平成23年度 全国コーディネーター連絡会報告書 〜日本のヘレン・ケラーを支援する会R〜 社会福祉法人全国盲ろう者協会 目次 1 平成23年度全国コーディネーター連絡会の概要 2 日程表 3 はじめに 4 カリキュラム別の経過 5 事前アンケート集計結果 6 事後アンケート集計結果 1 平成23年度全国コーディネーター連絡会の概要 @目的 派遣事業の実務を担当する各地域のコーディネーターが一堂に会し、各地域における事業実施の現状等について情報交換を行うとともに、今後の展望について協議することにより、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の発展に寄与することを目的とする。 A日程 平成24年1月14日(土)から1月15日(日)2日間 B場所 TFT(東京ファッションタウンビル)東館9階(909号室) 〒135−0063 東京都江東区有明3−6−6 電話:03−5530−3610 FAX:03−5530−5009 C全体の概要 今年度の会議には、33名(申込み34名、うち1名当日欠席)のコーディネーター等が受講した。 各地の派遣事業の運用に関する情報交換が主に行われた。充実したプログラムのもと、全プログラムに渡って熱心に討論された。コーディネーター同士では連携も持たれるなど、多くの成果をあげることが出来た。 Dカリキュラム別の概要 (1)講演「派遣事業とその問題−コーディネーターの立場から−」 友の会とそれ以外の団体とで、派遣事業の委託形態の違うそれぞれの立場から、社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会 山本隆志氏と、NPO法人えひめ盲ろう者友の会 松本雅美氏より、 ・派遣事業を受託したことによる問題点と良い点 ・予算要求について(ノウハウ等) ・チケット制と申請制について(選択した理由) ・コーディネートの際に、人選で気をつけていること(基準など) ・コーディネーター業務範囲 ・コーディネーターの役割について 等、話していただいた。  (2)情報交換@「コーディネーターの役割について」 静岡県聴覚障害者情報センター 冨口真佐志氏と、兵庫県立聴覚障害者情報センター 中村千鶴子氏の全体司会により、 ・報告書の生かし方(報告書に書かれている内容のフィードバックについて)、書き方について ・法律がらみの問題(トラブル等)が生じた場合の対処法について ・チケット制について(緊急チケット、役員チケット等) ・盲ろう者の家族による通訳・介助活動に対する謝金の支払いの有無について ・通訳・介助業務の範囲について ・施設利用者への通訳・介助派遣について ・交通費について ・通訳・介助員登録について 等、活発な情報交換が行われた。 (3)意見交換 NPO法人千葉盲ろう者友の会 伊藤敦子氏の全体司会により、参加者と講師とで、テーブル毎に自分の地域での悩み等について、時間を惜しんで語り合われた。 (4)情報交換A「コーディネーターの役割について」 情報交換@に引き続き、静岡県聴覚障害者情報センター 冨口真佐志氏と、兵庫県立聴覚障害者情報センター 中村千鶴子氏の全体司会により、 ・通訳・介助業務の範囲について(前日の続き) ・交通費について(前日の続き) ・緊急時の対応について(緊急時用携帯の所持について) ・通訳・介助員の定年制について ・通訳・介助活動時間について(チケットが発生する時間帯について) ・コーディネーター人件費について 等、充実した情報交換が行われた。 (5)「まとめ」 NPO法人東京盲ろう者友の会理事・事務局 渡井秀匡氏の全体司会により、(1)から(4)におけるまとめ、及び ・コーディネーターの人件費の予算化について ・通訳・介助員の頸肩腕の特殊健診について ・通訳・介助員の健康問題についての共同研究について 等、話し合われた。 2 日程表 1月14日 土曜日 9:00 受付 9:30 開会式 9:50  講演「派遣事業とその問題−コーディネーターの立場から−」 ・派遣事業を受託したことによる問題点と良い点 ・予算要求について(ノウハウ等) ・チケット制と申請制について(選択した理由) ・コーディネートの際に、人選で気をつけていること(基準など) ・コーディネーターの業務範囲 ・コーディネーターの役割について 他 講演者  社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会 山本 隆志 NPO法人えひめ盲ろう者友の会 松本 雅美 12:00 昼休み 13:00〜17:00 情報交換@「コーディネーターの役割について」 18:00〜20:00 意見交換会(会場:ホテルサンルート有明) 1月15日 日曜日 9:00 情報交換A「コーディネーターの役割について」 12:00 昼休み 13:00〜14:35 まとめ 14:45〜15:15 閉会式   3 はじめに 社会福祉法人 全国盲ろう者協会事務局長 塩谷 治 【会議録】 協会から2つほど、お話やお願いをしてご挨拶にかえたいと思います。 1つ目は、あちこちの現任研修会等でも申し上げましたが、昨年10月に施行された視覚障害者のための同行援護事業というのがあります。これについては、各友の会等に対し、「すでに厚生労働省から各都道府県担当部署宛に通知が出ているのでご承知ください。」という文書を差し上げました。同行援護事業は盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業とは別ものなので、これが施行されたとしても、派遣事業の手を抜くことがないようお願いしたいという、厚生労働省からの依頼文書です。以下、背景を説明します。同行援護事業が始まるにあたり、この制度は、自立支援給付という手厚い予算の裏付けのあるもので、これを盲ろう者のための通訳・介助員派遣事業に何とか利用できないかという相談を厚生労働省からいただきました。結果的にはむしろ、いろいろな問題はあっても、現在の都道府県の地域生活支援事業は盲ろう者向けの唯一の施策ですから、現在の派遣制度を充実させていく方向でいきたいという結論に達しました。その後、ある県から友の会に対して、「友の会も財政的に大変でしょうから、同行援護事業の派遣事業所として登録したらどうか」という働きかけがあったようです。出来ないことはないのですが、私どもの見解ではやめた方がよいということです。同行援護事業は、市町村事業ですから、友の会が盲ろう者の在住する市町村と契約すればできないことはありません。しかし、その市町村に住んでいる盲ろう者だけを対象にしたコーディネートでは、人数が少ないのでお金にはなりません。すると、その市町村に住む視覚障害者も対象にしなければ成り立たなくなってしまいます。何のための盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業なのかが分からなくなってしまいます。制度的にも非常に曖昧なものになります。今後も県から友の会に対していろいろな働きかけがあるとは思いますが、私どもの考えは、基本は、問題はありながらも現在の通訳・介助員派遣制度を充実させていく方向で友の会には頑張ってもらいたいということです。 2つ目は、派遣事業のあり方です。現在、47都道府県のうち盲ろう者友の会が受託しているのが17県。聴覚障害者団体が受託している県が15県。その他の身体障害者福祉協会、障害者団体が受託しているのが残りの県となります。ですから、派遣制度は、聴覚障害者団体をはじめとするいろいろな団体のおかげで成り立っているのです。その意味では感謝を申し上げたいと思います。ただ、時間はかかりますが、いずれは、各県の友の会の受託に移行していかないと、いつまでたっても発展しないということがあります。一番分かりやすい例ですと、ここには聴覚障害者団体関係の方もいらっしゃると思います。聴覚障害者団体関係の方は、一方では手話通訳派遣があります。これと盲ろう者向け通訳・介助員の派遣との整合性についてご苦労されているという話をよく伺います。いくら聴覚障害者と盲ろう者では違うといっても、同じ団体が派遣事業を扱いながら、一方には許されて、例えば盲ろう者にはなんでこれが許されるのか、といったことがいろいろ出てくるようです。分かりやすい例を言うと、「盲ろう者の交流会は遊びなので、手話通訳派遣からみると、通訳者は派遣できない。」と、未だにこういう意見があります。しかし、交流会は、盲ろう者には重要な社会参加の第一歩です。極端な話をしますと、わずか月1回の交流会が、唯一世間との接点であるという盲ろう者もいるわけです。これ1つをとっても、盲ろう者に対する施策は独自なものでなければ、発展させていくのは無理だということです。何とか友の会に受託をしていきたいのですが、いろいろな既得権のようなものもありますし、これは大変難しいことです。さて、こういう動きもあります。現在ある県で進行中のものです。ある障害者団体が、法人格を取りたい。ついては、法人格を持たない友の会がやっている盲ろう者向けの派遣事業を私どもにくださいと、県に要望書を出しました。盲ろう者とは全く関係のない団体です。すぐにその県に飛んでいき、課長さんと話をして、私どもが考える方向と逆行するのでやめて欲しいと申し上げました。指定管理者制度と同じ感覚で受託しようとしているのです。現に、ある県は、指定管理者制度の中に、派遣制度の予算を組み込んでしまって、派遣制度は全くやっていません。私どもが抗議をしたところ、指定管理者制度のもともらったお金だから、何に使おうが私達の勝手でしょうという返事でした。団体の運営費に使われてしまっています。いろいろな事があり、なかなか友の会に派遣事業を移すのは難しいです。友の会が足腰を鍛えて法人化をしないと、どうにも前に進みません。NPO法人の資格を取っているのは、友の会では8団体。これをとにかく進めていかないと、盲ろう者のための福祉施策がなかなか進まないと思っています。皆さん、いろいろな立場で大変かと思い、このようなお願いをするのは心苦しいのですが、そういうわけですから、何とか、友の会が派遣事業や養成事業の受託が出来るよう、環境整備にご協力をお願いします。長くなりましたが、ご挨拶に代えさせていただきます。 4 カリキュラム別の経過 (1)講演 「派遣事業とその問題−コーディネーターの立場から−」 【講演者】  山本 隆志(社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会)  松本 雅美(NPO法人えひめ盲ろう者友の会) 【司会者】  伊藤 敦子(NPO法人千葉盲ろう者友の会) 【まとめ】 神奈川の山本氏の講演 1)派遣事業を受託したことによる問題点と良い点 神奈川県の派遣事業は平成13年度から始まり、コーディネーターとしては14年度から担当して10年目になる。昨年度までは、派遣費が足りないと県に要望し増額を続けてきた。派遣は無制限。無制限と言うと、いろいろな取り方があるが、要綱上定められているものには派遣をするべきことなので、それに合わせて申請があれば、その予算を準備するものだと思っている。だから、足りなくなれば県に要望して、足りない分の予算を付けてもらっていた。ただ今年度は認められず、派遣の範囲内での無制限となった。 ○問題点 申請制の場合は事務作業がとても多い。 人件費は700万円ぐらい。コーディネーターは2人いるが、実際には足りていない。 2ヶ月に1度、派遣連絡会議を行っている。派遣、養成講習会、現任研修会などの意見交換、情報交換、情報提供を行っている。個人情報のこともあるので、詳細な報告はできない。そのことによって友の会では把握が難しいことになっている。友の会としては、活動に貢献してくれる人に、派遣も依頼したいという思いがあると思う。しかし公的な派遣なので、当事者団体の活動自体に対して、手厚くすることが難しいことがある。 ○良い点 ・事務所には職員がたくさんいて、夜間時も連絡がとれるようになっている。 ・情報提供施設なので、スタジオがあり、機械や専門職員がいる。質の高い教材を作ることができる。 受託団体である当法人は事業体。友の会は当事者団体なので運動体。行政と受託団体の関係は、事業を委託する側と受託する側となる。例えば、予算が不足する場合に補正の要望は出すが、関係性からすると強い交渉にはなり難いという現実がある。 当事者団体が純粋な運動体であれば、強く要望をすることができると思う。 そのような面では、受託団体は事業体が担い、当事者団体は純粋な運動体であることの良い面があると思われる。 2)予算要求について(ノウハウ等) 今まで、足りない分は用意してもらっていた。毎年上半期が終わって、10月ぐらいに上半期の実績を計算し、残りの下半期にどのぐらいの費用がかかるかを計算。当初予算で足りない分について、派遣費用の増額を要望する。10月〜11月に県に行く。今年度も同様にやったが、今年度は認められなかった。 予算要求のポイント、5つ。 @県の担当職員と良い意味での良好な関係を持つこと。 A翌年度の予算を獲得するためには、8月上旬には県に行き、話をすることが大事。 B予算増額の必要性を理論的に説明すること。 C増額を納得させるためのデータを作ること。 D日頃の派遣業務、養成の業務などを着実に実施していくこと。 予算を取ってきてくれるのは、県の担当職員、またその上司。その職員がよき理解者になり、予算を真剣に取ってこようと思ってもらえるかどうかが鍵となる。最終的には、やはり当事者の声、当事者団体の強い要望や運動が必要と思う。 3)チケット制と申請制について(選択した理由) 事業を始める時に、ホームヘルパーの事業や手話通訳の派遣事業を参考に作られていたという話を聞いたことがある。県の職員も初めからチケット制にするという考えはなかったと言っていた。 4)コーディネートの際に、人選で気をつけていること(基準など) @盲ろう者の状況を把握すること。 A派遣内容を申請書から的確に読み取っていくこと。 B通訳・介助員の業務状況を把握すること(頸肩腕障害にならないように調整)。 C担当できる通訳・介助員の拡大に努める。 5)コーディネーターの業務範囲 申請を受けてから振り込みをするまでの事務の執行。そのためにどのような業務が必要か。 @盲ろう者の状況を把握すること。 生活状況、その方がどれほど自立して生活しているかなど。 A通訳・介助員の状況を把握すること。援助技術、性格、日頃の業務状況など。 B制度を後退させず、拡大するような取り組みを行う。 C当事者団体との定期的な会議を持って、情報交換等に努める。 D派遣上のトラブルが発生した場合、速やかに対応し、処理する。 E盲ろう者や通訳・介助員から派遣上の悩みなど、相談に応じて対応する。 フットワークの軽さは大事。 コーディネーター自身が、盲ろう者の方と、盲ろう者にあったコミュニケーション方法で話が出来ること。派遣業務以外でも盲ろう者の方の話を聞けるようにしたい。 6)コーディネーターの役割について @健全な派遣事業の運営に努めること。 A派遣制度の向上を目指していく。 通訳・介助員の派遣事業は盲ろう者の方の生活に必要不可欠。それを後退させないよう、向上するように努めていく。 B必要な情報提供やアドバイスをして専門機関につなげる、経過を見守る。 C常に3つの視点を持って物事を考える。 盲ろう者・盲ろう児の立場、通訳・介助員の立場、派遣事業を担う派遣窓口の立場。これら3つの立場からきちんと見ていく。 7)最後に 私たちの法人は、聴覚障害者の協会なので、聴覚障害者自らが運営するという理念を持っている。これをこの派遣事業にあてはめると、盲ろう者の当事者団体が派遣事業や養成事業を担っていくことが大事だと思う。当事者団体が受託を受けることにより、当事者団体の組織が財政的な面でも強固になっていく。いろいろな活動をするためにお金は必要。会費だけではまかなえない。友の会で受託した場合、人件費で会の専従職員を雇用できて、会の運営を仕事として行う人材が確保できる。健常者の職員を雇用できるだけの財政の確保ができれば、会の活動や発展に結びつくと思う。 「盲ろう者が望む派遣のあり方は何か。」 盲ろう者が日常生活を送るためには、通訳・介助員の存在は必要であり、派遣制度が不可欠となる。盲ろう者は、いつでもどこでもどんな内容の時でも、自分に合った通訳・介助員が派遣されることを望んでいる。通訳・介助を受けている間、ストレスを感じることなく、内容によっては楽しい時間を過ごせたり、心地よい時間を過ごせたりすることが大切。それは自分の思い通りに利用できること、自分らしく生きることにつながっていく。 公的派遣の通訳・介助を利用するときには、盲ろう者には、マナーとルールを守っていただかないといけない。盲ろう者は利用者として受け入れて貰わなければならない。そして、通訳・介助員にとっては働きやすくなければならない。それは時として、盲ろう者には不便であって、不都合であって、盲ろう者が自分らしく生きることと相反する面も持っていると思う。盲ろう者が、自由に、自分らしく生きられる派遣とはどういう制度なのか、どういう制度が良い制度なのかを考えていくべきと思う。 例えば、全国盲ろう者協会にとって、盲ろう者が望む派遣はこういうものだという、モデル要綱を示して欲しいと考える。いろいろな人がいて難しいが、目指すモデルができてくると、そこに向かって日々の業務をしながらいろいろな事を考えていくことができると思う。 ********** 愛媛の松本氏の講演 1)派遣事業を受託したことによる問題点と良い点 友の会で、派遣の委託を受けている。平成21年から始まり、今年で3年目となる。平成18年ぐらいから、県の障害福祉課に、盲ろう当事者、通訳・介助員と陳情に行くようにしている。盲ろう者が触手話や音声などで通訳を受ける様子を見て、障害福祉課の担当者も、盲ろう者について理解してくれた感じだ。 ちょうど派遣が始まろうとした頃、誰がコーディネートするのかがなかなか決まらない状況だった。 ○友の会が委託を受けることができた理由 @養成講座を自主事業で行った。 平成15年から17年までは、予算がない状況の中で、友の会独自に養成講座を開催した。講師やスタッフは全てボランティアという形をとった。養成講座をやった後には、毎年必ず県に報告をあげてきた。 平成18年からは、養成講座に、県から委託される形で予算が付くようになった。金額としては20万円。今も変わらず20万円の予算が付いている。 ANPO法人格を取得している。(平成12年か13年頃に取得) 早い段階からNPO法人格を取得していたので、行政からの信頼があり、結果的にそれが受託に繋がった。 ○コーディネーターに選ばれた理由 ・盲ろう者全体をきちんと見て、把握していること ・通訳・介助員との接点が多かったこと ・比較的、他の人達よりも動きやすかったこと 2)予算要求について(ノウハウ等) 予算は440万円。それまで行われていた、全国盲ろう者協会の訪問相談・通訳者派遣事業の前年度までの件数、謝金、交通費を元に予算額を割り出している。初めから絶対に増えないだろうと言われたため、増やして欲しいという予算要求はしていない。来年度からは、10%ほど削減され、おそらく400万円程度になることが予想される。 訪問相談・通訳者派遣事業の頃の内容をそのまま受け継ぐ形をとり、県の担当者が要綱を作成した。友の会の役員内にて話し合い、修正して欲しい箇所について説明し、最終的には顔を突き合わせて話し合いを持って決定した。こちらの希望(要望)はほぼ通っているようだ。 