 計 28名 設問5:(4で「とても役立っている」「役立っている」を選んだ方)どのように役立てていますか。具体的にお書きください。 ・ モデル要綱、メンタルヘルスの方向性を確認して、少しずつ取り入れている。 ・ 地元の会議の際、参考になっている。 ・ 要綱をよりきちんと理解してもらうよう説明し、運用の統一を図った。 ・ 関係機関に、より強く連携の重要性を話すことができた。 ・ すぐに県に対し、要綱の改定を求めた。 ・ 県との交渉の際に、他県の実態を例にとって話せている。 ・ 現任研修や養成研修で、今回の会議で出されたことについて取り入れることにした。 ・ 友の会等地域団体での学習に役立てている。 ・ 独居の盲ろう者に対し、今後の支援について、近所への働きかけや当事者同士の交流等を通して、更に深めていこうとしている。 ・ 地域間格差はあるものの、現状を知ることで学びとなっている。 ・ 友の会メンバーに集まりの話をする事で、活動意欲が高まり、やる気になっている。 設問6: (4で「あまり役立っていない」「全く役立っていない」を選んだ方)具体的な理由をお書きください。 ・ 消化不良のまま終わることになるので、議題をもう少し絞った方が良いと思った。 ・ 勉強にはなったが、地元に持ち帰り活かすまでには至っていない。 ・ 地域での実情に合わせた運営の仕方があるとは思うが、差があり過ぎて、どこまで自県でやっていけるのか迷走するところ。 ・ まだコーディネーターの見習いのため、実際には役立てるきっかけがないが、今後活動する時にはぜひ役立てたい。 ・ 派遣コーディネートの様々な問題についての協議が、十分になされなかったように思う。 ----- 8.参考資料 盲ろう者に関する実態調査及び通訳・介助員の養成カリキュラムの内容に関する調査について 全国盲ろう者協会事務局長 山下正知 調査の背景 1盲ろう者に関する制度的な枠組みの動向 ・障害者基本法の一部改正 ・障害者総合支援法の施行 ・障害者差別解消法の成立 2盲ろう者福祉に関する課題 ・通訳・介助員養成カリキュラムの標準化 ・今後の盲ろう者福祉施策のあり方の検討 障害者基本法の一部改正 平成23年7月に、障害者基本法が一部改正され、障害者は、意思疎通のための手段についての選択の機会が確保され、情報の取得や利用のための手段についての選択の機会拡大が図られるなどの規定が盛り込まれた。 (参考) この改正で、新たに内閣府に設置された「障害者政策委員会」には、現在、2名の盲ろう者が参加している。 障害者総合支援法の施行 平成25年4月から、障害者総合支援法が施行され、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業と養成事業が都道府県(指定都市・中核市を含む)の必須事業とされた。 また、法施行後3年(平成28年4月)を目途として、意思疎通を図ることに支障のある障害者等に対する支援の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずることが規定された。 障害者差別解消法の成立 平成25年6月に、障害者差別解消法が成立した。(平成28年4月から施行、施行後3年を目途に必要な見直しを検討) 障害を理由とする差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の不提供の禁止などを定めた本法の施行により、盲ろう者を含む視覚・聴覚障害者の情報・コミュニ・ケーション保障(アクセシビリティの確保)などが進むことが期待されている。 障害者権利条約の批准の動き 2006年(平成18年)12月に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」については、関連する国内法の整備が遅れ、批准がされないままとなっていたが、障害者基本法の一部改正をはじめとする国内法の整備が行われたことを踏まえて、本年10月、国会に上程され、批准の運びとなった。 ※批准、公布され、国内法としての効力を有する条約において「盲聾(ろう)者」という用語が初めて公式に用いられることとなる。 盲ろう者福祉に関する課題 (養成研修カリキュラムの標準化) ・障害者総合支援法において、盲ろう者向け通訳・介助員養成事業が都道府県(指定都市、中核市を含む)の必須事業とされたことから、これまで各部道府県でバラバラに実施されていた養成研修の内容を底上げし、カリキュラムの標準化を図ることが必要となった。 (3年後の見直しに向けた施策のあり方の検討) 障害者総合支援法においては、法施行後3年(平成28年4月)を目途として、盲ろう者等に対する支援のあり方について検討し、所要の措置を講ずることとされている。