3)チケット制と申請制について(選択した理由) チケット制が盲ろう者にとって利用しやすいからチケット制にしてほしいと、盲ろう者から強い要望があったことと、申請制になると、コーディネーターの作業負担が大きくなるということから、チケット制にした。 利用状況については、平成22年度は956件。コーディネートした件数は237件で、全体の4分の1。あとはほとんどが直接依頼の形をとっている。 1年目、440万円の予算のうち、20万円を余らせて返却することになった。 2年目は2万円程度余り、その分を返却した。 登録盲ろう者数は14人(当初から変わらない)。 通訳・介助員は、最初は50人、その後増えて100人程度となっている。 平成23年度上半期で1度でも活動した方は、全体の4分の1程度、ほとんどの方が、登録はしたが活動をしていないか、依頼がないという状況である。 4)コーディネートの際に、人選で気をつけていること(基準など) ・基準は特に設けていないが、その盲ろう者に対しての通訳・介助活動をしたことがあるか。 ・普段から盲ろう者の通訳・介助にあたっているか。 ・派遣内容をきちんと把握して活動ができるか。 通訳・介助員は、盲ろう者に育てられるべきだと思う。通訳・介助活動の橋渡しとなるように努めている。 5)コーディネーターの業務範囲 ・派遣依頼を受けてから、通訳・介助員のコーディネートを行う。 ・通訳・介助員からあがってきた報告書の集計をし、謝金と交通費を指定の口座に振り込む。 ・上記以外の事務作業、雑務。 ・行事や交流会がある際のコーディネートを行う。 ・盲ろう者の家族や入所施設とのやり取りを行う。 盲ろう者について理解してもらうのがとても大変な作業。 ・県への報告。 ・盲ろう者からの相談、通訳・介助員からの相談に乗る。 愚痴を聞くことも、ただ話を聞くだけのときもある。内容によっては、通訳・介助員や関係者等に集まっていただき、カンファレンスを開くこともある。 ・業務範囲については、これと決まっているわけではないため、できるだけのことはしている、といった状態。 ・盲ろう者からの要望があれば、派遣に関係なくても、個人的に手伝うといったこともしている。 6)コーディネーターの役割について 盲ろう者と通訳・介助員との橋渡しの役目がある。 コーディネーターは、盲ろう者にとっても、通訳・介助員にとっても、何でも相談できる頼れる存在でありたいと考えるが、現実はなかなかそうはいかない。 7)現状 ○良い点 ・盲ろう者がチケットを利用することは、盲ろう者の自立につながっているようだ。チケットの枚数を把握し、残数によって派遣依頼の調整を自らが行うことができる。 ・いろいろな手間を省くことができる。(コーディネーターの負担は軽くなるものの、逆に言えば、通訳・介助員には負担をかけることになっているのかもしれない。) 友の会の理事も兼ねているため、行事等があるときには必ず参加するようにしている。そこで、通訳・介助員の様子をよく見ることができている。どのように通訳・介助をしているか、通訳技術はどの程度なのか、といったことを判断することができるので、これらはコーディネートする際の参考にもなっている。できる範囲で融通を利かせて、盲ろう者の要望に合わせることができる部分もある。 ○問題点 ・直接依頼をする中で、当人同士の行き違いが生じ、関係が悪くなったことがあった。 ・同じ人ばかりに依頼し、お互いに依存してしまっている人もいる。 ・報告書には、何も報告事項が書かれていないので、どういった内容の通訳・介助活動なのかもわからない場合が多い。 ・一番の大きな問題点は、事務所が無いということ。(友の会自体が、事務所がないという問題を抱えている。友の会の事務局は、理事長の自宅。)派遣関係の事務所はコーディネーターの自宅。 ・郵送物、連絡等の全てがコーディネーターの自宅にくる。電話も携帯電話も個人のもの。 ・ほとんど一人で作業をすることになる。 ・一番の問題は個人情報の扱い。 ・相談を受けるにしても、コーディネーター宅ではそうはいかない。 ・問題を一人で抱え込み、解決できないことも結構ある。 コーディネート1件につき500円と算出している。事務費用は出るが、家の固定電話や携帯使用料の何割かを経費に入れたいが、きちんとした理由書を提出しなければならないと県に言われている。(どこに何度電話したから幾らぐらいになる、といったようにはっきり分かる形での記録があれば経費として計上できるとのこと。) コーディネート業務に着手した頃は、盲ろう者からも通訳・介助員からも、今まで適当にやりやすくやっていた派遣が、県委託になってから面倒になったと言われた。最近は理解が得られるようになり、依頼も増え、コーディネートすることも増えてきた。遠方でも足を運び、盲ろう者と直接話をするようにしている。 ********** 【会議録】 質疑応答 会場/通訳・介助員と盲ろう者間でトラブルが起きたときに、県に相談することはありますか? 松本/一人で抱え込むことも多いです。個人的に役員に相談をすることもありますが、簡単には解決はしません。県は派遣の状況については何も把握していないので、相談したことはありません。 会場/友の会行事、交流会、大会の依頼は別とありますが、予算はどこから出ているのですか? 松本/別ではないです。チケットを使うことは同じです。総会などの場に、通訳ができない人と一緒に来る場合がありました。通訳・介助員の良い経験にもなるので、数年前から、参加者の中からコーディネートをしています。それに対してチケットを渡すかどうかが一番問題になっていて、出す人も出さない人もいます。年間利用限度枚数が240枚ですので、ギリギリで使っている人にとっては出せないということもあります。一方余っている人には出してもらったりと、中途半端な状況になっていて、友の会でもそれをどうするかは、きちっと話し合えていない状況です。 会場/チケット240枚とありますが、30分で終わっても、1枚渡すのですか? 松本/30分以上で1枚。30分未満は切り捨てです。今のところそのままですが、何とかしたいと思っています。 会場/当初予算が440万円で、増額がないという念押しをされて委託を受けているという話でしたが、コーディネート手当もゼロですし、これから掘り起こし等で盲ろう者数が増えていくこともありますね。その点、交渉などはされていないのですか? 松本/していません。県の担当者が、とても理解のある方で、いつも気にかけてくれます。掘り起こしの際にも協力をしてくださいましたが、その時に、もし盲ろう者数が増えて予算が足りなくなったとしても増額できませんよ、取り合いになったりはしませんかと、いつでも心配してくれます。今のところ登録者数は増えていません。予算要求しないといけないのでしょうが、最初の440万円を確保してからは、まったく動きがない状況です。そんな風にのんびりしていたので、来年削減になったのだと私は思っています。余らせたという、悪い実績もあるので、今は交渉しても無理だろうということもあります。今のところ、役員会でも予算要求についての話は出ていません。 会場/今年度は、補正予算は付かないそうですが、今後どのような取り組みをするのか、足りない分はどのように捻出するのかをお聞かせください。 山本/私なりにですが、やれることはやってきたつもりです。今まで10年間は、何とか増額ができてきました。今年度は、これほど年度の終わりが迫っている中で、利用している盲ろう者に事前の説明の機会がなく決定をされました。本来であれば事前に盲ろう者に説明をし、一定の理解を得た上で決定することが必要だと思います。ですから、今後、どのような取り組みが必要かとなると、当事者または当事者団体が、県に対して意見や要望を出す取り組みが必要だと思います。 会場/私の県でも3年前だったか、盲ろうの予算が20%減と連絡があり、当事者や関係団体を巻き込んでの運動の結果、補正は付かなかったが最終的に補填をしてもらったということがありました。去年も今年度も派遣費がオーバーしています。それだけ、盲ろう者の社会参加が進んでいるのだと思います。議員さんを通して、当事者団体が交渉をしています。 会場/@振り込みは年に何度していますか?私の県では、年2回にしていましたが、予算不足のため、謝金を削ることになってしまいました。そのため、後半の謝金が安くなってしまうので、今は年に1度の振込みとしています。皆さんのところではどうでしょうか? A報告書に挙がってきた内容に対して、皆さんのところではフィードバックをしていますか? B皆さんの受ける相談の中に法的に関するものもあるかと思いますが、自分だけでは対処することができません。皆さんは、そのような難しい相談を受けたときにはどうしていますか? 伊藤/振り込み回数に関しては、報告書に書かれていると思います。最新情報ではないですが、参考になると思います。 残りの2項目は午後のテーマに採用したいと思います。 今回、友の会で受託しているかどうかという括りで、2つの団体からお話いただきました。始めは他団体でやっていたが、友の会で受託するようになったというところはありますか。 会場/私の県では平成18年度に派遣事業が始まりました。最初は視覚障害者の団体が受託していました。派遣事業を始めるにあたり、どこの団体に受託したら良いかと相談をされました。聴覚障害、視覚障害者の団体と2つが挙がっていましたが、将来的には友の会が受託するということも含めて話をし、視覚障害者の団体にお願いすることに決まりました。その後、友の会ができ、NPOの法人格を取るという流れの中で、毎年、友の会が受託したいと要望してきました。ようやく、法人格取得と同時に受託されました。 会場/市で、平成17年から派遣事業が始まりました。市の各区の手話相談員がコーディネートし、市が謝金を支払っていました。平成18年からは、県でも派遣事業が始まりました。そこで、友の会が受託、県の手話相談員がコーディネーターを務めました。その後、友の会で一括して受託したいと交渉を続け、今年度から県全域を友の会が受託しています。 (2)情報交換@ 【助言者】  大杉 勝則(広島盲ろう者友の会) 【司会者】  冨口 真佐志(静岡県聴覚障害者情報センター)  中村 千鶴子(兵庫県立聴覚障害者情報センター) 【会議録】 司会/時間になりましたので、始めます。午後の司会担当の静岡の冨口です。よろしくお願いします。 司会/同じく司会を担当する兵庫の中村です。 司会/今日は1時〜5時まで情報交換を行います。途中1時間ごとに休憩を取ります。一人1回は必ず発言するように、意見、感想なんでもかまいませんから発言をお願いします。 では、まず、参加回数を確認したいと思います。 初めて…12人。 2回目…7人。 3回目…8人。 4回以上…8人。 コーディネーターの経験年数を確認します。 今年度から…11人。 これからコーディネーターをする…4人。 2年目…3人。 3年目…10人。 4年目以上…8人。 分かりました。ありがとうございました。初めて参加される方が多いと思いました。 まず、大杉さんにお話をしていただきます。広島で予算を獲得したことについてと、受託の流れについてお話ください。 大杉/こんにちは。この研修会が初めて開催されたのが平成16年度です。当時から皆さんとご一緒させていただいています。この度もよろしくお願いします。 友の会で受託をするようになった経過、また補填をしてもらうことができたことについてお話致します。 平成15年度、それまでは全国盲ろう者協会で利用券が発行され、訪問相談・通訳者派遣事業が行われていました。平成16年度からは広島市(政令指定都市)で、市在住の盲ろう者に対して派遣事業が始まりました。その他の県域は、協会の利用券が使われ続けました。広島盲ろう者友の会は公的な事務所を持たず、コーディネーターも見つけられない状態にあったため、行政で責任を持ってコーディネートをしていただくこととなりました。広島市には8区があり、各区の障害福祉課がコーディネートを担当することになりました。 平成18年度には、障害者自立支援法が施行されました。政令指定都市の大都市特例法がなくなり、これまで政令指定都市がやっていた事業を県が予算を作り、広島市に委託する形に変わりました。県は、広島市在住の盲ろう者派遣は広島市へ委託、それ以外の県域の盲ろう者に対する派遣は、広島県がやることになりました。友の会はまだ事務所がなく、コーディネートできる人材もいませんでしたので、コーディネート業務のみを県の障害者支援課職員にお願いし、謝金の振り込み等の手続きは友の会でしていました。このような変則的な委託を受けていたため、様々な問題が起こることとなりました。広島市では、手話相談員が市在住の派遣コーディネートをしていました。彼らは元々聴覚障害者に対しての派遣業務であったため、食事時間は派遣時間からカットするようにと言われることがありました。そこで、我々盲ろう者には、食事時間も通訳・介助が必要なのだと説明、説得をしなければならないといったことがありました。そこで、友の会で派遣事業の全てを受け、事業を展開していった方がよいのではないかという話が持ち上がりました。しかし、私たちには事務所がありません。そこで、寄付等を募るなど様々な工夫をして、平成22年度から事務所を構えることとしました。そして、コーディネーターも決めました。そうして環境を整えていき、平成22年度は広島県障害者支援課でコーディネートをしてもらいましたが、平成23年度からは広島市も含めた県域全てを広島盲ろう者友の会で受託できるようになりました。 NPO法人でないので、委託を受けるのは難しいということがあったかもしれませんが、広島では、NPO法人格取得の有無に関係なく、業務としてきちんとこなしていけるかがポイントになったのだと思います。事務所を借りて、コーディネーターもいる、支払い業務もできる、といった環境を整えたことで、NPO法人ではなくても受託できたのだと思います。 次に補填についてです。 今年度の7月頃に、コーディネーターから、今後今のペースで派遣を続けた場合、10〜11月ぐらいには委託費が無くなってしまうのではないか、という報告を受けました。そこで、役員達と話し合ったり、全国盲ろう者団体連絡協議会にも連絡し、委託費がなくなった場合、各地域ではどのように対処してきたかをお尋ねしました。8月の初旬頃に県の障害者支援課に行き、話し合いを持ちました。その際、補正予算は組めない、補填はできないと言われてしまいました。交渉を重ねても、無理だ、補填はできないとの一点張りでした。 派遣がなくなると、私達盲ろう者の生活はたちまち困ってしまいます。交渉を続けましたが、県からなかなか「うん」という返事をしません。結局、契約を交わして、委託費が下りているので、その中で何とかしなければならないようなのです。議員さんにも相談をしました。2年前に、広島県の議員が、東京都盲ろう者支援センターに見学に行きました。議会の中には福祉部会があるそうで、そこの部長を紹介してもらい、そこでもまたいろいろと話をしました。10〜11月頃には、広島県障害者支援課の担当者が2週間に1度の頻度で、友の会事務所に来てくれるようになりました。議員さんには、健康福祉局と話をつけてもらいました。12月20日頃、障害者支援課から補填が決まったとの連絡がありました。本当にホッとしました。このことについては、全国のMLにも報告させていただきました。 私たち運動体としては、ダメだ!無理だ!と言われても、諦めないでとにかく言い続けていくことです。無理でも案外なんとかなるということは結構あるものです。皆さんも諦めずに、頑張って交渉を続けていけば何とかなることもあるかもしれません。 司会/大杉さん、ありがとうございました。当事者の方がまず諦めないこと、無理でも案外何とかなるかもしれないということで、粘り強く交渉する。そういう成功例だったと思います。福祉部会があり、議員さんへの働きかけも有効であるという話でした。 会場/皆さんにお伺いします。まず、報告書に書かれたものは、どのようにフィードバックしていますか。また、法に関わるような相談を受けたときに、コーディネーターとして対処できないので、私は全国盲ろう者協会に頼った事例もありますが、皆さんはどのようにしていますか。 司会/まず、報告書をどのように生かしているのかということ。2つ目は、コーディネーターでは解決出来ない問題をどのようにしているのかということです。報告書はどのように活かされているか、現状をお話しいただけますか。 会場/報告書に記載されている報告のフィードバックについては、その方にメールや電話でお答えをしたり、相談を受けるようにしています。 司会/ありがとうございました。他の県ではどうですか?皆さんのところでは、報告書はあがってきますか。報告書をとってないところはないですね。どこにお伺いしても良いですね。 会場/4月からコーディネーター業務を始めたばかりなので、なかなかすっきり皆さんにお答えすることはできませんが、通訳・介助員に電話をしたり、出会ったときに内容を確認したり、こちらの思っていることをお話するようにしています。研修などが開かれた際には、研修後に登録者との意見交換会を持つことがあります。特に皆さんに聞いていただいた方が良いかなと思うことがあれば、それを取り上げて話をするなどしています。 会場/皆さんと同じように、メールや電話で話をすることがほとんどです。 司会/報告書には、時間や場所を書く項目がありますが、内容について、このように書いてくださいといった説明を通訳・介助員にしていますか。もし、している場合には、どのような説明をしているか教えてください。 会場/私たちの県では毎年3月に、登録確認をしています。確認のできた方に対して、報告書の書き方等についての説明を行います。事例検討会も行っています。報告書の中から、皆で話し合った方が良いものを、できるだけ個人名が分からないようにして話し合っています。 会場/養成講座が終わる最後の時間に、簡単に事務手続の説明をしています。最初に報告書を書かなければいけないときに、通訳・介助員から質問があれば、詳しく説明をするようにしています。 司会/上がってきた報告書は、どのように確認し対応していますか? 会場/いくつかの県の方の回答と同じように、メールや電話でお返事をしたりするようにしています。また、皆さんにお知らせした方がよい内容については、現任研修会(友の会受託でない)などで、改めてお話をしています。私は友の会の会員でもあるので、友の会の会合などで、少し時間をもらって盲ろう者も通訳・介助員もいる場所で話をすることがあります。 司会/ありがとうございました。大杉さんお願いいたします。 大杉/広島の場合は、養成講座も友の会が受託しており、全部で7日間開催しています。6日目の中で、「派遣の業務について」というテーマを設け、その時に、広島県の障害支援課の方に来ていただき話をしてもらっています。そこで、報告書の書き方などについても、話をしてもらっています。 司会/ありがとうございました。広島では、県の担当者に来て説明をしてもらっているようですが、そのような県は他にありますか?どういう時に、来てもらって説明をしてもらっているのか、お願いします。 会場/まだ、コーディネーターは設置されていません。昨年度までは、養成講座の最終日に、障害者推進センター(県の第3セクター)が謝金等を計算するようになっていました。そちらの方に来ていただき、派遣制度の説明、登録方法などについて説明してもらう時間をとってきました。今年度は講座終了後の別の日に説明してもらっています。 会場/昨年までは、講座が終了した後に、派遣制度について修了生に対して説明をしていましたが、今年度より、講座終了日に簡単な説明をさせてもらうようにしています。これは実は、担当の我々の仕事を減らしたいという目的もあってのことです。 司会/他県の状況がどうなっているか、せっかくの機会なので、皆さん、ざっくばらんに話してもらいたいと思います。 会場/報告書の書き方については、講習会を修了した方を対象に、登録説明会を開いて、派遣事業や業務・実施・報告の流れから、報告書の書き方の説明する機会を設けています。報告書ですが、県が作成したものは、日時、場所、交通費請求など事務的な処理をするための様式をとっていますが、それだけでは、良いものにならないということで、別に報告書裏の1枚を使って、そこには困ったこと等、そして対処法等について書いてもらっています。質問が書かれていて、答えられるものであれば、メールなりで返すことはあります。実際は量が多すぎて、全てには回答ができていないのが現状です。現任研修会等で意見交換をする時間を作ったり、最近はあまりできていませんが、通訳・介助員会議を設けています。名前は伏せて、こういう場面では、他の通訳・介助員はどうしているのか、といった情報の交換をしています。それとは別に、利用者会議も開いています。そこには盲ろう者が来ます。報告書からあがってきた、周知して欲しいこと、盲ろう者にも分かっていてほしいという要望があれば、その場を使って盲ろう者に話をすることもあります。 会場/報告書に書かれた内容は重たいと思います。コーディネーター1人で業務をしていたら、全ては抱えきれないと思います。コーディネーターは1人ですが、相談員として非常勤で、決まった日ではなく、その人の都合の良い日に来てもらい、報告書を見て中身を検討してもらっています。私は、その相談員のおかげで随分楽になっています。決して一人で抱え込まないことです。 司会/参考までに、通訳・介助員の会議や利用者会議を開く頻度はどれぐらいですか。 会場/利用者会議は年に1回開いています。通訳・介助員の会議は、始めたばかりの頃は、月に1回行っていました。通訳・介助員から、委託先に要望したいことがあるとのことで、集まって話をしたのがきっかけとなりました。友の会が派遣事業を受託してからは、開催するのにも、仕事も増え手が回らないということもあって、年に1度か2度ぐらいしか開催できず、あとは、研修会等の時間を使って、話す機会を作るようにしています。 司会/現状をうかがう中で、自分のところとは違ったところがあることが分かってくると思いますので、もう少しお話いただけたらと思います。 会場/養成講座の最終日の最後のコマが派遣事業の説明になっています。今は私が担当しています。50分ぐらいで、活動報告書の書き方についてがほとんどを占めます。書き方の見本を作り、そこで渡すようにしています。今まで養成講座を受けた方は、報告書を白紙のまま提出される方が多く、活動時間等しか書いていない方もいました。そこで、振込通知書を送るときに、再度見本を同封して送りました。すると、数名の方は書き方を改めてくれましたが、相変わらず白紙のまま提出される方もいらっしゃいます。報告があがってきた問題点のフィードバックについては、出来る範囲で私がお答えしている状況です。問題があがってきても、なかなか解決できていないことも多いです。 司会/現状と、報告がなかなかあがってこないから、書いていただけるような工夫をしているという話もありました。 会場/報告書の書き方については、皆さんと同じように、養成講座の最後の時間帯に皆さんに説明するようにしています。普通の派遣の中であがってくる報告は、それほど問題がない場合は特にいただいていません。各通訳・介助員の方にどうしても言っておきたいこと、または報告したいことがあれば、その都度直接電話でも良いし、報告書という形で出しても良いとお話しています。フィードバックの方法は、特に説明会ではないですが、ケースバイケースで、介助員皆さんに共有してもらった方が良いものは、友の会で時間をいただき説明させてもらったり、または、会長や事務局から話をしてもらったりして周知しています。 司会/友の会の場を借りてお話をするというところが、いくつかあったと思います。 会場/県は派遣事業と養成講座を開いています。但し、派遣事業は県内の地域という条件があります。県も市もコーディネートはしていますが、これまで身体障害者福祉協会で事務員だった方が兼任でされているのが現状です。市では、市身体障害者福祉協会に委託するときに、友の会は任意団体としてしか認識されていないので、NPO法人格を取ったら、派遣事業を委託するというお話をいただいています。市身体障害者福祉協会は、昨年から派遣事業を始めています。現在は、友の会と連携を取りながら、ゼロからお互いに相談しながら進めています。報告書は、どちらかというと、手話通訳者の報告書を土台に作成されたようです。今の報告書には、現場であったこと、迷ったこと、困ったこと等について記載する箇所がありません。そこで、年度途中ではありましたが、通訳・介助員からいろいろなことが事務局にもあがってきていましたので、友の会会長と事務局とで身体障害者福祉協会に直接伺い、報告書の裏に、通訳・介助員が現場で困ったこと、今後改善して欲しいこと、迷ったこと等について自由に書ける欄を新たに設けて欲しいと要望を出しました。受け止めてはもらいましたが、現時点ではまだ改正されてはいません。困ったこととしてあがってくるものとして、盲ろう者自体の派遣に対する理解不足が原因ということも考えられることもあるので、そういうときには口頭で、あるいは、友の会の役員会で盲ろう者に周知するよう取り組んでいます。 会場/養成講習会の最終日に、派遣担当から派遣事業の話をします。その時に報告書の記載方法についても話します。報告書については、時間、場所、交通費の書き方は見本を用意して同時に配付しているので、それらを見て書いてもらっています。報告書の内容については、基本的には書くということ。そして、通訳・介助員に報告書を書くための費用として、770円払っています。30分はかかるだろうということで、時間単価の半分ぐらいを払っています。ですから、きちんと書いてくださいと言っています。内容については、修了者が最初に書くときは自己反省が多いですね。それを書くのも良いですが、派遣現場でどのような問題があるのかということです。例えば、盲ろう者が出向いて不利益を被ったことは何か、通訳・介助で困ったことは何か、などの内容を書いてほしいわけです。1週間以内に報告書を提出してもらいますが、活動してすぐに書いてもらうようにしています。派遣に慣れていない人には、その日に書いて投函するぐらいの気持ちをと言っています。厳しく、最後に、気づきを多くもてる感性を持って欲しいということです。通訳・介助員として現場に行き、何もないということはないと思います。こちらは、何も書いていないと、通訳・介助員は気づきのない人だと思います。気づきのないということは、自分の業務に対して見つめられない、自己反省もできないし、向上もできない。なので、白紙ということはほとんどないわけです。実際に報告書があがってきて、何も書かない人には、注意をしたりする場合もあります。報告書に疑問、問題があるとか、こちらが返さなければいけない人には、できるだけ、個別に返すようにしています。私はメールは嫌いなので、電話をするようにしています。ろう者の人は別ですが、できるだけ電話で話をします。電話がつながらないときには、忘れないように付箋をしたり、出来るだけ忘れないように努めていますが、実際に返せないことも時々あります。 会場/私のところでは、報告書の書く欄は大きくはありませんので、報告書だけで全てをつかみきれているとは思っていません。たしか、去年か一昨年のコーディネート連絡会で、トラブルなどを今後に生かすためにそれを待っているだけではいけないのではないかという話がありました。特に初めての方や、経験の浅い方など、大丈夫だったかなと思ったときには、活動が終わってから、必ずこちらから連絡するようにしています。報告書に書いていただくのは大切なのですが、通訳・介助員もどこまで書いて良いのか、守秘義務などもあり、紙面だと残ってしまうからと、本音で書けない部分もあると思います。こちらから、電話で、ろう者の場合はメールですが、問いかけをすると、いろいろな話が出てきます。一緒に考えたり、気づきも得られます。コーディネートを始めてからは、現場から遠ざかっていることもありますが、次につながることだと思っています。 司会/さて、先ほど、報告書に記入する時間も謝金を支払っているという話がありましたが、770円を支払うことになった経緯を参考までに教えてください。 会場/制度が始まったのが平成13年度です。その頃は、私はこの仕事を担当していません。担当になったのは、平成14年度からです。ですから、その経緯については正直なところ分かりません。この制度を始める時に、友の会と県聴覚障害者連盟と、市、県域の手話通訳団体などの関係団体が派遣事業の準備委員会を作って協議をしました。県も交えてですが、派遣事業をスタートするためにいろいろな準備をしました。各団体の意見がいろいろ入って作られたものだと思いますので、そのあたりが反映されたのではないかと想像します。 司会/報告書について他に聞きたいこと、確認したいことはありますか? 会場/報告書の様式ですが、私のところでは、1か月に1枚、以前に全国盲ろう者協会が使用していた様式をそのまま用いています。これでは、具体的な活動内容が分かりません。もっと良い報告書に変えたいのですが、内容、問題等について把握しやすく、かつ人件費のないコーディネーターとしては、時間をかけることなくチェックできる報告書が欲しいと思っています。1か月に1枚の報告書という様式を用いているところはうちだけかな、と心配しています。他県では、1件につき1枚の報告書でしょうか? 司会/報告書は月ごとか、1件ごとに書くのかという質問がありました。確認したいと思います。月ごとに報告書を記入してもらっている地域はありますか?…11都道府県。1件ごとに書いてもらっているところは?…17都道府県。1件ごとに書いているところが多いですね。 会場/私のところには、2種類の報告書があります。1ヶ月に出た派遣件数、謝金の計算対象となるものが1枚と、それとは別に1件ごとの報告書があります。これは出しても出さなくてもよいものです。困ったことや問題などが生じ、事務所にあげておいた方がよいと、通訳・介助員が判断したときに提出するものです。中には事務局から返事をしなければいけないものもあります。これらについては、コーディネーターの2人で内容を確認して、通訳・介助員に戻すようにしています。ただ、質問が書かれている報告書が出てから実際に、通訳・介助員に戻るまでには時間が経ってしまいますが、戻すようにはしています。 司会/月ごとに出している地域は、全国盲ろう者協会のものをそのまま参考にして作成したのではないかと思います。1件ごとに出している地域は、自分達の地域で考えて作成したのだと思います。自分達で報告書を考えて作ったときに、気をつけたことや書きやすくするための工夫をしたところがあれば、発言をお願いします。 会場/事務的な報告書と、実施報告書兼交通費報告書の2枚あります。実施報告書には、気づきとかを書いてもらいます。1枚も出さない人や、出したとしても、「何にもありませんでした。」と書いてくる人もいます。それが続いたときは、こちらから電話をするようにしています。何もないはずはないし、気づきはあるはずです。何の反省もしないのかと思ってしまいます。なるべく2枚、1枚は強制ではないですが、出してもらうようにしています。 会場/押印漏れや記入漏れといったことが結構あります。そこで、報告書の太枠の中は必ず記入するようにと伝えています。私のところでも、協会のものを参考に作成しています。10件まとめて書けるようにしてありますが、それだけでは足りない方もいます。足りない方は2枚になりますが、それでも1ヶ月に1回。1件ごとに報告書を提出してもらっていると溜まっていってしまうのではないでしょうか。同じ内容であったりしても、報告書裏にある区分について、人それぞれ記入がばらばらになる事があります。 司会/報告書についてはこのあたりで区切ります。 もう一つ、自分では解決できない問題をどうしているのか。法的な相談を受けたときにどうしているか、という質問がありました。法的とは、裁判などのことですか? 会場/そうです。トラブル等についての相談を受けたときです。 司会/警察などに相談を繋ぐというところもあるようですが、それについて、何か意見、経験があれば挙手をお願いします。 この場では話せない事もあると思いますが、法的措置を取らないといけないような重いケース、法的なもの以外でも、相談の中では重いものもあるかと思います。そのようなケースに対して、コーディネーターは一人で解決をしているのか、どこかの関係機関に繋いでいるのでしょうか。自分一人で抱え込んでいる、という方のためにも何かありませんか。 会場/それほど大きくはないのですが、セクハラの問題が起こりました。セクハラを受けた通訳・介助員は、会長に相談し、コーディネーターである私のところにも相談にみえました。しかし、私だけでは判断することもできず、セクハラを受けた通訳・介助員と、会長と当事者と私の4人が集まり、話し合いを持ちました。当事者はその場から逃げ出そうとしましたが、皆でそれを鎮め、反省を促すようにしました。それ以後は、そういった問題はなくなりました。コーディネーターの私一人だけでは、どうにもなりません。2人か3人、責任ある人と共に問題対処をする、ということだと思います。 司会/ありがとうございました。コーディネーターだけでは解決できない事例に対し、このような方法で取り組んだという地域があれば、是非お話ください。 塩谷/今のセクハラ問題についてですが、本来なら組織の中にセクハラ問題を処理する機関を作らないといけないと思います。協会でも手をつけないといけなかったのですが。考えてみると、友の会は協会の下部機関ではないです。上部機関が第三者的な機関を作り、訴えがあったら被害者、加害者双方の事情を聞いて、裁定をして、それなりの処罰を加えるという仕組みを組織がある以上は作らねばいけないことになっています。協会でもそれを考えなければと思ったことがあります。ただ、友の会を対象に協会がそれを作るわけにはいきません。組織的なつながりがないので。どうしたら良いのか・・・。各友の会ごとに作っても良いのでしょうが、今の友の会だと、とても客観的にものを見る第三者的機関は作れないです。もう少し大きな単位でそれを作っていかないといけません。その点、盲ろうの世界は遅れているので、どこかで何とかしなければいけないと思っているところですが、今のところ名案はありません。内々の中で解決すべき問題ではない、そういうことは認識しておく必要があると思います。 会場/私のところでは、高齢で目と耳が悪くなり、盲ろうだけでは対応が難しいので、身体障害の支援センター、ケアマネージャーとヘルパー、介護保険のケアマネージャーとヘルパー、当事者とご家族、そのあたりが集まって会議をして支援をしています。3か月に1回ほどケア会議をして支援をしています。 司会/他に、他機関が入って一緒に支援者会議をしている県はありますか。特に支援者会議を開かずに、自分たちコーディネーターと職場の上司とで、何か問題解決しているということでしょうか。 会場/ある盲ろう者の障害が重くなり、心が不安定になり、友の会だけではどうしようもなくなったことがありました。そこで、県に相談に行き、地域の市の福祉課に相談し、ケアマネージャーにも入ってもらい、そして病院を探してもらったということもありました。 会場/奥様とお子さんも障害者という盲ろう者がいらっしゃいます。一人でその障害のある家族を支えていたため、何らかのサポートが欲しいと、ご本人から通訳・介助員に訴えがありました。行政につなげてネットワークを作り、支援に結びつけたかったのですが困ってしまいました。私達は通訳・介助員ですし、動くのは盲ろう者当人です。通訳・介助員として関わる中で、盲ろう者当人が、家族への支援を行政に要望する、そして支援にうまく結びつけていく、ということが大変でした。私達が一歩先に出てしまうと、行政側には理解していただけません。かといって、盲ろう者がそこをうまく話しをして、行政側に理解してもらうということも難しく、非常に苦労しました。派遣は友の会で受託していません。派遣事務局は1人ですが、事務所は情報センターの中にあります。そこが持っているネットワークを使って、みなさんの協力もあって、いろいろな人に入って会議を開くことができ、今ではよい方向に進んでいます。できる範囲は限られていますが、相談をうまく繋げていくことが大事だと思います。 司会/他にありますか? 会場/法的なことに関わることがあったのでお話します。大変重い事例です。ある盲ろう者から、同じ盲ろう者仲間にも通訳・介助員にも知られたくない、コーディネーターにも頼みたくないといったたぐいの相談を受けました。きれいな女性に海外投資を持ちかけられて、2回ほど投資をしたけれど、利益が上がらない。それで、おかしいと気付き、個人的に相談を受けました。私はコーディネーターではなく、盲ろう者友の会の事務局員として勤めています。これは自分の力を超える範囲の問題だとすぐに判断をして、消費者協会のような第三者的なきちんとした機関に相談に行くよう進めました。筆談での会話ができる方でしたので、最初は一人で行ってみる、そこで、どうしてもダメなら、私のところに相談に来る約束をしました。大丈夫だったようです。専門機関についての情報を持ち、何かあった際には紹介ができることも大事なのかなと思います。 それから、他に財産に関する事例もあります。兄弟同士の分与と親の遺産に関する事例です。その時は、無料相談所があるので、そこに相談に行ってもらいました。一人で抱え込まずに、専門の方にお任せするのも方法かなと思っています。 会場/問題が起こった場合、どういう機関に相談すべきか、という問題があります。分かっていればよいのですが、分からないのです。 会場/今のご質問についてですが、各都道府県に「障害者110番」という機関があります。必要に応じて弁護士無料相談などに繋いでもらえます。司法書士、弁護士、他の医療機関などにも繋いでもらえます。まず、障害者110番に連絡するのがよいと思います。 司会/新しい質問がありましたら、挙手をお願いします。 会場/2つあります。1つ目は、私の県では年間派遣チケットが400枚と決まっているのですが、中には半年で使い切り、追加が欲しいという盲ろう者がいます。他県で同じような状況のところがありましたら、どのように対処しているかを教えて欲しいです。もう1つは、盲ろう者の家族が通訳・介助をしたときに、謝金の対象にしているところはあるのかどうか。もしあれば教えてください。 司会/ご質問は2点でした。最初は、チケット制のところにお伺いしたらよろしいですね。400枚と決まっているが早々と使い切ってしまう。その後どうされているのか?チケット制のところは挙手していただけますか。13都道府県ですね。 会場/チケット制で、だいたい要綱では1年間に240時間となっていますが、さらに要綱の中には全体の状況によって調整ができるとあります。今のところ一番多い人は400枚を今年度少し超えると思います。その場合、3か月ごとに状況を聞いて、調整をし、1年ぐらいで使い終わるようにしています。 司会/要綱にある程度その調整ができるという、緩やかな、盲ろう者にとってはありがたいことですね。それが記載されているので、仮に240枚をオーバーしたとしても、実質使えている方もいるということですね。 