このため、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の一層の充実やその他の福祉施策の利用拡大、また、それらと密接に関連する障害支援区分の改善などに向けて、早急に検討を進め、国や地方公共団体、他の障害者団体などとも十分に連携して、制度の再構築を進めていく必要がある。 総合支援法に関連するその他の問題 (大都市特例の導入) 障害者総合支援法においては、盲ろう者向け通訳・介助員派遣及び養成事業等が必須事業化されるとともに、これら事業の実施主体が指定都市及び中核市に拡大された。 (意思疎通支援事業モデル要綱の作成) 障害者総合支援法の施行に伴い、手話通訳者及び要約筆記者の派遣事業に関し、都道府県及び市町村のモデル要綱が作成された。 盲ろう者に関する実態調査 ・身体障害者手帳の交付状況 ・目と耳の両方に障害がある方の生活状況 ・盲ろう者地域団体の活動状況 ※上記の調査は、全国盲ろう者'協会が厚生労働省の平成24年度障害者総合福祉推進事業補助金を受けて実施 身体障害者手帳の交付状況 ・視覚と聴覚の両方の障害の身体障害者手帳を交付されている者を対象 ・47都道府県、20指定都市、41中核市の障害福祉主管課に依頼(回収率98.1%) ・視覚と聴覚の身体手帳所持者13,952人 ・未回収の自治体も含めた推計数14,329人 ・盲ろう者の手帳交付率人ロ10万人対11.3人 ※手帳交付率(人ロ10万人対)は、都道府県間のバラツキが大きく、最高35.3人、最低4.7人 ・老年人ロ(65歳以上) 77.4%、生産年齢人ロ(15歳〜65歳) 18.1% ・男性41.80/o、女性57.0% ・総合障害等級1級 49.5%、2級 25.6% ・視覚1級一聴覚2級 7.2% ・視覚2級一聴覚2級 7.2% ※平成24年度における通訳・介助員派遣事業 登録者940人(推計盲ろう者数の6.6%) 目と耳の両方に障害がある方の生活状況 .身体障害者手帳の交付状況の調査で把握した視覚と聴覚の両方の障害の手帳交付者で、調査票の配布について都道府県、指定都市、中核市の協力が得られた12,813人を対象 ・回答数 2,879通(回収率22.4%) ・有効回答 2,744通(有効回答率21.4%) .障害の状況 全盲難聴 41.2%  弱視難聴 26.3%  全盲ろう 15.9%  弱視ろう 7.7%  無回答 8.9% ・最も円滑な発信コミュニケーション方法 音声 65.4%  文字(筆談、手書き文字、空書き) 9.0%  手話 7.2% ・最も円滑な受信コミュニケーション方法 音声(聴覚) 59.5% 筆記(筆談) 9.4%  手書き文字 4.8%  弱視手話 3.9% ・会話頻度 毎日 50.4%  週に3〜4日程度 11.5%  週に1〜2日程度 10.3% ・単独移動能力 自宅内の移動はできる 37.0% 自宅周辺の歩行はできる 15.9% ・外出頻度 週に1〜2日程度 20.4% 週に3〜4日程度 16.4% 月に1〜2日程度 14.6% ・福祉サービスの利用 利用している 49.1% 利用していない 47.4% ・日中の過ごし方 家庭内 67.7% 施設内 16.7% 家事育児介護 11.6% 介護保険通所サービス 11.8% 障害者通所サービス 7.1% ※就労(正職員) 2.1%、就労(正職員以外) 2.2% 盲ろう者地域団体の活動状況 ・49箇所の盲ろう者地域団体を対象 ・48箇所から回答(回収率98.0%) ・法人格を有する団体18.8% .専用の事務所を有する団体43.8% .盲ろう者の会員数 10人未満33.3% 10〜19人25.Oo/o ・活動内容 交流会を実施 97.8% 機関紙を発行 86.7% 学習会を実施 73.3% 陳情を実施 64.4% 盲ろう者通訳・介助員の養成カリキュラムの内容に関する調査 ・盲ろう者向け通訳・介助員養成事業 ・盲ろう者向け通訳・介助員の状況 .通訳・介助についてのニーズ ※上記の調査は、全国盲ろう者協会が、厚生労 働省の平成24年度障害者総合福祉推進事業 補助金を受けて実施 盲ろう者向け通訳・介助員養成事業 ・都道府県障害福祉主管課47箇所を対象 ・44箇所から回答(回収率93.60/o) ・平成23年度に養成講習会を実施93.2% ・委託先 盲ろう者団体40.0%聴覚障害団体20.0% 身体障害者団体17.5%その他17.5% ※自治体の直轄で実施1箇所 ・区分・コース(初級、中級、手話コース等) あり 14.6% なし 85.4% ・区分・コースのない自治体の平均研修時間数 30時間(最小12時間、最大64時間) ・受講者の要件 地域在住 16箇所 年齢 10箇所 手話技能 5箇所 点字技能 2箇所 通訳・介助員の状況 ・各部道府県の盲ろう者向け通訳・介助員派遣 事業に登録している通訳・介助員を対象 ・回答数 1,770通(回収率41%) ・有効回答 1,675通(有効回答率38.8%) ・性別女性 86.6%男性13.4% .