会場/うちの県では240時間で打ち切られ、予算が残れば返しています。 司会/240時間が限度いっぱいで、それ以上はダメだということですね。 会場/昨年までは240時間でうまく運営してきましたが、今年度は後3か月ありますが、足りなくなったという話を初めて聞いたので、どう対処すべきか、このコーディネーター会議が終わってから県と交渉することになっています。他県の方が話されたように、予算が余ることもありますから、使われていないチケットを使えるように緩やかな要綱に書き換えてもらえるかといった交渉もする必要があると思います。 司会/チケット制で、うちはこのようにしているよ、という事例があれば発言をお願いします。 会場/チケット自体の枚数を見直しました。以前は1時間に1枚で年間240枚が配布されていました。15分の通訳でも1枚とカウントしていたので、30分で1枚に直しました。時間は240時間ですが、チケットの枚数は480枚。足りない分は、要綱には書いてありませんが、コーディネーターの判断で、使ってない方の分を回しても良いと、県の福祉課より了解をいただいています。 司会/県と良好な関係が持てて、うらやましいという声が出ていますが、他の地域はどうですか? 会場/2〜3年前までは、派遣時間は年間240時間と要綱に書いてありました。ただ、盲ろう者からは足りないという声が寄せられるようになり、他県の要綱を参考に、ゆるやかな要綱に書き換えていただくよう交渉を進めました。結果、240時間が限度ではなく、少し緩やかに、余れば少し調整できるようになりました。予算をたくさんいただいているにもかかわらず、半分は余らせてしまっていて、もったいない状況にあります。県の福祉課も、盲ろう者に対しては好意的で、ありがたいです。今年度も前期6か月間で160枚、第1期配布です。第2期配布は10月ですが、希望をとります。2期配布の時は、全く使わない方の分を、必要とする方にまわしてもよいことになりました。第3期配布として、1月に必要な枚数の希望をとることにしています。来年度も、できるだけ希望枚数がもらえるように配布していきたいです。 会場/友の会が派遣事業を受託し、全部で36,400時間の委託契約を結んでいます。登録盲ろう者は約100人ですので、単純に割ると、1人あたり364時間の派遣が使えることになります。もちろん、チケットだと364枚を1人で使うことができるということです。実際には、今年度予定では、約900時間の派遣を一人当たり最大利用できるようにしています。派遣事業を使う人と使わない人の差が激しいため、使わない人の部分を使う人に回すことで運用をしているということです。チケット配付は、2回に分けています。年度始め、4月〜12月(9ヶ月分)のチケットをお渡しし、足りない人には、残り3ヶ月分を予算に応じてお渡しする形で運用しています。どうしても足りなくなる人もいます。追加で渡すことはしていませんが、どうしても生命、健康に関わるような、例えば透析などでの通院などがあり、現状のチケットだけでは足りない時には、別途、緊急用チケットを渡し、それを使ってもらうようにしています。 司会/緊急用とは、別枠ですか?組み込まれているものですか? 会場/別枠では設けていません。36,400時間の中で、緊急事態もあるだろうからと、その分の予算を組んでおき、その中で運用するようにしています。年が終わる頃に、緊急なことはなさそうだということであれば、登録者が普段に使うチケットに回す形で運用します。登録者が使う一般のチケットの他に緊急用チケット、そして友の会活動用チケットを設けています。これは、友の会の会議が行われた場合、盲ろうの理事が動くための、その部分のチケットを別枠で用意し、それを使ってもらっているわけです。全体のために活動しているのに、その活動の結果、個人のチケットが減り、個人の生活が困るようではいけないという観点に立って、友の会活動用のチケットを別途発行しているということです。 会場/チケットの運用の決定者はコーディネーターと理解して良いでしょうか?それとも友の会の判断をあおぐのでしょうか? 会場/チケットの運用に関しては、コーディネーター個人が決めるのではなく、派遣の運用を決める委員会を設けています。その委員会のメンバーの構成は、友の会の理事が2名(盲ろうの当事者、派遣事業の登録盲ろう者)です。それと通訳・介助員1名。そして私も含めたコーディネーター2名。養成事業の担当職員。これら6名で、大体2ヶ月に1度の頻度で、派遣事業の運用について話し合っています。 司会/他の県でも、個人用だけでなく、団体用にチケットの用意がある県があれば挙手をお願いします…2県。 会場/私のところでは、団体用というか、友の会の役員活動のための利用券が認められ、平成24年度から配布されることになりました。昨年10月に要望し、県と友の会と派遣事務局3者の面談の結果認められました。説明だけでは足りないからとデータをとり、また、盲ろう者協会からも文書を送付してもらうなどもしました。前年度の役員活動は202時間数でしたので、300時間を来年度から友の会に交付されることになりました。 使い道に関しては友の会で話し合って決めることになります。盲ろう役員は8人で、障害の状況も様々、住んでいるところもまちまちです。自宅から会場までの移動も含め、全てが役員会活動と見なして使います。 会場/以前は全国盲ろう者協会から団体に対してチケットが出ていましたが、それがなくなったために、役員会等で自分のチケットを出さなければならない状況になりました。そこで、役員用のチケットを作ってはどうか、という話が出てきたのが今年になってからのことです。県の障害福祉課の担当者に説明したところ、予算は増やせないが予算内であればやってもよいと言われました。これから話し合って、どのような形にもっていくか、詳しい内容について今後決めていこうと思っています。 司会/ありがとうございました。他にチケットでいくつか種類を設けている地域はありますか? 会場/補足をします。チケット種類は4種類あります。1つは通常の登録盲ろう者が使うもの。2つ目は先ほど申し上げた緊急用のチケット。病気などでどうしても通常チケットでは足りない場合に発行されるものです。3つ目が友の会活動用のチケット。友の会の活動に関わること。例えば、理事会、交流会の企画会議、交流会の企画をするための下見にも使うことができます。4つ目、盲ろう者支援センター事業用チケットです。そこの事業を利用する時に使えるチケットです。例えば、訓練を受ける時、当然支援センターに行くまでと、支援センターで訓練を受けているときには通訳・介助が必要になります。そういう時に個人のチケットは使わなくてもすむように、別途支援センター事業用チケットを個別に1回ごとの訓練で訓練毎に渡しています。訓練以外にも集団での学習会などでも個別に1回ごとに渡しています。 会場/支援センター事業は、県外の盲ろう者でも利用することはできますか。 会場/支援センター事業は、相談事業・訓練事業・交流会、学習会の事業・専門人材養成事業の4つの柱からなっています。他県の方で、支援センターでパソコン訓練を受けたい場合、空きがあれば受け入れます。学習会なども参加ができます。ただし、それにあたっての派遣については、各県の派遣事業を利用していただく形になっています。センター事業用のチケットを他県の方が利用することはできません。 司会/2つめの質問に入ります。家族に対して通訳・介助を認めているかという質問です。認めている県はありますか?…4県。 事例や派遣内容なども説明をお願いします。 会場/何故、家族が認められているのか、それは、盲ろう者が住んでいる地域に通訳・介助員が少ないということが一番の理由です。養成講座を開いてはいるものの、習得するのに時間を要するコミュニケーション手段を用いている人なため、なかなか適応できる通訳・介助員の数が増えないことから、派遣事業が始まる前からその方の家族が通訳にあたってこられました。家族の通訳に謝金を払うことについて、県にも実際に相談に行ったことがあります。やはり、通訳・介助員がいないため、派遣が活用されないことは、その盲ろう者にとっても不利益になるということから、県もそれは仕方がないことだろうと、そのまま、ご家族が通訳・介助活動をした際にも、謝金をお支払いしています。 会場/外出、移動時の通訳・介助は認めません。しかし、大会や講演会、会議等の場で、どうしても通訳・介助員が見つからない場合には、ご家族にお願いすることがあります。 会場/原則として認めてはいません。しかし、要綱の中には、「理事長が認めた場合はその限りではない」という但し書きがあります。友の会活動に関するチケットを使う場合については、家族にも派遣事業の活動として認めて、チケットを渡しても良いということにしています。これはだいぶ前からそのようになっているので、私もなぜそうなのか詳しくは知りません。会の活動上、緊急にどうしても盲ろう者の理事なりが動かなければならないときがあります。そんなときは、家族に頼らざるを得ないという意味合いがあると、私は解釈をしています。 司会/原則は認めていないが、どうしても見つからなかったり、仕方がないときに家族の派遣を認めているということでした。他にはありますか。 会場/派遣事業ではないですが、養成事業で講師を担当する盲ろうの方の場合、行き帰りの移動の通訳・介助は家族の人も認めることとしています。 会場/要綱上はなんら触れていませんが、親子兄弟で世帯が別であれば認めることとしています。同居の場合は認めていません。 司会/次に進みます。是非皆さんにこれは聞いておきたいことなど、何か良い知恵があれば出してほしいですが。 会場/通訳・介助の範囲をどのように考えればよいのか悩んでいます。盲ろう者も高齢になってきて、介助というよりも介護に移ってきているところがあります。実際にあった事例ですが、うちの場合は直接依頼も多く、報告書があがってきてこういうことがあったのかと、びっくりすることもあります。病院の中で、食事の介助、着替えの介助をやっているという記述があるからです。これは、通訳・介助にあたるのかと、県とも相談をして、盲ろう者向けの通訳・介助に当たらないと結論を出しました。活動自体はもう済んだことですし、謝金はお支払いしましたが・・・。これからこのようなことが多くなると推察されます。盲ろう者が望むことは、全てが通訳・介助だと言われますが、どこまでなのでしょうか。 司会/通訳・介助員の活動の範囲、内容はどういったものまでを指すのか、それがまず第1の投げかけですね。質問を先に出してください。 会場/コーディネート初心者です。今年度担当してみて、悩むことが多々ありました。その中から質問します。ある盲ろう者はデイサービスを利用されていて、ある日、クリスマス会が施設であるので通訳・介助をつけて欲しいとの依頼がありました。通訳・介助員がいなければ、ただその場に座っているだけの状態になることが想像されました。要綱を確認し、余暇活動の一貫として使用すれば問題ない、派遣しようと思いましたが、施設の行事は毎月ありますし、全てには対応ができそうにもありません。結局、こちらの職員が対応するという形をとりました。チケット制でもなく、上限もないので、そのような場合はどうすればよいか、1つ聞きたいところです。 また、こんなこともありました。家から会場まで、盲ろう者を連れてきて欲しい。それは行きだけでよく、帰りの送迎はいらない、奥さんが連れて帰るからという、依頼があります。会場で盲ろう者と別れた場合、通訳・介助員には、果たして帰りの交通費はでるのでしょうか。 それから、今まで、盲ろう者が他県に行くことはありませんでしたが、ある盲ろう者から、来年の全国盲ろう者大会に参加したいと依頼がありました。そのような場合、どうすればよいのでしょうか。通訳・介助員を派遣できる上限は、1日8時間と要綱で決めています。宿泊を伴う場合、1日8時間では対応ができなくなってしまいます。他県では、盲ろう者が県外の大会や旅行に行く場合には、どのように対応しているのでしょうか。 司会/たくさんありましたが。まず、施設に派遣をどう入れるかということでした。2番目が、ガイドにおける交通費の問題。行きだけで、業務は終了しているが、帰りの交通費はどうしているかということ。3番目は県外派遣。1日8時間という枠がある中で、どのように対応しているかということですね。 会場/これは、養成にも関わることと思いますが、先ほど報告書の書き方のところで、養成講習会の最後に報告書の書き方を説明するところが多かったようですが、養成講習会が終わった時点で、通訳・介助員として登録するのを前提に説明をするのでしょうか?私の県では、講習会を修了してすぐには登録できないことになっています。 司会/これまでに、5つの質問が出ました。1つ目の業務範囲については、話が長くなるかなと想像ができるので、後に回します。2つ目、施設への派遣についてから話を進めます。デイサービスへの派遣を認めているところはありますか?ある場合は、どのような施設なのかも含めてお願いします。 会場/私は施設職員ですが、施設利用者はほとんど派遣の登録をしています。行事などで利用することが多く、普段はなかなか使う機会がありません。 会場/身体障害者の作業所で月に1回ぐらい屋外レクリエーションがあります。県との協議の結果使えないこととなりました。施設の職員が対応すべきことで、サービスを重複して使うのはおかしいという理由からです。しかし、そこの職員が触手話や指点字の技術を習得するには時間もかかるため、盲ろう者がレクリエーションに参加しても、情報が得られない状態のままです。そこの作業所の職員には、県からの指導もあるので、技術を習得するようにと伝えてはいます。 会場/盲ろう者が施設を利用するにあたり、施設の職員がどのような対処をしてよいのか、地域包括支援センターとしてもどうすればよいのかが分からないという相談がありました。 会場/要綱には、宗教的活動、政治的活動、物品販売等の営業活動。この3つには派遣できないとあります。したがって、施設のデイサービス、デイケアには、派遣しても差し支えないという判断をしています。盲ろうの子供が、学校での通訳を必要とする場合にも派遣しています。継続的な派遣が考えられる場合でも、割り当てられたチケットの範囲であれば、派遣はできることになっています。 会場/私のところでは、オセロ、ヨガ、パン作りなどの屋外活動なども認めています。 司会/デイサービスについては、このあたりでよろしいでしょうか。 会場/職員の方が通訳技術を習得されるまで、あるいは、チケットが使える範囲であればよい等、それぞれの地域性に合わせて認めているのですね。分かりました。 司会/交通費について進めます。行きだけの移動介助をして、実際に通訳・介助が終わった場所から通訳・介助員の自宅までの交通費は出るのかという質問だったと思います。それについて、意見はありますか? 会場/私のところでは、移動介助、通訳・介助行き1件、帰り1件としています。ですから、通訳・介助員の自宅から盲ろう者に出会うまでの交通費と、行きだけの依頼をされた方は、ご自身が帰るときの交通費も出ます。だから行き帰り通しでということでもない。行きは1件、帰りも1件とそれぞれ帰るときも交通費は出ています。 司会/行きは行き、帰りは帰りという話でした。行き帰りを一緒にしていて、現地で通訳・介助が終わったとき、そこから帰宅介助がなくて、現地から自宅に帰るときに交通費が出ないという地域はありますか?いないようですね。 基本的に盲ろう者と会うまでの交通費と盲ろう者と別れてから家に帰るまでの交通費は、しっかりと交通費として支払っているということでよろしいですか? 司会/次に、県外派遣について進めます。他県に、旅行や全国盲ろう者大会に行く場合、上限8時間という決まりがある場合、8時間を超えたらどうなるのでしょうか?県外派遣を認めていて、上限8時間という決まりのある地域で、何か意見やアドバイスがありましたら、お願いします。 会場/要綱では上限8時間とあります。これは原則8時間ということで、全国盲ろう者大会や中・四国盲ろう者大会などに参加するため県外に出た場合は、8時間以上の派遣を認めるとしています。先日の中・四国盲ろう者大会では、盲ろう者と相談して、1日12時間、2日間で24枚と決めました。 村岡/全国盲ろう者大会も担当しているので、ご説明させていただきます。全国盲ろう者大会では、基本的には、大会期間中の参加盲ろう者につく通訳・介助員には、額は少ないのですが、協会から謝金を支払っています。ですから、大会期間中は、派遣費から謝金を支払わなくても大丈夫です。ただし、盲ろう者のご自宅から会場までの行き帰りの交通費は、地域ごとに考え方があると思いますので、盲ろう者と通訳・介助員間で相談をして、自分の地域の派遣制度を使うのか、あるいは、通訳・介助員と盲ろう者がお互いにお金を出し合うか、それは相談してそれぞれで決めていただければと思います。 塩谷/先ほどの交通費のことと、1日8時間について補足します。いずれも、労働基準法が根拠になっています。1日8時間は、1日の労働時間が8時間と決められています。それを超えて働かせる場合には、割増賃金を出さなければなりません。ところが、訪問相談事業を始めた時は、この割増賃金を支払う余裕がなかったので、8時間の根拠を、肉体的限度としました。つまり、8時間以上働かないでくださいということです。それが根拠になっています。実際には、8時間を超えてしまい、理屈に合わない実態になっていることはよく分かっています。それを踏まえて、各派遣事業の要綱にどう定めるかということです。 また、通勤手当についてですが、介護保険等の規定では、利用者本人に会うまでは通勤時間と定められています。ですので、そこでの謝金は発生しません。利用者本人に会って活動するのが仕事時間で、謝金が発生します。帰りは通勤時間ですので、その部分の交通費は支給しなければいけません。原則を言えば、労働基準法ではそうですが、ただ、これを先ほども言いましたように、各派遣事業の要綱にどう定めるかで決まってくると思います。以上、補足でした。 司会/県外派遣を認め、上限8時間と要綱で決めている地域は、17都道府県。8時間で区切っていないのは、18都道府県です。9時間通訳・介助をした場合、超えた1時間分は払わない地域が10都道府県あります。 会場/肉体的に疲労が出るだろうということと、予算の都合もあり、1日8時間が限度となっています。よって、8時間を越えた場合には、全てボランティア、謝金は8時間分しか支払われません。そこで、行きと帰りの送迎をそれぞれ一人にしたり、なるべく8時間内に終わるように工夫をするようにしています。予算が増えれば、超過料金を出したり、早朝深夜は割増とすることができるのかもしれませんが、今の予算では出来ません。通訳・介助員の負担にならないように、2日、3日と通訳・介助が続く場合には人を変えるなどの工夫をしながら、頸肩腕にならないように調整しています。 司会/他に特別な理由があるところがあればお願いします。 会場/要綱には、8時間が限度だと書かれています。コーディネーターとして一番心配していることは、(実際には8時間以上活動しているにも関わらず)8時間を越えた部分の保険をどうするかということです。上とも相談して、決定書には、例えば8時から20時のうち8時間と書くようにしています。万が一の時にも保険対応になるようにとの配慮です。コーディネーターとしても心配ですし、盲ろう者にも通訳・介助員にも申し訳ない気がします。肉体的にも疲れますので、盲ろう者には、8時間が限度なのだと説明するようにもしています。通訳・介助員が疲れきった場合には事故になりかねないとも言っています。 