年齢 50〜59歳 36.1% 60〜69歳 28.5% 40〜49歳 20.0% ・障害の有無 ある15.20% ない84.7% ・手話でのコミュニケーション経験 ある87.9% ない11.4% ・手話技能 通訳可能50.6% 日常会話可能29.9% .点字経験 ある23.4% ない75.8% ・点字技能 長文可能38.0% 短文可能33.2% .過去1年間の通訳・介助活動の有無 活動した82.5% 活動していない16.8% ・過去1年間の通訳・介助活動日数 5日未満22.8% 10〜19日17.1% ・最も通訳・介助を担当した盲ろう者の受信方法 触手話35.1% 音声20.5% 弱視手話14.8% 手書き文字4.0% 通訳・介助についての二一ズ .通訳・介助員派遣事業に登録している盲ろう者16名を対象 .事前に作成したインタビューガイドを元に面接調査を実施 ・発言内容を分析し、25の概念に整理し、さらに8の上位概念に分類 盲ろう者向け通訳・介助員養成カリキュラムの提言 ・調査を踏まえ、全国盲ろう者協会から「盲ろう者向け通訳・介助員養成カリキュラム」を厚生労働省に提言 ・厚生労働省においては、この提言に基づいて、各部道府県、指定都市、中核市宛に「盲ろう者向け通訳・介助員の養成カリキュラムについて」(平成25年3月25日付障企自発第0325第1号自立支援振興室長通知)を発出 養成カリキュラムの位置付け ・養成カリキュラムは、各部道府県(指定都市・中核市を含む)において、養成研修を企画する際の基本となるもの(直ちに、これをベースとした養成研修を企画できない場合には、数年以内を目途として、段階的な実施が望ましい。) ・養成カリキュラムは、あくまで基本であり、研修を企画する際には、ニーズの高いコミュニケーーション方法の習得に重点をおくなど、地域の実情に応じた内容となる。ただし、盲ろう者の多様なニーズに対応していくためには、できるだけ幅広く、実践的な内容とすることが望ましい 養成カリキュラムの構成 1 必修科目と選択科目 ・通訳・介助員の養成には、必修科目42時間、選択科目42時間、合計84時間の研修が必要であり、最低でも必修科目42時間を実施 ☆手話奉仕員養成は80時間、手話通訳者養成は90時間、要約筆記者養成は84時間など・通訳・介助員養成研修では、必修と選択を合わせた84時間は望ましい水準で「推奨」する。 ・必修科目については、全科目の実施が基本 ・選択科目は、全科目の選択を「推奨」するが、地域の実情に応じて適切な科目を選択すること 2 養成目標と到達目標 ☆養成目標とは、養成研修の狙い、方向性を示したもの ☆到達目標とは、養成研修修了時における期待される受講者の状態、イメージを示したもの (ただし、当面、研修修了時における効果測定を行うことは想定していない) 【必修科目の養成目標】 盲ろう者の生活及び支援のあり方についての理解と認識を深めるとともに、盲ろう者との日常的なコミュニケーションや盲ろう者への通訳及び移動介助を行うに際し、最低限必要な知識及び技能を習得する。 【選択科目の養成目標】 必修科目の研修修了に加えて、盲ろう者向け通訳・介助員の役割・責務などについて理解と知識を深めるとともに、多様なニーズや場面に応じた通訳及び移動介助を行うに際し、必要な知識及び技能を習得する。 【必修科目の到達目標】 盲ろう者と1対1での外出(買い物、食事などに伴う外出)などの日常生活上の場面において、必要な通訳・介助を行うことができる。 ※盲ろう者とコミュニケーションが取れる必要最低限の通訳技能を身につけ、移動介助ができること。このため、最低限、持ち合わせているコミュニケーション方法(手話、点字、手書き文字、筆記、音声など)を使用して、盲ろう者と日常的なコミュ二二ケーションができるようになること。 【選択科目の到達目標】 電車、バスなどの公共交通機関の利用を伴う外出や複数のものが参加する講演会、会議などの場面において、必要な通訳・介助を行うことができる。 盲ろう者福祉施策の今後の展望 ----- 書名:平成25年度 全国コーディネーター連絡会 報告書 発行日:2014年2月20日 編集・発行:〜日本のヘレン・ケラーを支援する会〜 社会福祉法人全国盲ろう者協会 〒162−0042 東京都新宿区早稲田67番地早稲田クローバービル3階 TEL 03−5287−1140 FAX 03−5287−1141 Email info@jdba.or.jp ----- 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業