司会/ありがとうございました。3つの質問はこれで良いですか?さらに聞きたいことがあれば出してください。 会場/県外で宿泊する場合には、特に全国盲ろう者大会での宿泊費は、盲ろう者は自分のものだけを支払うものなのでしょうか? 司会/全国盲ろう者大会の時、通訳・介助員も宿泊をしますが、通訳・介助員の宿泊代は通訳・介助員が負担している地域は23地域ですね。反対に、盲ろう者が通訳・介助員の宿泊費も負担している地域は挙手を。 会場/全国盲ろう者大会にはできるだけ大勢の盲ろう者や通訳・介助員に参加してほしいので、友の会では交通費の助成、参加費の助成を考えています。交通費は、距離によって何%の助成と決め、出来るだけ皆さんが参加しやすいように会として考えています。 司会/今のように友の会でお金を助成している地域は、他には…4県。 会場/大変参考になりました。ありがとうございました。 司会/続いて、通訳・介助員登録の方法についてです。先ほどのご質問で、養成講座を修了してすぐに登録しているのかとありました。登録方法は各県異なると思います。 会場/登録の条件として、養成講座をある程度の回数を受講したことが条件になるとしています。ただ、修了証書を渡してすぐに登録とはしていません。友の会活動への参加を呼びかけて、会員として活動した上で、ある程度のところで登録を進めています。 司会/自分の地域ではこのようにしているとの意見はありますか? 会場/受講案内には、県内在住、在勤、在学で、20歳以上で、養成講習の全カリキュラムを受講でき、修了後に通訳・介助員として登録し活動できる者という条件をあげています。諸事情により全日程出席するのが難しい場合には、内規として80%出席としています。養成講習会の最後に、受講された人達には、この条件を読んだ上で申し込み受講したのだから、当然修了したら、申請書を書いて登録する、しなければならないですねと話します。講座は公的なお金を使ってやっています。登録申請書をいただかないと登録はしません。現実としては登録申請書を出してもらえないことも毎年あります。養成講座終了後、1ヶ月経っても登録申請書を出さない方には、申請を出してくださいとアナウンスします。それでも出さない人がいます。その時には、その人の意思で出さないので、それ以上のアナウンスはしません。出さない理由を聞くと、とても、この講習会を受けただけで、盲ろう者の通訳・介助を担う自信がないというのが一番の理由のようです。それを担っている側の予算などが影響しているのかと思います。登録しないとせっかく学んだことを活かせないし、スキルアップできる研修も受けられるので、登録すれば、現任研修なども受けられますし、できるだけ、修了者全員が登録できるように取り組んでいます。 司会/登録に関して、現状を話していただければと思います。 会場/平成15年から養成講座が始まりました。今年10周年だったので、集計を出しました。講座申込者が平成15年〜22年までで228名。そのうち、講座後、修了書を出した方は109名です。登録した人は、協会の訪問相談員で活動していた人を友の会の推薦という形で出しましたので、全部で112名。そのうち、29名は登録抹消というか、申請手続をしていません。現在の登録者数は83名です。条件として、修了後登録をするようにとあげていますが、やはり、コミュニケーション技術が音声だけだったり、自信がないからもう少し友の会で活動してから登録をしたいと言われる方も多いです。修了した時点で登録して、活動の中でスキルアップしていくのがよいかなと私は思っています。指点字や手話、触手話、接近手話などの技術を持っている人が少なく、実際には30名ぐらいで県にもそのように報告しています。毎年、その年の活動の有無について尋ね、活動しないという方には情報提供を1年間行いません。現任研修会の日時は毎年、一度は連絡しますが、その後の細かい連絡はしません。技術認定など、盲ろう者への通訳・介助がある程度できるレベルになったかテストをしてレベルアップをしたいという声もありますが、基準がはっきりしないため、それもなかなかできていません。もう少し質の高い通訳・介助ができるように、底上げをしていかなければならないと考えてはいますが、現任研修の予算もほとんどついていないので、自分たちで頑張ってやるしかないという状況にあります。読み取りが上手くいかず、指点字や音声通訳の人にきちんと情報が伝わらないことがあり、会議のときに行き違いが生じ、喧嘩になってしまうこともあります。いろいろあり、レベルアップもしていかないといけないので、全国的な通訳・介助員の集団が必要ではなかと思ったりもします。 司会/ありがとうございました。それでは、最後に大杉さん、感想をお願いします。 大杉/皆さんのお話をいろいろと伺い、私も勉強になりました。盲ろう者として申し上げたいことはたくさんあります。多分、私が意見を出しますと、ちょっと議論になってしまう恐れもあります。1つには交通費のこと、2つ目は派遣はどこまで使えるかということです。皆さんの考え方は一様ではなく様々だと思います。ですからここは議論になるところだと思います。その話は明日に持ち越しなので議論の盛り上がりを楽しみにしたいと思います。 司会/大杉さん、ありがとうございました。これで本日の予定の情報交換会は終わりました。この後、意見交換会もあります。 (3)情報交換A 【助言者】  大杉 勝則(広島盲ろう者友の会) 【司会者】  冨口 真佐志(静岡県聴覚障害者情報センター)  中村 千鶴子(兵庫県立聴覚障害者情報センター) 【会議録】 司会/昨日に続き、通訳・介助業務の範囲についてから話し合いをします。介助ではなく介護を行うことがあると意見がありました。また事前アンケートの中にも子育て中の盲ろう者の通訳・介助のことが書かれています。皆さんの地域ではどのような対応をとっているのか、ご意見を伺いたいと思います。 会場/私の県では、先天性盲ろう児者の車椅子、排泄の介助を行っています。事前に、通訳・介助員に業務の範囲内ではないが行ってくださいと伝えています。 会場/盲ろう者の母親が入院し、盲ろう者が母親のサポートをしたいということで派遣依頼がありました。通訳・介助員としてどれぐらいの範囲で動けば良いのかという相談がかなりありました。他の事例ですが、他の障害をもっていて、だんだん病気が重くなり、車椅子を押す、着替えの手伝いをする、荷物を代わりに持つなど、介護の割合が増えてどうしたら良いのかという相談を受けています。盲ろう者の両親と相談をしたのですが、なかなか解決には至らず、通訳・介助員も大変だという話でした。私の協力の仕方も難しいです。 会場/私の県に、子育て真最中の盲ろう者がいます。2人目のお子さんが生まれて、保育園の子どもを連れた状態での通訳・介助の状況がでてきています。実は、1人目のお子さんが生まれたときから、赤ん坊のお子さんと一緒に歩く場合、どちらが赤ちゃんをだっこするのかと通訳・介助員から声が挙がっていました。それは盲ろう者が赤ちゃんをだっこするなり乳母車なり、という話をしたのですが、赤ちゃんをだっこして通訳・介助をしているという話があって、ビックリしました。確かに、盲ろう者がだっこすると、両手がふさがって大変だと、いろいろ考えましたが、その時も解決しないままになっていました。子どもを見ていると、盲ろう者に対しての通訳・介助がおろそかになり、とても危険な状況だったという話がありました。なるべく子ども2人を連れた通訳・介助にはならないようにご本人が気をつけていますが、待っている時とか、子どもがうろうろしているのを見ていないといけないし、子どものお世話をしなければいけない状況もある。いろいろな不満、不安な意見が出ている状況です。子ども連れの通訳・介助の経験のある方、どこまでが業務範囲なのかアドバイスをいただければと思います。 会場/お子さんも一緒に車を乗せての利用があり、仕方がなくやむなくということが多いです。病院では、子守のような形を取らざるをえないということで違和感があるという通訳・介助員もいます。 会場/私の県の場合は、子育ての人、親を介護している方もいないので、そのような問題は出てきていません。通訳・介助員の業務は何なのかが明確になっていないということもあります。車いすの介助中に、事故が起きた場合、誰が責任を持つのかという不安がコーディネーターには出てきます。子守りをしている状況でも、子どもを育てたことがあるとか、保育の勉強をしている方は良いのかと思いますが、自分の子どもではないので、不安があると思います。不安の中で、そういうことをさせてしまって良いのかと思うので、コーディネーターとしては、きちんと線引きをした方がよいのではと思ってしまいます。家族、本人と相談しないといけないと思います。そういう制度を利用できるなら一緒に出来ないかと思います。 会場/うちの県も、まだ子育てや親の介護をしている盲ろう者はいません。一応、何かが起きた場合は、手話通訳や要約筆記の事例を参考にして、進めるようにしています。通訳・介助員としてどうするのかを考えた上で指導していくしかないと思っています。 会場/私の県では、盲ろう者が高齢で認知症がある方がいます。その方の介助をする上で、身体介護が入ってしまう例があります。通訳・介助員から、買い物と散歩の依頼のつもりで行ったら身体介護、排泄の介護などをやらざるを得なかったという報告がありました。これは、本人からというより家族からの依頼で派遣をしています。ご家族に連絡をして、通訳・介助の業務ではないので、派遣はできません、と申し上げました。するとご家族は、身体介護は頼んでいない、やってくれなくても良いですと言うのです。実際に報告があがっているので、通訳・介助員に確認をしてみました。やはり身体介護をやっていました。その通訳・介助員は、別にそれほど気にしてなくて、やっているということでした。結局、ご家族にも話して複数の方からそういう話が出ていると話したら、確かにそうです、と。他の制度では対応できないということです。例えば、ホームヘルパーの派遣は、時間数が限られていて、ご家族もご高齢で介護ができない。そのため、しかたがない、という話でした。その後、私達からご本人に、ご家族の許可を取り、役所にも確認して、何とかならないかという話をしましたが、現状ではこれ以上ヘルパーの派遣はできないと言われました。最終的な考え方としては、その人を支える制度が通訳・介助員派遣事業しかなければ、それを活用してもらうしかないだろうと考えています。一方で、そのように考えたとしても、通訳・介助員自身がどう思うかは、とても大事だと思います。依頼主として、身体介護を含む可能性がある、それがもし抵抗あるようなら断ってくださいと、それを前提とし、それでも良いという人を派遣しています。身体介護というのは通訳・介助員の業務範囲かというと、それは範囲ではありません。そこは通訳・介助員の善意というか、人としての善意の範囲でやってもらっているという認識のもと、派遣をしているという、正直苦しいところです。そういう形で派遣をしなければ、盲ろう者の生活が支えられない状況なので、やむを得ず、通訳・介助員の了解を得ながらやっている状況です。 会場/お母さんが盲ろうで、お子さんが2人いて、1人は健常、もう1人が盲ろう児という家庭があります。お母さんにも娘さんにも登録していただいて、派遣をしています。基本的には申請が面倒なので、お母さんの名前で申請をして常に2人派遣をしています。お母さんの通訳・介助とお子さんの支援等を2人の通訳・介助員に、現場の中で臨機応変に対応してもらっているケースがあります。ただお子さんも盲ろうなので、2人派遣にしています。お母さんと健常のお子さんだけの時は、一人派遣で対応する時もあります。お母さんも子どものことは自分でやりたいと言っています。高齢の方に関しては、アンケートにも書いたとおり、悩むところであり、盲ろうのお子さんも、身体介護で排泄介助、車椅子の介助をしているので、大人の人も同様かと思いますが、大人の場合は、介護保険があるので、その制度を基本的には使って行くべきかと。今現在、ご高齢の方で、排泄介助とか、介護の業務を担っている方はまだいません。もう一つは認知症の問題があります。通訳・介助員は基本的に自ら判断できません。判断するのは盲ろう者自身なので、必要な情報を伝えて選択や判断を盲ろう者自身にしてもらうが、本人の意思や判断を聞くことができません。結果通訳・介助として何をするかと言うと、介護的なもの、内容の分からない話を聞くとか、そういう部分もあります。病院に行くという部分もあります。その人の場合は、まだらぼけと言うのでしょうか。病院に行っているときはしっかりしていますが、家に帰ると、現実的でない話を延々とされるとかがあります。そこは奥様がもっと重い認知症で視覚障害者。ご主人が盲ろうです。だから、何もしませんとなると、家庭を考えると難しい部分もあるかと思います。その方は相当認知症が進んでいるのか、最近申請がなくなりました。そういう問題が起きた時、こちらも緊急連絡先の娘さんのところに一度連絡しました。派遣をしているが、どうも認知症というところで、現実的でない話をされることもあるので、それが進み自分で判断ができなくなると、派遣制度を使うのは難しくなるかもしれないと話すと、家族はまだそこまでいっていないから大丈夫だとその時はまだまだら的なところもあったので、もう少し様子を見ましょう、と派遣を続けました。今は派遣の申請がないので、そこに派遣をすることはありませんが、今後、認知症の盲ろう者の方に通訳・介助の業務としてはどこまで対応していけるのかを逆に私が皆さんに事例があれば伺いたいと思います。 会場/私は今年度の4月からコーディネーターをしているので、あまり詳しくは分かりませんが、お一人認知症というか、精神的な部分でなかなか自分では判断ができない盲ろう者がいます。手話は昔は出来ていたが、それも忘れてしまっています。その方は、ご家族とも話し合われたのだと思いますが、週に1回ホームヘルパーを利用しています。1時間だけ通訳・介助員が行き、そこでその方のお話を聞く支援をしています。月、水、金の11時から3時まで友の会の事務所に来ていただいて、支援者と一緒にいろいろなことをしています。そこにも参加をしていただき、その他に週1回、通訳・介助員の決められた方に支援をする。話をして、いろいろなことを思い出してもらったりするのが目的だと聞いています。 司会/ありがとうございます。確認ですが、実際に特別な身体介護が必要ということではないですか? 会場/ご自分で排泄等はされています。ただ、もしもの時は、通訳・介助員が身体介護をしているかもしれません。動きも悪いと便通もよくなかったりなどのいろいろな状況があると思うので、その時は何かお手伝いをされているかなと思います。 会場/私の県では、先ほどあげた認知症の事例があります。他にも認知症のグループホームに入所している方に対して、通訳・介助の派遣をしています。グループホームですので、必要な身体介護が発生すればスタッフが対応しています。話が変わりますが、先ほど移動介助において、車椅子の人をどう考えるかという話がありました。考え方として、車いすの介助は移動の支援である。通訳・介助員の業務の役割は、移動とコミュニケーション支援。その移動の中に車いすの介助は入っています。ただ、養成講習会などで車いすの操作方法は教えていません。ですので、登録の申込書の中でホームヘルパーの資格を持っているかどうか把握しておき、その資格を持っている方を優先して、車椅子の介助の必要な人に派遣をするという考えの上で運営をしています。 会場/先ほどの事例への質問です。認知症の方は、誰がチケットを管理するのでしょうか? 会場/最初の例の、ご夫婦2人身体介護が必要なケースは、ご主人が管理をして、ご主人がチケットを渡しています。認知症のグループホームのケースでは、グループホームの職員が管理しています。 会場/高齢者の場合は介護保険が適応になります。私の家族が認知症なので介護をしていますが、ケアマネージャーを通してケース会議が必ず開かれます。そういう場に派遣事業の担当者が入ることはしてないのでしょうか?必ず呼ばれると思います。家族も入っているし、町内会長・近所の人など関わる人全てが呼ばれます。月1回開かれているものだと思いますが、そこに呼ばれないのでしょうか。 会場/今の認知症のケースでは、ケース会議はやっているようですが、呼ばれることはありません。本来はケアマネージャーなどが支援プランを考えるとき、当然通訳・介助の派遣なども視野に入れる必要があると思います。通訳・介助の派遣というのは仕組み上、介護保険制度とは違うので、なかなか視野に入ってこないのかもしれません。別のケースですが、盲ろうと精神障害がある方についてのケースを検討する会議などが開かれたとき、実際に呼ばれ何度か参加したことはあります。 会場/私の県では何度かケース会議に参加したことがあります。2例あります。お一人は地域の相談支援センターからどのように関わったらよいかと相談がありました。まだ登録はされていませんが有料老人ホームに入っている方で、中途で見えなく、聞こえなくなった方で、施設の方がそれをきちんとしてくれて、その人の精神状態も安定しているということです。相談を受けたときは暴れてしょうがないから、精神科に入院させようと言っていましたが、今は有料老人ホームで穏やかに生活されているそうです。 会場/私の県では一人暮らしの盲ろうの高齢の方がいます。ケアマネージャーと派遣事業の担当者を交えて月1回のケース会議を行っています。情報提供や、どのような生活をされているか、どういう支援をしているかという話をしています。 会場/ケース会議というような、集まって話し合うことはありました。電話で話し合ったり、こちらから出向いて話したりしました。 会場/車いすのことですが、長い距離を歩くのが困難で、階段の上り下りが難しい盲ろう者がいます。JRを利用する場合、前もって利用する駅に電話、ファックスを入れておくと、階段の上り下り、駅構内の車椅子利用に対しては駅の人が全部やってくれます。その人が利用するのは、ローカル線で、駅にエレベーターやエスカレーターもないところなので、非常に助かっています。介助員の方もその部分は駅員にお任せできるので、安心してやってくださっています。 会場/私の県では、特別な場合に車の利用が認められています。高齢で足が弱く足が痛いこともあり、買い物に行くときは車で行きたいという盲ろう者がいます。目的は違いますが、結局、車で動いてもらっている状況です。 会場/ケース会議に呼ばれたから行くのではないと思います。私は家族を介護していて思うのですが、介護保険はその人を支えるという意味では、きちんとしていると思います。介護保険を利用する上ではケアマネージャーが関わっていると思います。ケアマネージャーに、盲ろう者の制度をPRして、利用範囲など説明した方が良いと思います。障害者の場合は、ケアマネージャーがいません。介護保険はお金がかかっているが、しっかりしていると思います。コーディネーターの負担は増えるかもしれませんが、いろんなところに出向き、盲ろう者の制度をしっかり伝えていかないといけないと思います。伝えていくことで、高齢の盲ろう者を支えることができるとも思います。車いすや認知症の盲ろう者の支援が必要なら、養成講座にも取り入れていかないといけないと思います。通訳・介助員の業務の範囲をはっきりさせるためにも、その勉強をしていかなければいけないと思います。 会場/やはり、通訳・介助員の業務範囲に身体介護は入っていないというのをコーディネーターは確認しておいた方が良いと思います。しなければいけないのなら、他の制度でできる人がいるので、そういう人と連携していくことを考えたほうが良いとも思います。盲ろうの場合は何でもありみたいなところがあり、何でもしてしまうという危険性を感じます。私の県のケース会議は、身体障害者の相談員が盲ろうの介助の勉強をしていました。ケアマネージャーも盲ろうのことは知らないので、こちらから積極的なPRは必要だと思います。 会場/コーディネーターは、盲ろう者に通訳・介助員を派遣することを業務としています。見えない、聞こえないだけでなく、他の障害の問題、いろんな悩みを抱える盲ろう者がいて、派遣制度だけでは支えきれない、支援の壁を感じています。将来的には、盲ろう者にもケアマネージャーのような仕組みができ、コーディネーターが盲ろう者に対して考えたり、どう支援するか、支援をどうつなげていけるかという、支援を全体で見られるようになれば良いと思うことがあります。 司会/ここからは、昨日、大杉さんから提案がありましたので、お話をしていただきます。大杉さんお願いします。 大杉/皆さんの意見と、盲ろう者としての意見は若干ずれがあるかもしれません。友の会の活動にも関係するものですので、友の会の役員にも一緒に話した方が良いのかなと思いますが、この場を借りてお話します。昨日話した、「交通費とは?」、「派遣はどこまで使えるのか?」の2つについてです。実はこの2つの問題は、以前から話が続いているもので、なかなか解決のつかない問題でもあります。実態調査報告書を見ると、交通費は、通訳・介助員が自分の家を出てから盲ろう者と会うまでの間と、盲ろう者と別れて家に帰るまでの間としている地域が多いですね。それは当たり前のことなのかもしれませんが、広島の場合、通訳・介助員が自分の家を出てから自分の家に帰るまで全てを言います。つまり、盲ろう者と会った時から盲ろう者と別れるまでの間、共に動く時の交通費。これは誰が持つものかということです。これについては、ずいぶん前からも議論になっています。広島の場合、盲ろう者と一緒に動く間は全て派遣の交通費から出しています。つまり盲ろう者は、通訳・介助員の交通費を負担することは無いということです。広島と同じ方法をとっている県はありますか? 司会/2県ですね。 大杉/コーディネーターの皆さんと話すべきか、友の会の役員と話すべきなのか分かりませんが、なぜ通訳・介助をしている間の交通費を、盲ろう者が負担しなければならないのか、これを改めて考えてみたいと思います。例えば、身体障害者手帳一種であれば介護付きですね。通訳・介助員とあわせて1人とみなして1人分の金額を支払います。これは、皆さんもご存知だと思います。一種介護付きの手帳を持っている人は、盲ろう者だけではありません。例えば、肢体不自由者、ろうあ者、視覚障害者なども同じように介護付の手帳を持っています。実際には1人で動かれる方もいます。広島の場合、自分の分だけ、半額分を払えば良いわけです。私たち盲ろう者は、自分の交通費と通訳・介助員の交通費、つまり、他の障害者に比べて2倍の交通費を出さなければならないのです。収入のある盲ろう者はそんなにいるわけではないので、通訳・介助員が動く上でかかる経費は、行政のほうで何とか責任を持っていただきたいと思います。簡単に言うと、同じ手帳を持っていて、皆1人分の交通費だけで済んでいるのに2人分払うのは負担に感じる、そういうふうに私達盲ろう者が思っているということを、皆さんにも理解していただきたいのです。JR、バスなどに乗る際に、なぜ身体障害者手帳を持っている人は半額で済むのか調べたことはありますか?介護者と2人で1人分として考えるから半額となっているのか。飛行機や新幹線の場合は、2人で1人分として考えられていません。広島市内の路面電車は、介護者2人までは無料で乗車できます。つまり、2人の介護者がついてきても、大人1人分の金額にはなりません。介護者と2人で大人1人分の金額なんだ、という考え方もありかもしれませんが、はたして、それでよいのか。皆さんもコーディネートの仕事をするだけでなく、自分の地域の交通費はどこが持つべきか、ということを改めて考えていただきたいです。 それからもう1つ。昨日、皆さんの話にもありましたが、交流会や全国盲ろう者大会、中・四国盲ろう者大会、自分の地域の交流会など、いろいろな場面で派遣を使っているという地域がありました。2〜3年前のコーディネーター連絡会にて、友の会活動にまで、派遣制度を持ち込んでほしくないと言われた方がいました。私も賛成です。やはり、そこは分けて考えてもらいたいものです。交流会は何のためにやっているのか。改めて皆さんと一緒に考えてみたいと思います。交流会は盲ろう者だけが楽しむ場でしょうか。また、皆さんがご存知の広島盲ろう者友の会、全国ほとんど同じ「友の会」という名前を使っています。「友の会」、この名前の意味は何ですか?盲ろう者だけの会ですか?盲ろう者だけでなく、その他の支援者、家族、関係者などいろいろな方が集まる会ですよね。交流会に皆で集まり、一緒に楽しむ、学ぶという場ではないですか?つまり、その中で派遣を使ってしまうと、交流会を何のためにするのか、よく分からなくなってしまいます。私たち盲ろう者が、自分達だけで楽しむのは無理です。昨年の12月に行われた全国盲ろう者団体ニューリーダー育成研修会の場でも話しましたが、友の会というのは、盲ろう者だけで楽しむのは無理なんです。支援者と共に楽しむ場だと話しました。20年前、全国盲ろう者協会の理事長をされていた小島さん、昔よくお付き合いをさせていただきました。友の会というのは、盲ろう者だけでなく、皆で集まる場だとおっしゃっていました。派遣は、盲ろう者個人の生活の中で使って欲しいと思います。友の会の活動と個人の生活をきちんと分けて欲しいです。中・四国盲ろう者大会、友の会の活動に関係のある行事などそういうものは、一緒に学び、一緒に情報を掴む、共感する、共に過ごす場だと私は思っています。通訳・介助員もいろいろお金がかかることがありますが、私たち盲ろう者も仕事を持っていません。そのような中、年に1〜2回の行事への参加を楽しみにしているのです。その為に貯金をしています。私は毎年全国盲ろう者大会に参加しています。そこで、盲ろう者から、こんなことを聞きました。「結婚したいよ。」と言うんです。「良い女性はいるかな。」とか。皆さんは笑うかもしれませんが、これはまじめな話なんです。通訳・介助員の派遣の立場ではとても声をかけられないですよね。通訳・介助の仕事としては。でも、一緒に楽しんでいる仲間同士なら、ナンパもできます。よく、お見合い大会などを企画して欲しいと聞きます。それもそうだなとは思いますが、なかなかお見合い大会は企画できないんですよね。それは派遣を使って来られる方がかなり増えてきたということに付随します。声をかけるわけにはいきません、仕事中なのですから。オーバーに言うと、通訳・介助員が派遣として来た場合、夜の懇親会ではお酒を飲んで良いのでしょうか。飲めないと辛いですよね。一緒に楽しんで参加するからには、おしゃべりをして、飲んで、ナンパしたり、楽しいことも企画できるんです。これは、笑いごとではなくまじめな話です。これまでの盲ろう者の様子を見て感じていることをお話させていただきました。賛同してくださるか、反発されるか、それは皆さんにお任せします。自分の地域に戻られたときに、友の会の皆さん達と話し合っていただけたらと思います。このことは、コーディネーターだけで考える問題ではないと思います。それから、昨日の議論の中で、派遣の指名制度はやめてほしい、希望としては受けるが・・・という話があったと思います。大杉も同じ考え方です。ですが、全国の状況をみると、直接依頼をする地域が結構あるようです。直接依頼について、皆さんも改めて考えた方がよいと思います。直接依頼が良い悪いと言うことではありませんが。以前、全国盲ろう者協会がしていた訪問相談事業、平成7年から、利用券が発行され使っていました。この場合、コーディネーターはいません。自分で通訳・介助をしてくれる人に頼んでいました。協会から通訳・介助員の登録名簿をもらっていました。その名簿を見て、自分で頼む方法をとっていました。その頃は、直接依頼の善し悪しについては分からないままでしたが、平成16年度から、広島市では独自事業として派遣制度が始まりました。それから、いろいろな問題がたくさん起こりました。直接依頼はよくない、止めたほうが良いのではないか、という議論が多く出たのです。つまり、いろいろ考えてみると直接依頼することは、コーディネーターの仕事を取ってしまう感じだということです。コーディネーターは何のためにいるのか?コーディネーターの仕事は何でしょうか?盲ろう者からの依頼を受けて、通訳・介助員を見つけて、依頼をして、盲ろう者に連絡するそういう仕事をする方達を指しますよね。広島ではコーディネーターの人件費を設けていませんでしたので、コーディネーターに支払うお金を作って欲しいと要望しています。実績も必要です。実績を上げるためには直接依頼をしないことです。コーディネーターには、盲ろう者からの依頼を受けて通訳・介助員を派遣する仕事をしてもらう必要があります。通訳・介助員だって、自分だけのものではなく、社会資源です。同じ人ばかりに頼んでいると、仮にその人が病気になってしまったらどうするのでしょうか。大杉も今まで、いくつものトラブルにあいました。直接依頼をした結果、その通訳・介助員との人間関係が壊れてしまった、信頼関係が壊れてしまったということがありました。そういうこともあるので、私は直接依頼はやめた方が良いと考えています。コーディネーターには、希望を伝えるのみ。コーディネーターから通訳・介助員に都合を確認してもらい調整するように、今広島ではそのように進めています。 司会/大杉さん、ありがとうございました。さて、ここからは交通費について、お尋ねします。 会場/私の県では、1件につき往復で交通費の上限が2,500円までという決まりがあります。通訳・介助員が自分の家を出てから盲ろう者に会って、一緒に電車に乗った場合も、その通訳・介助員はその場では自分の分を払い、仕事が終わって自分の家に帰るまでの交通費は全部事務所に請求してもらっています。仮に往復の交通費が2,600円で、100円オーバーした場合には、その分を盲ろう者に出してもらうことになっています。 会場/私の県も、上限は往復2,000円と決まっています。越えた場合は、盲ろう者の負担ではありません。上限はありますが、行き帰りはそれぞれ1件ずつと考えているので、会議が入っても、行きの往復は2,000円となっているので、あまり盲ろう者に負担をかけることはないかなと思います。パソコンの都合上時間で区切って入力するので、2,000円を超えません。 司会/確認です。例えばAさんが往復しても、行き・帰り1件ずつとカウントして2件。それぞれ上限が2,000円ですね。1人の通訳・介助員が往復すると、計算上往復の上限が4,000円になるんですね。 会場/質問です。例えば、友の会の交流会に参加した場合、行きと帰りだけという派遣もあります。しかし、買い物などでも、行きと帰りを1件ずつにするのですか? 会場/他の例ですが、病院の場合、医者とのコミュニケーションに重きをおく場合は違う方をお願いしているので、行き・帰りの移動介助、中の通訳・介助を分けることがあります。また、盲ろう者によっては、経過も知っている通訳・介助が良いという場合もあり、ずっと同じ人に、行き、中、帰りをお願いする場合もあります。でも、その時は、地域の近い方にするので、交通費はかからないことが多いです。1人の通訳・介助員が、行き、中、帰り全てを担当した場合は1件として扱います。 会場/実態調査報告書に広島も、上限2,000円と書いてあります。上限を超えた時はどうなるのですか? 会場/超えた部分は盲ろう者の負担になります。 司会/上限の2,500円をオーバーした場合、盲ろう者負担がある・なしということは要綱で決められていますか? 会場/載っています。 会場/質問ですが、上限2,500円とありますね。実態調査報告書の中で、移動介助時に車を利用する場合は盲ろう者1qにつき18円を負担するということですか? 会場/盲ろう者が車に乗っている場合は、1q18円を盲ろう者が通訳・介助員に払うということです。乗っている間だけですので、単独移動中の距離は、事務所に請求します。 会場/そうなると、車を使った時は盲ろう者の負担。公共機関は全額出るということですね? 会場/そうです。電車で移動した分は、通訳・介助員が乗った電車分は、往復に2,500円までは事務所に請求がきます。車送迎は、盲ろう者が乗っている時は盲ろう者負担となります。 塩谷/交通費の問題は、昨日も話したように労働基準法で定めがあり、介護保険などは、そういう形でやっています。家を出て、利用者と会うまでの時間ですね。考えられるのは、利用者宅です。会って仕事をして利用者宅から帰る、これは出勤にあたります。行きと帰りの交通費は保障しないといけない。行きと帰りに違う人を頼んだ場合、行った以上は帰ってこないといけない。帰りだけの人も行かなければ担当できないので、この場合は2人分の往復の交通費を保障しなければいけません。そこが予算とのからみで運用しなければならないために、今、いろいろと要綱がゆがんできているのかなと思います。当人と会って、どこかに出かけるときは交通費がかかりますが、これは移動費といって、移動にかかるお金です。本来、ホームヘルプなどを考えると利用者の自宅にいき、そこで介護をして帰ってくるので、移動は伴わない状況が普通です。それに移動に伴う場合は、利用者本人の都合で移動が伴うので、移動に関わる分は、本人負担となります。障害者割引で半額になるかどうかなどは、その要素は絡んでこないと思います。本人の都合で移動するのだから、本人負担になるという考えです。その部分は、広島の例もありますが、盲ろうの通訳・介助はどうしても移動が伴うので、各県の派遣要綱等で規程を作っても良いかもしれません。大もとになっている要綱の交通費の規程は、県からの指導があって、今、言ったようなことが基準になっています。 司会/ありがとうございました。残りの時間は、事前アンケートの中で、確認したいこと、意見を聞きたいことなどを話し合いたいと思います。 会場/昨日も言いましたが、まだ、私の県ではコーディネーターがついていません。今後コーディネーターについて考えて行かなければなりません。事前アンケートの9番、緊急時の携帯電話、緊急時の対応についてお尋ねします。今後、携帯電話を持って活動しなければならないことが出てくるかと思います。例えば、夜中などの対応が必要になってくるのかと思いますが、24時間対応している地域もあるのか、お聞きしたいと思います。 司会/事前アンケートで回答があった20の県の中で、実際に携帯電話を持っている県は10県ありました。今日の参加者で派遣専用携帯電話を持っている方、挙手をお願いします。10県が持っていますね。その中で、24時間対応している県は挙手をお願いします。8県ですね。何か事例はありますか? 会場/通訳・介助員の家族に不幸があり、明日の通訳に行けなくなったと夜の9時か10時に連絡があったことがあります。 会場/夜間ではなく、私の夏休み中、旅行先で緊急の連絡を受けたことがありました。その内容は、盲ろう者の家族からの電話でした。具合が悪くなって救急車で運ばれたとのことで、病院での通訳依頼でした。たまたま通訳・介助員と連絡が取れ、直行してもらいましたが、私は県外にいたので駆けつけることができませんでした。 司会/通訳・介助員や盲ろう者に対して、何時以降は連絡をしないでください、ということを決めている県はありますか?特に決めずに、モラルの範囲で対応しているということでしょうか? 会場/私の県では携帯電話は緊急用として用いています。月曜から金曜までの午後は事務所にコーディネーターがいますが、いない時間や夜、土日、休日に何かが起こった時の連絡は携帯までとしています。時間は特に決めていません。 会場/今の話にもあったように、うちも緊急用の携帯電話を2台持っています。1台は私が常に持ち歩いています。もう1台は職員でローテーションを組んで対応しています。2台持ち始めたのは今年からです。震災の影響もあって、なかなか連絡が取れなかったという反省を踏まえ、DoCoMoとauと分けて持っています。1台だと、着信に気付かない、電話が取れないというときがあるので、2台持つようにしました。緊急携帯でよくあるのは、通訳・介助員からの急なキャンセル、盲ろう者からの急な依頼、この2点が多く、病気、家庭の不幸があった時等に急なキャンセルが入ります。緊急携帯電話には、全通訳・介助員の連絡先が入っています。それを頼りに打診をしていきます。個人情報が入っているので、気を付けないといけないと思い、指紋認証の携帯電話を持ち歩いています。盲ろう者からの急な依頼ですが、昨日も、研修会中に依頼が来て、話を聞きながら対応をしていました。どういう依頼かというと、「月曜の夜に講演会に参加したい。本当は前もってしなくてはいけないのは分かっているが、参加したい講習会の案内を今日見つけてしまったので、なんとかならないか」というメールでした。それについては対応し派遣することになりました。 会場/携帯電話を24時間持っている県に伺います。夜間などにかかってくる場合、精神的な負担も大きいと思いますが、それに対する保障はありますか? 会場/派遣専用の携帯電話ではありませんが、毎月2,000円の手当をいただいて、個人の携帯電話で対応しています。時間外は、事務所の電話が私の携帯電話に転送されるようになっています。 会場/私の県では緊急の携帯電話は持っていません。持っていませんが、緊急の対応は休みの日でも行っています。うちの法人の職場全体として、休日に業務を行った場合は、休日出勤として1時間半業務をしたという取り扱いになり、休日手当として1時間半分の金額がつきます。 司会/確認ですが、休みの時、職場から連絡がある、ということですか? 会場/盲ろう者の中には私個人の携帯電話のアドレス、電話番号を知っている人もかなりいます。昨日も説明しましたが、うちの施設は休館日、閉館時間は警備員が常駐しています。職場に電話、ファクスがあれば、警備員が確認します。緊急の連絡はその担当職員に警備員が連絡をすることにしています。警備員から連絡があるときと、直接盲ろう者に通訳・介助員が私の携帯電話に連絡する、2つの方法があります。 会場/皆さんの県では定年の年齢を決めていますか?それを伺いたいです。 会場/以前は年齢制限はなかったのですが、高齢の通訳・介助員がついた場合、周りから危険だという声があり年齢制限を取り入れました。いくつまでというのが、正直いって難しかったのですが、75歳にしています。以前は80歳ぐらいの方が介助していた事例があり、見ていて危険でした。70歳でも元気な方もいるので75歳というボーダーラインをつけましたが、今後どうしたら良いのかという問題もあります。暮れにエスカレーターで転落事故がありました。盲ろう者も通訳・介助員も73歳。2人して下りのエスカレーターで落ちて救急車で運ばれた事例がありました。年齢制限の事は要綱には書いていません。県とも年齢制限をどうするか話が出ています。 会場/他では検討しているところもないですね。私のところでは、80歳で通訳・介助をしている方がいます。ハラハラドキドキで、見守っている状態です。 会場/盲ろう者が待ち合わせ場所に来なかったり、盲ろう者が遅刻したりしたときの対応についてお伺いします。例えば、盲ろう者と通訳・介助員が駅で待ち合わせをしていて、盲ろう者が来ない場合はどうしていますか?私の県では、30分経って来なかったら帰って良いことにしています。その時間分の保障については、チケット1枚を盲ろう者に郵送してもらい、交通費と一緒に保障をしています。これも要綱に定めているのではなく、こちらで判断をして対応しています。それから、盲ろう者が遅刻してきた場合ですが、要綱上、通訳・介助の業務の時間は、会ってから別れるまでになっています。例えば、1時に待ち合わせをして、盲ろう者の遅刻により2時になったとします。盲ろう者は遅れてきたが、通訳者の業務時間は2時からになってしまいます。待ち合わせは1時ですが、業務は2時からとなりそこからの時間しか謝金を支払うことができないことになります。その辺りは心苦しいなと思っています。たぶん、うちの場合はチケット制なので、直接依頼をしているとき、自分が遅れたからといって、1時からチケットを出している可能性があるわけですが、本来それはいけないと思います。遅刻した場合、どうするかという問い合わせがうちに来たときは、会ってから別れるまでと要綱通りに話はしています。 会場/私の県では1時からお願いされた時は1時からカウントします。盲ろう者が遅れてきても、1時からの時間でカウントします。盲ろう者が来なかった場合、これは今までありませんが、30分待って来なければ一応帰って良いことになっています。1時間分の謝金を払うことになっています。 会場/私の県でも要綱に定めはありません。実際に、通訳・介助員から盲ろう者が来ないと連絡があり、盲ろう者は電車で来ることになっていたので、もう1本待つように言いました。結局もう1本待っても盲ろう者は来ませんでした。その場合の扱いは、1時間活動したということにして1時間分の謝金と交通費を払いました。交通費も払わないのもいけないので、そのように対応しました。盲ろう者にも、きちんと説明をして、郵送で利用券を送ってもらいました。連絡が取れず、待ち合わせ場所に来ない場合でも、利用券は1枚発生することを盲ろう者、通訳・介助員に説明をしました。通訳・介助員にはできるだけ決定書を持って活動するようにと言っています。遅刻してきた場合も、盲ろう者に決定書を見せて示すことができます。謝金は遅れて2時にきても、1時からの活動とみなします。 会場/私の県では盲ろう者が遅れた例はあまりありませんが、通訳・介助員が遅れることがありました。それは盲ろう者と通訳・介助員も同じ問題ですが、時間を過ぎることは、人間と人間の信用問題にも関わります。遅れた人には後で責任者と一緒に注意をします。通訳・介助員と盲ろう者と一緒に活動した時間を基本にしていますので、遅れた時間分の謝金は払っていません。それはお互いに理解して、遅れないようにと注意するように促しています。 司会/全員に確認します。盲ろう者と会ってからが謝金の対象になっている県は挙手をお願いします。6県ですね。待ちあわせ時間から謝金を支払う県は挙手をお願いします。18県ですね。 会場/今まで盲ろう者が遅れたとか、会えなかったことはありません。私の県では、家を出てから帰宅するまでの時間分の謝礼を払います。そのかわり、交通費はありません。もし仮に待ち合わせに来ないとか、遅刻してきたとしても、活動の一環なので、通訳・介助員が家を出てからの時間分の謝金をお支払いします。 会場/私の県では、盲ろう者が来ない場合は15分経ったら、派遣センターに連絡することになっています。その連絡を受けたら、私が本人にファックス、メールをしますが、それでも返事がないときは30分で帰って良いことになっています。その場合は30分の謝金と交通費を支払います。説明会の資料に載せて話をするようにしています。 会場/コーディネーターの人件費について質問です。コーディネーターの身分、状況が各県で違うのでいろいろあると思います。私は友の会の事務局を担当しコーディネーターもしています。他県では、事業費の中にコーディネーターの人件費をとっているところがいくつかあるようです。どのようなやり方で、コーディネーターの人件費を獲得できたのか、教えていただけたらと思います。 会場/私の県の場合、派遣事務所ができた時は、たぶん月1〜2万円の人件費でした。当時は、経緯は分かりませんが自宅でやっていたと思います。自宅の電話を使い、月に1〜2万円でまかなっていたと思います。その後、自宅での派遣事務所的なことをやめ、事務所をかまえるようになりました。何時から何時まで事務所にいたという事を書面で残すことが大事だと思います。携帯も何時にメールが来たとか、数字で表さないと県にも交渉できないし、行政と交渉する上では、きちんと毎月の勤務時間を残すことが大事だと思います。コーディネーターの賃金は、月80時間、時給890円。4時間で20日という計算ですが、週2回、火曜、木曜でやって、それ以外は携帯での対応としています。拘束されていても手当が何もないので、私なりに携帯を持っている時間の対応時間を書いている状況です。 会場/コーディネーターの仕事は報告書の管理や他にもいろいろあって、相談を受けたり、大切な仕事です。直接依頼ではなく、コーディネートの仕事によって、実績も上げていくという話もありました。全く人件費のないところで実績を上げること自体が、とてもつらいことです。実績をあげてから人件費をとるのではなく、とにかくこの仕事について理解してもらい、人件費は必ず事業の予算の中にはつくものだという取り組みをしなければと思います。 (4)まとめ 【助言者】  大杉 勝則(広島盲ろう者友の会) 【司会者】  渡井 秀匡(NPO法人東京盲ろう者友の会理事・事務局) 【まとめ】 まず、午前の情報交換で残っていた質問について、意見および確認を行った。 1.コーディネーターの人件費の予算化について 徳島県の辻さんよりコーディネーターの人件費に関する質問があった。派遣事業のコーディネートを担当しているが、コーディネーターの人件費をもらえない。他県では人件費をどのようにしてもらえたのか知りたい。 栃木県より、県と交渉して予算化されたとの報告があった。また、事務所の相談もしたが、県の建物の空きがなかったので、ずっと個人の自宅で行っていた。しばらくして、県の建物に空き部屋がでたので、そこで県職員が盲ろう者友の会の事務所として借りられるようになったとのこと。 2.通訳・介助員の頸肩腕の特殊健診について 滋賀県の黒川さんより頸肩腕の特殊健診に関する質問があった。滋賀県は盲ろう者向け通訳・介助員の特殊健診を実施していない。通訳・介助員の中には手話通訳や要約筆記の団体で健診を受けている人もいるが、何処にも所属しない人やろうの通訳・介助員はどのように対応しているのか他県の状況を聞きたい。 埼玉県:埼玉は健診のための予算が付いているので、年に1回、頸腕健診を必ず受けるよう、登録通訳・介助員全員にお知らせしている。健診を受けるか否かの返事ももらう形で状況を把握している。また、受ける人には健診のための費用と交通費の補助をしている。ただし、各地元の登録手話通訳、要約筆記を兼ねている通訳・介助員のほとんどは、各地元での健診を受けている。 千葉県:県に頸肩腕健診の健診料の予算を要望している。現在のところは、派遣事業の予算内で健診料として使ってもよいということなので、実績をつくるために実施した。100人ほどいる登録通訳者に、健診料を助成する形で希望を募ったところ、10人の希望があり受けてもらった。なお、健診の際の交通費は自己負担でお願いした。 栃木県:栃木は、6人分が予算化されていて、手話通訳や要約筆記の健診が受けられない人、例えばろう者の通訳・介助員を優先に受けてもらっている。また、栃木の場合は、東京の芝病院の担当者に年1回、栃木県の福祉プラザに来てもらって、そこで1日健診が受けられるようになっている。 福岡県:北九州市は昨年から前年度の派遣回数の多い人から2名だけ頸肩腕健診を受けてもらっている。 秋田県:福岡県と同じでプラスコーディネーターの3人分も予算化されている。 3.滋賀医大、大阪社会医学研究所の盲ろう者通訳・介助員の健康問題についての共同研究について 東京の前田さんより、共同研究の内容は今後行政との交渉をする際に有用なものになると思うが、その結果はいつごろ出るのか教えてほしい。 兵庫の中村さんより説明があった。 昨年度のコーディネーター連絡会で健康問題がテーマに取り上げられ、盲ろう者や通訳・介助員の中でも健康被害があることが分かった。その後、兵庫でも登録通訳・介助員の中で頸肩腕障害を発症した人が1名出た。それもあり、大阪西淀病院の先生に、健康実態について目を向けてもらえないかとお願いした。 昨年、大阪社会医学研究所の先生が、盲ろう通訳・介助員の健康問題についての研究ということで、文部科学省に研究申請を出したところ、研究対象として採用され、兵庫に協力要請があった。そこで、大阪社会医学研究所の医師が健診時に行っている質問をアンケート化したものを、派遣回数が多い、上から50名、実際には52名に配付した。 1月7日(土)に滋賀医科大学の垰先生、板原先生、大阪社会医学研究所の先生2人と、兵庫県は通訳・介助員と私の4人で回答結果についての話し合いをした。垰先生の話によると、盲ろう通訳・介助員も手話通訳者も過去20年のデータがあるが、ほぼ同じような結果であるとのことだった。その後、兵庫で取ったサンプルをもとに全国盲ろう者協会にお願いして全国的な実態調査を行うと聞いている。 なお、文部科学省の研究の期間は2年間なので、平成24年度中にデータ化し発表される予定。 協会事務局から以下のような補足説明があった。 研究所の先生にお越しいただいて、今、アンケートの内容の確認など、いろいろと協会内でさせていただいている。友の会に登録をされている通訳・介助員に対してアンケート調査を行うべく、準備を進めているところ。これは、聴覚障害の通訳・介助員も視覚障害の通訳・介助員も全てが対象となっている。早ければ3月か4月あたりに登録されている通訳・介助員の皆さんのところに協会の名前でアンケートが届くものと思われる。 そのアンケート集計結果(中間報告)は、今年の全国盲ろう者大会の中で発表される予定。 4.大杉氏のまとめ 1)通訳・介助員が元気で活動ができるように、頸肩腕健診を予算化して受けてほしい。 2)コーディネーターが何処までの仕事をするのか改めて考える必要があるのではないか? 3)派遣事業を盲ろう者団体以外の、たとえば、聴覚障害者や身体障害者関係の団体等の機関に委託している場合、盲ろう者団体との連携が大切である。 4)盲ろう者団体も積極的に派遣事務局と関わって、派遣事業の予算や健康問題等に取り組み行政に働きかけることが重要である。 5)コーディネーターは盲ろう者のニーズを把握すると共に、他の福祉制度を学ぶことも必要である。 6)その他、ホームヘルパーやケアマネージャー、障害者福祉課などの方とパイプを作り、盲ろう者福祉に生かしてほしい。 5.渡井氏のまとめ 1)盲ろう者から8時間以上の派遣依頼があった場合について 通訳・介助員の1日あたりの活動時間が8時間と決めているところが多いと思うので、途中で通訳・介助員を交代する形で派遣をする方法があることを紹介した。なお、通訳・介助の内容や場所によって交代が難しい場合は、通訳・介助員の了解を得て派遣を認めるといった柔軟な対応をお願いしたい。 2)交通費の負担について 地域によって盲ろう者と通訳・介助員の支払う交通費の額が異なっているので、盲ろう者と通訳・介助員が一緒にいる間の交通費について、現状では誰が何処までを負担するのかを統一することは難しい。 3)盲ろう者向け通訳・介助員派遣の運用基準について 派遣のコーディネートで困った時に手話通訳や要約筆記の派遣制度を参考にしているところがいくつかあるが、盲ろう者と聴覚障害者のニーズは異なっており、安易に手話通訳の派遣制度を当てはめることのないようにしてほしい。従って、今後盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業のモデル要綱を作る必要があることを確認した。 4)派遣事務局のネットワーク化 連絡会会議をきっかけに、派遣事務所の横のつながりを持ち、盲ろう者が何処にでも出かけられるような環境整備をすることが重要であることを確認した。 5)派遣事業の予算について 派遣事業の予算が余ってお金を返還してしまった事例が紹介されていたが、まだ盲ろう者の掘り起こしが進んでいないために本来なら派遣を必要とする盲ろう者に行き届いていない可能性が高い。今後派遣事業に登録する盲ろう者が増えてくれば、予算が足りなくなると思われるので、現在登録している盲ろう者の中でも平等に配布するという考え方ではなく、たとえば、本当に派遣を必要とする盲ろう者にどんどん派遣できる仕組みを構築することが重要ではないか。この派遣事業は盲ろう者独自の福祉サービスとしては唯一のサービスなので大切にしていきたい。 6)盲ろう者団体と連携した事業展開 地元の盲ろう者団体とも連携しながら、盲ろう者を交えて派遣制度について話し合うなどの取り組みが重要である。また、盲ろう者自身が派遣制度を理解し、盲ろう者と一緒に行政や議会議員のところに足を運んで派遣事業の拡充を求めていくことも効果的であることを紹介した。 5 事前アンケート集計結果 配布数:37名 回答者数:20名 回答率:54% (2011/12/16 集計) 設問1.コーディネーターの業務範囲‐普段行っている業務‐ 1.日々の派遣調整 (20) 2.報告書の確認 (20)  派遣時間の確認 (20)  交通費の確認 (19)  内容の確認 (20) 3.派遣の決定通知書作成 (19) 派遣決定通知等の点訳 (7) 4.派遣費の支払業務 (16) 5.盲ろう者派遣登録の説明 (18)  通訳・介助員登録の説明 (20)  盲ろう者派遣登録のための個別訪問 (11) 6.盲ろう者からの相談を受ける (19)  盲ろう者の家族からの相談を受ける (17)  通訳・介助員からの相談を受ける (19)  盲ろう者、その家族、通訳・介助員以外の方からの相談を受ける (14) 7.苦情対応 (17) 8.緊急時(臨時的な)の通訳・介助活動 (12) 9.緊急時携帯電話の携帯 (10) 10.友の会広報誌等発送作業 (4) 11.代筆 (10) 12.事務所内掃除 (11) 13.お茶くみ (10) 14.行事参加 (11) 15.利用者会議への出席 (10) 16.養成講座の運営に関わっている (16)  現任研修会の運営に関わっている (14)  その他の盲ろう関連事業に関わっている (11) 17.県交渉への参加 (12) 18.県報告への参加 (14) 19.その他  ・派遣の事務所が友の会事務局と共用しているので郵便物や書類の確認も兼務している。 ・事業と友の会活動は、別々に考えた方が良いように思いますが、No.14の行事参加は休みをとって友の会一員として参加しています。 設問2 コーディネート上で困っていること等 ・派遣をよく利用する盲ろう者は、ろうベースのため触手話通訳が必要だが、十分対応できる通訳・介助員が足りない。突出して利用回数が多い盲ろう者が1名いる。利用の限度がないので、今後そのような盲ろう者が増えていった場合、人的にも金銭的にも対応できなくなるのではないかと思う。 ・通訳・介助員の心構えについて注意・指導してもなかなか改まらない人がいる。 ・特定の通訳・介助員に対し、盲ろう者が不信感を持つと信用回復が難しい。 ・市町村との関係(福祉サービス) ・派遣登録説明会、学習会等に参加しない通訳・介助員への対応。 ・通訳・介助の業務範囲のあいまいさ。 盲ろう者が望むものはすべて通訳・介助なのか。 盲ろう者の家族は、通訳・介助員として認められるのか。 ・盲ろう者が通訳・介助を受ける際のマナーは、誰が教えるのか。 ・友の会への不信感を持っているらしい盲ろう者への対応。 ・においの問題。 ・通訳・介助員の車で移動介助すること(公共交通機関が不便な地域はそうせざるをえない) ・行事への参加者とみなされ参加費を請求されること。 ・各々の盲ろう者を担当(派遣)する通訳・介助員の拡大の困難 ・盲ろう者が派遣制度を正しく理解することへの困難 ・盲ろう者の高齢化に伴い、介護的な支援と通訳・介助員の業務範囲 ・コーディネート業務ってどこまでなのか? ここまでやって良いの?ということで日々悩んでいます。依頼を受けて、それをコーディネートすることだけではなく、依頼内容、時間についてまでコーディネートすることがコーディネーターのしごとなのでしょうか? ・コーディネーターが1人なので相談できる人がいない。 ・通訳・介助員への指導等、迷うことが多い。 ・何かの行事で情報センターに盲ろう者が集まる時、遠い地域から来る方は交通費がかかるため、遠慮してしまう。本人が行きたくても、家族に負担をかけてしまうからあきらめる傾向がある。 ・触手話に慣れていない、ずっと在宅の盲ろう者に別の盲ろう者を連れていき、会わせてあげたいと思ったが、コーディネーターの仕事ではないと言われ、実現しなかった。在宅の盲ろう者に、同じ立場の盲ろう者と出会い、コミュニケーションをとっていただく機会を作るには、どのような方法があるか。 ・申請→調整→決定→活動→報告の流れで、利用券方式です。 利用券があることにより、盲ろう者に勘違いが起こりやすい。例えば、盲ろう者が、金券感覚で扱いがちで、出し渋り・雇い感などが生じることがある。正しい時間が報告されにくい。(延長しても、追加で利用券を請求しにくいとの報告がある。)盲ろう者からは、現場での受け渡しが面倒なので、利用券を無くしてほしいとの意見もあるが、一方で、不正を防ぐために、利用券方式が良いとの意見もある。今後も利用券方式を継続した方が良いか迷う。 ・通訳以外にメモをとって欲しいとの要望があった。メモをとることは仕事の範囲外と判断し、メモは自分でとってもらうように対応したが、それで良かったのか。 ・子育て中の盲ろう者の通訳・介助について 対処方法が分からない、子供も一緒のときは、盲ろう者への介助がおろそかになり危険。責任が重い、などの声がある。 ・地元の通訳・介助員で動ける人が少ないため、遠方から派遣している。 設問3 昨年度までに話し合われたテーマについて、改善された点、変更があった点など ・昨年、頸肩腕の症状が出た人がいたが、派遣依頼を減らすことで今年度は回復した。 ・滋賀医大、大阪社会医学研究所の「盲ろう者通訳介助員の健康問題について」共同研究に協力している。 ・昨年度の健康問題について友の会の中で発表(というか発言)する場を設けていただき、コーディネーターにもそんなことがあるのか。と、認識してもらえた。 ・県外派遣については、大学生の盲ろう者の登録申請があり、他県と相談しながら調整した。登録要件の「居住する場所」についてであるが、住民票のある県なのか、現に住んでいる県なのか、また、他県在住の通訳・介助員の登録可能かなど、全国共通のルールが整備されると良いと考える。 ・健康被害については、特に頸肩腕障害などの報告は無かった。しかし、精神的につらいなどの相談は受ける。それは、通訳・介助員として+友の会の会員(特に役員)としての支援のあり方の難しさによるものと思う。 ・通訳・介助員に支払う交通費の上限が2,000円から4,000円にアップした。 ・現任研修会が新規の事業として予算がついた。 ・頸肩腕健診の予算がついたわけではないが、現在の予算内で実施するなら認めるという県からの回答があり、健診料全額助成することで実施予定(平成24年1月〜3月)。交通費は自己負担。 ・活動している通訳・介助員に、健康状況等のアンケートをとり、状況把握はできたが、そのあとは何もせず。手話通訳を兼ねている人も多く、どこまでが通訳・介助が原因かも分かりにくい。 設問4 その他 ・介助員の養成研修について、実績がない為どのように進めていって良いか分からない。 ・地域にいる盲ろう者のニーズがあがってこない。コーディネートをしているにもかかわらず、実態が把握できていない。 ・モデル要綱を望む。 ・委託業務をすることに限界を感じている。県に他の委託先をさがして欲しい旨、話している。盲ろう者が県内に点在していることや、業務の特殊性から、県は他へ委託するのは消極的だ。 ・相談できる場所がほしい。 ・派遣依頼は盲ろうの方の生活全般に関わることであり、個人的な悩み等もあり、コーディネーターとしてどこまで関われるのか、力量の問題もあり悩むところです。 ・予算不足のため、現任研修会が開催できない状態です。予算増または確保のために同様の悩みがあればお伺いしたいです。(友の会とともに県に強く要望中) ・個別訪問。これから予定しています。他県の状況もお伺いしたいです。 ・コーディネーター自身の手話通訳活動、仕事、友の会のことなど日々の用事や抱えることが多くて、コーディネーター業務が遅れがち。 ・設問1−8.緊急時(臨時的な)の通訳・介助 緊急時の通訳・介助活動は、通訳・介助員の手配が出来ない。 日程変更が出来ない場合は職員が出向くことにしていますが、実際に出向いたことはない。 ただし、職員が休日に振り替え、登録通訳・介助員の立場で派遣を担ったことはある。 ・設問1−9.緊急時携帯電話の携帯 緊急時対抗の専用の携帯電話の用意はないが、職員個人の携帯電話に、日程の迫った派遣申請や時間変更などの連絡があり対応をしている。 ・設問1−11.代筆 派遣申請書の代筆は行っている。 ・設問1−15.利用者会議への出席 派遣窓口と友の会共催の「派遣連絡会」を実施 6 事後アンケート集計結果 配布数:34名 回答者数:33名 回答率:97% (2012/01/23 集計) 1. コーディネーターとしての経験年数  現在、コーディネーターではない 4名 (現在の肩書き:相談員1名、友の会事務局・派遣業務委託あり1名、登録介助員1名、事務局補佐) 1年未満 8名 1〜3年 13名 3年以上 8名 無回答 0名 2. 会議の内容について ●講演、情報交換@、情報交換A、まとめ 全てを通しての感想 ・全体的に進行がスムーズで、質問や意見がまとまっていた感じがします。(話があちこちいって収拾がつかないことがよくあるが、そうならなかった。)司会が指名されていたので、たくさんの参加者から意見が聞けて良かった。情報交換の時間が多く、いろんな話が自由にできて良かったと思います。 ・各地のコーディネートについて派遣事業について伺うことができて参考になりました。自分の地域のことも分からない点ばかりなので、今後勉強していこうと思います。企画委員の皆様、ありがとうございました。 ・友の会と友の会以外の団体の話が把握できて興味深かったです。各地域がいかに違うかがよく分かりましたが、多くの善意に満ちた人々に支えられている現状もしっかり認識しました。元気をいただきました。実態に基づいた情報交換は参考になりました。地元に戻り、盲ろう者の皆さん、通訳・介助員、そして行政とゆっくり話し合って少しでも前に進んでいきたいと思います。実りのある充実した会でした。企画、そして準備に関わってくれた方々、本当にありがとうございました。 ●講演 参考になった 28名 <感想等> ・講演内容が参考になった。 ・お二人のお話を聞いて、自分自身の日頃の業務の振り返り、反省をすることができた。 ・コーディネーターの考えや姿勢が大切だと思った。 ・自分でも悩んでいる問題点があり、とても参考になった。 ・友の会を起点として盲ろう者支援の内容を豊かにしていかなければならないと感じました。 ・国に対しての要求は、それぞれ同じテーマだが、その中で、私たちが実施しているのは何か・・・?今回の講演はすごくレベルが高かった。本当に努力していると思う。 ・自分の地域とも考え方ややり方が違い、お二方とも考え方などが違い、勉強になりました。比較できると分かりやすかったです。 ・他県の事例を詳しく聞けてよかった。 ・受託先によって団体の違いや、各々の良い面、課題等が見えて良かった。 ・予算交渉から報告書など具体的な話がたくさん聞けて良かった。チケット制と直接依頼、報告書も月毎、1件毎など地域によって、基本的な運営方法が違うことに驚きました。当事者からの発信が必要ですね。 ・派遣制度がどのように始まったとか、友の会との関係、派遣制度を受託して良い点、悪い点など、他県の様子を聞くことで、自分の県と比較できて良かった。 ・友の会受託とそうでない所の違いがよく分かりました。 ・立場が違う2つの事例で分かりやすかった。 ・自分達の地域と違う体制の地域の様子を聞き、様々な違いがあることを知った。 ・情報提供施設での事業と友の会での事業の様子がそれぞれ聞けて参考になりました。 普通 4名 <感想> ・それぞれの県での事情がおありなので、当てはまらないところもありますが、参考にさせていただきます。 ・理路整然とした正しいお話をありがとう、愛媛の方は人間らしくホンワカとした。頑張りすぎぬように。 ・友の会委託と友の会以外団体の委託の違いがもう少し明確に分かる報告の仕方であればよかった。 ・各地で状況が全く違うことがよく分かった。 参考にならなかった 1名 無回答 0名 ●情報交換@ 参考になった 30名 <感想> ・たくさんの人が発言できてよかった。他県の様子が参考になった。 ・様々な事例について、各県の対応が参考になった。また、同じような悩みを抱えていることが分かった。 ・様々な事例を聞くことができて、参考になった。 ・自分の体験での想定外の意見も聞けて、とても参考になりました。 ・他県の派遣内容の実態が把握できて参考になりました。 ・通訳・介助の範囲について話し合いつつ、コーディネーターとして確認しておくべきかと思いました。 ・養成はとても大事なこと。全体として制度は未成熟だと思います。 ・各地域で実施している状況が知れてよかった。自分のいる場所で本当に必要なのは何か?を考えながら、周りの意見に耳を傾けていた。 ・全国の実態が知れたので、とてもよかった。ただ、立って発言した方が、誰が話しているか分かるので良いのでは?と思いました。 ・各地のいろんな状況が知ることができた。 ・みなさん似たような疑問を持ち、それに回答がでてくるので、とても参考になった。 ・報告書について、とても反省した。帰ったら登録者に意識をかえてもらう必要があると感じた。 ・他県の困っていることもわかり、良かったです。良い点を参考にしたいと思います。 ・各県の方々の活動の様子や派遣について知ることができ、とても参考になった。 ・他の県の状況が聞けてよかった。特にテーマをしぼらず、質問を受け付けてもらえたので質問しやすかった。 ・予算が足りなくなりそうな時の対応について、報告書の書き方の説明をどのようなタイミングでするかなど、具体例が聞けて良かった。 ・充実した内容だったと思います。 ・様々な意見や情報が聞けて大変参考になった。特に、おひとりでコーディネートを担当している方は悩みも多いですね。共有していけると良いと思います。(情報交換Aも同じ) ・同じような問題をかかえている県があることが分かり、参考になった。改善点、対応方法等、自県にも取り入れていきたいと思う。 ・長丁場で、終盤かなり疲れました。 普通 2名 <感想> ・各県それぞれの方法、予算があるので、当県に当てはまらない事もありますが、参考になります。 ・参加者の参加回数、業務年数を確認したのは良かった。良いバランスでの参加状況だ。 参考にならなかった 1名 無回答 0名 ●情報交換A 参考になった 27名 <感想> ・盲ろう者からの提案も改めて考える良い機会になった。結論は出ないが、地元に持ち帰り協議したい。 ・様々な事例を聞くことができて、参考になった。 ・実例に基づいての情報交換は大いに参考になった。この中で帰って検討したい項目もいくつかあり、今後の参考にします。 ・大杉さんのお話、大変参考になりました。ありがとうございました。 ・派遣する回数も時間も他県に比べて格段に短いので大変参考になりました。 ・障害者についてもケアマネジメントの制度が必要かと思うし、専門性を高める必要もあるなあと感じます。 ・交通費、通訳の範囲・・・様々な問題もありますが、各地域の考えを聞けたのはよかった。 ・参加者だけでなく、講師、司会の方からも発言があり視野が広がった。 ・チケット制には様々な問題や課題があるのだなと思った。いろいろと検討が必要だと感じました。(自県はチケットなし、全てコーディネート) ・この先、起こりうることに対してとても参考になった。 ・様々な事例や対応方法、考え方を聞き、コーディネーターの役割の重要性、重責を感じた。 ・通訳・介助員の役割はどこまでかとか、緊急時の対応についてなど、要項には書いてないグレーの部分について、他県の対処方法を聞けて良かった。 ・大杉さんの話“3つの課題について”考えてみたいと思いました。 ・地域によっていろいろ状況が違うと感じました。大杉さんのお話を聞けて良かった。 普通 2名 <感想> ・通訳・介助員の業務の範囲、交通費の問題など、解決のつかないことが多々出ています。その現場で、介助とは移動介助であって、介護ではないことを肝に銘じて行動をする必要があると思っています。 ・コーディネーターの経験がないので、ただただ勉強です。話し合いには出なかったけど、謝金が安過ぎるのはどうにかしないといけないと思います。 参考にならなかった 2名 ・各地の介護がらみの話はたぶん氷山の一角か、もっとたくさんあるんだろう。 無回答 2名 ●まとめ 参考になった 25名 <感想> ・盲ろうの立場からの意見、大変参考になりました。 ・渡井さんの司会が的確だった。 ・大杉さんが積極的に参加し、考えて意見を述べているのが印象的だった。 ・盲ろうの方への派遣事業のPRが必要であること、自分自身がもっと盲ろうの方を知るということが大事であると感じました。 ・そのために全国的なネットワークの強化も必要ですね。 ・通訳に関して盲ろう者の立場からお話を聞かせていただき、やはり盲ろう者も自由にいろいろなことができるようになりたいというのはあると感じました。 ・わかりやすくポイントでまとまっており、参加者の思いもくんでいただいていたように思います。 ・いろいろな事例を聞けてよかった。 ・2日間に出た意見や内容をまとめていただき、改めて整理ができた。 ・コーディネーターの役割から予算まで幅広く話が聞けて良かったです。 ・大杉さん、渡井さん、お二人の盲ろう者の立場からご意見が聞け、なるほどーと思いました。 ・コーディネーター同士の横のつながり、どうなるのか、決まっていたら良いと思いました。 ・当事者の観点からの話は気付かされることも多いです。 ・横のつながりを持ちながら、これからも進んでいきたいと思う。今回、参加していない県の方にも呼びかけていきたい。 普通 2名 <感想> ・通訳・介助員の業務範囲を明確に(確認を)して欲しかった。コーディネーターの業務の確認もして欲しかった。 ・次回へ繰り越す問題、継続審議することなどを定義したらよかった。 ・当事者の意見も聞けて良かったです。何だかあっという間に過ぎてしまった気がします。 参考にならなかった 2名 ・当事者の話は、やはり重みがあります。 無回答 4名 3. 会場について 良かった 26名 普通 7名 良くなかった 0名 無回答 0名 <気付いた点> ・交通機関が不便かなと思っていましたが、いざ着いてみると環境も良く、ホテルの近くの会場と最適な場所でした。ありがとうございました。 ・20:00までが残念。この会場なら、来年もここでOKですね。 ・隣の部屋の音(声)が少し気になりました。腕時計をしないもので、壁掛け時計がある部屋だと助かります。 ・国際展示場の近くで、コーディネーター研修とは以外で驚いた。本当に良い場所を選択してくれたと思います。 ・会場は駅やホテルから近くて良かったのですが、会場がどこなのか迷いました。建物はとてもキレイでしたが、音響(マイク)があまりよくなく、聞こえづらい部分があり、残念でした。 ・駅から近く、分かりやすい所で良かったです。 ・会場、とても良かった! ・会場が駅から近いので良かった。 ・今回は震災の関係かと思いますが、開催時期が1月になりました。雪のある地域では交通手段の心配があるので、開催は雪の心配のない時期にお願いしたいと思います。 ・案内に、例えば“東京駅→会場最寄り駅、羽田→バス停(リムジンバス)”所要時間を書いていただけるとありがたいです。 ・TFTビル内に各種店舗や休憩コーナーがあり、過ごしやすくてとても良かったです。宿泊場所が近かったのも、大変良かったです。 4-1. 今後取り入れて欲しいテーマ ・コーディネーターの資質向上について(専門知識、技術が必要と感じている) ・相談援助技術(ケースワーク) ・福祉サービス等について ・報告書の様式や扱いについて ・モデル要綱について ・通訳・介助員のスキルアップについて ・今までの成果、自慢できる事例等、良い方面の話を聞かせてください。予算が切られた等、ぐらいの話は十分過ぎるぐらい分かっています。 ・議論を聞いていて、通訳・介助員の質を高めるには、認定試験が必要となるであろうし、そうするためには、カリキュラムの全国統一が必要であろうし、同じく専門性を確立し(業務範囲の確定も含めて)倫理要領も作らなければいけないし・・・などと思いました。そのために、塩谷さんの最初のお話のように、環境を少しずつ整えていくために、テーマをいくつか定めていったら良いかと思います。盲ろうは後発であるだけ、することがたくさんあるなあと感じています。 ・通訳・介助員の養成について、各自治体ではどう考えておられ、また、どのようなカリキュラムで実施されているか。今後(将来的に)どのような通訳・介助員を養成しようと目指しておられるか、ここらへんについて意見交換したいです。 ・盲ろうとコーディネーターとのかかわりをどうしていくか。 ・他のつながり(団体など)の理解を深めるためにどうしたらよいか。 ・グループワーク ・ケース会議に関わった事例を報告してもらえたら良いなと思う。 ・モデル要綱作りをしたらよいと思います。 ・他の福祉サービスのこと、連携のことなど ・事例検討のような。 ・友の会活動、組織との連携と整理について ・協会の方針(チケット制、申請方式/謝金、交通費について/報告形式について) ・通訳・介助員のマナー ・盲ろう者のマナー ※どのあたりまで「これはちょっと・・・」というのを我慢する?とか、逆にはっきり言う方が良いとか。 ・コーディネーターの業務範囲(の基礎固め)の共有認識 ・通訳・介助員の業務範囲 どちらも全国共通で、県や友の会等に対してモデル要綱のように、示せるものがあると良い。依頼利用の盲ろう者も混乱しなくて良いと思う。 ・行政との交渉のためには具体的なデータや報告書が必要ですが、良い例とか様式など、資料交換できるテーマを望みます。 ・「コーディネーター(コーディネート)」とは。(一般的な意味での) 4-2. 会議に招聘すると良いと思われる講師 ・渡井氏 ・社会福祉士、精神保健福祉士 ・ろうベースの盲ろう者の方 ・森敦史氏、他若い盲ろう者 ・東京のコーディネーター ・福島氏 ・大杉氏 ・田幸氏 ・藤鹿氏(東京盲ろう者友の会)2名より記載有り ※(大杉、田幸、藤鹿)各氏、盲ろう者の立場からコーディネーターに期待することや全国の派遣事業について望むことを聞かせて欲しいです。 ・多くの壁を乗り越えながらも現在進んでいる地域の実際にコーディネーターとして実務にあたっている方 5. その他 ・例えば、ブロックレベルのコーディネーターのあつまりがもう少し頻繁にあっても良いかも? ・情報交換@、A、まとめ の違いが分からなかった。各コマにテーマがあった方がよい。 ・各県の実情が聞けて良かった。 ・真摯な態度で仕事に取り組んでいる皆さんに会えて力をもらった気がする。 ・初めて参加させていただきました。いろいろと悩んでいた面が少し理解できたように思います。県や、盲ろう者、通訳・介助員それぞれにきちんと説明できる情報をたくさんありがとうございました。今後の仕事に活用させてもらいます。 ・発言者の県、名前をはっきりさせる上に、本人がどこで話しているのか分かるよう、挙手を始めにして欲しい。席に座ったままでの発言なので、誰だか分かりません。 ・2日間大変勉強になりました。今後の業務にいかしていきたいと思います。 ・実態調査報告書がすぐに比較できるグラフなどにしてもらえたら分かりやすいと思います。 ・司会の方も何か自県で事例があればお話いただいた方が良いと思います。司会進行のみで、何か意見などはなかったのか疑問です。 ・できれば、もっとよい季節にしていただきたいです。 ・「実態調査報告書」は、他県の状況が分かり、また行政への交渉の際の資料作りに活用させていただける良い資料です。作成は大変だと思いますが、今後も続けてください。 ・この会議の継続開催を求めます。 ・会場、意見交換会場とても良かったです。初めて参加しましたが、また来たいと思います。コーディネーターの役割について(チケット有る無しにも関係ありますが)意見が出せるように勉強します。 ・コーディネーター連絡会の企画委員については、コーディネーターの割合を増やし、コーディネーターが主体的に企画できるようにするのが良いかと思います。 ・各県に任せられている部分が多く、問題解決に繋がりにくい。考え方、方向性の再確認になる位置付けなのか。連絡会、協会から委員を出して基盤になるものを作り上げていくと良いのではないか。他県の派遣担当者に話を聞くのも良いが、余計にまとまりにくいように感じる。コーディネーターの主観になりがちなので、協会、当事者団体としての姿勢が分かると良いように思う。 ・会議会場に近いホテルを紹介していただき、とても助かりました。 ・現任研修会の内容、養成講習会の内容も検討し、通訳・介助のマニュアル(例えば、会議通訳、複数通訳の場合)等参考に、実地でのアドバイスをしていきたいと思います。そのようなマニュアル化はあるのでしょうか・・・。勉強不足で申し訳ありません。現任研修会も受けたいと思うのですが、なかなか何泊か遠出をするのが難しい状況です。コーディネーターも現任研修会に多く参加しているのでしょうか? ・企画、進行お疲れ様でした。次々、研修会がありますが、みなさん体に気をつけて、お休みをとりながら、ずっと続けて下さいね。とても良い内容で、時間も十分あって良かったです。 ・各県で事業の受託団体や事務所の有無等、形態が様々なので、「他県ではこのようにやっているけれど、うちはやっていない・・・。」と不安にならないよう、批判的な言い方や、「こうあるべき」といった言い方はなるべく控えていただけるとありがたいと思いました。(各県とも予算・人員が苦しい中でベストを尽くしていると思いますので。) ・毎年参加させていただき、他県の状況を知ることは、とても勉強になります。また、普段、かかえている悩みなどを話し、共有、共感していただける仲間の存在は、本当にかけがえのないものだと感じます。このような連絡会を今後も継続していただけることを切に願っております。 発行日 平成24年2月29日 編集・発行 〜日本のヘレン・ケラーを支援する会R〜 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町67番地 早稲田クローバービル3階 TEL 03−5287−1140 FAX 03−5287−1141 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業